動物用知育玩具
【課題】動物の興味を強く惹起し続け十分な知育効果を得ると同時に、内部を清潔に保つことができる動物用知育玩具を提供する。
【解決手段】動物用の餌を外部に繰り出す外部繰出孔4を備えた透明又は半透明の上殻体5と、姿勢保持用の錘6を備えた下殻体7とが着脱自在に結合されて転動可能な外面形状を有する本体2が構成され、上殻体5と下殻体7との間に、本体2の内部を下殻体7側の第1収納室20と上殻体5側の第2収納室21とに仕切る仕切板3を有し、この仕切板3には、第1収納室20に収納した動物用の餌を第2収納室21側へ繰り出す内部繰出孔22が設けられている。
【解決手段】動物用の餌を外部に繰り出す外部繰出孔4を備えた透明又は半透明の上殻体5と、姿勢保持用の錘6を備えた下殻体7とが着脱自在に結合されて転動可能な外面形状を有する本体2が構成され、上殻体5と下殻体7との間に、本体2の内部を下殻体7側の第1収納室20と上殻体5側の第2収納室21とに仕切る仕切板3を有し、この仕切板3には、第1収納室20に収納した動物用の餌を第2収納室21側へ繰り出す内部繰出孔22が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用の餌を収納し、動物が遊びながら動物用の餌を食する動物用知育玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊ばせながら動物に丸薬型などの固形状の餌を与えるものとして、動物用の餌を出し入れできる孔を備えただるま状又は円柱状の容器である動物用玩具や、動物用の餌を嵌め込める隙間をその表面に有した棒状の動物用玩具が用いられていた。
これらの動物用玩具は、孔から容器の内部へ動物用の餌を入れ、もしくは表面の隙間に動物用の餌を挟んだ後に玩具を動物に与え、動物が玩具を咥えたり手足で転がしたりすることで、孔や隙間から動物用の餌を取り出させるものである。
しかし、このような構成では、あまり苦労もなく動物が餌を食することができるため、動物に考えさせることができず、知育効果を得られないという欠点があった。
【0003】
そこで、このような欠点を解消するために、動物用の餌を収納する円柱形状の容器本体と、その上底面に設けられた凹型湾曲面、及び動物用の餌が出し入れできる孔と、容器本体の側面に数枚の羽根状の突起物とを備えた動物用知育玩具によって、知育効果を得る技術が開示されている(特許文献1)。
この動物用知育玩具は、上底面に凹型湾曲面があるため、容器本体中の動物用の餌が上底面の孔から安易に転がり出ない構造になっており、どうすれば孔から動物用の餌が取り出せるかを動物に考えさせることによって、知育効果を得ようとするものである。
【特許文献1】登録実用新案第3103357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、容器本体の孔から動物用の餌を取り出してしまえば、それ以上動物に考えさせることはできず、知育効果を十分に得られるとはいえない。また、容器本体の内部にある動物用の餌を外部から視認することができず、すぐに動物が飽きてしまい、動物の興味を惹起させ続けることができない。さらに、上底面に凹型湾曲面を備えていることから、容器本体中に動物用の餌の屑が溜まりやすく、しかも内部を直接洗うことができず非常に不衛生である。
かかる問題に鑑み、本発明は、動物の興味を強く惹起し続け十分な知育効果を得ると同時に、内部を清潔に保つことができる動物用知育玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明は、以下の技術的手段を採用した。
第1に、動物用の餌を外部に繰り出す外部繰出孔を備えた透明又は半透明の上殻体と、姿勢保持用の錘を備えた下殻体とが着脱自在に結合されて転動可能な外面形状を有する本体が構成され、前記上殻体と前記下殻体との間に、前記本体の内部を前記下殻体側の第1収納室と前記上殻体側の第2収納室とに仕切る仕切板を有し、この仕切板には、前記第1収納室に収納した動物用の餌を前記第2収納室側へ繰り出す内部繰出孔が設けられていることを特徴とする。
【0006】
これにより、第1収納室に収納した動物用の餌が第2収納室側へ繰り出してきたことを本体の外部から視認でき、かつ姿勢保持用の錘によって透明又は半透明な上殻体を通常は上とする姿勢を保ちつつ不規則な回転をするので、動物の興味を惹起し続けられる。また、上殻体と下殻体とは簡単に取り外すことができ、内部を直接洗うことで常に清潔に保つことができる。
第2に、前記上殻体と前記下殻体とが、ともに半球体であることを特徴とする。
これにより、本体が球形となり、より滑らかに転動させることができる。
【0007】
第3に、前記仕切板には、この仕切板に対してスライドすることで内部繰出孔の開口量を調整する調整板が設けられていることを特徴とする。
これにより、仕切板に設けられた内部繰出孔の開口量を調整できるため、例えば、最初は開口量を多くし動物が慣れるに従い開口量を少なくすることが可能であり、難易度を変化させることで動物を飽きさせない。また、完全に内部繰出孔を閉じるよう調整をすることで、第1収納室に動物用の餌を収納したままこぼすことなく、この動物用知育玩具を持ち運ぶこともできる。さらに、動物に与える餌の量を飼い主の好みに合わせることができる。
【0008】
第4に、前記上殻体の前記外部繰出孔が長孔形状とされていることを特徴とする。
これにより、外部繰出孔の長手方向に本体が転動する際に動物用の餌が繰り出しやすくなるため、孔が大きすぎることによって外部繰出孔を下として転動が止まることもなく、孔が小さすぎるために動物用の餌がほとんど繰り出さない等の問題を生じない。
第5に、前記仕切板の前記内部繰出孔が長孔状とされていることを特徴とする。
これにより、内部繰出孔の長手方向に本体が転動する際に動物用の餌が繰り出しやすくなるため、孔が大きすぎるために第2収納室内の動物用の餌が第1収納室に戻ることもなく、孔が小さすぎるために動物用の餌がほとんど繰り出さない等の問題を生じない。
【0009】
第6に、前記外部繰出孔の長手方向と前記内部繰出孔の長手方向とが直交することを特徴とする。
これにより、内部繰出孔から動物用の餌が繰り出しやすい方向と外部繰出孔から動物用の餌が繰り出しやすい方向とが交差しているため、転動により内部繰出孔から繰り出された動物用の餌は、いったん第2収納室にとどまる。そして、第1収納室から内部繰出孔及び外部繰出孔を通って一気に外部に繰り出すことがなくなる。
第7に、前記上殻体の内面と前記下殻体の内面には、前記仕切板を挟持する担持部がそれそれ設けられていることを特徴とする。
【0010】
これにより、本体がどれだけ転動しても仕切板がずれることなく、つねに第1収納室と第2収納室とを区分けできる。また、上殻体と下殻体とを取り外すだけで仕切板も外れるため、上殻体及び下殻体と仕切板との分断が容易となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、本動物の興味を強く惹起し続け十分な知育効果を得ると同時に、内部を清潔に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1〜15に示すように、動物用知育玩具1は、動物用であって丸薬状などの固形状の餌fを収納でき転動可能な外面形状を有する本体2と、本体2の内部を仕切る仕切板3とから主に構成される。
図1、2に示すように、本体2は、動物用の餌fを本体2の外部に繰り出す外部繰出孔4を備えた透明で半球形状の上殻体5と、姿勢保持用の錘6を備えた半球形状の下殻体7とからなる。上殻体5と下殻体7とは、互いに着脱自在に螺合し、螺合することによって、転動可能な外面形状を有する球形の本体2を構成する。
【0013】
図3〜5に示すように、上殻体5は、例えば、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、又はスチロール樹脂等の合成樹脂製であり、透明又は半透明であるため、本体2の外部からその内部が視認できる。上殻体5の最上部中央に外部繰出孔4が設けられ、上殻体5の最上部から中腹にかけて半球部8が形成され、半球部8の下端縁から下向きに延出する円筒部9が形成され、円筒部9の下端縁から下向きに延出する雄ネジ10が形成されている。また、円筒部9の下端縁には水平方向に伸びる環状のフランジ12が設けられている。さらに、円筒部9の外面でかつフランジ12の上面には、側面視において略三角形状の上下方向に伸びる外リブ11が円筒部9の周方向に等間隔で複数設けられている(本実施形態においては16本)。なお、各外リブ11の外側面は本体2の球形状の外面に連続するように形成されている。そして、雄ネジ10のネジ山先端10aの延長線上には、後述するネジロック凸部19と嵌合することで上殻体5と下殻体7との螺合状態を保持するネジロック凹部13が設けられている。
【0014】
上殻体5は、円筒部9、外リブ11及びフランジ12を備えているため、上殻体5の開口縁に形成された雄ネジ10が螺合に耐えるだけの強度を有しつつ、球形状の本体2全体として滑らかな転動を妨げない。また、上殻体5と下殻体7とを螺合させる際に、外リブ11を把持しながら捻り動作を行うことで、螺合する力を上殻体5と下殻体7とに効率よく伝えられる。
一方、半球部8の下端内面から雄ネジ10内面の中腹にかけて上下方向に伸びる平板状の雄ネジ側担持部14が上殻体5の周方向に等間隔で複数設けられ(本実施形態においては4本)、後述する下殻体7内面の雌ネジ側担持部16との間に仕切板3を挟持する。
【0015】
図3,4に示すように、外部繰出孔4は、平面視において小判形状であり、具体的には、2本の直線部4aと2つの半円弧部4bによって囲まれた長孔状である。したがって、外部繰出孔4の長手方向に本体2が転動する際に動物用の餌fが繰り出しやすくなるため、外部繰出孔4が大きすぎるために外部繰出孔4を下として転動が止まることもなく、外部繰出孔4が小さすぎるために動物用の餌fがほとんど繰り出さない等の問題を生じない。また、外部繰出孔4の周囲は上殻体5の内側方向に隆起し他の部分よりも肉厚である。さらに、その内周縁の断面は角のとれたアール形状であるため、動物用の餌fが繰り出しやすくなっている。
【0016】
図6〜8に示すように、下殻体7は、例えば、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、又はスチロール樹脂等の合成樹脂製であり、下殻体7の開口縁内面には前述した雄ネジ10に対応して雌ネジ15が設けられ、雌ネジ15の下端からの下殻体7内面の中腹にかけて上下方向に伸びる平板状の雌ネジ側担持部16が下殻体7の周方向に等間隔で複数設けられている(本実施形態においては4本)。また、下殻体7外面の中腹には円形の外凹部17が下殻体7の周方向に等間隔で複数設けられている(本実施形態においては16個)。さらに、下殻体7の最下部中央周辺には下殻体7の内部と外部を連通する連通孔18が姿勢保持用の錘6を囲む円に沿って周方向に等間隔で複数設けられ(本実施形態においては2つ)、下殻体7の最下部中央に姿勢保持用の錘6が設けられている。そして、雌ネジ15のネジ溝15a内であってネジロック凹部13に対応する位置には、前述したネジロック凹部13に嵌合することで上殻体5と下殻体7との螺合状態を保持するネジロック凸部19が設けられている。
【0017】
雌ネジ15は、前述した雄ネジ10と螺合することによって、上殻体5と下殻体7とを着脱自在に結合する。また、雌ネジ側担持部16は、前述した上殻体5内面の雄ネジ側担持部14との間に仕切板3を挟持することによって、本体2がどれだけ転動しても仕切板3がずれることはない。さらに、外凹部17は、滑らかですべり易い半球状の下殻体7と、上殻体5とを螺合させる際に、円形の外凹部17を把持しながら捻り動作を行うことで、螺合する力を上殻体5と下殻体7とに効率よく伝る役割を果たす。また、連通孔18は、仮に動物が玩具を飲み込むようなことがあっても、呼吸を確保する空気孔としての役割を果たす。さらに、連通孔18は下殻体7成形時において金型からの離型性を向上させる。そして、連通孔18の下殻体7内部側開口部の直径は、下殻体7外部側開口部の直径よりも大きくなるように形成され、連通孔18の内面はテーパー状になっており、離型性をより向上させている。
【0018】
図6、7に示すように、姿勢保持用の錘6は、下殻体7の最下部中央の部分を他の部分よりも肉厚にすることで形成されている。この姿勢保持用の錘6によって、本体2は、起き上がり小法師のように、透明な上殻体5を通常は上とする姿勢を保ちつつ不規則な回転をするので、動物の興味を惹起し続けられる。
図11〜13に示すように、仕切板3は、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂製であり、円板形状であり、上殻体5と下殻体7との間に位置し、本体2の内部空間を下殻体7側の第1収納室20と上殻体5側の第2収納室21とに仕切っている。また、仕切板3には、第1収納室20に収納した動物用の餌fを第2収納室21側へ繰り出す内部繰出孔22が設けられ、さらに、仕切板3に対してスライド回転することで内部繰出孔22の開口量を段階的(本実施形態においては5段階)に調整する環状の調整板23が回動自在かつ着脱自在に同心状に設けられている。そして、仕切板3には、環状の調整板23を仕切板3と同心状に嵌め込めるような環状凹面24が形成されている。
【0019】
環状凹面24の内周縁には、内部繰出孔22の開口量を段階的に保持するための段階突部25が、各段階ごとに周方向に一定間隔で設けられている。なお、本実施形態においては、調整板23をスライドさせることによって、内部繰出孔22を完全に閉じる段階も設けている。また、環状凹面24の内周縁には、調整板23と仕切板3との着脱が許容される位置を保持する許容位置突部26が仕切板3の中心を基準として180度正対する2つを1組として設けられている。さらに、環状凹面24の外周縁には、調整板23と仕切板3との着脱を許容する係止突部27が、仕切板3の中心を基準として180度正対する2つを1組として設けられている。なお、段階突部25と許容位置突部26とは環状凹面24の内周縁から仕切板3の径方向外側に向かって突出し、係止突部27は環状凹面24の外周縁から仕切板3の中心に向かって突出している。また、段階突部25及び許容位置突部26は、後述する段階切欠部31に嵌合することによって、それぞれ内部繰出孔22の開口量の各段階及び調整板23と仕切板3との着脱を許容する位置を保持する。さらに、係止突部27は、後述する係止切欠部32と嵌合することによって、調整板23と仕切板3との着脱を許容する。
【0020】
一方、環状凹面24の内側にある中央隆起面28において、内部繰出孔22の各段階の開口量を示す位置を数字で、内部繰出孔22を完全に閉じる位置及び仕切板3と調整板23との着脱が可能な位置を印で示している。また、仕切板3において環状凹面24の反対面の外周縁には、雌ネジ側担持部16に嵌合することによって仕切板3の位置決めをする位置決め凹部29が周方向に等間隔で複数設けられている(本実施形態においては2つ)。
図11〜13に示すように、内部繰出孔22は、環状凹面24における内周縁と外周縁との間であって後述する調整孔33に挿通する位置に設けられている。また、内部繰出孔22は、環状凹面24の周方向に沿ってカーブした長孔状であって、環状凹面24の中心回りの回転運動により円が描いた軌跡の外周形状である。
【0021】
調整板23は、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂製であり、仕切板3の環状凹面24と同心状に嵌め込めるように、その中央に中央孔30が形成されている。この中央孔30と仕切板3の中央隆起面28とが嵌合することによって、調整板23は、仕切板3に回転自在かつ着脱自在取り付けられている。また、調整板23には、仕切板3に対してスライドすることで内部繰出孔22の開口量を段階的に調整するための調整孔33が設けられている。
環状の調整板23の内周縁には、内部繰出孔22の開口量を段階的に保持するための段階切欠部31が、調整板23の中心を基準として180度正対する2つを1組として設けられている。また、環状の調整板23の外周縁には、調整板23と仕切板3との着脱が許容される位置を保持する係止切欠部32が仕切板3の中心を基準として180度正対する2つを1組として設けられている。なお、段階切欠部31は環状の調整板23の内周縁から調整板23の径方向外側に向かって切り欠いており、係止切欠部32は環状の調整板23の外周縁から調整板23の中心に向かって切り欠いている。また、段階切欠部31は、前述した段階突部25及び許容位置突部26に嵌合することによって、それぞれ内部繰出孔22の開口量の各段階及び調整板23と仕切板3との着脱を許容する位置を保持する。さらに、係止切欠部32は、前述した係止突部27と嵌合することによって、調整板23と仕切板3との着脱を許容する。
【0022】
調整孔33は、環状の調整板23における内周縁と外周縁との間であって前述した内部繰出孔22に挿通する位置に設けられている。また、調整孔33は、内部繰出孔22と同一形状であって、調整板23の周方向に沿ってカーブした長孔状であり、調整板23の中心回りの回転運動により円が描いた軌跡の外周形状である。
なお、内部繰出孔22のカーブした方向と外部繰出孔4の長手方向とは直交する位置関係を保持するように位置決め凹部29と雌ネジ側担持部16とが設けられ、内部繰出孔22から動物用の餌fが繰り出しやすい方向と外部繰出孔4から動物用の餌fが繰り出しやすい方向とが交差しているため、第1収納室20から内部繰出孔22及び外部繰出孔4を通って一気に外部に繰り出すことがほとんどない。
【0023】
さらに、内部繰出孔22のカーブした方向におけるその両端縁からの中間点と、外部繰出孔4の幅方向におけるその両端縁からの中間点とが同一平面上となる位置関係を保持するように、位置決め凹部29と雌ネジ側担持部16とが設けられている。これは、調整板23が仕切板3に対してスライド回転する本実施形態においては、内部繰出孔22のカーブした方向におけるその両端縁からの中間点と外部繰出孔4の幅方向におけるその両端縁からの中間点とが同一平面上となるようにすれば、内部繰出孔22の中心点(内部繰出孔22の長手方向及び幅方向におけるそれぞれの両端縁から中間にある2本の直線が交差する点)と、外部繰出孔4の中心点(外部繰出孔4のカーブした方向及び幅方向におけるそれぞれの両端縁から中間にある2本の直線が交差する点)との距離が最も遠くなる。よって、本実施形態は、第1収納室20から内部繰出孔22及び外部繰出孔4を通って一気に本体2の外部に繰り出すことが非常に少なく、転動により内部繰出孔22から繰り出された動物用の餌fは、ほとんどが第2収納室21にいったんとどまり、動物の興味を十分に惹起させることができる。
【0024】
続いて、本発明に係る実施形態の使用態様を説明する。
図14、15に示すように、動物用知育玩具1を使用するには、動物用であって丸薬型などの固形状の餌fを下殻体7に入れたまま、仕切板3を上殻体5と下殻体7とで挟持した後、外リブ11及び外凹部17を把持しながら捻り動作を行い、上殻体5と下殻体7とを螺合させる。捻り動作を加え続け、ネジロック凹部13とネジロック凸部19とが嵌合することで、上殻体5と下殻体7との螺合状態を保持する。この状態で動物用知育玩具1を動物に与え、動物が動物用知育玩具1を手足で転がしたり鼻先で押したりすることで、図14(a)〜(d)に示すように、第1収納室20から内部繰出孔22を通って第2収納室21側へ動物の餌fが繰り出される。上殻体5は透明であるため、第2収納室21内の動物用の餌fが本体2の外部から視認できるため、最初に動物の注意をより喚起することができる。それによって、さらに動物が動物用知育玩具1を手足で転がしたり鼻先で押したりするが、内部繰出孔22の長手方向と外部繰出孔4の長手方向は直交しているため、なかなか第2収納室21から外部繰出孔4を通って本体2の外部へ動物の餌fが繰り出されない。そこで、動物は、視認できる動物用の餌fを食したい欲求から、図14(f)〜(h)に示すように、第2収納室21から外部繰出孔4を通って本体2の外部へ動物用の餌fをどうすれば繰り出せるか考え、考えながら動物用知育玩具1を手足で転がしたり鼻先で押したりすることによって、知育効果を得られる。
【0025】
また、図15(a)〜(f)に示すように、仕切板3に対して調整板23をスライド回転させることで、調整孔33と内部繰出孔22とが連通することによって生じる内部繰出孔22の開口部分hの大きさを変えることができる。これによって、内部繰出孔22の開口量を調整できるため、動物用の餌fを繰り出す難易度に変化をつけることができ、例えば、最初に内部繰出孔22の開口量を多くしておき、徐々に開口量を少なくするなどによって、動物を飽きさせることなく、その興味を惹起させ続け、知育効果を継続して得ることができる。なお、図15(a)は、仕切板3と調整板23とが着脱可能な状態を表し、図15(b)は、内部繰出孔22が完全に閉じられた状態を表す。
【0026】
さらに、内部繰出孔22を完全に閉じることもでき、第2収納室21に動物用の餌fを収納したまま動物用知育玩具1を持ち運ぶことも可能である。
一方、上殻体5と下殻体7は着脱自在に螺合されているため、螺合状態を解けば、上殻体5、下殻体7、仕切板3及び調整板23を分解でき、それぞれを直接洗うことが可能であるため、非常に衛生的である。
なお、本体2は、楕円体形状、円柱形状又は円錐形状などの転動可能な外面形状を有するものであってもよい。また、上殻体5及び下殻体7も、楕円体形状、円柱形状又は円錐形状である本体2を構成できる形状であってもよい。上殻体5と下殻体7とは、互いに着脱自在に結合するものであれば、嵌合によるものであってもよい。さらに、上殻体5に雌ネジ15が、下殻体7に雄ネジ10が設けられていてもよい。
【0027】
上殻体5又は下殻体7の開口縁に形成された雄ネジ10が螺合に耐えるだけの強度を有しつつ、本体2全体として滑らかな転動を妨げないのであれば、外リブ11及びフランジ12を有さず、上殻体5の中腹から肉厚な構造としてもよい。また、外リブ11の本数は16本以外であってもよい。なお、外リブ11が8本、4本等のように16本より少ない場合には、本体2が滑らかに転動可能となるよう外リブ11の幅をそれぞれ拡げる。さらに、外凹部17の形状は、楕円形状であってもよく、その個数は16個以外であってもよい。そして、雄ネジ側担持部14及び雌ネジ側担持部16の形状は、周方向のリブ(フランジ状のリブ)であっても、突起物であっても、段差形状であってもよく、その本数はそれぞれ4本でなくてもよい。また、連通孔18及び位置決め凹部29の数は2つでなくてもよい。
【0028】
調整板23は、仕切板3に対して直線的にスライドすることで内部繰出孔22の開口量を調整するものであってもよい。また、仕切板3に対してスライド回転する場合において、調整板23が扇形状であり、扇形の中心と仕切板3の中心が一致するように設けられることで、スライド回転し内部繰出孔22の開口量を調整できるものであってもよい。また、調整板23が環状である場合でも、調整板23の中央に隆起する面を設け、仕切板3の中央に孔を設けてもよく、仕切板3と調整板23とが回転自在であれば着脱自在でなくてもよい。さらに、内部繰出孔22の開口量の調整は、無段階でもあってもよく、段階的に調整できる場合であっても、5段階以外の段階数であってもよい。
【0029】
外部繰出孔4の形状は、平面視において楕円形状又は長方形状等であってもよい。
外部繰出孔4の位置は、本体2の形状が球形であるか否かにかかわらず、姿勢保持用の錘6から最も遠い位置に設けられた場合に外部繰出孔4から本体2の外部に動物用の餌fが繰り出しにくくなる。
内部繰出孔22の形状は、直線的にスライドする場合には、平面視において小判形状、楕円形状又は長方形状等であってもよい。また、スライド回転する場合には、仕切板3のの中心回りの回転運動により描かれたのであれば、長方形、三角形等の軌跡の外周形状であってもよい。
【0030】
外部繰出孔4と内部繰出孔22との位置関係において、姿勢保持用の錘6の位置や、本体2の形状が球形であるか否か、調整板23が仕切板3に対して直線的にスライドするかスライド回転するかにかかわらず、内部繰出孔22の中心点(内部繰出孔22の長手方向及び幅方向におけるそれぞれの両端縁から中間にある2本の直線が交差する点)と、外部繰出孔4の中心点(外部繰出孔4の長手方向及び幅方向におけるそれぞれの両端縁から中間にある2本の直線が交差する点)との距離が最も遠くなるように外部繰出孔4と内部繰出孔22とを設けた場合には、第1収納室20から内部繰出孔22及び外部繰出孔4を通って一気に本体2の外部に繰り出すことが少なくなる。この状態に加えさらに、外部繰出孔4の長手方向と内部繰出孔22の長手方向とが直交する場合には、第1収納室20から一気に本体2の外部に繰り出すことが最も少なくなる。
【0031】
姿勢保持用の錘6は、金属片等の比重の重いものを取り付けてもよい。
上殻体5、下殻体7、仕切板3及び調整板23等の各構成または全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る実施形態の動物用知育玩具を示す斜視図。
【図2】本発明に係る実施形態の動物用知育玩具を示す側面図。
【図3】上殻体の側面図。
【図4】上殻体の平面図。
【図5】図4における上殻体のA−A’線及びB−B’線における側面断面図。
【図6】下殻体の側面図。
【図7】下殻体の平面図。
【図8】図7における下殻体のA−A’線及びB−B’線における側面断面図。
【図9】調整板の平面図。
【図10】図9における調整板のA−A’線における側面断面図。
【図11】仕切板の平面図。
【図12】図11における仕切板のA−A’線における側面断面図。
【図13】図11における仕切板のB−B’線における側面断面図。
【図14】本発明に係る実施形態の動物用知育玩具の使用態様を示す概要図 。
【図15】調整板及び仕切板の使用態様を示す概要図 。
【符号の説明】
【0033】
1 動物用知育玩具
2 本体
3 仕切板
4 外部繰出孔
5 上殻体
6 姿勢保持用の錘
7 下殻体
20 第1収納室
21 第2収納室
22 内部繰出孔
f 動物用の餌
h 内部繰出孔の開口部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用の餌を収納し、動物が遊びながら動物用の餌を食する動物用知育玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊ばせながら動物に丸薬型などの固形状の餌を与えるものとして、動物用の餌を出し入れできる孔を備えただるま状又は円柱状の容器である動物用玩具や、動物用の餌を嵌め込める隙間をその表面に有した棒状の動物用玩具が用いられていた。
これらの動物用玩具は、孔から容器の内部へ動物用の餌を入れ、もしくは表面の隙間に動物用の餌を挟んだ後に玩具を動物に与え、動物が玩具を咥えたり手足で転がしたりすることで、孔や隙間から動物用の餌を取り出させるものである。
しかし、このような構成では、あまり苦労もなく動物が餌を食することができるため、動物に考えさせることができず、知育効果を得られないという欠点があった。
【0003】
そこで、このような欠点を解消するために、動物用の餌を収納する円柱形状の容器本体と、その上底面に設けられた凹型湾曲面、及び動物用の餌が出し入れできる孔と、容器本体の側面に数枚の羽根状の突起物とを備えた動物用知育玩具によって、知育効果を得る技術が開示されている(特許文献1)。
この動物用知育玩具は、上底面に凹型湾曲面があるため、容器本体中の動物用の餌が上底面の孔から安易に転がり出ない構造になっており、どうすれば孔から動物用の餌が取り出せるかを動物に考えさせることによって、知育効果を得ようとするものである。
【特許文献1】登録実用新案第3103357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、容器本体の孔から動物用の餌を取り出してしまえば、それ以上動物に考えさせることはできず、知育効果を十分に得られるとはいえない。また、容器本体の内部にある動物用の餌を外部から視認することができず、すぐに動物が飽きてしまい、動物の興味を惹起させ続けることができない。さらに、上底面に凹型湾曲面を備えていることから、容器本体中に動物用の餌の屑が溜まりやすく、しかも内部を直接洗うことができず非常に不衛生である。
かかる問題に鑑み、本発明は、動物の興味を強く惹起し続け十分な知育効果を得ると同時に、内部を清潔に保つことができる動物用知育玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明は、以下の技術的手段を採用した。
第1に、動物用の餌を外部に繰り出す外部繰出孔を備えた透明又は半透明の上殻体と、姿勢保持用の錘を備えた下殻体とが着脱自在に結合されて転動可能な外面形状を有する本体が構成され、前記上殻体と前記下殻体との間に、前記本体の内部を前記下殻体側の第1収納室と前記上殻体側の第2収納室とに仕切る仕切板を有し、この仕切板には、前記第1収納室に収納した動物用の餌を前記第2収納室側へ繰り出す内部繰出孔が設けられていることを特徴とする。
【0006】
これにより、第1収納室に収納した動物用の餌が第2収納室側へ繰り出してきたことを本体の外部から視認でき、かつ姿勢保持用の錘によって透明又は半透明な上殻体を通常は上とする姿勢を保ちつつ不規則な回転をするので、動物の興味を惹起し続けられる。また、上殻体と下殻体とは簡単に取り外すことができ、内部を直接洗うことで常に清潔に保つことができる。
第2に、前記上殻体と前記下殻体とが、ともに半球体であることを特徴とする。
これにより、本体が球形となり、より滑らかに転動させることができる。
【0007】
第3に、前記仕切板には、この仕切板に対してスライドすることで内部繰出孔の開口量を調整する調整板が設けられていることを特徴とする。
これにより、仕切板に設けられた内部繰出孔の開口量を調整できるため、例えば、最初は開口量を多くし動物が慣れるに従い開口量を少なくすることが可能であり、難易度を変化させることで動物を飽きさせない。また、完全に内部繰出孔を閉じるよう調整をすることで、第1収納室に動物用の餌を収納したままこぼすことなく、この動物用知育玩具を持ち運ぶこともできる。さらに、動物に与える餌の量を飼い主の好みに合わせることができる。
【0008】
第4に、前記上殻体の前記外部繰出孔が長孔形状とされていることを特徴とする。
これにより、外部繰出孔の長手方向に本体が転動する際に動物用の餌が繰り出しやすくなるため、孔が大きすぎることによって外部繰出孔を下として転動が止まることもなく、孔が小さすぎるために動物用の餌がほとんど繰り出さない等の問題を生じない。
第5に、前記仕切板の前記内部繰出孔が長孔状とされていることを特徴とする。
これにより、内部繰出孔の長手方向に本体が転動する際に動物用の餌が繰り出しやすくなるため、孔が大きすぎるために第2収納室内の動物用の餌が第1収納室に戻ることもなく、孔が小さすぎるために動物用の餌がほとんど繰り出さない等の問題を生じない。
【0009】
第6に、前記外部繰出孔の長手方向と前記内部繰出孔の長手方向とが直交することを特徴とする。
これにより、内部繰出孔から動物用の餌が繰り出しやすい方向と外部繰出孔から動物用の餌が繰り出しやすい方向とが交差しているため、転動により内部繰出孔から繰り出された動物用の餌は、いったん第2収納室にとどまる。そして、第1収納室から内部繰出孔及び外部繰出孔を通って一気に外部に繰り出すことがなくなる。
第7に、前記上殻体の内面と前記下殻体の内面には、前記仕切板を挟持する担持部がそれそれ設けられていることを特徴とする。
【0010】
これにより、本体がどれだけ転動しても仕切板がずれることなく、つねに第1収納室と第2収納室とを区分けできる。また、上殻体と下殻体とを取り外すだけで仕切板も外れるため、上殻体及び下殻体と仕切板との分断が容易となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、本動物の興味を強く惹起し続け十分な知育効果を得ると同時に、内部を清潔に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1〜15に示すように、動物用知育玩具1は、動物用であって丸薬状などの固形状の餌fを収納でき転動可能な外面形状を有する本体2と、本体2の内部を仕切る仕切板3とから主に構成される。
図1、2に示すように、本体2は、動物用の餌fを本体2の外部に繰り出す外部繰出孔4を備えた透明で半球形状の上殻体5と、姿勢保持用の錘6を備えた半球形状の下殻体7とからなる。上殻体5と下殻体7とは、互いに着脱自在に螺合し、螺合することによって、転動可能な外面形状を有する球形の本体2を構成する。
【0013】
図3〜5に示すように、上殻体5は、例えば、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、又はスチロール樹脂等の合成樹脂製であり、透明又は半透明であるため、本体2の外部からその内部が視認できる。上殻体5の最上部中央に外部繰出孔4が設けられ、上殻体5の最上部から中腹にかけて半球部8が形成され、半球部8の下端縁から下向きに延出する円筒部9が形成され、円筒部9の下端縁から下向きに延出する雄ネジ10が形成されている。また、円筒部9の下端縁には水平方向に伸びる環状のフランジ12が設けられている。さらに、円筒部9の外面でかつフランジ12の上面には、側面視において略三角形状の上下方向に伸びる外リブ11が円筒部9の周方向に等間隔で複数設けられている(本実施形態においては16本)。なお、各外リブ11の外側面は本体2の球形状の外面に連続するように形成されている。そして、雄ネジ10のネジ山先端10aの延長線上には、後述するネジロック凸部19と嵌合することで上殻体5と下殻体7との螺合状態を保持するネジロック凹部13が設けられている。
【0014】
上殻体5は、円筒部9、外リブ11及びフランジ12を備えているため、上殻体5の開口縁に形成された雄ネジ10が螺合に耐えるだけの強度を有しつつ、球形状の本体2全体として滑らかな転動を妨げない。また、上殻体5と下殻体7とを螺合させる際に、外リブ11を把持しながら捻り動作を行うことで、螺合する力を上殻体5と下殻体7とに効率よく伝えられる。
一方、半球部8の下端内面から雄ネジ10内面の中腹にかけて上下方向に伸びる平板状の雄ネジ側担持部14が上殻体5の周方向に等間隔で複数設けられ(本実施形態においては4本)、後述する下殻体7内面の雌ネジ側担持部16との間に仕切板3を挟持する。
【0015】
図3,4に示すように、外部繰出孔4は、平面視において小判形状であり、具体的には、2本の直線部4aと2つの半円弧部4bによって囲まれた長孔状である。したがって、外部繰出孔4の長手方向に本体2が転動する際に動物用の餌fが繰り出しやすくなるため、外部繰出孔4が大きすぎるために外部繰出孔4を下として転動が止まることもなく、外部繰出孔4が小さすぎるために動物用の餌fがほとんど繰り出さない等の問題を生じない。また、外部繰出孔4の周囲は上殻体5の内側方向に隆起し他の部分よりも肉厚である。さらに、その内周縁の断面は角のとれたアール形状であるため、動物用の餌fが繰り出しやすくなっている。
【0016】
図6〜8に示すように、下殻体7は、例えば、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、又はスチロール樹脂等の合成樹脂製であり、下殻体7の開口縁内面には前述した雄ネジ10に対応して雌ネジ15が設けられ、雌ネジ15の下端からの下殻体7内面の中腹にかけて上下方向に伸びる平板状の雌ネジ側担持部16が下殻体7の周方向に等間隔で複数設けられている(本実施形態においては4本)。また、下殻体7外面の中腹には円形の外凹部17が下殻体7の周方向に等間隔で複数設けられている(本実施形態においては16個)。さらに、下殻体7の最下部中央周辺には下殻体7の内部と外部を連通する連通孔18が姿勢保持用の錘6を囲む円に沿って周方向に等間隔で複数設けられ(本実施形態においては2つ)、下殻体7の最下部中央に姿勢保持用の錘6が設けられている。そして、雌ネジ15のネジ溝15a内であってネジロック凹部13に対応する位置には、前述したネジロック凹部13に嵌合することで上殻体5と下殻体7との螺合状態を保持するネジロック凸部19が設けられている。
【0017】
雌ネジ15は、前述した雄ネジ10と螺合することによって、上殻体5と下殻体7とを着脱自在に結合する。また、雌ネジ側担持部16は、前述した上殻体5内面の雄ネジ側担持部14との間に仕切板3を挟持することによって、本体2がどれだけ転動しても仕切板3がずれることはない。さらに、外凹部17は、滑らかですべり易い半球状の下殻体7と、上殻体5とを螺合させる際に、円形の外凹部17を把持しながら捻り動作を行うことで、螺合する力を上殻体5と下殻体7とに効率よく伝る役割を果たす。また、連通孔18は、仮に動物が玩具を飲み込むようなことがあっても、呼吸を確保する空気孔としての役割を果たす。さらに、連通孔18は下殻体7成形時において金型からの離型性を向上させる。そして、連通孔18の下殻体7内部側開口部の直径は、下殻体7外部側開口部の直径よりも大きくなるように形成され、連通孔18の内面はテーパー状になっており、離型性をより向上させている。
【0018】
図6、7に示すように、姿勢保持用の錘6は、下殻体7の最下部中央の部分を他の部分よりも肉厚にすることで形成されている。この姿勢保持用の錘6によって、本体2は、起き上がり小法師のように、透明な上殻体5を通常は上とする姿勢を保ちつつ不規則な回転をするので、動物の興味を惹起し続けられる。
図11〜13に示すように、仕切板3は、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂製であり、円板形状であり、上殻体5と下殻体7との間に位置し、本体2の内部空間を下殻体7側の第1収納室20と上殻体5側の第2収納室21とに仕切っている。また、仕切板3には、第1収納室20に収納した動物用の餌fを第2収納室21側へ繰り出す内部繰出孔22が設けられ、さらに、仕切板3に対してスライド回転することで内部繰出孔22の開口量を段階的(本実施形態においては5段階)に調整する環状の調整板23が回動自在かつ着脱自在に同心状に設けられている。そして、仕切板3には、環状の調整板23を仕切板3と同心状に嵌め込めるような環状凹面24が形成されている。
【0019】
環状凹面24の内周縁には、内部繰出孔22の開口量を段階的に保持するための段階突部25が、各段階ごとに周方向に一定間隔で設けられている。なお、本実施形態においては、調整板23をスライドさせることによって、内部繰出孔22を完全に閉じる段階も設けている。また、環状凹面24の内周縁には、調整板23と仕切板3との着脱が許容される位置を保持する許容位置突部26が仕切板3の中心を基準として180度正対する2つを1組として設けられている。さらに、環状凹面24の外周縁には、調整板23と仕切板3との着脱を許容する係止突部27が、仕切板3の中心を基準として180度正対する2つを1組として設けられている。なお、段階突部25と許容位置突部26とは環状凹面24の内周縁から仕切板3の径方向外側に向かって突出し、係止突部27は環状凹面24の外周縁から仕切板3の中心に向かって突出している。また、段階突部25及び許容位置突部26は、後述する段階切欠部31に嵌合することによって、それぞれ内部繰出孔22の開口量の各段階及び調整板23と仕切板3との着脱を許容する位置を保持する。さらに、係止突部27は、後述する係止切欠部32と嵌合することによって、調整板23と仕切板3との着脱を許容する。
【0020】
一方、環状凹面24の内側にある中央隆起面28において、内部繰出孔22の各段階の開口量を示す位置を数字で、内部繰出孔22を完全に閉じる位置及び仕切板3と調整板23との着脱が可能な位置を印で示している。また、仕切板3において環状凹面24の反対面の外周縁には、雌ネジ側担持部16に嵌合することによって仕切板3の位置決めをする位置決め凹部29が周方向に等間隔で複数設けられている(本実施形態においては2つ)。
図11〜13に示すように、内部繰出孔22は、環状凹面24における内周縁と外周縁との間であって後述する調整孔33に挿通する位置に設けられている。また、内部繰出孔22は、環状凹面24の周方向に沿ってカーブした長孔状であって、環状凹面24の中心回りの回転運動により円が描いた軌跡の外周形状である。
【0021】
調整板23は、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂製であり、仕切板3の環状凹面24と同心状に嵌め込めるように、その中央に中央孔30が形成されている。この中央孔30と仕切板3の中央隆起面28とが嵌合することによって、調整板23は、仕切板3に回転自在かつ着脱自在取り付けられている。また、調整板23には、仕切板3に対してスライドすることで内部繰出孔22の開口量を段階的に調整するための調整孔33が設けられている。
環状の調整板23の内周縁には、内部繰出孔22の開口量を段階的に保持するための段階切欠部31が、調整板23の中心を基準として180度正対する2つを1組として設けられている。また、環状の調整板23の外周縁には、調整板23と仕切板3との着脱が許容される位置を保持する係止切欠部32が仕切板3の中心を基準として180度正対する2つを1組として設けられている。なお、段階切欠部31は環状の調整板23の内周縁から調整板23の径方向外側に向かって切り欠いており、係止切欠部32は環状の調整板23の外周縁から調整板23の中心に向かって切り欠いている。また、段階切欠部31は、前述した段階突部25及び許容位置突部26に嵌合することによって、それぞれ内部繰出孔22の開口量の各段階及び調整板23と仕切板3との着脱を許容する位置を保持する。さらに、係止切欠部32は、前述した係止突部27と嵌合することによって、調整板23と仕切板3との着脱を許容する。
【0022】
調整孔33は、環状の調整板23における内周縁と外周縁との間であって前述した内部繰出孔22に挿通する位置に設けられている。また、調整孔33は、内部繰出孔22と同一形状であって、調整板23の周方向に沿ってカーブした長孔状であり、調整板23の中心回りの回転運動により円が描いた軌跡の外周形状である。
なお、内部繰出孔22のカーブした方向と外部繰出孔4の長手方向とは直交する位置関係を保持するように位置決め凹部29と雌ネジ側担持部16とが設けられ、内部繰出孔22から動物用の餌fが繰り出しやすい方向と外部繰出孔4から動物用の餌fが繰り出しやすい方向とが交差しているため、第1収納室20から内部繰出孔22及び外部繰出孔4を通って一気に外部に繰り出すことがほとんどない。
【0023】
さらに、内部繰出孔22のカーブした方向におけるその両端縁からの中間点と、外部繰出孔4の幅方向におけるその両端縁からの中間点とが同一平面上となる位置関係を保持するように、位置決め凹部29と雌ネジ側担持部16とが設けられている。これは、調整板23が仕切板3に対してスライド回転する本実施形態においては、内部繰出孔22のカーブした方向におけるその両端縁からの中間点と外部繰出孔4の幅方向におけるその両端縁からの中間点とが同一平面上となるようにすれば、内部繰出孔22の中心点(内部繰出孔22の長手方向及び幅方向におけるそれぞれの両端縁から中間にある2本の直線が交差する点)と、外部繰出孔4の中心点(外部繰出孔4のカーブした方向及び幅方向におけるそれぞれの両端縁から中間にある2本の直線が交差する点)との距離が最も遠くなる。よって、本実施形態は、第1収納室20から内部繰出孔22及び外部繰出孔4を通って一気に本体2の外部に繰り出すことが非常に少なく、転動により内部繰出孔22から繰り出された動物用の餌fは、ほとんどが第2収納室21にいったんとどまり、動物の興味を十分に惹起させることができる。
【0024】
続いて、本発明に係る実施形態の使用態様を説明する。
図14、15に示すように、動物用知育玩具1を使用するには、動物用であって丸薬型などの固形状の餌fを下殻体7に入れたまま、仕切板3を上殻体5と下殻体7とで挟持した後、外リブ11及び外凹部17を把持しながら捻り動作を行い、上殻体5と下殻体7とを螺合させる。捻り動作を加え続け、ネジロック凹部13とネジロック凸部19とが嵌合することで、上殻体5と下殻体7との螺合状態を保持する。この状態で動物用知育玩具1を動物に与え、動物が動物用知育玩具1を手足で転がしたり鼻先で押したりすることで、図14(a)〜(d)に示すように、第1収納室20から内部繰出孔22を通って第2収納室21側へ動物の餌fが繰り出される。上殻体5は透明であるため、第2収納室21内の動物用の餌fが本体2の外部から視認できるため、最初に動物の注意をより喚起することができる。それによって、さらに動物が動物用知育玩具1を手足で転がしたり鼻先で押したりするが、内部繰出孔22の長手方向と外部繰出孔4の長手方向は直交しているため、なかなか第2収納室21から外部繰出孔4を通って本体2の外部へ動物の餌fが繰り出されない。そこで、動物は、視認できる動物用の餌fを食したい欲求から、図14(f)〜(h)に示すように、第2収納室21から外部繰出孔4を通って本体2の外部へ動物用の餌fをどうすれば繰り出せるか考え、考えながら動物用知育玩具1を手足で転がしたり鼻先で押したりすることによって、知育効果を得られる。
【0025】
また、図15(a)〜(f)に示すように、仕切板3に対して調整板23をスライド回転させることで、調整孔33と内部繰出孔22とが連通することによって生じる内部繰出孔22の開口部分hの大きさを変えることができる。これによって、内部繰出孔22の開口量を調整できるため、動物用の餌fを繰り出す難易度に変化をつけることができ、例えば、最初に内部繰出孔22の開口量を多くしておき、徐々に開口量を少なくするなどによって、動物を飽きさせることなく、その興味を惹起させ続け、知育効果を継続して得ることができる。なお、図15(a)は、仕切板3と調整板23とが着脱可能な状態を表し、図15(b)は、内部繰出孔22が完全に閉じられた状態を表す。
【0026】
さらに、内部繰出孔22を完全に閉じることもでき、第2収納室21に動物用の餌fを収納したまま動物用知育玩具1を持ち運ぶことも可能である。
一方、上殻体5と下殻体7は着脱自在に螺合されているため、螺合状態を解けば、上殻体5、下殻体7、仕切板3及び調整板23を分解でき、それぞれを直接洗うことが可能であるため、非常に衛生的である。
なお、本体2は、楕円体形状、円柱形状又は円錐形状などの転動可能な外面形状を有するものであってもよい。また、上殻体5及び下殻体7も、楕円体形状、円柱形状又は円錐形状である本体2を構成できる形状であってもよい。上殻体5と下殻体7とは、互いに着脱自在に結合するものであれば、嵌合によるものであってもよい。さらに、上殻体5に雌ネジ15が、下殻体7に雄ネジ10が設けられていてもよい。
【0027】
上殻体5又は下殻体7の開口縁に形成された雄ネジ10が螺合に耐えるだけの強度を有しつつ、本体2全体として滑らかな転動を妨げないのであれば、外リブ11及びフランジ12を有さず、上殻体5の中腹から肉厚な構造としてもよい。また、外リブ11の本数は16本以外であってもよい。なお、外リブ11が8本、4本等のように16本より少ない場合には、本体2が滑らかに転動可能となるよう外リブ11の幅をそれぞれ拡げる。さらに、外凹部17の形状は、楕円形状であってもよく、その個数は16個以外であってもよい。そして、雄ネジ側担持部14及び雌ネジ側担持部16の形状は、周方向のリブ(フランジ状のリブ)であっても、突起物であっても、段差形状であってもよく、その本数はそれぞれ4本でなくてもよい。また、連通孔18及び位置決め凹部29の数は2つでなくてもよい。
【0028】
調整板23は、仕切板3に対して直線的にスライドすることで内部繰出孔22の開口量を調整するものであってもよい。また、仕切板3に対してスライド回転する場合において、調整板23が扇形状であり、扇形の中心と仕切板3の中心が一致するように設けられることで、スライド回転し内部繰出孔22の開口量を調整できるものであってもよい。また、調整板23が環状である場合でも、調整板23の中央に隆起する面を設け、仕切板3の中央に孔を設けてもよく、仕切板3と調整板23とが回転自在であれば着脱自在でなくてもよい。さらに、内部繰出孔22の開口量の調整は、無段階でもあってもよく、段階的に調整できる場合であっても、5段階以外の段階数であってもよい。
【0029】
外部繰出孔4の形状は、平面視において楕円形状又は長方形状等であってもよい。
外部繰出孔4の位置は、本体2の形状が球形であるか否かにかかわらず、姿勢保持用の錘6から最も遠い位置に設けられた場合に外部繰出孔4から本体2の外部に動物用の餌fが繰り出しにくくなる。
内部繰出孔22の形状は、直線的にスライドする場合には、平面視において小判形状、楕円形状又は長方形状等であってもよい。また、スライド回転する場合には、仕切板3のの中心回りの回転運動により描かれたのであれば、長方形、三角形等の軌跡の外周形状であってもよい。
【0030】
外部繰出孔4と内部繰出孔22との位置関係において、姿勢保持用の錘6の位置や、本体2の形状が球形であるか否か、調整板23が仕切板3に対して直線的にスライドするかスライド回転するかにかかわらず、内部繰出孔22の中心点(内部繰出孔22の長手方向及び幅方向におけるそれぞれの両端縁から中間にある2本の直線が交差する点)と、外部繰出孔4の中心点(外部繰出孔4の長手方向及び幅方向におけるそれぞれの両端縁から中間にある2本の直線が交差する点)との距離が最も遠くなるように外部繰出孔4と内部繰出孔22とを設けた場合には、第1収納室20から内部繰出孔22及び外部繰出孔4を通って一気に本体2の外部に繰り出すことが少なくなる。この状態に加えさらに、外部繰出孔4の長手方向と内部繰出孔22の長手方向とが直交する場合には、第1収納室20から一気に本体2の外部に繰り出すことが最も少なくなる。
【0031】
姿勢保持用の錘6は、金属片等の比重の重いものを取り付けてもよい。
上殻体5、下殻体7、仕切板3及び調整板23等の各構成または全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る実施形態の動物用知育玩具を示す斜視図。
【図2】本発明に係る実施形態の動物用知育玩具を示す側面図。
【図3】上殻体の側面図。
【図4】上殻体の平面図。
【図5】図4における上殻体のA−A’線及びB−B’線における側面断面図。
【図6】下殻体の側面図。
【図7】下殻体の平面図。
【図8】図7における下殻体のA−A’線及びB−B’線における側面断面図。
【図9】調整板の平面図。
【図10】図9における調整板のA−A’線における側面断面図。
【図11】仕切板の平面図。
【図12】図11における仕切板のA−A’線における側面断面図。
【図13】図11における仕切板のB−B’線における側面断面図。
【図14】本発明に係る実施形態の動物用知育玩具の使用態様を示す概要図 。
【図15】調整板及び仕切板の使用態様を示す概要図 。
【符号の説明】
【0033】
1 動物用知育玩具
2 本体
3 仕切板
4 外部繰出孔
5 上殻体
6 姿勢保持用の錘
7 下殻体
20 第1収納室
21 第2収納室
22 内部繰出孔
f 動物用の餌
h 内部繰出孔の開口部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物用の餌を外部に繰り出す外部繰出孔を備えた透明又は半透明の上殻体と、姿勢保持用の錘を備えた下殻体とが着脱自在に結合されて転動可能な外面形状を有する本体が構成され、
前記上殻体と前記下殻体との間に、前記本体の内部を前記下殻体側の第1収納室と前記上殻体側の第2収納室とに仕切る仕切板を有し、この仕切板には、前記第1収納室に収納した動物用の餌を前記第2収納室側へ繰り出す内部繰出孔が設けられていることを特徴とする動物用知育玩具。
【請求項2】
前記上殻体と前記下殻体とが、ともに半球形状であることを特徴とする請求項1に記載の動物用知育玩具。
【請求項3】
前記仕切板には、この仕切板に対してスライドすることで内部繰出孔の開口量を調整する調整板が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の動物用知育玩具。
【請求項4】
前記上殻体の前記外部繰出孔が長孔形状とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の動物用知育玩具。
【請求項5】
前記仕切板の前記内部繰出孔が長孔状とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の動物用知育玩具。
【請求項6】
前記外部繰出孔の長手方向と前記内部繰出孔の長手方向とが直交することを特徴とする請求項5に記載の動物用知育玩具。
【請求項7】
前記上殻体の内面と前記下殻体の内面には、前記仕切板を挟持する担持部がそれそれ設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の動物用知育玩具。
【請求項1】
動物用の餌を外部に繰り出す外部繰出孔を備えた透明又は半透明の上殻体と、姿勢保持用の錘を備えた下殻体とが着脱自在に結合されて転動可能な外面形状を有する本体が構成され、
前記上殻体と前記下殻体との間に、前記本体の内部を前記下殻体側の第1収納室と前記上殻体側の第2収納室とに仕切る仕切板を有し、この仕切板には、前記第1収納室に収納した動物用の餌を前記第2収納室側へ繰り出す内部繰出孔が設けられていることを特徴とする動物用知育玩具。
【請求項2】
前記上殻体と前記下殻体とが、ともに半球形状であることを特徴とする請求項1に記載の動物用知育玩具。
【請求項3】
前記仕切板には、この仕切板に対してスライドすることで内部繰出孔の開口量を調整する調整板が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の動物用知育玩具。
【請求項4】
前記上殻体の前記外部繰出孔が長孔形状とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の動物用知育玩具。
【請求項5】
前記仕切板の前記内部繰出孔が長孔状とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の動物用知育玩具。
【請求項6】
前記外部繰出孔の長手方向と前記内部繰出孔の長手方向とが直交することを特徴とする請求項5に記載の動物用知育玩具。
【請求項7】
前記上殻体の内面と前記下殻体の内面には、前記仕切板を挟持する担持部がそれそれ設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の動物用知育玩具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−125041(P2009−125041A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306281(P2007−306281)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000111638)ドギーマンハヤシ株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000111638)ドギーマンハヤシ株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
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