動力式関節運動手根回転を行う外科手術デバイス
【課題】外科手術器具を提供する。
【解決手段】少なくとも関節運動部分18とエンドエフェクタ12を備えるシャフト20を有する、ハウジング14;該シャフトの近位端に接続された第一のケーシング;該第一のケーシングに収容された内部枠;該内部枠に支持された複数のポストであり、該ポストの近位端においてねじ切りされたシャフトに接続される、複数のポスト;該第一のケーシングに接続され、該ねじ切りされたシャフトを収容する、第二のケーシング;第一の歯車を駆動する第一の電気モータであって、該第一の歯車は、該複数のねじ切りされたシャフトの第一の対を同じ方向に回転させる、第一の電気モータ;ならびに第二の歯車を駆動する第二の電気モータであり、該第二の歯車は、接続された該シャフトならびに第一のケーシングおよび第二のケーシングを共通の軸の周りで回転させる、第二の電気モータ;を備える、組織を処置するための外科手術器具10。
【解決手段】少なくとも関節運動部分18とエンドエフェクタ12を備えるシャフト20を有する、ハウジング14;該シャフトの近位端に接続された第一のケーシング;該第一のケーシングに収容された内部枠;該内部枠に支持された複数のポストであり、該ポストの近位端においてねじ切りされたシャフトに接続される、複数のポスト;該第一のケーシングに接続され、該ねじ切りされたシャフトを収容する、第二のケーシング;第一の歯車を駆動する第一の電気モータであって、該第一の歯車は、該複数のねじ切りされたシャフトの第一の対を同じ方向に回転させる、第一の電気モータ;ならびに第二の歯車を駆動する第二の電気モータであり、該第二の歯車は、接続された該シャフトならびに第一のケーシングおよび第二のケーシングを共通の軸の周りで回転させる、第二の電気モータ;を備える、組織を処置するための外科手術器具10。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2011年11月16日に出願された、米国仮出願番号61/560,456の利益および優先権を主張する。この米国仮出願の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(背景)
本開示は、外科手術デバイスに関し、そしてより特定すると、本開示は、モータ式の関節運動および回転システムを有する、動力式外科手術デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
(技術分野)
多くの外科手術デバイスは、機械的クランプ作用と電気エネルギーとの両方を利用して、組織および血管を加熱して組織を凝固させ、焼灼し、そして/または封止することによって、止血を行う。観血外科手術手順において使用するための観血鉗子の代替物として、多くの最近の外科医は、より小さい穿孔様の切開を通して器官に遠隔的にアクセスするために、内視鏡および内視鏡器具を使用する。その直接的な結果として、患者は、より小さい瘢痕形成、および減少した治癒時間から利益を得る傾向がある。
【0004】
一般に、内視鏡外科手術は、例えば、卵巣、子宮、胆嚢、腸、腎臓、垂などを見、そして/または手術するために、体壁を切開することを包含する。多くの一般的な内視鏡外科手術手順が存在し、ほんの数個の名称としては、関節鏡法、腹腔鏡法(骨盤鏡法)、胃腸鏡法(gastroentroscopy)および咽頭気管支鏡法(laryngobronchoscopy)が挙げられる。代表的に、トロカールが切開を作製するために利用され、この切開を通して、内視鏡外科手術が行われる。
【0005】
トロカール管またはカニューレデバイスは、腹壁内に延ばされ、そして腹壁内で適所に残されて、内視鏡外科手術道具のためのアクセスを提供する。カメラまたは内視鏡が、比較的大きい直径のトロカール管を通して挿入される。このトロカール管は一般に、臍の切開に位置し、そして体腔の視診および拡大を可能にする。次いで、外科医は、この外科手術部位において、特殊化された器具類(例えば、さらなるカニューレを通して嵌められるように設計された、鉗子、カッター、およびアプリケータなど)の補助により、診断手順および治療手順を行い得る。従って、大きい筋肉を切り通す大きい切開(代表的に12インチ以上)の代わりに、内視鏡外科手術を受ける患者は、5ミリメートル〜10ミリメートルのサイズの、美容的により魅力的な切開を施される。従って、回復がより速く、そして患者は、従来の外科手術よりも少ない麻酔を必要とする。さらに、外科手術野が大いに拡大されるので、外科医はより良好に、血管を解剖すること、および血液損失を制御することが可能である。
【0006】
外科手術の外傷を減少させる継続的な努力において、標的組織にアクセスするために自然の開口部(例えば、口または肛門)を使用することによって、腹壁に全く切開を用いずに、医学的状態を診断し、そして外科手術により処置するための手順を行う可能性に、最近興味が持たれている。このような手順は時々、腔内手順、経腔手順、または自然の開口部を用いる経腔内視鏡外科手術(「NOTES」)と称される。多くのこのような腔内手順が依然として開発されているが、これらの手順は一般に、組織の標的組織へのアクセスを提供するために、可撓性の内視鏡器具または可撓性のカテーテルを利用する。腔内手順は、管腔内の状態を処置するために使用されている(例えば、食道における胃食道逆流性疾患の処置、および結腸からのポリープの除去が挙げられる)。いくつかの例において、医師は、腹腔内手順を実施するために、胃腸管の管腔の範囲を越えている。例えば、可撓性内視鏡器具類を使用して、胃壁が穿孔され得、そして種々の手順を行うために、内視鏡が腹腔内に進められ得る。
【0007】
このような腔内技術を使用して、診断診査、肝臓生検、胆嚢切除術、脾摘出術、および卵管結紮が、報告によれば、動物モデルにおいて実施されている。腹腔内介入が完了した後に、内視鏡用器具が胃に引き込まれ、そして穿孔が閉じられる。他の自然の開口部(例えば、肛門または膣)もまた、腹膜腔へのアクセスを可能にし得る。
【0008】
上記のように、多くの内視鏡外科手術手順および腔内外科手術手順は代表的に、血管または脈管組織を切断または結紮することを必要とする。しかし、このことは最終的に、より小さいカニューレを通して嵌められる内視鏡器具を作製する方法を見出そうと試みなければならない器具の製造業者に、設計の難題を与える。外科手術腔の固有の空間的考慮事項に起因して、外科医はしばしば、脈管を縫合すること、または出血を制御する他の従来の方法(例えば、横方向に切開された血管をクランプ留めすること、および/または縛ること)を実施する際に、困難を有する。内視鏡電気外科鉗子を利用することによって、外科医は、顎部材を通して組織に印加される電気外科エネルギーの強度、周波数および持続時間を単に制御することにより、焼灼、凝固/乾燥を行い得、そして/または単に、出血を減少させるかもしくは遅くし得る。最も小さい血管(すなわち、直径が2ミリメートル未満の範囲内)はしばしば、標準的な電気外科手術の器具および技術を使用して、閉じられ得る。しかし、より大きい脈管が結紮される場合、外科医は、内視鏡手順を観血外科手術手順に切り替え、これによって、内視鏡外科手術の利点を放棄することが必要であり得る。あるいは、外科医は、特殊化された脈管封止器具を利用して、より大きい脈管または組織を封止し得る。
【0009】
脈管を凝固させるプロセスは、電気外科脈管封止とは根本的に異なると考えられる。本明細書中での目的で、「凝固」は、組織の細胞が破壊されて乾燥させられる、組織を乾燥させるプロセスと定義される。「脈管封止」または「組織封止」は、組織内のコラーゲンを液化させて、これを融合塊に再形成させるプロセスと定義される。小さい脈管の凝固は、これらの脈管を永続的に閉鎖させるために充分であり、一方で、より大きい脈管は、永続的な封鎖を保証するために、封止される必要がある。さらに、大きい組織または脈管の凝固は、悪名高く弱い近位血栓(低い破裂強度を有する)をもたらし、一方で、組織の封止部は、比較的高い破裂強度を有し、そして組織封止面に沿って効果的に切断され得る。
【0010】
より具体的には、より大きい脈管(または組織)を効果的に封止する目的で、2つの主要な機械的パラメータ(脈管(組織)に加えられる圧力、および電極間のギャップ距離)が、正確に制御される。これらのパラメータの両方が、封止される脈管の厚さにより影響を受ける。より具体的には、圧力を正確に加えることは、脈管の壁を対向させるため;組織インピーダンスを、充分な電気外科エネルギーが組織を通ることを可能にするために充分に低い値に低下させるため;組織の加熱中の膨張力に打ち勝つため;および最後の組織の厚さ(これは、良好な封止の指標である)に寄与するために、重要である。代表的な融合される脈管壁は、0.001インチ〜0.006インチが最適であることが決定された。この範囲より小さい場合、その封止部は切れ得るかまたは裂け得、そしてこの範囲より大きい場合、これらの管腔は、適切にまたは効果的に封止されないかもしれない。
【0011】
より小さい脈管に関して、組織に加えられる圧力は、さほど重要ではなくなる傾向があり、一方で、導電性表面間のギャップ距離は、効果的な封止のためにより重要になる。換言すれば、2つの導電性表面が活性化中に接触する機会は、脈管がより小さくなるにつれて、増大する。
【0012】
一貫した効果的な封止を保証するための圧力範囲は、約290kPa〜約1570kPaであり、望ましくは、680kPa〜1275kPaの使用範囲内であることが見出された。この使用範囲内の閉鎖圧力を提供することが可能な器具を製造することは、動脈、組織および他の脈管束を封止するために効果的であることが示されている。
【0013】
種々の力起動アセンブリが、脈管封止を行うために適切な閉鎖力を提供するために、過去に開発されている。例えば、共有に係る米国特許出願番号10/460,926および同11/513,979は、2つの異なる想定される起動アセンブリを開示し、これらの出願の両方の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0014】
使用中に、外科医は、信頼性のある脈管封止を行うために必要とされる上記力を発生させながら、組織を複数の面で、すなわち、軸からずれた位置で把持するように、脈管封止具のエンドエフェクタアセンブリを操作することができないという難題が注目された。従って、複数の軸に沿って操作されることが可能であり、外科医が外科手術腔内で様々な面に沿って位置する脈管を把持して封止することを可能にする、エンドエフェクタアセンブリを備える内視鏡用または腔内用の脈管封止器具を開発することが、望ましくなっている。
【0015】
エンドエフェクタの軸からずれた関節運動のためのデバイスの2つの例は、同一人に譲渡された特許文献1および特許文献2に記載されており、これらの両方の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0016】
特許文献1に記載されるように、腔内手順はしばしば、可撓性のカテーテルまたは内視鏡を使用して、自然の管腔の蛇行した解剖学的構造内の深部の組織にアクセスすることを必要とする。従来の脈管封止デバイスは、自然の開口の蛇行した解剖学的構造を容易に通り抜け得ない硬いシャフトに起因して、いくつかの腔内手順における使用に適切ではないかもしれない。この観点で、特許文献1は、可撓性の関節運動シャフトを有する内視鏡脈管封止具を開示する。しかし、特許文献1の内視鏡脈管封止具は、ハウジングと一体的に形成された回転ノブの使用により、エンドエフェクタを関節運動させてエンドエフェクタを回転させるために、医師または外科医からの手動での入力を必要とした。関節運動および回転のための別々のノブが開示されている。関節運動と回転との両方を含むことは、このエンドエフェクタのほぼ完全な手根様の関節運動を可能にするが、この概念は、効果的な作動のための2つの手の使用を必要とした。一方の手がこの器具を保持し、そして他方の手が、回転および/または関節運動ホイールを回転させる。
【0017】
同様に、特許文献2は、2本または4本のいずれかの制御ワイヤを使用して、エンドエフェクタの複数の面内での関節運動を行うことを教示する。しかし、特許文献2もまた、効果的な作動のために外科医が両手を使うことを必要とした。さらに、4本のワイヤの使用は、複数の面での動きを可能にしたが、シャフトの関節運動部分の動きを同期させるために使用されるシステムは、手動であり、そして外科医の技術に依存した。
【0018】
内視鏡外科手術デバイスの片手用の設計もまた、本願の譲受人により想定されている。例えば、同一人に譲渡された特許文献3(その内容は参考として援用される)には、外科医がデバイスの回転と合わせてエンドエフェクタを関節運動させることを可能にし、その結果、手根様の動きへの近似が可能である、片手式の外科手術デバイスが開示されている。しかし、特許文献3に開示されるように、このエンドエフェクタの関節運動を達成するためには、この外科手術デバイスの近位端自体が軸からずれて動かされなければならない。関連技術の当業者により容易に理解され得るように、この外科手術デバイスの近位端でのこのような軸からずれた動きの必要性は、このデバイスと他の外科手術道具との干渉をもたらし得、このデバイスとこれらの他の外科手術道具とはまた、1つのアクセスポートを通して利用可能な制限された空間を取り合う。従って、片手での操作が可能であるが、他の道具との干渉が、外科医にさらなる困難を提示する。
【0019】
従って、外科医の片手によって操作され得る、可撓性の内視鏡またはカテーテル内への挿入が可能な可撓性シャフトを有する、内視鏡または腔内脈管封止器具を開発することが望ましい。また、ハウジング内に組み込まれて、外科医が片手のみを使用しながら、外科手術デバイスの近位端の軸からずれた動きを必要とせずに、エンドエフェクタの全ての必要な関節運動を行うことを可能にし、従って、他の道具のために利用可能な空間を損なうことなく、このような道具を使用するために外科医がもう片方の手を利用することを可能にする、このようなエンドエフェクタを開発することも望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0076433号
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0179540号
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/0054734号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
ハウジングであって、該ハウジングから延びるシャフトを有し、該シャフトは、少なくとも関節運動部分およびエンドエフェクタを備える、ハウジング;
該シャフトの近位端に接続され、そして該近位端と一緒に回転可能である、第一のケーシング;
該第一のケーシングに収容された内部枠;
複数のポストであって、該内部枠により支持され、そして該ポストの遠位端において少なくとも1つの駆動ワイヤに接続され、そして該ポストの近位端においてねじ切りされたシャフトに接続されている、複数のポスト;
該第一のケーシングに接続され、そして該第一のケーシングと一緒に回転可能である第二のケーシングであって、該第二のケーシングは、該ねじ切りされたシャフトを収容する、第二のケーシング;
第一の歯車を駆動する第一の電気モータであって、該第一の歯車は、該複数のねじ切りされたシャフトの第一の対を同じ方向に回転させるように、該ねじ切りされたシャフトとインターフェースしている、第一の電気モータ;ならびに
第二の歯車を駆動する第二の電気モータであって、該第二の歯車は、接続された該シャフトならびに第一のケーシングおよび第二のケーシングを共通の軸の周りで回転させる、第二の電気モータ;
を備え、該第一の歯車を第一の方向に駆動することが、該関節運動部分を第一の面内で関節運動させる、
組織を処置するための外科手術器具。
(項目2)
第三の歯車を駆動する第三の電気モータをさらに備え、該第三の歯車は、前記複数のねじ切りされたシャフトの少なくとも第二の対を同じ方向に駆動し、該第三の歯車を第一の方向に駆動することが、前記関節運動部分を第二の面内で関節運動させる、上記項目に記載の外科手術器具。
(項目3)
ねじ切りされたシャフトの各対が、左ねじを切られた1つのシャフトおよび右ねじを切られた1つのシャフトを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目4)
前記第一の歯車および前記第三の歯車が遊星歯車とインターフェースして、該第一の歯車および該第三の歯車のそれぞれのねじ切りされたシャフトの対を駆動する、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目5)
各ねじ切りされたシャフトが、前記遊星歯車の内歯車歯により駆動される平歯車を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目6)
制御システムをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目7)
前記制御システムが、少なくとも1つのプロセッサ、および制御アルゴリズムを格納するための1つのメモリを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目8)
前記第一のモータ、前記第二のモータ、および前記第三のモータが、該モータの機械的運動のフィードバックを前記制御システムに提供するエンコーダを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目9)
所望のエンドエフェクタ運動データを前記制御システムに提供するユーザ入力をさらに備え、該制御システムは、入力された該エンドエフェクタ運動データを解釈し、そして該エンドエフェクタ運動データに従って、前記第一のモータ、前記第二のモータ、または前記第三のモータのうちの1つ以上に信号を送る、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目10)
前記メモリに格納された制御アルゴリズムをさらに備え、該制御アルゴリズムは、前記入力されたエンドエフェクタ運動データに応答して前記エンドエフェクタの運動を制御するためのものである、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目11)
前記アルゴリズムおよび前記制御システムは、前記第一のモータ、前記第二のモータ、および前記第三のモータの運動を同期させ、そして前記エンドエフェクタおよび前記関節運動部分の、複数の面内での同時の運動を可能にする、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目12)
前記ユーザ入力が、ボタン、トグル、ジョイスティック、圧力センサ、スイッチ、トラックボール、ダイヤル、光学センサ、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目13)
電気外科エネルギー源をさらに備え、該電気外科エネルギー源は、前記エンドエフェクタに作動可能に接続された1つ以上の封止プレートにエネルギーを提供する、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目14)
前記エンドエフェクタは、可動ハンドルの起動の際に開位置から閉位置へと移動可能であり、そして前記電気外科エネルギーの印加は、該エンドエフェクタが該閉位置に移動するまで防止される、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目15)
ナイフをさらに備え、該ナイフは、前記電気外科エネルギーの印加により前記組織に封止部を形成した後に、組織を切断するためのものである、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
【0022】
(摘要)
組織を処置するための外科手術器具であって、この器具は、ハウジング、ならびに関節運動部分およびエンドエフェクタを有するシャフトを備える。この外科手術器具は、第一のケーシングおよび第二のケーシングを備える。この第一のケーシングは、このシャフトの近位端に接続されてこの近位端と一緒に回転可能であり、この第一のケーシングに収容された内部枠、およびこの内部枠により支持された複数のポストを有する。これらのポストは、それらの遠位端で少なくとも1つの駆動ワイヤに接続され、そしてそれらの近位端でねじ切りされたシャフトに接続される。この第二のケーシングは、この第一のケーシングに接続され、そしてこの第一のケーシングと一緒に回転可能であり、この第二のケーシングは、これらのねじ切りされたシャフトを収容する。この外科手術器具は、第一の電気モータを備え、この第一の電気モータは、これらのねじ切りされたシャフトとインターフェースする第一の歯車を駆動させ、その結果、これらの複数のねじ切りされたシャフトの第一の対を同じ方向に回転させ、そしてこの関節運動部分を第一の面内で関節運動させる。
【0023】
(要旨)
本開示の1つの局面は、組織を処置するための外科手術器具に関する。この器具は、ハウジングを備え、このハウジングからシャフトが延びており、このシャフトは、少なくとも関節運動部分およびエンドエフェクタを備える。このシャフトの近位端に第一のケーシングが接続されており、この第一のケーシングは、この近位端と一緒に回転可能である。内部枠が、この第一のケーシングに収容されている。複数のポストがこの内部枠により支持されており、そしてそれらの遠位端で少なくとも1つの駆動ワイヤに接続され、そしてそれらの近位端でねじ切りされたシャフトに接続されている。第二のケーシングがこの第一のケーシングに接続され、そしてこの第一のケーシングと一緒に回転可能であり、この第二のケーシングは、これらのねじ切りされたシャフトを収容する。第一の電気モータが、第一の歯車を駆動する。この第一の歯車は、これらの複数のねじ切りされたシャフトの第一の対が同じ方向に回転するように、ねじ切りされたシャフトとインターフェースしている。第二の電気モータが、第二の歯車を駆動する。この第二の歯車は、接続されたシャフトと第一のケーシングおよび第二のケーシングとを共通の軸の周りで回転させる。第一の歯車の第一の方向への駆動は、この関節運動部分を第一の面内で関節運動させる。
【0024】
この外科手術器具は、第三の歯車を駆動する第三の電気モータをさらに備え得る。この第三の歯車は、これらの複数のねじ切りされたシャフトの第二の対を同じ方向に駆動し、ここでこの第三の歯車の第一の方向への駆動は、この関節運動部分を第二の面内で関節運動させる。
【0025】
本開示の別の局面によれば、ねじ切りされたシャフトの各対は、左ねじを切られた1つのシャフトおよび右ねじを切られた1つのシャフトを備える。さらに、第一の歯車および第三の歯車は、遊星歯車とインターフェースして、それらのねじ切りされたシャフトのそれぞれの対を駆動し得、そして各ねじ切りされたシャフトは、これらの遊星歯車の内歯車歯により駆動される平歯車を備え得る。
【0026】
本開示の別の局面において、この外科手術器具は、制御システムを備える。この制御システムは、少なくとも1つのプロセッサ、および制御アルゴリズムを格納するための1つのメモリを備え得る。さらに、第一のモータ、第二のモータ、および第三のモータは、そのモータの機械的運動のフィードバックをこの制御システムに提供するエンコーダを備え得る。
【0027】
本開示の別の局面は、所望のエンドエフェクタ運動データをこの制御システムに提供するユーザ入力であり、ここでこの制御システムは、この入力されるエンドエフェクタ運動データを解釈し、そしてこのエンドエフェクタ運動データに従って、第一のモータ、第二のモータ、または第三のモータのうちの1つ以上に信号を送る。
【0028】
本発明のさらなる局面に従って、この制御システムは、このメモリに格納された制御アルゴリズムを備え得、この制御アルゴリズムは、入力されるエンドエフェクタ運動データに応答してこのエンドエフェクタの運動を制御するためのものである。本発明の1つの局面において、このアルゴリズムおよび制御システムは、第一のモータ、第二のモータ、および第三のモータの運動を同期させ、そしてエンドエフェクタおよび関節運動部分の、複数の面内での同時の運動を可能にする。
【0029】
このユーザ入力は、ボタン、トグル、ジョイスティック、圧力センサ、スイッチ、トラックボール、ダイヤル、光学センサ、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択され得る。
【0030】
本発明のさらなる局面に従って、この外科手術器具は、電気外科エネルギー源を備え、この電気外科エネルギー源は、このエンドエフェクタに作動可能に接続された1つ以上の封止プレートにエネルギーを提供する。このエンドエフェクタは、可動ハンドルの起動の際に、開位置から閉位置へと移動可能であり、そしてこの電気外科エネルギーの印加は、このエンドエフェクタがこの閉位置に移動するまで防止される。この外科手術器具はまた、この電気外科エネルギーの印加によって組織に封止部を形成した後に、この組織を切断するためのナイフを備え得る。
【0031】
本発明のこれらおよび他の局面は、以下の図面および詳細な説明に、より詳細に説明および記載される。
【0032】
本発明の器具の種々の実施形態が、図面を参照しながら本明細書中に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本開示に従う、ハウジング、可撓性シャフトおよびエンドエフェクタアセンブリを示す内視鏡鉗子の斜視図である。
【図2】図2は、図1の可撓性シャフトおよびエンドエフェクタアセンブリの拡大正面斜視図である。
【図3】図3は、図1の可撓性シャフトおよびエンドエフェクタの拡大分解背面斜視図である。
【図4】図4は、開いた構成で示されている、図2の可撓性シャフトおよびエンドエフェクタアセンブリの側断面である。
【図5】図5は、閉じた構成で示されている、図2の可撓性シャフトおよびエンドエフェクタアセンブリの側断面である。
【図6】図6は、エンドエフェクタアセンブリの顎部材内に配置された組織を切断するように構成された切断機構の遠位への並進運動を示す、図2の可撓性シャフトおよびエンドエフェクタの側断面である。
【図7】図7は、関節運動していない状態にある、図2のエンドエフェクタアセンブリの長手軸方向断面図である。
【図8】図8は、関節運動した状態にある、図2のエンドエフェクタアセンブリの長手軸方向断面図である。
【図9】図9は、本開示に従う、別の部分的に可撓性であるシャフトおよびエンドエフェクタアセンブリの拡大斜視図である。
【図10】図10は、図9の部分的に可撓性であるシャフトの拡大分解斜視図である。
【図11】図11は、エンドエフェクタアセンブリが部分的に開いた構成で示されている、図10の部分的に可撓性であるシャフトの底面斜視図である。
【図12】図12は、エンドエフェクタアセンブリが閉じた構成で示されている、図10の部分的に可撓性であるシャフトの正面斜視図である。
【図13】図13は、関節運動した配向にある、図10の部分的に可撓性であるシャフトの上断面である。
【図14】図14は、本開示の別の局面に従う、関節運動していない状態にある可撓性シャフトおよびエンドエフェクタアセンブリの拡大正面上面図である。
【図15】図15は、図14の可撓性シャフトおよびエンドエフェクタの拡大分解正面斜視図である。
【図16】図16は、上方に関節運動した位置にある、図14の可撓性シャフトおよびエンドエフェクタの拡大側面図である。
【図17】図17は、右に関節運動した位置にある、図14の可撓性シャフトおよびエンドエフェクタの拡大側面図である。
【図18】図18は、左に関節運動した位置にある、図14の可撓性シャフトおよびエンドエフェクタの拡大側面図である。
【図19】図19は、操縦ユニットが切り取られて内部機構を示している、図1のシャフトおよび操縦ユニットの正面斜視図である。
【図20】図20は、操縦ユニットが切り取られて内部機構を示している、図1のシャフトおよび操縦ユニットの一部分の背面斜視図である。
【図21】図21は、操縦ユニットが切り取られて内部機構を示し、そして第一のケーシングが取り外されて内部を示している、図1のシャフトおよび操縦ユニットの一部分の正面斜視図である。
【図22】図22は、操縦ケーブルを駆動するための、図1のモータおよび遊星伝動装置の背面斜視図である。
【図23】図23は、参照座標系および面を図示する、本開示の1つの局面に従うシャフトの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示のこれらおよび他の局面が、以下により詳細に記載される。
【0035】
(詳細な説明)
本開示は、細長い、一般に可撓性であり関節運動するシャフトを利用する、動力式内視鏡器具(例えば、内視鏡鉗子)に関する。本開示の別の局面は、電気外科内視鏡デバイスに関し、そしてより特定すると、細長い、一般に可撓性であり関節運動するシャフトを利用して、組織を封止および/または切断するための、内視鏡電気外科鉗子に関する。1つの実施形態において、例えば、このようなデバイスは、可撓性の細長本体部分またはシャフトの近位端に接続された、ハンドル、ハンドルアセンブリまたは他の適切な起動機構(例えば、ロボットなど)を備える。この可撓性シャフトの遠位部分は、1つ以上のジョイントからなる関節運動部分を備え、関節運動ケーブルの起動に応答して、エンドエフェクタの長手方向軸から離れる方向への関節運動を可能にする。エンドエフェクタは、この可撓性シャフトの遠位端に作動可能に支持される。このエンドエフェクタは、1対の顎を備え、これらの顎は、閉位置と開位置との間で起動され得る。これらの顎は、これらの顎間に把持された組織に電気エネルギーを供給するように適合され得る。このエンドエフェクタはまた、顎内に把持された組織を切断するように起動され得る、ナイフアセンブリを備え得る。
【0036】
顎を開閉させる機能;ナイフアセンブリを操作する機能;およびエンドエフェクタを関節運動させる機能は、ハンドルから遠隔的に、このハンドル内の種々の機構の起動によって、実施され得る。機械的運動は、このハンドルからこの可撓性シャフトを通してこのエンドエフェクタへと、この可撓性シャフト内の可撓性または剛性のケーブルまたは棒によって、伝達され得る。例えば、1つの実施形態において、関節運動を与えるために2つのケーブルが使用され;1つのプッシュ−プル様式のケーブルが顎を開閉させ;そして第二のプッシュ−プル様式のケーブルがナイフアセンブリを起動させる。本開示のデバイスの1つの局面は、可撓性内視鏡の管腔内に配置され、次いで患者の自然の開口部に挿入され、そして腔内を通されて、この自然の管腔の解剖学的構造を通り、この自然の管腔の内側または外側の処置部位に達するように適合される。あるいは、このデバイスは、外科手術ポートまたは当業者に公知である他の手段を介して、患者の身体内に挿入され得る。図面および以下の説明において、用語「近位」とは、慣習的であるように、電気外科手術デバイスおよびその構成要素の、ユーザに近い方の端部をいい、一方で、用語「遠位」とは、ユーザから遠い方の端部をいう。
【0037】
図1は、本開示の1つの局面の全体図を示す。図1は、内視鏡デバイス10を図示する。この内視鏡デバイスは、シャフト16を介してハウジングまたは本体14に接続されたエンドエフェクタ12を備える。シャフト16は、関節運動部分18および非関節運動部分20から構成される。シャフト16の関節運動部分18は、一連の可動リンクから作製され得、そして以下でより詳細に議論される。シャフト16は、エンドエフェクタ12にクランプさせるか、切断させるか、またはエネルギーを送達するための、操縦ケーブルおよび作動部材(ワイヤ、棒、ケーブルなどのようなもの)を含む。上記のように、シャフト16は、本体14に接続され、そして具体的には、操縦ユニット22に接続される。シャフト16は、硬い材料(例えば、ステンレス鋼)から形成され得るか、あるいは可撓性材料(例えば、プラスチックチュービング)から形成され得、そして軸方向(例えば、圧縮)強度および回転強度を提供するために、編組された鋼の管を組み込み得る。
【0038】
本体14にはまた制御システム24が収容され、この制御システムは、プログラム可能なマイクロプロセッサを備え得る。電力が、外部供給源(例えば、電気外科発電機)からケーブル26を介して内視鏡デバイス10に供給されるか、あるいはハウジング14内に組み込まれた局部電池(図示せず)から送達され得る。少なくとも1つの電気接続28が、制御システム24に電力を与えるために使用される。制御システム24の機能のうちの1つは、操縦ユニット22を制御することであり、具体的には、操縦ユニット5に組み込まれた操縦制御モータの起動を制御することである。これらの操縦制御モータは、以下でより詳細に議論される。
【0039】
図1に示されるように、起動スイッチ30が、内視鏡デバイス10の本体14の頂部に形成される。起動スイッチ30は、ユーザまたは外科医が所望のコマンドを制御システム24に入力することを可能にし、この制御システムは次に、操縦ユニットを駆動して、エンドエフェクタ12の関節運動および/または回転を行わせる。さらなる起動要素(例えば、組織を把持する目的でエンドエフェクタ12の開閉を制御し得るクランピングハンドル32)もまた組み込まれ得る。エンドエフェクタ12内に保持された組織を封止または切断するための電気外科エネルギーの印加を行うために、トリガ34が提供され得る。さらに、または代替的に、トリガ34は、以下でより詳細に議論されるように、ナイフ刃を起動させ得る。
【0040】
組織を封止または切断するための電気外科エネルギーの使用に関する本開示の局面に従って、ケーブル26に電力を供給する電源は、発電機(例えば、Covidienにより販売されるもの(例えば、LIGASURETM Vessel Sealing GeneratorまたはForce TriadTM Generator))であり得ることが想定される。
【0041】
この発電機は、種々の安全特徴および性能特徴(隔離された出力、アクセサリの独立した作動、および/またはいわゆる「Instant ResponseTM」ソフトウェア(これは、Covidienが所有する専用技術である)が挙げられる)を備え得る。Instant ResponseTMは、高性能フィードバックシステムであり、組織の変化を1秒間あたり200回感知し、そして電圧および電流を調節して、適切な電力を維持する。Instant ResponseTM技術は、脈管封止のための以下の利点のうちの1つ以上を提供すると考えられる:全ての組織型にわたって一貫した臨床効果;熱の広がりおよび付随する組織損傷の危険性の減少;「発電機の出力を大きくする」必要性の低下;ならびに最小侵襲性環境のための設計。
【0042】
ここで図2を参照すると、エンドエフェクタ12および関節運動部分18の拡大図が図示されている。関節運動部分18は、可撓性であり、そして1つ以上の可動ジョイント18aを含む。可撓性のケーシングまたはスリーブ(図示せず)が、関節運動部分18の複数の内部可動ジョイント18aを保護するために使用され得る。可動ジョイント18aを使用する関節運動部分18の関節運動は、関節運動ケーブル38a、38bの操作によって達成される。
【0043】
上記のように、エンドエフェクタ12は、内視鏡デバイス10の遠位端に取り付けられ、そして対向する1対の顎部材40および42を備える。可動ハンドル32が駆動アセンブリに接続され、この駆動アセンブリは、機械的に協働して、顎部材40および42の開位置(この位置において、顎部材40および42は、互いに対して間隔を空けた関係で位置する)から、図2に図示されるようなクランプされた位置または閉位置(この位置において、顎部材40および42は、協働して間に組織を把持する)への動きを付与する。
【0044】
エンドエフェクタ12は、片側性アセンブリ(すなわち、顎部材42がシャフト16に対して固定されており、そして顎部材40が組織を把持するために旋回ピン44の周りで旋回する)または両側性アセンブリ(すなわち、顎部材40と42との両方が共通の軸に対して動く)として設計され得る。駆動棒46または駆動スリーブが、駆動アセンブリ(図示せず)に作動可能に結合され、そして例えば、可動ハンドル32の固定ハンドル36の方向への移動によって、選択的に往復可能であり、顎部材40および42を互いに対して起動させる。すなわち、旋回させる。このデバイスの1つの実施形態において、駆動棒46は可撓性であり、そして例えば、ケーブルであり得る。
【0045】
本開示に従って、図3に最もよく示されるように、ナイフチャネル48が、上顎部材40および/または下顎部材42に規定され得る(ただし、図3においては上顎においては示されない)。ナイフチャネル48は、顎部材40および42の中心を通って延びるような寸法にされ、その結果、顎部材40および42が閉位置にある場合に、刃50が、顎部材40と42との間に把持された組織を切断するために選択的に往復させられ得る。刃50(またはエンドエフェクタ12もしくは駆動アセンブリと組み合わせられた刃50)は、顎部材40および42が閉じている場合にのみ刃50が前進させられ得るように構成され得、従って、組織を通る刃50の不慮または尚早な作動を防止する。
【0046】
図2および図3に最もよく示されるように、顎部材40は、絶縁顎ハウジング52および導電性の表面または封止プレート54を備える。絶縁体52は、スタンピングによって、オーバーモールディングによって、スタンピングされた導電性封止プレートをオーバーモールディングすることによって、そして/または金属で射出成形された封止プレートをオーバーモールディングすることによって、導電性封止表面54にしっかりと係合するような寸法にされる。これらの製造技術の全てが、絶縁顎ハウジング52によって実質的に囲まれた導電性表面54を有する顎部材40を製造する。顎部材40はまた、1つ以上のワイヤガイドまたはチャネル(図示せず)を備え得、このワイヤガイドまたはチャネルは、リード線が封止表面54との電気導通状態になることを可能にするように設計される。
【0047】
顎部材42は、顎部材40と類似の要素(例えば、絶縁顎ハウジング56、および絶縁顎ハウジング56にしっかりと係合するような寸法にされた導電性封止表面または封止プレート58)を備える。導電性表面54、58および絶縁顎ハウジング52、56は、組み立てられると、これらを通して規定された長手軸方向に配向するチャネル48を、ナイフ刃50の往復のために備える。上記のように、顎部材40および42が組織を挟んで閉じられると、ナイフチャネル48は、ナイフ50が遠位の様式で長手軸方向に延長して、組織封止部に沿って組織を切断することを可能にする。1つのナイフチャネル(例えば、48)が、特定の目的に依存して、2つの顎部材のうちの一方(例えば、顎部材40または42)内に完全に配置され得る。顎部材42は、顎部材40に関して上に記載された様式と類似の様式で、組み立てられ得る。
【0048】
顎部材42は、導電性封止表面56の内側に向く表面に配置された一連の止め部材60を備えて、組織の把持および操作を容易にし、そして組織の封止中および切断中に、対向する顎部材40と42との間にギャップ「G」を規定する。組織を効果的に信頼できるように封止するための、導電性封止表面54と58との間の好ましいギャップ「G」は、約0.001インチ〜約0.006インチである。止め部材60は、特定の目的に依存して、または所望の結果を達成するために、顎部材40および42のうちの一方または両方において使用され得る。止め部材60は、導電性封止プレート58の頂部に熱的に噴霧され得るか、または当該分野において公知である他の任意の様式で、堆積もしくは付着され得る。さらに、止め部材60は、特定の顎の構成または所望の外科手術的結果に依存して、導電性の顎表面54および58に沿って任意の構成で配置され得る。
【0049】
電気リード線(図示せず)が、第一の電位を顎部材40にもたらし、そして第二の電位は、駆動棒46(あるいは上記スリーブ)を通して顎部材42まで伝達される。作動の際に、これらの2つの電位は、電気エネルギーを、導電性封止プレート54と58との間に保持された組織に伝送する。
【0050】
駆動棒46の近位への移動は、顎部材40および42を閉位置に旋回させる。より具体的には、一旦起動されると、ハンドル32は、固定ハンドル36に向かってほぼ円弧の様式で移動し、これが、往復する駆動棒142をほぼ近位の方向に動かして、顎部材40および42を閉じる。1つの実施形態において、ハンドル32の近位への回転は、トリガ34に付随するロックフランジを解放し、すなわち、「ロック解除」し、ナイフ50の選択的起動を可能にする。一旦、組織が(約290kPa〜約1570kPaの必要とされる圧力範囲内で)把持されると、ユーザは、電気外科エネルギーを選択的に印加して、組織を効果的に封止する。一旦封止されると、ユーザは、トリガ34を起動することによりナイフ50を選択的に前進させて、組織をシール封止部に沿って切断する。1つの実施形態において、例えば、トリガアセンブリ34の起動は、ケーブル(シャフト16を通って延び、そしてナイフ50に作動可能に結合される)を遠位に移動させ、これによって、組織を組織封止部に沿って切断する。別の実施形態において、トリガアセンブリは、伝動装置を備え、この伝動装置は、トリガアセンブリの起動を、シャフト16を通って延びるケーブルの回転運動に変換する。
【0051】
図2および図3に関連して上に記載されたように、この電気外科手術デバイスは、複数のジョイント18aを備え、これらのジョイントは、入れ子状に直列に配置されて、可撓性関節運動部分18を形成する。関節運動部分18の遠位端は、エンドエフェクタ12に機械的に係合し、そしてその近位端は、シャフト20に機械的に係合する。可撓性シャフト18の複数のジョイント18aの各々は、遠位ナックル18bおよびそれと一緒に形成された近位クレビス18cを備える。各ナックル18bは、隣接するジョイント18aのクレビス18cに作動可能に係合する。各ジョイント18aは、その内部に形成された中心管腔18d、および中心管腔18dの両側に形成された対向する1対の管腔18eを規定する。関節運動ケーブル38aおよび38bが、ジョイント18aのそれぞれの管腔18eを通ってスライド可能に延びる。ケーブル38aおよび38bの作動は、図7および図8に関して以下でより詳細に説明される。
【0052】
図3に見られるように、エンドエフェクタ12は、顎部材40および42を旋回可能に支持するように構成された、顎支持部材62を備える。顎支持部材62は、その近位端に管腔64を規定し、そしてその遠位端に間隔を空けた1対のアーム66aおよび66bを規定する。管腔64は、シャフト16の関節運動部分18の最遠位のジョイント18aから延びるステム18fを受容するような構成および寸法にされる。管腔64は、その表面に対向する1対のチャネル68a、68bを備え、これらのチャネルは、その内部での往復のためにナイフ刃50をスライド可能に受容するように構成される。
【0053】
顎40および42は、顎旋回ピン70によって、支持部材62に旋回可能に設置される。顎旋回ピン70は、支持部材62のアーム66aおよび66bに形成された開口部分72、ならびに顎部材40および42に形成されたそれぞれの開口部分74a、74bを通って延びる。顎40および42を開位置と閉位置との間で動かすために、軸方向または長手軸方向に移動可能な中心棒76が、カム作用ピン78を用いて、中心棒76の遠位端において顎支持部62内に設置される。カム作用ピン78は、それぞれの顎部材40および42に形成された、角度の付いたカム作用スロット80aおよび80bに載って係合し、その結果、駆動棒46を介する中心棒76の軸方向または長手軸方向での移動は、顎40および42を開位置と閉位置との間でカム作用させる。
【0054】
エンドエフェクタ12は、キー付き棒82を備え、このキー付き棒は、中心棒76の近位端に回転可能に接続された遠位端を有する。キー付き棒82は、駆動棒46の遠位端にしっかりと接続された近位端、および遠位端と近位端との間に配置された本体部分を備え、この本体部分は、非円形の断面プロフィールを有する。
【0055】
エンドエフェクタ12は、カム作用ハブ84をさらに備え、このカム作用ハブは、このカム作用ハブを通して規定された管腔86を有し、この管腔は、キー付き棒82の本体部分をスライド可能に受容するように構成および適合される。カム作用ハブ84は、その内部に規定された嵌合する機械的インターフェースを備え、この機械的インターフェースは、キー付き棒82の本体部分の外周の構成と協働して、以下により詳細に説明されるような回転の目的で、これらの2つの構成要素半体のポジティブな係合を可能にする。カム作用ハブ84はまた、その外側表面に規定されたつる巻き状または螺旋状の溝88を備え、この溝は、ナイフ50の移動止め突出部90に機械的に係合するように構成される。この移動止め突出部の目的もまた、以下により詳細に説明される。カム作用ハブ84は、支持部材62の管腔64内での回転可能な配置のために構成される。代替の実施形態において、カム作用ハブ84は、回転運動を直線運動に変換するための他の機構(例えば、親ねじ、および1つ以上の歯車など)により置き換えられてもよい。
【0056】
作動において、駆動棒46は、2つの異なる別の機能を提供するように構成される。すなわち、その軸方向の移動は、顎部材40および42を開位置と閉位置との間で起動させ、そしてその回転運動は、ナイフ50を組織に通して前進させる。より具体的には、駆動棒46の軸方向での移動は、軸方向の移動をキー付き棒82に付与し、これは次に、軸方向の移動を中心棒76に付与する。しかし、カム作用ハブ84はキー付き棒82をスライド可能に支持しているので、このカム作用ハブには軸方向の移動が付与されず、そしてキー付き棒82は、カム作用ハブ84をスライド可能に横断して、軸方向の力を中心棒76に付与し得る。
【0057】
図4から図5へと進行して最もよく示されるように、駆動棒46の矢印「F」の方向への近位への並進は、カム作用ピン78をカム作用スロット80aおよび80b内で近位に押して、顎部材40および42を、必要な閉鎖圧力で必要なギャップ「G」範囲内で、組織を挟んで閉じる。代替の実施形態(図示せず)において、駆動棒46により起動される機能は、逆にされて、軸方向の移動がナイフ50を前進させ、そして回転運動が顎部材40および42を開閉させてもよい。次いで、導電性封止プレート54、58は、エネルギーを付与されて、電気エネルギーを顎部材40と42との間に保持された組織に通して伝達する。
【0058】
一旦、適切な組織封止部が形成されると、この組織は、この組織封止部に沿って切断され得る。ここでまた、1つ以上の安全特徴が使用されて、組織を切断する前に、適切な封止部が形成されたことを保証し得る。例えば、発電機は安全ロックアウトを備え得、この安全ロックアウトが、適切かつ効果的な封止部が形成されない限り、ナイフ50の起動を電気的に防止するか、または電気機械的に防止する。上記のように、脈管または組織を封止することは、単に組織を凝固させることに留まるものではなく、そして効果的に組織を封止するためには、圧力、エネルギーおよびギャップ「G」の正確な制御を必要とすることに留意することもまた、重要である。
【0059】
上記のように、本開示は、ナイフ50を組み込み、このナイフは、トリガ34により起動させられると、理想組織面に沿って、正確な様式で組織を次第に選択的に分割して、この組織を2つの封止された半分に効果的に信頼性高く分割する。ナイフ50は、ユーザが切断器具をカニューレまたはトロカールポートを通して交換することなく、封止の直後に組織を迅速に分離することを可能にする。
【0060】
ナイフ刃50はまた、同じかまたは代替の電気外科エネルギー源に結合されて、組織封止部に沿った組織の分離を容易にし得ることが想定される。さらに、ナイフ刃50の刃の先端の角度は、特定の目的に依存して、より攻撃的な切断角度、またはより攻撃性が小さい切断角度を提供するような寸法にされ得ることが想定される。例えば、ナイフ刃50は、切断に関連する「組織断片(tissue wisp)」を減少させる角度で配置され得る。さらに、ナイフ刃50は、特定の目的に依存して、または特定の結果を達成するために、異なる刃の形状(例えば、鋸歯状、切り欠き付き、穿孔付き、中空、凹状、凸状など)を有するように設計され得る。ナイフ50は一般に、漸進的に一方向の様式で(すなわち、遠位への移動の際に)切断することが想定される。上記のように、駆動棒は、2つの機能(顎部材40および42を開閉させること、ならびにナイフ50を前進させて組織を切断すること)を実施する。組織を切断する目的で、駆動棒46の回転は、回転をキー付き棒82に付与し、これは次に、回転をカム作用ハブ84に付与する。キー付き棒82の遠位端は、中心棒76の近位部分内で回転させられる。従って、中心棒76(その遠位端でカム作用ピン78に接続されている)は、回転しない。
【0061】
エンドエフェクタ12は、ナイフ50に作動可能に結合され、このナイフは、支持部材62のそれぞれのチャネル68aおよび68b内にスライド可能に支持される。より具体的には、ナイフ50は、その遠位端に鋭利または鋸歯状の縁部を備え、そしてそこから近位に、1対のガイドフランジを備える。ナイフ刃50の近位端は、突出部90を備え、この突出部は、カム作用ハブ84に規定された螺旋状またはつる巻き状の溝88の中に係合して載るように構成される。
【0062】
作動において、図6に示されるように、カム作用ハブ84が矢印「C」の方向に回転するにつれて、近位端90がカム作用ハブ84の溝88の中に載り、そしてこのカム作用ハブに対して軸方向「A」に移動する。カム作用ハブ84の一方向への回転は、刃50を顎部材40および/または42のナイフチャネル48を通して遠位に押して、これらの顎部材間に配置された組織を切断する。逆方向への回転は、近位端90を近位に押して、刃50を最近位に引き込む。ばねが、カム作用ハブ84と作動可能に関連して、ナイフ50を最近位の配向に付勢し得る。
【0063】
上記のように、エンドエフェクタ12は、選択的に関節運動し得る。より具体的には、図7に見られるように、エンドエフェクタ12が軸方向に整列した状態で、エンドエフェクタアセンブリ12を関節運動させる目的で、本体14から操作可能な少なくとも1つの関節運動ケーブル(38a、38b)が使用される。各関節運動ケーブル(38a、38b)は、エンドエフェクタ12と作動可能に接続可能な遠位端、および少なくとも1つの制御要素(例えば、以下により詳細に記載されるような駆動モータ)に作動可能に接続された近位端を備える。2つの関節運動ケーブル38a、38bを使用する1つの例において、この制御要素の動きは、第一の関節運動ケーブル38aの動きをもたらし、ここで第一の関節運動ケーブル38aの第一の方向への動きは、エンドエフェクタ12の第一の方向への関節運動を引き起こす。同様に、第二の関節運動ケーブル38bの第二の方向への動きは、エンドエフェクタ12の第二の方向への関節運動をもたらす。このことは、本明細書中で一般に、2ワイヤ関節運動システムおよび方法と称される。
【0064】
より具体的には、図7および図8を参照して、第一の関節運動ケーブル38b(すなわち、図7および図8の図示において下の関節運動ケーブル)が、図8の矢印「D」により示されるように近位方向に引かれると、関節運動ケーブル38bの遠位端(関節運動部分18の最遠位のジョイント18aに繋留されている)は、ジョイント18aを、ナックル18bとクレビス18cとの間の界面の周りで回転させ、これによって、これらの間でその横表面に沿って規定されるギャップを、収縮させる。このようにする際に、エンドエフェクタ12は、矢印「B」の方向に、すなわち、長手方向軸を横断する方向に、下向きの方向に関節運動する。エンドエフェクタアセンブリ12を関節運動していない状態に戻すため、またはエンドエフェクタアセンブリ12を逆方向に関節運動させるためには、関節運動ケーブル38a(すなわち、図7および図8の図示において上の関節運動ケーブル)が近位方向に引かれなければならず、そして関節運動ケーブル38bに加えられる力が解放されてこの関節運動ケーブルが逆方向に動くことを可能にしなければならない。
【0065】
種々のハンドルおよび/またはハンドルアセンブリが、エンドエフェクタ12の種々の構成要素(すなわち、駆動ケーブル46および/または関節運動ケーブル38a、38b)の作動および移動を行う目的で、エンドエフェクタ12に作動可能に接続され得るか、または他の方法で関連し得る。
【0066】
1つの想定される実施形態において、ナイフ50は、内視鏡デバイス10に含まれなくてもよく、そしてこのデバイスは、脈管または他の組織束を封止するためのみに設計されてもよい。
【0067】
代替の2ワイヤのエンドエフェクタアセンブリおよび駆動機構が、図9〜図13に示されている。上に記載されたエンドエフェクタ12および関節運動部分18の上記特徴の多くは、エンドエフェクタ112および関節運動部分118のものと類似であるので、一貫性の目的で、これらの特徴は、より簡略化された形態で以下に与えられる、以下の議論において援用される。
【0068】
エンドエフェクタ112は、対向する顎部材140および142を備え、これらの顎部材は協働して、封止の目的で組織を効果的に把持する。エンドエフェクタ112は、片側性アセンブリとして設計される。すなわち、顎部材142は関節運動部分118に対して固定されており、そして顎部材140は、組織を把持するために旋回ピン144の周りで旋回する。
【0069】
図10に示されるように、往復スリーブ200が、関節運動部分118内にスライド可能に配置され、そして駆動アセンブリ(図示せず)によって遠隔操作可能である。旋回する顎部材140は、顎部材140から往復スリーブ200内に配置された開口部分204を通って延びる突出部202を備える(図10、図11)。旋回する顎部材140は、スリーブ200を結合部分206内で軸方向にスライドさせることにより起動され、その結果、開口部分204の遠位端が、旋回する顎部材140の突出部202に当接する(図11を参照のこと)。スリーブ200を近位に引くと、顎部材140および142がその間に把持された組織を挟んで閉じ、そしてスリーブ200を遠位に押すと、把持の目的で、顎部材140および142を互いに対して開く。
【0070】
エンドエフェクタ112は、顎部材140が閉じる場合、電気エネルギーがスリーブ200を通って突出部202の接点まで、スリーブ200を用いて、または動く顎部材140の背面に接触するための「ブラシ」もしくはレバー(図示せず)を使用して、送られ得るように構成され得る。この例において、電気エネルギーは、突出部202を通って顎部材140または142のうちの一方まで送られる。あるいは、電気リード線(図示せず)が、顎部材のうちの一方(例えば、顎部材140)にエネルギーを付与するような経路に置かれ得、そして他の電位が、リード線208(図11を参照のこと)との電気接触によってスリーブ200を通って伝導され得、そして旋回する顎部材140に伝達され得、これがスリーブ200の引き込みの際に、電気導通状態を確立する。
【0071】
顎部材140および142は、上で記載されたような顎部材40および42と類似の要素(例えば、顎絶縁体152、156、および導電性封止表面154または封止プレート158)を備える。顎部材142はまた、導電性封止表面158の内側に面する表面に配置された一連の止め部材160を備えて、組織の把持および操作を容易にし、そして組織の封止および/または切断中に、対向する顎部材140と142との間にギャップ「G」を規定する。一連の止め部材160は、一方または両方の顎部材140および142において、特定の目的に依存して、または顎の所望の結果を達成するために、種々の構成で使用され得ることが想定される。止め部材160は、顎部材140および142を絶縁して、組織が顎間に存在しない場合に、回路ループの短絡および閉じることを防止する。
【0072】
エンドエフェクタ112は、軸方向に整列した状態から関節運動した状態へと関節運動し得る。エンドエフェクタ112を、上記関節運動装置と類似の関節運動装置118によって関節運動させる目的で、2つの関節運動ケーブル138aおよび138bが、関節運動部分118を関節運動させるために利用され得る。図11に最もよく見られるように、各関節運動ケーブル138aおよび138bは、遠位端210aおよび210bを備え、これらの遠位端は、関節運動部分118の遠位端に配置されたエンドエフェクタ112の結合アセンブリ206と作動可能に接続する。結合アセンブリ206は、その内部に規定された空洞212を備え、この空洞は、一連の機械的に相互協働する要素214を受容するように構成され、これらの要素は、この空洞内での往復のために駆動棒146により係合され、そして種々の電気接続を顎部材140および146まで案内する。駆動棒146は、好ましくは、可撓性の摩擦低減材料から作製されて、シャフト120の関節運動部分118が関節運動するときに、駆動棒146が所望の方向に屈曲することを可能にする。この摩擦低減材料は、関節運動中の座屈を減少させる。
【0073】
結合アセンブリ206は、1対のブシュ216および218を備え、これらのブシュは、駆動棒146の遠位端を駆動スリーブ200に係合させてピン220を介して固定する。ブシュ216は、ブシュ218に係合し、そして駆動棒146の遠位端をこれらのブシュ間に固定するように構成される。ピン220は、固定されたブシュ216および218ならびに駆動棒146を駆動スリーブ200に結合させる。駆動スリーブ200(および固定された駆動棒146)は、空洞212内に受容されて、駆動アセンブリ(図示せず)の起動の際にこの空洞内でスライドにより並進する。
【0074】
結合アセンブリ206はまた、ロック要素222を備え、このロック要素は、顎部材142の近位端に係合して、結合アセンブリ206(および駆動棒146)を顎部材140に対して固定された関係にロックして、これらの間でのあらゆる回転運動を制限するように構成される。駆動棒146の遠位方向への長手軸方向の並進は、駆動スリーブ200を結合アセンブリ206内で長手軸方向に移動させ、そして上記のように、顎部材140の開閉を行う。結合アセンブリ206はまた、遠位フランジ224を備え、この遠位フランジは、一旦組み立てられると、下顎部材142を支持して、両方の顎部材140、142を結合アセンブリ206にピン226を介して接続する。図11に最もよく示されるように、結合アセンブリ206はまた、リード線208と駆動スリーブ200との間の電気接続を支持する。さらに、結合アセンブリ206はまた、顎部材140への接続のために、この結合アセンブリを通して電気リード線228(図12に想像線で示される)を案内する。上で詳述したように、本開示の1つの実施形態によれば、代表的なRFエネルギーシステムにおいて、リード線208および228のうちの一方は、活性電極として働き得、そして他方は、戻り電極として働き得る。
【0075】
作動において、関節運動部分118を関節運動させるために、図13に最もよく示されるように、一方のケーブル138aがP1の方向に引かれている場合、他方のケーブル138bは、P2の方向に押され(または緩められ)、関節運動部分118が与えられた方向に関節運動することを可能にする。上記図2および図3と同様に、関節運動部分118は、入れ子状に直列に配置された複数のジョイント118aを備える。その遠位端は、直接にかまたは結合アセンブリ206を介してかのいずれかで、エンドエフェクタ112に機械的に係合し、そしてその近位端は、シャフト120に係合する(図1〜図8に関して上で議論された配置と同様)。関節運動部分118の複数のジョイント118aの各々は、遠位ナックル118bおよびそれと一緒に形成された近位クレビス118cを備える。各ナックル118bは、隣接するジョイント118aのクレビス118cに作動可能に係合する。各ジョイント118aは、その内部に規定された中心管腔118d、および中心管腔118dの両側に形成された対向する1対の管腔118eを有する。関節運動ケーブル138aおよび138bは、ジョイント118aのそれぞれの管腔118eを通ってスライド可能に延びる。関節運動ケーブル138aおよび138bは、好ましくは、可撓性の、摩擦低減材料から作製される。
【0076】
安全機構または回路(図示せず)が使用され得、その結果、顎部材140および142は、閉じられない限り、そして/または顎部材140および142がその間に組織を保持しない限り、エネルギーを付与され得ないことが想定される。後者の場合、センサ(図示せず)が、これらの顎部材の間に組織が保持されたか否かを決定するために使用され得る。さらに、外科手術前の状態、進行中の外科手術の状態(すなわち、外科手術中)および/または外科手術後の状態を決定する、他のセンサ機構が使用され得る。これらのセンサ機構はまた、電気外科発電機に結合された閉ループフィードバックシステムと一緒に利用されて、1つ以上の外科手術前の状態、進行中の外科手術の状態、または外科手術後の状態に基づいて、電気外科エネルギーを調節し得る。米国特許出願番号10/427,832は、1つのこのようなフィードバックシステムを記載し、その全内容は本明細書中に参考として援用される。
【0077】
上記のことから、種々の図面を参照して、当業者は、特定の改変がまた、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示に対してなされ得ることを予測する。例えば、電気外科手術デバイス(および/またはそれに関連して使用される電気外科発電機)は、顎部材140と142との間に把持された特定のサイズの組織を効果的に封止するための電気外科エネルギーの適切な量を自動的に選択する、センサまたはフィードバック機構(図示せず)を備え得ることが想定される。このセンサまたはフィードバック機構はまた、封止中に組織のインピーダンスを測定し得、そして効果的な封止が顎部材140と142との間に作製されたことの指標(視覚的および/または可聴)を提供し得る。このようなセンサシステムの例は、共有に係る米国特許出願番号10/427,832(発明の名称「METHOD AND SYSTEM FOR CONTROLLING OUTPUT OF RF MEDICAL GENERATOR」、2003年5月1日出願)に記載されており、その全内容は本明細書中に参考として援用される。
【0078】
両方のエンドエフェクタ12および112に関連する実施形態において、顎部材40、42の導電性封止表面54、154、ならびに顎部材140、142の導電性封止表面58、158は、比較的平坦であり、鋭利な縁部での電流の集中を回避し、そして頂点間でのアーク発生を回避する。さらに、顎部材40、42および140、142は、係合される場合の組織の反作用力に起因する屈曲に抵抗するように製造され得る。例えば、顎部材40、42および140、142は、その幅に沿ってテーパ状であり得、これにより、組織の反作用力に起因する屈曲に抵抗する。実際に、いくつかの状況において、テーパ状であることは、可視化を促進し、そして一定の断面を有する顎よりも大きい屈曲半径を可能にする。
【0079】
エンドエフェクタ12、112の外側表面は、ニッケルベースの材料、コーティング、スタンピング、金属射出成形を備え得、これは、作動および封止中に、顎部材40、42および140、142と周囲の組織との間の接着を減少させるように設計されることが想定される。さらに、顎部材40、42の伝導性表面54、58および顎部材140、142の伝導性表面154、158は、以下の材料:ニッケル−クロム、窒化クロム、MedCoat 2000(OHIOのThe Electrolizing Corporationにより製造される)、インコネル600およびスズ−ニッケルのうちの1つ(または1つ以上の組み合わせ)から製造され得ることもまた、想定される。組織伝導性表面54、58および154、158はまた、同じ結果(すなわち、「非粘着表面」)を達成するために、上記材料のうちの1つ以上でコーティングされ得る。理解され得るように、封止中に組織が「粘着」する量を減少させることによって、この器具の全体的な効率が改善される。
【0080】
本明細書中に開示される材料の1つの特定のクラスは、実証された優れた非粘着特性を示し、そしていくつかの例においては、優れた封止の質を示している。例えば、窒化物コーティング(TiN、ZrN、TiAlN、およびCrNが挙げられるが、これらに限定されない)は、非粘着特性のために使用される好ましい材料である。CrNは、その全体的な表面特性および最適な性能に起因して、非粘着の目的で特に有用であることが見出されている。他のクラスの材料もまた、全体的な粘着を減少させることが見出されている。例えば、約5:1のNi/Cr比を有する高ニッケル/クロム合金は、双極器具類における粘着を有意に減少させることが見出されている。このクラスの特に有用な1つの非粘着材料は、インコネル600である。Ni200、Ni201(約100%Ni)で作製またはコーティングされた封止表面54、58および154、158を有する双極器具類もまた、代表的なステンレス鋼の双極電極より改善された非粘着性能を示した。
【0081】
内視鏡デバイス10(エンドエフェクタ12および112を備える(関節運動部分18、118、およびシャフト3、103を有するかまたは有さないかのいずれか))は、特定の目的に依存して、または特定の結果を達成するために、完全にかまたは部分的に使い捨てであるように、設計され得る。例えば、エンドエフェクタ12、112は、関節運動部分18、118の遠位端と選択的に取り外し可能に係合可能であり得、そして/またはシャフト3、103の近位端は、内視鏡デバイス10のハウジング14と選択的に取り外し可能に係合可能であり得る。これらの2つの例のいずれにおいても、内視鏡デバイス10は、「部分的に使い捨て」または「数回使用可能(reposable)」であるとみなされる。すなわち、新たなまたは異なるエンドエフェクタアセンブリ12、112が、必要に応じて、古いエンドエフェクタアセンブリ12、112を選択的に置き換える。理解され得るように、本開示の電気接続は、この器具を数回使用可能な設計に改変するために、変更されなければならない。
【0082】
上記のように、電気外科手術デバイスの関節運動部分18、118を制御する他の方法が公知であり、そして同一人に譲渡された米国特許出願公開第2009/0054734号および同第2010/0179540号に記載されており、これらの内容は、本明細書中に参考として援用される。これらの制御システムは、上に詳細に記載されたものとは異なり、本明細書中で4ワイヤシステムと称されるものを組み込む。4本のワイヤを使用する結果として、これらのシステムは、本物の手根の関節運動により近付き得る。このようなシステムを使用するデバイスは、エンドエフェクタを1つの面内で関節運動させ、次いでシャフト全体を回転させ得るのみでなく、実際に、エンドエフェクタを複数の面内で(例えば、上下方向、および横方向、ならびにこれらの任意の組み合わせ)関節運動させ得る。エンドエフェクタを回転させる能力と合わせて使用される場合、このようなデバイスは、ヒトの手根で見られる自由度をよく模倣し得る。
【0083】
これらの4ワイヤの制御システムは、上記2ワイヤの制御システムと非常に類似の特徴を可能な程度まで使用するので、類似の番号が、内視鏡デバイス10の制御および関節運動を説明するために使用される。
【0084】
図14は、シャフト216およびエンドエフェクタ212の斜視図を示す。シャフト216は、関節運動部分218および非関節運動部分220を備える。上記のように、非関節運動部分220は、種々の構成を示し得る。例えば、非関節運動部分220は、実質的に硬い管から形成され得るか、可撓性の管(例えば、プラスチック)から形成され得るか、または非関節運動部分220は、可撓性の管と硬くする要素との複合体(例えば、編組鋼の管)として形成されて、軸方向(例えば、圧縮)強度および回転強度を提供し得る。他の実施形態において、非関節運動部分220は、可塑変形可能な材料から構成され得る。いくつかの実施形態において、非関節運動部分220は、外科医が非関節運動部分220を外科手術手順の前または最中に予備形成または再形成して、外科手術部位の輪郭および特徴に合うようにすることを可能にするために充分に低い、曲げ剛性を示す。一旦、形成されると、非関節運動部分220は、非整列構成を規定し得る。この構成において、非関節運動部分220の長手方向軸は、関節運動部分218の長手方向軸と整列しない。非関節運動部分220はまた、内視鏡器具10の通常の外科手術的使用中に、この非整列構成の形状および配向を維持するために充分な、軸方向剛性を示し得る。
【0085】
図15に示されるように、シャフト216の関節運動部分218は、複数のリンク218a、218bを覆って配置された外部ケーシングまたは絶縁材料400を備え得る。リンク218aおよび218bは、互いに対して旋回して、シャフト216の関節運動部分218がその長手方向軸に対して関節運動することを可能にするように構成される。1つの実施形態において、リンク218aおよび218bは、互いに入れ子式に係合して、関節運動制御システム(図示せず)の動きに応答して、2つの直交する面内での関節運動部分218の旋回運動を可能にする。
【0086】
リンク218aは、各リンク218a、218bが1対の遠位ナックル218cおよびそれと一緒に形成される対向する1対の近位クレビス218dを示す点で、リンク218bと構成が類似である。しかし、リンク218aは、隣接するリンク218bに対して回転方向に90°ずれて配向される。リンク218a、218bのこのような交互の配向は、直交する面内でのエンドエフェクタ212の関節運動を容易にする。リンク218aの水平ナックル218cは、水平旋回軸P1を規定する。従って、リンク218aのナックル218cは、隣接するリンク218bの対応するクレビス218dに作動可能に係合して、矢印「U、D」(図16)の方向でのエンドエフェクタ212の関節運動を容易にする。同様に、リンク218bのナックル218cは、垂直旋回軸P2を規定し、その結果、ナックル218bは、隣接するリンク218aの対応するクレビス218dに作動可能に係合して、(図17、図18に示されるような)矢印「R、L」の方向でのエンドエフェクタ212の関節運動を容易にする。
【0087】
各リンク218aおよび218bは、これらのリンクを通って長手軸方向に延びる中心管腔218eを備える。中心管腔218aは、種々のアクチュエータ(例えば、駆動棒246およびナイフ棒250)、ならびに他の構成要素の、細長シャフト216を通る通過を可能にする。リンク218a、218bはまた、中心管腔218eから半径方向外側に形成された、2対の対向する管腔218fおよび218gを規定する。リンク218aの管腔218fおよび218gの各々は、隣接する管腔218fおよび218gから回転方向に90°間隔を空けており、その結果、各管腔218fは、隣接するリンク218bの管腔218gと整列する。管腔218fおよび218gは協働して、長手軸方向空洞を規定し、4本の操縦ケーブル238a、238b、238c、および238dの、細長シャフト216の関節運動部分218を通る通過を可能にする。異なる張力が、これらの4つの操縦ケーブル238a〜dに加えられて、以下に記載されるように、シャフト216の関節運動部分218の配向を調節し得る。
【0088】
リンク支持部402は、リンク218aと同様に配向した1対の遠位ナックル218cを備えて、後続するリンク218bとインターフェースする。リンク支持部402の近位端は、外側ケーシング400にしっかりと設置され得る。この外側ケーシングは、1つの実施形態において、細長シャフト216の近位部分220のみを覆って延びる。しかし、さらなる実施形態において、外側ケーシング400は、シャフト216の近位部分220と関節運動部分218との両方を覆って延びる。外側ケーシング400は、一般に可撓性であり、近位部分220が自由に撓んで屈曲することを可能にする。エンドエフェクタ支持部404は、近位端に、リンク218aのクレビスと同様に配向した1対のクレビス218dを備えて、先行するリンク218のナックル218cを受容し得る。
【0089】
4本の操縦ケーブル238a〜dは、実質的に弾力性であり得、そしてリンク218aおよび218bに規定された管腔対218fおよび218gを通ってスライド可能に延び得る。操縦ケーブル238a〜dの各々の遠位端は、エンドエフェクタ支持部404に結合される。より具体的には、各操縦ケーブル238a〜dは、その遠位端に、ボール様の機械的インターフェース(すなわち、インターフェース238a’〜d’)を備える。各インターフェース238a’〜d’は、エンドエフェクタ支持部404に規定された対応する凹部内にしっかりと嵌合するように構成される。インターフェース238a’は凹部406aに係合し、インターフェース238b’は凹部406bに係合し、そしてインターフェース238c’および238d’は、エンドエフェクタ支持部404の同様の凹部に係合する。
【0090】
操縦ケーブル238a〜dの近位端は、以下に記載されるように、関節運動制御部に作動可能に結合される。操縦ケーブル238a〜dは、シャフト220の近位部分を通り、これらの近位部分に規定された一連の通路を通って延びる。より具体的には、十字型のケーブルガイドアダプタ408およびガイドアダプタライナーまたはワッシャー410は、これらを通して規定されたボアを備え、最初、シャフト220の近位部分内への通過のために、ケーブル238a〜dを互いに対して90°の角度に配向させる。アダプタ408はまた、シャフト220の近位部分のハウジング14(図1)への取り付けを容易にする。シャフト220の近位部分は、その中に規定された通路412a〜dを備えて、それぞれケーブル238a〜dを、リンク218aおよび218bの管腔218f、218gに受容させ、最終的に上記のようにエンドエフェクタ支持部404に接続するために、配向させる。
【0091】
中心ガイド管414は、駆動棒246およびナイフ棒416をシャフト216に通して配向させて、最終的に顎部材240およびナイフ250に接続させるために提供される。中心ガイド管414はまた、電気外科エネルギーを顎部材240、242に提供する電気リード線416を案内し得る。中心ガイド管414は、シャフト216、310の近位部分220内に受容されるための寸法にされ、そしてそこから、リンク218aおよび218bに規定された中心管腔218e内に延び得る。1本以上の操縦ケーブル(例えば、238a)は、遠位部分238a’を備え、この遠位部分は、エンドエフェクタ支持部404に電気的に接続され、これは次に、顎部材240に接続される。従って、戻り路(すなわち、接地路)が、顎部材240を通して提供される電気外科エネルギーのために、顎部材240と242との間に捕捉された組織を通して確立され得る。
【0092】
中心押し出し部またはガイド管414は、非常に可撓性の潤滑性材料から構成され、そして数個の重要な機能を果たす。すなわち、ガイド管414は、駆動棒246、ナイフ棒418、および電気リード線416を、ガイドアダプタ408、シャフト216の近位部分220、および関節運動部分218から、エンドエフェクタ支持部404およびナイフ50まで案内し;ガイド管414は、構成部品間に電気的絶縁を提供し;管414は、リード線416ならびに棒246および418を、これらの相対運動中に分離させて維持し;管414は、クランプ力の損失および摩擦を最小にし;そして管414は、リード線416ならびに棒246および418を中心長手方向軸に近付けて維持して、関節運動中の伸長を最小にする。管414(および内部管腔)は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、黒鉛または他の潤滑剤などの材料から作製され得るか、またはこれらの材料を含んで、摩擦、および構成部品の相対運動に関連する他の一般的な損失を最小にし得る。あるいは、同軸構造体(図示せず)が、駆動棒246およびナイフ棒418を案内するために利用され得る。
【0093】
1つ以上の遠位案内板420およびアダプタ422もまた、駆動棒246およびナイフ棒418をさらに整列させ、そして顎部材240および242の関節運動を容易にするために利用され得る。より具体的には、駆動棒246の整列は、顎部材240、242の開閉を容易にする。スリーブ424は、顎部材240のフランジ428に係合するための開口部分426を備え、その結果、スリーブ424の軸方向移動は、顎部材240を強制的に旋回ピン430の周りで回転させ、そして組織をクランプさせる。スリーブ424は、アダプタ422に接続される。このアダプタは、その内部に駆動棒246をワイヤクリンプ432を介して固定する。駆動棒246は、その遠位端において平坦部を有して、クリンプ432への取り付けを補強する。可動ハンドル32(図1)を起動させることによって、駆動棒246はスリーブ424を後退させて、顎部材240を組織を挟んで閉じる。スリーブ424を近位に引くと、顎部材240および242がこれらの間に把持された組織を挟んで閉じ、そしてスリーブ424を遠位に押して、顎部材240および242を把持の目的で開く。エンドエフェクタ212は、片側性のアセンブリとして設計される。すなわち、顎部材242はシャフト216に対して固定されており、そして顎部材240は、組織を把持するために旋回ピン430の周りで旋回する。顎部材242、240の他の特徴、これらの構成および製造方法、これらの電気接続および絶縁特性、ナイフチャネルの使用、ならびに適切なギャップを維持する方法は、2ワイヤの制御システムに関して上で議論された方法と類似であるので、ここで再度完全に記載されるかのように、4ワイヤの設計の特徴に関連して組み込まれる。
【0094】
内視鏡デバイス10において使用するための、2ワイヤと4ワイヤとの両方の関節運動システムの種々の局面をここで記載したので、以下の説明は一般に、電気外科手術デバイスの片手での操作を効果的に可能にするための、モータ式制御システムに関する。このような操作は、組織を把持すること、エンドエフェクタを少なくとも2つの面内で関節運動させること、電気外科エネルギーの使用を活性化させること、および適切である場合、電気外科エネルギーにより封止された組織の切断のためのナイフの活性化を、片手で行うことを包含するべきである。
【0095】
上記のように、図1は、操縦ユニット22を図示する。図19は、操縦ユニット22の主要な構成要素を示す。操縦ユニット22は、ハウジングまたは本体14に収容され、そしてブラケット502に設置される。このブラケットは、ハウジングまたは本体14に一体的に接続される。シャフト20は、内部ケーシング504aおよび504bに接続され、そして1つの実施形態においてはこれらの内部ケーシングと一体的に形成され、そして平歯車506に接続される。この一体的なユニットは、1つの実施形態において、ハウジング14に対して回転可能であり、その結果、シャフト20、内部ケーシング504a〜b、および平歯車506は、シャフト軸「z」の周りで回転し得る。シャフト20および一体化された内部ケーシング504a〜bは、ベアリング508、510、および512によって、半径方向に支持される。
【0096】
電気モータ514Rは、1つの実施形態において、機械的運動を電気信号に転換するため、および制御システム24にフィードバックを提供するための、エンコーダを備える。さらに、電気モータ514R(Rは、このモータがシャフト20およびエンドエフェクタ12の回転を誘導するためのものであることを示す)は、電気モータ514Rにより駆動されるシャフトにセットされた取り付けられた平歯車515の回転速度を増減させるための、任意の歯車箱を備え得る。電気モータ514LR(LRは、関節運動部分18の左右の動きを表わす)および電気モータ514UD(関節運動部分18の上下の動きを表わす)の各々は、必要に応じて、エンコーダおよび歯車箱を備える。それぞれの平歯車516および518は、以下により詳細に記載されるように、操縦ケーブルを上下および左右に駆動する。3つ全ての電気モータ514R、514LR、および514UDは、静止枠502にしっかりと取り付けられて、これらの回転を防止し、そして平歯車515、516、および518がこれらの電気モータにより駆動されることを可能にする。
【0097】
図21および図22は、関節運動部分18およびこれと一緒にエンドエフェクタ12を関節運動させる機構の細部を図示する。具体的には、上下の関節運動が本発明の1つの局面において想定される様式を、以下に説明する。このようなシステムは単独で、平歯車506を駆動するための電気モータ514UDに結合されて、2ワイヤのシステムにおいて上で記載されたように、関節運動を達成する。しかし、4ワイヤのシステムが想定される場合、本明細書中で直後に記載されるものと同一の第二のシステムが、左右ケーブルを駆動するために使用され得る。従って、理解を容易にするために、これらのシステムのうちの1つのみが本明細書中に記載され、当業者は、第二のこのようなシステムをどのように4ワイヤシステムにおいて使用するかを容易に理解することが、理解される。
【0098】
関節運動部分18およびこれと一緒にエンドエフェクタ12の上下の関節運動を達成するために、上記システムにおいてと同様に、操縦ケーブル38a〜b、138a〜b、または238a〜bが使用され得る。理解を容易にするために、上記関節運動システムのうちの1つのみが以下で参照されるが、これらの任意のものが、本発明の範囲から逸脱することなく本明細書中で使用され得る。操縦ケーブル38a〜bの遠位端は、上記手段によって、エンドエフェクタの近位端に、またはこの近位端で、またはこの近位端の近くで、取り付けられる。操縦ケーブル38a〜bの近位端は、ポスト520a、および520bの遠位先端に取り付けられる。図21に示されるように、ポスト520aおよび520bは、長手軸方向に、逆方向に往復する。ポスト520aの移動は、1つの操縦ケーブル38aを伸ばし、そして同時に、ポスト520bの逆方向の長手軸方向の移動は、ケーブル38bを効果的に短縮させる。操縦ケーブル38a〜bの有効長の変化の合わせた効果は、シャフト16の関節運動部分18を形成するジョイント18aを、ケーブル38bが短縮される側で圧縮すること、および操縦ケーブル38aが伸長される側で伸ばすことである。このことは、上記一体化されたナックルおよびクレビスによって実施される。
【0099】
ポスト520a〜bは、ケーシング504aの内部に一体的に形成された内部枠504c上をスライドする。内部枠504cとポスト520との両方は、好ましくは、本明細書中上で記載された型の、弾力のある非結合性の低摩擦材料から形成されて、内部枠504cの対応する協働する部分に沿ったポスト520a〜bの効率的かつ滑らかな移動を促進する。
【0100】
対向するポスト520aおよび520bは、少なくともそれらの近位端に、内部の左ねじおよび右ねじをそれぞれ有する。図22に示されるように、ケーシング504b内には、2つのねじ切りされたシャフト522aおよび522bが収容され、一方は左ねじを切られ、そして一方な右ねじを切られて、ポスト520aおよび520bに対応して、これらに嵌合する。シャフト522aおよび522bは、ポスト520Aおよび520Bの内側に螺入する遠位端、ならびに平歯車524aおよび524bを有する近位端を有する。
【0101】
シャフト522aおよび522bは、それらの軸の周りに回転の自由度を有する。平歯車524aおよび524bは、遊星歯車526の内側の歯に係合する。遊星歯車526はまた、電気モータ514UDの近位端の平歯車518の歯に係合する、外側の歯を有する。
【0102】
エンドエフェクタ12を上方向に関節運動させるために、ユーザまたは外科医は、起動スイッチ30を介して電気モータ514UDを作動させて、このモータに平歯車518を回転させ、これは次に、遊星歯車526を駆動する。遊星歯車526は、内歯車524aおよび524bを介してシャフト522aおよび522bに接続される。遊星歯車526は、歯車524aおよび524bを同じ方向に回転させる。シャフト522aおよび522bはねじ切りされており、そしてこれらの回転は、ポスト520aおよび520bの内側に形成された嵌合するねじ山によって、ポスト520aおよび520bの直線運動に変換される。しかし、ポスト520aの内側のねじ山はポスト520bのねじ山と逆であるので、遊星歯車526が回転すると、一方のポストは遠位に移動し、そして一方のポストは近位に(すなわち、逆方向に)移動する。従って、上ケーブル38aが近位に引かれてエンドエフェクタを持ち上げ、同時に下ケーブル38bは緩められなければならない。上記のように、この同じシステムが、電気モータ514LR、その平歯車516、第二の遊星歯車526、ならびに第二のセットのねじ切りされたシャフト522およびポスト520、ならびにさらに2本の操縦ケーブル38を使用して、エンドエフェクタの左右の運動を制御するために使用され得る。さらに、一致して作用することにより、4本の操縦ケーブルを使用するシステムは、3個の電気モータ514およびそれらの関連する伝動装置、ならびに制御ユニット24によりコンピュータ制御される操縦ケーブル38を有することによって、ヒトの手根の動きに近付き得る。このようなシステムが、以下により詳細に記載される。
【0103】
使用において、エンドエフェクタ12が上位置にくるように(例えば、その長手軸方向から約90°屈曲するように)すでに関節運動させられており、次いで、電気モータ514Rにエネルギーが付与される場合、シャフト3が回転し、そしてその関節運動した先端は、その元の位置の左または右の位置に移動し始める。いくつかの例において、このような回転は、外科医に望まれる。しかし、他の状況においては、このことは望ましくないか、またはより複雑な操作の実施においては、エンドエフェクタの位置の何らかの局面を維持し、そしてエンドエフェクタ12の配向を変化させずに関節運動部分18の手根様の動きを可能にすることが望ましい(おそらく、何らかの引き続く作用が行われ得る前に、関節運動部分18の再配置に依存するその作用を可能にするため)。本開示のこの局面を達成するために、3つ全ての電気モータ514R、514LR、および514UDの作動は、制御システム24により同期されなければならない。
【0104】
この同期したモードで、モータ514Rがシャフト3を特定の角度増分で回転させる場合、この増分は、モータエンコーダにより識別され、そして制御ユニット24に送られる。制御ユニット24は、補正増分を計算し、そしてモータ514UD、514LRに、それらのそれぞれの操縦ケーブル38を必要に応じて引っ張ったり緩めたりするように命令し、その結果、エンドエフェクタ12は、その上位置に残り、同時に関節運動部分は、モータ514Rの全回転により規定される所望の位置まで回転する。
【0105】
上記のように、制御ユニット24は、処理ユニット(例えば、マイクロコントローラ)、外科医が所望の作用を特定するユーザインターフェース、およびモータインターフェースを含む。このユーザインターフェースは、ユーザコマンドを起動スイッチ30から受け取る。この起動スイッチは、方向ボタン、ジョイスティック(例えば、親指で操作されるジョイスティック)、トグル、圧力センサ、スイッチ、トラックボール、ダイヤル、光学センサ、およびこれらの任意の組み合わせであり得る。この処理ユニットは、モータ514に制御信号を送ることによって、これらのユーザコマンドに応答する。モータ514のエンコーダは、モータ514の現在の状態についてのフィードバックを、処理ユニット24に提供する。
【0106】
エンドエフェクタ12の位置を維持し、同時にシャフト16を回転させるために使用されるアルゴリズムが、制御ユニット24のメモリ部分に格納されたソフトウェアに組み込まれる。従って、エンドエフェクタ12は、直交する面内で操縦ケーブルの異なるモータ位置を適用することによって、手根回転し得る。
【0107】
上記のような、独立したステッピングモータにより制御される、複数面での関節運動および回転は、先端の多数の運動をもたらし得、これらの全ては、制御システム24(これは例えば、マイクロプロセッサであり得る)によって同期され得る。可能な動きの型を明確にするために、さらなる座標系を考慮することが有用である。
【0108】
図23に図示されるように、第一の系XYZは、シャフト16の非関節運動部分20の中心軸と実質的に整列した軸Xに対して、静止している。さらに、エンドエフェクタ12の静止顎42のクランプ表面と整列する面Pが示されており、点Aは、エンドエフェクタ12の中心軸上に位置し、そして軸「U」は、エンドエフェクタ12の中心軸と整列している。
【0109】
作動において、独立して作動するモータ514LRは、エンドエフェクタ12を、XY面内で左右に関節運動させ得、このとき面P(静止顎42のクランプ表面)は、面XZに対して実質的に直交している。独立して作動するモータ514UDは、エンドエフェクタ12を、面XZ面内で上下に関節運動させ得、このとき面Pは、面XZに対して実質的に直交している。従って、モータ514UDおよび514LRを独立して作動させることにより、ユーザは、面Pが面XZに対してほぼ直交して配向した状態で、3D空間内で所望の位置にこの先端を関節運動させ得る。
【0110】
しかし、モータ514UDおよび514LRによって同時に(または協同した様式で)駆動され、そして制御システム24のマイクロプロセッサにより制御される場合、エンドエフェクタ12の同期した3Dでの関節運動は、先端が所定の経路に沿って移動し得るような、エンドエフェクタ12の運動を可能にする。例えば、この先端は、反時計回り(CCW)の方向に円に沿って関節運動し得、このとき面Pは依然として、XZに対してほぼ垂直である。
【0111】
あるいは、同期した動きは、関節運動したシャフト16を時計回り(CW)に回転させるモータ514Rにより付与される、回転運動を組み込み得る。本開示の1つの局面に従って、モータ514UDおよび514 LRは、エンドエフェクタ12をCCWに上記の様式で同時に(または協同した様式で)関節運動させて、回転運動を打ち消し得る。その結果、エンドエフェクタ12の点Aは動くのをやめるが、エンドエフェクタ12ならびに面Pおよび静止顎42の平坦な表面は、軸「U」の周りで回転する。この動きは手根回転と呼ばれ、ユーザが選択された関節運動した位置で顎を回転させることを可能にする。このような手根回転は、本開示に従って、シャフト16の残りの部分に対するエンドエフェクタ12の機械的回転の関連なしで達成され、そして電気エネルギーがこれらの顎に供給される場合の、この領域におけるスリップリングの必要性を排除する。
【0112】
さらに、シャフト16をモータ514Rで回転させる(そして往復するポスト520の「逆駆動」をモータ514UDと514 LRとの同期した動きで補償する)ことによって、面Pが軸Xの周りで回転する、シャフトの純粋な回転運動が達成され得る。見られ得るように、提唱されるシステムは、手で持つデバイスまたはロボットアームにおいて行われ得る、遠位先端の広範な動きを可能にする。
【0113】
手で持たれる電気外科手術デバイスに関して本明細書中に開示されたが、当業者は、本明細書中に開示された方法および機構が、ロボット外科手術デバイス(電気外科手術デバイスは、遠隔操作される外科手術アームにより保持されるか、またはこのアームに組み込まれる)における構成要素として使用するために容易に適用可能であることを、容易に理解する。
【0114】
本開示の数個の実施形態が図面に示されたが、本開示はこれらに限定されることを意図されない。なぜなら、本開示は当該分野が許容すると同程度に範囲が広いこと、および本明細書も同様に読まれることが意図されるからである。従って、上記説明は、限定であると解釈されるべきではなく、単に、特定の実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で、他の改変を予測する。
【符号の説明】
【0115】
12 エンドエフェクタ
14 ハウジング
20 シャフト
22 操縦ユニット
502 ブラケット
504a、504b 内部ケーシング
506、515、516、518 平歯車
508、510、512 ベアリング
514R、514LR、514UD 電気モータ
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2011年11月16日に出願された、米国仮出願番号61/560,456の利益および優先権を主張する。この米国仮出願の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(背景)
本開示は、外科手術デバイスに関し、そしてより特定すると、本開示は、モータ式の関節運動および回転システムを有する、動力式外科手術デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
(技術分野)
多くの外科手術デバイスは、機械的クランプ作用と電気エネルギーとの両方を利用して、組織および血管を加熱して組織を凝固させ、焼灼し、そして/または封止することによって、止血を行う。観血外科手術手順において使用するための観血鉗子の代替物として、多くの最近の外科医は、より小さい穿孔様の切開を通して器官に遠隔的にアクセスするために、内視鏡および内視鏡器具を使用する。その直接的な結果として、患者は、より小さい瘢痕形成、および減少した治癒時間から利益を得る傾向がある。
【0004】
一般に、内視鏡外科手術は、例えば、卵巣、子宮、胆嚢、腸、腎臓、垂などを見、そして/または手術するために、体壁を切開することを包含する。多くの一般的な内視鏡外科手術手順が存在し、ほんの数個の名称としては、関節鏡法、腹腔鏡法(骨盤鏡法)、胃腸鏡法(gastroentroscopy)および咽頭気管支鏡法(laryngobronchoscopy)が挙げられる。代表的に、トロカールが切開を作製するために利用され、この切開を通して、内視鏡外科手術が行われる。
【0005】
トロカール管またはカニューレデバイスは、腹壁内に延ばされ、そして腹壁内で適所に残されて、内視鏡外科手術道具のためのアクセスを提供する。カメラまたは内視鏡が、比較的大きい直径のトロカール管を通して挿入される。このトロカール管は一般に、臍の切開に位置し、そして体腔の視診および拡大を可能にする。次いで、外科医は、この外科手術部位において、特殊化された器具類(例えば、さらなるカニューレを通して嵌められるように設計された、鉗子、カッター、およびアプリケータなど)の補助により、診断手順および治療手順を行い得る。従って、大きい筋肉を切り通す大きい切開(代表的に12インチ以上)の代わりに、内視鏡外科手術を受ける患者は、5ミリメートル〜10ミリメートルのサイズの、美容的により魅力的な切開を施される。従って、回復がより速く、そして患者は、従来の外科手術よりも少ない麻酔を必要とする。さらに、外科手術野が大いに拡大されるので、外科医はより良好に、血管を解剖すること、および血液損失を制御することが可能である。
【0006】
外科手術の外傷を減少させる継続的な努力において、標的組織にアクセスするために自然の開口部(例えば、口または肛門)を使用することによって、腹壁に全く切開を用いずに、医学的状態を診断し、そして外科手術により処置するための手順を行う可能性に、最近興味が持たれている。このような手順は時々、腔内手順、経腔手順、または自然の開口部を用いる経腔内視鏡外科手術(「NOTES」)と称される。多くのこのような腔内手順が依然として開発されているが、これらの手順は一般に、組織の標的組織へのアクセスを提供するために、可撓性の内視鏡器具または可撓性のカテーテルを利用する。腔内手順は、管腔内の状態を処置するために使用されている(例えば、食道における胃食道逆流性疾患の処置、および結腸からのポリープの除去が挙げられる)。いくつかの例において、医師は、腹腔内手順を実施するために、胃腸管の管腔の範囲を越えている。例えば、可撓性内視鏡器具類を使用して、胃壁が穿孔され得、そして種々の手順を行うために、内視鏡が腹腔内に進められ得る。
【0007】
このような腔内技術を使用して、診断診査、肝臓生検、胆嚢切除術、脾摘出術、および卵管結紮が、報告によれば、動物モデルにおいて実施されている。腹腔内介入が完了した後に、内視鏡用器具が胃に引き込まれ、そして穿孔が閉じられる。他の自然の開口部(例えば、肛門または膣)もまた、腹膜腔へのアクセスを可能にし得る。
【0008】
上記のように、多くの内視鏡外科手術手順および腔内外科手術手順は代表的に、血管または脈管組織を切断または結紮することを必要とする。しかし、このことは最終的に、より小さいカニューレを通して嵌められる内視鏡器具を作製する方法を見出そうと試みなければならない器具の製造業者に、設計の難題を与える。外科手術腔の固有の空間的考慮事項に起因して、外科医はしばしば、脈管を縫合すること、または出血を制御する他の従来の方法(例えば、横方向に切開された血管をクランプ留めすること、および/または縛ること)を実施する際に、困難を有する。内視鏡電気外科鉗子を利用することによって、外科医は、顎部材を通して組織に印加される電気外科エネルギーの強度、周波数および持続時間を単に制御することにより、焼灼、凝固/乾燥を行い得、そして/または単に、出血を減少させるかもしくは遅くし得る。最も小さい血管(すなわち、直径が2ミリメートル未満の範囲内)はしばしば、標準的な電気外科手術の器具および技術を使用して、閉じられ得る。しかし、より大きい脈管が結紮される場合、外科医は、内視鏡手順を観血外科手術手順に切り替え、これによって、内視鏡外科手術の利点を放棄することが必要であり得る。あるいは、外科医は、特殊化された脈管封止器具を利用して、より大きい脈管または組織を封止し得る。
【0009】
脈管を凝固させるプロセスは、電気外科脈管封止とは根本的に異なると考えられる。本明細書中での目的で、「凝固」は、組織の細胞が破壊されて乾燥させられる、組織を乾燥させるプロセスと定義される。「脈管封止」または「組織封止」は、組織内のコラーゲンを液化させて、これを融合塊に再形成させるプロセスと定義される。小さい脈管の凝固は、これらの脈管を永続的に閉鎖させるために充分であり、一方で、より大きい脈管は、永続的な封鎖を保証するために、封止される必要がある。さらに、大きい組織または脈管の凝固は、悪名高く弱い近位血栓(低い破裂強度を有する)をもたらし、一方で、組織の封止部は、比較的高い破裂強度を有し、そして組織封止面に沿って効果的に切断され得る。
【0010】
より具体的には、より大きい脈管(または組織)を効果的に封止する目的で、2つの主要な機械的パラメータ(脈管(組織)に加えられる圧力、および電極間のギャップ距離)が、正確に制御される。これらのパラメータの両方が、封止される脈管の厚さにより影響を受ける。より具体的には、圧力を正確に加えることは、脈管の壁を対向させるため;組織インピーダンスを、充分な電気外科エネルギーが組織を通ることを可能にするために充分に低い値に低下させるため;組織の加熱中の膨張力に打ち勝つため;および最後の組織の厚さ(これは、良好な封止の指標である)に寄与するために、重要である。代表的な融合される脈管壁は、0.001インチ〜0.006インチが最適であることが決定された。この範囲より小さい場合、その封止部は切れ得るかまたは裂け得、そしてこの範囲より大きい場合、これらの管腔は、適切にまたは効果的に封止されないかもしれない。
【0011】
より小さい脈管に関して、組織に加えられる圧力は、さほど重要ではなくなる傾向があり、一方で、導電性表面間のギャップ距離は、効果的な封止のためにより重要になる。換言すれば、2つの導電性表面が活性化中に接触する機会は、脈管がより小さくなるにつれて、増大する。
【0012】
一貫した効果的な封止を保証するための圧力範囲は、約290kPa〜約1570kPaであり、望ましくは、680kPa〜1275kPaの使用範囲内であることが見出された。この使用範囲内の閉鎖圧力を提供することが可能な器具を製造することは、動脈、組織および他の脈管束を封止するために効果的であることが示されている。
【0013】
種々の力起動アセンブリが、脈管封止を行うために適切な閉鎖力を提供するために、過去に開発されている。例えば、共有に係る米国特許出願番号10/460,926および同11/513,979は、2つの異なる想定される起動アセンブリを開示し、これらの出願の両方の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0014】
使用中に、外科医は、信頼性のある脈管封止を行うために必要とされる上記力を発生させながら、組織を複数の面で、すなわち、軸からずれた位置で把持するように、脈管封止具のエンドエフェクタアセンブリを操作することができないという難題が注目された。従って、複数の軸に沿って操作されることが可能であり、外科医が外科手術腔内で様々な面に沿って位置する脈管を把持して封止することを可能にする、エンドエフェクタアセンブリを備える内視鏡用または腔内用の脈管封止器具を開発することが、望ましくなっている。
【0015】
エンドエフェクタの軸からずれた関節運動のためのデバイスの2つの例は、同一人に譲渡された特許文献1および特許文献2に記載されており、これらの両方の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0016】
特許文献1に記載されるように、腔内手順はしばしば、可撓性のカテーテルまたは内視鏡を使用して、自然の管腔の蛇行した解剖学的構造内の深部の組織にアクセスすることを必要とする。従来の脈管封止デバイスは、自然の開口の蛇行した解剖学的構造を容易に通り抜け得ない硬いシャフトに起因して、いくつかの腔内手順における使用に適切ではないかもしれない。この観点で、特許文献1は、可撓性の関節運動シャフトを有する内視鏡脈管封止具を開示する。しかし、特許文献1の内視鏡脈管封止具は、ハウジングと一体的に形成された回転ノブの使用により、エンドエフェクタを関節運動させてエンドエフェクタを回転させるために、医師または外科医からの手動での入力を必要とした。関節運動および回転のための別々のノブが開示されている。関節運動と回転との両方を含むことは、このエンドエフェクタのほぼ完全な手根様の関節運動を可能にするが、この概念は、効果的な作動のための2つの手の使用を必要とした。一方の手がこの器具を保持し、そして他方の手が、回転および/または関節運動ホイールを回転させる。
【0017】
同様に、特許文献2は、2本または4本のいずれかの制御ワイヤを使用して、エンドエフェクタの複数の面内での関節運動を行うことを教示する。しかし、特許文献2もまた、効果的な作動のために外科医が両手を使うことを必要とした。さらに、4本のワイヤの使用は、複数の面での動きを可能にしたが、シャフトの関節運動部分の動きを同期させるために使用されるシステムは、手動であり、そして外科医の技術に依存した。
【0018】
内視鏡外科手術デバイスの片手用の設計もまた、本願の譲受人により想定されている。例えば、同一人に譲渡された特許文献3(その内容は参考として援用される)には、外科医がデバイスの回転と合わせてエンドエフェクタを関節運動させることを可能にし、その結果、手根様の動きへの近似が可能である、片手式の外科手術デバイスが開示されている。しかし、特許文献3に開示されるように、このエンドエフェクタの関節運動を達成するためには、この外科手術デバイスの近位端自体が軸からずれて動かされなければならない。関連技術の当業者により容易に理解され得るように、この外科手術デバイスの近位端でのこのような軸からずれた動きの必要性は、このデバイスと他の外科手術道具との干渉をもたらし得、このデバイスとこれらの他の外科手術道具とはまた、1つのアクセスポートを通して利用可能な制限された空間を取り合う。従って、片手での操作が可能であるが、他の道具との干渉が、外科医にさらなる困難を提示する。
【0019】
従って、外科医の片手によって操作され得る、可撓性の内視鏡またはカテーテル内への挿入が可能な可撓性シャフトを有する、内視鏡または腔内脈管封止器具を開発することが望ましい。また、ハウジング内に組み込まれて、外科医が片手のみを使用しながら、外科手術デバイスの近位端の軸からずれた動きを必要とせずに、エンドエフェクタの全ての必要な関節運動を行うことを可能にし、従って、他の道具のために利用可能な空間を損なうことなく、このような道具を使用するために外科医がもう片方の手を利用することを可能にする、このようなエンドエフェクタを開発することも望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0076433号
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0179540号
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/0054734号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
ハウジングであって、該ハウジングから延びるシャフトを有し、該シャフトは、少なくとも関節運動部分およびエンドエフェクタを備える、ハウジング;
該シャフトの近位端に接続され、そして該近位端と一緒に回転可能である、第一のケーシング;
該第一のケーシングに収容された内部枠;
複数のポストであって、該内部枠により支持され、そして該ポストの遠位端において少なくとも1つの駆動ワイヤに接続され、そして該ポストの近位端においてねじ切りされたシャフトに接続されている、複数のポスト;
該第一のケーシングに接続され、そして該第一のケーシングと一緒に回転可能である第二のケーシングであって、該第二のケーシングは、該ねじ切りされたシャフトを収容する、第二のケーシング;
第一の歯車を駆動する第一の電気モータであって、該第一の歯車は、該複数のねじ切りされたシャフトの第一の対を同じ方向に回転させるように、該ねじ切りされたシャフトとインターフェースしている、第一の電気モータ;ならびに
第二の歯車を駆動する第二の電気モータであって、該第二の歯車は、接続された該シャフトならびに第一のケーシングおよび第二のケーシングを共通の軸の周りで回転させる、第二の電気モータ;
を備え、該第一の歯車を第一の方向に駆動することが、該関節運動部分を第一の面内で関節運動させる、
組織を処置するための外科手術器具。
(項目2)
第三の歯車を駆動する第三の電気モータをさらに備え、該第三の歯車は、前記複数のねじ切りされたシャフトの少なくとも第二の対を同じ方向に駆動し、該第三の歯車を第一の方向に駆動することが、前記関節運動部分を第二の面内で関節運動させる、上記項目に記載の外科手術器具。
(項目3)
ねじ切りされたシャフトの各対が、左ねじを切られた1つのシャフトおよび右ねじを切られた1つのシャフトを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目4)
前記第一の歯車および前記第三の歯車が遊星歯車とインターフェースして、該第一の歯車および該第三の歯車のそれぞれのねじ切りされたシャフトの対を駆動する、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目5)
各ねじ切りされたシャフトが、前記遊星歯車の内歯車歯により駆動される平歯車を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目6)
制御システムをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目7)
前記制御システムが、少なくとも1つのプロセッサ、および制御アルゴリズムを格納するための1つのメモリを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目8)
前記第一のモータ、前記第二のモータ、および前記第三のモータが、該モータの機械的運動のフィードバックを前記制御システムに提供するエンコーダを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目9)
所望のエンドエフェクタ運動データを前記制御システムに提供するユーザ入力をさらに備え、該制御システムは、入力された該エンドエフェクタ運動データを解釈し、そして該エンドエフェクタ運動データに従って、前記第一のモータ、前記第二のモータ、または前記第三のモータのうちの1つ以上に信号を送る、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目10)
前記メモリに格納された制御アルゴリズムをさらに備え、該制御アルゴリズムは、前記入力されたエンドエフェクタ運動データに応答して前記エンドエフェクタの運動を制御するためのものである、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目11)
前記アルゴリズムおよび前記制御システムは、前記第一のモータ、前記第二のモータ、および前記第三のモータの運動を同期させ、そして前記エンドエフェクタおよび前記関節運動部分の、複数の面内での同時の運動を可能にする、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目12)
前記ユーザ入力が、ボタン、トグル、ジョイスティック、圧力センサ、スイッチ、トラックボール、ダイヤル、光学センサ、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目13)
電気外科エネルギー源をさらに備え、該電気外科エネルギー源は、前記エンドエフェクタに作動可能に接続された1つ以上の封止プレートにエネルギーを提供する、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目14)
前記エンドエフェクタは、可動ハンドルの起動の際に開位置から閉位置へと移動可能であり、そして前記電気外科エネルギーの印加は、該エンドエフェクタが該閉位置に移動するまで防止される、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
(項目15)
ナイフをさらに備え、該ナイフは、前記電気外科エネルギーの印加により前記組織に封止部を形成した後に、組織を切断するためのものである、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術器具。
【0022】
(摘要)
組織を処置するための外科手術器具であって、この器具は、ハウジング、ならびに関節運動部分およびエンドエフェクタを有するシャフトを備える。この外科手術器具は、第一のケーシングおよび第二のケーシングを備える。この第一のケーシングは、このシャフトの近位端に接続されてこの近位端と一緒に回転可能であり、この第一のケーシングに収容された内部枠、およびこの内部枠により支持された複数のポストを有する。これらのポストは、それらの遠位端で少なくとも1つの駆動ワイヤに接続され、そしてそれらの近位端でねじ切りされたシャフトに接続される。この第二のケーシングは、この第一のケーシングに接続され、そしてこの第一のケーシングと一緒に回転可能であり、この第二のケーシングは、これらのねじ切りされたシャフトを収容する。この外科手術器具は、第一の電気モータを備え、この第一の電気モータは、これらのねじ切りされたシャフトとインターフェースする第一の歯車を駆動させ、その結果、これらの複数のねじ切りされたシャフトの第一の対を同じ方向に回転させ、そしてこの関節運動部分を第一の面内で関節運動させる。
【0023】
(要旨)
本開示の1つの局面は、組織を処置するための外科手術器具に関する。この器具は、ハウジングを備え、このハウジングからシャフトが延びており、このシャフトは、少なくとも関節運動部分およびエンドエフェクタを備える。このシャフトの近位端に第一のケーシングが接続されており、この第一のケーシングは、この近位端と一緒に回転可能である。内部枠が、この第一のケーシングに収容されている。複数のポストがこの内部枠により支持されており、そしてそれらの遠位端で少なくとも1つの駆動ワイヤに接続され、そしてそれらの近位端でねじ切りされたシャフトに接続されている。第二のケーシングがこの第一のケーシングに接続され、そしてこの第一のケーシングと一緒に回転可能であり、この第二のケーシングは、これらのねじ切りされたシャフトを収容する。第一の電気モータが、第一の歯車を駆動する。この第一の歯車は、これらの複数のねじ切りされたシャフトの第一の対が同じ方向に回転するように、ねじ切りされたシャフトとインターフェースしている。第二の電気モータが、第二の歯車を駆動する。この第二の歯車は、接続されたシャフトと第一のケーシングおよび第二のケーシングとを共通の軸の周りで回転させる。第一の歯車の第一の方向への駆動は、この関節運動部分を第一の面内で関節運動させる。
【0024】
この外科手術器具は、第三の歯車を駆動する第三の電気モータをさらに備え得る。この第三の歯車は、これらの複数のねじ切りされたシャフトの第二の対を同じ方向に駆動し、ここでこの第三の歯車の第一の方向への駆動は、この関節運動部分を第二の面内で関節運動させる。
【0025】
本開示の別の局面によれば、ねじ切りされたシャフトの各対は、左ねじを切られた1つのシャフトおよび右ねじを切られた1つのシャフトを備える。さらに、第一の歯車および第三の歯車は、遊星歯車とインターフェースして、それらのねじ切りされたシャフトのそれぞれの対を駆動し得、そして各ねじ切りされたシャフトは、これらの遊星歯車の内歯車歯により駆動される平歯車を備え得る。
【0026】
本開示の別の局面において、この外科手術器具は、制御システムを備える。この制御システムは、少なくとも1つのプロセッサ、および制御アルゴリズムを格納するための1つのメモリを備え得る。さらに、第一のモータ、第二のモータ、および第三のモータは、そのモータの機械的運動のフィードバックをこの制御システムに提供するエンコーダを備え得る。
【0027】
本開示の別の局面は、所望のエンドエフェクタ運動データをこの制御システムに提供するユーザ入力であり、ここでこの制御システムは、この入力されるエンドエフェクタ運動データを解釈し、そしてこのエンドエフェクタ運動データに従って、第一のモータ、第二のモータ、または第三のモータのうちの1つ以上に信号を送る。
【0028】
本発明のさらなる局面に従って、この制御システムは、このメモリに格納された制御アルゴリズムを備え得、この制御アルゴリズムは、入力されるエンドエフェクタ運動データに応答してこのエンドエフェクタの運動を制御するためのものである。本発明の1つの局面において、このアルゴリズムおよび制御システムは、第一のモータ、第二のモータ、および第三のモータの運動を同期させ、そしてエンドエフェクタおよび関節運動部分の、複数の面内での同時の運動を可能にする。
【0029】
このユーザ入力は、ボタン、トグル、ジョイスティック、圧力センサ、スイッチ、トラックボール、ダイヤル、光学センサ、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択され得る。
【0030】
本発明のさらなる局面に従って、この外科手術器具は、電気外科エネルギー源を備え、この電気外科エネルギー源は、このエンドエフェクタに作動可能に接続された1つ以上の封止プレートにエネルギーを提供する。このエンドエフェクタは、可動ハンドルの起動の際に、開位置から閉位置へと移動可能であり、そしてこの電気外科エネルギーの印加は、このエンドエフェクタがこの閉位置に移動するまで防止される。この外科手術器具はまた、この電気外科エネルギーの印加によって組織に封止部を形成した後に、この組織を切断するためのナイフを備え得る。
【0031】
本発明のこれらおよび他の局面は、以下の図面および詳細な説明に、より詳細に説明および記載される。
【0032】
本発明の器具の種々の実施形態が、図面を参照しながら本明細書中に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本開示に従う、ハウジング、可撓性シャフトおよびエンドエフェクタアセンブリを示す内視鏡鉗子の斜視図である。
【図2】図2は、図1の可撓性シャフトおよびエンドエフェクタアセンブリの拡大正面斜視図である。
【図3】図3は、図1の可撓性シャフトおよびエンドエフェクタの拡大分解背面斜視図である。
【図4】図4は、開いた構成で示されている、図2の可撓性シャフトおよびエンドエフェクタアセンブリの側断面である。
【図5】図5は、閉じた構成で示されている、図2の可撓性シャフトおよびエンドエフェクタアセンブリの側断面である。
【図6】図6は、エンドエフェクタアセンブリの顎部材内に配置された組織を切断するように構成された切断機構の遠位への並進運動を示す、図2の可撓性シャフトおよびエンドエフェクタの側断面である。
【図7】図7は、関節運動していない状態にある、図2のエンドエフェクタアセンブリの長手軸方向断面図である。
【図8】図8は、関節運動した状態にある、図2のエンドエフェクタアセンブリの長手軸方向断面図である。
【図9】図9は、本開示に従う、別の部分的に可撓性であるシャフトおよびエンドエフェクタアセンブリの拡大斜視図である。
【図10】図10は、図9の部分的に可撓性であるシャフトの拡大分解斜視図である。
【図11】図11は、エンドエフェクタアセンブリが部分的に開いた構成で示されている、図10の部分的に可撓性であるシャフトの底面斜視図である。
【図12】図12は、エンドエフェクタアセンブリが閉じた構成で示されている、図10の部分的に可撓性であるシャフトの正面斜視図である。
【図13】図13は、関節運動した配向にある、図10の部分的に可撓性であるシャフトの上断面である。
【図14】図14は、本開示の別の局面に従う、関節運動していない状態にある可撓性シャフトおよびエンドエフェクタアセンブリの拡大正面上面図である。
【図15】図15は、図14の可撓性シャフトおよびエンドエフェクタの拡大分解正面斜視図である。
【図16】図16は、上方に関節運動した位置にある、図14の可撓性シャフトおよびエンドエフェクタの拡大側面図である。
【図17】図17は、右に関節運動した位置にある、図14の可撓性シャフトおよびエンドエフェクタの拡大側面図である。
【図18】図18は、左に関節運動した位置にある、図14の可撓性シャフトおよびエンドエフェクタの拡大側面図である。
【図19】図19は、操縦ユニットが切り取られて内部機構を示している、図1のシャフトおよび操縦ユニットの正面斜視図である。
【図20】図20は、操縦ユニットが切り取られて内部機構を示している、図1のシャフトおよび操縦ユニットの一部分の背面斜視図である。
【図21】図21は、操縦ユニットが切り取られて内部機構を示し、そして第一のケーシングが取り外されて内部を示している、図1のシャフトおよび操縦ユニットの一部分の正面斜視図である。
【図22】図22は、操縦ケーブルを駆動するための、図1のモータおよび遊星伝動装置の背面斜視図である。
【図23】図23は、参照座標系および面を図示する、本開示の1つの局面に従うシャフトの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示のこれらおよび他の局面が、以下により詳細に記載される。
【0035】
(詳細な説明)
本開示は、細長い、一般に可撓性であり関節運動するシャフトを利用する、動力式内視鏡器具(例えば、内視鏡鉗子)に関する。本開示の別の局面は、電気外科内視鏡デバイスに関し、そしてより特定すると、細長い、一般に可撓性であり関節運動するシャフトを利用して、組織を封止および/または切断するための、内視鏡電気外科鉗子に関する。1つの実施形態において、例えば、このようなデバイスは、可撓性の細長本体部分またはシャフトの近位端に接続された、ハンドル、ハンドルアセンブリまたは他の適切な起動機構(例えば、ロボットなど)を備える。この可撓性シャフトの遠位部分は、1つ以上のジョイントからなる関節運動部分を備え、関節運動ケーブルの起動に応答して、エンドエフェクタの長手方向軸から離れる方向への関節運動を可能にする。エンドエフェクタは、この可撓性シャフトの遠位端に作動可能に支持される。このエンドエフェクタは、1対の顎を備え、これらの顎は、閉位置と開位置との間で起動され得る。これらの顎は、これらの顎間に把持された組織に電気エネルギーを供給するように適合され得る。このエンドエフェクタはまた、顎内に把持された組織を切断するように起動され得る、ナイフアセンブリを備え得る。
【0036】
顎を開閉させる機能;ナイフアセンブリを操作する機能;およびエンドエフェクタを関節運動させる機能は、ハンドルから遠隔的に、このハンドル内の種々の機構の起動によって、実施され得る。機械的運動は、このハンドルからこの可撓性シャフトを通してこのエンドエフェクタへと、この可撓性シャフト内の可撓性または剛性のケーブルまたは棒によって、伝達され得る。例えば、1つの実施形態において、関節運動を与えるために2つのケーブルが使用され;1つのプッシュ−プル様式のケーブルが顎を開閉させ;そして第二のプッシュ−プル様式のケーブルがナイフアセンブリを起動させる。本開示のデバイスの1つの局面は、可撓性内視鏡の管腔内に配置され、次いで患者の自然の開口部に挿入され、そして腔内を通されて、この自然の管腔の解剖学的構造を通り、この自然の管腔の内側または外側の処置部位に達するように適合される。あるいは、このデバイスは、外科手術ポートまたは当業者に公知である他の手段を介して、患者の身体内に挿入され得る。図面および以下の説明において、用語「近位」とは、慣習的であるように、電気外科手術デバイスおよびその構成要素の、ユーザに近い方の端部をいい、一方で、用語「遠位」とは、ユーザから遠い方の端部をいう。
【0037】
図1は、本開示の1つの局面の全体図を示す。図1は、内視鏡デバイス10を図示する。この内視鏡デバイスは、シャフト16を介してハウジングまたは本体14に接続されたエンドエフェクタ12を備える。シャフト16は、関節運動部分18および非関節運動部分20から構成される。シャフト16の関節運動部分18は、一連の可動リンクから作製され得、そして以下でより詳細に議論される。シャフト16は、エンドエフェクタ12にクランプさせるか、切断させるか、またはエネルギーを送達するための、操縦ケーブルおよび作動部材(ワイヤ、棒、ケーブルなどのようなもの)を含む。上記のように、シャフト16は、本体14に接続され、そして具体的には、操縦ユニット22に接続される。シャフト16は、硬い材料(例えば、ステンレス鋼)から形成され得るか、あるいは可撓性材料(例えば、プラスチックチュービング)から形成され得、そして軸方向(例えば、圧縮)強度および回転強度を提供するために、編組された鋼の管を組み込み得る。
【0038】
本体14にはまた制御システム24が収容され、この制御システムは、プログラム可能なマイクロプロセッサを備え得る。電力が、外部供給源(例えば、電気外科発電機)からケーブル26を介して内視鏡デバイス10に供給されるか、あるいはハウジング14内に組み込まれた局部電池(図示せず)から送達され得る。少なくとも1つの電気接続28が、制御システム24に電力を与えるために使用される。制御システム24の機能のうちの1つは、操縦ユニット22を制御することであり、具体的には、操縦ユニット5に組み込まれた操縦制御モータの起動を制御することである。これらの操縦制御モータは、以下でより詳細に議論される。
【0039】
図1に示されるように、起動スイッチ30が、内視鏡デバイス10の本体14の頂部に形成される。起動スイッチ30は、ユーザまたは外科医が所望のコマンドを制御システム24に入力することを可能にし、この制御システムは次に、操縦ユニットを駆動して、エンドエフェクタ12の関節運動および/または回転を行わせる。さらなる起動要素(例えば、組織を把持する目的でエンドエフェクタ12の開閉を制御し得るクランピングハンドル32)もまた組み込まれ得る。エンドエフェクタ12内に保持された組織を封止または切断するための電気外科エネルギーの印加を行うために、トリガ34が提供され得る。さらに、または代替的に、トリガ34は、以下でより詳細に議論されるように、ナイフ刃を起動させ得る。
【0040】
組織を封止または切断するための電気外科エネルギーの使用に関する本開示の局面に従って、ケーブル26に電力を供給する電源は、発電機(例えば、Covidienにより販売されるもの(例えば、LIGASURETM Vessel Sealing GeneratorまたはForce TriadTM Generator))であり得ることが想定される。
【0041】
この発電機は、種々の安全特徴および性能特徴(隔離された出力、アクセサリの独立した作動、および/またはいわゆる「Instant ResponseTM」ソフトウェア(これは、Covidienが所有する専用技術である)が挙げられる)を備え得る。Instant ResponseTMは、高性能フィードバックシステムであり、組織の変化を1秒間あたり200回感知し、そして電圧および電流を調節して、適切な電力を維持する。Instant ResponseTM技術は、脈管封止のための以下の利点のうちの1つ以上を提供すると考えられる:全ての組織型にわたって一貫した臨床効果;熱の広がりおよび付随する組織損傷の危険性の減少;「発電機の出力を大きくする」必要性の低下;ならびに最小侵襲性環境のための設計。
【0042】
ここで図2を参照すると、エンドエフェクタ12および関節運動部分18の拡大図が図示されている。関節運動部分18は、可撓性であり、そして1つ以上の可動ジョイント18aを含む。可撓性のケーシングまたはスリーブ(図示せず)が、関節運動部分18の複数の内部可動ジョイント18aを保護するために使用され得る。可動ジョイント18aを使用する関節運動部分18の関節運動は、関節運動ケーブル38a、38bの操作によって達成される。
【0043】
上記のように、エンドエフェクタ12は、内視鏡デバイス10の遠位端に取り付けられ、そして対向する1対の顎部材40および42を備える。可動ハンドル32が駆動アセンブリに接続され、この駆動アセンブリは、機械的に協働して、顎部材40および42の開位置(この位置において、顎部材40および42は、互いに対して間隔を空けた関係で位置する)から、図2に図示されるようなクランプされた位置または閉位置(この位置において、顎部材40および42は、協働して間に組織を把持する)への動きを付与する。
【0044】
エンドエフェクタ12は、片側性アセンブリ(すなわち、顎部材42がシャフト16に対して固定されており、そして顎部材40が組織を把持するために旋回ピン44の周りで旋回する)または両側性アセンブリ(すなわち、顎部材40と42との両方が共通の軸に対して動く)として設計され得る。駆動棒46または駆動スリーブが、駆動アセンブリ(図示せず)に作動可能に結合され、そして例えば、可動ハンドル32の固定ハンドル36の方向への移動によって、選択的に往復可能であり、顎部材40および42を互いに対して起動させる。すなわち、旋回させる。このデバイスの1つの実施形態において、駆動棒46は可撓性であり、そして例えば、ケーブルであり得る。
【0045】
本開示に従って、図3に最もよく示されるように、ナイフチャネル48が、上顎部材40および/または下顎部材42に規定され得る(ただし、図3においては上顎においては示されない)。ナイフチャネル48は、顎部材40および42の中心を通って延びるような寸法にされ、その結果、顎部材40および42が閉位置にある場合に、刃50が、顎部材40と42との間に把持された組織を切断するために選択的に往復させられ得る。刃50(またはエンドエフェクタ12もしくは駆動アセンブリと組み合わせられた刃50)は、顎部材40および42が閉じている場合にのみ刃50が前進させられ得るように構成され得、従って、組織を通る刃50の不慮または尚早な作動を防止する。
【0046】
図2および図3に最もよく示されるように、顎部材40は、絶縁顎ハウジング52および導電性の表面または封止プレート54を備える。絶縁体52は、スタンピングによって、オーバーモールディングによって、スタンピングされた導電性封止プレートをオーバーモールディングすることによって、そして/または金属で射出成形された封止プレートをオーバーモールディングすることによって、導電性封止表面54にしっかりと係合するような寸法にされる。これらの製造技術の全てが、絶縁顎ハウジング52によって実質的に囲まれた導電性表面54を有する顎部材40を製造する。顎部材40はまた、1つ以上のワイヤガイドまたはチャネル(図示せず)を備え得、このワイヤガイドまたはチャネルは、リード線が封止表面54との電気導通状態になることを可能にするように設計される。
【0047】
顎部材42は、顎部材40と類似の要素(例えば、絶縁顎ハウジング56、および絶縁顎ハウジング56にしっかりと係合するような寸法にされた導電性封止表面または封止プレート58)を備える。導電性表面54、58および絶縁顎ハウジング52、56は、組み立てられると、これらを通して規定された長手軸方向に配向するチャネル48を、ナイフ刃50の往復のために備える。上記のように、顎部材40および42が組織を挟んで閉じられると、ナイフチャネル48は、ナイフ50が遠位の様式で長手軸方向に延長して、組織封止部に沿って組織を切断することを可能にする。1つのナイフチャネル(例えば、48)が、特定の目的に依存して、2つの顎部材のうちの一方(例えば、顎部材40または42)内に完全に配置され得る。顎部材42は、顎部材40に関して上に記載された様式と類似の様式で、組み立てられ得る。
【0048】
顎部材42は、導電性封止表面56の内側に向く表面に配置された一連の止め部材60を備えて、組織の把持および操作を容易にし、そして組織の封止中および切断中に、対向する顎部材40と42との間にギャップ「G」を規定する。組織を効果的に信頼できるように封止するための、導電性封止表面54と58との間の好ましいギャップ「G」は、約0.001インチ〜約0.006インチである。止め部材60は、特定の目的に依存して、または所望の結果を達成するために、顎部材40および42のうちの一方または両方において使用され得る。止め部材60は、導電性封止プレート58の頂部に熱的に噴霧され得るか、または当該分野において公知である他の任意の様式で、堆積もしくは付着され得る。さらに、止め部材60は、特定の顎の構成または所望の外科手術的結果に依存して、導電性の顎表面54および58に沿って任意の構成で配置され得る。
【0049】
電気リード線(図示せず)が、第一の電位を顎部材40にもたらし、そして第二の電位は、駆動棒46(あるいは上記スリーブ)を通して顎部材42まで伝達される。作動の際に、これらの2つの電位は、電気エネルギーを、導電性封止プレート54と58との間に保持された組織に伝送する。
【0050】
駆動棒46の近位への移動は、顎部材40および42を閉位置に旋回させる。より具体的には、一旦起動されると、ハンドル32は、固定ハンドル36に向かってほぼ円弧の様式で移動し、これが、往復する駆動棒142をほぼ近位の方向に動かして、顎部材40および42を閉じる。1つの実施形態において、ハンドル32の近位への回転は、トリガ34に付随するロックフランジを解放し、すなわち、「ロック解除」し、ナイフ50の選択的起動を可能にする。一旦、組織が(約290kPa〜約1570kPaの必要とされる圧力範囲内で)把持されると、ユーザは、電気外科エネルギーを選択的に印加して、組織を効果的に封止する。一旦封止されると、ユーザは、トリガ34を起動することによりナイフ50を選択的に前進させて、組織をシール封止部に沿って切断する。1つの実施形態において、例えば、トリガアセンブリ34の起動は、ケーブル(シャフト16を通って延び、そしてナイフ50に作動可能に結合される)を遠位に移動させ、これによって、組織を組織封止部に沿って切断する。別の実施形態において、トリガアセンブリは、伝動装置を備え、この伝動装置は、トリガアセンブリの起動を、シャフト16を通って延びるケーブルの回転運動に変換する。
【0051】
図2および図3に関連して上に記載されたように、この電気外科手術デバイスは、複数のジョイント18aを備え、これらのジョイントは、入れ子状に直列に配置されて、可撓性関節運動部分18を形成する。関節運動部分18の遠位端は、エンドエフェクタ12に機械的に係合し、そしてその近位端は、シャフト20に機械的に係合する。可撓性シャフト18の複数のジョイント18aの各々は、遠位ナックル18bおよびそれと一緒に形成された近位クレビス18cを備える。各ナックル18bは、隣接するジョイント18aのクレビス18cに作動可能に係合する。各ジョイント18aは、その内部に形成された中心管腔18d、および中心管腔18dの両側に形成された対向する1対の管腔18eを規定する。関節運動ケーブル38aおよび38bが、ジョイント18aのそれぞれの管腔18eを通ってスライド可能に延びる。ケーブル38aおよび38bの作動は、図7および図8に関して以下でより詳細に説明される。
【0052】
図3に見られるように、エンドエフェクタ12は、顎部材40および42を旋回可能に支持するように構成された、顎支持部材62を備える。顎支持部材62は、その近位端に管腔64を規定し、そしてその遠位端に間隔を空けた1対のアーム66aおよび66bを規定する。管腔64は、シャフト16の関節運動部分18の最遠位のジョイント18aから延びるステム18fを受容するような構成および寸法にされる。管腔64は、その表面に対向する1対のチャネル68a、68bを備え、これらのチャネルは、その内部での往復のためにナイフ刃50をスライド可能に受容するように構成される。
【0053】
顎40および42は、顎旋回ピン70によって、支持部材62に旋回可能に設置される。顎旋回ピン70は、支持部材62のアーム66aおよび66bに形成された開口部分72、ならびに顎部材40および42に形成されたそれぞれの開口部分74a、74bを通って延びる。顎40および42を開位置と閉位置との間で動かすために、軸方向または長手軸方向に移動可能な中心棒76が、カム作用ピン78を用いて、中心棒76の遠位端において顎支持部62内に設置される。カム作用ピン78は、それぞれの顎部材40および42に形成された、角度の付いたカム作用スロット80aおよび80bに載って係合し、その結果、駆動棒46を介する中心棒76の軸方向または長手軸方向での移動は、顎40および42を開位置と閉位置との間でカム作用させる。
【0054】
エンドエフェクタ12は、キー付き棒82を備え、このキー付き棒は、中心棒76の近位端に回転可能に接続された遠位端を有する。キー付き棒82は、駆動棒46の遠位端にしっかりと接続された近位端、および遠位端と近位端との間に配置された本体部分を備え、この本体部分は、非円形の断面プロフィールを有する。
【0055】
エンドエフェクタ12は、カム作用ハブ84をさらに備え、このカム作用ハブは、このカム作用ハブを通して規定された管腔86を有し、この管腔は、キー付き棒82の本体部分をスライド可能に受容するように構成および適合される。カム作用ハブ84は、その内部に規定された嵌合する機械的インターフェースを備え、この機械的インターフェースは、キー付き棒82の本体部分の外周の構成と協働して、以下により詳細に説明されるような回転の目的で、これらの2つの構成要素半体のポジティブな係合を可能にする。カム作用ハブ84はまた、その外側表面に規定されたつる巻き状または螺旋状の溝88を備え、この溝は、ナイフ50の移動止め突出部90に機械的に係合するように構成される。この移動止め突出部の目的もまた、以下により詳細に説明される。カム作用ハブ84は、支持部材62の管腔64内での回転可能な配置のために構成される。代替の実施形態において、カム作用ハブ84は、回転運動を直線運動に変換するための他の機構(例えば、親ねじ、および1つ以上の歯車など)により置き換えられてもよい。
【0056】
作動において、駆動棒46は、2つの異なる別の機能を提供するように構成される。すなわち、その軸方向の移動は、顎部材40および42を開位置と閉位置との間で起動させ、そしてその回転運動は、ナイフ50を組織に通して前進させる。より具体的には、駆動棒46の軸方向での移動は、軸方向の移動をキー付き棒82に付与し、これは次に、軸方向の移動を中心棒76に付与する。しかし、カム作用ハブ84はキー付き棒82をスライド可能に支持しているので、このカム作用ハブには軸方向の移動が付与されず、そしてキー付き棒82は、カム作用ハブ84をスライド可能に横断して、軸方向の力を中心棒76に付与し得る。
【0057】
図4から図5へと進行して最もよく示されるように、駆動棒46の矢印「F」の方向への近位への並進は、カム作用ピン78をカム作用スロット80aおよび80b内で近位に押して、顎部材40および42を、必要な閉鎖圧力で必要なギャップ「G」範囲内で、組織を挟んで閉じる。代替の実施形態(図示せず)において、駆動棒46により起動される機能は、逆にされて、軸方向の移動がナイフ50を前進させ、そして回転運動が顎部材40および42を開閉させてもよい。次いで、導電性封止プレート54、58は、エネルギーを付与されて、電気エネルギーを顎部材40と42との間に保持された組織に通して伝達する。
【0058】
一旦、適切な組織封止部が形成されると、この組織は、この組織封止部に沿って切断され得る。ここでまた、1つ以上の安全特徴が使用されて、組織を切断する前に、適切な封止部が形成されたことを保証し得る。例えば、発電機は安全ロックアウトを備え得、この安全ロックアウトが、適切かつ効果的な封止部が形成されない限り、ナイフ50の起動を電気的に防止するか、または電気機械的に防止する。上記のように、脈管または組織を封止することは、単に組織を凝固させることに留まるものではなく、そして効果的に組織を封止するためには、圧力、エネルギーおよびギャップ「G」の正確な制御を必要とすることに留意することもまた、重要である。
【0059】
上記のように、本開示は、ナイフ50を組み込み、このナイフは、トリガ34により起動させられると、理想組織面に沿って、正確な様式で組織を次第に選択的に分割して、この組織を2つの封止された半分に効果的に信頼性高く分割する。ナイフ50は、ユーザが切断器具をカニューレまたはトロカールポートを通して交換することなく、封止の直後に組織を迅速に分離することを可能にする。
【0060】
ナイフ刃50はまた、同じかまたは代替の電気外科エネルギー源に結合されて、組織封止部に沿った組織の分離を容易にし得ることが想定される。さらに、ナイフ刃50の刃の先端の角度は、特定の目的に依存して、より攻撃的な切断角度、またはより攻撃性が小さい切断角度を提供するような寸法にされ得ることが想定される。例えば、ナイフ刃50は、切断に関連する「組織断片(tissue wisp)」を減少させる角度で配置され得る。さらに、ナイフ刃50は、特定の目的に依存して、または特定の結果を達成するために、異なる刃の形状(例えば、鋸歯状、切り欠き付き、穿孔付き、中空、凹状、凸状など)を有するように設計され得る。ナイフ50は一般に、漸進的に一方向の様式で(すなわち、遠位への移動の際に)切断することが想定される。上記のように、駆動棒は、2つの機能(顎部材40および42を開閉させること、ならびにナイフ50を前進させて組織を切断すること)を実施する。組織を切断する目的で、駆動棒46の回転は、回転をキー付き棒82に付与し、これは次に、回転をカム作用ハブ84に付与する。キー付き棒82の遠位端は、中心棒76の近位部分内で回転させられる。従って、中心棒76(その遠位端でカム作用ピン78に接続されている)は、回転しない。
【0061】
エンドエフェクタ12は、ナイフ50に作動可能に結合され、このナイフは、支持部材62のそれぞれのチャネル68aおよび68b内にスライド可能に支持される。より具体的には、ナイフ50は、その遠位端に鋭利または鋸歯状の縁部を備え、そしてそこから近位に、1対のガイドフランジを備える。ナイフ刃50の近位端は、突出部90を備え、この突出部は、カム作用ハブ84に規定された螺旋状またはつる巻き状の溝88の中に係合して載るように構成される。
【0062】
作動において、図6に示されるように、カム作用ハブ84が矢印「C」の方向に回転するにつれて、近位端90がカム作用ハブ84の溝88の中に載り、そしてこのカム作用ハブに対して軸方向「A」に移動する。カム作用ハブ84の一方向への回転は、刃50を顎部材40および/または42のナイフチャネル48を通して遠位に押して、これらの顎部材間に配置された組織を切断する。逆方向への回転は、近位端90を近位に押して、刃50を最近位に引き込む。ばねが、カム作用ハブ84と作動可能に関連して、ナイフ50を最近位の配向に付勢し得る。
【0063】
上記のように、エンドエフェクタ12は、選択的に関節運動し得る。より具体的には、図7に見られるように、エンドエフェクタ12が軸方向に整列した状態で、エンドエフェクタアセンブリ12を関節運動させる目的で、本体14から操作可能な少なくとも1つの関節運動ケーブル(38a、38b)が使用される。各関節運動ケーブル(38a、38b)は、エンドエフェクタ12と作動可能に接続可能な遠位端、および少なくとも1つの制御要素(例えば、以下により詳細に記載されるような駆動モータ)に作動可能に接続された近位端を備える。2つの関節運動ケーブル38a、38bを使用する1つの例において、この制御要素の動きは、第一の関節運動ケーブル38aの動きをもたらし、ここで第一の関節運動ケーブル38aの第一の方向への動きは、エンドエフェクタ12の第一の方向への関節運動を引き起こす。同様に、第二の関節運動ケーブル38bの第二の方向への動きは、エンドエフェクタ12の第二の方向への関節運動をもたらす。このことは、本明細書中で一般に、2ワイヤ関節運動システムおよび方法と称される。
【0064】
より具体的には、図7および図8を参照して、第一の関節運動ケーブル38b(すなわち、図7および図8の図示において下の関節運動ケーブル)が、図8の矢印「D」により示されるように近位方向に引かれると、関節運動ケーブル38bの遠位端(関節運動部分18の最遠位のジョイント18aに繋留されている)は、ジョイント18aを、ナックル18bとクレビス18cとの間の界面の周りで回転させ、これによって、これらの間でその横表面に沿って規定されるギャップを、収縮させる。このようにする際に、エンドエフェクタ12は、矢印「B」の方向に、すなわち、長手方向軸を横断する方向に、下向きの方向に関節運動する。エンドエフェクタアセンブリ12を関節運動していない状態に戻すため、またはエンドエフェクタアセンブリ12を逆方向に関節運動させるためには、関節運動ケーブル38a(すなわち、図7および図8の図示において上の関節運動ケーブル)が近位方向に引かれなければならず、そして関節運動ケーブル38bに加えられる力が解放されてこの関節運動ケーブルが逆方向に動くことを可能にしなければならない。
【0065】
種々のハンドルおよび/またはハンドルアセンブリが、エンドエフェクタ12の種々の構成要素(すなわち、駆動ケーブル46および/または関節運動ケーブル38a、38b)の作動および移動を行う目的で、エンドエフェクタ12に作動可能に接続され得るか、または他の方法で関連し得る。
【0066】
1つの想定される実施形態において、ナイフ50は、内視鏡デバイス10に含まれなくてもよく、そしてこのデバイスは、脈管または他の組織束を封止するためのみに設計されてもよい。
【0067】
代替の2ワイヤのエンドエフェクタアセンブリおよび駆動機構が、図9〜図13に示されている。上に記載されたエンドエフェクタ12および関節運動部分18の上記特徴の多くは、エンドエフェクタ112および関節運動部分118のものと類似であるので、一貫性の目的で、これらの特徴は、より簡略化された形態で以下に与えられる、以下の議論において援用される。
【0068】
エンドエフェクタ112は、対向する顎部材140および142を備え、これらの顎部材は協働して、封止の目的で組織を効果的に把持する。エンドエフェクタ112は、片側性アセンブリとして設計される。すなわち、顎部材142は関節運動部分118に対して固定されており、そして顎部材140は、組織を把持するために旋回ピン144の周りで旋回する。
【0069】
図10に示されるように、往復スリーブ200が、関節運動部分118内にスライド可能に配置され、そして駆動アセンブリ(図示せず)によって遠隔操作可能である。旋回する顎部材140は、顎部材140から往復スリーブ200内に配置された開口部分204を通って延びる突出部202を備える(図10、図11)。旋回する顎部材140は、スリーブ200を結合部分206内で軸方向にスライドさせることにより起動され、その結果、開口部分204の遠位端が、旋回する顎部材140の突出部202に当接する(図11を参照のこと)。スリーブ200を近位に引くと、顎部材140および142がその間に把持された組織を挟んで閉じ、そしてスリーブ200を遠位に押すと、把持の目的で、顎部材140および142を互いに対して開く。
【0070】
エンドエフェクタ112は、顎部材140が閉じる場合、電気エネルギーがスリーブ200を通って突出部202の接点まで、スリーブ200を用いて、または動く顎部材140の背面に接触するための「ブラシ」もしくはレバー(図示せず)を使用して、送られ得るように構成され得る。この例において、電気エネルギーは、突出部202を通って顎部材140または142のうちの一方まで送られる。あるいは、電気リード線(図示せず)が、顎部材のうちの一方(例えば、顎部材140)にエネルギーを付与するような経路に置かれ得、そして他の電位が、リード線208(図11を参照のこと)との電気接触によってスリーブ200を通って伝導され得、そして旋回する顎部材140に伝達され得、これがスリーブ200の引き込みの際に、電気導通状態を確立する。
【0071】
顎部材140および142は、上で記載されたような顎部材40および42と類似の要素(例えば、顎絶縁体152、156、および導電性封止表面154または封止プレート158)を備える。顎部材142はまた、導電性封止表面158の内側に面する表面に配置された一連の止め部材160を備えて、組織の把持および操作を容易にし、そして組織の封止および/または切断中に、対向する顎部材140と142との間にギャップ「G」を規定する。一連の止め部材160は、一方または両方の顎部材140および142において、特定の目的に依存して、または顎の所望の結果を達成するために、種々の構成で使用され得ることが想定される。止め部材160は、顎部材140および142を絶縁して、組織が顎間に存在しない場合に、回路ループの短絡および閉じることを防止する。
【0072】
エンドエフェクタ112は、軸方向に整列した状態から関節運動した状態へと関節運動し得る。エンドエフェクタ112を、上記関節運動装置と類似の関節運動装置118によって関節運動させる目的で、2つの関節運動ケーブル138aおよび138bが、関節運動部分118を関節運動させるために利用され得る。図11に最もよく見られるように、各関節運動ケーブル138aおよび138bは、遠位端210aおよび210bを備え、これらの遠位端は、関節運動部分118の遠位端に配置されたエンドエフェクタ112の結合アセンブリ206と作動可能に接続する。結合アセンブリ206は、その内部に規定された空洞212を備え、この空洞は、一連の機械的に相互協働する要素214を受容するように構成され、これらの要素は、この空洞内での往復のために駆動棒146により係合され、そして種々の電気接続を顎部材140および146まで案内する。駆動棒146は、好ましくは、可撓性の摩擦低減材料から作製されて、シャフト120の関節運動部分118が関節運動するときに、駆動棒146が所望の方向に屈曲することを可能にする。この摩擦低減材料は、関節運動中の座屈を減少させる。
【0073】
結合アセンブリ206は、1対のブシュ216および218を備え、これらのブシュは、駆動棒146の遠位端を駆動スリーブ200に係合させてピン220を介して固定する。ブシュ216は、ブシュ218に係合し、そして駆動棒146の遠位端をこれらのブシュ間に固定するように構成される。ピン220は、固定されたブシュ216および218ならびに駆動棒146を駆動スリーブ200に結合させる。駆動スリーブ200(および固定された駆動棒146)は、空洞212内に受容されて、駆動アセンブリ(図示せず)の起動の際にこの空洞内でスライドにより並進する。
【0074】
結合アセンブリ206はまた、ロック要素222を備え、このロック要素は、顎部材142の近位端に係合して、結合アセンブリ206(および駆動棒146)を顎部材140に対して固定された関係にロックして、これらの間でのあらゆる回転運動を制限するように構成される。駆動棒146の遠位方向への長手軸方向の並進は、駆動スリーブ200を結合アセンブリ206内で長手軸方向に移動させ、そして上記のように、顎部材140の開閉を行う。結合アセンブリ206はまた、遠位フランジ224を備え、この遠位フランジは、一旦組み立てられると、下顎部材142を支持して、両方の顎部材140、142を結合アセンブリ206にピン226を介して接続する。図11に最もよく示されるように、結合アセンブリ206はまた、リード線208と駆動スリーブ200との間の電気接続を支持する。さらに、結合アセンブリ206はまた、顎部材140への接続のために、この結合アセンブリを通して電気リード線228(図12に想像線で示される)を案内する。上で詳述したように、本開示の1つの実施形態によれば、代表的なRFエネルギーシステムにおいて、リード線208および228のうちの一方は、活性電極として働き得、そして他方は、戻り電極として働き得る。
【0075】
作動において、関節運動部分118を関節運動させるために、図13に最もよく示されるように、一方のケーブル138aがP1の方向に引かれている場合、他方のケーブル138bは、P2の方向に押され(または緩められ)、関節運動部分118が与えられた方向に関節運動することを可能にする。上記図2および図3と同様に、関節運動部分118は、入れ子状に直列に配置された複数のジョイント118aを備える。その遠位端は、直接にかまたは結合アセンブリ206を介してかのいずれかで、エンドエフェクタ112に機械的に係合し、そしてその近位端は、シャフト120に係合する(図1〜図8に関して上で議論された配置と同様)。関節運動部分118の複数のジョイント118aの各々は、遠位ナックル118bおよびそれと一緒に形成された近位クレビス118cを備える。各ナックル118bは、隣接するジョイント118aのクレビス118cに作動可能に係合する。各ジョイント118aは、その内部に規定された中心管腔118d、および中心管腔118dの両側に形成された対向する1対の管腔118eを有する。関節運動ケーブル138aおよび138bは、ジョイント118aのそれぞれの管腔118eを通ってスライド可能に延びる。関節運動ケーブル138aおよび138bは、好ましくは、可撓性の、摩擦低減材料から作製される。
【0076】
安全機構または回路(図示せず)が使用され得、その結果、顎部材140および142は、閉じられない限り、そして/または顎部材140および142がその間に組織を保持しない限り、エネルギーを付与され得ないことが想定される。後者の場合、センサ(図示せず)が、これらの顎部材の間に組織が保持されたか否かを決定するために使用され得る。さらに、外科手術前の状態、進行中の外科手術の状態(すなわち、外科手術中)および/または外科手術後の状態を決定する、他のセンサ機構が使用され得る。これらのセンサ機構はまた、電気外科発電機に結合された閉ループフィードバックシステムと一緒に利用されて、1つ以上の外科手術前の状態、進行中の外科手術の状態、または外科手術後の状態に基づいて、電気外科エネルギーを調節し得る。米国特許出願番号10/427,832は、1つのこのようなフィードバックシステムを記載し、その全内容は本明細書中に参考として援用される。
【0077】
上記のことから、種々の図面を参照して、当業者は、特定の改変がまた、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示に対してなされ得ることを予測する。例えば、電気外科手術デバイス(および/またはそれに関連して使用される電気外科発電機)は、顎部材140と142との間に把持された特定のサイズの組織を効果的に封止するための電気外科エネルギーの適切な量を自動的に選択する、センサまたはフィードバック機構(図示せず)を備え得ることが想定される。このセンサまたはフィードバック機構はまた、封止中に組織のインピーダンスを測定し得、そして効果的な封止が顎部材140と142との間に作製されたことの指標(視覚的および/または可聴)を提供し得る。このようなセンサシステムの例は、共有に係る米国特許出願番号10/427,832(発明の名称「METHOD AND SYSTEM FOR CONTROLLING OUTPUT OF RF MEDICAL GENERATOR」、2003年5月1日出願)に記載されており、その全内容は本明細書中に参考として援用される。
【0078】
両方のエンドエフェクタ12および112に関連する実施形態において、顎部材40、42の導電性封止表面54、154、ならびに顎部材140、142の導電性封止表面58、158は、比較的平坦であり、鋭利な縁部での電流の集中を回避し、そして頂点間でのアーク発生を回避する。さらに、顎部材40、42および140、142は、係合される場合の組織の反作用力に起因する屈曲に抵抗するように製造され得る。例えば、顎部材40、42および140、142は、その幅に沿ってテーパ状であり得、これにより、組織の反作用力に起因する屈曲に抵抗する。実際に、いくつかの状況において、テーパ状であることは、可視化を促進し、そして一定の断面を有する顎よりも大きい屈曲半径を可能にする。
【0079】
エンドエフェクタ12、112の外側表面は、ニッケルベースの材料、コーティング、スタンピング、金属射出成形を備え得、これは、作動および封止中に、顎部材40、42および140、142と周囲の組織との間の接着を減少させるように設計されることが想定される。さらに、顎部材40、42の伝導性表面54、58および顎部材140、142の伝導性表面154、158は、以下の材料:ニッケル−クロム、窒化クロム、MedCoat 2000(OHIOのThe Electrolizing Corporationにより製造される)、インコネル600およびスズ−ニッケルのうちの1つ(または1つ以上の組み合わせ)から製造され得ることもまた、想定される。組織伝導性表面54、58および154、158はまた、同じ結果(すなわち、「非粘着表面」)を達成するために、上記材料のうちの1つ以上でコーティングされ得る。理解され得るように、封止中に組織が「粘着」する量を減少させることによって、この器具の全体的な効率が改善される。
【0080】
本明細書中に開示される材料の1つの特定のクラスは、実証された優れた非粘着特性を示し、そしていくつかの例においては、優れた封止の質を示している。例えば、窒化物コーティング(TiN、ZrN、TiAlN、およびCrNが挙げられるが、これらに限定されない)は、非粘着特性のために使用される好ましい材料である。CrNは、その全体的な表面特性および最適な性能に起因して、非粘着の目的で特に有用であることが見出されている。他のクラスの材料もまた、全体的な粘着を減少させることが見出されている。例えば、約5:1のNi/Cr比を有する高ニッケル/クロム合金は、双極器具類における粘着を有意に減少させることが見出されている。このクラスの特に有用な1つの非粘着材料は、インコネル600である。Ni200、Ni201(約100%Ni)で作製またはコーティングされた封止表面54、58および154、158を有する双極器具類もまた、代表的なステンレス鋼の双極電極より改善された非粘着性能を示した。
【0081】
内視鏡デバイス10(エンドエフェクタ12および112を備える(関節運動部分18、118、およびシャフト3、103を有するかまたは有さないかのいずれか))は、特定の目的に依存して、または特定の結果を達成するために、完全にかまたは部分的に使い捨てであるように、設計され得る。例えば、エンドエフェクタ12、112は、関節運動部分18、118の遠位端と選択的に取り外し可能に係合可能であり得、そして/またはシャフト3、103の近位端は、内視鏡デバイス10のハウジング14と選択的に取り外し可能に係合可能であり得る。これらの2つの例のいずれにおいても、内視鏡デバイス10は、「部分的に使い捨て」または「数回使用可能(reposable)」であるとみなされる。すなわち、新たなまたは異なるエンドエフェクタアセンブリ12、112が、必要に応じて、古いエンドエフェクタアセンブリ12、112を選択的に置き換える。理解され得るように、本開示の電気接続は、この器具を数回使用可能な設計に改変するために、変更されなければならない。
【0082】
上記のように、電気外科手術デバイスの関節運動部分18、118を制御する他の方法が公知であり、そして同一人に譲渡された米国特許出願公開第2009/0054734号および同第2010/0179540号に記載されており、これらの内容は、本明細書中に参考として援用される。これらの制御システムは、上に詳細に記載されたものとは異なり、本明細書中で4ワイヤシステムと称されるものを組み込む。4本のワイヤを使用する結果として、これらのシステムは、本物の手根の関節運動により近付き得る。このようなシステムを使用するデバイスは、エンドエフェクタを1つの面内で関節運動させ、次いでシャフト全体を回転させ得るのみでなく、実際に、エンドエフェクタを複数の面内で(例えば、上下方向、および横方向、ならびにこれらの任意の組み合わせ)関節運動させ得る。エンドエフェクタを回転させる能力と合わせて使用される場合、このようなデバイスは、ヒトの手根で見られる自由度をよく模倣し得る。
【0083】
これらの4ワイヤの制御システムは、上記2ワイヤの制御システムと非常に類似の特徴を可能な程度まで使用するので、類似の番号が、内視鏡デバイス10の制御および関節運動を説明するために使用される。
【0084】
図14は、シャフト216およびエンドエフェクタ212の斜視図を示す。シャフト216は、関節運動部分218および非関節運動部分220を備える。上記のように、非関節運動部分220は、種々の構成を示し得る。例えば、非関節運動部分220は、実質的に硬い管から形成され得るか、可撓性の管(例えば、プラスチック)から形成され得るか、または非関節運動部分220は、可撓性の管と硬くする要素との複合体(例えば、編組鋼の管)として形成されて、軸方向(例えば、圧縮)強度および回転強度を提供し得る。他の実施形態において、非関節運動部分220は、可塑変形可能な材料から構成され得る。いくつかの実施形態において、非関節運動部分220は、外科医が非関節運動部分220を外科手術手順の前または最中に予備形成または再形成して、外科手術部位の輪郭および特徴に合うようにすることを可能にするために充分に低い、曲げ剛性を示す。一旦、形成されると、非関節運動部分220は、非整列構成を規定し得る。この構成において、非関節運動部分220の長手方向軸は、関節運動部分218の長手方向軸と整列しない。非関節運動部分220はまた、内視鏡器具10の通常の外科手術的使用中に、この非整列構成の形状および配向を維持するために充分な、軸方向剛性を示し得る。
【0085】
図15に示されるように、シャフト216の関節運動部分218は、複数のリンク218a、218bを覆って配置された外部ケーシングまたは絶縁材料400を備え得る。リンク218aおよび218bは、互いに対して旋回して、シャフト216の関節運動部分218がその長手方向軸に対して関節運動することを可能にするように構成される。1つの実施形態において、リンク218aおよび218bは、互いに入れ子式に係合して、関節運動制御システム(図示せず)の動きに応答して、2つの直交する面内での関節運動部分218の旋回運動を可能にする。
【0086】
リンク218aは、各リンク218a、218bが1対の遠位ナックル218cおよびそれと一緒に形成される対向する1対の近位クレビス218dを示す点で、リンク218bと構成が類似である。しかし、リンク218aは、隣接するリンク218bに対して回転方向に90°ずれて配向される。リンク218a、218bのこのような交互の配向は、直交する面内でのエンドエフェクタ212の関節運動を容易にする。リンク218aの水平ナックル218cは、水平旋回軸P1を規定する。従って、リンク218aのナックル218cは、隣接するリンク218bの対応するクレビス218dに作動可能に係合して、矢印「U、D」(図16)の方向でのエンドエフェクタ212の関節運動を容易にする。同様に、リンク218bのナックル218cは、垂直旋回軸P2を規定し、その結果、ナックル218bは、隣接するリンク218aの対応するクレビス218dに作動可能に係合して、(図17、図18に示されるような)矢印「R、L」の方向でのエンドエフェクタ212の関節運動を容易にする。
【0087】
各リンク218aおよび218bは、これらのリンクを通って長手軸方向に延びる中心管腔218eを備える。中心管腔218aは、種々のアクチュエータ(例えば、駆動棒246およびナイフ棒250)、ならびに他の構成要素の、細長シャフト216を通る通過を可能にする。リンク218a、218bはまた、中心管腔218eから半径方向外側に形成された、2対の対向する管腔218fおよび218gを規定する。リンク218aの管腔218fおよび218gの各々は、隣接する管腔218fおよび218gから回転方向に90°間隔を空けており、その結果、各管腔218fは、隣接するリンク218bの管腔218gと整列する。管腔218fおよび218gは協働して、長手軸方向空洞を規定し、4本の操縦ケーブル238a、238b、238c、および238dの、細長シャフト216の関節運動部分218を通る通過を可能にする。異なる張力が、これらの4つの操縦ケーブル238a〜dに加えられて、以下に記載されるように、シャフト216の関節運動部分218の配向を調節し得る。
【0088】
リンク支持部402は、リンク218aと同様に配向した1対の遠位ナックル218cを備えて、後続するリンク218bとインターフェースする。リンク支持部402の近位端は、外側ケーシング400にしっかりと設置され得る。この外側ケーシングは、1つの実施形態において、細長シャフト216の近位部分220のみを覆って延びる。しかし、さらなる実施形態において、外側ケーシング400は、シャフト216の近位部分220と関節運動部分218との両方を覆って延びる。外側ケーシング400は、一般に可撓性であり、近位部分220が自由に撓んで屈曲することを可能にする。エンドエフェクタ支持部404は、近位端に、リンク218aのクレビスと同様に配向した1対のクレビス218dを備えて、先行するリンク218のナックル218cを受容し得る。
【0089】
4本の操縦ケーブル238a〜dは、実質的に弾力性であり得、そしてリンク218aおよび218bに規定された管腔対218fおよび218gを通ってスライド可能に延び得る。操縦ケーブル238a〜dの各々の遠位端は、エンドエフェクタ支持部404に結合される。より具体的には、各操縦ケーブル238a〜dは、その遠位端に、ボール様の機械的インターフェース(すなわち、インターフェース238a’〜d’)を備える。各インターフェース238a’〜d’は、エンドエフェクタ支持部404に規定された対応する凹部内にしっかりと嵌合するように構成される。インターフェース238a’は凹部406aに係合し、インターフェース238b’は凹部406bに係合し、そしてインターフェース238c’および238d’は、エンドエフェクタ支持部404の同様の凹部に係合する。
【0090】
操縦ケーブル238a〜dの近位端は、以下に記載されるように、関節運動制御部に作動可能に結合される。操縦ケーブル238a〜dは、シャフト220の近位部分を通り、これらの近位部分に規定された一連の通路を通って延びる。より具体的には、十字型のケーブルガイドアダプタ408およびガイドアダプタライナーまたはワッシャー410は、これらを通して規定されたボアを備え、最初、シャフト220の近位部分内への通過のために、ケーブル238a〜dを互いに対して90°の角度に配向させる。アダプタ408はまた、シャフト220の近位部分のハウジング14(図1)への取り付けを容易にする。シャフト220の近位部分は、その中に規定された通路412a〜dを備えて、それぞれケーブル238a〜dを、リンク218aおよび218bの管腔218f、218gに受容させ、最終的に上記のようにエンドエフェクタ支持部404に接続するために、配向させる。
【0091】
中心ガイド管414は、駆動棒246およびナイフ棒416をシャフト216に通して配向させて、最終的に顎部材240およびナイフ250に接続させるために提供される。中心ガイド管414はまた、電気外科エネルギーを顎部材240、242に提供する電気リード線416を案内し得る。中心ガイド管414は、シャフト216、310の近位部分220内に受容されるための寸法にされ、そしてそこから、リンク218aおよび218bに規定された中心管腔218e内に延び得る。1本以上の操縦ケーブル(例えば、238a)は、遠位部分238a’を備え、この遠位部分は、エンドエフェクタ支持部404に電気的に接続され、これは次に、顎部材240に接続される。従って、戻り路(すなわち、接地路)が、顎部材240を通して提供される電気外科エネルギーのために、顎部材240と242との間に捕捉された組織を通して確立され得る。
【0092】
中心押し出し部またはガイド管414は、非常に可撓性の潤滑性材料から構成され、そして数個の重要な機能を果たす。すなわち、ガイド管414は、駆動棒246、ナイフ棒418、および電気リード線416を、ガイドアダプタ408、シャフト216の近位部分220、および関節運動部分218から、エンドエフェクタ支持部404およびナイフ50まで案内し;ガイド管414は、構成部品間に電気的絶縁を提供し;管414は、リード線416ならびに棒246および418を、これらの相対運動中に分離させて維持し;管414は、クランプ力の損失および摩擦を最小にし;そして管414は、リード線416ならびに棒246および418を中心長手方向軸に近付けて維持して、関節運動中の伸長を最小にする。管414(および内部管腔)は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、黒鉛または他の潤滑剤などの材料から作製され得るか、またはこれらの材料を含んで、摩擦、および構成部品の相対運動に関連する他の一般的な損失を最小にし得る。あるいは、同軸構造体(図示せず)が、駆動棒246およびナイフ棒418を案内するために利用され得る。
【0093】
1つ以上の遠位案内板420およびアダプタ422もまた、駆動棒246およびナイフ棒418をさらに整列させ、そして顎部材240および242の関節運動を容易にするために利用され得る。より具体的には、駆動棒246の整列は、顎部材240、242の開閉を容易にする。スリーブ424は、顎部材240のフランジ428に係合するための開口部分426を備え、その結果、スリーブ424の軸方向移動は、顎部材240を強制的に旋回ピン430の周りで回転させ、そして組織をクランプさせる。スリーブ424は、アダプタ422に接続される。このアダプタは、その内部に駆動棒246をワイヤクリンプ432を介して固定する。駆動棒246は、その遠位端において平坦部を有して、クリンプ432への取り付けを補強する。可動ハンドル32(図1)を起動させることによって、駆動棒246はスリーブ424を後退させて、顎部材240を組織を挟んで閉じる。スリーブ424を近位に引くと、顎部材240および242がこれらの間に把持された組織を挟んで閉じ、そしてスリーブ424を遠位に押して、顎部材240および242を把持の目的で開く。エンドエフェクタ212は、片側性のアセンブリとして設計される。すなわち、顎部材242はシャフト216に対して固定されており、そして顎部材240は、組織を把持するために旋回ピン430の周りで旋回する。顎部材242、240の他の特徴、これらの構成および製造方法、これらの電気接続および絶縁特性、ナイフチャネルの使用、ならびに適切なギャップを維持する方法は、2ワイヤの制御システムに関して上で議論された方法と類似であるので、ここで再度完全に記載されるかのように、4ワイヤの設計の特徴に関連して組み込まれる。
【0094】
内視鏡デバイス10において使用するための、2ワイヤと4ワイヤとの両方の関節運動システムの種々の局面をここで記載したので、以下の説明は一般に、電気外科手術デバイスの片手での操作を効果的に可能にするための、モータ式制御システムに関する。このような操作は、組織を把持すること、エンドエフェクタを少なくとも2つの面内で関節運動させること、電気外科エネルギーの使用を活性化させること、および適切である場合、電気外科エネルギーにより封止された組織の切断のためのナイフの活性化を、片手で行うことを包含するべきである。
【0095】
上記のように、図1は、操縦ユニット22を図示する。図19は、操縦ユニット22の主要な構成要素を示す。操縦ユニット22は、ハウジングまたは本体14に収容され、そしてブラケット502に設置される。このブラケットは、ハウジングまたは本体14に一体的に接続される。シャフト20は、内部ケーシング504aおよび504bに接続され、そして1つの実施形態においてはこれらの内部ケーシングと一体的に形成され、そして平歯車506に接続される。この一体的なユニットは、1つの実施形態において、ハウジング14に対して回転可能であり、その結果、シャフト20、内部ケーシング504a〜b、および平歯車506は、シャフト軸「z」の周りで回転し得る。シャフト20および一体化された内部ケーシング504a〜bは、ベアリング508、510、および512によって、半径方向に支持される。
【0096】
電気モータ514Rは、1つの実施形態において、機械的運動を電気信号に転換するため、および制御システム24にフィードバックを提供するための、エンコーダを備える。さらに、電気モータ514R(Rは、このモータがシャフト20およびエンドエフェクタ12の回転を誘導するためのものであることを示す)は、電気モータ514Rにより駆動されるシャフトにセットされた取り付けられた平歯車515の回転速度を増減させるための、任意の歯車箱を備え得る。電気モータ514LR(LRは、関節運動部分18の左右の動きを表わす)および電気モータ514UD(関節運動部分18の上下の動きを表わす)の各々は、必要に応じて、エンコーダおよび歯車箱を備える。それぞれの平歯車516および518は、以下により詳細に記載されるように、操縦ケーブルを上下および左右に駆動する。3つ全ての電気モータ514R、514LR、および514UDは、静止枠502にしっかりと取り付けられて、これらの回転を防止し、そして平歯車515、516、および518がこれらの電気モータにより駆動されることを可能にする。
【0097】
図21および図22は、関節運動部分18およびこれと一緒にエンドエフェクタ12を関節運動させる機構の細部を図示する。具体的には、上下の関節運動が本発明の1つの局面において想定される様式を、以下に説明する。このようなシステムは単独で、平歯車506を駆動するための電気モータ514UDに結合されて、2ワイヤのシステムにおいて上で記載されたように、関節運動を達成する。しかし、4ワイヤのシステムが想定される場合、本明細書中で直後に記載されるものと同一の第二のシステムが、左右ケーブルを駆動するために使用され得る。従って、理解を容易にするために、これらのシステムのうちの1つのみが本明細書中に記載され、当業者は、第二のこのようなシステムをどのように4ワイヤシステムにおいて使用するかを容易に理解することが、理解される。
【0098】
関節運動部分18およびこれと一緒にエンドエフェクタ12の上下の関節運動を達成するために、上記システムにおいてと同様に、操縦ケーブル38a〜b、138a〜b、または238a〜bが使用され得る。理解を容易にするために、上記関節運動システムのうちの1つのみが以下で参照されるが、これらの任意のものが、本発明の範囲から逸脱することなく本明細書中で使用され得る。操縦ケーブル38a〜bの遠位端は、上記手段によって、エンドエフェクタの近位端に、またはこの近位端で、またはこの近位端の近くで、取り付けられる。操縦ケーブル38a〜bの近位端は、ポスト520a、および520bの遠位先端に取り付けられる。図21に示されるように、ポスト520aおよび520bは、長手軸方向に、逆方向に往復する。ポスト520aの移動は、1つの操縦ケーブル38aを伸ばし、そして同時に、ポスト520bの逆方向の長手軸方向の移動は、ケーブル38bを効果的に短縮させる。操縦ケーブル38a〜bの有効長の変化の合わせた効果は、シャフト16の関節運動部分18を形成するジョイント18aを、ケーブル38bが短縮される側で圧縮すること、および操縦ケーブル38aが伸長される側で伸ばすことである。このことは、上記一体化されたナックルおよびクレビスによって実施される。
【0099】
ポスト520a〜bは、ケーシング504aの内部に一体的に形成された内部枠504c上をスライドする。内部枠504cとポスト520との両方は、好ましくは、本明細書中上で記載された型の、弾力のある非結合性の低摩擦材料から形成されて、内部枠504cの対応する協働する部分に沿ったポスト520a〜bの効率的かつ滑らかな移動を促進する。
【0100】
対向するポスト520aおよび520bは、少なくともそれらの近位端に、内部の左ねじおよび右ねじをそれぞれ有する。図22に示されるように、ケーシング504b内には、2つのねじ切りされたシャフト522aおよび522bが収容され、一方は左ねじを切られ、そして一方な右ねじを切られて、ポスト520aおよび520bに対応して、これらに嵌合する。シャフト522aおよび522bは、ポスト520Aおよび520Bの内側に螺入する遠位端、ならびに平歯車524aおよび524bを有する近位端を有する。
【0101】
シャフト522aおよび522bは、それらの軸の周りに回転の自由度を有する。平歯車524aおよび524bは、遊星歯車526の内側の歯に係合する。遊星歯車526はまた、電気モータ514UDの近位端の平歯車518の歯に係合する、外側の歯を有する。
【0102】
エンドエフェクタ12を上方向に関節運動させるために、ユーザまたは外科医は、起動スイッチ30を介して電気モータ514UDを作動させて、このモータに平歯車518を回転させ、これは次に、遊星歯車526を駆動する。遊星歯車526は、内歯車524aおよび524bを介してシャフト522aおよび522bに接続される。遊星歯車526は、歯車524aおよび524bを同じ方向に回転させる。シャフト522aおよび522bはねじ切りされており、そしてこれらの回転は、ポスト520aおよび520bの内側に形成された嵌合するねじ山によって、ポスト520aおよび520bの直線運動に変換される。しかし、ポスト520aの内側のねじ山はポスト520bのねじ山と逆であるので、遊星歯車526が回転すると、一方のポストは遠位に移動し、そして一方のポストは近位に(すなわち、逆方向に)移動する。従って、上ケーブル38aが近位に引かれてエンドエフェクタを持ち上げ、同時に下ケーブル38bは緩められなければならない。上記のように、この同じシステムが、電気モータ514LR、その平歯車516、第二の遊星歯車526、ならびに第二のセットのねじ切りされたシャフト522およびポスト520、ならびにさらに2本の操縦ケーブル38を使用して、エンドエフェクタの左右の運動を制御するために使用され得る。さらに、一致して作用することにより、4本の操縦ケーブルを使用するシステムは、3個の電気モータ514およびそれらの関連する伝動装置、ならびに制御ユニット24によりコンピュータ制御される操縦ケーブル38を有することによって、ヒトの手根の動きに近付き得る。このようなシステムが、以下により詳細に記載される。
【0103】
使用において、エンドエフェクタ12が上位置にくるように(例えば、その長手軸方向から約90°屈曲するように)すでに関節運動させられており、次いで、電気モータ514Rにエネルギーが付与される場合、シャフト3が回転し、そしてその関節運動した先端は、その元の位置の左または右の位置に移動し始める。いくつかの例において、このような回転は、外科医に望まれる。しかし、他の状況においては、このことは望ましくないか、またはより複雑な操作の実施においては、エンドエフェクタの位置の何らかの局面を維持し、そしてエンドエフェクタ12の配向を変化させずに関節運動部分18の手根様の動きを可能にすることが望ましい(おそらく、何らかの引き続く作用が行われ得る前に、関節運動部分18の再配置に依存するその作用を可能にするため)。本開示のこの局面を達成するために、3つ全ての電気モータ514R、514LR、および514UDの作動は、制御システム24により同期されなければならない。
【0104】
この同期したモードで、モータ514Rがシャフト3を特定の角度増分で回転させる場合、この増分は、モータエンコーダにより識別され、そして制御ユニット24に送られる。制御ユニット24は、補正増分を計算し、そしてモータ514UD、514LRに、それらのそれぞれの操縦ケーブル38を必要に応じて引っ張ったり緩めたりするように命令し、その結果、エンドエフェクタ12は、その上位置に残り、同時に関節運動部分は、モータ514Rの全回転により規定される所望の位置まで回転する。
【0105】
上記のように、制御ユニット24は、処理ユニット(例えば、マイクロコントローラ)、外科医が所望の作用を特定するユーザインターフェース、およびモータインターフェースを含む。このユーザインターフェースは、ユーザコマンドを起動スイッチ30から受け取る。この起動スイッチは、方向ボタン、ジョイスティック(例えば、親指で操作されるジョイスティック)、トグル、圧力センサ、スイッチ、トラックボール、ダイヤル、光学センサ、およびこれらの任意の組み合わせであり得る。この処理ユニットは、モータ514に制御信号を送ることによって、これらのユーザコマンドに応答する。モータ514のエンコーダは、モータ514の現在の状態についてのフィードバックを、処理ユニット24に提供する。
【0106】
エンドエフェクタ12の位置を維持し、同時にシャフト16を回転させるために使用されるアルゴリズムが、制御ユニット24のメモリ部分に格納されたソフトウェアに組み込まれる。従って、エンドエフェクタ12は、直交する面内で操縦ケーブルの異なるモータ位置を適用することによって、手根回転し得る。
【0107】
上記のような、独立したステッピングモータにより制御される、複数面での関節運動および回転は、先端の多数の運動をもたらし得、これらの全ては、制御システム24(これは例えば、マイクロプロセッサであり得る)によって同期され得る。可能な動きの型を明確にするために、さらなる座標系を考慮することが有用である。
【0108】
図23に図示されるように、第一の系XYZは、シャフト16の非関節運動部分20の中心軸と実質的に整列した軸Xに対して、静止している。さらに、エンドエフェクタ12の静止顎42のクランプ表面と整列する面Pが示されており、点Aは、エンドエフェクタ12の中心軸上に位置し、そして軸「U」は、エンドエフェクタ12の中心軸と整列している。
【0109】
作動において、独立して作動するモータ514LRは、エンドエフェクタ12を、XY面内で左右に関節運動させ得、このとき面P(静止顎42のクランプ表面)は、面XZに対して実質的に直交している。独立して作動するモータ514UDは、エンドエフェクタ12を、面XZ面内で上下に関節運動させ得、このとき面Pは、面XZに対して実質的に直交している。従って、モータ514UDおよび514LRを独立して作動させることにより、ユーザは、面Pが面XZに対してほぼ直交して配向した状態で、3D空間内で所望の位置にこの先端を関節運動させ得る。
【0110】
しかし、モータ514UDおよび514LRによって同時に(または協同した様式で)駆動され、そして制御システム24のマイクロプロセッサにより制御される場合、エンドエフェクタ12の同期した3Dでの関節運動は、先端が所定の経路に沿って移動し得るような、エンドエフェクタ12の運動を可能にする。例えば、この先端は、反時計回り(CCW)の方向に円に沿って関節運動し得、このとき面Pは依然として、XZに対してほぼ垂直である。
【0111】
あるいは、同期した動きは、関節運動したシャフト16を時計回り(CW)に回転させるモータ514Rにより付与される、回転運動を組み込み得る。本開示の1つの局面に従って、モータ514UDおよび514 LRは、エンドエフェクタ12をCCWに上記の様式で同時に(または協同した様式で)関節運動させて、回転運動を打ち消し得る。その結果、エンドエフェクタ12の点Aは動くのをやめるが、エンドエフェクタ12ならびに面Pおよび静止顎42の平坦な表面は、軸「U」の周りで回転する。この動きは手根回転と呼ばれ、ユーザが選択された関節運動した位置で顎を回転させることを可能にする。このような手根回転は、本開示に従って、シャフト16の残りの部分に対するエンドエフェクタ12の機械的回転の関連なしで達成され、そして電気エネルギーがこれらの顎に供給される場合の、この領域におけるスリップリングの必要性を排除する。
【0112】
さらに、シャフト16をモータ514Rで回転させる(そして往復するポスト520の「逆駆動」をモータ514UDと514 LRとの同期した動きで補償する)ことによって、面Pが軸Xの周りで回転する、シャフトの純粋な回転運動が達成され得る。見られ得るように、提唱されるシステムは、手で持つデバイスまたはロボットアームにおいて行われ得る、遠位先端の広範な動きを可能にする。
【0113】
手で持たれる電気外科手術デバイスに関して本明細書中に開示されたが、当業者は、本明細書中に開示された方法および機構が、ロボット外科手術デバイス(電気外科手術デバイスは、遠隔操作される外科手術アームにより保持されるか、またはこのアームに組み込まれる)における構成要素として使用するために容易に適用可能であることを、容易に理解する。
【0114】
本開示の数個の実施形態が図面に示されたが、本開示はこれらに限定されることを意図されない。なぜなら、本開示は当該分野が許容すると同程度に範囲が広いこと、および本明細書も同様に読まれることが意図されるからである。従って、上記説明は、限定であると解釈されるべきではなく、単に、特定の実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で、他の改変を予測する。
【符号の説明】
【0115】
12 エンドエフェクタ
14 ハウジング
20 シャフト
22 操縦ユニット
502 ブラケット
504a、504b 内部ケーシング
506、515、516、518 平歯車
508、510、512 ベアリング
514R、514LR、514UD 電気モータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングであって、該ハウジングから延びるシャフトを有し、該シャフトは、少なくとも関節運動部分およびエンドエフェクタを備える、ハウジング;
該シャフトの近位端に接続され、そして該近位端と一緒に回転可能である、第一のケーシング;
該第一のケーシングに収容された内部枠;
複数のポストであって、該内部枠により支持され、そして該ポストの遠位端において少なくとも1つの駆動ワイヤに接続され、そして該ポストの近位端においてねじ切りされたシャフトに接続されている、複数のポスト;
該第一のケーシングに接続され、そして該第一のケーシングと一緒に回転可能である第二のケーシングであって、該第二のケーシングは、該ねじ切りされたシャフトを収容する、第二のケーシング;
第一の歯車を駆動する第一の電気モータであって、該第一の歯車は、該複数のねじ切りされたシャフトの第一の対を同じ方向に回転させるように、該ねじ切りされたシャフトとインターフェースしている、第一の電気モータ;ならびに
第二の歯車を駆動する第二の電気モータであって、該第二の歯車は、接続された該シャフトならびに第一のケーシングおよび第二のケーシングを共通の軸の周りで回転させる、第二の電気モータ;
を備え、該第一の歯車を第一の方向に駆動することが、該関節運動部分を第一の面内で関節運動させる、
組織を処置するための外科手術器具。
【請求項2】
第三の歯車を駆動する第三の電気モータをさらに備え、該第三の歯車は、前記複数のねじ切りされたシャフトの少なくとも第二の対を同じ方向に駆動し、該第三の歯車を第一の方向に駆動することが、前記関節運動部分を第二の面内で関節運動させる、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項3】
ねじ切りされたシャフトの各対が、左ねじを切られた1つのシャフトおよび右ねじを切られた1つのシャフトを備える、請求項2に記載の外科手術器具。
【請求項4】
前記第一の歯車および前記第三の歯車が遊星歯車とインターフェースして、該第一の歯車および該第三の歯車のそれぞれのねじ切りされたシャフトの対を駆動する、請求項2に記載の外科手術器具。
【請求項5】
各ねじ切りされたシャフトが、前記遊星歯車の内歯車歯により駆動される平歯車を備える、請求項4に記載の外科手術器具。
【請求項6】
制御システムをさらに備える、請求項2に記載の外科手術器具。
【請求項7】
前記制御システムが、少なくとも1つのプロセッサ、および制御アルゴリズムを格納するための1つのメモリを備える、請求項6に記載の外科手術器具。
【請求項8】
前記第一のモータ、前記第二のモータ、および前記第三のモータが、該モータの機械的運動のフィードバックを前記制御システムに提供するエンコーダを備える、請求項7に記載の外科手術器具。
【請求項9】
所望のエンドエフェクタ運動データを前記制御システムに提供するユーザ入力をさらに備え、該制御システムは、入力された該エンドエフェクタ運動データを解釈し、そして該エンドエフェクタ運動データに従って、前記第一のモータ、前記第二のモータ、または前記第三のモータのうちの1つ以上に信号を送る、請求項8に記載の外科手術器具。
【請求項10】
前記メモリに格納された制御アルゴリズムをさらに備え、該制御アルゴリズムは、前記入力されたエンドエフェクタ運動データに応答して前記エンドエフェクタの運動を制御するためのものである、請求項9に記載の外科手術器具。
【請求項11】
前記アルゴリズムおよび前記制御システムは、前記第一のモータ、前記第二のモータ、および前記第三のモータの運動を同期させ、そして前記エンドエフェクタおよび前記関節運動部分の、複数の面内での同時の運動を可能にする、請求項10に記載の外科手術器具。
【請求項12】
前記ユーザ入力が、ボタン、トグル、ジョイスティック、圧力センサ、スイッチ、トラックボール、ダイヤル、光学センサ、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項9に記載の外科手術器具。
【請求項13】
電気外科エネルギー源をさらに備え、該電気外科エネルギー源は、前記エンドエフェクタに作動可能に接続された1つ以上の封止プレートにエネルギーを提供する、請求項2に記載の外科手術器具。
【請求項14】
前記エンドエフェクタは、可動ハンドルの起動の際に開位置から閉位置へと移動可能であり、そして前記電気外科エネルギーの印加は、該エンドエフェクタが該閉位置に移動するまで防止される、請求項13に記載の外科手術器具。
【請求項15】
ナイフをさらに備え、該ナイフは、前記電気外科エネルギーの印加により前記組織に封止部を形成した後に、組織を切断するためのものである、請求項13に記載の外科手術器具。
【請求項1】
ハウジングであって、該ハウジングから延びるシャフトを有し、該シャフトは、少なくとも関節運動部分およびエンドエフェクタを備える、ハウジング;
該シャフトの近位端に接続され、そして該近位端と一緒に回転可能である、第一のケーシング;
該第一のケーシングに収容された内部枠;
複数のポストであって、該内部枠により支持され、そして該ポストの遠位端において少なくとも1つの駆動ワイヤに接続され、そして該ポストの近位端においてねじ切りされたシャフトに接続されている、複数のポスト;
該第一のケーシングに接続され、そして該第一のケーシングと一緒に回転可能である第二のケーシングであって、該第二のケーシングは、該ねじ切りされたシャフトを収容する、第二のケーシング;
第一の歯車を駆動する第一の電気モータであって、該第一の歯車は、該複数のねじ切りされたシャフトの第一の対を同じ方向に回転させるように、該ねじ切りされたシャフトとインターフェースしている、第一の電気モータ;ならびに
第二の歯車を駆動する第二の電気モータであって、該第二の歯車は、接続された該シャフトならびに第一のケーシングおよび第二のケーシングを共通の軸の周りで回転させる、第二の電気モータ;
を備え、該第一の歯車を第一の方向に駆動することが、該関節運動部分を第一の面内で関節運動させる、
組織を処置するための外科手術器具。
【請求項2】
第三の歯車を駆動する第三の電気モータをさらに備え、該第三の歯車は、前記複数のねじ切りされたシャフトの少なくとも第二の対を同じ方向に駆動し、該第三の歯車を第一の方向に駆動することが、前記関節運動部分を第二の面内で関節運動させる、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項3】
ねじ切りされたシャフトの各対が、左ねじを切られた1つのシャフトおよび右ねじを切られた1つのシャフトを備える、請求項2に記載の外科手術器具。
【請求項4】
前記第一の歯車および前記第三の歯車が遊星歯車とインターフェースして、該第一の歯車および該第三の歯車のそれぞれのねじ切りされたシャフトの対を駆動する、請求項2に記載の外科手術器具。
【請求項5】
各ねじ切りされたシャフトが、前記遊星歯車の内歯車歯により駆動される平歯車を備える、請求項4に記載の外科手術器具。
【請求項6】
制御システムをさらに備える、請求項2に記載の外科手術器具。
【請求項7】
前記制御システムが、少なくとも1つのプロセッサ、および制御アルゴリズムを格納するための1つのメモリを備える、請求項6に記載の外科手術器具。
【請求項8】
前記第一のモータ、前記第二のモータ、および前記第三のモータが、該モータの機械的運動のフィードバックを前記制御システムに提供するエンコーダを備える、請求項7に記載の外科手術器具。
【請求項9】
所望のエンドエフェクタ運動データを前記制御システムに提供するユーザ入力をさらに備え、該制御システムは、入力された該エンドエフェクタ運動データを解釈し、そして該エンドエフェクタ運動データに従って、前記第一のモータ、前記第二のモータ、または前記第三のモータのうちの1つ以上に信号を送る、請求項8に記載の外科手術器具。
【請求項10】
前記メモリに格納された制御アルゴリズムをさらに備え、該制御アルゴリズムは、前記入力されたエンドエフェクタ運動データに応答して前記エンドエフェクタの運動を制御するためのものである、請求項9に記載の外科手術器具。
【請求項11】
前記アルゴリズムおよび前記制御システムは、前記第一のモータ、前記第二のモータ、および前記第三のモータの運動を同期させ、そして前記エンドエフェクタおよび前記関節運動部分の、複数の面内での同時の運動を可能にする、請求項10に記載の外科手術器具。
【請求項12】
前記ユーザ入力が、ボタン、トグル、ジョイスティック、圧力センサ、スイッチ、トラックボール、ダイヤル、光学センサ、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項9に記載の外科手術器具。
【請求項13】
電気外科エネルギー源をさらに備え、該電気外科エネルギー源は、前記エンドエフェクタに作動可能に接続された1つ以上の封止プレートにエネルギーを提供する、請求項2に記載の外科手術器具。
【請求項14】
前記エンドエフェクタは、可動ハンドルの起動の際に開位置から閉位置へと移動可能であり、そして前記電気外科エネルギーの印加は、該エンドエフェクタが該閉位置に移動するまで防止される、請求項13に記載の外科手術器具。
【請求項15】
ナイフをさらに備え、該ナイフは、前記電気外科エネルギーの印加により前記組織に封止部を形成した後に、組織を切断するためのものである、請求項13に記載の外科手術器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−103137(P2013−103137A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−251160(P2012−251160)
【出願日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【出願人】(512269650)コヴィディエン リミテッド パートナーシップ (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【出願人】(512269650)コヴィディエン リミテッド パートナーシップ (6)
【Fターム(参考)】
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