説明

動的に調整可能な衝撃緩衝運動靴

靴のようなウェアウェアのアイテムが、以前の衝撃の強度の制御下で前記アイテムの動作使用において前記アイテムに対する次の衝撃の効果を動的に調節することを可能にするように構成された緩衝器を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴、ブーツ若しくは他の履物、ズボン、オーバーオール等のような衣類、グローブ等のような防具のような、人の体の一部に身に付けられるべき若しくは体の一部を覆う、又はサドル若しくは座席のような人の体に関与するアイテムを含むとここに規定されるウェアウェア(wearware)に関する。本発明は、特に、しかし排他的にではなく、運動靴に関する。
【背景技術】
【0002】
走る又はジョギングする場合、人の体は、その人の靴が地面を打つたびに衝撃を受ける。衝撃力は、とりわけ、地表面の状況(例えばコンクリート又は丸石)、走り方、走者の身体的状況及び靴底により提供される緩衝(buffering)又は減衰(damping)の量に依存する。走っている間の衝撃力は、磨耗及び特に足首又は膝関節の深刻な怪我を生じる可能性がある。したがって、衝撃力の減衰の改良は、かなりの注目を集めている。一部の例が以下に述べられる。
【0003】
参照によりここに組み込まれる米国特許第4263728号公報は、下方に延在するポンプのようなペグ(pegs)を持つ膨張可能な空気室(air chamber)及び前記空気室と通じている中空キャビティ内部の形式でかかとの衝撃表面に対する調整可能な衝撃吸収システムを持つジョギング靴に関する。前記ジョギング靴が、走っている表面に対して当たる場合、前記ペグは、前記ペグのキャビティに含まれる圧縮空気を前記空気室内に押し下げ、前記空気室は、前記靴の底全体にわたり前記衝撃力を分散させる。前記ペグが押し下げた後に、前記空気室も、前記力の残りを吸収するように部分的に圧縮することができる。したがって、2段階の衝撃吸収及び分散システムが提供される。前記衝撃吸収システムは、使用の初期圧力まで膨張される必要がある。通常は、前記初期圧力は、30ポンド毎平方インチ以下であり、前記靴を使用する人の体重に依存する。前記靴は、この場合、十分かつ快適な衝撃吸収又は衝撃分散が達成されるかを決定するのに使用される必要がある。必要であれば、前記衝撃吸収システム内の圧力の量は、空気弁により調整されることができる。前記空気弁は、前記空気室の調整可能な膨張を可能にするために前記空気室に通じている。これにより、衝撃を受けるかかと部分に対する向上された衝撃吸収又は衝撃分散特性を持つジョギング靴が提供される。この発明の衝撃吸収システムの第2の態様は、前記空気弁であり、これにより、これらの環境下で必要な衝撃吸収の量に依存して、空気又は他の圧縮可能な流体が前記空気室に注入され、又は前記空気室から除去されることができる。したがって、ジョギングしている人の体重、前記ジョギングしている人が走っている表面のタイプ、及びある程度は――特定のジョギングしている人にとって初めに前記走っている表面に接触する前記ジョギング靴の一部又は前記ジョギング靴の面積の大きさである――前記ジョギングしている人の走り方が、対応されることができる。
【0004】
参照によりここに組み込まれる、米国特許第5598645号公報は、固定された膨張可能な管要素(tube elements)を地面と関与する側に持つ靴底板を持つ靴底に関する。前記靴底は、膨張開口を用いて前記管素子と通じている室又は設置空間を規定する直立した側面支持壁をも含む。前記設置空間に配置されるのは、弁ハウジング、小型ポンプ、及び前記膨張開口に前記ポンプを接続する接続導管である。前記管要素は、前記靴底の中央及び側面の縁に沿って及びかかと領域内に設けられる。加えて、前記管要素は、前記靴底を備えた靴のトレッド特性を個別に調整することが可能であるように、互いに別々に膨張可能である。前記管要素は、前記管要素の内部を2つの空気室に分割する長手方向の隔壁を更に含み、前記2つの空気室は、前記長手方向の隔壁における少なくとも1つの開口を介して互いに通じている。これは、改良されたトレッド特性及び前記管要素の増大された剛性を提供する。小型のピストンポンプは、2つの保持板の間の前記かかと領域に固定される。前記ポンプは、ポンプハウジング内のシリンダに対する4つの圧力接続部の対応する1つとの間の連絡を可能にする弁構成に対する制御装置を含み、この結果、管要素部分及び前記管要素は、個別に膨張されることができる。前記弁構成は、個別の前記圧力接続部に関連付けられ、前記管要素において空気の漏れを防ぎ、場合により前記管要素の外に空気を出すことを可能にするために、特定的かつ意図的に作動されることもできる弁を含む。
【0005】
参照によりここに組み込まれる米国特許第6553691号公報は、折り畳みポンプを囲む支持室(support chamber)を含むエアクッションにより靴を履く人の足に支持を提供することに関する。前記ポンプは、前記履く人の足により圧縮空気を前記支持室に導き、前記室の堅さを変化させるように動作可能である。前記支持室は、前記ポンプから圧縮空気を受ける前に前記足に安定な支持を提供する十分な剛性の事前形成された3次元構成である。ユーザは、逃し弁(relief valve)を動作することにより前記支持室内の圧縮空気の圧力を所望のレベルに調整することができる。
【0006】
したがって、上記の例は、空気ポンプ、空気室及び空気弁を使用して調整可能な衝撃吸収性質を提供する靴が既知であることを示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、とりわけ、表面状況の変化の結果としての、人が走っている間の時間に対する衝撃の可変性の問題に対処する。本発明の目的の1つは、たとえ人が移動する経路に沿って衝撃の大きさが変化する場合であっても、このような衝撃の十分な減衰を提供することである。
【0008】
本発明は、中間媒介物を用いて、大きさが変化する人の体に対する衝撃の十分な吸収を提供することが望ましい、ランニング又はジョギング以外のシナリオをも考慮する。自動車の運転手、トラック運転手、オートバイに乗る人、自転車に乗る人、馬に乗る人、高速モータボートに乗る人等も、動作使用(operational use)中に輸送により伝えられる機械的な衝撃を受ける。前記衝撃の大きさ及び頻度は、例えば、速度、地形又は水面の性質、人の体と前記人の車、船又は馬が移動している表面との間に位置するものの衝撃吸収品質に依存する。例えば、裏道において長時間、オートバイに乗ることは、乗り手の尻及び手のひらが衝撃吸収するものとして機能していることを感じる状態のままである。頑丈なパッド入りグローブ及び人間工学サドルは、前記乗り手が試練を乗り越えるのを助ける。車のサスペンションを弱くすることは、好適な解決法ではない。前記サスペンションが弱すぎる場合、これは、ロードホールディング品質に不利な影響を与えるのみならず、前記乗り手の(文字通り)ズボンの尻の部分が、乗り物が何をしようとしているかを感じることを妨げ、したがってユーザ制御を妨げる。完全のため、"適合的減衰システム(Adaptive Damping System)"と称される自動的に調整可能なサスペンションが、特定のメルセデスベンツの自動車において1991から既知である。このシステムは、道路表面及び車がどのように運転されるかに基づいて、各車輪において毎秒数回、衝撃吸収器の剛性を4つ設定の中の1つに調整する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一般的に、ウェアウェアのアイテムを考慮する。前記アイテムは、前記アイテムの動作使用において前記アイテムに対する次の衝撃の効果を動的に調節することを可能にするように構成された緩衝器(buffer)を有する。前記効果は、例えば、前記効果を制御可能に減少する又は前記効果を制御可能に増加する目的で調節される。前記調節は、動作使用において生じるので動的である。即ち、ユーザは、上で述べられたような既知のアイテムのように調整を行うために止まる必要がない。本発明の一実施例において、前記緩衝器は、前記アイテムのユーザがユーザ入力に基づいて前記効果を調節することを可能にするユーザインターフェースと無線通信するように構成される。例えば、前記ユーザは、前記ユーザが前記アイテムの動作使用中に前記効果を調節することを可能にするように前記緩衝器と無線周波数(RF)リンクを介して通信するユーザインターフェースを持つ装置を彼/彼女とともに持ち運ぶことができる。他の実施例において、前記緩衝器は、前記アイテムの動作使用において以前の衝撃を表すパラメータの値を感知するセンサの制御下で次の衝撃の効果を調節する、例えば弱めるように構成される。減衰効果を提供する場合、自動的かつ動的に調節可能な緩衝器は、衝撃を最良に中和するように変化する外部状況を考慮に入れることを可能にする。前記センサは、前記アイテム自体に収容されることができ、例えば、前記緩衝器と物理的に接続されるか、又は一体化される。代替的には、前記センサは、前記アイテムに物理的には接続されない別個の構成要素であり、緩衝器と無線で通信する。
【0010】
本発明の一実施例において、前記緩衝器は、空気室と、前記空気室に接続された空気ポンプと、前記空気室に接続された逃し弁と、前記室に結合され、前記室内の空気圧を表す量を測定するゲージと、前記ポンプ及び前記弁の少なくとも一方に結合され、前記センサ及び前記ゲージの組み合わされた制御下で前記空気圧を制御するコントローラとを有する。好ましくは、前記コントローラは、(ユーザ)プログラム可能であり、及び/又は例えば上で述べられたRF通信リンクを使用して、前記アイテムの動作使用において前記ユーザから受信されたユーザ入力を処理するように構成される。
【0011】
したがって、本発明は、ウェアウェアを介して人の体に対する衝撃の影響を抑制するために、動的かつ自動的に適合する履物、グローブ及び他の衣類、座席、サドル、自転車のハンドルバー用グリップ等を提供することである。
【0012】
本発明は、動作使用において前記人の体に関与するウェアウェアと共に提供される輸送手段にも関する。本発明の特定の実施例は運動靴である。
【0013】
本発明は添付図面を参照して例によって更に詳細に説明される。
【0014】
図を通して、同じ参照符号は同様の又は対応するフィーチャを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の応用の一例として、運動靴を考慮する。現在市販されている運動靴は、靴底の減衰又は剛性性質を制御する手段により走者をサポートする。典型的には、これは、前記運動靴の靴底における空気を絞って、前記靴の減衰品質及び剛性を調整することにより達成される。これらの技術の1つは、前記ユーザの予期された必要性に依存して、即ち事前に決定された、前記靴底と一体化された室内の空気の圧力の調整に関する。上記の例の一部が参照される。これが機能するために、特別な機器が必要とされ、したがってより高いコストが必要とされる。この種の技術は、一般に、インラインローラスケート(in-line roller skates)のような特別な靴に応用される。明らかに、これは、ユーザの身体的状況、地形状況及び走り方に関するような動作使用中の変化を考慮しない1回だけの靴の調整である。衝撃力は、地形状況(コンクリート、砂、丸石、雪等)、ユーザ状況(体重、関節及び筋肉の状況、靴の大きさ等)及び前記ユーザの走り方(速度/加速度、歩調(gait)の形、足の着地等)に依存する。他の既知の実施例(上記を参照)は、再び事前に、前記靴の剛性又は減衰品質を制御するために逃し弁の設定を必要とする。
【0016】
本発明の一実施例において、靴の性質は、関連するパラメータの連続的な又は周期的な測定に基づいて前記靴底の剛性を動的に適合する手段により向上される。歩いている又は走っている間の衝撃力の測定に依存して、前記靴底の空気圧は、前記靴底の減衰/剛性を最適化するように適合される。このように、前記靴は、地形、ユーザ状況及び走り方の変化に自動的に適合するようにされる。
【0017】
本発明の一態様は、前記靴の減衰及び剛性を動的に制御又は調節するための前記靴底の空気圧の適合である。これは、以下のステップを有する方法を実行する機構を使用して達成されることができる。センサ部分において、関連するパラメータ(例えば衝撃力)が測定される。制御部分において、前記空気圧及び/又は前記空気圧の単位時間毎の変化が、前記測定に基づいてオンザフライ(on the fly)で調節される。その結果は、前記靴底における減衰又は剛性の特定の品質の作成である。
【0018】
本発明の一態様は、特に、動作使用(例えば歩いている又は走っている)の間の衝撃力の測定及び前記空気圧の調節に焦点を合わせる。
【0019】
上で示されたように、適合的な靴の機能は、衝撃力の測定の制御下で靴底の減衰/剛性を調整することである。この機能は、例えば以下の部分、即ち以下に更に詳細に説明される、測定ユニットと、制御ユニットと、空気圧ユニットとを持つシステムにより実施される。
【0020】
前記測定ユニットは、前記靴が地面に着地するときの衝撃力を測定するセンサを有する。前記センサは、例えば、前記靴のかかとに配置される。前記衝撃力は、例えば、その瞬間の特定の地形、ユーザ状況及び走り方に依存する。前記センサは、別個の電源(例えばバッテリ)を使用してアクティブ又はパッシブであることができ、又は好ましくは、前記衝撃力自体により動力を供給される。以前のステップにおける前記衝撃力の測定は、次の衝撃ステップに対する前記靴底の所望の減衰/剛性値を制御する。
【0021】
前記測定された衝撃力に基づいて、主要な室の空気圧が調整される。前記調整は、好ましくは、前記靴が地面から離れるときに実行される。前記靴が依然として地面上にある場合、前記靴底の減衰/剛性は、本発明の制御機構により調整されない。地面との次の衝撃の間に必要とされる空気圧は、前記以前のステップの間に決定されている。しかしながら、前記靴が離れるとき、前記靴底の空気圧は、最近の衝撃力測定に依存して変更されることができる。この新しい減衰/剛性値は、前記次のステップの間に又は実際に足が前記次のステップの間に地面上にある時間に使用される。再び、前記空気圧を制御するパッシブな様態が好適であるべきである。前記足が地面に接触する時間の間に関与する力を使用して、前記制御ユニットは、前記足の飛んでいる間に前記靴底の空気圧が所望の最適値に到達するように調整される。
【0022】
前記空気圧ユニットは、前記空気圧が生じる前記主要な室である。運動靴産業に既に存在する解決法と同様に、靴底において、空気室が導入される。この主要な空気室は、前記足が空中にある場合に圧力を変更し、地面との接触中に調整された空気圧を保持するために前記制御ユニットと通じている。
【0023】
以下の動作段階が識別される。靴と地面との間の衝突の間に、前記測定ユニットは、前記衝撃力、例えば前記衝撃力の最大値を測定する。前記靴が地面上にある場合、前記主要な室は制御されず、前記制御ユニットは、次の制御アクションに備えている。前記靴が離れる場合、前記主要な室の圧力が変更される。前記靴が次に地面に衝突する場合、前記主要な室は、この次の衝撃を弱めるように制御可能に設定されており、前記次の衝撃の間に前記測定ユニットが新しい衝撃力を測定する。
【0024】
前記システムは、サンプル時間が歩調時間である制御されたシステムと見なされることができる。閉じ込められた空気の圧縮可能性は、特定の減衰を提供するために使用される。代替的に又は加えて、減衰は、前記衝撃を吸収する場合に前記室から空気を解放する速度を制御することにより確立される。各歩調の間に、前記空気圧及び/又は前記空気圧の変化は、以前のサンプル/歩調の間の測定に基づいて制御される。
【0025】
上記のことは、図面を参照して、より詳細に以下に述べられる。図1は、本発明におけるシステム100のブロック図であり、様々な機能を図示する。システム100は、アイテム102の動作使用においてアイテム102に対する次の衝撃の効果を動的に調節することを可能にするように構成された緩衝器104を持つウェアウェアのアイテム102を有する。緩衝器104は、アイテム102における衝撃の実際の吸収器として機能する空気室106を有する。緩衝器104は、室106において空気圧を増加する空気ポンプ108と、前記空気圧を減少する逃し弁110とをも有する。ポンプ108の構成は、例えば上述の従来技術から既知である。弁110及びポンプ108は、下で述べられるように制御可能であり、緩衝器104の衝撃吸収特性を制御するように前記空気圧及び単位時間毎の空気圧変化を調節するように機能する。前記衝撃の間の単位時間毎の空気圧の変化の大きさは、他の因子と共に、どれだけのエネルギが吸収され、前記ユーザの体に伝わらないかを決定する。緩衝器104は、室106に結合され、前記室内の前記空気圧及び前記空気圧の変化を表す量を測定することを可能にするゲージ112をも有する。緩衝器104は、アイテム102の動作使用においてアイテム102に対する衝撃を表すパラメータの値を感知するセンサ114を更に有する。センサ114は、例えば、1つ以上の加速度計を有する。ポンプ108、弁110、ゲージ112及びセンサ114と結合されたコントローラ116、例えばマイクロコントローラが設けられる。コントローラ116は、センサ114及びゲージ112からの入力に基づいてポンプ108及び弁110を制御する。好ましくは、コントローラ116は、前記アイテムの動作使用において以前の衝撃を表すパラメータの値を感知するセンサ114の制御下で次の衝撃の効果を調節する。これは、衝撃のシーケンスの強度が次第に変化し、この結果、前記次の衝撃の強度の大きさのオーダが十分に予測可能であると仮定する。
【0026】
図1は、ポンプ108及び弁110が別個の構成要素である、本発明の一実施例を示す。他の実施例(図示されない)において、これらは、物理的に及び/又は機能的に互いに一体化され、例えば制御可能な双方向空気ポンプを形成する。
【0027】
図1は、センサ114が緩衝器104に収容される、本発明の一実施例を示す。本発明の他の実施例(図示されない)において、センサ114は、緩衝器104の外側であるがアイテム102内、又は完全にアイテム102の外側に提供される。例えば、センサ114は、アイテム102のユーザの体に身に付けられ、RFを介してコントローラ116と通信する。代替例として、センサ114は、アイテム102に対して離れた位置から前記衝撃の強度を決定し、RFリンクを介してコントローラ116に前記測定された強度を通信する、遠隔感知システム(図示されない)の構成要素である。
【0028】
図1の実施例は、ポンプ108及び弁110を更に示し、両方ともコントローラ116により制御可能である。他の実施例(図示されない)において、ポンプ108及び弁110の一方が制御可能であり、他方はこの場合、固定の設定を持つ。例えば、ポンプ108が固定の設定を持つ場合、コントローラ116は、衝撃ごとに制御可能である量で空気が逃げることを可能にするように弁110を制御する。
【0029】
図1の実施例は、ゲージ112を有するシステム100を示す。他の実施例(図示されない)は、このようなゲージ112を持たず、次の衝撃に対する緩衝器104の応答は、センサ114からの入力により自動的に制御される。
【0030】
コントローラ116に対する電力、及びゲージ112及びセンサ114からポンプ108及び弁110に信号を通信する電力は、例えば1つ以上の小さなバッテリ(図示されない)により提供される。コントローラ116により決定された設定によってポンプ108及び/又は弁110を動作する電力は、例えばバッテリのような小さな電源又は前記衝撃自体から得られる。後者に関しては、履物に使用される機械的に動作されるポンプの他の例に対する上記の従来技術を参照する。
【0031】
好ましくは、システム100は、例えばRFリンクを介して、緩衝器104のコントローラ116と無線で通信するユーザインターフェース118を更に有する。ユーザインターフェース118は、例えば、前記ユーザのシャツ又はジャケット等におけるタグ又は腕時計のように身に付けられるハンドヘルド式の小さな装置を有し、前記小さな装置は、前記ユーザがポンプ108及び/又は弁110の自動的かつ動的な調整に介入することを可能にする。ユーザインターフェースは、例えば1つ以上のキー又はボタンを持ち、これにより前記ユーザは、ゲージ112及び/又はセンサ114により決定された自動的に得られた設定に対して、前記次の衝撃に対する緩衝器104の応答を増加又は減少するようにコントローラ116に命令又はコマンドを送信することができる。代替例として、ユーザインターフェース118は、音声制御され、この結果、"より多く"及び"より少なく"のような音声コマンドによって、手動で動作されるユーザインターフェースを持つものと同様の結果が得られる。ユーザインターフェース118のこのような無線実施例は、アイテム102のユーザ以外の人により動作されることができる。例えば、前記ユーザが競争走者である場合、彼/彼女は、前記走者の能力をモニタする指導者に依存してポンプ108及び/又は弁110の最良の設定を決定するために、彼/彼女の指導者がユーザインターフェース118を制御することを望むかもしれない。更に、コントローラは、センサ114からの出力履歴及びポンプ108及び弁110の設定履歴に関する情報をインターフェース118に又は例えば後の解析のために他の受信器に通信することができる。練習中の性能に関連する解析は、競争中に緩衝器104の制御を微調整するようにコントローラ116をプログラム又は再プログラムするように導くかもしれない。
【0032】
システム100は、単一の空気室106と、単一のポンプ108と、単一の弁110と、単一のコントローラ116とを有するように示される。本発明の応用の特定の分野に依存して、ウェアウェア102内の複数の有利な位置に複数の室を持つ構成を考慮することができる。例えば、オートバイに乗る人によりオートバイ用衣服の一部として身につけられるズボン又はオーバーオールを考慮する。本発明が、前記オートバイに乗る人のサドルに関与するオートバイ用衣服の尻部分に結合される場合、1つの室が漏れ状態になる場合に予備があるように、複数のより小さな室が単一のより大きな室より好適であり得る。更に、前記ユーザの体の個別の領域は、例えば接触面における衝撃が空間及び時間において一様に分散されない場合に、個別に制御可能な衝撃緩衝を必要としうる。この場合、好ましくは、単一のコントローラ116又は複数のコントローラ116のいずれかにより個別に制御される複数の室が設けられる。したがって、組み合わせて前記衝撃を緩衝するように機能する図1の個別の機能のそれぞれの複数のものは、本発明において目的に最良に適合するように前記ウェアウェアにおいて空間的に分散されることができる。
【0033】
図2は、履物のアイテム200、ここではランニング又はジョギング用の運動靴の図であり、様々な構成要素の位置が、図1の下で述べられた機能に対応する参照符号を用いて示される。上の記載から明らかであるように、スキーブーツは、滑降スキーで生じる特定の衝撃負荷を考慮に入れるために、システム100の構成要素が、靴200に示された領域とは幾らか異なる領域に収容されることを必要としうる。同様の考慮は、例えば、モトクロスブーツ又はトレッキングブーツに当てはまる。
【0034】
図3は、革のオートバイ用オーバーオール300の一部の背中側における図である。オーバーオール300は、上側部分304と、脚を持つ下側部分306との間に一体化されたサポートベルト302を有する。オーバーオール300の尻部分308は、オーバーオール300の動作使用においてオートバイのサドル(図示されない)に関与する。この実施例において、尻部分308は、図1の下で室106に対して述べられたのと同様の機能を持つ複数の空気室310、312、314及び316を備える。構成要素318、320、322及び324は、センサ114と同様のそれぞれのセンサ、ポンプ108と同様のそれぞれのポンプ、弁110と同様のそれぞれの弁の位置を示す。コントローラ116は、例えばベルト302の中に配置される。ユーザインターフェース118は、例えば、親指スイッチを用いて容易に制御されることができる位置において前記オートバイのハンドルバーに取り付けられ、取り外されることができる携帯用ユニットである。
【0035】
図4は、サドル404が取り付けられたフレーム402を持つ自転車の一部を示す図である。サドル404のカバーは、特定の領域において空気室406,408及び410を備える。好ましくは、このようなサドル404及びカバーは、室406ないし410の位置を最適化するように個別のユーザの特有の体格を考慮に入れるようにカスタマイズされる。この例において、サドル404の下、例えばサドル404のフレーム412に収容されるコントローラ116(図示されない)と無線形式(RF又はIR)で通信する単一のセンサ114が存在する。ポンプ108と同様の空気ポンプ(図示されない)及び弁110と同様の弁(図示されない)は、同様にサドル404の下に取り付けられ、好ましくは、前記自転車の車輪(図示されない)及びフレーム402を介して伝わる衝撃に反応するときに前記ユーザの体の重力エネルギを使用して機械的に動作される。前記衝撃が十分に緩衝される場合、前記ユーザの体は、連続した衝撃の間により短い縦の距離を移動し、利用可能な重力エネルギは、前記体が深刻な衝撃を受けた場合より小さいことに注意する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明におけるウェアウェアのアイテムのブロック図である。
【図2】本発明におけるウェアウェアのアイテムの特定の実施例の図である。
【図3】本発明におけるウェアウェアのアイテムの特定の実施例の図である。
【図4】本発明におけるウェアウェアのアイテムの特定の実施例の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアウェアのアイテムにおいて、前記アイテムの動作使用において前記アイテムにおける次の衝撃の効果を動的に調節することを可能にするように構成された緩衝器を有するアイテム。
【請求項2】
前記緩衝器は、前記アイテムのユーザがユーザ入力に基づいて前記効果を動的に調節することを可能にするユーザインターフェースと無線通信するように構成される、請求項1に記載のアイテム。
【請求項3】
前記緩衝器が、前記アイテムの動作使用において以前の衝撃を表すパラメータの値を感知するセンサの制御下で前記次の衝撃の効果を調節するように構成される、請求項1に記載のアイテム。
【請求項4】
前記センサを収容する、請求項3に記載のアイテム。
【請求項5】
前記センサと前記緩衝器との間で無線通信するように構成された、請求項3に記載のアイテム。
【請求項6】
履物を有する、請求項1に記載のアイテム。
【請求項7】
前記緩衝器が、機能的に、
空気室と、
前記空気室に接続された空気ポンプと、
前記空気室に接続された逃し弁と、
前記ポンプ及び前記弁の少なくとも一方に結合され、前記センサの制御下で前記ポンプ及び/又は前記弁の設定を制御するコントローラと、
を有する、請求項3に記載のアイテム。
【請求項8】
前記コントローラが、プログラム可能又はユーザプログラム可能である、請求項7に記載のアイテム。
【請求項9】
ウェアウェアのアイテムと共に使用する緩衝器であって、前記アイテムの動作使用において前記アイテムにおける次の衝撃の効果を調節することを可能にするように構成される緩衝器。
【請求項10】
前記アイテムのユーザがユーザ入力に基づいて前記効果を動的に調節することを可能にするユーザインターフェースと無線通信するように構成された、請求項9に記載の緩衝器。
【請求項11】
前記アイテムの動作使用において以前の衝撃を表すパラメータの値を感知するセンサの制御下で前記次の衝撃の効果を調節するように構成される、請求項9に記載の緩衝器。
【請求項12】
前記センサと無線通信するように構成された、請求項11に記載の緩衝器。
【請求項13】
前記センサを収容する請求項11に記載の緩衝器。
【請求項14】
前記アイテムのユーザが前記緩衝器の動作使用の間にユーザ入力に基づいて減衰を制御することを可能にするユーザインターフェースと無線通信するように構成される請求項9に記載の緩衝器。
【請求項15】
空気室と、
前記空気室に接続された空気ポンプと、
前記空気室に接続された逃し弁と、
前記ポンプ及び前記弁の少なくとも一方に結合され、前記センサの制御下で前記ポンプ及び/又は前記弁の設定を制御するコントローラと、
を有する、請求項11に記載の緩衝器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−504857(P2008−504857A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518806(P2007−518806)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【国際出願番号】PCT/IB2005/052187
【国際公開番号】WO2006/003635
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】