説明

動産評価方法

【課題】動産を評価して評価額を算出するための、動産評価方法を提供する。
【解決手段】本発明にかかるコンピュータにより動産に対する評価を行う動産評価方法は、動産を識別するデータと動産の数量とを受信するステップと、データベースから、動産を識別するデータに対応するカテゴリーと価格とを抽出するステップと、前記抽出したカテゴリーに一致するチェックリストを抽出するステップと、遠隔地の倉庫にて撮影された動産の映像を受信し、表示するステップと、チェック結果が入力された前記チェックリストを受信すると、該チェック結果に対応する点数を項目毎に読み出し、チェックリストの項目毎に点数を算出するステップと、算出した点数を加算し、チェックリストの項目数で除算した値と、動産の数量と、抽出した価格とを乗算し、経費を加算することにより評価額を算出するステップとを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動産評価方法に関し、より詳細には、データベースに接続されたコンピュータ・システムにおける、動産の流通評価額および買取評価額を提供する動産評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平成17年10月3日に創設された動産譲渡登記制度を活用する、金融機関における動産担保の融資業務は、動産担保の「評価」業務と、動産担保の「管理」業務と、動産担保の「処分」業務との3つの段階に区分して捉えることができる。動産担保の「評価」業務は、動産の担保価値を見極めることが困難である。動産担保の「管理」業務は、動産担保の対象物件の出入りを管理することが困難である。動産担保の「処分」業務は、動産担保の融資業務の最終段階において、実際に処分することが困難である。これらの困難さにより、現在、金融機関における動産担保融資の具体的な案件は、ごく僅かにとどまっている。金融機関における動産担保の融資業務を支援する方法およびシステムが望まれている。
【0003】
従来、金融機関における動産担保の融資業務を支援する方法およびシステムは、動産担保の「管理」業務を支援する。データベースに接続されたコンピュータ・システムにおける動産担保の「管理」業務を支援する方法およびシステムは、データベースとして商品市況データベースを用いて、動産担保の対象物件についての時価を取得し、定期的に動産担保の評価を行うために対象物件の単価を更新し、最新の単価に動産担保の対象物件の数量を乗じ、さらに価格変動のボラティリティ等に対応した掛け目を乗じることにより動産評価額を算出している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−171594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の金融機関における動産担保の融資業務を支援する方法およびシステムは、主に動産担保の「管理」業務を支援するものであった。
【0006】
上述したように、商品市況データベースを用いて、動産担保の対象物件についての時価を取得し、定期的に対象物件の単価を更新し、最新の単価に動産担保の対象物件の数量を乗じ、価格変動のボラティリティ等に対応した掛け目を乗じる手段はあるが、商品に対する特性と、季節変動と、市場価値とを考慮して動産を評価する手段がないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、動産を評価して評価額を容易に算出するための、動産評価方法および動産評価システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、コンピュータにより、動産に対する評価を行う動産評価方法であって、動産を識別するデータと動産の数量とを入力装置から受信するステップと、動産を識別するデータ毎にカテゴリーと価格とカテゴリー毎のチェックリストと前記チェックリストの項目毎のチェック結果に対応する点数とを格納しているデータベースを、前記動産を識別するデータにより検索し、前記動産を識別するデータに対応するカテゴリーと価格とを抽出するステップと、前記抽出したカテゴリーに一致するチェックリストを前記データベースから抽出するステップと、前記抽出したチェックリストを画面表示装置に表示するステップと、前記表示したチェックリストに、動産評価鑑定者が遠隔地の倉庫にある動産を参照しながらチェック結果を入力できるように、前記遠隔地の倉庫にて携帯端末によって撮影された前記動産の映像を、ネットワークを介して動産評価装置が受信するステップと、前記受信した映像を記憶装置に保存するステップと、前記保存した映像を前記画面表示装置に表示するステップと、チェック結果が入力された前記チェックリストを受信すると、該チェック結果に対応する点数を項目毎に読み出し、前記チェックリストの項目毎に点数を算出するステップと、前記項目毎に算出した点数をすべて加算し、前記加算した点数を前記チェックリストの項目数で除算した値と、前記動産の数量と、前記抽出した価格とを乗算し、該乗算した値に経費を加算することにより買取評価額を算出するステップと、前記買取評価額を前記画面表示装置に表示するステップとを含むことを特徴とする。
【0009】
この方法によれば、動産に対して、商品の特性を考慮した評価額を容易に算出することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、動産を評価して評価額を容易に算出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施形態にかかる動産評価システムは、動産担保の「評価」を提供する。動産評価システムにより、例えば、金融機関が融資を行う場合に、融資先が保有する在庫商品に対して、評価額を容易に評価鑑定することが可能となる。金融機関は、評価鑑定された評価額を基にして融資判断を行い、さらに金融機関独自に融資金額を設定する。
【0012】
例えば、金融機関の依頼により、動産を担保として融資を受ける企業が所有する在庫商品の評価額を評価鑑定する場合に、動産評価システムを使用することができる。評価鑑定する評価額は、例えば、最終仕入原価法や移動平均法などの会計上の棚卸金額とは異なり、在庫商品を一括転売する場合に必要な、売りやすい商品であるかどうかや倉庫保管料が発生する商品であるかどうかなどにより変動する金額である。評価鑑定された評価額は、金融機関が融資判断を行うために活用されるものであるが、金融機関による実際の融資金額を決めるものではない。
【0013】
動産査定の方法には「実地査定」と「机上査定」との2つの方法があり、「実地査定」は、動産評価鑑定者が実際の倉庫に出向いて、商品価値および保管状況などを詳細に調査して評価鑑定するのに対して、「机上査定」は、動産評価鑑定者が実際の倉庫には出向かず、商品情報(例えば、商品リスト、商品画像等)のみを使用して評価鑑定する。動産評価の内容には、対象の動産を一般小売店で販売する場合の「流通価格」評価と、商品に対する特性や季節変動などを考慮した「買取価格」評価とがあり、両方の評価において、動産評価システムを用いることができる。
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態にかかる動産評価のシステム環境を示す構成図である。動産評価を行う動産評価鑑定者が商品毎にバーコードすなわち動産を識別するデータを入力することにより、評価額を表示させる動産評価装置101と、評価額を算出するためのデータを格納しているデータベース102とが、接続ケーブルにより接続されている。
【0016】
本明細書において、説明の目的のために、システム環境は、動産評価装置101とデータベース102とを直接接続しているが、ネットワーク103を介して動産評価装置101とデータベース102とを接続してもよい。また、ネットワーク103を介して他のコンピュータ104から動産評価装置101にアクセスして、バーコードを入力し評価額を出力してもよい。インターネット105を介して他のコンピュータ106から動産評価装置101にアクセスして、バーコードを入力し評価額を出力してもよい。さらに、本明細書において、説明の目的のために、システム環境は、動産評価装置101とデータベース102とが分離されているが、動産評価装置101がデータベース102を含んでいてもよい。
【0017】
動産評価装置101は、図2を参照して後述するアプリケーション212を処理することにより、動産評価鑑定者がバーコードを入力すると、データベース102に接続し、データベース102が格納しているデータを検索し、入力されたバーコードに該当するデータの中からカテゴリーを抽出し、および抽出したカテゴリーのチェックリストを動産評価鑑定者に表示する。表示されたチェックリストの項目について、動産評価鑑定者がチェック結果を入力すると、動産評価装置101は、入力されたチェックリストの項目毎に点数を算出し、算出した点数を用いて評価額を算出し、算出した評価額を動産評価鑑定者に表示する。詳細は、図4〜6を参照して後述する。
【0018】
データベース102は、バーコード毎に、カテゴリーと、商品名と、消費期間と、価格とをデータとして格納する。価格は、希望小売価格と、原価と、売価と、最高値売価と、最安値売価と、商品簿価とを含む。最高値売価および最安値売価は、過去の売価を格納しておき、過去の売価の中から、最大値を最高値売価とし、最小値を最安値売価とする。
【0019】
売価は、図4を参照して後述する流通評価額を算出するのに用いる。なぜならば、流通評価額は、動産評価鑑定者が動産評価を行う時点の流通価格に対する評価額であり、動産評価鑑定者が動産評価を行う時点の流通価格に対する単価は、売価であるからである。商品簿価は、図5を参照して後述する買取評価額を算出するのに用いる。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態にかかる動産評価装置を示すブロック図である。動産評価装置101は、各ブロックを制御する中央処理装置201と、プログラムおよびデータを記憶するメモリ202と、動産評価鑑定者からの入力を処理する入力装置203と、動産評価鑑定者への出力を表示する画面表示装置204と、データベース102に接続するネットワーク接続装置205と、データを保存することができる記憶装置206とが、バスを介して相互に接続されている。
【0021】
メモリ202は、入出力機能やメモリ管理機能などを提供する基本ソフトウェア211と、アプリケーション212と、データ213とを記憶している。アプリケーション212およびデータ213は、図4〜6を参照して後述する動産評価方法を実行するためのプログラムおよびデータをそれぞれ格納している。
【0022】
中央処理装置201は、メモリ202に記憶されたプログラムを実行する。中央処理装置201は、入力装置203からバーコードを受信すると、基本ソフトウェア211と、アプリケーション212と、データ213とによって、ネットワーク接続装置205を介してデータベース102に接続してデータベース102のデータを検索し、バーコードに該当するカテゴリーを抽出する。次いで、データベース102に格納しているカテゴリー毎のチェックリストのうち抽出したカテゴリーのチェックリストを抽出し、画面表示装置204に表示させる。
【0023】
中央処理装置201は、入力装置203からチェック結果が入力されたチェックリストを受信すると、基本ソフトウェア211と、アプリケーション212と、データ213とによって、チェックリストの項目毎に点数を算出し、算出した点数を用いて評価額を算出し、算出した評価額を、画面表示装置204に表示させる。
【0024】
このような構成により、バーコードの入力から商品が属するカテゴリーのチェックリストを表示し、表示されたチェックリストの項目に関するチェック結果の入力から評価額を算出する。
【0025】
図3は、本発明の一実施形態にかかる動産評価のデータベースを示すブロック図である。データベース102は、商品毎にデータを有している商品マスタ301と、商品が属するカテゴリー毎のチェックリスト302とを格納している。チェックリスト302については、図6を参照して後述する。
【0026】
商品マスタ301は、JANコード毎に、カテゴリーと、商品名と、消費期間と、価格とをデータとして含む。価格は、希望小売価格と、原価と、売価と、最高値売価と、最安値売価と、商品簿価とを含む。最高値売価および最安値売価は、過去の売価を格納しておき、過去の売価の中から、最大値を最高値売価とし、最小値を最安値売価とする。消費期間および価格は、地域毎に区分したデータとしておくことが望ましい。
【0027】
図4は、本発明の実施形態にかかる動産評価方法を示すフローチャートである。動産評価鑑定者が、動産評価装置101のメモリ202に格納されたアプリケーション212を実行することにより、商品の評価額を取得する場合の動産評価方法の処理を説明する。
【0028】
ステップ401では、動産評価装置101の画面表示装置204により、IDおよびパスワードを動産評価鑑定者に入力させるための画面を表示して、動産評価鑑定者がIDおよびパスワードを入力すると、入力されたIDおよびパスワードを受信する。ステップ402では、受信したIDおよびパスワードと、動産評価装置101のメモリ202に格納されたデータ213に含まれるデータとにより、パスワード認証が正常であるかどうかを決定する。
【0029】
ステップ402にて、パスワード認証が正常である場合には、ステップ403に進む。ステップ403では、動産評価装置101の画面表示装置204により、商品のバーコードおよび数量を動産評価鑑定者に入力させるための画面を表示して、動産評価鑑定者が商品のバーコードおよび数量を入力すると、入力された商品のバーコードおよび数量を受信し、受信した商品のバーコードおよび数量をメモリ202のデータ213に格納する。商品のバーコードを入力することにより、手入力による誤りを除外することができる。
【0030】
ステップ402にて、パスワード認証が正常でない場合には、ステップ401に戻り、動産評価装置101の画面表示装置204により、IDおよびパスワードを動産評価鑑定者に入力させるための画面を表示する。ここで、動産を識別するデータは、バーコードに限定されない。また、バーコードとして、JANコードを用いるのが一般的である。
【0031】
ステップ404では、動産評価装置101のネットワーク接続装置205により、データベース102に接続して、ステップ403にて格納した商品のバーコードに一致するデータがデータベース102にあるかどうか、データベース102を検索する。ステップ405では、データベース102のデータのバーコードと、ステップ403にて格納した商品のバーコードとが一致するかどうかを決定する。
【0032】
ステップ405にて、データベース102のデータのバーコードと、ステップ403にて格納した商品のバーコードとが一致する場合には、ステップ406に進む。ステップ406では、データベース102におけるバーコードが一致したデータから、カテゴリーと消費期間と売価と商品簿価とを抽出し、抽出したカテゴリーと消費期間と売価と商品簿価とをメモリ202のデータ213に格納する。ステップ405にて、データベース102のデータのバーコードと、ステップ403にて格納した商品のバーコードとが一致しない場合には、ステップ403に戻り、動産評価装置101の画面表示装置204により、商品のバーコードおよび数量を動産評価鑑定者に入力させるための画面を表示する。
【0033】
ステップ407では、ステップ406にて格納した売価と、ステップ403にて格納した商品の数量とを乗算し、乗算した値を流通評価額として、メモリ202のデータ213に格納する。
【0034】
なお、動産評価鑑定者が流通評価額のみを必要とする場合には、後述する買取評価額を算出する処理を行わずに、データ213に格納した流通評価額を動産評価装置101の画面表示装置204に送信し、動産評価鑑定者に対して表示することができる。
【0035】
図5は、本発明の実施形態にかかる動産評価方法を示すフローチャートである。図5を参照して説明する動産評価方法の処理は、図4を参照して説明する動産評価方法の処理に継続する。
【0036】
ステップ501では、データベース102に格納しているカテゴリー毎のチェックリストの中から、ステップ406にて格納したカテゴリーに一致するチェックリストを抽出し、抽出したカテゴリーのチェックリストを動産評価装置101の画面表示装置204に送信し、動産評価装置101の画面表示装置204により、動産評価鑑定者に対して、抽出したカテゴリーのチェックリストを表示する。ステップ502では、動産評価鑑定者がチェック結果を、表示されたチェックリストに入力すると、チェック結果が入力されたチェックリストを受信する。ステップ503では、受信したチェックリストが適切に入力されているかどうかを決定する。
【0037】
ステップ503にて、受信したチェックリストが適切に入力されている場合には、ステップ504に進む。ステップ504では、受信したチェックリストの項目毎に点数を算出する。点数を算出する具体的な例を、図6を参照して後述する。ステップ503にて、受信したチェックリストが適切に入力されてない場合には、ステップ502に戻り、動産評価鑑定者がチェック結果をチェックリストに再度入力すると、チェック結果が再度入力されたチェックリストを受信する。
【0038】
ステップ505では、ステップ403にて格納した商品の数量をもとに、保管経費と運搬経費とを含む経費を算出する。ステップ506では、ステップ504にて算出した項目毎の点数をすべて合計し、合計した値をチェックリストの項目数で除算し、除算した値と、ステップ406にて格納した商品簿価とを乗算し、乗算した値にステップ505にて算出した経費を加算し、加算した値を買取評価額として、メモリ202のデータ213に格納する。買取評価額を算出する具体的な例を、図7を参照して後述する。ステップ507では、ステップ407にて格納した流通評価額と、ステップ506にて格納した買取評価額とを動産評価装置101の画面表示装置204に送信し、動産評価装置101の画面表示装置204により、動産評価鑑定者に対して、流通評価額および買取評価額を表示する。なお、動産評価鑑定者が買取評価額のみを必要とする場合には、買取評価額のみを動産評価装置101の画面表示装置204に送信し、動産評価鑑定者に対して表示することもできる。
【0039】
上述したように、本発明にかかる一実施形態では、本システムを、流通評価額または買取評価額のどちらか一方のみを算出するシステムとして用いることもできる。その場合でも、同一のデータベース102を用いることができるので、データは一元管理することができる。
【0040】
図6は、本発明の実施形態にかかる動産評価方法に用いるチェックリストを例示する図である。チェックリストの項目は、カテゴリーにより異なる。ここでは、例として、カテゴリーを3つ例示する。
【0041】
カテゴリー1のチェックリスト601は、「製造年月日」と、「市場価値」と、「商品の傷」と、「商品の汚れ」との項目を含む。「市場価値」の項目は、「特優」と「優」と「良」と「可」と「不可」とのチェック結果を有する。「商品の傷」および「商品の汚れ」の項目は、それぞれ「なし」と「あり」とのチェック結果を有する。カテゴリー1のチェックリスト601は、例えば、宝石など対面販売される商品に対して選択することを想定する。
【0042】
カテゴリー2のチェックリスト602は、「製造年月日」と、「市場価値」と、「パッケージの傷」と、「パッケージの汚れ」との項目を含む。「市場価値」の項目は、「特優」と「優」と「良」と「可」と「不可」とのチェック結果を有する。「パッケージの傷」および「パッケージの汚れ」の項目は、それぞれ「なし」と「あり」とのチェック結果を有する。カテゴリー2のチェックリスト602は、例えば、玩具などパッケージのまま展示販売される商品に対して選択することを想定する。
【0043】
カテゴリー3のチェックリスト603は、「製造年月日」と、「市場価値」と、「夏物/冬物による保管の必要」と、「色のバランス」と、「サイズのバランス」との項目を含む。「市場価値」の項目は、「特優」と「優」と「良」と「可」と「不可」とのチェック結果を有する。「夏物/冬物による保管の必要」は、「なし」と「あり」とのチェック結果を有する。「色のバランス」および「サイズのバランス」の項目は、それぞれ「優」と「良」と「可」と「不可」とのチェック結果を有する。カテゴリー3のチェックリスト603は、例えば、アパレルなどカラーおよびサイズのバリエーションがある商品に対して選択することを想定する。
【0044】
ここで、例えば、商品のカテゴリーがアパレルである場合に、チェックリスト603を用いて、図5のステップ504において点数を算出する具体的な例を説明する。ステップ502にて受信したチェックリスト603の「製造年月日」と、ステップ406にて抽出した消費期間とを加算し、加算した値を消費期限年月日とする。消費期限年月日から現在の日付を減算し、例えば、減算した値が、1年6ヶ月以上ならば1点を、6ヶ月以上1年6ヶ月未満ならば0.5点を、6ヶ月未満ならば0点を消費期限の点数とする。
【0045】
次に、ステップ502にて受信したチェックリスト603の「市場価値」が、「特優」ならば1点、「優」ならば0.8点、「良」ならば0.6点、「可」ならば0.4点、「不可」ならば0.2点を市場価値の点数とする。ステップ502にて受信したチェックリスト603の「夏物/冬物による保管の必要」が「なし」ならば1点を、「あり」ならば0.5点を夏物/冬物による点数とする。ステップ502にて受信したチェックリスト603の「色のバランス」が「優」ならば1点を、「良」ならば0.7点を、「可」ならば0.4点を、「不可」ならば0.1点をカラーバランスの点数とする。ステップ502にて受信したチェックリスト603の「サイズのバランス」が「優」ならば1点を、「良」ならば0.7点を、「可」ならば0.4点を、「不可」ならば0.1点をサイズバランスの点数とする。
【0046】
このようして算出した項目毎の点数を、ステップ506にてすべて合計し、合計した値をチェックリストの項目数で除算し、除算した値と、ステップ406にて格納した商品簿価とを乗算し、乗算した値にステップ505にて算出した経費を加算し、加算した値を買取評価額とする。詳細は、図7を参照して後述する。
【0047】
図7は、本発明の実施形態にかかる動産評価方法に用いるチェック結果が入力されたチェックリストを例示する図である。チェック結果が入力されたチェックリスト701は、網かけ部分がチェックされた部分である。例えば、「色のバランス」は、「良」がチェックされている。
【0048】
チェック結果が入力されたチェックリスト701を用いて、図5のステップ504〜506において買取評価額を算出する具体的な例を説明する。ステップ504では、ステップ502にて受信したチェックリスト701の「製造年月日」は、2004年12月2日である。ステップ406にて抽出した消費期間が、例えば、30ヶ月とすると、消費期限年月日は、2007年6月2日となる。現在の日付が2005年12月2日であるとすると、消費期限年月日から現在の日付を減算し値は、1年6ヶ月となるので、消費期限の点数は、1点である。
【0049】
ステップ502にて受信したチェックリスト701の「市場価値」は、「優」であるので、市場価値の点数は、0.8点である。ステップ502にて受信したチェックリスト701の「夏物/冬物による保管の必要」は、「あり」であるので、夏物/冬物による点数は、0.5点である。ステップ502にて受信したチェックリスト701の「色のバランス」は、「良」であるので、カラーバランスの点数は、0.7点である。ステップ502にて受信したチェックリスト701の「サイズのバランス」は、「可」であるので、サイズバランスの点数は、0.4点である。同様に、チェックリスト701の「A」は、「なし」であるので、Aの点数は、1点である。チェックリスト701の「B」は、「良」であるので、Bの点数は、0.7点である。チェックリスト701の「C」は、「なし」であるので、Cの点数は、1点である。
【0050】
ステップ505にて算出した経費をp円とし、ステップ406にて格納した商品簿価をq円とすると、チェックリスト701のチェック項目数は、8であるので、買取評価額は、次の式のとおりである。
買取評価額
=q×(1+0.8+0.5+0.7+0.4+1+0.7+1)÷8+p
=0.7625q+p
【0051】
本実施形態によれば、商品に対する特性と、季節変動と、市場価値とを考慮して動産を評価することができ、動産に対して、流通評価額と買取評価額とを容易に算出し、提供することが可能となる。
【0052】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の一実施形態にかかる動産評価のシステム環境を示す構成図である。
本実施形態にかかるシステム環境には、図1と同様に、動産評価装置101、データベース102、ネットワーク103を介して動産評価装置101にアクセスできる他のコンピュータ104、インターネット105を介して動産評価装置101にアクセスできる他のコンピュータ106が含まれる。
【0053】
さらに、本実施形態にかかるシステム環境には、カメラ付き携帯電話801が含まれる。カメラ付き携帯電話801は動産を撮影することができ、撮影した映像をネットワーク802を介して、動産評価装置101に送信することができる。また、動作評価装置101は、送信されてきた動産の映像を受信し、動産評価装置101の記憶装置206に保存すること、および、動産評価装置101の画面表示装置204に表示することができる。また、受信した動産の映像を、不図示の記憶装置に保存することもできる。なお、撮影した映像を受信し、それを表示する装置は、必ずしも動産評価装置101である必要はなく、例えば、映像を受信し表示することができる携帯電話などの携帯端末や専用の表示装置など、その他の映像受信表示装置(不図示)とすることもできる。
【0054】
本実施形態にかかるシステム環境では、動産が保管されている遠隔地の倉庫にいる者がカメラ付き携帯電話801を用いて動産を撮影し、その映像を動産評価装置101に送信することができる。また、動産鑑定者は動産評価装置101に送信されてきた映像を確認しながら、動産の評価鑑定を行うことができる。
【0055】
すなわち、本実施形態によれば、動産評価鑑定者が実地査定を行うために動産が保管されている倉庫に出向くことなく、動産の評価鑑定を行うことができる。したがって、動産評価鑑定者が保管倉庫へ移動するための時間を節約することができ、動産評価鑑定者の一日当たりの評価鑑定件数を増やすことができる。さらに、評価鑑定だけでなく、映像を確認しながらその動産の買い取りの判断を行うこともできる。
【0056】
本実施形態では、動産を撮影し、その映像を送信することができる装置として、カメラ付き携帯電話801を用いているが、これに限定されることはなく、動産を撮影し、その映像を送信する機能を備えるその他の携帯端末やビデオカメラなどを代わりに用いることもできる。
【0057】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の一実施形態にかかる動産評価のデータベースを示すブロック図である。本実施形態にかかるデータベース102は、商品マスタ301およびチェックリスト302に加え、チェック結果が入力されたチェックリスト901を格納している。
図10は、本発明の一実施形態にかかるチェック結果が入力されたチェックリスト901を例示する図である。
【0058】
チェック結果が入力されたチェックリスト901とは、上述のステップ502において動産評価鑑定者がチェック結果を入力したチェックリストである。また、チェック結果が入力されたチェックリスト901には、「ID」、「評価鑑定日」及び「画像データ」等の項目が追加されており、これらの項目とともにデータベース102に格納される。「ID」の項目には、ステップ401にて動産評価鑑定者が動産評価装置101の画面表示装置204に入力して、パスワード認証されたIDが登録される。また、「評価鑑定日」の項目には、評価鑑定を行った日付が登録される。「画像データ」の項目には、入力装置203を介して入力することができる、評価鑑定した動産の画像データを登録することができる。また、画像データは、上述した実施例における映像であってもよい。
【0059】
動産の評価鑑定は、習熟することを必要とする作業である。したがって、習熟度の低い動産評価鑑定者の評価鑑定は、習熟度の高い動産評価鑑定者の評価鑑定と比較して、動産の評価鑑定に多くの時間を必要とし、また、その精度が低いということがある。
【0060】
本実施形態にかかる動産の評価鑑定では、データベース102に格納されている、チェック結果が入力されたチェックリスト901を使用して、動産を評価鑑定することができる。例えば、アパレルなどのカラーのバリエーションがある商品についての評価鑑定を行う場合、チェックリスト602を用いて評価鑑定を行うことになるが、「色のバランス」について、「優」「良」「可」「不可」のいずれに評価すればよいか判断の難しいことがある。そこで、習熟度の高い評価鑑定者のチェック結果が入力されたチェックリストを、データベース102から検索し、画面表示装置204に表示させることにより、そのチェック結果を参考にして、評価鑑定を行うことができる。こうすることにより、習熟度の低い動産評価鑑定者の評価鑑定に要する時間を短縮させ、その精度を向上させることができる。
(第4の実施形態)
図11は、上述したカテゴリー1のチェックリスト601に、「色のバランス」の項目が追加されたチェックリスト1101を示す図である。「色のバランス」の項目は、「優」と「良」と「可」と「不可」とのチェック結果を有している。
【0061】
本実施形態にかかるデータベース102に格納されているチェックリストには、動産評価装置101を介して、新たな項目を追加することができる。本実施形態では、新たな項目が追加された例を示しているが、既存の項目を削除することができることもできる。さらに、「優」「良」「可」「不可」などのチェック結果、及びチェック結果に対応する点数を修正することもできる。
【0062】
以上のように、既にデータベースに格納されているチェックリスト、チェック結果、およびチェック結果に対応する点数を修正することにより、動産の評価鑑定の精度を向上させることができる。
【0063】
図12は、カテゴリー1〜3とは異なる、新たなカテゴリー4のチェックリスト1201を示す図である。
【0064】
カテゴリー4のチェックリスト1201は、「製造年月日」と、「市場価値」と、「パッケージの有無」と、「付属品の有無」との項目を含む。「市場価値」の項目は、「特優」と「優」と「良」と「可」と「不可」とのチェック結果を有する。「パッケージの有無」および「付属品の有無」の項目は、それぞれ「なし」と「あり」とのチェック結果を有する。カテゴリー4のチェックリスト1201は、例えば、電化製品などの商品に対して選択することを想定する。
【0065】
本実施形態において、データベース102には、動産評価装置101を介して、既に格納されているチェックリストとは異なる、新たなチェックリストを追加することができる。つまり、従来のチェックリストで鑑定評価を行うことが適切でない動産に対して、データベース102に新たなチェックリストを追加し評価鑑定を行うことにより、より適切な動産の評価鑑定を行うことができるようになる。
【0066】
さらに、本実施形態では、データベース102に格納されている商品マスタ301に対して、動産評価装置101を介して、新たな商品を追加することができる。
【0067】
上述した図4のステップ405では、データベース102のデータのバーコードと、ステップ403にて格納した商品のバーコードとが一致しない場合には、ステップ403に戻り、動産評価装置101の画面表示装置204に、商品のバーコードおよび数量を動産評価鑑定者に再度入力させるための画面を表示している。したがって、図4のフローチャートでは、データベース102の商品マスタ301に格納されていない商品は、後続の処理において流通評価額及び買取評価額が算出されない。しかしながら本実施形態では、データベース102のデータのバーコードと、ステップ403にて格納した商品のバーコードとが一致しない場合、ステップ403にて格納した商品のバーコードを、データベース102の商品マスタ301に登録することができる。ここで、バーコードとともに、カテゴリーと、商品名と、消費期間と、価格とを併せて登録することにより、後続の処理を行うことができるようになり、当該商品に対しても、後続の処理において流通評価額及び買取評価額を算出することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の動産評価方法および動産評価システムは、平成17年10月3日に創設された動産譲渡登記制度を普及促進させ、中小企業が、動産を担保として登記し、金融機関から融資を受けることができるようにする一助となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態にかかる動産評価のシステム環境を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる動産評価装置を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる動産評価のデータベースを示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる動産評価方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態にかかる動産評価方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態にかかる動産評価方法に用いるチェックリストを例示する図である。
【図7】本発明の実施形態にかかる動産評価方法に用いるチェック結果が入力されたチェックリストを例示する図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかる動産評価のシステム環境を示す構成図である。
【図9】本発明の一実施形態にかかる動産評価のデータベースを示すブロック図である。
【図10】本発明の実施形態にかかる動産評価方法に用いるチェック結果が入力されたチェックリストを例示する図である。
【図11】本発明の実施形態にかかる動産評価方法に用いるチェックリストを例示する図である。
【図12】本発明の実施形態にかかる動産評価方法に用いるチェックリストを例示する図である。
【符号の説明】
【0070】
101 動産評価装置
102 データベース
601 カテゴリー1のチェックリスト
602 カテゴリー2のチェックリスト
603 カテゴリー3のチェックリスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより、動産に対する評価を行う動産評価方法であって、
動産を識別するデータと動産の数量とを入力装置から受信するステップと、
動産を識別するデータ毎にカテゴリーと価格とカテゴリー毎のチェックリストと前記チェックリストの項目毎のチェック結果に対応する点数とを格納しているデータベースを、前記動産を識別するデータにより検索し、前記動産を識別するデータに対応するカテゴリーと価格とを抽出するステップと、
前記抽出したカテゴリーに一致するチェックリストを前記データベースから抽出するステップと、
前記抽出したチェックリストを画面表示装置に表示するステップと、
前記表示したチェックリストに、動産評価鑑定者が遠隔地の倉庫にある動産を参照しながらチェック結果を入力できるように、前記遠隔地の倉庫にて携帯端末によって撮影された前記動産の映像を、ネットワークを介して動産評価装置が受信するステップと、
前記受信した映像を記憶装置に保存するステップと、
前記保存した映像を前記画面表示装置に表示するステップと、
チェック結果が入力された前記チェックリストを受信すると、該チェック結果に対応する点数を項目毎に読み出し、前記チェックリストの項目毎に点数を算出するステップと、
前記項目毎に算出した点数をすべて加算し、前記加算した点数を前記チェックリストの項目数で除算した値と、前記動産の数量と、前記抽出した価格とを乗算し、該乗算した値に経費を加算することにより買取評価額を算出するステップと、
前記買取評価額を前記画面表示装置に表示するステップと
を含むことを特徴とする動産評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−217837(P2008−217837A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159610(P2008−159610)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【分割の表示】特願2006−329328(P2006−329328)の分割
【原出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(300091164)株式会社 ドン・キホーテ (2)