説明

動物飼育装置

【課題】 消耗材の交換や排泄物の回収の際に生じるデータの誤差を補正し、より正確な代謝データを得ることを可能とする動物飼育装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 実質的に気密の動物飼育装置1であって、動物の居住空間を提供するケース10と、前記ケースからエアを排出するための排気管21と、前記排気管を介して排出されたエアを調整するためのエア調整システム20と、前記エア調整システムにより調整されたエアを前記ケースに供給するための給気管22と、前記エア調整システムの消耗材を交換するための消耗材交換用エアロックシステム30および/または動物からの排泄物を回収するための排泄物回収用エアロックシステム40とを有する装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物飼育装置に関し、特に実質的に気密の動物飼育装置に関する。
【背景技術】
【0002】
代謝データとして尿および糞の排泄量を計測するための代謝ケージが市販されている。しかしながら、従来の代謝ケージにおいては、ケージ内が外気と遮断されておらず、ケージ内のエアを外気と交換することによって、ケージ内を飼育に適した環境に維持する(例えば、実開平5-27673、実開平4-122348参照)。このため、得られる代謝データは尿および糞の排泄量に限られている。また、従来の代謝ケージにおいては、飼育環境は外気の影響を受け易く、逆に臭気や水蒸気分などが外気にリークする。このため、従来の代謝ケージは、より多くの項目についての代謝データの把握や、外気汚染の観点から、改善の余地があった。
【0003】
また、代謝データとして呼気データを取得できる代謝ケージも知られている(例えば、特開平4−215033参照)。しかしながら、特開平4−215033に記載の技術においては、外気を取り込み、一方向のエアの流れ(オープンループ)の中で呼気を採集しているため、外気一定条件での静的な代謝データ(呼気データ)は得られるが、外気条件変化に伴う動的な代謝データを得ることは難しい。
【0004】
【特許文献1】実開平5−027673号公報
【特許文献2】実開平4−122348号公報
【特許文献3】特開平4−215033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、完全に密閉されたケージ内に環境制御システムを設置することで、外気とのやり取りを行わず、外気と完全に遮断された状態で動物を飼育することが可能となる。しかしながら、湿分や二酸化炭素の除去に用いられる消耗材を交換する際や、尿や糞といった排泄物を回収する際には密閉系が崩れ、正確な代謝データを得ることが難しい。そこで、本発明は、消耗材の交換や排泄物の回収の際に生じるデータの誤差を補正し、より正確な代謝データを得ることを可能とする動物飼育装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の側面によると、実質的に気密の動物飼育装置であって、
動物の居住空間を提供するケースと、
前記ケースからエアを排出するための排気管と、
前記排気管を介して排出されたエアを調整するためのエア調整システムと、
前記エア調整システムにより調整されたエアを前記ケースに供給するための給気管と、
前記エア調整システムの消耗材を交換するための消耗材交換用エアロックシステムであって、
前記エア調整システムに隣接して設けられた消耗材交換用エアロックルームと、
前記エア調整システムと前記消耗材交換用エアロックルームとの間に設けられた開閉可能な消耗材交換用シャッターと、
前記消耗材交換用エアロックルームに設けられた開閉可能な消耗材交換用扉と、
前記シャッターを開いている際に、前記エア調整システムと前記エアロックルームとの間で前記消耗材を移動させる移動手段と
を有する消耗材交換用エアロックシステムと
を有する装置が提供される。
【0007】
本発明の他の側面によると、実質的に気密の動物飼育装置であって、
動物の居住空間を提供するケースと、
前記ケースからエアを排出するための排気管と、
前記排気管を介して排出されたエアを調整するためのエア調整システムと、
前記エア調整システムにより調整されたエアを前記ケースに供給するための給気管と、
動物からの排泄物を回収するための排泄物回収用エアロックシステムであって、
前記ケースの前記居住空間の下方に設けられた排泄物回収用エアロックルームと、
前記居住空間と前記排泄物回収用エアロックルームとの間に設けられた開閉可能な排泄物回収用シャッターと、
前記排泄物回収用エアロックルームに設けられた開閉可能な排泄物回収用扉と
を有する排泄物回収用エアロックシステムと
を有する装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
以下に詳細に説明するように、本発明によると、消耗材の交換や排泄物の回収の際に生じるデータの誤差を補正し、より正確な代謝データを得ることを可能とする動物飼育装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら説明する。もっとも、以下の記載は、本発明を具体的に説明するためのものであって、本発明の技術的範囲を限定することを意図するものではない。
【0010】
図1に、本発明に係る動物飼育装置の構成を模式的に示すブロック図を示す。図2に、本発明に係る動物飼育装置の模式的な斜視図である。上記したように、本発明によると、実質的に気密の動物飼育装置1が提供される。本発明にかかる動物飼育装置は、実質的に気密であり、外気とのやり取りを行わず、外気と実質的に完全に遮断された状態で動物を飼育することが可能である。本明細書において、「実質的に気密」は単に「気密」とも記され、その気密の程度は、動物飼育装置の使用目的に応じて適宜設定可能である。
【0011】
本発明にかかる動物飼育装置は、任意の動物を飼育対象とすることができる。特に、飼育対象の動物は実験動物であることが好ましく、マウス、ラット、イヌ、サル等の哺乳動物であることが好ましい。
【0012】
本発明にかかる動物飼育装置は、動物の居住空間を提供するケース10を有する。ケースは、装置の気密性を確保できるものであれば、任意の材料で構成することができる。ケースは、動物を出入するための動物用扉を有する。動物用扉は、気密性を確保するために、シールを介してケースに密着可能であることが好ましい。また、ケースは、その内部で動物を直接飼育するものでもよく、また、その内部にケージをはめ込み、当該ケージ内で動物を飼育するものでもよい。すなわち、後者においては、例えば、市販の非密閉系のケージを(当該ケージの底面に排泄物回収用システムが設けられている場合は、これを取り外してケージのみを用いてもよい。)ケースの内部にはめ込み、当該ケージ内で動物を飼育するものでもよい。また、本発明にかかる動物飼育装置は、ケースの居住空間に隣接して設けられた給餌器11および給水器12をさらに有することが好ましい。これらに餌や水を供給し、必要に応じてケースの居住空間の床面に床敷材を供して、動物を飼育することができる。
【0013】
本発明にかかる動物飼育装置は、前記ケースからエアを排出するための排気管21と、前記排気管を介して排出されたエアを調整するためのエア調整システム20と、前記エア調整システムにより調整されたエアを前記ケースに供給するための給気管22とを有する。また、本発明にかかる動物飼育装置は、前記ケースから前記エア調整システムへのエアの排出および前記エア調整システムから前記ケースへのエアの供給を行うためのエア循環器23をさらに有する。このように、本願発明においては、閉じた系の中にエア調整システムを設けることにより、外気とのやり取りを行わず(すなわち、外環境に左右されず、場所を選ばずに)、外気と実質的に完全に遮断された状態で動物を長期間飼育することが可能となる。
【0014】
また、上記したオープンループの系では、各代謝データの相関関係を把握することが難しい。オープンループの系において、外気条件(環境条件)を変化させて代謝データを得ることも考えられるが、各環境条件成分間の相関関係(時間変化)が既知でないと、変化させる条件の選択が困難である。一方で、上記の通りクローズループにすることによって、外気条件(環境条件)の各成分の時間変化と代謝の相関関係を連続的に把握することが容易になる。例えば、エア調整システムにおける特定成分の調整性能を変化させることによって、環境条件変化に対する代謝変化を促し、各成分の調整性能(調整量)についての連続的なデータを取得することによって、連続的な代謝変化を把握することが可能となる。
【0015】
エア調整システムは、エアの状態を調整するためのものである。これにより、動物の飼育により変化し得るエアの状態を恒常的に保つことができる。また、動物飼育の目的に応じて(例えば、試験の目的に応じて)、任意にエアの状態を調整することができる。具体的には、エア調整システムにより調整可能なエアの状態は、エアの温度、湿度、全圧、酸素濃度、二酸化炭素濃度、および微量ガス濃度からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。微量ガスの例として、アンモニア、メタン、メチルメルカプタンが挙げられる。エアの状態を調整するために、エア調整システムは、熱交換器24、湿分除去器、酸素供給器、二酸化炭素除去器、および微量ガス除去器からなる群から選ばれる少なくとも1つを有することが好ましい。なお、湿分除去器、二酸化炭素除去器および微量ガス除去器には、一般に、脱水材、二酸化炭素吸着剤および微量ガス吸着剤などの消耗材25が用いられる。消耗材は、機能単位毎のユニットとしてエア調整システムに搭載することが好ましい。
【0016】
本発明にかかる動物飼育装置は、前記エア調整システムの消耗材を交換するための消耗材交換用エアロックシステム30を有することが好ましい。上記したように、従来の動物飼育装置においては、消耗材を交換する際に密閉系が崩れ、正確な代謝データを得ることが難しかった。しかしながら、本発明においては、消耗材交換用エアロックシステムを設けることで、消耗材の交換の際に生じるデータの誤差を補正することが可能となり、より正確な代謝データを得ること可能となる。
【0017】
具体的には、消耗材交換用エアロックシステムは、
前記エア調整システムに隣接して設けられた消耗材交換用エアロックルーム31と、
前記エア調整システムと前記消耗材交換用エアロックルームとの間に設けられた開閉可能な消耗材交換用シャッター32と、
前記消耗材交換用エアロックルームに設けられた開閉可能な消耗材交換用扉33と、
前記シャッターを開いている際に、前記エア調整システムと前記エアロックルームとの間で前記消耗材を移動させる移動手段34と
を有する。また、消耗材交換用エアロックシステムは、前記消耗材交換用エアロックルーム内のエアの状態をモニタするための消耗材交換用エアロックルーム用モニタ35をさらに有することが好ましい。
【0018】
消耗材交換用エアロックルーム31は、エア調整システムに隣接して設けられ、後述するように、消耗材交換用シャッターと消耗材交換用扉に挟まれた気密空間である。エア調整システムから消耗材交換用エアロックルームを通じて(すなわち、消耗材交換用シャッターと消耗材交換用扉とを通じて)、消耗材を交換することができる。後述するように、消耗材交換用エアロックルーム内のエアの状態をモニタするために、消耗材交換用エアロックルーム用モニタが消耗材交換用エアロックルームに接続されることが好ましい。
【0019】
消耗材交換用シャッター32は、エア調整システムと消耗材交換用エアロックルームとの間に設けられ、エア調整システムと消耗材交換用エアロックルームとを気密的に分離可能とするものである。シャッターは、気密性を確保するために、シールを介してエア調整システムおよび/または消耗材交換用エアロックルームに密着可能であることが好ましい。
【0020】
消耗材交換用扉33は、消耗材交換用エアロックルームに開閉可能に設けられ、これを通じて消耗材を交換可能とするものである。消耗材交換用扉は、気密性を確保するために、シールを介して消耗材交換用エアロックルームに密着可能であることが好ましい。
【0021】
移動手段34は、シャッターを開いている際に、エア調整システムとエアロックルームとの間で消耗材を移動させるためのものである。移動手段として、弾性力を調整可能な弾性体(ばね、ゴム等)を用いることができる。具体的には、エア調整システムからエアロックルームへ消耗材を移動させるために、エア調整システムからエアロックルームへ消耗材を押し出す方向に負荷をかけることができるように、弾性力を調整可能な弾性体をエア調整システムに設けることができる。また、エアロックルームからエア調整システムへ消耗材を移動させるために、エアロックルームからエア調整システムへ消耗材を押し入れる方向に負荷をかけることができるように、弾性力を調整可能な弾性体をエアロックルームに(例えばエアロックルームの消耗材交換用扉に)設けることができる。
【0022】
例えば、図3(a)に示すように、弾性体34a(エア調整システム側)の弾性力より、弾性体34b(エアロックルーム側)の弾性力を十分大きくすることで、シャッターを開いた際、エアロックルームに取り付けた消耗材をエア調整システム側に移動させることができる。反対に、図3(b)に示すように、弾性体34bの弾性力を弾性体34aのそれよりも十分小さくすることで、シャッターを開いた際、エア調整システム側から、エアロックルーム側に消耗材を移動させることができる。また、移動手段として、エア調整システム及びエアロックルームを傾ける手段を用いることで、重力を利用して、弾性材を使わず、エア調整システム及びエアロックルームを傾けることにより、消耗材を滑らせて移動させることも可能である。
【0023】
図4に、本発明に係る動物飼育装置の消耗材交換用エアロックシステムの作動方法を模式的に示すフローチャートを示す。エアの調整を行う際、消耗材交換用エアロックシステムは、以下のように作動させることができる。
(0)シャッターおよび扉の少なくとも一方を閉める。これにより、密閉系でエアの調整を行いながら、動物を飼育することができる。
【0024】
また、消耗材の交換を行う際、消耗材交換用エアロックシステムは、以下のように作動させることができる。
(1)扉を閉じる。(扉が開いた状態でエアの調整を行っていた場合)
(2)シャッターを開ける。(シャッターが閉まった状態でエアの調整を行っていた場合)
(3)移動手段により消耗材をエア調整システムからエアロックルームに移動させる。(扉に設けた弾性体の弾性力を緩める。)
(4)シャッターを閉める。
(5)エアロックルーム内のエアの状態を測定する。
(6)扉を開ける。
(7)消耗材を交換する。
(8)その後、これと逆の手順により新たな消耗材をエア調整システムに搭載する。
【0025】
消耗材交換用エアロックシステムにより、消耗材を交換する際に、シャッターと扉に挟まれたエアロックルームに消耗材を誘導し、その際のエアロックルーム内のエアの状態を把握することが可能となる。これにより、消耗材の交換の際に密閉系に出入するエアの状態を把握することが可能となり、代謝データに生じる誤差を補正することが可能となる。
【0026】
本発明にかかる動物飼育装置は、動物からの排泄物を回収するための排泄物回収用システムを有することが好ましい。これにより、長期間にわたり動物を飼育することが可能となり、また、代謝データとして尿および糞の排泄量を計測することが容易になる。
【0027】
排泄物回収用システムは、
前記ケースの前記居住空間の下方に設けられた排泄物回収用ルームと、
前記排泄物回収用ルームに設けられた開閉可能な排泄物回収用扉と
を有することが好ましい。排泄物回収用システムは、前記居住空間と前記排泄物回収用ルームとの間に設けられた、排泄物が通過可能な床部44をさらに有することが好ましい。また、排泄物回収用システムは、前記排泄物回収用ルーム内に設けられた排泄物回収器46をさらに有することが好ましい。排泄物回収器は、尿と糞とを分離する分離手段を有することが好ましい。
【0028】
特に、前記排泄物回収用システムは、排泄物回収用エアロックシステム40であることが好ましい。上記したように、従来の動物飼育装置においては、排泄物を回収する際に密閉系が崩れ、正確な代謝データを得ることが難しかった。しかしながら、本発明においては、排泄物回収用エアロックシステムを設けることで、排泄物の回収の際に生じるデータの誤差を補正することが可能となり、より正確な代謝データを得ること可能となる。
【0029】
具体的には、排泄物回収用エアロックシステムは、
前記ケースの前記居住空間の下方に設けられた排泄物回収用エアロックルーム41と、
前記居住空間と前記排泄物回収用エアロックルームとの間に設けられた開閉可能な排泄物回収用シャッター42と、
前記排泄物回収用エアロックルームに設けられた開閉可能な排泄物回収用扉43と
を有することが好ましい。排泄物回収用エアロックシステムは、前記排泄物回収用エアロックルーム内のエアの状態をモニタするための排泄物回収用エアロックルーム用モニタ45をさらに有することが好ましい。
【0030】
排泄物回収用エアロックルーム41は、ケースの居住空間の下方に設けられ、後述するように、排泄物回収用シャッターと排泄物回収用扉に挟まれた気密空間である。好ましくは、排泄物回収用エアロックルーム内には、排泄物を捕集可能な位置に排泄物回収器が配置される。動物飼育時には排泄物回収用シャッターを開いておくことで、後述する床部を通じて排泄物回収用エアロックルームで動物からの排泄物を捕集し、排泄物回収用扉を通じて排泄物を回収することができる。後述するように、排泄物回収用エアロックルーム内のエアの状態をモニタするために、排泄物回収用エアロックルーム用モニタが排泄物回収用エアロックルームに接続されることが好ましい。
【0031】
床部44は、居住空間と排泄物回収用ルームとの間に設けられ、居住空間から排泄物回収用ルームへと排泄物が通過可能なものである。具体的には、床部として網状またはすのこ状の床部を用いることができる。
【0032】
排泄物回収用シャッター42は、居住空間と排泄物回収用エアロックルームとの間(好ましくは床部の下方)に設けられ、居住空間と排泄物回収用エアロックルームとを気密的に分離可能とするものである。シャッターは、気密性を確保するために、シールを介してケースおよび/または排泄物回収用エアロックルームに密着可能であることが好ましい。
【0033】
排泄物回収用扉43は、排泄物回収用エアロックルームに開閉可能に設けられ、これを通じて排泄物を回収可能とするものである。排泄物回収用扉は、気密性を確保するために、シールを介して排泄物回収用エアロックルームに密着可能であることが好ましい。
【0034】
動物の飼育を行う際、排泄物回収用エアロックシステムは、以下のように作動させることができる。
(0)シャッターを開け、扉を閉める。これにより、密閉系で排泄物の捕集を行うことができる。
【0035】
また、排泄物の回収を行う際、排泄物回収用エアロックシステムは、以下のように作動させることができる。
(1)シャッターを閉める。
(2)エアロックルーム内のエアの状態を測定する。
(3)扉を開ける。
(4)排泄物回収器中の排泄物を回収する。
(5)その後、これと逆の手順により新たな排泄物回収器をエア調整システムに導入する。
【0036】
排泄物回収用エアロックシステムにより、排泄物を回収する際に、シャッターと扉に挟まれたエアロックルーム内のエアの状態を把握することが可能となる。これにより、排泄物の回収の際に密閉系に出入するエアの状態を把握することが可能となり、代謝データに生じる誤差を補正することが可能となる。
【0037】
本発明にかかる動物飼育装置は、前記排気管を通過するエアの状態をモニタするための排気管用モニタ26と、前記給気管を通過するエアの状態をモニタするための給気管用モニタ27とをさらに有することが好ましい。これらにより、ケースに供給したエアの状態と、ケースから排出されたエアの状態を把握することができ、これらを比較することで、動物により代謝されたエアを算出することができる。また、上記したように、消耗材交換用エアロックルーム用モニタおよび排泄物回収用エアロックルーム用モニタにより、消耗材の交換および排泄物の回収の際に、消耗材交換用エアロックルームおよび排泄物回収用エアロックルームに出入したエアの状態を把握することができる。これにより、消耗材の交換や排泄物の回収の際にわずかに生じるデータの誤差を補正することが可能となる。また、本発明にかかる動物飼育装置は、前記ケースの居住空間内のエアの状態をモニタするためのケース用モニタを有することが好ましい。
【0038】
なお、測定対象とし得るエアの状態は、試験の目的に応じて適宜設定することができ、調整可能なエアの状態と同様に、エアの温度、湿度、全圧、酸素濃度、二酸化炭素濃度、および微量ガス濃度からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。これらを測定することで、代謝データとして、尿および糞の排泄量に加えて、呼吸商(酸素消費量と二酸化炭素排泄量の比)、代謝水蒸気発生量、代謝発熱等の、より広範な動物の代謝特性を把握することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る動物飼育装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明に係る動物飼育装置の模式的な斜視図である。
【図3】本発明に係る動物飼育装置の消耗材交換用エアロックシステムにおける移動手段の作動方法を模式的に示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る動物飼育装置の消耗材交換用エアロックシステムの作動方法を模式的に示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1:動物飼育装置、10:ケース、11:給餌器、12:給水器、20:エア調整システム、21:排気管、22:給気管、23:エア循環器、24:熱交換器、25:消耗材、26:排気管用モニタ、27:給気管用モニタ、30:消耗材交換用エアロックシステム、31:消耗材交換用エアロックルーム、32:消耗材交換用シャッター、33:消耗材交換用扉、34:移動手段、35:消耗材交換用エアロックルーム用モニタ、40:排泄物回収用エアロックシステム、41:排泄物回収用エアロックルーム、42:排泄物回収用シャッター、43:排泄物回収用扉、44:床部、45:排泄物回収用エアロックルーム用モニタ、46:排泄物回収器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に気密の動物飼育装置であって、
動物の居住空間を提供するケースと、
前記ケースからエアを排出するための排気管と、
前記排気管を介して排出されたエアを調整するためのエア調整システムと、
前記エア調整システムにより調整されたエアを前記ケースに供給するための給気管と、
前記エア調整システムの消耗材を交換するための消耗材交換用エアロックシステムであって、
前記エア調整システムに隣接して設けられた消耗材交換用エアロックルームと、
前記エア調整システムと前記消耗材交換用エアロックルームとの間に設けられた開閉可能な消耗材交換用シャッターと、
前記消耗材交換用エアロックルームに設けられた開閉可能な消耗材交換用扉と、
前記シャッターを開いている際に、前記エア調整システムと前記エアロックルームとの間で前記消耗材を移動させる移動手段と
を有する消耗材交換用エアロックシステムと
を有する装置。
【請求項2】
前記消耗材交換用エアロックシステムが、前記消耗材交換用エアロックルーム内のエアの状態をモニタするための消耗材交換用エアロックルーム用モニタをさらに有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
動物からの排泄物を回収するための排泄物回収用エアロックシステムであって、
前記ケースの前記居住空間の下方に設けられた排泄物回収用エアロックルームと、
前記居住空間と前記排泄物回収用エアロックルームとの間に設けられた開閉可能な排泄物回収用シャッターと、
前記排泄物回収用エアロックルームに設けられた開閉可能な排泄物回収用扉と
を有する排泄物回収用エアロックシステムをさらに有する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記排泄物回収用エアロックシステムが、前記排泄物回収用エアロックルーム内のエアの状態をモニタするための排泄物回収用エアロックルーム用モニタをさらに有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
実質的に気密の動物飼育装置であって、
動物の居住空間を提供するケースと、
前記ケースからエアを排出するための排気管と、
前記排気管を介して排出されたエアを調整するためのエア調整システムと、
前記エア調整システムにより調整されたエアを前記ケースに供給するための給気管と、
動物からの排泄物を回収するための排泄物回収用エアロックシステムであって、
前記ケースの前記居住空間の下方に設けられた排泄物回収用エアロックルームと、
前記居住空間と前記排泄物回収用エアロックルームとの間に設けられた開閉可能な排泄物回収用シャッターと、
前記排泄物回収用エアロックルームに設けられた開閉可能な排泄物回収用扉と
を有する排泄物回収用エアロックシステムと
を有する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−301734(P2008−301734A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150080(P2007−150080)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】