説明

化粧料

【課題】肌が落屑等によって荒れている場合であっても、落屑等の肌表面を修復し、肌へ好適に密着追従して化粧もちを向上する技術を提供する。
【解決手段】(A)特定の構造を有するオルガノポリシロキサン、(B)特定の構造を有する架橋型メチルポリシロキサン、(C−1)板状粉体、(C−2)球状粉体および水を含有する化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関し、特にメイクアップ化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料を用いて肌の凹凸を目立たなくする技術として、特許文献1(特開2001−2530号公報)に記載のものがある。同文献には、特定の大きさの球状粉体、皮膜形成剤および油剤を用いた化粧料が記載されており、この化粧料においては、塗膜の表面粗さが特定の範囲に設定されている。また、皮膜形成剤としては、ポリシロキサンエラストマーが用いられている。
そして、同文献に記載の構成により、球状粉体を皮膜形成剤とともに肌上に配列させて、適度な凹凸が付与された被膜で肌を被覆することで、塗布膜表面においても光散乱が起こり、光を効率良く散乱して肌の凹凸が見えにくくなるとされている。また、肌上でのつき、伸びが良く、自然な仕上がりで、効果の持続性に優れ、使用感が良好な化粧料が得られるとされている。
【0003】
また、ファンデーションのよれを改善する技術として、特許文献2(特開2009−40699号公報)に記載のものがある。同文献には、ゴム弾性を有するシリコーン系ポリマーと特定の油剤を組み合わせて用いた化粧下地が記載されている。
【0004】
また、化粧料中にシリコーン系のポリマーを配合する技術として、他に、特許文献3〜特許文献5に記載のものがある。
特許文献3(特開平2008−143821号公報)には、特定のシリコーン系ポリマーまたはアミノ変性シリコーン、特定の非イオン性水溶性高分子および油性成分を組み合わせて用いた乳化化粧料が記載されている。
【0005】
特許文献4(特開2010−184912号公報)には、架橋型メチルポリシロキサンである(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、特定の分子量を有するポリエチレングリコール、特定の形状を有する複数の疎水性粉体および低粘度シリコーン油を組み合わせて用いた油中水型乳化化粧料が記載されている。
【0006】
特許文献5(特開平10−95705号公報)には、特定のオルガノポリシロキサン、シリコーン油および低級アルコールを組み合わせて用いた油中水(W/O)型乳化組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−2530号公報
【特許文献2】特開2009−40699号公報
【特許文献3】特開2008−143821号公報
【特許文献4】特開2010−184912号公報
【特許文献5】特開平10−95705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1および2に記載の技術によれば、しわ、小じわまたは毛穴のある肌上での化粧料のつき、伸びまたはよれの改善については、所定の効果が得られる。また、特許文献3、4および5に記載の技術によれば、保存安定性、粉っぽさ、色ムラのなさ、べたつかない使用感の改善についても、所定の効果が得られる。
一方、乾燥による落屑等の肌荒れがある場合、肌へ好適に密着追従して化粧のりの向上と化粧もちを維持するという観点からは、上記技術を用いてもなお改善の余地があった。
【0009】
本発明は、肌が落屑等によって荒れている場合であっても、落屑等の肌表面を修復し、肌へ好適に密着追従して化粧のりと化粧もちを向上する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、次の成分(A)、(B)、(C):
(A)オルガノポリシロキサン、
(B)架橋型メチルポリシロキサン、
(C)粉体、
および水を含有し、
前記成分(A)が、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなり、
【0011】
【化1】

【0012】
(上記一般式(1)中、R6は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示し、nは2または3を示す。)
前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が5.0×102〜1.8×103であり、
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が83/17〜94/6であり、
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が1×104〜3×105である、オルガノポリシロキサンであって、
前記成分(B)が、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーであって、
前記成分(C)が、(C−1)板状粉体および(C−2)有機合成高分子の球状粉体を含む、化粧料が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、肌が落屑等によって荒れている場合であっても、落屑等の肌表面を修復し、肌へ好適に密着追従して化粧のりと化粧もちを向上することができる、さらに化粧料のカバー力を高め、肌を一層明るくする化粧料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例における化粧料の評価結果を示す図である。
【図2】実施例における化粧料の評価結果を示す図である。
【図3】実施例における化粧料の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の化粧料は、以下の成分(A)〜(C)および水を含み、成分(A)〜(C)として、それぞれ特定のものを用いる:
(A)オルガノポリシロキサン、
(B)架橋型メチルポリシロキサン、
(C)粉体。
以下、各成分について具体例を挙げて説明する。なお、各成分はいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
(成分(A))
成分(A)は、特定の構造を有するオルガノポリシロキサンである。すなわち、成分(A)は、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなる共重合体であり、常温・常圧では粘性液体または固体状の物質である。
【0017】
【化2】

【0018】
(上記一般式(1)中、R6は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示し、nは2または3を示す。)
【0019】
このオルガノポリシロキサンにおいて、主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が83/17〜94/6である。化粧のりの向上と化粧もちを維持とのバランスをさらに効果的に向上させる観点から、上記質量比a/bが85/15〜92/8が好ましく、87/13〜90/10がより好ましい。
成分(A)の重量平均分子量は、化粧料ののびやつきを向上させて化粧のりをさらに高める観点から、1×104以上であり、2×104以上であることが好ましく、5×104以上であることがさらに好ましく、6×104以上であることがより一層好ましい。また、化粧料ののびやつきを向上させて化粧のりをさらに高める観点から、成分(A)の重量平均分子量は5×105以下であり、3×105以下であることが好ましい。
【0020】
なお、本明細書において、質量比(a/b)は、本発明のオルガノポリシロキサンを重クロロホルム中に5質量%溶解させ、核磁気共鳴(1H−NMR)分析により、オルガノポリシロキサンセグメント中のアルキル基またはフェニル基と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント中のメチレン基の積分比より求めた値をいう。
【0021】
上記一般式(1)中、R6で表されるもののうち、炭素数1〜22のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜22の直鎖、分岐状または環状のアルキル基が例示され、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ドコシル基等が例示される。中でも、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
また、アラルキル基としては、たとえば、炭素数7〜19のアラルキル基が例示され、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基等が例示される。中でも、炭素数7〜15のアラルキル基が好ましい。
アリール基としては、炭素数6〜14のアリール基が例示され、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等が例示され、さらに具体的には、フェニル基、ナフチル基、アルキル置換フェニル基等が挙げられる。
【0022】
オルガノポリシロキサンセグメントとポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントとの結合において介在するヘテロ原子を含むアルキレン基は、具体的には、2−置換オキサゾリン類または2−置換オキサジン類によって得られ、ポリ(N−アシルアルキルイミン)セグメントの連結基として機能する。
【0023】
ヘテロ原子を含むアルキレン基としては、たとえば、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を1〜3個含む炭素数2〜20のアルキレン基が例示され、その具体例として、下記式に示される基が挙げられる。なお、下記式中、X-は4級アンモニウム塩の対イオンであるアニオンを示し、たとえば、エチル硫酸イオン、メチル硫酸イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオンが例示される。
【0024】
【化3】

【0025】
成分(A)において、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、1×104〜3×105であるが、化粧料ののびやつきを向上させて化粧のりをさらに高める観点からは、好ましくは2×104〜2×105、さらに好ましくは5×104〜1.5×105である。
【0026】
なお、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンは、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンと共通の骨格を有するため、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンの重量平均分子量は変性オルガノポリシロキサンの平均分子量と略同一である。
ここで、変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、GPCにより下記条件で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量である。
カラム:Super HZ4000 + Super HZ2000(東ソー社製)
溶離液:1mMトリエチルアミン/THF
流量:0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器:UV
サンプル:50μL
【0027】
また、成分(A)において、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量は、N−アシルアルキレンイミン単位の分子量と重合度とから算出する方法または上記ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)測定法により測定することが可能であるが、本発明においてはGPC測定法により測定される数平均分子量をいい、5.0×102〜1.8×103である。また、好ましくは7.0×102〜1.5×103、さらに好ましくは8.0×102〜1.4×103である。
【0028】
なお、「ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント」とは、下記一般式(6)中、R11に結合するWをいう。
【0029】
【化4】

【0030】
上記一般式(6)中、R7はそれぞれ独立に炭素数1〜22のアルキル基またはフェニル基を示し、R11はヘテロ原子を含むアルキレン基を示し、Wはポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントを示し、R12は重合開始剤の残基を示し、yは正の数を示す。
なお、上記一般式(6)において破線で囲まれた部分は、隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントである。「隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメント」とは、上記一般式(6)に示したように、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントのオルガノポリシロキサンセグメントに対する結合点(結合点α)から、これに隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの結合点(結合点β)までの2点間において破線で囲まれた部分であって、1つのR7SiO単位と、1つのR11と、y+1個のR72SiO単位とから構成されるセグメントをいう。
【0031】
成分(A)のオルガノポリシロキサンの具体例として、ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−n−オクタノイルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−n−ドデカノイルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−ホルミルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−アセチルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−プロピオニルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−n−オクタノイルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−n−ドデカノイルプロピレンイミン)変性シリコーン等が挙げられる。
【0032】
これらのオルガノポリシロキサンは、たとえば公知の方法(特開平2−276824号公報、特開平4−85334号公報、特開平4−85335号公報、特開平5−112423号公報、特開平7−133352号公報または特開平10−95705号公報)により製造することができる。
【0033】
化粧料中の成分(A)の含有量は、化粧のりをさらに確実に高める観点から、たとえば0.1質量%以上とすることが好ましく、0.5質量%以上とすることがより好ましく、1質量%以上とすることがさらに好ましい。
また、化粧のりと化粧もちとのバランスをさらに高める観点から、化粧料中の成分(A)の含有量は、たとえば6質量%以下とすることができ、5質量%以下がより好ましく、4質量%以下がさらに好ましい。
【0034】
なお、成分(A)は、溶解性または分散性を向上させるためにアルコールと組み合わせて用いてもよい。成分(A)をアルコール分散液として化粧料中に配合すると、化粧料中での高分子化合物の溶存状態が良好となり、肌表面により一層均一に広がり、のび、つきの向上効果および塗りむらの抑制効果をさらに高めることができる。
【0035】
成分(A)と組み合わせて用いられるアルコールとしては、溶解性、分散性および化粧料に配合する際のハンドリングの良さから、炭素数1〜4の低級アルコールが好ましく、エタノールがさらに好ましい。
【0036】
(成分(B))
成分(B)の架橋型メチルポリシロキサンは、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(INCI名)である。
【0037】
成分(B)として、KSG−15、KSG−16、KSG−1610(信越化学工業社製);
9546 Silicone Elastomer Blend(東レ・ダウコーニング社製);
SFE−839(GE Silicones社製);SUNGEL C7、SUNGEL CD20、SUNGEL D20、SUNGEL CP20、DC 1−9852(SUNJIN社製);
CHEMSIL K−61、CHEMSIL K−51(Thornley Company社製);
Lotioncrafter EL51、Lotioncrafter EL61(Lotioncrafter社製)等の市販品を用いることができる。
中でも、KSG−15、KSG−16が、肌へののびとなじみが良く、後述する成分(C)の分散が良好である点で好ましい。
【0038】
また、成分(B)は、常法に従って製造することもできる。たとえば、ジメトキシジメチルシロキサンとビニルジメチルメトキシシロキサンを脱アルコール縮合させた後、アゾビスイソブチロニトリルなどの重合開始剤を用いて、付加重合させることにより製造することができる。
【0039】
化粧料中の成分(B)の含有量は、化粧料の肌へのなじみおよび密着性をさらに高めて化粧のりおよび化粧もちを向上させ、肌をより一層明るく見せる観点から、たとえば0.1質量%以上とすることが好ましく、0.2質量%以上とすることがより好ましく、0.5質量%以上とすることがさらに好ましい。
また、化粧のりと化粧もちとのバランスをさらに高める観点から、化粧料中の成分(B)の含有量は、たとえば7質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下がより好ましく、4質量%以下がさらに好ましい。
【0040】
成分(A)と成分(B)を含有することで、落屑等によって荒れている肌でも、落屑等の肌表面を修復し、密着性を向上させることができる。成分(B)に対する成分(A)の割合((A)/(B))は、落屑等によって荒れている肌でも、落屑等の肌表面を修復し、密着性を向上させ、化粧のりと化粧もちを向上することができる観点から、質量比でたとえば0.02以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.25以上がさらに好ましい。
また、上記(A)/(B)は、落屑等によって荒れている肌でも、落屑等の肌表面を修復し、密着性を向上させ、化粧のりと化粧もちを向上することができる観点から、質量比でたとえば50以下が好ましく、20以下がより好ましく、8以下がさらに好ましい。
【0041】
(成分(C))
成分(C)は、以下に示す(C−1)板状粉体および(C−2)球状粉体を必須成分として含む。
【0042】
(成分(C−1))
成分(C−1)として用いられる板状粉体の材料としては、タルク、シリカ、セリサイト、マイカ、ガラス、カオリン、オキシ塩化ビスマス、酸化セリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、板状アルミナ粉末等の天然又は合成の無機粉体が挙げられる。また、これらの材料の表面が疎水化処理されていてもよい。
中でもタルク、シリカ、ガラスの表面を疎水化処理したものが好ましく、さらにはタルクが、なめらかできしみ感のない肌感触が得られる点で好ましい。
また、二酸化チタン、酸化鉄、無水ケイ酸等の金属酸化物を、上記板状粉体表面に被覆した複合粉体を用いることもできる。複合粉体の具体例としては、酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、酸化鉄被覆ガラス末等が挙げられる。
【0043】
成分(C−1)の形状は、特に限定されるものではないが、平均厚さが0.001〜5μm程度、平均粒子径が0.01〜50μmであるものが好ましく、さらに、平均厚さが0.01〜2μm、平均粒子径が0.1〜30μmであるものがより好ましく、平均厚さが0.01〜1μm、平均粒子径が1〜30μmであるものが、塗布時のきしみ感や粉っぽさがない点でさらに好ましい。
なお、本発明において、成分(C−1)、成分(C−2)の粒子径は、電子顕微鏡観察、レーザー回折/散乱法による粒度分布測定機によって、測定できる。具体的には、レーザー回折/散乱法の場合、エタノールを分散媒として、レーザー回折散乱式粒度分布測定器(例えば、堀場製作所製、LA−920)で測定する。
【0044】
また、これらの粉体の疎水化処理方法としては、通常の化粧料用粉体に施されている方法、例えば、シリコーン処理、脂肪酸処理、ラウロイルリジン処理、界面活性剤処理、金属石鹸処理、フッ素処理、レシチン処理等が含まれ、中でも、シリコーン処理、脂肪酸処理およびフッ素処理が好ましい。具体的には、シリコーン処理としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、トリエトキシカプリリルシラン、シリコーン樹脂等による処理;脂肪酸処理としては、例えば、ミリスチン酸、ステアリン酸等による処理;フッ素処理としては、例えば、パールフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルシラン等による処理などが挙げられる。疎水化処理剤の使用量は、処理前の粉体質量に対して、通常0.5〜50質量%、特に1〜30質量%であるのが好ましい。
【0045】
化粧料中の成分(C−1)の含有量は、化粧料のカバー力を高める観点から、たとえば3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。
また、化粧料の塗布時のムラや付きムラを抑制するとともに、化粧料を塗布した肌の仕上がりをより自然なものとする観点からは、化粧料中の成分(C−1)の含有量をたとえば22質量%以下とするのが好ましく、20%以下がより好ましく、さらに14%以下が好ましい。
【0046】
(成分(C−2))
成分(C−2)の有機合成高分子の球状粉体は、形状が略球状の粉体をいい、回転楕円体、表面に凹凸がある球状粉体等であってもよく、完全な球形であることを必要としない。
成分(C−2)の球状粉体としては、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、例えば、ポリアミドパウダー、ナイロンパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリ四弗化エチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、ポリウレタンパウダー、ビニル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂;ジメチルシリコーンを架橋したシリコーンエラストマーパウダーやポリメチルシルセスキオキサンパウダー等のシリコーンパウダー;
アクリル酸ブチル・酢酸ビニル共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、(メタクリル酸ラウリル/ジメタクリル酸エチレングリコール)コポリマー等のような、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキレングリコールから選ばれる1種または2種以上の重合体または共重合体のパウダー等の架橋型あるいは非架橋型の有機球状粉体が挙げられる。
また、球状粉体は、複数の粉体から構成された複合粉体であってもよい。例えば、(C−2)の球状粉体は、着色顔料、白色顔料、色素、染料、金属イオン等によって被覆、内包処理し、着色したものであってもよい。
また、成分(C−2)は、上述した材料の表面に疎水化処理が施されたものであってもよく、疎水化処理については、成分(C−1)の説明において前述した方法が挙げられる。
【0047】
成分(C−2)の平均粒子径(d50)はたとえば0.1〜50μm、さらに0.5〜30μm、特に1〜15μmであるのが、肌へののびやなじみが良い点で好ましい。
【0048】
成分(C−2)としては、ナイロンパウダー、シリコーンパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキレングリコールおよびメタクリル酸アルキレングリコールから選ばれる1種または2種以上の重合体または共重合体のパウダーが好ましい。
【0049】
成分(C−2)として、さらに具体的には、KMP−590、KSP−100、KSP−101、KSP−105、KSP−300(信越化学工業社製);
トスパール120A、トスパール145A、トスパール2000B、トスパール1110A(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製);
トレフィルE506S、トレフィルE508、EP−9215、BY29−129(東レ・ダウコーニング社製);
ポリトラップ(ダウ・コーニング社製);
フロービーズCL−2080、フロービーズHE−3040、フロービーズEA−209(住友精化社製);
オルガソール(アルケマ社製);
マツモトマイクロスフェアーM、マツモトマイクロスフェアーM−100、マツモトマイクロスフェアーM−101、マツモトマイクロスフェアーM−201、マツモトマイクロスフェアーM−306、マツモトマイクロスフェアーS−100(松本油脂製薬社製);
ナイロンSP−500、ナイロンSP−10、ナイロンSP−20(東レ社製)等の市販品を用いることができる。
【0050】
特に、ポリメチルシルセスキオキサンパウダーであるKMP−590(信越化学工業社製)や、トスパール120A、トスパール145A(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)、ポリメチルメタクリレートパウダーであるマツモトマイクロスフェアーシリーズ(松本油脂製薬社製)が、塗布時ののびが良く、白浮きしない仕上がりになる点で好ましい。
【0051】
化粧料中の成分(C−2)の含有量は、塗布時の肌へのなじみをよくするとともに、肌をより一層明るく見せる観点から、たとえば0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。
また、塗布中の化粧料のムラや付きムラをさらに安定的に抑制する観点からは、化粧料中の成分(C−2)の含有量をたとえば8質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0052】
成分(C−2)に対する前記成分(C−1)の割合((C−1)/(C−2))は、肌へ好適に密着し、化粧のりの向上させることができる観点から、質量比で1以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2以上がさらに好ましい。
また、肌へ好適に密着し、化粧もちを向上させる観点からは、上記(C−1)/(C−2)を質量比で30以下が好ましく、15以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。
【0053】
化粧料中の成分(C−1)および(C−2)の含有量は、化粧料のカバー力を高めるとともに、皮脂を固める効果をさらに確実に発揮させて化粧もちを高める観点から、(C−1)と(C−2)の合計で、たとえば5質量%以上とすることが好ましく、6質量%以上とすることがより好ましく、7質量%以上とすることがさらに好ましい。
また、化粧料の塗布時のムラ、付きムラをさらに安定的に抑制するとともに、化粧料を塗布した肌をより自然な仕上がりとする観点から、化粧料中の成分(C−1)および(C−2)の含有量は、(C−1)と(C−2)の合計で、たとえば30質量%以下とすることが好ましく、25質量%以下がより好ましく、17質量%以下がさらに好ましい。
【0054】
成分(C−1)と(C−2)の総和に対する成分(A)の割合((A)/((C−1)+(C−2)))は、肌が荒れている場合であっても、肌へ好適に密着し、化粧のりの向上させることができる観点から、質量比でたとえば0.005以上とすることが好ましく、0.04以上がより好ましく、0.06以上がさらに好ましい。
また、上記(A)/((C−1)+(C−2))は、肌が荒れている場合であっても、肌へ好適に密着し、化粧のりの向上させることができる観点から、質量比でたとえば1以下とすることが好ましく、0.5以下がより好ましく、0.35以下がさらに好ましい。
【0055】
本発明において、水は、化粧料の全組成中にたとえば1〜80%、さらに好ましくは10〜70%含有するのが仕上がりの観点から好ましい。
【0056】
また、本発明の化粧料中の成分(A)〜(C)の含有量は、それぞれ、成分(A)の含有量が0.1〜6質量%、成分(B)の含有量が0.1〜7質量%、成分(C)の含有量が5〜30質量%とすることができる。
【0057】
本発明の化粧料には、上述した成分以外の成分、たとえば、界面活性剤、油性成分、香料、保湿剤、美容成分、薬効成分、紫外線吸収剤、増粘剤、殺菌剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤およびその他の通常の化粧料に用いられる成分を含有させることもできる。
【0058】
本発明の化粧料は、通常の方法により製造することができる。
また、本発明の化粧料は、具体的には、乳化化粧料であり、化粧料の形態としては、乳液、クリーム等のスキンケア化粧料、ファンデーション、化粧下地、コンシーラー、リップクリーム、頬紅、アイシャドウ、マスカラ等のメイクアップ化粧料、日やけ止め乳液や日焼け止めクリームなどの紫外線防御化粧料等が挙げられる。中でも、ファンデーション、化粧下地、コンシーラー、リップクリーム、頬紅、アイシャドウ、マスカラ等のメイクアップ化粧料が好適である。
【0059】
本発明の化粧料においては、特定の構造を有するオキサゾリン変性オルガノポリシロキサン(成分(A))、特定の構造を有する架橋型メチルポリシロキサン(成分(B))、粉体(成分(C))および水を組み合わせて用いるとともに、成分(C)として、形状の異なる複数種類を組み合わせて用いている。これにより、乾燥、落屑等の肌荒れがある場合でも、肌へ好適に密着追従して化粧のりの向上と化粧もちを維持することができる。
【0060】
このうち、化粧のりの点では、成分(A)として特定の構造を有するオキサゾリン変性オルガノポリシロキサンを用いることにより、化粧料ののびを軽くしつつ、肌に均一に付着させることができるため、化粧料ののび、つきを良好なものとすることができる。
また、成分(B)として特定の構造を有する架橋型メチルポリシロキサンを用いることにより、化粧料の肌への密着性および肌へのなじみを向上させることができる。
さらに、成分(C)として、形状の異なる複数の粉体を組み合わせることにより、肌への塗布中のムラや化粧料の付きムラを改善することができる。
そして、上記成分(A)〜(C)を組み合わせることにより、健康な肌はもちろんのこと、荒れた肌に対しても、のび、つきが良く、肌へのなじみおよび密着性に優れ、ムラにならない化粧料を得ることができる。
【0061】
また、化粧もちの観点からは、成分(A)〜(C)を組み合わせて用いることにより、肌への密着性、皮脂をはじく力、および皮脂を固める力のバランスを向上させることができるため、健康な肌だけでなく、荒れた肌においても化粧もちに優れた化粧料を得ることができる。
【0062】
さらに、以上の成分(A)〜(C)および水を組み合わせて用いることにより、カバー力と自然な仕上がりとのバランスに優れる油中水型乳化化粧料を得ることもでき、たとえばファンデーション等のメイクアップ化粧料として好適に用いることができる。
また、以上の成分(A)〜(C)および水を組み合わせて用いることにより、肌の明るさを高めることも可能となる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例】
【0064】
(合成例1)(ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーンの製造)
硫酸ジエチル3.76g(0.024モル)及び2−エチル−2−オキサゾリン65.3g(0.66モル)を、脱水した酢酸エチル140gに溶解し、窒素雰囲気下、8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。ここに、側鎖1級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(分子量100000、アミン当量20500)500g(アミノ基にして0.024モル)の50%酢酸エチル溶液を一括して加え、12時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(537g、収率95%)として得た。重量平均分子量は149000であった(N−プロピオニルエチレンイミン含有率12質量%)。
【0065】
(合成例2)(ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーンの合成)
前述した特許文献5の合成例7に準じて、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーンを以下の方法で合成した。
硫酸ジエチル2.36g(0.0153モル)と2−エチル−2−オキサゾリン30.3g(0.306モル)をクロロホルム43mLに溶解し、窒素雰囲気下、5時間加熱還流し、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)の末端反応性ポリマー(分子量2000)を合成した。ここに、特許文献5の合成例6に準じて合成した3級アミノ変性シリコーン100g(アミノ基として0.0139モル)のクロロホルム270ml溶液を一括して加え、16時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、下記式で表されるポリジメチルシロキサンにN−プロピオニルエチレンイミン鎖の付いたグラフト共重合体(分子量28900)が得られた(N−プロピオニルエチレンイミン含有率25質量%)。この重合体は淡黄色ゴム状固体であった(収量129g、収率97%)。
【0066】
(合成例3)(ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーンの合成)
前述した特許文献5の合成例8に準じて、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーンを以下の方法で合成した。
硫酸ジエチル3.55g(0.0230モル)と2−エチル−2−オキサゾリン27.4g(0.276モル)を脱水した酢酸エチル60gに溶解し、窒素雰囲気下4時間加熱還流し、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)の末端反応性ポリマー(分子量1200)を合成した。ここに、側鎖1級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(分子量110000、アミン当量20800)400g(アミノ基にして0.0192モル)の50%酢酸エチル溶液を一括して加え、8時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、ポリジメチルシロキサンにN−プロピオニルエチレンイミン鎖の付いたグラフト共重合体(分子量115000)が得られた(N−プロピオニルエチレンイミン含有率4質量%)。この共重合体は淡黄色ゴム状固体であった(収量427g、収率99%)。
【0067】
(実施例1〜4および比較例1〜4)
表1に示す組成のW/O乳化ファンデーションを製造し、後述する方法で、化粧のり、ムラづきしにくさ、肌へのなじみ、肌の明るさ、カバー力、自然な仕上がり、化粧もちを評価した。結果を表1に併せて示す。
【0068】
(製造方法)
粉体成分を粗混合した後、アドマイザー粉砕機(不二パウダル社製)を用いて混合粉砕した。油相成分を混合し、粉砕した粉体成分を添加して、ディスパーで分散した。さらに水相成分を混合し、油相と紛体の混合物に添加して乳化した。その後、ホモミキサーで粘度調整して、W/O乳化ファンデーションを得た。
【0069】
【表1】

【0070】
なお、表1および後述する実施例5において、以下の材料を用いた。
*1:ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーン 合成例1で得られたもの
*2:架橋型シリコーン KSG−16(信越化学工業社製)
*3:ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーン 合成例2で得られたもの
*4:ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーン 合成例3で得られたもの
*5:架橋型ポリエーテル変性シリコーン KSG−340(信越化学工業社製)
*6:フッ素処理として、パーフルオロアルキルエチルリン酸ジエタノールアミンで5質量%表面処理したもの
*7:シリコーン処理として、ジメチコン(ポリジメチルシロキサン)で5質量%表面処理したもの
*8:球状シリコーン樹脂粉体 トスパール145A(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
*9:ポリエーテル変性シリコーン SH3775M(東レ・ダウコーニング社製)
*10:フッ素変性シリコーン 特開平8−295612号公報、製造例3に記載の方法に準じて得られたもの
【0071】
(評価方法)
(1)仕上がり:
肌が乾燥・荒れている女性5名が実際に各化粧料を使用したときの「化粧のり」、「ムラづきしにくさ」、「肌へのなじみ」、「肌の明るさ」、「カバー力」、「自然な仕上がり」「化粧もち」を専門パネラーが官能評価した。「化粧のり」、「ムラづきしにくさ」、「肌へのなじみ」、「肌の明るさ」、「カバー力」、「自然な仕上がり」については化粧直後に評価し、「化粧もち」については化粧8時間後の状態を化粧直後と比較評価した。評価基準を以下に示す。
【0072】
「化粧のり」
5;化粧のりが非常に良い
4;化粧のりが良い
3;化粧のりがやや良い
2;化粧のりがあまり良くない
1;化粧のりが良くない
【0073】
「ムラづきしにくさ」
5;ムラづきがなく非常に良い
4;ムラづきがなく良い
3;ムラづきがややあり、あまり良くない
2;ムラづきがあり、良くない
1;ムラづきが非常にあり、非常に良くない
【0074】
「肌へのなじみ」
5;化粧の肌なじみが非常に良い
4;化粧の肌なじみが良い
3;化粧の肌なじみがやや良い
2;化粧の肌なじみがあまり良くない
1;化粧の肌なじみが良くない
【0075】
「肌の明るさ」
5;肌が非常に明るくみえる
4;肌が明るくみえる
3;肌がやや明るくみえる
2;肌があまり明るくみえない
1;肌が明るくみえない
【0076】
「カバー力」
5;カバー力が非常に高い
4;カバー力が高い
3;カバー力がやや高い
2;カバー力があまり高くない
1;カバー力が高くない
【0077】
「自然な仕上がり」
5;自然な仕上がりが非常に得られる
4;自然な仕上がりが得られる
3;自然な仕上がりがやや得られる
2;自然な仕上がりがあまり得られない
1;自然な仕上がりが得られない
【0078】
「化粧もち」
5;化粧もちが非常に良い
4;化粧もちが良い
3;化粧もちがやや良い
2;化粧もちがあまり良くない
1;化粧もちが良くない
【0079】
(2)ファンデーションの塗布状態の評価
肌が乾燥・落屑等で荒れている女性に、スポンジを用いて各化粧料を0.01g/30cm2塗布した後、DSA(ダイレクトスキンアナライザー)により、拡大画像の撮影(条件:60倍)をおこなった。
図1(a)および図1(b)は、それぞれ、実施例1および2のファンデーションを塗布した肌の拡大像を示す図である。また、図2(a)、図2(b)および図2(c)は、それぞれ、比較例1、2および4のファンデーションを塗布した肌の拡大像を示す図である。図3は、ファンデーションを塗布していない、落屑等で肌荒れが目立つ素肌の拡大像を示す図である。
【0080】
図2(a)〜図2(c)より、比較例1、2および4のファンデーションの塗布状態は、肌の落屑や肌荒れの影響を受け、粉体が、皮膚の落屑部分や皮溝部分に溜まっており、粉体が凝集している。その結果、化粧のり、化粧もち、仕上がりが非常に良くなく、肌が暗くくすんで見えてしまう。
一方、図1(a)および図1(b)より、実施例1および2のファンデーションの塗布状態は良好で均一に塗布されており、落屑等の肌表面を修復し、肌へ好適に密着追従して、化粧のりに優れ、肌が明るく、自然な仕上がりが得られている。
また、表1より、実施例1〜4のファンデーションは、化粧のり、化粧もち、カバー力、肌の明るさに優れていた。
【0081】
(実施例5)
以下の組成のW/O化粧下地を製造し、化粧のり、ムラづきしにくさ、肌へのなじみ、明るさ、カバー力、自然な仕上がり、化粧もちを評価した。
【0082】
(組成)
成分(A):ポリ(N−アシルアルキレンイミン)変性シリコーン(*1) 0.5質量%
成分(B):架橋型シリコーン(KSG−16、信越化学工業社製) 3.0質量%
ポリエーテル変性シリコーン(SH3775M、東レ・ダウコーニング社製) 2.0質量%
デカメチルシクロペンタシロキサン 5.5質量%
ジメチルポリシロキサン 17.0質量%
メトキシケイ皮酸オクチル 3.0質量%
エタノール 5.0質量%
グリセリン 10.0質量%
精製水 45.0質量%
成分(C−1):シリコーン被覆処理マイカ 5.5質量%
成分(C−2):シリコーン樹脂粉体 0.5質量%
シリコーン被覆処理微粒子酸化亜鉛 3.0質量%
合計 100.0質量%
【0083】
(製造方法)
粉体成分を粗混合した後、アドマイザー粉砕機(不二パウダル社製)を用いて混合粉砕した。油相成分を混合し、粉砕した粉体成分を添加して、ディスパーで分散した。さらに水相成分を混合し、油相と紛体の混合物に添加して乳化した。その後、ホモミキサーで粘度調整して、W/O化粧下地を得た。
【0084】
得られた化粧下地は、肌が落屑等で荒れていても、肌へのなじみおよび化粧のりが良く、化粧もちにも優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C):
(A)オルガノポリシロキサン、
(B)架橋型メチルポリシロキサン、
(C)粉体、
および水を含有し、
前記成分(A)が、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなり、
【化1】

(上記一般式(1)中、R6は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示し、nは2または3を示す。)
前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が5.0×102〜1.8×103であり、
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が83/17〜94/6であり、
主鎖を構成する前記オルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が1×104〜3×105である、オルガノポリシロキサンであって、
前記成分(B)が、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーであって、
前記成分(C)が、(C−1)板状粉体および(C−2)有機合成高分子の球状粉体を含む、化粧料。
【請求項2】
当該化粧料中の、前記成分(A)の含有量が0.1〜6質量%、前記成分(B)の含有量が0.1〜7質量%、前記成分(C)の含有量が5〜30質量%である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記成分(B)に対する前記成分(A)の割合が、質量比で(A)/(B)=0.02〜50である、請求項1または2記載の化粧料。
【請求項4】
前記成分(C−1)および前記成分(C−2)の合計に対する前記成分(A)の割合が、質量比で(A)/((C−1)+(C−2))=0.005〜1である、請求項1乃至3いずれか一項に記載の化粧料。
【請求項5】
前記成分(C−2)に対する前記成分(C−1)の割合が、質量比で、(C−1)/(C−2)=1〜30である、請求項1乃至4いずれか一項に記載の化粧料。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−103895(P2013−103895A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247515(P2011−247515)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】