説明

動作状態表示システム

【課題】別途部品を設けたりや加工をしたりすることなく、隣接する発光体の光が導光体に入射することを防止して、機器の正確な動作状態を使用者に認識させる動作状態表示システムを得る。
【解決手段】第1のLED110と第2のLED120との間の制御回路基板130上には、電子部品260が取り付けられる。電子部品260は例えばチップコンデンサが用いられる。電子部品260は第1及び第2のLED120と同じ方向に制御回路基板130上から突出し、その突出長さは、第1の受光面216と制御回路基板130との距離、及び第2の受光面226と制御回路基板130との距離よりも長い。これにより、第1の透過面215に光度の高い光が入射して第1の投光面214から光度の高い光が投光されることがない。そのため、使用者は第1の投光面214から光が投光されていると誤って認識することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機器の動作状態を表示するシステムであって、例えば内視鏡に接続される光源装置が備える電池残量を表示するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡等に接続される光源装置は主に照明用素子及び電池を備え、照明用素子は電池を電源として発光する。発光した光は内視鏡が備える光ファイバを伝って観察部位を照明する。光源装置は、使用により電池の残量が少なくなると、照明用素子の発光に必要な電圧が不足して照明用素子を発光させることが出来なくなる。つまり、内視鏡の照明として用いることが出来なくなる。内視鏡の使用中に観察部位が照明されなくなると、観察を中断しなければならなくなり、中断を避けて効率よく観察するためには、残りの電池残量を知ることが必要になる。
【0003】
そこで、光源装置には電池残量を表示するための動作状態表示システムが設けられる。動作状態表示システムは主に発光体と導光体とからなり、発光体が放つ光によって、機器の動作状態を使用者に認知させるために用いられる。発光体は筐体の内部に格納され、導光体は発光体に対向するように筐体を貫通して取り付けられる。発光体から射出された光は導光体の特定の面に入射し、筐体の外面に露出する面から射出される。一般に、発光体及び導光体は一組となって、複数設けられる。
【0004】
一方、一組の発光体及び導光体どうしが隣接しているときには、隣接する発光体から照射された光が隣接する導光体に入射して点灯しているように見えることがある。使用者が隣接する導光体が点灯しているように認識すると、光源装置の正確な電池残量を認知することが出来なくなり、照明が可能な残り時間を誤認する。これにより観察の効率が低下する。誤認を防止するために、発光体を遮光壁で完全に覆ってしまう構造(特許文献1)や、スリット等を設ける構造(特許文献2)が知られている。
【特許文献1】実開平5−36483号公報
【特許文献2】特開平11−153970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、発光体を遮光壁で完全に覆ってしまうと、遮光壁は振動により発生する力を基板及びキャビネットへ伝達してしまうため、振動音や基板等の破損を生じる原因となる。また、基板にスリット等の穴を開けると、基板の強度が低下して基板の破損等が生じ製品の寿命が短くなる。さらに、別途部品を設けたり、基板の加工をしたりすると製造コストが上昇する。
【0006】
本発明は、別途部品を設けたりや加工をしたりすることなく、隣接する発光体の光が導光体に入射することを防止して、使用者が機器の動作状態を誤認することを防ぎ、機器の正確な動作状態を使用者に認識させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明による動作状態表示システムは、基板に取り付けられる第1の発光体と、第1の発光体に隣接して基板に取り付けられる第2の発光体と、第1の発光体から照射された光を透過するように第1の発光体に対向して設けられる柱状の第1の導光体と、第2の発光体から照射された光を透過するように第2の発光体に対向して設けられる柱状の第2の導光体と、基板上であって、第1の発光体と第2の発光体との間に取り付けられる電子部品とを備え、電子部品の基板から突出する長さは、第1の導光体と基板との距離、及び第2の導光体と基板との距離よりも長いことを特徴とする。
【0008】
第1の導光体において第2の発光体から照射された光によって照らされる部位は、第2の発光体が照射する光の光度が半分以下となる範囲に設けられても良い。
【0009】
導光体は、発光体に対向して発光体から照射された光を受光する受光面と、受光面で受光した光を外部に投光する投光面と、導光体の表面のうち受光面及び投光面以外の面である透過面とを備え、透過面は、導光体に透過面を介して外部から光が入らないように遮光されればなお良い。
【0010】
透過面は、塗料が塗布されることにより、又は光を透過しないカバーが取り付けられることにより遮光されることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、別途部品を設けたりや加工をしたりすることなく、隣接する発光体の光が導光体に入射することを防止して、使用者が機器の動作状態を誤認することを防ぎ、機器の正確な動作状態を使用者に認識させる動作状態表示システムを得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0013】
本発明の第1の実施形態による動作状態表示システムを用いた内視鏡の断面の概略図を図1に示す。説明のため、本発明に関連しない部位は省略される。
【0014】
内視鏡160は、観察対象物を観察するための観察用光学系166と観察対象物を照明する光を伝達するための照明用光学系164とを有する。照明用光学系164は光源接続部168に取り付けられた光源装置100から照射された光を伝達して、観察対象物を照明する。観察用光学系166は照明される観察対象物からの反射光を透過させ、術者は反射光を視認して観察対象物を観察する。
【0015】
光源装置100は、先端部142にレンズ152及び照明用の光源である照明LED150を備える。先端部には図示しない検出スイッチが設けられ、先端部が光源接続部168に取り付けられているかを検出する。先端部が光源接続部168に取り付けられていることを検出スイッチが検出しているときにメインスイッチ156が投入されると、制御回路基板130上に設けられた制御回路へ電池154から電流が供給され、照明LED150に電流が流されて、照明LED150が点灯する。照明LED150からの光は、レンズ152により集光されて照明用光学系164へ照射される。
【0016】
制御回路基板130には照明LED150を発光させるための制御回路(図示しない)が設けられる。制御回路は、電池からの電圧を昇圧する昇圧回路と、電池の電圧に応じて発光体たる第1及び第2のLED110、120を点灯させる動作表示回路とからなる。
【0017】
昇圧回路は照明LED150に昇圧した電圧を印加して点灯させる。動作表示回路は、制御回路基板130に取り付けられた第1及び、第2のLED110、120、ボルテージディテクタ、及びトランジスタ等により構成される。ボルテージディテクタは電池に接続されて電池の電圧を検出する。ボルテージディテクタの検出電圧は2.1Vである。電池の電圧が検出電圧以上であるときには、ボルテージディテクタは電圧を出力する。ボルテージディテクタの出力電圧と電池からの出力電圧との差によって複数のトランジスタが作動され、第1及び第2のLED110、120に電圧が印加される。これにより、電池の電圧が2.2Vを超えているときには第1のLED110が緑色を呈して発光し、2.2Vから2.1Vの間にあるときには第2のLED120が黄色を呈して発光する。
【0018】
第1及び第2のLED110、120から照射された光は、筐体140に取り付けられて外面に露出する第1及び第2の導光体112、122を介して光源装置100の外部へ投光される。
【0019】
図2及び図3を用いて動作表示システムの構成について説明する。
【0020】
一般にLEDは図3に示すような指向特性を有する。図において楕円で結んだ等光度線310は、LEDから照射される光が、LEDの発光点における光度と比較して1/2の光度となる位置を表したものである。図3における漏れ光線240は、図2における漏れ光線240に対応し、光度領域線242は、図2における光度領域線242に対応する。
【0021】
第1のLED110は筐体140の内部に設けられる制御回路基板130に取り付けられる。第1のLED110に対向して第1の導光体112が設けられる。
【0022】
第1の導光体112は円柱形状であり、筐体140の内部から外部に円柱の軸方向へ貫通するように筐体140に取り付けられる。筐体140の外部には第1の導光体112が備える円形状の第1の投光面214が露出する。第1の導光体112の投光面214と反対側の端面は、第1のLED110に対向する円形状の第1の受光面216である。
【0023】
第1のLED110から照射された光は第1の受光面216から第1の導光体112に入射する。入射した光は第1の導光体112の内部を通過して第1の投光面214から第1の導光体112の外部へ投光される。
【0024】
第2のLED120は第1のLED110に隣接して制御回路基板130に取り付けられる。第2の導光体122は第1の導光体112と同様に円柱形状であって、筐体140の内部から外部へ貫通するように筐体140に取り付けられる。筐体140の外部には第2の導光体122が備える円形状の第2の投光面224が露出する。第2の導光体122の投光面214と反対側の端面は、第1のLED110に対向する円形状の第2の受光面226である。
【0025】
第2のLEDから照射された光は第2の受光面226から第2の導光体122に入射する。入射した光は第2の導光体122の内部を通過して第2の投光面224から第2の導光体122の外部に投光される。
【0026】
第1のLED110と第2のLED120との間の制御回路基板130上には、直方体又は円柱状の電子部品260が取り付けられる。電子部品260は例えばチップコンデンサが用いられる。電子部品260は第1及び第2のLED110、120と同じ方向に制御回路基板130上から突出し、その突出長さは、第1の受光面216と制御回路基板130との距離、及び第2の受光面226と制御回路基板130との距離よりも長い。
【0027】
電子部品260は、第1及び第2の導光体112、122の整列する方向(図2において紙面の左右方向)に一定の厚さを有し、また紙面に垂直な方向に第1及び第2の導光体112、122が備える幅以上の幅を有する。また電子部品260は、第1及び第2の導光体112、122の整列する方向においては中間に設けられ、電子部品260の幅方向においては第1の導光体112が第2の導光体122から完全に隠れるように設けられる。
【0028】
第2のLED120から照射された光のうち、第1の導光体112の方向に照射された光は電子部品260に遮光される。電子部品260により遮光された光は第1の導光体112まで届くことがない。
【0029】
また、第2のLED120から射出された光のうち、電子部品260に遮光されない光が第1の透過面215を照らすことがある。このとき、第1の透過面215において照らされる位置は図3に示す第2のLED120の等光度線310よりも外側にある。すなわち、第1の透過面215は、第2のLED120の光度が半分よりも高くなる位置には設けられない。そのため第1の透過面215には光度が半分以上ある光が入射することがない。このように第1の透過面215を配置すると、第1の透過面215に入射する第2のLED120からの光は光度が半分以下となる。この第1の透過面215に入射した光は、第1の導光体112に導かれて第1の投光面214に達し、第1の投光面214から第1の導光体112の外部に投光される。
【0030】
第2の導光体122における第2の受光面226は、第2のLED120の等光度線310の中に設けられる。すなわち、第2の受光面226は第2のLED120の光度が半分よりも高い位置に設けられる。このように第2の受光面226を配置することにより、第2の受光面226には光度の高い光が入射して、第2の投光面224からは使用者が視認しやすい光度の高い光が投光される。
【0031】
これにより、第1の投光面214から投光される光は第2の投光面224から投光される光よりも光度が相対的に低くなる。そのため、使用者は第1の投光面214から光が投光されていると誤って認識することがない。さらに、別途、遮光板を設けることなく、LEDからの漏れ光を防止して、使用者が電池の残量を的確に把握することが出来る。
【0032】
なお、第1の実施形態において、遮光体は第1及び第2の導光体112、122の中間ではなく、どちらかに近接して設けられても良い。意図しないLEDから透過面を介して導光体に光が入射することを互いに防止することが出来る。
【0033】
次に、第2の実施形態について図4及び図5を用いて説明する。第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0034】
第2の実施形態では、第1及び第2の導光体412、422の側面である、第1及び第2の透過面415、425に光学処理が施される。第1及び第2の透過面415、425は、第1及び第2の導光体412、422における円柱の外周側面である。
【0035】
第1及び第2の透過面415、425に対する光学処理は光を透過しない塗膜を形成することにより行われる。例えば、黒色の塗料を用いた塗装により塗膜418、428を形成する。この塗膜418は、第2のLED120から第1の導光体412の第1の透過面415に照射される光を吸収又は反射し、第1の透過面415から第1の導光体412内部に入射する光の光度を著しく低減させる。これにより、第1の透過面415に入射した光が第1の投光面414に達して外部に投光されても、投光された光の光度は著しく小さいものとなる。つまり、使用者は第1の導光体412から光が投光されていると誤って認識することがない。
【0036】
以上から本実施形態によれば、使用者はどのLEDが点灯しているかを正確に認識することが出来、正確な電池の残量を把握することが可能となる。
【0037】
なお、第2の実施形態において、光学処理は塗膜によるものでなくても良く、カバーによるものであっても良い。カバーは例えば樹脂によるチューブや、自己収縮性チューブから成る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1の実施形態による内視鏡及び光源装置の概略図である。
【図2】第1の実施形態による動作表示システムの側面図である。
【図3】LEDの指向特性図である。
【図4】第2の実施形態による動作表示システムの側面図である。
【図5】第2の実施形態による動作表示システムにおける導光体の断面図である。
【符号の説明】
【0039】
100 光源装置
110 第1のLED
112 第1の導光体
120 第2のLED
122 第2の導光体
130 制御回路基板
140 筐体
150 光源LED
154 電池
156 メインスイッチ
160 内視鏡
260 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に取り付けられる第1の発光体と、
前記第1の発光体に隣接して基板に取り付けられる第2の発光体と、
前記第1の発光体から照射された光を透過するように前記第1の発光体に対向して設けられる柱状の第1の導光体と、
前記第2の発光体から照射された光を透過するように前記第2の発光体に対向して設けられる柱状の第2の導光体と、
前記基板上であって、前記第1の発光体と前記第2の発光体との間に取り付けられる電子部品とを備え、
前記電子部品の前記基板から突出する長さは、前記第1の導光体と前記基板との距離、及び前記第2の導光体と前記基板との距離よりも長いことを特徴とする動作状態表示システム。
【請求項2】
前記第1の導光体において前記第2の発光体から照射された光によって照らされる部位は、前記第2の発光体が照射する光の光度が半分以下となる範囲に設けられることを特徴とする請求項1に記載の動作状態表示システム。
【請求項3】
前記導光体は、前記発光体に対向して前記発光体から照射された光を受光する受光面と、前記受光面で受光した光を外部に投光する投光面と、前記導光体の表面のうち前記受光面及び前記投光面以外の面である透過面とを備え、
前記透過面は、前記導光体に前記透過面を介して外部から光が入らないように遮光されることを特徴とする請求項1に記載の動作状態表示システム。
【請求項4】
前記透過面は塗料が塗布されることにより遮光されることを特徴とする請求項3に記載の動作状態表示システム。
【請求項5】
前記透過面は光を透過しないカバーが取り付けられることにより遮光されることを特徴とする請求項3に記載の動作状態表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−90090(P2008−90090A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272376(P2006−272376)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】