説明

化粧料

【課題】 化粧品は医薬品と異なり、健康な皮膚等をすこやかに保つために毎日使用することが好ましいが、医薬品のように疾病があるわけではないので、毎日使用するためには興味を引くような剤形が必要である。勿論、保湿性等の基本的な化粧料としての有効性の高いことも条件である。
【解決手段】 液晶として30〜40℃で呈色するコレステリック液晶を含む化粧料さらに限定すれば、オレイン酸フィトステリン:オレイン酸ジヒドロコレステリル:ノナン酸コレステリル:酪酸ジヒドロコレステリル:酪酸コレスレリル=2.0〜3.0:1.5〜2.5:1.5〜2.5:0.6〜1.5:0.9〜1.8の割合で液晶として30〜40℃で呈色するコレステリック液晶を含む化粧料

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は室温では呈色せず、皮膚に塗布したときに呈色し、その変化を楽しむコレステリック液晶を含む化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶は周知の現象で、化粧料に汎用される物質としては、ステロール分子末端の水酸基をハロゲン化又はエステル化して得られる誘導体で構成されるコレステリック液晶である。
コレステロール誘導体はその多くが液晶状態を示す温度範囲が高い領域にあり、常温領域で、液晶状態を示すものは殆んどなく、これを改善するために複数のコレステロール誘導体を組合せ等により解決されてきた。このような従来の流れは室温での呈色或いは広い範囲での呈色を目指していたことにほかならない。(特許文献1〜5)
【特許文献1】特開平01−242690号公報
【特許文献2】特開平02−138386号公報
【特許文献3】特開平02−191208号公報
【特許文献4】特開平02−200608号公報
【特許文献5】特開平04−243807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
化粧品は医薬品と異なり、健康な皮膚等をすこやかに保つために毎日使用することが好ましいが、医薬品のように疾病があるわけではないので、毎日使用するためには興味を引くような剤形が必要である。勿論、保湿性等の基本的な化粧料としての有効性の高さは必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するため、鋭意検討した結果、皮膚の温度すなわち、30〜40℃で呈色し、化粧品を室内においておく温度すなわち0〜30℃では実質的に呈色しない製剤を作成することによって解決された。
【0005】
使用するコレステロール誘導体には特に限定はないが、これらを組み合わせて上記の条件すなわち、30〜40℃で呈色し、0〜30℃では実質的に呈色しない製剤を作成する。
なお、40℃以上で呈色してもなんら問題はなく、本発明では30〜40℃のいずれかの温度で呈色すればよい。しかしながら、皮膚温は環境や個人差があるため、できうるかぎり、30〜40℃の広い範囲で呈色することが好ましい。
コレステロール誘導体を例示すれば、まずステロールを例示されば、コレステロール、コレスタノール、コプロスタノール、カンペステロール、スチグマステロール、シトステロール、エルゴステロール、セレビステロール、チモステロール、ジヒドロコレステロール、セレブロステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、アグノステロール、ジヒドロアグノステロール、フィトステロール等が挙げられる。これらのステロールのハロゲン化又はエステル化である。
【0006】
エステル化に用いられる脂肪酸は特に限定はなく、炭素数1〜34の水酸基を置換基として有しても良い飽和若しくは不飽和の直鎖、分岐、環含有の脂肪酸が挙げられ、例示すれば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、イソブタン酸、イソペンタン酸、ネオペンタン酸、イソヘキサン酸、イソヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、ジメチルオクタン酸、イソウンデカン酸、イソドデカン酸、2−ブチルオクタン酸、イソトリデカン酸、イソテトラデカン酸、イソペンタデカン酸、イソヘキサデカン酸、2−ヘキシルデカン酸、イソヘプタデカン酸、イソステアリン酸、イソノナデカン酸、イソイコサン酸、2−オクチルドデカン酸、アンテイソヘンイコサン酸、2−デシルテトラデカン酸、2−ドデシルヘキサデカン酸、2−テトラデシルオクタデカン酸、2−ヘキサデシルイコサン酸、ラノリンから得られる長鎖分岐脂肪酸(12〜31)等が挙げられる。炭素数3〜34の不飽和の直鎖若しくは分岐の1価カルボン酸としては、ウンデセン酸、ミリストオレイン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、イソオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、ガドレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、アラキドン酸がある。
【0007】
これらより選択するが、どの組合せが本発明の30〜40℃で呈色し、0〜30℃では実質的に呈色しないコレステリック液晶になるかは実際に混合して選択する。また、後述する、コレステリック液晶に相溶する物質を配合する場合はこれを配合して30〜40℃で呈色し、0〜30℃では実質的に呈色しないかを確認することは当然である。
また、本発明は外気温と皮膚温に関係するので、地域や季節によって最適な呈色温度範囲が異なるので、製剤の環境条件に合わせてコレステリック液晶を作成する。
本発明者らは本発明の30〜40℃で呈色し、0〜30℃では実質的に呈色しないコレステリック液晶として、オレイン酸フィトステリン:オレイン酸ジヒドロコレステリル:ノナン酸コレステリル:酪酸ジヒドロコレステリル:酪酸コレスレリル=2.0〜3.0:1.5〜2.5:1.5〜2.5:0.6〜1.5:0.9〜1.8の割合であれば目的を達成することがわかり、さらにオレイン酸フィトステリン:オレイン酸ジヒドロコレステリル:ノナン酸コレステリル:酪酸ジヒドロコレステリル:酪酸コレスレリル=2.4〜2.6:1.9〜2.1:1.9〜2.1:0.7〜0.9:1.1〜1.3がより適切な選択であった。この組合せは液晶の発色のみならず、化粧品に必要な保湿性等も非常に良好であり、そのまま化粧料として用いることができることもわかった。
【0008】
コレステリック液晶のみで化粧料として作成してもよいが、さらに他の物質を加えることも、液晶が30〜40℃で呈色し、0〜30℃では実質的に呈色しない範囲であれば問題ない。
コレステリック液晶と相溶する物質は上記の条件を満たす範囲で用いる。これらの物質を例示すれば、セラミド、ビタミンE、スクワラン、液状脂肪酸、香料等が挙げられる。
また、コレステリック液晶と相溶しない物質すなわち、水溶性の物質を配合もできる。この場合、液晶に影響がないので特に限定はないが、本発明の趣旨から、透明性を有している必要はある。これら水溶性物質を例示すれば、水、グリセリン、ソルビット、クインスシード、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、アスコルビン酸及びその誘導体等が挙げられる。なお、水溶液に液晶を分散させる場合は水溶液の粘度が上がる物質を配合することが好ましい。
【0009】
これらを化粧料として利用するが、剤形は特に限定はなく、クリーム状、カプセル状、エアゾール、ムース、液状、固形状等、様々な剤形が取りうるが、液晶が呈色していないことが確認できることが必要である。また、エアゾール、ムースもの場合は噴射剤に関して液晶状態をどのように変化させるか考慮する必要がある。
また、基礎化粧料ばかりではなく、口紅等のカラー製品にも充分応用可能である。
【実施例】
【0010】
以下に実施例を挙げるがこれに限定されるものではない。また、実施例の数字は重量部である。
実施例1 クリーム
オレイン酸フィトステリン 30.0
オレイン酸ジヒドロコレステリル 23.5
ノナン酸コレステリル 23.5
酪酸ジヒドロコレステリル 9.5
酪酸コレスレリル 14.0
それぞれを計量し、80℃で溶解し、攪拌しながら30℃まで冷却する。
【0011】
実施例2 液晶分散ゲル
実施例1 20.0
精製水 72.0
グリセリン 5.0
カルボキシビニルポリマー1%中和水溶液 3.0
実施例1以外を計量し、50℃に加温した実施例1を、実施例1が直径2〜4mmになるように攪拌しつつ加えた。
【0012】
実施例3 口紅
オレイン酸フィトステリン 29.1
オレイン酸ジヒドロコレステリル 23.0
ノナン酸コレステリル 23.5
酪酸ジヒドロコレステリル 9.0
酪酸コレスレリル 12.0
ビタミンE 0.2
セラミド3 0.2
赤202号 1.0
ベンガラ 1.0
雲母チタン 1.0
それぞれを計量し、80℃で溶解し、攪拌しながら30℃まで冷却する。
【0013】
これらは高い保湿性を示すとともに、室温では液晶として呈色しないが、皮膚に塗布すると液晶として呈色し製剤として優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶として30〜40℃で呈色するコレステリック液晶を含む化粧料
【請求項2】
オレイン酸フィトステリン:オレイン酸ジヒドロコレステリル:ノナン酸コレステリル:酪酸ジヒドロコレステリル:酪酸コレスレリル=2.0〜3.0:1.5〜2.5:1.5〜2.5:0.6〜1.5:0.9〜1.8の割合の範囲で、液晶として30〜40℃で呈色するコレステリック液晶を含む化粧料
【請求項3】
オレイン酸フィトステリン:オレイン酸ジヒドロコレステリル:ノナン酸コレステリル:酪酸ジヒドロコレステリル:酪酸コレスレリル=2.4〜2.6:1.9〜2.1:1.9〜2.1:0.7〜0.9:1.1〜1.3の割合の範囲で、液晶として30〜40℃で呈色するコレステリック液晶を含む化粧料

【公開番号】特開2008−81480(P2008−81480A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286925(P2006−286925)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(300071306)株式会社アピア グループ (1)
【Fターム(参考)】