説明

包装袋

【課題】 袋主体に、内容物に関する多量の情報を印刷表示しておくことができると共に全ての情報を円滑に通読することができる包装袋を提供する。
【解決手段】
表裏面に内容物の説明書き等の情報を印刷した表示部4A、4Bを設けている袋主体1の表面に透明フィルム2を剥離可能に貼着している包装袋であって、この透明フィルム2の表面に、透明フィルム2の裏面側からの透視によって読み取り可能な情報の表示部3Bを印刷していると共にこの印刷層を下刷り層5によって隠蔽し、且つ、下刷り層5上に情報を印刷した表示部3Aを設けてあり、透明フィルム2の表面側の表示部3Aからこの透明フィルム2を剥離することによって裏面側の表示部3Bと袋主体1の表面側の表示部4Aに亘りその情報を通読可能とし、さらに袋主体1を反転してその裏面の表示部4Bの情報を読み取るように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は収容している物品の説明、或いは、使用方法、注意事項等の多量の情報を印刷表示可能な包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種商品を収納、包装する偏平状に形成された包装袋においては、その表裏面に商品表示等を印刷した表示部が設けられてあり、さらに、詳細な説明や注意事項等の表示を必要とする場合には、包装袋の表裏面以外にその表示部を印刷した紙片を包装袋に付帯させることが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には従来技術として、表裏面に図柄等の模様、或いは、商品の使い方等を印刷表示した袋体内に、適宜な印刷表示部を有する台紙を収容してなる包装体が開示されてあり、特許文献2には、内容表示を印刷したフィルム等からなる紙片をパッケージ本体内に装入することが記載され、このパッケージ本体に従来例では内容表示が印刷されていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3022031号公報
【特許文献2】実開平6−12369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記いずれの包装袋においても、商品表示等を印刷した紙片は包装袋内に収容されているので、需要者等が包装袋を開封して内容物を取り出す時に、紙片を取り出すことなく包装袋内に残存させたり,或いは、取り出してもその記載内容に目を通すことなくこの紙片をそのまま廃棄する虞れがあり、さらに、紙片は包装袋よりも小さいために、例え、その表裏面に商品の説明書等を印刷表示しても、多量の情報を細部に亘って記載することが困難である。
【0006】
また、紙片の表裏面に互いに関連する事項を記載して、その表面の記載事項を読み取ったのち、紙片を反転させることによりその裏面の記載事項を表面の記載事項に引き続いて連続的に読み取ることができるが、紙片は包装袋と別体に設けられているため、この紙片の裏面の記載事項に包装袋の表面の記載事項が関連するように印刷しておいても、互いに関連する記載事項を順次、通読するとは限らず、その順序を確認する必要があって煩わしくなるといった問題点があった。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、多量の情報を印刷表示しておくことができると共に、印刷表示している全ての記載事項を最初から最後まで必然的に且つ容易に読み取ることができるように表示部を設けなる包装袋を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の包装袋は、請求項1に記載したように、偏平に形成された矩形状の袋主体の表裏面に内容物の説明書等の文字を印刷した表示部を設けていると共に、この袋主体の表面全面に透明フィルムの裏面を剥離可能に貼着してなる包装袋であって、上記透明フィルムの表面にその裏面側からの透視によって読み取り可能な文字等の表示部を印刷していると共にこの印刷層を下刷り層によって隠蔽し、且つ、下刷り層上に文字等の表示部を印刷してなる構造を有している。
【0009】
このように構成した包装袋において、請求項2に係る発明は、透明フィルムの一側端縁を袋主体の一側端縁に熱融着等により固着してこの透明フィルムを袋主体の表面から剥離した際にその一側端縁を支点として透明フィルムを袋主体の外側方に展開可能に形成していることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、透明フィルムの縦幅を袋主体の縦幅に等しくしている一方、横幅を袋主体の横幅よりも広くしてその他側端部を袋主体の他側端縁から外側方に突出させてあり,この突出側端縁を剥離用突片に形成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、包装袋の袋主体の表裏面に商品表示や使用説明書等を印刷表示していると共に、この袋主体の表面全面に貼着している透明フィルムにも、その表面に裏面側からの透視によって読み取り可能な文字等の表示部と、この表示部上に下刷り層を介して文字等の表示部を印刷しているので、これらの袋主体と透明フィルムとによって多量の情報を印刷した表示部を設けておくことができ、そのため、必要な情報を充分に表示することができると共に、袋主体の表面は透明フィルムに設けている上記下刷り層によって隠蔽されてこの透明フィルムの表面に印刷している表示部が露呈した状態となっているので、まず、この表示部の記載事項、記載内容から必ず目を通して読み始めを行わせることができ、次いで、この透明フィルムを袋主体の表面から剥離することによってあたかも本を捲るようにしてその裏面に現れている表示部を連続的に通読することができる。
【0012】
この際、透明フィルムの裏面側に現れる表示部は、この透明フィルムの表面側に印刷されていてその裏面には何ら印刷層等が設けられていないから、この透明フィルムの裏面に粘着剤層を設けて袋主体の表面に剥離可能に貼着した構造とすることができるのは勿論、透明フィルムの表面に印刷した上記印刷表示部上を白色インキ等の下刷り層によって隠蔽しているので、透明フィルムを袋主体の表面から剥離した際には、この透明フィルムの裏面側からその表示部を透視して明確に読み取ることができ、また、剥離前には下刷り層によって袋主体の表面と共にこの表示部を隠蔽し、この下刷り層上に印刷している表示部のみを明確に読み取ることができる。
【0013】
さらに、袋主体の表面から透明フィルムをその一側端縁が袋主体の表面の一側端縁に達するまで剥離すると、この透明フィルムの裏面に現れている表示部が、袋主体の表面に印刷している表示部に捲った本の頁のように連続した状態となり、従って、透明フィルム側の表示部の記載事項と袋主体の表面側の表示部の記載事項との内容が関連していても、その関連事項を連続的に円滑に黙読することができ、次いで、袋主体を反転してその裏面に印刷している表示部へと読み取ることができ、透明フィルムの表裏面から袋主体の表裏面へと必然的に目を通しながら記載事項を容易に黙読することができる。
【0014】
また、請求項2に係る発明によれば、透明フィルムの一側端縁を袋主体の一側端縁に熱融着等により固着してこの透明フィルムを袋主体の表面から剥離した際にその一側端縁を支点として透明フィルムを袋主体の外側方に展開可能に形成しているので、透明フィルムを袋主体の表面に対してその他側端縁側から剥離することにより、この透明フィルムを袋主体の一側端縁に対して外側方に簡単に展開することができてその裏面を袋主体の表面に対して面一状に連続させることができ、従って、この透明フィルムの裏面に現れている表示部から袋主体の表面に印刷している表示部に向かって開いた本を読むようにこれらの表示部に記載された事項を円滑に通読することができる。
【0015】
さらに、請求項3に係る発明によれば、透明フィルムの縦幅を袋主体の縦幅に等しくしている一方、横幅を袋主体の横幅よりも広くしてその他側端部を袋主体の他側端縁から外側方に突出させてあり、この突出側端縁を剥離用突片に形成しているので、この突出側端縁を摘むことによって、袋主体の表面からの包装袋透明フィルムの剥離操作が簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】透明フィルムの一部を剥離している状態の包装袋の斜視図。
【図2】その一部の拡大縦断面図。
【図3】袋主体の一部の裏面図。
【図4】透明フィルムを袋主体から展開した状態の簡略斜視図。
【図5】透明フィルムを袋主体から剥離した状態の簡略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の具体的な実施の形態を図面に基づいて説明すると、包装袋Aは偏平に形成されている上端が開口した矩形状の袋主体1と、この袋主体1の表面に剥離可能に貼着している合成樹脂製の透明フィルム2とからなり、この透明フィルム2の表面と袋主体1の表裏面とに、袋主体1内に収納して包装される内容物(図示せず)の説明書きや注意事項等の情報を記載した表示部3、4を印刷している。
【0018】
上記偏平な矩形状袋主体1は、横幅と縦幅とがそれぞれ同じ寸法に形成されている矩形状の表地1aと裏地1bとを重ね合わせてその両側端縁と下端縁とを一体に固着することにより形成されているが、矩形状の表地1aと裏地1bとが合成樹脂製のシートからなる場合には、重ね合わせた両側端縁と下端縁とを熱融着すれば、偏平な矩形状の袋主体1を容易に得ることができる。
【0019】
なお、袋主体1としては、紙製であっても軟質合成樹脂シート或いはフイルムからなる袋であっても、さらには、軟質合成樹脂シート又はフィルムと紙片や金属箔とのラミネート紙からなる袋であってもよく、要するに、その表裏面に明確な印刷が可能で、且つ、その表面に上記透明フィルム2を剥離可能に貼着できる袋であればよい。
【0020】
一方、上記透明フィルム2は、合成樹脂製フィルムからなり、その横幅は袋主体1の横幅よりも数ミリ程度幅広く、縦幅は袋主体1の縦幅と同一幅の矩形状に形成されている。この透明フィルム2の表面には、裏面側から透視することによって読み取ることができる内容物に関する情報の記載事項を印刷してなる表示部3Bが設けられていると共に、この表示部3Bを被覆するようにして透明フィルム2の表面全面に白色インキの下刷り層5を形成してこの下刷り層5により上記表示部3Bを隠蔽してあり、さらに、この下刷り層5上に上記表示部3B以外の内容物に関する情報の記載事項を印刷してその情報の表示部3Aを設けている。
【0021】
従って、透明フィルム2の表面からは、下刷り層5上に印刷された表示部3Aを読み取ることができても、透明フィルム2の表面に直接印刷されている表示部3Bは、下刷り層5によって隠蔽されて表面に現れることはない。さらに、袋主体1の表面に重ね合わせているこの透明フィルム2の裏面全面には上記袋主体1の表面に透明フィルム2を剥離可能に貼着した薄い透明な粘着剤層6が設けられている。
【0022】
袋主体1の表面にこの粘着剤層6を介して透明フィルム2を貼着する場合に、透明フィルム2の一側端を袋主体2の一側端に揃えた状態にして貼着しているが、透明フィルム2は袋主体1よりもその横幅を上述したように幅広くしているので、袋主体1の他側端からこの透明フィルム2の他側端部が突出してあり、この突出側端縁を剥離用突片2aに形成している。
【0023】
また、上記粘着剤層6は、透明フィルム2を袋主体1の表面から全面に亘って剥離可能に透明フィルム2の裏面全面に層着しておいてもよいが、その一側端縁を袋主体1の一側端縁に熱融着、或いは接着剤によって固着7(図4に示す)しておき、この固着部7以外の裏面に粘着剤層6を層着しておいてもよい。なお、透明フィルム2の表面に直接、印刷されて下刷り層5により隠蔽されている上記表示部3Bは、その表示文字や図柄模様等は反転した形態で印刷されていて、透明フィルム裏面側からは通常の文字や図柄模様として透視できるように構成している。
【0024】
この透明フィルム2によって全面的に被覆、隠蔽されている上記袋主体1の表面と、露呈している裏面にも上述したように、透明フィルム2の表裏表示部3A、3Bに記載されている内容物等に関する情報と共に、内容物等の説明を充分に満たすためのその他の情報を記載した表示部4A、4Bが設けられている。
【0025】
このように構成した包装袋Aは、袋主体1内に所定の物品を収納したのち、その開口端を密封して販売され、需要者はその袋主体1に貼着している透明フィルム2の表面に記載した表示部3Aによって内容物等を充分に認識することができる。さらに、購入した場合において、袋主体1の表面に貼着している上記透明フィルム2を袋主体1の他端縁から突出している突片2aを摘んで剥離すれば、この透明フィルム2の裏面側から該透明フィルム2の表面に印刷されている表示部3Bを透視しながら読み取ることができ、この表示部3Bによって上記表示部3Aに記載されていない内容物の情報を読み取ることができる。
【0026】
さらに、袋主体1の表面から透明フィルム2を剥離していくと、袋主体1の表面に印刷されている表示部4Aが現れるので、透明フィルム2の裏面側に現れている上記表示部3Bの記載事項をを読み取ったのち、この表示部3Bから袋主体1の表面の表示部4Aの記載事項を連続的に通読することができる。この際、透明フィルム2の一側端縁を袋主体1の一側端縁に熱融着、或いは接着剤によって固着7しておくと、図4に示すように、透明フィルム2と袋主体1とがあたかも本の頁を捲った状態に保持することができ、透明フィルム2の裏面から袋主体1の表面に亘って上記表示部3B、4Aの情報を円滑に通読することができるが、透明フィルム2の一側端縁を袋主体1の一側端縁に固着しておかなくても、透明フィルム2を捲りながらその裏面側から表示部3Bに記載の情報を読み取ったのち、図5に示すようにこの透明フィルム2を袋主体1から剥がし取り、袋主体1の表面の表示部4Aに記載された情報を黙読してもよい。
【0027】
こうして、袋主体1の表面に記載された情報を読み取ったのち、袋主体1を反転させると、袋主体1の裏面に印刷されている上記情報の表示部4Bが設けられているので、袋主体1の表面の上記表示部4Aに記載された情報からこの表示部4Bに記載された情報を上記透明フィルム2と同様に、円滑に通読することができ、内容物の情報を充分に得ることができる。
【符号の説明】
【0028】
A 包装袋
1 袋主体
2 透明フィルム
2a 剥離用突片
3A〜4B 情報の表示部
5 下刷り層
6 粘着剤層
7 固着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏平に形成された矩形状の袋主体の表裏面に内容物の説明書等の文字を印刷した表示部を設けていると共に、この袋主体の表面に透明フィルムの裏面を剥離可能に貼着してなる包装袋であって、上記透明フィルムの表面にその裏面側からの透視によって読み取り可能な文字等の表示部を印刷していると共にこの印刷層を下刷り層によって隠蔽し、且つ、下刷り層上に文字等の表示部を印刷してなることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
透明フィルムの一側端縁を袋主体の一側端縁に熱融着等により固着してこの透明フィルムを袋主体の表面から剥離した際にその一側端縁を支点として透明フィルルを袋主体の外側方に展開可能に形成していることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
透明フィルムの縦幅を袋主体の縦幅に等しくしている一方、横幅を袋主体の横幅よりも広くしてその他側端部を袋主体の他側端縁から外側方に突出させてあり、この突出側端縁を剥離用突片に形成していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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