動物飼育装置
【課題】消毒、清掃作業のための多大の労力と光熱費を削減できる動物飼育装置を提供する。
【解決手段】動物を収容するケージ2と、前面側の開口部からケージ2を出し入れ可能に装着し得る動物飼育ラック4と、ケージ2内の空気を排気する排気装置と6を備えた動物飼育装置である。ケージ2は、上面が開口する箱体20と、箱体20の上面の開口部を覆う通気性を有する蓋22とを有し、蓋22の上面に取り外し可能な被覆体30が配設され、被覆体30に排気装置6が設けられている。
【解決手段】動物を収容するケージ2と、前面側の開口部からケージ2を出し入れ可能に装着し得る動物飼育ラック4と、ケージ2内の空気を排気する排気装置と6を備えた動物飼育装置である。ケージ2は、上面が開口する箱体20と、箱体20の上面の開口部を覆う通気性を有する蓋22とを有し、蓋22の上面に取り外し可能な被覆体30が配設され、被覆体30に排気装置6が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラット、マウス、モルモット等の小動物を飼育する際に使用される動物飼育装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実験研究用に用いる動物を収容して飼育する動物飼育装置としては、例えば、特開平8−228623号公報(特許文献1)、特開2005−95004号公報(特許文献2)に示されるように、動物飼育ラックに多数段の棚板を設け、各棚板に箱状のケージを並べて配設し、ケージの上側に空気の排気通路を設けたものが提案されている。
【0003】
そして、このような構成の動物飼育装置では、ケージの上側にブラケットカバーを配置して、ケージとの間に排気通路を形成しているため、次に示す種々の問題点があった。
(1)ラックのケージ収容部内を定期的に清掃する必要があるが、ブラケットカバーが動物飼育ラック本体に固定されているために、ブラケットカバーの消毒、清掃作業に多大の労力と経費を必要とする。
(2)ブラケットカバーの排気口に除塵フィルターがないために、排気集合管内に塵が沈積し、消毒、除去に多大の労力と光熱経費を必要とする。
(3)ブラケット式飼育ラックを経年使用すると、ブラケットカバーの排気口に塵が付着するために、飼育ケージ内への空気の流入と共に、排気量が減少する。飼育ケージ毎の排気量を簡単に目視できる機能がないために、エアーバランスの変動の把握が困難であり、対応が遅れる。
【特許文献1】特開平8−228623号公報
【特許文献2】特開2005−95004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、ブラケットカバーをラック本体から簡単に取り外し可能な構造とすることにより、消毒、清掃作業のための多大の労力と光熱費を削減できる動物飼育装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の動物飼育装置は、動物を収容するケージと、前面側の開口部から該ケージを出し入れ可能に装着し得る動物飼育ラックと、該ケージ内の空気を排気する排気装置と、を備えた動物飼育装置であって、該ケージは、上面が開口する箱体と、該箱体の上面の開口部を覆う通気性を有する蓋と、を有し、該蓋の上面に取り外し可能な被覆体が配設され、該被覆体に該排気装置が設けられており、そのことにより上記目的が達成される。
【0006】
一つの実施形態では、前記ケージの箱体の上面にフランジが形成され、前記動物飼育ラックは、該箱体のフランジを吊り下げ支持するための係止片を有し、前記被覆体の両端部が該係止片と蓋体のフランジとの間に挟持されている。
【0007】
一つの実施形態では、前記被覆体に排気装置としての吸気および/または排気口が形成されている。
【0008】
一つの実施形態では、前記被覆体は使い捨て可能である。
【0009】
一つの実施形態では、前記ケージの上面と前記被覆体との間に空気流通口が形成され、この空気流通口を流れる空気の流れをケージ側へ向けるガイド片が設けられている。
【0010】
一つの実施形態では、前記ガイド片は、空気の流れによって揺れ動く揺動片を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の動物飼育装置によれば、ケージの蓋の上面を覆う使い捨て可能な被覆体が配設されていることにより、この被覆体をラック本体から取り外すことができ、そのためラックのケージ収容部の天板を手で清掃する必要がなくなる。
【0012】
特に、被覆体(ブラケットカバー)の材質を、耐水性を有する紙製や透明性を有するPET樹脂製とし、使い捨てとすれば、従来の消毒、清掃作業に必要な多大の労力と光熱費を削減できる。
【0013】
また、被覆体の材質を金属や耐熱樹脂製にすれば、ラックから取り外した状態で清掃作業が効率よく行える。
【0014】
また、ブラケットカバーの空気取り込み口に、ケージ内の換気を効率よく行え簡単に装着できる気流方向板を設けるのが良い。
【0015】
さらに、気流方向板を気流の変化に応じ傾斜する構造にすれば、飼育ケージに流入、あるいは排気される風量を簡単に確認できる。
【0016】
ブラケットカバー内に、塵フィルターを取り付けることにより、排気集合管等で塵の沈積を極力回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1〜図4に示すように、本発明の動物飼育装置は、ラット、マウス、モルモット等の小動物を収容するケージ2と、前面側の開口部10から該ケージ2を出し入れ可能に装着し得る動物飼育ラック4と、該ケージ2内の空気を排気する排気装置6と、を備えている。
【0019】
図5に示すように、該ケージ2は上面が開口する箱体20と、該箱体20の上面の開口部を覆う通気性を有する蓋22と、を有する。
【0020】
箱体20は透明な合成樹脂よりなり、その上端の周縁にはフランジ24が外側方へ向けて延出されている。蓋22は合成樹脂製または金属製の網、メッシュなどで形成することができ、箱体20内の通気を確保すると同時に、箱体20内に収容された小動物が内箱から逃げるのを防止するものであれば、どのような材質、形状の蓋22を使用することもできる。該蓋22は箱体20の上面開口部に装着されるように構成されている。
【0021】
該ラック4は、複数本の支柱40と、該支柱40に上下複数段に取り付けられる棚板42とを有し、各上下の棚板42によって区切られた収容部8が上下に複数形成されている。各収容部8は前面側に開口部10を有し、開口部10より収容部8内へケージ2を取り出し可能に装着できようになっている。該収容部8の上方位置において該支柱40には、断面L字形あるいは断面コ字形のフレーム12が固着されている。フレーム12の係止片14が収容部8内方向へ突出しており、この係止片14にケージ2のフランジ24を係止させた状態でケージ2を両フレーム12,12間で吊り下げ支持できるように構成されている。
【0022】
そして、ラック4に吊り下げ支持されたケージ2の上面を覆う取り出し可能な被覆体(カバー)30が配設されている。
【0023】
図6および図7に示すように、被覆体30は、矩形状の上片50と、該上片50の両側に断面コ字形に折曲形成された側片52および挟持片16を有する。被覆体30は、紙、プラスチックあるいは薄い金属板などで形成することができる。
【0024】
被覆体30を紙で形成する場合には、図9に示すように、略矩形状の基板32の周囲に複数本の折り曲げ線33,34を形成して折り曲げ、接着剤、テープなどによって偏平な蓋状に形成されている。
【0025】
すなわち、基板32の両側に外側折り曲げ線33および内側折り曲げ線34がそれぞれ形成され、これらの各折り曲げ線33,34に沿って基板32を内側へ折り曲げることにより、基板32の両側に挟持片16が形成される。
【0026】
基板32の奥側端部にも外側折り曲げ線35および内側折り曲げ線36が形成され、これらの線を折り曲げることにより断面略コ字形の壁片38が形成される。この壁片38には排気装置の一部としての空気排気口6が形成されている。
【0027】
被覆体30をプラスチックで形成する場合には、箱体20に比べて厚みが薄く安価で廃棄可能な材料にて形成するのが良い。
【0028】
ケージ2を動物飼育ラック4へ取り付けるには、図3に示すように、上記構成の被覆体30の両端部の挟持片16を動物飼育ラック4の係止片14上に載置し、この挟持片16の上にケージ2のフランジ24を載置するようにして、被覆体30の各挟持片16を該係止片14と箱体20のフランジ24との間で挟持する。箱体20は、動物飼育ラック4の収容部8内で吊り下げ支持された状態で装着される。
【0029】
このように動物飼育ラック4の収容部8内にケージ2を装着すると、ケージ2の上面と上記被覆体30との間に空気流通口11が形成される(図3および図4)。この空気流通口11を流れる空気の流れをケージ2側へ向けるガイド片18が被覆体30の前端部に設けられている。
【0030】
ガイド片18は、上記被覆体30と同じ材質、例えば、紙、プラスチックなどで形成することができる。ガイド片18は被覆体30の前端に接着テープ、接着剤などで揺動可能に取り付けられている。図8に示すように、ガイド片18には、テープなどで形成される揺動片18aが設けられている。空気流通口11を通る空気の流れによってガイド片18が揺れ動き、空気流通口11を通る空気の存在を目視にて容易に確認できるようになっている。従って、空気流通口11あるいはその他の排気装置6の一部が動物の毛、食べ物のカス、塵などによって閉塞した場合には、揺動片18aが揺動しなくなるので、空気の流れ、及び流速などを容易に検出することができる。
【0031】
また、図4に示すように、ガイド片18はケージ2の箱体20内へ向けてやや傾斜させて被覆体30に取り付けるのがよく、前方から後方へ向けて流れる空気をこのガイド片18によって、金網などで構成される蓋22を通して箱体20内へ導くことができる。
【0032】
なお、上記実施形態では、被覆体30の壁片38に排気口6を形成したが、被覆体30の上片50に吸気口および/または排気口をそれぞれ形成してもよい。さらに上記実施形態では、ケージ2は動物飼育ラック4に上下多段に形成したが、さらに横方向にも複数並列して配置してもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、排気装置6を被覆体30に設け、排気装置6に排気ダクト7を接続して吸引することにより、前方側から後方側へ空気が流れるようにしたが、被覆体30の上面に排気口および/または吸気口を設け、これらの排気口および/または吸気口に除塵フィルターを取り付けてもよい。被覆体30に除塵フィルターを取り付けることにより、排気集合管等での塵埃の沈積を極力回避できる。
【0034】
さらに、図10に示すように、被覆体30の中央部を箱体22側へ大きく突出させ、被覆体30の下面で空気を誘導することにより、外部からの空気が箱体20内へ流入するようにしてもよい。すなわち、被覆体30の下面には傾斜したガイド部30aが形成されている。蓋22も被覆体30の下面と同様に湾曲して形成されている。
【0035】
このように構成することにより、例えば、被覆体30の前部側のケージ2への流速を速めることにより、ケージ2内で生じる動物の毛、食べ物のカス、塵、飼育従事者へのアレルゲンとされているマウス尿蛋白質などを排気口より効率よく回収でき、さらに、ケージ2内の流速はケージ上部から動物の居住空間であるケージ下部になるほど低減させることにより、飼育動物に対する適正な風速を創出でき、これは図11の構造でも同様である。
【0036】
図11および図12は、被覆体30の前部にガイド片18を一体に形成したものである。この場合、ガイド片18を揺動可能とするために、基板32には折れ曲がれ線18aが設けられる。
【0037】
また、上下多段に配置したケージ2の、排気装置を連通管で連結してもよい。すなわち、箱体2に連結した排気ダクト7を連通管で接続してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施例の動物飼育ラックの概略図である。
【図2】図1に示す動物飼育ラックの斜視図である。
【図3】図1に示す動物飼育ラックの要部正面図である。
【図4】図1に示す動物飼育ラックの作用説明図である。
【図5】飼育ケージの斜視図である。
【図6】被覆体の斜視図である。
【図7】被覆体にガイド片を取り付けた状態の断面図である。
【図8】ガイド片の斜視図である。
【図9】被覆体の展開図である。
【図10】被覆体の別実施形態の作用説明図である。
【図11】被覆体の別実施別形態の断面図である。
【図12】被覆体の別実施形態の展開図である。
【符号の説明】
【0039】
2 ケージ
4 ラック
6 排気装置
8 収容部
16 挟持片
18 ガイド片
20 箱体
22 蓋
24 フランジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラット、マウス、モルモット等の小動物を飼育する際に使用される動物飼育装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実験研究用に用いる動物を収容して飼育する動物飼育装置としては、例えば、特開平8−228623号公報(特許文献1)、特開2005−95004号公報(特許文献2)に示されるように、動物飼育ラックに多数段の棚板を設け、各棚板に箱状のケージを並べて配設し、ケージの上側に空気の排気通路を設けたものが提案されている。
【0003】
そして、このような構成の動物飼育装置では、ケージの上側にブラケットカバーを配置して、ケージとの間に排気通路を形成しているため、次に示す種々の問題点があった。
(1)ラックのケージ収容部内を定期的に清掃する必要があるが、ブラケットカバーが動物飼育ラック本体に固定されているために、ブラケットカバーの消毒、清掃作業に多大の労力と経費を必要とする。
(2)ブラケットカバーの排気口に除塵フィルターがないために、排気集合管内に塵が沈積し、消毒、除去に多大の労力と光熱経費を必要とする。
(3)ブラケット式飼育ラックを経年使用すると、ブラケットカバーの排気口に塵が付着するために、飼育ケージ内への空気の流入と共に、排気量が減少する。飼育ケージ毎の排気量を簡単に目視できる機能がないために、エアーバランスの変動の把握が困難であり、対応が遅れる。
【特許文献1】特開平8−228623号公報
【特許文献2】特開2005−95004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、ブラケットカバーをラック本体から簡単に取り外し可能な構造とすることにより、消毒、清掃作業のための多大の労力と光熱費を削減できる動物飼育装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の動物飼育装置は、動物を収容するケージと、前面側の開口部から該ケージを出し入れ可能に装着し得る動物飼育ラックと、該ケージ内の空気を排気する排気装置と、を備えた動物飼育装置であって、該ケージは、上面が開口する箱体と、該箱体の上面の開口部を覆う通気性を有する蓋と、を有し、該蓋の上面に取り外し可能な被覆体が配設され、該被覆体に該排気装置が設けられており、そのことにより上記目的が達成される。
【0006】
一つの実施形態では、前記ケージの箱体の上面にフランジが形成され、前記動物飼育ラックは、該箱体のフランジを吊り下げ支持するための係止片を有し、前記被覆体の両端部が該係止片と蓋体のフランジとの間に挟持されている。
【0007】
一つの実施形態では、前記被覆体に排気装置としての吸気および/または排気口が形成されている。
【0008】
一つの実施形態では、前記被覆体は使い捨て可能である。
【0009】
一つの実施形態では、前記ケージの上面と前記被覆体との間に空気流通口が形成され、この空気流通口を流れる空気の流れをケージ側へ向けるガイド片が設けられている。
【0010】
一つの実施形態では、前記ガイド片は、空気の流れによって揺れ動く揺動片を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の動物飼育装置によれば、ケージの蓋の上面を覆う使い捨て可能な被覆体が配設されていることにより、この被覆体をラック本体から取り外すことができ、そのためラックのケージ収容部の天板を手で清掃する必要がなくなる。
【0012】
特に、被覆体(ブラケットカバー)の材質を、耐水性を有する紙製や透明性を有するPET樹脂製とし、使い捨てとすれば、従来の消毒、清掃作業に必要な多大の労力と光熱費を削減できる。
【0013】
また、被覆体の材質を金属や耐熱樹脂製にすれば、ラックから取り外した状態で清掃作業が効率よく行える。
【0014】
また、ブラケットカバーの空気取り込み口に、ケージ内の換気を効率よく行え簡単に装着できる気流方向板を設けるのが良い。
【0015】
さらに、気流方向板を気流の変化に応じ傾斜する構造にすれば、飼育ケージに流入、あるいは排気される風量を簡単に確認できる。
【0016】
ブラケットカバー内に、塵フィルターを取り付けることにより、排気集合管等で塵の沈積を極力回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1〜図4に示すように、本発明の動物飼育装置は、ラット、マウス、モルモット等の小動物を収容するケージ2と、前面側の開口部10から該ケージ2を出し入れ可能に装着し得る動物飼育ラック4と、該ケージ2内の空気を排気する排気装置6と、を備えている。
【0019】
図5に示すように、該ケージ2は上面が開口する箱体20と、該箱体20の上面の開口部を覆う通気性を有する蓋22と、を有する。
【0020】
箱体20は透明な合成樹脂よりなり、その上端の周縁にはフランジ24が外側方へ向けて延出されている。蓋22は合成樹脂製または金属製の網、メッシュなどで形成することができ、箱体20内の通気を確保すると同時に、箱体20内に収容された小動物が内箱から逃げるのを防止するものであれば、どのような材質、形状の蓋22を使用することもできる。該蓋22は箱体20の上面開口部に装着されるように構成されている。
【0021】
該ラック4は、複数本の支柱40と、該支柱40に上下複数段に取り付けられる棚板42とを有し、各上下の棚板42によって区切られた収容部8が上下に複数形成されている。各収容部8は前面側に開口部10を有し、開口部10より収容部8内へケージ2を取り出し可能に装着できようになっている。該収容部8の上方位置において該支柱40には、断面L字形あるいは断面コ字形のフレーム12が固着されている。フレーム12の係止片14が収容部8内方向へ突出しており、この係止片14にケージ2のフランジ24を係止させた状態でケージ2を両フレーム12,12間で吊り下げ支持できるように構成されている。
【0022】
そして、ラック4に吊り下げ支持されたケージ2の上面を覆う取り出し可能な被覆体(カバー)30が配設されている。
【0023】
図6および図7に示すように、被覆体30は、矩形状の上片50と、該上片50の両側に断面コ字形に折曲形成された側片52および挟持片16を有する。被覆体30は、紙、プラスチックあるいは薄い金属板などで形成することができる。
【0024】
被覆体30を紙で形成する場合には、図9に示すように、略矩形状の基板32の周囲に複数本の折り曲げ線33,34を形成して折り曲げ、接着剤、テープなどによって偏平な蓋状に形成されている。
【0025】
すなわち、基板32の両側に外側折り曲げ線33および内側折り曲げ線34がそれぞれ形成され、これらの各折り曲げ線33,34に沿って基板32を内側へ折り曲げることにより、基板32の両側に挟持片16が形成される。
【0026】
基板32の奥側端部にも外側折り曲げ線35および内側折り曲げ線36が形成され、これらの線を折り曲げることにより断面略コ字形の壁片38が形成される。この壁片38には排気装置の一部としての空気排気口6が形成されている。
【0027】
被覆体30をプラスチックで形成する場合には、箱体20に比べて厚みが薄く安価で廃棄可能な材料にて形成するのが良い。
【0028】
ケージ2を動物飼育ラック4へ取り付けるには、図3に示すように、上記構成の被覆体30の両端部の挟持片16を動物飼育ラック4の係止片14上に載置し、この挟持片16の上にケージ2のフランジ24を載置するようにして、被覆体30の各挟持片16を該係止片14と箱体20のフランジ24との間で挟持する。箱体20は、動物飼育ラック4の収容部8内で吊り下げ支持された状態で装着される。
【0029】
このように動物飼育ラック4の収容部8内にケージ2を装着すると、ケージ2の上面と上記被覆体30との間に空気流通口11が形成される(図3および図4)。この空気流通口11を流れる空気の流れをケージ2側へ向けるガイド片18が被覆体30の前端部に設けられている。
【0030】
ガイド片18は、上記被覆体30と同じ材質、例えば、紙、プラスチックなどで形成することができる。ガイド片18は被覆体30の前端に接着テープ、接着剤などで揺動可能に取り付けられている。図8に示すように、ガイド片18には、テープなどで形成される揺動片18aが設けられている。空気流通口11を通る空気の流れによってガイド片18が揺れ動き、空気流通口11を通る空気の存在を目視にて容易に確認できるようになっている。従って、空気流通口11あるいはその他の排気装置6の一部が動物の毛、食べ物のカス、塵などによって閉塞した場合には、揺動片18aが揺動しなくなるので、空気の流れ、及び流速などを容易に検出することができる。
【0031】
また、図4に示すように、ガイド片18はケージ2の箱体20内へ向けてやや傾斜させて被覆体30に取り付けるのがよく、前方から後方へ向けて流れる空気をこのガイド片18によって、金網などで構成される蓋22を通して箱体20内へ導くことができる。
【0032】
なお、上記実施形態では、被覆体30の壁片38に排気口6を形成したが、被覆体30の上片50に吸気口および/または排気口をそれぞれ形成してもよい。さらに上記実施形態では、ケージ2は動物飼育ラック4に上下多段に形成したが、さらに横方向にも複数並列して配置してもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、排気装置6を被覆体30に設け、排気装置6に排気ダクト7を接続して吸引することにより、前方側から後方側へ空気が流れるようにしたが、被覆体30の上面に排気口および/または吸気口を設け、これらの排気口および/または吸気口に除塵フィルターを取り付けてもよい。被覆体30に除塵フィルターを取り付けることにより、排気集合管等での塵埃の沈積を極力回避できる。
【0034】
さらに、図10に示すように、被覆体30の中央部を箱体22側へ大きく突出させ、被覆体30の下面で空気を誘導することにより、外部からの空気が箱体20内へ流入するようにしてもよい。すなわち、被覆体30の下面には傾斜したガイド部30aが形成されている。蓋22も被覆体30の下面と同様に湾曲して形成されている。
【0035】
このように構成することにより、例えば、被覆体30の前部側のケージ2への流速を速めることにより、ケージ2内で生じる動物の毛、食べ物のカス、塵、飼育従事者へのアレルゲンとされているマウス尿蛋白質などを排気口より効率よく回収でき、さらに、ケージ2内の流速はケージ上部から動物の居住空間であるケージ下部になるほど低減させることにより、飼育動物に対する適正な風速を創出でき、これは図11の構造でも同様である。
【0036】
図11および図12は、被覆体30の前部にガイド片18を一体に形成したものである。この場合、ガイド片18を揺動可能とするために、基板32には折れ曲がれ線18aが設けられる。
【0037】
また、上下多段に配置したケージ2の、排気装置を連通管で連結してもよい。すなわち、箱体2に連結した排気ダクト7を連通管で接続してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施例の動物飼育ラックの概略図である。
【図2】図1に示す動物飼育ラックの斜視図である。
【図3】図1に示す動物飼育ラックの要部正面図である。
【図4】図1に示す動物飼育ラックの作用説明図である。
【図5】飼育ケージの斜視図である。
【図6】被覆体の斜視図である。
【図7】被覆体にガイド片を取り付けた状態の断面図である。
【図8】ガイド片の斜視図である。
【図9】被覆体の展開図である。
【図10】被覆体の別実施形態の作用説明図である。
【図11】被覆体の別実施別形態の断面図である。
【図12】被覆体の別実施形態の展開図である。
【符号の説明】
【0039】
2 ケージ
4 ラック
6 排気装置
8 収容部
16 挟持片
18 ガイド片
20 箱体
22 蓋
24 フランジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物を収容するケージと、前面側の開口部から該ケージを出し入れ可能に装着し得る動物飼育ラックと、該ケージ内の空気を排気する排気装置と、を備えた動物飼育装置であって、
該ケージは、上面が開口する箱体と、該箱体の上面の開口部を覆う通気性を有する蓋と、を有し、
該蓋の上面に取り外し可能な被覆体が配設され、該被覆体に該排気装置が設けられている動物飼育装置。
【請求項2】
前記ケージの箱体の上面にフランジが形成され、前記動物飼育ラックは、該箱体のフランジを吊り下げ支持するための係止片を有し、前記被覆体の両端部が該係止片と蓋体のフランジとの間に挟持されている請求項1に記載の動物飼育装置。
【請求項3】
前記被覆体に排気装置としての吸気および/または排気口が形成されている請求項1に記載の動物飼育装置。
【請求項4】
前記被覆体は使い捨て可能である請求項1に記載の動物飼育装置。
【請求項5】
前記ケージの上面と前記被覆体との間に空気流通口が形成され、この空気流通口を流れる空気の流れをケージ側へ向けるガイド片が設けられている請求項1に記載の動物飼育装置。
【請求項6】
前記ガイド片は、空気の流れによって揺れ動く揺動片を有する請求項5に記載の動物飼育装置。
【請求項1】
動物を収容するケージと、前面側の開口部から該ケージを出し入れ可能に装着し得る動物飼育ラックと、該ケージ内の空気を排気する排気装置と、を備えた動物飼育装置であって、
該ケージは、上面が開口する箱体と、該箱体の上面の開口部を覆う通気性を有する蓋と、を有し、
該蓋の上面に取り外し可能な被覆体が配設され、該被覆体に該排気装置が設けられている動物飼育装置。
【請求項2】
前記ケージの箱体の上面にフランジが形成され、前記動物飼育ラックは、該箱体のフランジを吊り下げ支持するための係止片を有し、前記被覆体の両端部が該係止片と蓋体のフランジとの間に挟持されている請求項1に記載の動物飼育装置。
【請求項3】
前記被覆体に排気装置としての吸気および/または排気口が形成されている請求項1に記載の動物飼育装置。
【請求項4】
前記被覆体は使い捨て可能である請求項1に記載の動物飼育装置。
【請求項5】
前記ケージの上面と前記被覆体との間に空気流通口が形成され、この空気流通口を流れる空気の流れをケージ側へ向けるガイド片が設けられている請求項1に記載の動物飼育装置。
【請求項6】
前記ガイド片は、空気の流れによって揺れ動く揺動片を有する請求項5に記載の動物飼育装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−99010(P2010−99010A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273618(P2008−273618)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(506237377)株式会社イートロン (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(506237377)株式会社イートロン (5)
【Fターム(参考)】
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