説明

化粧料容器

【課題】蓋が閉まった状態から一回の操作で蓋を縦開き(鏡を縦向き)、横開き(横向き)の何れにもできるようにすること。
【解決手段】容器本体と、蓋と、容器本体に蓋を連結する蝶番部とを備え、容器本体と蓋の形状を対向する一対の短辺及び対向する一対の長辺から形成される細長形状とし、容器本体の内面に化粧料の収容部を有し、蓋の内面に細長形状の鏡を蓋の形状と同方向に揃えて設けてある化粧料容器において、蓋と容器本体の間に挟まれる連結枠を備え、連結枠は、容器本体及び蓋の各外周部に重なり合うものであり、蝶番部は、連結枠と容器本体を開閉可能に連結する第1の蝶番部と、連結枠と蓋を開閉可能に連結する第2の蝶番部とを備え、細長形状を形成する一対の短辺と一対の長辺における片方の対の一辺部に第1の蝶番部を設けると共に、他方の対の一辺部に第2の蝶番部を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋の内面側に鏡を備える化粧料容器に関する。特に、化粧料容器の蓋の開閉に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料容器とは、粉のおしろいを携帯しやすいように固めて形成し、その固めたもの(ファンデーション)を薄い容器に収納したものである。一般に、化粧用コンパクト、コンパクト容器、コンパクトなどと呼ばれている。また、化粧料容器には、ファンデーションを塗布する化粧用パフ、アイライナー等の化粧具が収容されているものも含まれる。
【0003】
一般的な化粧料容器としては、外形を矩形とし、容器本体と蓋を蝶番部によって開閉可能に連結してあるものが知られている。このような化粧料容器において、矩形の蓋の内面側に同様の矩形の鏡を、向きを揃えて設けてある構造のものがある。
【0004】
ところが、上述した化粧料容器の蓋を開くと、鏡は縦長(縦向き)か、横長(横向き)のいずれかとなる。つまり、蝶番部を矩形の蓋及び容器本体の短辺側に設けてある場合には、蓋を開くと、鏡が縦向きになる。他方、蝶番部をこれらの長辺側に設けてある場合には、蓋を開くと、鏡が横向きになる。縦向きの鏡には顔を縦方向に映しやすく、横向きの鏡には顔を横方向に(特に両目を)写しやすいという性質がある。このような性質があるせいか、蓋を開くと、鏡が縦向きとなる縦開きタイプと、鏡が横向きとなる横開きタイプとが、化粧料容器には存在する。そこで本発明者は、蓋を縦開きにも横開きにもできる化粧料容器の開発に着手した。
【0005】
ところで、一つの化粧料容器でありながら、鏡(蓋)を縦向き、横向きのいずれにも変えられるようにしたものが特許出願されている(特許文献1)。
【0006】
特許文献1の化粧料容器は、蝶番部によって連結してあるものが容器本体(ベース)と蓋ではなく、容器本体と支持体である。支持体という、容器本体と蓋以外の別の構成部品が、設けられている。より詳しく言えば、これは、容器本体と支持体とを蝶番部によって開閉可能に連結し、支持体の内面に蓋を回転可能に連結してあるものである。従って、蓋を開ける操作を行うと、容器本体に対して支持体が蝶番部を中心にして開き、その支持体と一緒に蓋が開くことになる。この後に、必要であれば、蓋を回して鏡の向きを変えることができる
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−289898
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1の化粧料容器は縦開きタイプである。従って、蓋が閉まった状態から、すぐに鏡を横向きにして使用したい場合であっても、まず蓋を開く、次に蓋を回すという、蓋に対する操作が2回必要なものである。つまり、必ず、鏡を縦向きにした状態を経由しなければならない。また、その反対に鏡を横向きにした状態から蓋を閉めるには、同様に2回の操作が必要である。
【0009】
本発明はこのような実情に基づいて創作されたものであり、その目的は、蓋が閉まった状態から一回の操作で蓋を縦開き(鏡を縦向き)、横開き(横向き)の何れにもできるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、容器本体と、容器本体に重なり合う蓋と、容器本体に蓋を開閉可能に連結する蝶番部とを備え、容器本体と蓋の形状を対向する一対の短辺及び対向する一対の長辺から形成される細長形状とし、容器本体の内面に化粧料の収容部を有し、蓋の内面に細長形状の鏡を蓋の形状と同方向に揃えて設けてある化粧料容器を前提とする。
【0011】
そして、請求項1の発明は、蓋と容器本体の間に挟まれる連結枠を備え、連結枠は、容器本体及び蓋の各外周部に重なり合うものであり、蝶番部は、連結枠と容器本体を開閉可能に連結する第1の蝶番部と、連結枠と蓋を開閉可能に連結する第2の蝶番部とを備え、細長形状を形成する一対の短辺と一対の長辺における片方の対の一辺部に第1の蝶番部を設けると共に、他方の対の一辺部に第2の蝶番部を設けることを特徴とする。
【0012】
従って、連結枠と蓋に第1の蝶番部を、連結枠と蓋第2の蝶番部をそれぞれ分けて設け、その上、第1、第2の蝶番部を細長形状の長辺部と短辺部の一方と他方に分けて設けてあることになる。
【0013】
そして、第2の蝶番部が長辺部に設けてある場合には、蓋のみを開けば、第2の蝶番部を中心にして蓋が回って横開きする。この場合、第1の蝶番部は短辺部に設けてあるので、蓋と連結枠を一緒に開けば、第1の蝶番部を中心にして連結枠と一緒に蓋が回って縦開きする。
【0014】
一方、第2の蝶番部が短辺部に設けてある場合は、蓋のみを開けば、蓋が縦開きする。この場合、蓋と連結枠を一緒に開けば、連結枠と一緒に蓋が横開きする。
【0015】
また、容器本体と連結枠と蓋との三者関係についての開閉を不能・可能にするロック部を設けるか否かは問わないが、次のようにすることが望ましい。即ち、請求項2の発明のように、請求項1記載の化粧料容器において、容器本体と連結枠と蓋との三者関係についての係合及び係合の解除を可能とするロック部を備え、ロック部は、第1のロック部と、第2のロック部とを備え、第1のロック部は、容器本体と連結枠との二者関係についての係合及び係合の解除を可能とするものであり、第2のロック部は、連結枠と蓋との二者関係についての係合及び係合の解除を可能するものである。
【0016】
従って、第1、第2のロック部がいずれも係合状態であれば、蓋と連結枠と容器本体が重なり合った状態、つまり、蓋が閉まった状態が保たれる。第1のロック部が係合の解除状態で、且つ第2のロック部が係合状態であれば、容器本体に対して連結枠と一体化した蓋を開くことができる。逆に、第2のロック部が係合の解除状態で、且つ第1のロック部が係合状態であれば、連結枠と一体化した容器本体に対して蓋のみを開くことができる。
【0017】
第1、第2のロック部は、細長形状の同じ一辺部に設けても良いが、操作感を考慮すると、次のようにすることが望ましい。即ち、請求項3の発明のように、請求項2記載の化粧料容器において、第1の蝶番部を設けてある一辺部とは対向する辺部に第1のロック部を設けると共に、第2の蝶番部を設けてある一辺部とは対向する辺部に第2のロック部に設けることである。
【0018】
従って、第1のロック部を操作して係合を解除すれば、対向する第1の蝶番部を中心にして蓋が開くようになる。また、第2のロック部を操作して係合を解除すれば、対向する第2の蝶番部を中心にして蓋が開くようになる。つまり、操作した第1又は第2のロック部とは、対向する側の蝶番部を中心にして、蓋が開くようになる。
【0019】
第1、第2の蝶番部は、細長形状の長辺部と短辺部に分けて設けてあれば良いが、鏡を横向きにして広く使用したい場合には、次のようにすることが望ましい。即ち、請求項4の発明のように、請求項1、2又は3記載の化粧料容器において、連結枠は蓋の外周部と鏡の短辺部に重なり合うものであり、第1の蝶番部を細長形状の短辺部に設けると共に、第2の蝶番部を細長形状の長辺部に設け、第1の蝶番部を中心にして蓋を連結枠と一緒に開けた場合に鏡が縦向きになると共に、鏡の短辺部が連結枠によって視認不能になり、第2の蝶番部を中心にして蓋のみを開けた場合に鏡が横向きになると共に、鏡の全面が視認可能になることである。
【0020】
従って、蓋のみが開く場合(鏡が横向きになる場合)には、鏡の全面を視認することができる。また、蓋を枠と一緒に開く場合(鏡が縦向きになる場合)には、蓋の内面側に連結枠が配置され、連結枠が鏡の短辺部に重なり合い、鏡の短辺部が視認不能となる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、蓋のみを開けば、第2の蝶番部を中心にして蓋が開き、蓋と連結枠を一緒に開けば、第1の蝶番部を中心にして蓋が開くので、閉まった蓋に対する1回の操作によって蓋を縦開き(鏡を縦向き)又は横開き(横向き)にすることができる。逆に、蓋に対する1回の操作によって、蓋を閉じることもできる。
【0022】
請求項2の発明によれば、第1のロック部と第2のロック部の係合によって蓋が閉まっている状況を実現できる。そして、その状況下において、第1のロック部と第2のロック部の一方のみを操作すれば、他方のロック部によって連結枠が容器本体と蓋のいずれかに係合しているので、蓋を開閉する操作の際に連結枠が邪魔にならず、蓋の開閉操作が行いやすい。
【0023】
請求項3の発明によれば、操作したロック部とは対向する辺部に設けられた第1又は第2の蝶番部を中心にして蓋を開けられるので、ロック部を操作した勢いで蓋を開けることができる、つまり、蓋を開け易いと言える。
【0024】
請求項4の発明によれば、蓋のみを開いて鏡が横向きになる場合には、鏡の全面を視認することができ、その結果、鏡を横向きに広く使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の化粧料容器を示す分解斜視図である。
【図2】蓋の横開き状態を示す斜視図である。
【図3】(イ)(ロ)図は、蓋の横開き状態を示す正面図、右側面図である。
【図4】蓋の縦開き状態を示す斜視図である。
【図5】(イ)(ロ)図は、蓋の縦開き状態を示す正面図、右側面図である。
【図6】(イ)(ロ)(ハ)図は、本発明の化粧料容器を示す正面図、A−A線断面図、B−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1には、本発明の化粧料容器が分解されて示されている。本発明の化粧料容器は、細長形状である。細長形状とは、対向する一対の短辺と一対の長辺とで形成される外形形状をいう。例えば、図示の例の矩形だけでなく、楕円形も含む。また、矩形には、角部が直角なものに限らずR状(外側に膨らむ円弧状)のもの、又は面取りしてあるものも含まれる。なお、以後の説明で、短辺部S、長辺部Lということがあるが、これらは、短辺の近傍部分、長辺の近傍部分という意味で用いる。
【0027】
また、本発明の化粧料容器は、容器本体1、連結枠2及び蓋3を主として構成される。以下、各構成及び構成同士の関係について詳述する。
【0028】
容器本体1は、細長形状の器であって、その外周部11を除く内側の中央部12を段差状に高く形成してある。この中央部12には、凹んだ浅底の収容部13が形成されている。収容部13は、図示の例では2つ並んで区画して形成されており、そのうち1つは化粧料(ファンデーション)用、もう1つはパフ用である。
【0029】
連結枠2は、容器本体1の外周部11と同形状の矩形の枠であって、容器本体1の外周部11に重なり合うものである。この重なり合った状態が図2、図3には示されている。図2、図3は、蓋3の横開き状態を示している。この状態では、連結枠2と容器本体1の中央部12の表面は面一状である。また、連結枠2は、蓋3の外周部にも重なり合うものである。この重なり合う状態が図4、図5には示されている。図4、図5は、蓋3の縦開き状態を示している。この状態では、連結枠2は、鏡4の短辺部に重なり合っている。
【0030】
蓋3は図2〜図5に示すように、容器本体1と同様の矩形の板状である蓋本体部31と、蓋本体部31の外周縁部から容器本体1側に突出する蓋鍔部32を備えている。蓋本体部31の内面には鏡4が取り付けられる。
【0031】
容器本体1と連結枠2と蓋3は、図1に示すように、蝶番部5によって開閉可能に連結される。蝶番部5は、第1の蝶番部5aと第2の蝶番部5bによって構成される。
【0032】
第1の蝶番部5aは、容器本体1と連結枠2を開閉可能に連結するもので、細長形状の対向する短辺部S、Sのうちの一辺部に設けられている。また、第1の蝶番部5aは、第1の回転軸51と、第1の回転軸51を容器本体1側から支える容器側支持体52と、連結枠2側から支える第1の枠側支持体53とから構成される。そして、容器側支持体52と第1の枠側支持体53は、細長形状の対向する短辺部S、Sの一辺部(図中の左辺部)に沿って交互に設けられている。
【0033】
図示の例では、容器側支持体52は、2つであって、容器本体1の前記一辺部の幅方向における両側部に沿って連続して設けられている。より詳しく言えば、容器本体1は、その外周部11のうち前記一辺部に相当する箇所の幅中央部に切欠部14を備える形状である。従って、容器本体1は、切欠部14の両側が長辺方向に突出した形態となっており、これら突出部分が容器側支持体52となる。
【0034】
また、第1の枠側支持体53は、1つであって、連結枠2の前記一辺部の幅中央部に沿って連続して設けられている。より詳しく言えば、連結枠2の裏面には、容器本体1の切欠部14に相当する箇所に第1の枠側支持体53が下向に突出して形成されている。
【0035】
これら容器側支持体52と第1の枠側支持体53にはその短辺方向の端面に軸穴52a、53aが短辺方向に沿ってそれぞれ形成されている。容器側支持体52と第1の枠側支持体53の各軸穴52a、53aに第1の回転軸51(断面C字状のピン)をそれぞれ圧入することによって、容器本体1と連結枠2とが回転可能に連結される。つまり、第1の蝶番部5a(短辺方向に沿う第1の回転軸51)を中心にして、容器本体1に対して連結枠2は相対的に回転可能に設けられている。
【0036】
第2の蝶番部5bは、連結枠2と蓋3を開閉可能に連結するものである。第2の蝶番部5bも、第1の蝶番部5aと同様の構成、つまり、第2の回転軸54と、第2の回転軸54を連結枠2側から支える第2の枠側支持体55と、第2の回転軸54を蓋3側から支える蓋側支持体56とから構成される。但し、第2の蝶番部5bは、細長形状の対向する長辺部L、Lの一辺部に設けられている。この一辺部に対する第2の枠側支持体55、蓋側支持体56、第2の回転軸54の設け方は、第1の蝶番部5aのそれとほぼ同じである。異なるのは、第2の枠側支持体55が連結枠2の表面側に上向きに突出して形成されている点である。その結果、第2の蝶番部5b(長辺方向に沿う第2の回転軸54)を中心にして、連結枠2に対して蓋3は、相対的に回転可能に設けられている。
【0037】
容器本体1と連結枠2と蓋3の三者関係については、ロック部6によって係合及び係合の解除が可能になっている。ロック部6は、第1のロック部6aと第2のロック部6bによって構成される。図6には、第1、第2のロック部6a、6bの構成が断面で示されている。
【0038】
図6(ロ)を中心にしながら、他の図面を参照して、第1のロック部6aを説明する。第1のロック部6aは、容器本体1と連結枠2との二者関係についての係合及び係合の解除を可能とするものである。第1のロック部6aは、短辺部Sであって第1の蝶番部5aとは対向する一辺部に、しかも幅中央部に設けられている。第1のロック部6aは、押釦式であって、第1の係合爪61と、第1の係合爪61の先部が係合する(引っ掛かる)第1の被係合部62と、第1の係合爪61と第1の被係合部62との係合を解除する第1の押釦63を主として構成されている。以下、各構成について詳述する。
【0039】
第1の係合爪61は、連結枠2の裏面側から垂下し、その後、内側に屈曲して形成されている。この第1の係合爪61に対応する部分及びその両側部分であって、容器本体1の表面側の外周部11には、第1の格納溝64が形成されている。第1の格納溝64は、上面及び外面側(図6(ロ)の右面側)に開口している。
【0040】
第1の被係合部62は、第1の格納溝64の奥面であって短辺幅中央部の上部から右方に突出している。つまり、第1の被係合部62は、突出片である。
【0041】
第1の押釦63は、第1の格納溝64の中に奥側(左側)に押し込み可能に収容される。このため、第1の押釦63は、左右方向の全長を第1の格納溝64の奥行き長よりも短く形成してある。この短さが押し込み可能なストロークを確保する。
【0042】
また、第1の押釦63は、断面コ字状であり、断面コ字の上片は第1の係合爪61に相当する部分を切除してある。この上片を移動可能に案内する傾斜片65が、第1の格納溝64であって第1の被係合部62の両側に、右肩下がりとなる状態で形成されている。第1の押釦63の底片の先部には、下向のフック部63a(図1参照)が設けられている。このフック部63aに係合可能な突起部(図示省略)が、第1の格納溝64の底であって手前側の端部から上方に突出している。この突起部にフック部63aが係合することによって、第1の押釦63は第1の格納溝64から脱落不能に保持される。また、第1の格納溝64の底面には外面側(右側)に向かって僅かに低くなる傾斜がつけてある。このため第1の押釦63は、外面側に押し付けられている。
【0043】
上述した第1のロック部6aは、連結枠2と容器本体1とが重なり合う状態では、第1の係合爪61と第1の被係合部62とが係合し、第1の押釦63が第1の格納溝64の底面の傾斜によって外側に押し付けられている。押し付けに逆らって第1の押釦63を奥側に押すと、傾斜片65の上を第1の押釦63の上片が移動して連結枠2を上方に押し込み、第1の係合爪61と第1の被係合部62との係合が解除される。
【0044】
図6(ハ)を中心にしながら、他の図面を参照して、第2のロック部6bを説明する。第2のロック部6bは、連結枠2と蓋3との二者関係についての係合及び係合の解除を可能するものである。第2のロック部6bは、長辺部Lであって第2の蝶番部5bとは対向する一辺部に設けられている。第2のロック部6bも押釦式であって、第2の係合爪71と、第2の係合爪71の先部が引っ掛かる第2の被係合部72と、第2の係合爪71と第2の被係合部72との係合を解除する第2の押釦73を主として構成されている。以下、各構成について、第1のロック部6aとの相違点を中心にして詳述する。
【0045】
第2の係合爪71は、蓋3の蓋本体部31の裏面側(内面側)に形成されている。図示の例では、第2の係合爪71は2つであって、長辺方向に沿って間隔をあけて設けられている。これら第2の係合爪71に対応する部分およびその両側部分であって、容器本体1の表面側の外周部11には、第2の格納溝74が形成されている。
【0046】
第2の被係合部72は、第1の被係合部62とは異なって、連結枠2に形成されている。より詳しく言えば、連結枠2には第2の係合爪71の先部を出入り可能にする開口部21が上下に貫通して形成されている。開口部21は長辺方向に間隔をあけて2つ形成されている。そして、これら開口部21の内側を包囲する内片が第2の被係合部72となる。また、両開口部21の近傍においては、連結枠2と容器本体1が凹部15と凸部22によって浅く嵌り合っている。図示の例では、凸部22が連結枠2の内周面に、凹部15が容器本体1の外周面(第2の格納溝74の奥面の上部)にそれぞれ形成されている。前述した第1のロック部6aを解除して、蓋3を連結枠2と一緒に開くと、凸部22と凹部15の浅い嵌合は解除される。
【0047】
第2の押釦73は、第1の押釦63と同様であって、第2の格納溝74に収容されている。異なるのは、第2の押釦73の上片が、連結枠2ではなく、第2の係合爪71を押し上げることである。なお、第2の格納溝74にも傾斜片75が設けられている。
【0048】
上述した第2のロック部6bは、蓋3、連結枠2及び容器本体1が重なり合う状態、つまり蓋3の閉まった状態では、第2の係合爪71と第2の被係合部72とが係合し、凸部22と凹部15が嵌り合い、第2の押釦73が第2の格納溝74の底面の傾斜によって手前側に押し付けられている。押し付けに逆らって第2の押釦73を奥側に押すと、傾斜片75に沿って第2の押釦73の上片が移動して第2の係合爪71を直に押し上げる。この押し上げによって第2の係合爪71に係合している連結枠2も押し上げられそうになるが、第1のロック部6aの係合及び凸部22と凹部15との嵌合によって第2の係合爪71のみが押し上げられて、第2の係合爪71と第2の被係合部72との係合が解除される。
【0049】
上述した化粧料容器の使用方法を蓋3が完全に閉じられた状態、つまり、第1のロック部6aと第2のロック部6bが係合している状態を基準として、以下に説明する。
【0050】
図2、図3に示すように、鏡4を横向きにして使用したい場合には、長辺部Lに設けられた第2のロック部6bの第2の押釦73を押し、連結枠2と蓋3との係合を解除する。これによって、蓋3が横開き可能になる。このとき、第1のロック部6aは係合状態である。つまり、連結枠2と容器本体1が係合している。従って、蓋3を押し上げるようにすると、第2の蝶番部5bを中心にして蓋3のみが回転し、蓋3が横開きする。このとき、鏡4も横向きになっている。
【0051】
図4、図5に示すように、鏡4を縦向きにして使用したい場合には、短辺部Sに設けられた第1のロック部6aの第1の押釦63を押し、連結枠2と容器本体1との係合を解除する。これによって、蓋3が縦開き可能になる。このとき、第2のロック部6bは係合状態である。つまり、連結枠2と蓋3が係合している。従って、蓋3を押し上げるようにすると、第1の蝶番部5aを中心にして蓋3が連結枠2と一体化したまま回転し、蓋3が縦開きする。このとき、鏡4も縦向きになっており、鏡4の表面側に連結枠2が配置されている。そして、連結枠2の短辺部Sが鏡4の短辺部に重なり合う関係にあることから、鏡4の使用面積(顔を映せる面積)が鏡4本来の面積よりも小さくなる。
【0052】
横開き又は縦開きの蓋3を閉めれば、第2のロック部6b又は第1のロック部6aが係合し、蓋3の閉鎖状態が維持される。なお、第1、第2のロック部6a、6bの各押釦63、73がいずれも容器本体1に設けられていることから、図6に示すように蓋3を閉じた状態で平面視すると、各押釦63、73が蓋3の下に隠れた状態となり、体裁が良い。
【0053】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、第1の蝶番部5aを長辺部Lに設け、第2の蝶番部5bを短辺部Sに設けても良い。この場合、蓋3を縦開きした場合に、蓋3のみが開き、蓋3を横開きしたときに、蓋3と連結枠2が一体化して開くことになる。
【0054】
また、第1、第2のロック部6a、6bは、細長形状の長辺部Lと短辺部Sに分けて設けるものに限らず、長辺部Lだけ、又は短辺部Sだけに設けるものであっても良い。さらに、ロック部6は、押釦式でなく、スライド式等の他の操作方式を採用しても良い。しかも、第1のロック部6aと第2のロック部6bに、異なる操作方式を採用しても良い。また、第1のロック部6aと第2のロック部6bを、操作感の軽いものと、重いものに分けても良い。
【0055】
尚、第2のロック部6bは、第2の押釦73及び第2の被係合部72を蓋3に設け、第2の係合爪71を連結枠2に設けるものであっても良い。また、第2のロック部6bは、第2の押釦73及び第2の被係合部72を連結枠2に設け、第2の係合爪71を蓋3に設けるものであっても良い。
【符号の説明】
【0056】
1容器本体 2連結枠
3蓋 4鏡
5蝶番部
5a第1の蝶番部 5b第2の蝶番部
6ロック部
6a第1のロック部 6b第2のロック部
S短辺部 L長辺部
11外周部 12中央部
13収容部 14切欠部
15凹部
21開口部 22凸部
31蓋本体部 32蓋鍔部
51第1の回転軸
52容器側支持体 52a軸穴
53第1の枠側支持体 53a軸穴
54第2の回転軸 55第2の枠側支持体
56蓋側支持体
61第1の係合爪 62第1の被係合部
63第1の押釦 63aフック部
64第1の格納溝 65傾斜片
71第2の係合爪 72第2の被係合部
73第2の押釦 74第2の格納溝
75傾斜片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、容器本体に重なり合う蓋と、容器本体に蓋を開閉可能に連結する蝶番部とを備え、容器本体と蓋の形状を対向する一対の短辺及び対向する一対の長辺から形成される細長形状とし、容器本体の内面に化粧料の収容部を有し、蓋の内面に細長形状の鏡を蓋の形状と同方向に揃えて設けてある化粧料容器において、
蓋と容器本体の間に挟まれる連結枠を備え、
連結枠は、容器本体及び蓋の各外周部に重なり合うものであり、
蝶番部は、連結枠と容器本体を開閉可能に連結する第1の蝶番部と、連結枠と蓋を開閉可能に連結する第2の蝶番部とを備え、
細長形状を形成する一対の短辺と一対の長辺における片方の対の一辺部に第1の蝶番部を設けると共に、他方の対の一辺部に第2の蝶番部を設けることを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
請求項1記載の化粧料容器において、
容器本体と連結枠と蓋との三者関係についての係合及び係合の解除を可能とするロック部を備え、
ロック部は、第1のロック部と、第2のロック部とを備え、
第1のロック部は、容器本体と連結枠との二者関係についての係合及び係合の解除を可能とするものであり、
第2のロック部は、連結枠と蓋との二者関係についての係合及び係合の解除を可能するものであることを特徴とする化粧料容器。
【請求項3】
請求項2記載の化粧料容器において、
第1の蝶番部を設けてある一辺部とは対向する辺部に第1のロック部を設けると共に、第2の蝶番部を設けてある一辺部とは対向する辺部に第2のロック部に設けることを特徴とする化粧料容器。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の化粧料容器において、
連結枠は蓋の外周部と鏡の短辺部に重なり合うものであり、
第1の蝶番部を細長形状の短辺部に設けると共に、第2の蝶番部を細長形状の長辺部に設け、
第1の蝶番部を中心にして蓋を連結枠と一緒に開けた場合に鏡が縦向きになると共に、鏡の短辺部が連結枠によって視認不能になり、
第2の蝶番部を中心にして蓋のみを開けた場合に鏡が横向きになると共に、鏡の全面が視認可能になることを特徴とする化粧料容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−10754(P2012−10754A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147645(P2010−147645)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000234627)シロウマサイエンス株式会社 (40)