説明

動物用トイレ

【課題】多量の排尿を貯留することが可能であり、かつ所定の気密性が保たれて尿や臭気等が外部に漏れ難い動物用トイレを提供する。
【解決手段】動物用トイレTは、排尿容器1と収容容器2を備え、上記排尿容器は、側面10A〜10Dと、当該側面部に対して横設されている水平支持板と、当該水平支持板の上部の導尿板14とを備える。上記収容容器は、処理体収容カップ21と防臭容器20とを備え、上記導尿板と水平支持板には、それぞれともに連通する排尿孔14aが形成されている。上記収容容器の設置時において、防臭容器の上面部が、上記水平支持板の排尿孔の周囲を囲繞した状態で、気密性を保持するように密着している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、愛玩動物等の動物用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、室内での愛玩動物等の飼育が非常に盛んになってきており、排泄物の処理を効果的に行うための動物用トイレが提案されている。例えば、図9に示すように、上方が開口し、尿液を透過等させるための透過材層91を形成している浅皿状内箱90と、この浅皿状内箱90が嵌着されることにより、その下方に空間部99が形成できるように、深さが浅皿状内箱90より深く形成された深皿状外箱92から形成されている動物用トイレSが存在している。この動物用トイレSにおいて、上記空間部99には、上端に開口部93aを有し、当該開口部93aが浅皿状内箱90の底部に設けられた排水口90aに着脱自在に嵌入吊持されることにより、上記透過材層91と連通し、かつ、消臭剤94が内蔵されたカートリッジ型容器93が内装されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−222630公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の動物用トイレSでは、深皿状外箱92と浅皿状内箱90の二重箱構造であり、カードリッジ型容器93を取り替える際には、図示しない覗き窓を開閉して、当該部分から行うといった煩雑な作業が必要となるという問題点を有していた。
また、上記カートリッジ型容器93は、浅皿状内箱90の底部に吊持されている。ところが、排尿は液体であるため所定の重量を有しており、吊持する重量には、構造上の限界があるため、多量の排尿を貯留することは難しいという問題点を有していた。
さらに、上面に開口部を有しているため、排尿の臭気が外部に漏れることを防止することが難しいという問題点が存在していた。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、多量の排尿を貯留することが可能であり、かつ所定の気密性が保たれることにより臭気等が外部に漏れ難い動物用トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、排尿容器と排尿の収容容器とを備える動物用トイレにおいて、上記排尿容器は、鉛直方向に立設し、上記収容容器を取出し又は設置するための開口部を2つ以上有している側面部と、当該側面部に対して横設されている防臭部と、当該防臭部の上部に設けられている排尿部とを備えるとともに、上記収容容器は、排尿収容具と当該排尿収容具が取出し自在に収容される別体の防臭容器とを備えるものであり、上記排尿部及び上記防臭部には、それぞれともに連通する排尿孔が形成されており、上記収容容器は、上記側面部を介して、取出し又は設置自在に設けられているとともに、上記収容容器の設置時において、上記防臭容器の上面部が、上記防臭部の排尿孔の周囲を囲繞した状態で、上記防臭部の下面に気密性を保持するように密着し、上記排尿収容具は、上記防臭部の上記排尿孔から導かれる上記排尿をその内部に貯留可能となるように配置されていることを特徴としている。
【0007】
ここで、収容容器の設置時において、排尿収容具の配置方法は、(1)防臭部の排尿孔の下方に、カップ状の容器、箱状の容器あるいは袋状体を配置すること、(2)排尿収容具として、開口部にネジ部を有するペットボトル状の筒状体(開口部にネジ部を有する袋状体でもよい)を用い、上記排尿容器の防臭部における排尿孔に、筒状体のネジ部と螺合するネジ部を設け、両ネジ部により螺設すること、(3)上記排尿孔の部分に凸状部を形成し、弾性体等によりその部分に袋状体を繋着することなど、その態様は問わないものである。
【0008】
また、上記排尿収容具の形状、材質等は問わないが、袋状体に構成すれば、未使用時の保管の際にコンパクトに折り畳んでおけるため好適である。
【0009】
本発明によれば、排尿容器の側面部に開口部を有しているため、その部分から収容容器を簡易に挿入可能であるとともに、排尿後に、再び、当該収容容器を簡易に取出し可能であり、排尿を吸収した汚液吸収体の取り扱いを容易に行うことができる。
また、上記収容容器は、空間部に吊持されるのではなく、排尿収容具と当該排尿収容具が取出し自在に収容される別体の防臭容器とを備え、当該排尿収容具は、底部が支持面に載置されている防臭容器に直接的に支持されているため、多量の排尿をその内部に貯留することができる。
【0010】
また、排尿容器は、その側面部において、収容容器を取出し又は設置するための開口部を2つ以上有しているため、何らかの事情により、一方向の開口部が塞がっていた場合であっても、開放されている開口部から収容容器の取り出し、装着を行うことができる。
【0011】
さらに、収容容器の設置時において、当該防臭容器の上面部が、上記防臭部の排尿孔の周囲を囲繞した状態で、上記防臭部の下面に気密性を保持するように密着して配置されているため、防臭容器が排尿容器の防臭部を下方から支持することができる。そのため、本発明では、開口部を広くして、軽量化を図った場合であっても、耐荷性能に優れた構造を実現することが可能となる。
【0012】
また、排尿容器は、排尿部と防臭部の二重構造であり、なおかつ、収容容器の設置時において、当該防臭容器の上面部が、上記防臭部の排尿孔の周囲を囲繞した状態で、上記防臭部の下面に気密性を保持するように密着して配置されているため、上記収容容器と排尿容器の防臭部との間に隙間がなくなり、所定の水密性及び気密性が保たれて尿や臭気等を外部に漏れ難くすることができる。
【0013】
さらに、収容具には、排尿吸収体(吸液性排尿処理材)を入れておくことが可能であるため、当該排尿吸収体に吸収された排尿が所定量になった場合に、そのままの状態で廃棄することができるため、その取り替えを衛生的かつ容易に行うことができる。
【0014】
また、本発明の動物用トイレにおいて、上記排尿部に形成されている上記排尿孔において、上記非吸液性排尿処理材が収容されている袋体を取り付けるためのネジ部が形成されている構成とすることもできる。
【0015】
通常、非吸液性排尿処理材は、所定重量の袋体に封入された状態で流通している。そこで、非吸液性排尿処理材の袋体の所定位置にねじ部が設けられていることを前提にした場合において、本発明によれば、上記排尿部に形成されている排尿孔において、上記袋体を取り付けるためのネジ部が形成されているため、当該袋体自体を利用して上記非吸液性処理体を排尿部に容易に敷設することができる。
また、排尿孔と、袋体を強固に接合することができるため、臭気を漏れにくくすることができる。
【0016】
さらに、本発明の動物用トイレにおいて、上記排尿部に形成されている上記排尿孔と、上記防臭部に形成されている上記排尿孔との間の排尿路において、消臭材料が内装されているものとすることもできる。
【0017】
ここで、排尿部に形成されている排尿孔と、防臭部に形成されている排尿孔との間の排尿路の長さ及び形態等に制限はないが、各排尿孔が隣接して配置されているものであってもよい。
また、消臭材料及び脱臭材料は、活性炭、ゼオライト等の物理的吸着物質、二酸化チタン等の金属酸化物、有機窒化系物質等の化学的吸着物質を直接的に排尿路に設けることや、各種吸着物質を備えるフィルタ部材として設けるなど、その設置方法は問わないものである。
【0018】
本発明によれば、上記排尿部において消臭材料が内装されているため、排尿による臭気を効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、多量の排尿を貯留することが可能であり、かつ所定の気密性が保たれることにより臭気等が外部に漏れ難い動物用トイレを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の動物用トイレ(第1実施形態)を示す斜視図である。
【図2】本発明の動物用トイレ(第1実施形態)の収容容器を示す斜視図である。
【図3】本発明の動物用トイレ(第1実施形態)を示す断面図である。
【図4】本発明の動物用トイレ(第1実施形態の変形例)を示す斜視図である。
【図5】本発明の動物用トイレ(第1実施形態の変形例)を示す斜視図である。
【図6】本発明の動物用トイレ(第2実施形態)を示す断面図である。
【図7】本発明の動物用トイレ(第3実施形態)を示す断面図である。
【図8】(a)図7(a)における一点鎖線部の拡大図である。 (b)本発明の動物用トイレ(第4実施形態)を示す断面図である。
【図9】従来の動物用トイレを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための一形態(以下、「実施形態」という。)について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一の部材等には同一の符合を付し、重複した説明を省略する。
【0022】
<第1実施形態>
図1〜図3に示すように、本実施形態の動物用トイレT1は、排尿容器1と、収容容器2とから構成されている。
【0023】
(1)排尿容器1
排尿容器1は、合成樹脂を原材料としており、所定の厚みの板状体による四方の側面10A〜10Dを有し、平面視で長方形となるように形成されている。そして、各側面10A〜10Dにおける略半分の高さ位置に、当該各側面10A〜10Dと直交する方向に、上記平面視で長方形となる領域の全面にわたって、水平支持板12が横設されている(この水平支持板12が防臭部を形成することになる)。
また、相対する長手方向の2つの側面10A,10C(図1における手前側及び対向する面)においては、水平支持板12の下方の全面において、それぞれ長方形形状の側面開口部11A,11Cが形成されており、排尿容器1における水平支持板12の下方の内部空間は中空となっている。
【0024】
水平支持板12の中央部には円形状の排尿孔12a(図3参照)が穿設されている。
そして、水平支持板12の四周の縁部には、導尿板14の縁部を支持するための周縁部材15が各側面10A〜10Dと密着するよう、等水平支持板12と排尿容器1の各側面10A〜10Dの上端部の略半分の高さ位置に至るように設けられている。
【0025】
また、導尿板14は、愛玩動物の排尿を排尿容器1の内部空間に導くために設けられており、排尿容器1の上面部の領域を下面とする四角錐の側面部の形状を有している(但し、四周に口字状部が付設されている)。そして、当該四角錐の頂部には、円形状の排尿孔14aが穿設されており、導尿板14の排尿孔14aと水平支持板12の排尿孔12aが接するように、口字状部が周縁部材15の上面に載置するように設けられている。
【0026】
上記構造により、導尿板14の上面部と各側面10A〜10Dで囲まれる領域に所定の深さとなるように凹部13(排尿部)が形成されることになり、この部分に非吸液性排尿処理材31を敷設できるようになっている。また、排尿が排尿孔14aに導かれるように、導尿板14には適度の傾斜が形成されるようになっている。
なお、排尿容器1の全体は、凹部13の上部に愛玩動物が載り、排尿を行うことが可能となるように所定の耐久性能を有するように形成されている。
【0027】
非吸液性排尿処理体31は、公知の紙粉或いはその他の有機性廃棄物材料と、接着剤を主な構成材料としている。この非吸液性排尿処理体31は、ほぼ水分を吸水しない非吸水型の粒状処理体である。その形状は、小塊の形状に形成されていればよく、完全な球形等である必要はないものであり、柱状体(細長形)、扁平形等、その形状は問わないものである。
なお、この非吸液性排尿処理体31は、押出造粒等の公知の造粒方法で製造することができるが、吸水性を有しないように、一般的な粒状体と比較して高硬度に形成される必要がある。
【0028】
また、接着剤は、非吸液性排尿処理体31を粒状に成形するために用いるものであり、公知の材料を用いることができる。但し、非吸液性排尿処理体31は非吸水性能を有するため、接着剤は、吸水性を有さない性質であることが好適である。
【0029】
(2)収容容器2
図2に示すように、収容容器2は、防臭容器20と、排尿収容具としての処理体収容カップ21とから構成されている。
【0030】
防臭容器20は、合成樹脂を原材料としており、底面部20a及び周壁部20bを有し、外形が略立方体形状であり、内側に正八角柱である、処理体収容カップ21の収容部が形成されている。この防臭容器20は、排尿容器1の側面開口部11A,11Cの高さと略同一の高さであり、側面開口部11A,11Cの幅と比較して手で把持しながら引き出し及び挿入可能な幅となるように形成されている。これにより、防臭容器20は、処理体収容カップ21を底面部20a及び周壁部20bにより安定的に保持して収容可能となっている。
【0031】
処理体収容カップ21は、底面部21a及び周壁部21bを有し、内部に排尿を貯留するための中空状の容器である。処理体収容カップ21は、内側にポリエチレンラミネート加工が施されている紙製のカップ又はポリプロピレン等を原材料とするプラスティック製のカップであり、上端から下端に向かって徐々に小幅となる円錐台形状に形成されている。処理体収容カップ21は、後述する複数の排尿吸収体32(図3参照)で満たされている。処理体収容カップ21は、防臭容器20に固着されておらず、上部に引き抜くことにより分離して取出自在となるように収納されているに過ぎない構造となっている。
【0032】
処理体収容カップ21に充填されている排尿吸収体32は、公知である吸液性の粒状処理体の製造過程等で発生する構成材料の粉体(吸液性の粒状処理体と同様の構成材料)を用いると、これまで、廃棄等していた材料を使用することができるため経済的である。もちろん、吸液性の粒状処理体を用いてもよいことは言うまでもない。
【0033】
上記吸液性の粒状処理体は、芯部と、この芯部の表面を被覆する被覆層部とから形成される複層構造を有しており、それらの構成材料が混練されている水分を吸収する吸収型の粒状処理体をいう。
【0034】
芯部の構成材料は、一定量の液体を自身の有する間隙等に保持することが可能となる一定程度の吸液性能又は保液性能を有している保水材料であれば、その材質等に制限はない。例えば、紙由来の有機物廃材であるバージンパルプ、綿状に形成されているパルプ廃材、トイレットペーパー廃材、ティッシュペーパー廃材、化粧紙廃材、ちり紙廃材、紙タオル廃材、不織布廃材、プラスティック廃材の粉砕物、木材料の粉砕物(例えば、廃木材の粉砕物、ヒバ油又はヒノキチオール含有の木材粉砕物)等の中の1種類又は複数種類の混合物を用いることができる。
【0035】
また、保水材料には、ベントナイト、ゼオライト、酸化チタン等の無機質材料等を用いることもできる。
なお、脱臭材料、消臭材料、防虫作用・殺菌作用を有する物質、着色物質等の、吸水性能を阻害することなく他の効果を奏することが可能となるような物質を配合することもできる。
【0036】
被覆層部は、使用時に尿等で濡れた粒状処理体同士を付着させて塊状とさせ、排尿をその周囲から包み込む等の作用を奏させることを主な目的としている。このような被覆層部の構成材料の例としては、多量の液体を吸収してゲル化し当該液体を保持する機能を有する高分子材料(ポリマー)である吸水性樹脂又は接着材料(接着性を有する材料)又は両材料の混合物と、紙粉の混合物を用い、これらを混練して製造することが好適である。
接着材料としては、例えば、糊料やポリアクリル酸ナトリウム等の高吸水性樹脂がある。このような接着剤として機能する糊料としては、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、米澱粉、デキストリン、各アルファ(α)化した澱粉などの澱粉類、アクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はアルギン酸ナトリウムを使用することができ、又はこれら二以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
そして、収容容器2の設置時には、排尿容器1の側面開口部11A,11Cから、処理体収容カップ21が挿設されている防臭容器20を挿入して、水平支持板12の排尿孔12aの周囲を囲繞するように、防臭容器20の上面部を位置決めすることにより、当該水平支持板12の下面に防臭容器20の上面が気密性を保持した状態で密着し、排尿や臭気が外部に漏れ難い構造となっている。
【0038】
[作用効果等]
続いて、本実施形態の動物用トイレT1の使用方法を説明する。
まず、排尿容器1の凹部13に、所定量の非吸液性排尿処理材31を敷設する。
続いて、所定量の排尿吸収体32を、処理体収容カップ21に充填する。そして、予め開放されている前後の側面開口部11A,11Cのいずれか一方から(以下も同様)、排尿吸収体32が充填された処理体収容カップ21を防臭容器20の中空部にセットする。さらに、処理体収容カップ21がセットされた防臭容器20を愛玩動物の飼い主等が把持して、排尿容器1の側面開口部11A,11Cから挿入し、排尿容器1の排尿孔14aが防臭容器20の上面部のほぼ中央部になるように、位置決めする。このとき防臭容器20の上面を排尿容器1の水平支持板12が塞ぐため、所定の水密性及び気密性が保たれ、排尿や臭気が外部に漏れ難くなっている。
【0039】
続いて、排尿容器1の凹部13から、愛玩動物に排尿させる。排尿は、複数の非吸液性排尿処理材31の間を通過する過程で、排尿の悪臭等が吸着されながら、導尿板14及び水平支持板12の各排尿孔14a,12aを通り、その真下の処理体収容カップ21の上部開口部からその内部に充填されている排尿吸収体32に達し、当該排尿吸収体32に吸収される。
【0040】
その後、排尿吸収体32に排尿が十分に吸収されたと思われるタイミングで、防臭容器20を側面開口部11A,11Cを通じて引き出す。そして、防臭容器20にセットされている処理体収容カップ21を取り上げて、充填されている排尿吸収体32とともに、ゴミとして廃棄し、その後、新たな処理体収容カップ21に排尿吸収体32を充填し、防臭容器20にセットし、上記手順を繰り返すことになる。なお、排尿を吸収した部分の排尿吸収体32のみを処理体収容カップ21から取り出して廃棄し、補填してもよい。
【0041】
以上のように、本実施形態の動物用トイレT1によれば、収容容器2は、排尿容器1の側面開口部11A,11Cから手を差し入れることで取出し自在となるように構成されており、加えて、処理体収容カップ21は、防臭容器20と別体であり、取出し自在に収容されているため、処理体収容カップ21及び排尿を吸収した排尿吸収体32を使い捨てにより容易に取り替えることができるので防臭容器20等の清掃等が不要で取り扱いを容易に行うことができる。
【0042】
また、上記収容容器2は、空間部に吊持されるのではなく、処理体収容カップ21と別体の防臭容器20とを備え、当該処理体収容カップ21は、底部が支持面(動物用トイレT1の設置されている床面等)に載置されている防臭容器20に直接的に支持されているため、多量の排尿をその内部に貯留することができる。
また、排尿後に防臭容器20から取り出した処理体収容カップ21から排尿を吸収した排尿吸収体32を別途取り除いて廃棄することもでき、材質等に基づく廃棄区分等に応じた適切な処理を容易に行うことができる。
【0043】
また、防臭容器20は、排尿容器1の水平支持板12の下面にその上面を密着させることができ、当該防臭容器20の上面を水平支持板12が塞ぐことになる。したがって、所定の水密性及び気密性を保つことができるため、排尿や臭気を外部に漏れ難くすることができる。このとき、臭気は、排尿孔12aからのみ、外部に漏れる可能性があるが、排尿孔12aの上部は、非吸液性排尿処理材31によりほぼ塞がれており、当該非吸液性排尿処理材31により逆流した臭気を吸収することができるため、排尿容器1の内部に臭気が籠もることなく、また臭気が外部に漏れることを防止することができる。
【0044】
また、排尿容器1は、その側面部において、収容容器2を取出し又は設置するための役割を果たさせるために2つの側面開口部11A,11Cが形成されているため、例えば、本発明の動物用トイレT1の一方向の側面開口部11Cを壁に近接して設置した場合であっても、他方向の側面開口部11Aから収容容器2の取り出し、装着を行うことができる。この側面開口部11A,11Cは、予め開口するように形成されているため、収容容器2を装着等する場合に、側面部を開放する等の煩雑な作業が不要になるとともに、軽量かつデザインに優れた構造とすることが可能となる。
【0045】
なお、上記第1実施形態の動物用トイレT1では、直方体の四方の側面のうちの2つの側面のみに側面開口部11A,11Cを設ける構造としている。しかし、側面開口部の数は、2つ以上存在していれば上記効果を奏することができるものであり、図4に示すように、四方の側面の総ての面に側面開口部11A〜11Dを設ける構造とした動物用トイレT1’とすることもできる。
【0046】
上記本実施形態の動物用トイレT1’では、4つの側面開口部11A〜11Dの存在により、さらに軽量化することができる。この場合であっても、排尿容器1が、収容容器2の設置時において、当該防臭容器2の上面部が、上記水平支持板12の排尿孔12aの周囲を囲繞した状態で、その下面に密着して配置されているため、防臭容器20が排尿容器1の水平支持板12を下側から強固に支持することができるため、耐荷性能に優れた構造とすることができる。
【0047】
<第1実施形態の変形例>
図5に示すように、上記第1実施形態の動物用トイレT1において、第1階段構成部材71と、第2階段構成部材72とをさらに備えることもできる。第1階段構成部材71と、第2階段構成部材72は、同一形状を有する2段のステップを有する踏み台であり(但し、段数は問わない)、収容しやすいように、分割されて構成されている。
【0048】
この第1階段構成部材71及び第2階段構成部材72は、未使用時には、排尿容器1の側面開口部11A,11Cから防臭容器20の両側の位置にそれぞれ挿入され、排尿容器1の下部空間に格納することができるようになっている。
そして、使用時には、排尿容器1の側面開口部11A,11Cから取り出され、側面開口部11A,11Cが設けられている側面10A,10Cに隣接する側面10B,10Dのうちいずれか側に接して階段状となるように配置され、両階段構成部材71,72が一体となり、幅広の階段部を形成することができるようになっている(もちろん、所望の側面10A〜10Dのいずれの側に用いてもよい)。
【0049】
なお、第1階段構成部材71及び第2階段構成部材72の内部に、取り出し自在の引き出し部が設けられているものとすることもできる。この引き出し部には、吸水処理材等、本動物用トイレに必要となる用具類等を収納することとすれば好適である。
【0050】
このような、本実施形態の動物用トイレT1”によれば、第1階段構成部材71及び第2階段構成部材72が階段部を形成することで、排尿容器1の凹部13の高さが高い場合であって、子猫等の小動物が利用する場合であっても、排尿容器1の凹部13に容易に載ることができる。
また、第1階段構成部材71及び第2階段構成部材72を、排尿容器1の下部空間に格納することができるで、省スペースかつ保管時の安全性が実現できるとともに、格納時には、第1階段構成部材71及び第2階段構成部材72が水平支持板12を下方から支持することができるため、耐力面での補強に寄与する効果も奏することになる。
【0051】
<第2実施形態>
図6に示すように、本実施形態の動物用トイレT2は、排尿容器1と収容容器3とから構成されているが、その基本的な構成は上記の第1実施形態の動物用トイレT1と同様であり、当該収容容器3のみが異なっているため、その相違点について説明する。
【0052】
防臭容器20’は底面部20a、周壁部20bのほかに上面部20cを有する立方体の中空容器である。上面部20cの中央部には、水平支持板12の排尿孔12a以上の開口面積を有する所定の形状の排尿孔20dが穿設されている。
また、収容容器3における排尿収容具として、処理体収容カップ21の代わりに、ポリエチレン製等の処理体収容袋212が用いられている。この処理体収容袋212は、周縁部の先端が防臭容器20’の上面部20cを覆うことが可能な程度の大きさに形成されている。そして、処理体収容袋212は、防臭容器20’の内部に設けられるとともに、開口部の部分が排尿孔20dから外側に引き出され、防臭容器20’の上面部20cの全面を覆うとともに、一部が周壁部20bの上方を覆っている。
【0053】
続いて、本実施形態の動物用トイレT2の使用方法のうち上記の第1実施形態の動物用トイレT1との相違点について説明する。
まず、排尿吸収体32が充填された処理体収容袋212を開口部が上方となる位置に防臭容器20’の中空部にセットし、防臭容器20’の排尿孔20dから処理体収容袋212の周縁部を引き出して、防臭容器20の上面部20cを覆うように被覆する。さらに、そのように処理体収容袋212がセットされた防臭容器20’を把持して、排尿容器1の側面開口部11A,11Cから挿入し排尿容器1の排尿孔14a,12aが防臭容器20’の排尿孔20dの略中央部となるように位置決めする。このとき処理体収容袋212に覆われた防臭容器20’の上面部20cを排尿容器1の水平支持板12が塞ぐため、所定の水密性及び気密性が保たれ、尿や臭気が外部に漏れ難くなっている。
【0054】
このような、本実施形態の動物用トイレT2によれば、第1実施形態の動物用トイレT1と同様の効果を奏するとともに、処理体収容袋212を防臭容器20’の上面部20cと排尿容器1の水平支持板12とで挟んで設置することで、処理体収容袋212の安定性を簡易かつ確実に確保できる。
また、防臭容器20’の存在により、形状が崩れやすい処理体収容袋212の内部に、排尿を保持させやすいことになる。また、カップ状の排尿収容具に比べて、処理体収容袋は未使用時の保管の際にコンパクトに折り畳んでおけるので広い収納場所を必要としないという効果を有する。
【0055】
<第3実施形態>
図7に示すように、本発明の第3実施形態の動物用トイレT3は、排尿容器1’と、収容容器4とから構成されており、その基本的な構成は上記の第1実施形態の動物用トイレT1と同様であるため、相違点について説明する。
【0056】
排尿容器1’の導尿板14’は、排尿孔14a’の部分と連続して、筒状の排尿路14b’が突設している。この排尿路14b’は、水平支持板12の中央部の排尿孔12aを通って鉛直方向に延伸しており、さらに、その先端部には、水平支持板12の下面との間に所定の空隙ができる位置から水平方向へ延伸して係止部14c’が形成されている。
【0057】
また、収容容器4における排尿収容具として、処理体収容カップ21の代わりにポリエチレン等の処理体収容袋213が使用されている。この処理体収容袋213は、開口部の周縁部には、横幅が狭くなるように絞り部213aが形成されており、先端部の所定長さの部分が折り返されて2重になって容着されている。そして、当該絞り部213aには、ゴム製のリング部材41が内装されている。この絞り部213aは、導尿板14’の係止部14c’に、リング部材41の内側方向に向かう復元力(弾性体の付勢力)によって繋着されている。
【0058】
続いて、本実施形態の動物用トイレT3の使用方法のうち、上記の第1実施形態の動物用トイレT1との相違点について説明する。
まず、排尿吸収体32が充填された処理体収容袋213を、絞り部213aが上方となるように防臭容器20の中空部にセットする。さらに、そのように処理体収容袋213がセットされた防臭容器20を把持して、排尿容器1’の側面開口部11A,11Cから挿入し、導尿板14’の排尿孔14a’が防臭容器20の上面開放部分のほぼ中央部となるように位置決めし、処理体収容袋214の絞り部213aを手で係止部14c’を覆うように一旦押し広げた後に手を離して、リング部材41の復元力を利用して係止部14c’に繋着させる。このとき絞り部213aの弾性力により、処理体収容袋213を排尿路14b’に強固に繋着することができるため、所定の水密性及び気密性が保たれ、尿や臭気を外部に漏れ難くすることができる。
【0059】
本実施形態の動物用トイレT3によれば、第1実施形態の動物用トイレT1と同様の効果を奏するとともに、係止部14c’に、処理体収容袋213の絞り部213aを繋着させることで、処理体収容袋214の安定性を簡易かつ確実に確保できる。
また、防臭容器20の存在により、形状が崩れやすい処理体収容袋213の内部に、排尿を保持させやすくすることができる。
【0060】
<第4実施形態>
図8(a),(b)に示すように、本実施形態の動物用トイレT4は、排尿容器1”と、収容容器5とから構成されており、その基本的な構成は上記の第1実施形態の動物用トイレT1と同様であるため、相違点について説明する。
但し、本実施形態の動物用トイレT4では、凹部13に敷設される非吸液性排尿処理材31に関し、流通時において、袋体52(ポリエチレン等を材料とし、容易に開封可能な袋体)密封されているものを使用することを前提としており、さらに、上記袋体52の下面の略中央部には、導尿板14”へ取り付けるための雄ネジ部52aが突設されている場合を想定している。
【0061】
本実施形態の動物用トイレT4は、収容容器5における排尿収容具として、処理体収容カップ21の代わりに、合成樹脂製のペットボトル状である収容ボトル214が用いられている。この収容ボトル214は、防臭容器20に形成されている空間部に収容することができる形状の筒状体に形成されており、上部の突出部には、水平支持板12’の排尿孔12a’に形成されている雌ネジ部12b’に取り付けるための雄ネジ部214aが形成されている。
【0062】
また、上記のとおり、導尿板14”の排尿孔14a”には、袋体52の雄ネジ部52aと螺合する雌ネジ部14b”が形成されている。
また、水平支持板12’の排尿孔12a’における袋体52の雄ネジ部52aと、収容ボトル214の雄ネジ部214aとの間には、公知の消臭材料を内部に備えている円柱状の消臭フィルタ62が内装されている。
【0063】
続いて、本実施形態の動物用トイレT4の使用方法のうち、上記の第1実施形態の動物用トイレT1との相違点について説明する。
まず、所定量の排尿吸収体32を、収容ボトル214に充填し、当該収容ボトル214を防臭容器20に挿設する。そして、排尿容器1”の側面開口部11A,11Cから挿入し、水平支持板12’の排尿孔12a’が防臭容器20の上面開放部分のほぼ中央部となるように位置決めして、収容ボトル214の雄ネジ部214aを水平支持板12の雌ネジ部12b’にねじ込む。このとき、雄ネジ部214aと雌ネジ部12b’により、所定の水密性及び気密性が保たれ、排尿や臭気が外部に漏れ難くなっている。
【0064】
また、非吸液性排尿処理材31が封入されている袋体52を排尿容器1”の凹部13に載置して、袋体52の雄ネジ部52aを導尿板14”の雌ネジ部14b”にねじ込む。そして、袋52の上方部となる一側面側を破り広げて開放し、非吸液性排尿処理材31を露出させる。
【0065】
その後、排尿容器1”の凹部13において敷設された非吸液性排尿処理材31の上から愛玩動物に排尿させると、導尿板14”の排尿孔14a”を通り、その後、消臭フィルタ62を通過する過程で脱臭されるとともに、水平支持板12の各排尿孔12a”を通り、収容ボトル214の開口部から、その内部に導かれる。
【0066】
上記のように、本実施形態の動物用トイレT4によれば、収容ボトル214の雄ネジ部214aと水平支持板12’の雌ネジ部12b’の存在により、当該収容ボトル214と水平支持板12’とを簡易かつ確実に接合することができるとともに、所定の水密性及び気密性が保たれ、尿や臭気が外部に漏れ難くすることができる。
【0067】
また、非吸液性排尿処理材31が封入されている袋体52の雄ネジ部52aを導尿板14”の雌ネジ部14b”にねじ込むことにより、所定の水密性及び気密性が保たれ、尿や臭気が外部に漏れ難くすることができるとともに、袋体52の存在により、導尿板14”の汚れ等を防止することができる。
さらに、導尿板14”の排尿孔14a”と水平支持板12’の排尿孔12a’の間の導尿路の中途部に相当する部分に、消臭フィルタ62が介装されているため、臭気が収容容器5から逆流してくる場合も含めて、排尿による臭気を効果的に吸収することができる。
【0068】
以上、本発明について、好適な実施形態についての一例を説明したが、本発明は当該各実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
特に、排尿容器、防臭容器および処理体収容カップ等の形状、材質等に制限はなく、各実施形態の効果を奏することができる構造であればどのような構造でもよい。
特に、排尿容器は、底面部を有しない構造としたが、底面部を有する直方体形状の容器としてもよい。
【0069】
また、上記の各実施形態では、排尿孔、収容容器の数を1つとした場合を例として説明したが、開口部、処理体収容器数には制限はなく、またそれらの位置及び形状等も動物用トイレの大きさ等により、適切に定められるものである。
また、排尿容器は、透明材料で形成されていれば、その内部の状況が認識可能となるため特に好適である。
【符号の説明】
【0070】
T1〜T4,T1’,T1” 動物用トイレ
1,1’,1” 排尿容器
2〜5 収容容器
10A〜10D 側面
11A〜11D 側面開口部
12 水平支持部
12a,12a’ 排尿孔
12b’,14b” 雌ネジ部
13 凹部
14,14’,14” 導尿板
14a,14a’,14a” 排尿孔
20 防臭容器
21 処理体収容カップ
212,213 処理体収容袋
214 収容ボトル
31 非吸液性排尿処理体
32 排尿吸収体
52 袋体
52a,214a 雄ネジ部
62 消臭フィルタ
71 第1階段構成部材
72 第2階段構成部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排尿容器と排尿の収容容器とを備える動物用トイレにおいて、
前記排尿容器は、鉛直方向に立設し、前記収容容器を取出し又は設置するための開口部を2つ以上有している側面部と、当該側面部に対して横設されている防臭部と、当該防臭部の上部に設けられている排尿部とを備えるとともに、
前記収容容器は、排尿収容具と当該排尿収容具が取出し自在に収容される別体の防臭容器とを備えるものであり、
前記排尿部及び前記防臭部には、それぞれともに連通する排尿孔が形成されており、
前記収容容器は、前記側面部を介して、取出し又は設置自在に設けられているとともに、
前記収容容器の設置時において、前記防臭容器の上面部が、前記防臭部の排尿孔の周囲を囲繞した状態で、前記防臭部の下面に気密性を保持するように密着し、
前記排尿収容具は、前記防臭部の前記排尿孔から導かれる前記排尿をその内部に貯留可能となるように配置されていることを特徴とする動物用トイレ。
【請求項2】
前記排尿部に形成されている前記排尿孔において、前記非吸液性排尿処理材が収容されている袋体を取り付けるためのネジ部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の動物用トイレ。
【請求項3】
前記排尿部に形成されている前記排尿孔と、前記防臭部に形成されている前記排尿孔との間の排尿路において、消臭材料又は吸臭材料が内装されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の動物用トイレ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−74819(P2013−74819A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215602(P2011−215602)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【特許番号】特許第4892643号(P4892643)
【特許公報発行日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【出願人】(509229795)
【Fターム(参考)】