説明

化粧箱及びこれに用いるブランク

【課題】シート状の付属物の大きさが、箱本体に対して小さい場合であっても、簡易な構造でこれに対処して付属物を位置決め保持できる化粧箱を提供する。
【解決手段】収納する物品と共に、当該物品に関係するシート状の付属物BKを同包する化粧箱FCであって、平坦な上面、底面および側面を有する箱本体10を含み、当該箱本体は前記上面の中央部に環状の開口端縁11Crを設け、該開口端縁より下側に設定した前記物品収納用の物品収納部SEと、前記上面を露出可能に覆う平板状の蓋部16とを有し、前記上面には、前記付属物が載置されると共に、前記物品収納部を設けた領域外の外部領域ARに前記付属物の端部に当接してこれを保持する付属物保持部材30が設けてあり、前記蓋部が付属物の表面に当接するように、前記蓋部を回動させるヒンジ構造15を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納する物品と共に、その付属物を同包するようにしてある化粧箱に関する。より詳細には収納物品に関係する説明書、保証書、パンフレット、案内書などシート状の付属物がある場合に、その付属物を物品と一緒に包装(同包)する化粧箱に関する。
【背景技術】
【0002】
物品とその説明書などシート状の付属物を同包するようにした化粧箱は、従来から種々の提案がなされている。例えば、特許文献1は、携帯電話などの電気製品と共に、その取扱説明書を同包するようにした化粧箱を開示している。この化粧箱は、一枚の型紙(ブランク)を折り曲げ組み立てて製造されるもので、先ず折り曲げ形成した緩衝用空間内に物品を収納している。そして、その物品の上に取扱説明書などのシート状の付属物(以下、付属物と称す)が載置してある。この付属物を物品と共に、型紙にて一体に形成してある蓋部材で上から覆うことで、物品と付属品とを同包した化粧箱を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−242232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示する化粧箱における付属物は、主体となる製品(物品)よりやや大きめで、化粧箱の箱本体は付属物の形状に対応させてある。そして、付属物の左右両側から型紙を立上げ、それぞれを内側へ折り曲げることで、付属物上を2つの蓋部材(天板部13と上蓋14)で二重に覆うことで、左右方向での位置決めをしている。そして、前後方向については天板部の端縁に設けた舌片状の係止部を、付属物が載置された部材側に設けてある溝部に差込むことで位置決めしている。
【0005】
しかしながら、上記のように付属物の上部を二重に覆うような構造では型紙(包装材)の過剰使用で製造コストの上昇が懸念される。
そして、特許文献1で示している製品(物品)と付属物との大小関係によらず、物品の方が相当に大きいという場合も多々ある。このような場合に、説明書等の付属物の大きさを、化粧箱本体の大きさに合わせて形成したのでは無駄が多くなってしまう。
その一方で、物品を収納した箱の上に、これよりも小さな付属物を単に載置して同包しただけでは、付属物が化粧箱中で移動するという不都合を生じる。これに対処するために、例えば外形形状は化粧箱に合わせてあり、中央部に付属物嵌め込み用の打ち抜き孔を備えた梱包補助部材を採用するなどが考えられる。しかし、これでは包装用材料を更に使用することになるので、製造コストが上昇する。そして、扱う包装材が増えるので、製造工程が煩雑化となり、この点でも製造コストの上昇が懸念される。
【0006】
本発明の目的は、シート状の付属物の大きさが、物品を収納する箱本体に対して小さい場合であっても、簡易な構造でこれに対処して付属物を位置決め保持できる化粧箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的は、収納する物品と共に、当該物品に関係するシート状の付属物を同包する化粧箱であって、
平坦な上面、底面および側面を有する箱本体を含み、当該箱本体は前記上面の中央部に環状の開口端縁を設け、該開口端縁より下側に設定した前記物品収納用の物品収納部と、前記上面を露出可能に覆う平板状の蓋部とを有し、
前記上面には、前記付属物が載置されると共に、前記物品収納部を設けた領域外の外部領域に前記付属物の端部に当接してこれを保持する付属物保持部材が設けてあり、
前記蓋部が付属物の表面に当接するように、前記蓋部を回動させるヒンジ構造を含む、ことを特徴とする化粧箱により達成することができる(請求項1)。
【0008】
そして、前記付属物保持部材は、前記上面の一部を切り起こして前記付属物に当接するようにした爪部とすることができる(請求項2)。
また、前記ヒンジ構造は、前記上面の外形端縁上およびその近傍の少なくとも一方に設けたヒンジ部、又は湾曲加工したラウンドコーナー部を含み、前記付属物の厚さに応じ、前記蓋部が付属物の表面に当接するように前記蓋部の位置をオフセットさせてあるものとすることができる(請求項3)。
【0009】
また、前記物品は、平坦な上面、底面および側面を有する補助箱に収納されており、
前記箱本体の前記物品収納部は、前記開口端縁と、該開口端縁から前記上面の一部を下方へ折り曲げて形成された周壁と、前記底面とを含んで形成されて上方に開口している凹状空間を含み、前記凹部空間に前記補助箱が嵌合したときに前記箱本体の上面と前記補助箱の上面とが平坦な面を形成するように、前記箱本体の側面及び前記周壁の高さが前記補助箱の高さに応じて設定されており、更に、前記凹部空間に嵌合した前記補助箱を取り出すための窪み部が、前記開口端縁の一部に設けてある形態を採用してもよい(請求項4)。
【0010】
そして、前記窪み部は、前記補助箱を間にして一対設けてあるのが望ましい(請求項5)。
また、前記箱本体は、一枚の紙製または樹脂製のシート状ブランクを折り曲げて、組み上げることにより形成するのがより好ましい(請求項6)。
【0011】
上記記載の化粧箱の前記箱本体用のブランクであって、
前記上面を形成するためのトップパネルを含み、該トップパネルの中央部に前記物品収納部を形成するための物品収納部予定領域が設けてあると共に、
前記物品収納部予定領域には、環状の開口端縁と、該開口端縁から前記トップパネルの一部を折り曲げて形成される周壁のための周壁予定部と、更に前記開口端縁の一部に掛かるように切込みを設けて前記物品の取り出しを容易とするための窪み部を形成するための窪み予定部とが設けてある、ことを特徴とする前記化粧箱のためのブランクによっても、上記目的を達成できる(請求項7)。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、シート状の付属物が化粧箱の箱本体より小さいような場合であっても、付属物の端部に当接して保持する付属物保持部材と、付属物の上を確実に覆う蓋部が設けてあるので、簡易な構造により物品と付属物とを同包して安定に保持する化粧箱を提供できる。
さらに、物品を収納する補助箱を用い、補助箱の上面と、これを収納する箱本体の上面が全体的に平坦な面であれば、この平面上に付属物を安定に載置して保持できる。そして、嵌合状態にある補助箱を取り出すための窪み部が設けてあるので、箱本体から補助箱を簡単に取り出すこともできる。なお、補助箱は1つである必要はなく2個以上としてもよい。更に、物品が箱本体の物品収納部に収納可能である場合には、勿論、直接に物品収納部に収納してよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る一例の化粧箱であり、物品や付属物をセットする前の状態を展開して示した図である。
【図2】本発明に係る一例の化粧箱であり、物品をセットしてその上に付属物を載置した状態を示した図である。
【図3】箱本体に設ける爪部について複数の形態例を示した図である。
【図4】図1でのA−A矢視による箱本体の断面図である。
【図5】窪み部の周部を拡大して示した図で、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるB−B矢視図である。
【図6】箱本体に設ける蓋部のヒンジ構造について複数の形態例を示した図である。
【図7】化粧箱の箱本体用のシート状ブランクの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。
図1、図2は、本発明に係る一例の化粧箱FCについて示している。
この化粧箱FCは、特に、収納する物品と共に、その物品に関係する説明書、保証書、パンフレット、案内書などのシート状の付属物を同包するようにしてある。図1は物品や付属物をセットする前の様子を展開状態で示し、図2は物品をセットしてその上に付属物を載置した状態を示している。
この化粧箱FCは、箱本体の上面の中央部に環状の開口端縁を設けて、その下側の空間を利用して物品収納部SEとしてあり、また上面を露出可能に覆う蓋部16を有している。
なお、ここでの説明では、図1で示すような3軸X、Y、Zを仮想的に設定し、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、そしてZ軸方向について上下方向として、発明の理解を容易とするために用いる。
【0015】
ここで、収納対象の物品は、化粧箱に包装される種々の物で、箱本体に設けた物品収納部SEに収まるものであれば特に限定はないが、本発明に係るより好ましい実施形態として、ここでは物品を更に補助箱(内箱)1に収納して、これを物品収納部SEに収納する場合について説明する。
【0016】
上記物品は単独で補助箱1に収納してもよいが、複数の物品を収納するようにしてもよい。複数の物品とする場合、例えば主体となる主物品およびこの主物品との関係が密接であるため同時に梱包される関係にある副物品とすることができ、これらを一緒にできるので効率的な包装を行える。例えば、喫煙物品とこれに用いる副物品を補助箱1に収納することができる。
上記喫煙物品は、例えば紙巻たばこ(シガレット)の他、パイプ用の刻みたばこ、口腔用のたばこ(いわゆる、オーラルたばこ)、更に近年において提供されている煙を出さない無煙たばこ等を含む広い概念である。そして、副物品はこれらの喫煙物品と密接な関係にある、例えば、たばこ専用ケース、灰皿、ライタ、パイプ、フィルタなどから選択される物品とするこができる。これらの物品の内では、ソフトパックのシガレットのように、製品(物品)が外力を受けると変形したしまうものがある。このようなソフトパックのシガレットと灰皿などを補助箱に収納する形態とすれば確実に保護できる好ましい形態となる。
【0017】
上記補助箱1は、予定する物品を収納でき、かつ箱本体10内に収納可能であれば、用いる素材や形状に特に限定はない。例えば、厚紙で製造したブランクを折り曲げ、組み上げを簡単に行える直方体形状などとするのが好適である。図1で示しているのは、一般的な直方体形状(例示は低背の直方体形状)の補助箱1である。この補助箱1は内部が収納空間となっており、蓋部4を備えている。蓋部4は、ヒンジ2を介して回動され、先端側には箱本体側に挿入される差込み部3が設けてある。
【0018】
そして、箱本体10についても、用いる素材や形状に限定はなく、また補助箱1と同じ形状とする必要はない。ただし、箱本体10も厚紙で製造したブランクを折り曲げ、組み上げが可能な直方体形状等を基本型とするのが好適である。このように補助箱、箱本体とも直方体形状とすれば製造コストを抑制できる。
図1で例示している直方体の箱本体10は、上面11、底面12および4つの側面13を有している。そして、その上面11の一部を切り欠き、中央部に環状の開口端縁を設けて補助箱1がちょうど嵌合する物品収納部SEが設けてある。
【0019】
ここで、物品収納部SEが設けられる中央部とは、上面11の中心寄りに設けた窓状となる領域である。上面11上には、後述する付属物保持部材を設けるための外部領域ARを残して、物品収納部SEの領域が設定されている。
例えば、図示のように、物品収納部SEは、上面11の外形端縁(外周縁)11aに掛からないように設定する。このように物品収納部SEの外周全体に幅を持った周部(外部領域AR)を残すと、物品収納部SEを設けても箱本体10の構造が強化できる点で好ましい。特に、図1で図示するように対称構造とするのが望ましい。図1では左右の上面残し幅Laとし、前後の上面残し幅Lbとしてある。更に、左右および前後の上面残し幅を同一としてもよい。
【0020】
図2に示すように、物品収納部SEに補助箱1を嵌合させた後、上面11上に付属物BKが載置される。この付属物の端部に当接してこれを保持する付属物保持部材が、外部領域AR内に設けてある。図1、図2での例示では、上面11の左右に大きめの外部領域ARが設定され、ここに付属物保持部材が設けられている。
図では、上記付属物保持部材として、上面11の一部を切り起こした爪部30が形成してある。この爪部30は上面11に略コ字状の切り込みを入れ、基部31を切り起こし、更にその先端部32側を箱中央部に向け折り曲げて横断面が逆L字状に形成してある。この爪部30の爪高さ(すなわち、上面11から先端部32までの基部31の長さ)は付属物BKの厚さに応じて設定してある。例示の爪部30は、付属物BKを間に左右一対で設けてある。よって、付属物BKを上面11上に位置決めしつつ保持できる。
【0021】
ところで、例示の場合は、付属物BKの前後方向での寸法は箱本体10と概ね同じ寸法になっている。よって、この付属物BKは蓋16の基部と、蓋16を閉じたときの、箱本体10側の受け溝18に差し込まれる蓋16側の差込み片17とにより、前後方向も位置決めされるようになっている。
ただし、ここで図示する付属物BKは一例であって、前後方向においても付属物BKが箱本体10より小さいという場合もある。その場合は、前後方向で付属物BKに当接する爪部を適宜に追加すればよい。
【0022】
上記爪部30は、箱本体10を厚紙等で形成する場合、そのブランクの所定位置に切り込みを付加して、箱の組み立て時に、折り曲げるだけよいので簡易に形成できる。
ただし、設計の自由度を持たせるという技術的な観点などから、別途で形成した爪部を予め準備しておき、上面11上の最適箇所に貼り付けて付属物BKに当接させる構成を採用することも可能である。
【0023】
図1、2で示すのは爪部の一例である。図3(a)〜(e)で示すように、爪部30を種々の形態で形成できる。図3(a)は図1、2で示したものである。図3(c)〜(e)は付属物BKを上下方向に位置決めする先端部32が設けられていないが、この化粧箱は蓋部16が付属物BKの上面を覆い、上下方向を位置決めする場合である。図3(a)、(b)は付属物BKを上下方向を位置決めする先端部32が設けられており、なおかつ蓋部16と共に付属物BKを上下に位置決めする場合である。
【0024】
次に、再度、図1を参照して、補助箱1を嵌合するために、箱本体10に形成した好適な物品収納部SEについて説明する。物品収納部SEは、補助箱1の形状(例示は、長方形)に応じて上面11に形成される環状の開口端縁11Crと、この開口端縁から上面11の一部を下方へ折り曲げて形成された周壁11waと、底面12とを含んでおり、上方に開口している凹状空間SPとして形成されている。
この凹部空間SPは、上記補助箱1がちょうど嵌合するように設定してある。そして、嵌合したときに、図2に示すように、箱本体10の上面11と補助箱1の上面1aとが全体的に平坦な面となるように形成してある。これは、箱本体10の側面13及び周壁11waの高さが補助箱1の高さ1hに応じて、概ねで同じ高さに設定にすることで実現できる。このようにすれば、付属物BKは平坦な面で支持されるので、より安定に保持され、なおかつシート状の付属物BKの変形(折目や折癖が付くこと)を回避することもできる。
【0025】
ここで、更に、図4を参照して、凹状空間SP内の様子について説明しておく。図4は、図1におけるA−A矢視による箱本体10の断面図である。
物品収納部SEは、上面11の中央部を切り欠いて形成されるものであるが、実際に切り欠いて除去される上面11の部分は、補助箱1の形状(長方形)よりも小さい。その理由は、開口端縁11Crから上面11の一部を下方へ折り曲げて周壁11Waとしているからである。周壁11Waとされなかった上面11の一部だけが切欠かれて除去されている。そして、周壁11Waは、長方形となる開口端縁11Crの各辺から下方に向けて(底面12に向けて)立ち下げられた状態となっている。
図4は、左周壁11Wa(L)と右周壁11Wa(R)の断面、および後側の周壁(図1で蓋部16側)11Wa(U)を示している。
【0026】
このような構造を備えていると、補助箱1が凹状空間SP内に嵌合したとき補助箱の4面の外周それぞれに、箱本体10の周壁11Waが近接配置された構造となる。これにより、補助箱1の側壁と箱本体10の周壁との二重壁の構造となるので、化粧箱に加わる力から収納している物品を保護できる強化構造が実現される。
【0027】
より好ましい凹状空間SPの周壁の構造として、各周壁11Waの下端には舌片部11Tpが設けてある。この舌片部11Tpは、周壁の立ち下げる部分Htの高さ(長さ)よりも、余分に長く設定した周壁の先端部Atを凹状空間SPの底面12の中央部側へ向けて折り曲げた付加部である。この舌片部11Tpは凹状空間SPの底面12に面で接するような姿勢で配置されている。
周壁11Waが、立ち下げられた部分Htだけを有する場合、周壁の下端側は凹状空間SPの底面12に対して容易に可動し得る構造であるので、仮に上下方向へ圧縮する力が上面11に加わった時には、周壁下端部が凹状空間SPの底面12に対して摺動する可能性がある。このような状態となっては、周壁11Waを設けても圧縮する力に対する支えの役割を容易に失うので、箱本体1を保護する機能を十分に果たさないことになる。
【0028】
上記に対して、舌片部11Tpが設けられた周壁11Waにおいては、周壁11Waの下端側は、この舌片部11Tpを介して凹状空間SPの底面12に対して安定な位置に保持される。仮に、上下方向へ圧縮する力が上面11に加わった時には、舌片部11Tpが凹状空間SPの底面12に対しより強く押し付けられるので、周壁11Waの下端側が凹状空間SPの底面12に対して可動する可能性は低くなる。よって周壁11Waは、圧縮する力に対する支えの役割を失う可能性は低く、補助箱1を保護する機能を十分に果たすことができる。
【0029】
さらに、舌片部11Tpの上側には補助箱1が載置される。仮に、上下方向へ圧縮する力が化粧箱へ加わった時には、補助箱1の側壁を介して伝えられた上下方向へ圧縮する力が舌片部11Tpの下面を凹状空間SPの底面12に対してより強く押し付けるので、周壁11Waの下端側が凹状空間SPの底面12に対して可動することはない。よって、周壁11Waは、圧縮する力に対する支えの役割を失うことはなく、補助箱の側壁と共に物品を保護する機能を果たすことができる。即ち、舌片部11Tpが設けられている周壁11Waと補助箱の側壁とは、圧縮する力に対して共に抗し、補助箱1に収容された物品を保護する機能を発揮し得る。
【0030】
上記舌片部11Tpが設けられている周壁11Waと補助箱の側壁とが、補助箱に加わる力に対して共に抗する作用は、前後・左右方向に加わる可能性がある外力に対しても発揮される。仮に、補助箱1を変形させる左右方向への力が加わったとき、補助箱1の左右の側壁10と左右の周壁11Wa(L、R)は左右に倒れ、力の一部は上面11と凹状空間SPの底面12を上下方向へ圧縮する力へと分散される。上下方向へ圧縮する力は、先に述べた通り舌片部11Tpを有する周壁11Wa(U)を凹状空間SPの底面12に対して固定するので、舌片部11Tpを有する周壁11Wa(U)は左右方向への外力に対する支持壁としての機能を果たすことができる。なお、ここでは図示していないが、上記周壁11Wa(U)と対向した位置に配置されている前側の周壁も、ここで説明した後側の周壁11Wa(U)と同様に機能するものである。
舌片部11Tpを有さない周壁は、周壁の下端側は凹状空間SPの底面に対して容易に可動し得るので、左右方向への外力に対する支持壁としての機能を失う可能性がある。
即ち、舌片部11Tpが設けられている周壁11Waと補助箱の側壁とは、前後・左右方向の補助箱1を変形させるような外力に対し、互いに協働して抵抗して、補助箱1に収容された物品を保護する。
【0031】
以上述べた通り、舌片部11Tpが設けられている周壁11Waと補助箱の側壁とは、補助箱1に加わる上下・前後・左右方向へ加わる外力に対して、互いに協働して支持する機能を果たすので、各々の部材としては相対的に薄く、またはそれ程に強度が高くはない材料(段ボールや厚いボール紙などでなく、薄目のボール紙など)により形成しても、実用上物品を保護できる化粧箱とすることができる。
【0032】
さらに、箱本体10には、物品収納部SEとなる凹状空間SP内に嵌合されている補助箱1の取り出しを容易とするための構造が設けてある。これについて説明する。
図1、2を再度参照すると、箱本体10には、開口端縁11Crに掛かるようにして補助箱1を取り出すため、ヒトの指が入る程度の幅を持って窪み部20が設けてある。図1、2で例示しているのは、補助箱1を間にして左右に一対で設けてある。このような窪み部20を設けておけば、上面11と上面1aが一致するように嵌合される補助箱1でも、簡単に取り出すことができる。
【0033】
図5は、窪み部20の周部を拡大して示した図で、図5(a)は斜視図、図5(b)は(a)におけるB−B矢視図である。窪み部20は、開口端縁11Crの一部を切り欠いて、指が入る程度の空間を形成すればよい。よって、この部分を除去して形成してもよいが、ここでは、図5で示すように、上面11に指の幅を想定した間隔20Wtをもってその左右に平行で開口端縁(ライン)11Crに垂直な切込み線21a、21bを入れ、その間の帯部分22(開口端縁11Crを中央にしてほぼ直角に曲がった部分)を押し込んで反対側へ反転させることにより形成した凹部としてある。なお、ここでの窪み部20は、1つの例示であり上面11からこの上面11と開口端縁11Crとを共有する周壁にかけて、指幅より広く前記開口端縁の長さより狭い間隔で、2本の切込み線を入れ、その切込み間の帯部分を開口端縁と反対の方向へ反転させて形成した凹部であれば、その形態は適宜に変更してよい。
このように押し込んで凹部として窪み部20を形成すると、一体である下側の周壁11Waに図示のように中央部に向いた弾性力Fが付与される。これにより周壁11Waが外側に倒れる姿勢となるのを抑制して、補助箱1を挟持する力にもなるので、より好ましい構造となる。
【0034】
更に、図1を再度参照すると、箱本体10には、上面11を露出可能に覆う蓋部16が設けてある。よって、蓋部16で箱本体10の上面11および補助箱1の上に載置されるシート状の付属物を覆って保護できる。
ただし、上記付属物BKには、ある程度の厚みがあるので、その厚みに対応して、平板状である蓋部16の面が付属物BKの表面に当接するように回動させるヒンジ構造が設けてある。
図1、図2で示すように、箱本体10の4つの側面の内、その1つである後部側の側面13aに、ヒンジ部15を介して蓋部16が接続されている。このヒンジ部15の位置は上方へ長さFS分オフセットされている。すなわち、他の3個の側面よりも、背部側の側面13aは長さFS分長め(高め)に形成され、ヒンジ部15が設けてある。この長さFSは、付属物BKの厚みに応じて設定される。これにより、平板状である蓋部16の面を付属物BKの表面に均一に当接して、その上面を保持できる。
【0035】
図1で例示するヒンジ構造は一例であり、蓋部16が付属物BKの表面に当接するように回動させる構造であればよい。図6(a)〜(e)で示すようにヒンジ構造を種々の形態で形成できる。図6(a)は図1、2で示したものである。なお、ヒンジ部15の位置を確認し易いように黒点で示している。図6(b)は基部をL字状に加工してある蓋部16側にオフセットの長さFS部分を配置し、ヒンジ部15を上面の外形端縁11a上とした場合である。図6(c)は(a)、(b)で示したヒンジ部15の両方を採用した場合、また図6(d)は蓋部16の基部側の一定幅を湾曲加工したラウンドコーナー部RWとした場合である。図6(d)のような湾曲加工は、厚紙等などを湾曲面に押し付けることや、湾曲加工を施したい箇所の部材へ高い圧力を加え複数の平行な直線を彫り込むことで簡単に形成できる。
【0036】
更に、図7は上記箱本体を作製可能なブランクを示した図である。図7中では、図1、図2で図示した部位との対応が確認し易いように、図1、図2における符号をカッコ内で示してある。
この箱本体用のブランク100は、トップパネル101の下側には折り曲げ線を介して、順にフロントサイドパネル102、ボトムパネル103、リアサイドパネル104、リッドパネル105が連なっている。更に、リッドパネル105の端部には差込みフラッパ106が設けてある。また、トップパネル101の上側にはリアインナパネル107を有する。
これらを折り曲げ線にて曲げて、リアサイドパネル104を反対側のリアインナパネル107を内側に貼付けて、組み上げる。これにより、左右に開口した状態での箱となる。なお、各サイドインパネル102、104の両側にはサイドフラッパ108が設けてあり、組み上げられたときには側面の一部を形成する。
【0037】
トップパネル101の中央部には、補助箱或いは物品を収納するための物品収納部とする領域が、物品収納部予定領域PAとして設定され、この物品収納部予定領域PAでは環状の開口端縁101Cr、この開口端縁からトップパネル101の一部を折り曲げて形成する周壁用の周壁予定部101a、さらに補助箱などの取り出しを容易とするための窪み部用の窪み予定部101bが開口端縁の一部に掛かるように切込みを設けてある。また、付属物保持部材としての爪部30を形成するための爪予定部101cが設けてある。これらの予定部は折り曲げ線(点線)および切断線(太線)を組合せて形成してある。
【0038】
そして、トップパネル101の左右両側には、折り曲げ線を介してアウタサイドフラップ109が連なり、更に、このアウタサイドフラップ109の端部には差込みフラッパ110が設けてある。
更には、ボトムパネル103には、上記トップパネル101に応じて、左右両側には折り曲げ線を介してインナサイドフラップ111が設けてあり、このインナサイドフラップ111の基部中央には、差込みフラッパ110を受ける切り溝112が設けてある。
なお、トップパネル101とサイドインパネル102との境界中央の切り込み113は、差込みフラップ106を受ける切り溝である。
そして、上記ブランク100を各折り込み線で曲げ、差込みフラッパを対応する切り溝に押しみ、更に、物品収納部予定領域PAについても各折り込み線で曲げると化粧箱の箱本体10が得られる。
【0039】
図7から明らかであるが、ブランクは、シート状で紙製または樹脂製とすることができる。そして、箱本体10は、このような単純な一枚のブランクを折り曲げ、組み上げることによりに容易に形成できることができる。
なお、図7で点線が折り曲げ線、太線が切断線である。また、図7中のハッチングを付したDE部分は、前述した物品収納部SEで周壁11Waとしない不要な打抜き(除去)部分である。
【0040】
本発明に係る化粧箱の箱本体の構造については、以上のとおりである。ところで補助箱1には、主物品と該主物品と密接な関係にある副物品などが収納されるが、窓などの切り抜き部分を設けないと中の物品は確認できない。しかし、図1、図2で示すように主物品と副物品(例えば、喫煙物品と専用のケース)とを、補助箱1の表面に図画などにより示せば収納した物品を視認可能とすることができる。
【0041】
以上で説明した本発明に係る化粧箱FCは、シート状の付属物BKが箱本体10より小さいような場合でも、付属物BKの端部に当接してこれを保持する付属物保持部材と、付属物BKの上を確実に覆う蓋部が設けてあるので、物品と付属物とを同包して安定に保持する化粧箱を提供できる。そして、付属物保持部材および蓋部は、前述した説明から明らかなように、箱本体に用いるブランクに簡単な変更をするだけで簡単に形成できるので、本発明は製造コストの上昇を伴うことなく実施することができる。
【0042】
そして、物品を収納する補助箱を用い、この補助箱の上面と、これを収納する箱本体の上面が全体的に平坦な面となるようにすれば、この平面上に付属物を安定に載置して保持できる。嵌合状態にある補助箱を取り出すための窪み部が設けてあるので、箱本体から補助箱を簡単に取り出すこともできる。
また、収納された補助箱の表面と、これを収納した箱本体の上面とが全体的に平坦な面となっているので美観に優れて、前述のように収納物品の表示などに用いることができる。また、この平坦な面に1つのテーマあるいはデザインの図画等を付して美観を高めることもできる。更には、補助箱および箱本体用の素材として厚紙等で形成すれば、そのまま廃棄処理できるので環境保護の点でも優れた化粧箱となる。
【0043】
ただし、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。
前述した例では、製造コストの面から好適例として箱本体および補助箱を同じ直方体とした場合を説明したが、これに限らない。補助箱と箱本体とを同じ形状にする必要はない。例えば、箱本体を円柱形状や六角、八角等の多角注形状として、内部に直方体形状の補助箱を収納するようにしてもよい。
更には、前述した説明は、本発明のより好ましい実施形態として、箱本体10に設けた物品収納部に補助箱を1つ嵌合する場合を例示したが、これに限らない。物品収納部に2個以上、複数の補助箱を嵌合する形態としても勿論よい。ただし、この場合には複数の補助箱の上面が箱本体の上面と平坦な面を形成するように調整するのが望ましい。
更には、上記のように補助箱を採用するのは本発明の実施形態での好適な例示であって、本発明の化粧箱はこのような形態に限る必要はない。すなわち、本発明の化粧箱で対象とする物品は、補助箱に入れず、物品をそのまま(直に)箱本体に設けた物品収納部に収納する形態としてもよいものである。すなわち、物品収納部に収納した物品の上に付属物BKを配置して、その端部に付属物保持部材を当接して保持して、化粧箱を構成してもよい。この場合にも、複数の物品を物品収納部に収納する形態としてよく、複数の物品の上面が箱本体の上面と平坦な面を形成するように調整するのがより望ましい。そして、このように物品を物品収納部に直に収納して、物品が物品収納部にちょうど嵌合する形態がよい。よって、補助箱を採用しない場合でも、物品の取り出しを容易とする前述した窪み部を設けておくのが好ましい。
【符号の説明】
【0044】
1 補助箱
10 箱本体
11Wa 周壁
11a 外形端縁
11Cr 開口端縁
11Tp 舌片部
11 上面
12 底面
13 側面
15 ヒンジ部
16 蓋部
20 窪み部
30 爪部(付属物保持部材)
100 箱本体用のブランク
BK 付属物
SE 物品収納部
AR 外部領域
FS オフセット長さ
SP 凹状空間
FC 化粧箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納する物品と共に、当該物品に関係するシート状の付属物を同包する化粧箱であって、
平坦な上面、底面および側面を有する箱本体を含み、当該箱本体は前記上面の中央部に環状の開口端縁を設け、該開口端縁より下側に設定した前記物品収納用の物品収納部と、前記上面を露出可能に覆う平板状の蓋部とを有し、
前記上面には、前記付属物が載置されると共に、前記物品収納部を設けた領域外の外部領域に前記付属物の端部に当接してこれを保持する付属物保持部材が設けてあり、
前記蓋部が付属物の表面に当接するように、前記蓋部を回動させるヒンジ構造を含む、ことを特徴とする化粧箱。
【請求項2】
前記付属物保持部材は、前記上面の一部を切り起こして前記付属物に当接するようにした爪部である、ことを特徴とする請求項1に記載の化粧箱。
【請求項3】
前記ヒンジ構造は、前記上面の外形端縁上およびその近傍の少なくとも一方に設けたヒンジ部、又は湾曲加工したラウンドコーナー部を含み、前記付属物の厚さに応じ、前記蓋部が付属物の表面に当接するように前記蓋部の位置をオフセットさせてある、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧箱。
【請求項4】
前記物品は、平坦な上面、底面および側面を有する補助箱に収納されており、
前記箱本体の前記物品収納部は、前記開口端縁と、該開口端縁から前記上面の一部を下方へ折り曲げて形成された周壁と、前記底面とを含んで形成されて上方に開口している凹状空間を含み、
前記凹部空間に前記補助箱が嵌合したときに前記箱本体の上面と前記補助箱の上面とが平坦な面を形成するように、前記箱本体の側面及び前記周壁の高さが前記補助箱の高さに応じて設定されており、
更に、前記凹部空間に嵌合した前記補助箱を取り出すための窪み部が、前記開口端縁の一部に設けてある、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の化粧箱。
【請求項5】
前記窪み部は、前記補助箱を間にして一対設けてある、ことを特徴とする請求項4に記載の化粧箱。
【請求項6】
前記箱本体は、一枚の紙製または樹脂製のシート状ブランクを折り曲げて、組み上げることにより形成されている、ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の化粧箱。
【請求項7】
請求項6に記載の化粧箱の前記箱本体用のブランクであって、
前記上面を形成するためのトップパネルを含み、該トップパネルの中央部に前記物品収納部を形成するための物品収納部予定領域が設けてあると共に、
前記物品収納部予定領域には、環状の開口端縁と、該開口端縁から前記トップパネルの一部を折り曲げて形成される周壁のための周壁予定部と、更に前記開口端縁の一部に掛かるように切込みを設けて前記物品の取り出しを容易とするための窪み部を形成するための窪み予定部とが設けてある、ことを特徴とする前記化粧箱のためのブランク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−107646(P2013−107646A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251571(P2011−251571)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【Fターム(参考)】