説明

医療用ストッキング

【課題】リンパ浮腫等の治療用ストッキングとして必要な着圧を保ちつつ、通気性や透湿性も高める。
【解決手段】地糸と、該地糸より強い圧縮力を有する挿入糸を用いて編成された伸縮性編地で、少なくともレッグ部を形成している医療用ストッキングであって、踝からふくらはぎ下端までの足首領域14、ふくらはぎ下端から膝までの下腿領域15、膝から脚の付け根までの大腿領域16の順に着圧が段階的に弱められ、前記地糸の糸長と前記挿入糸の糸長との比が、前記下腿領域で(地糸の糸長):(挿入糸の糸長)=4.3〜6.0:1、前記大腿領域で(地糸の糸長):(挿入糸の糸長)=3.3〜5.0:1とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療用ストッキングに関し、詳しくは、リンパ浮腫等の治療用ストッキングとして必要な着圧を保ちつつ、通気性や透湿性を高めるものである。
【背景技術】
【0002】
下肢のリンパ浮腫や静脈還流障害等の疾患には、強い圧縮力を有する医療用ストッキングを着用する圧迫療法が有効であることが知られている。このような医療用ストッキングは、特公平7−98053号公報(特許文献1)にも示されているように、足首に最も大きな圧力をかけると共に足首から下腿部、大腿部へと圧力を段階的に減少させており、治療に必要な圧力を発生させるために、高い圧縮力を有する挿入糸を地糸の編組織に挿入して編成しているものも多い。しかし、前記医療用ストッキングは通気性が悪く、蒸れが生じやすいという問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−98053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、リンパ浮腫等の治療用ストッキングとして必要な着圧を保ちつつ、通気性や透湿性も高めることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、地糸と、該地糸より強い圧縮力を有する挿入糸を用いて編成された伸縮性編地で、少なくともレッグ部を形成している医療用ストッキングであって、
踝からふくらはぎ下端までの足首領域、ふくらはぎ下端から膝までの下腿領域、膝から脚の付け根までの大腿領域の順に着圧が段階的に弱められ、
前記地糸の糸長と前記挿入糸の糸長との比が、前記下腿領域で(地糸の糸長):(挿入糸の糸長)=4.3〜6.0:1、前記大腿領域で(地糸の糸長):(挿入糸の糸長)=3.3〜5.0:1とされていることを特徴としている医療用ストッキングを提供している。
【0006】
前記伸縮性編地における地糸の糸長および挿入糸の糸長とは、円環状に編まれる1コース当たりの糸の長さのことである。
一般に、通気性および透湿性を高める方法として、度目(コース数/インチ)を減らす、即ち、糸長を長くすることによりループ長を大きくするという方法が有効である。しかしながら、製品として適当な置き寸法を確保しつつ、強い圧力と耐久性を得るためには、度目(コース数/インチ)を減らすことは推奨できない。そこで、本発明では度目(コース数/インチ)を減らさずに、ウェール数/インチを減らし、地糸の糸長を短くすることにより、通気性、透湿性を高めている。
前記地糸の糸長と挿入糸の糸長との関係は、挿入糸の糸長に対する地糸の糸長の比率が大きくなると、編目が密になり編目の開口率が小さくなるため、通気性や透湿性が悪化する。一方、挿入糸の糸長に対する地糸の糸長の比率が小さくなると、編目の密度が疎になり通気性および透湿性は高められるものの、編地の伸びしろが少なくなるため着用して動く際に伸びが悪く動きの妨げとなる。
【0007】
本発明では、従来の医療用ストッキングと比較して、基本的に挿入糸の糸長に対する地糸の糸長の比率を下げて通気性、透湿性を高め、かつ、該比率を前記範囲に設定することで、編地の伸縮性も確保し動き良さも確保している。
即ち、前記のように、足首領域の着圧は最も強くし、足首から大腿部に向けて順次着圧を弱め、かつ、下腿領域と大腿領域との着圧を前記のように地糸の糸長と挿入糸の糸長との比で規定している。該比率とすることで、編目の開口率を高めて通気性や透湿性を向上させて蒸れの発生を防止しながら、強い圧縮力を有する挿入糸の糸長の比率を高めていることで医療用ストッキングとして要求される着圧を十分保持することができる。
【0008】
前記下腿領域および大腿領域において、挿入糸の糸長に対する地糸の糸長の比率が前記設定した範囲を超えて大きくなると、編目が密になり編目の開口率が小さくなるため、通気性や透湿性が悪化する。一方、挿入糸の糸長に対する地糸の糸長の比率が前記範囲を超えて小さくなると、編目の密度が疎になり通気性や透湿性は高められるものの、編地の伸びしろが少なくなるため着用して動く際に伸びが悪く動きの妨げとなる。
【0009】
前記構成とした医療用ストッキングでは、例えば、KES通気度試験機(KES法)による測定で、前記下腿領域で0.004KPa・sec/m以下、大腿領域で0.003KPa・sec/m以下の通気抵抗が得られ、従来の医療用ストッキングより通気性を大幅に高めることができる。
【0010】
また、前記下腿領域での1インチ当たりのウェール数は19〜24ウェール/インチとし、前記大腿領域での1インチ当たりのウェール数は13〜19ウェール/インチとしていることが好ましい。
【0011】
前記ウェール数は、増加すると編目が密になり編目の開口率が小さくなり、通気性や透湿性が悪化しやすくなる。一方、ウェール数が少ないと、編地の伸びしろが少なくなるため着用して動く際に伸びにくく動きの妨げになるおそれがあり、かつ、縦方向の強度(弾性力および破壊強度)も低下しやすくなる。
本発明では、前記下腿領域および大腿領域のウェール数を前記範囲に設定することにより、通気性および透湿性を高めて蒸れを無くし、かつ、動き易さも確保して着用感を高めている。
【0012】
本発明の医療用ストッキングは、丸編機で編成することが好ましい。その際、丸編機の針本数を280〜450本程度にすることにより、前記のようなウェール数を得ることができる。
【0013】
前記編成糸の種類は特に限定されないが、前記地糸はカバリング糸とすることが好ましく、該カバリング糸としては、ポリウレタン糸からなる芯糸の外周にナイロン糸を1重巻きにしたシングルカバリング糸、ナイロン糸を2重巻きにしたダブルカバリング糸のいずれでもよいが、ダブルカバリング糸が好ましい。
また、地糸の総繊度は75〜135デシテックスであることが好ましい。地糸の総繊度が前記範囲より大きいと、編目の開口率が下がって通気抵抗が大きくなると共に、厚みが大となり暑さを感じやすくなって着用感を悪化させるおそれがある。一方、地糸の総繊度が前記範囲より小さいと強度が下がるおそれがある。
【0014】
一方、前記挿入糸としては200%伸長時の回復応力が13〜28cNであるポリウレタン糸を含む弾性糸が好適に用いられる。
これは、200%伸長時の回復応力が28cNを超えると着圧が高くなりすぎるおそれがある一方、挿入糸の200%伸長時の回復応力が13cN未満では医療用ストッキングとして必要な着圧が得られない場合があるためである。特に、挿入糸の200%伸長時の回復応力が15〜25cNであることが好ましい。
挿入糸としてベア糸のポリウレタン糸を用いることが好ましいが、200%伸長時の回復応力が13〜28cNであればカバリング糸やゴム糸など他の弾性糸を挿入糸としてもよい。
【0015】
前記のように、地糸としてカバリング糸を用い、挿入糸として強い圧縮力を有するポリウレタン糸を含む弾性糸を用いて編成することにより、編地の肌触り感を高めると共に、医療用ストッキングとして必要な着圧も得られやすくなる。
【0016】
本発明の医療用ストッキングは、前記下腿領域の領域内では着圧を一定とし、大腿領域の領域内でも着圧を一定とし、着圧を下腿領域と大腿領域の2段階にわけて、大腿領域の着圧を弱めてもよい。また、下腿領域の領域内および大腿領域の領域内において、それぞれ着圧を下端から上端にかけて段階的に弱め、下腿領域の下端から大腿領域の上端にかけて連続的な段階で着圧を弱めてもよい。
【0017】
本発明の医療用ストッキングは、リンパ浮腫治療用に限定されないが、前記各領域の着圧をリンパ浮腫治療用として好適なものに設定することで、リンパ浮腫治療用として有用なものとなる。その場合の各領域の着圧、具体的には、ハトラー靴下着圧測定器mk.3による測定で、下腿領域で17〜33mmHg(23〜44hPa)程度、大腿領域で6〜19mmHg(8〜25hPa)程度とすることができる。また、下腿領域の下側の踝からふくらはぎ下端までの足首領域の着圧を34〜46mmHg(45〜61hPa)程度とすることができる。
【0018】
本発明の医療用ストッキングは、前記のように、少なくともレッグ部を有するものであればよい。よって、レッグ部のみでパンティー部を有さない片足用または両足用、レッグ部の上端にパンティー部の一部を備え該パンティー部の上端に設けた腰部ベルトを締めて着用する片足用、レッグ部にパンティー部が連続したパンティーストッキングタイプの両足用のいずれも含まれる。着用者は疾患の程度等に応じて、前記3つの形態のストッキングを使い分けることができる。
【0019】
前記レッグ部にパンティー部が連続した両足用のパンティーストッキングタイプとした場合、前記パンティー部と前記レッグ部の編組織または編み糸を切り替えずに、前記パンティー部と前記レッグ部とを連続的に編成していることが好ましい。
【0020】
パンティーストッキングタイプの従来の医療用ストッキングでは、足首に最も大きな圧力をかけると共に足首領域から下腿領域、大腿領域へと着圧を段階的に減少させるレッグ部と、編み糸の種類や編組織等を異ならせた別素材でパンティー部を形成しており、レッグ部とパンティー部との切り替えによって、リンパ液の還流が不十分になったり脚の付け根付近へのストッキングの食い込みが生じて着用感が悪化したりする問題があった。そこで、前記のように、パンティー部とレッグ部の編組織または編み糸を切り替えずに、パンティー部とレッグ部とを連続的に編成することにより、レッグ部側からのリンパ液をスムーズに静脈に還流することができ、かつ脚の付け根付近へのストッキングの食い込みも防止することができる。
【0021】
また、前記レッグ部にパンティー部が連続した両足用のパンティーストッキングタイプとした場合、前記パンティー部には、左右の浅鼠径リンパ節の位置より内側の腹部膨出部に、該腹部膨出部を包囲する他の領域より弾性力を小とした弱パワー領域が設けられ、前記パンティー部の他の領域は前記レッグ部と同一の素材で編成していることも好ましい。なお、弾性力が小さいとは、100%伸長時応力が小さいことをいう。
【0022】
前記のように、パンティー部において、左右の浅鼠径リンパ節の位置より内側の腹部膨出部に該パンティー部の他の領域より弾性力を小とした弱パワー領域を設けることにより、腹部膨出部の締め付けを抑えて着用感を高めることができる。
また、パンティー部の他の領域、即ち、前記左右の浅鼠径リンパ節の位置をカバーし、前記弱パワー領域を包囲するパンティー部の大部分を前記レッグ部と同一素材の伸縮性編地で切り替えなく連続的に編成することにより、レッグ部側からのリンパ液を左右の浅鼠径リンパ節を経てスムーズに静脈に還流することができ、かつ脚の付け根付近へのストッキングの食い込みも防止することができる。
【0023】
前記弱パワー領域は、前記パンティー部の他の領域を形成する編地に、該編地を編成する地糸より弾性力の弱い糸を挿入したり、部分的に度目を変化させたりすることにより形成可能である。または、弾性力の小さな別布を縫着して形成することもできる。
【0024】
前記弱パワー領域を形成するために、前記パンティー部の他の領域を形成する編地に挿入する弾性力の弱い糸としては、生地の弾性力を増加させないものであれば特に限定されず、生糸(なまいと)、捲縮加工糸、紡績糸などを用いることができる。
また、弾性力の小さな別布を縫着して前記弱パワー領域を形成する場合、ニット編地(経編、緯編)からなる別布としてもよいし、織生地からなる別布としてもよい。
【0025】
前記のように、腹部膨出部の弱パワー領域の弾性力をパンティー部の他の領域の弾性力より小とすることにより、前記弱パワー領域の着圧を前記他の領域の着圧より下げることができる。弱パワー領域の着圧は、着用時の快適性の理由から同一コースの他の領域の着圧の95〜10%程度に下げていることが好ましく、より好ましくは80〜20%である。90%より大きい場合は着圧が高くなり着用者が圧迫感を感じやすく、10%より小さい場合はフィット感が損なわれやすい。
【0026】
前記パンティー部は菱形形状のクロッチ部を備え、前記弱パワー領域と前記他の領域との境界ラインを前記クロッチ部の下腹部側前端を始点として左右上方へ分岐させて傾斜させた左右分岐ラインで形成し、該左右分岐ラインの分岐角度を65〜105度としていることが好ましく、より好ましくは70〜100度である。分岐角度が65度より小さい場合は下腹部の一部を被覆してしまい、105度より大きい場合は浅鼠径リンパ節を被覆してしまう。
【0027】
前記のように、菱形形状のクロッチ部の下腹部側前端を始点として65〜105度の分岐角度で左右上方へ分岐、傾斜させた左右分岐ラインを前記弱パワー領域と前記他の領域との境界ラインとすることにより、腹部膨出部の締め付けを抑制しつつ、前記弱パワー領域による左右の浅鼠径リンパ節の被覆を防止してリンパ液のスムーズな静脈還流が可能となる。
【0028】
前記クロッチ部は弱パワーの別布からなるクロッチ布を縫着して形成し、前記クロッチ部の前後方向の対角線の長さを9〜14cm、幅方向の対角線の長さを3〜7cmとし、面積にして14〜49cmと比較的小さくし、恥骨部が前記クロッチ布で被覆されずに、前記大腿領域の伸縮性編地で被覆して恥骨部に着圧を負荷できる構成としていることが好ましい。
【0029】
前記のように、弱パワーの別布からなるクロッチ部の前後方向の長さを9〜14cm、幅方向の対角線の長さを3〜7cmとして、従来のパンティーストッキングタイプの医療用ストッキングのクロッチ部よりサイズを小さくすることにより、骨盤の前下部に位置し中央部で連結する左右一対の恥骨部を大腿領域と同じ素材である他の領域の伸縮性編地で被覆することができる。よって、前記恥骨部に適度な着圧を負荷することができ、リンパ液のスムーズな静脈還流が可能となる。
【0030】
また、前記パンティー部の他の領域は前記レッグ部の大腿領域と同程度の着圧を持たせ、前記パンティー部の前記大腿領域との連続部分から上端のウエストラインまでの脇側では、脇線ラインからパンティー部の幅の20%以内の領域は前記弱パワー領域としていないことが好ましい。前記構成により、浅鼠径リンパ節を前記弱パワー領域が被覆せず、リンパ液のスムーズな静脈還流が可能となる。
【0031】
前記弱パワー領域は、腹部膨出部からウエストラインまで連続したV形状、U形状あるいは菱形形状としていることが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
前述したように、本発明によれば、地糸の糸長と挿入糸の糸長との比を、前記下腿領域で(地糸の糸長):(挿入糸の糸長)=4.3〜6.0:1とし、前記大腿領域で(地糸の糸長):(挿入糸の糸長)=3.3〜5.0:1とすることにより、編目の開口率が高められ通気性や透湿性を向上させ、動き易さも確保でき、さらに、医療用ストッキングとして必要な着圧も十分保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態のストッキングを示す平面図である。
【図2】ストッキングの編組織を示す図である。
【図3】第2実施形態のストッキングを示す斜視図である。
【図4】第3実施形態のストッキングを示す平面図である。
【図5】第4実施形態のストッキングの前面側を示す平面図である。
【図6】クロッチ部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1および図2に第1実施形態を示す。
本実施形態のストッキング10はリンパ浮腫治療用ストッキングであり、ストッキング10はレッグ部11のみからなる片足用で、該レッグ部11には足指部分を設けていない。
【0035】
レッグ部11は、図1に示すように、足指の付け根から土踏まずまでの爪先領域12と、該爪先領域12の上側に連続する土踏まずから踝までのフット領域13と、該フット領域13の上側に連続する踝からふくらはぎ下端までの足首領域14と、該足首領域14の上側に連続するふくらはぎ下端から膝までの下腿領域15と、該下腿領域15の上側に連続する膝から脚の付け根までの大腿領域16を備えている。前記爪先領域12の下端および大腿領域16の上端の長さ方向両端には、端末部17、18を連続して設けている。
【0036】
前記爪先領域12、フット領域13、足首領域14、下腿領域15および大腿領域16からなるストッキング10は、図2のように、地糸20のプレーン編組織(平編組織)に地糸20より強い圧縮力を有する挿入糸21を挿入して編成した伸縮性編地からなる。本実施形態のストッキング10は通常の靴下丸編機(図示せず)を用いて編成している。前記地糸20として芯糸のポリウレタン糸の外周にナイロン糸を2重に巻き付けたダブルカバリング糸を用い、該ダブルカバリング糸の総繊度を75〜135デシテックスとしている。前記挿入糸21としては200%伸長時の回復応力が15〜25cNであるベア糸のポリウレタン糸を芯糸とし、ナイロン糸を被覆糸として巻き付けたカバリング糸を用いている。
【0037】
本実施形態では、ストッキング10の編成に用いる前記靴下丸編機の針本数を288本としている。
前記地糸20の糸長と挿入糸21の糸長との比を、前記下腿領域15で(地糸の糸長):(挿入糸の糸長)=4.3〜6.0:1、大腿領域16で(地糸の糸長):(挿入糸の糸長)=3.3〜5.0:1となるように編成している。
また、下腿領域15での1インチあたりのウェール数を19〜24ウェール/インチ、大腿領域16での1インチあたりのウェール数を13〜19ウェール/インチとしている。
【0038】
本実施形態のストッキング10は、足首領域14、下腿領域15、大腿領域16の順に編組織の編目の密度を下げて着圧を段階的に弱めており、ハトラー靴下着圧測定器mk.3による測定で、足首領域14で34〜46mmHg(45〜61hPa)、下腿領域15で17〜33mmHg(23〜44hPa)、大腿領域16で6〜19mmHg(8〜25hPa)の着圧を保持している。
【0039】
前記のように、地糸20の糸長と挿入糸21の糸長との比を、下腿領域15で(地糸の糸長):(挿入糸の糸長)=4.3〜6.0:1、大腿領域16で(地糸の糸長):(挿入糸の糸長)=3.3〜5.0:1とすることにより、リンパ浮腫治療用ストッキングとして必要な着圧を保持しつつ、編目の開口率を高めて通気性や透湿性を向上させることができる。
特に、通気性については、KES通気度試験機(KES法)による測定で、下腿領域15で0.004KPa・sec/m以下、大腿領域16で0.003KPa・sec/m以下の通気抵抗が得られ、従来の医療用ストッキングより通気性を大幅に向上させることができる。
【0040】
以下、実施例および比較例を用いて第1実施形態をさらに詳細に説明する。
[実施例1〜8、比較例1〜3]
実施例1〜8および比較例1〜3では、Mサイズのリンパ浮腫治療用ストッキング10を作製した。
実施例1〜3では、44デシテックスのポリウレタン糸を芯糸とし、その外周に56デシテックスのナイロン糸を二重に巻き付けたダブルカバリング糸を地糸20とした。また、実施例4、7、8では44デシテックスのポリウレタン糸を芯糸とし、その外周に44デシテックスのナイロン糸を二重に巻き付けたダブルカバリング糸を地糸20とした。さらに、実施例5では56デシテックスのポリウレタン糸を芯糸とし、その外周に44デシテックスのナイロン糸を二重に巻き付けたダブルカバリング糸を地糸20とした。また、実施例6では33デシテックスのポリウレタン糸を芯糸とし、その外周に33デシテックスのナイロン糸を二重に巻き付けたダブルカバリング糸を地糸20とした。
【0041】
比較例1および比較例2では、44デシテックスのポリウレタン糸を芯糸とし、その外周に44デシテックスのナイロン糸を二重に巻き付けたダブルカバリング糸を地糸20とした。また、比較例3では、44デシテックスのポリウレタン糸を芯糸とし、その外周に55デシテックスのナイロン糸を一重に巻き付けたシングルカバリング糸を地糸20とした。
【0042】
さらに、実施例1〜7では、爪先領域12および大腿領域16において、繊度が570デシテックスで200%伸長時の回復応力が16.23cNであるベア糸のポリウレタン糸を挿入糸21とした。また、フット領域13、足首領域14および下腿領域15においては、繊度が570デシテックスで200%伸長時の回復応力が16.23cNであるベア糸のポリウレタン糸と、繊度が285デシテックスで200%伸長時の回復応力が8.25cNであるベア糸のポリウレタン糸とを引き揃えて同時に給糸して挿入糸21とした。一方、実施例8では、爪先領域12から大腿領域16までの全ての領域において、570デシテックスのポリウレタン糸を芯糸とし、その外周に78デシテックスのナイロン糸を二重に巻き付けたダブルカバリング糸(200%伸長時の回復応力が15.9cN)を挿入糸21とした。
比較例1〜3では、爪先領域12および大腿領域16において、繊度が620デシテックスで200%伸長時の回復応力が15.82cNであるベア糸のポリウレタン糸を挿入糸21とした。また、フット領域13、足首領域14および下腿領域15において繊度が620デシテックスで200%伸長時の回復応力が15.82cNであるベア糸のポリウレタン糸と、繊度が310デシテックスで200%伸長時の回復応力が8.70cNであるベア糸のポリウレタン糸とを引き揃えて同時に給糸して挿入糸21とした。
【0043】
また、実施例1〜5では編成に用いる靴下丸編機の針本数を288本、実施例6では編成に用いる靴下丸編機の針本数を352本、実施例7、8では編成に用いる靴下丸編機の針本数を340本とした。
一方、比較例1〜3では編成に用いる靴下丸編機の針本数をそれぞれ444本、420本、424本とした。
【0044】
下腿領域15および大腿領域16での地糸20の糸長、挿入糸21の糸長、挿入糸21の糸長に対する地糸20の糸長の比率[(地糸20の糸長)/(挿入糸21の糸長)]、1インチ当たりのウェール数[ウェール/インチ]をそれぞれ表1および表2に示す値とし、足首領域14、下腿領域15、大腿領域16の各領域にリンパ浮腫治療に必要な着圧を持たせたストッキング10を作製した。また、作製したストッキング10の下腿領域15および大腿領域16での通気抵抗も表1および表2に示している。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
なお、地糸および挿入糸の糸長、1インチ当たりのウェール数、200%伸長時の回復応力、着圧、通気抵抗は、それぞれ以下のように測定することができる。
[地糸および挿入糸の糸長]
ハトラー靴下着圧測定器mk.3で着圧測定を行い、下腿領域15の測定ポイント(足裏からの高さ:31cm、周長:35.4cm)および大腿領域16の測定ポイント(足裏からの高さ:60cm、周長:46.4cm)に印を付けてそのポイントの糸長を解糸して取り出したものについて測定する。解糸して取り出したものに所定の荷重(地糸20では20g、挿入糸では3g)をかけて5本糸長を測定し、その平均を地糸、挿入糸の糸長とする。
【0048】
[1インチ当たりのウェール数]
日本人M寸相当サイズの平足型(足首領域14:足裏からの高さ12.5cm、周長22cm、下腿領域15:足裏からの高さ30cm、周長36cm、大腿領域16:足裏からの高さ65cm、周長52cmで、厚み1cmの木製平足型)に着用させた状態で、下腿領域15および大腿領域16の1インチ当たりのウェール数をルーペで3回カウントし、その平均を1インチ当たりのウェール数とする。
【0049】
[200%伸長時の回復応力]
試験長が50mmの弾性糸を引張試験機にて、試験スピード300mm/min、定伸長300%(150mm)の条件で伸長し、200%伸長時の回復応力を繰り返し3回測定して、その平均値を200%伸長時の回復応力とする。
【0050】
[着圧]
ハトラー靴下着圧測定器mk.3の足型にストッキング10を履かせ、室温20℃、湿度65%の環境下で、足型の測定ポイントA(足裏からの高さ10cm、周長22.3cm)、測定ポイントB(足裏からの高さ31cm、周長35.2cm)、測定ポイントC(足裏からの高さ60cm、周長46.4cm)の着圧を測定する。測定ポイントAは足首領域14内にあり、測定ポイントBは下腿領域15内にある。また、測定ポイントCは大腿領域16内にある。
【0051】
[通気抵抗]
日本人M寸相当サイズの平足型(足首領域14:足裏からの高さ12.5cm、周長22cm、下腿領域15:足裏からの高さ30cm、周長36cm、大腿領域16:足裏からの高さ65cm、周長52cmで、厚み1cmの木製平足型)に着用させた状態で、刺繍枠にてサンプルを採取し、KES通気度試験機(KES−F8−AP1、カトーテック(株)製)を用いて測定する(単位KPa・sec/m)。通気抵抗値は、KES−F8−AP1通気度試験機にて空気を送り、該試料を通して大気中へ放出、吸引する方法により、圧力損失半導体差圧ゲージを用いて測定して得られる。
【0052】
表2に示すように、比較例1〜3では通気抵抗が下腿領域15で0.004KPa・sec/mを上回り、大腿領域16でも0.003KPa・sec/mを上回った。一方、表1に示すように、実施例1〜8では、通気抵抗が下腿領域15で0.004KPa・sec/mを下回り、大腿領域16でも0.003KPa・sec/mを下回った。即ち、実施例1〜8のストッキングは比較例1〜3のストッキングに比べて通気性が向上したことが確認できた。
【0053】
次に、実施例1〜8および比較例1〜3で作製したストッキングの官能試験を行った。
試験は室温28℃、湿度65%の部屋で20〜40代の男女10名に実施例1〜8および比較例1〜3のストッキングを着用してもらいアンケートをとった。アンケートでは、表3に示す基準に基づき「蒸れにくさ」および「涼しさ」について採点してもらった。
「蒸れにくさ」に関しては、ストッキング着用後、長ズボンを履き、時速8kmで10分間走り、安静5分後にアンケートをとった。また、「涼しさ」に関しては、室内で安静10分後にストッキングの上に直接風速1m/secの風を当てたときにアンケートをとった。表4および表5に、実施例1〜8および比較例1〜3のストッキングに対する採点結果(平均値)を示す。
【0054】
【表3】

【0055】
【表4】

【0056】
【表5】

【0057】
表4および表5の採点結果から、実施例1〜8のストッキングは比較例1〜3のストッキングより通気性や透湿性の点で優れていることが確認できた。
【0058】
図3に第2実施形態を示す。
第2実施形態のストッキング30では、図3に示すように、レッグ部31の上端にパンティー部の一部32を備え、該パンティー部の一部32の上端に連続させた腰部ベルト33を締めて着用する片足用としている。この点以外は第1実施形態と同様としている。
腰部ベルト33には面ファスナー33aが取り付けられ、該面ファスナー33aで着用者のウエストに合わせられるようにしている。
【0059】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様、通気性や透湿性を高めつつ、リンパ浮腫治療用のストッキングとして必要な着圧を得ることができる。
【0060】
図4に第3実施形態を示す。
第3実施形態のストッキング40では、図4に示すように、レッグ部41に一般的なパンティー部42が連続したパンティーストッキングタイプの両足用とする。この点以外は第1実施形態と同様としている。本実施形態では足指部分は設けていないが、足指部分を設けていてもよい。
【0061】
第3実施形態においても、第1実施形態と同様、通気性や透湿性を高めつつ、リンパ浮腫治療用のストッキングとして必要な着圧を得ることができる。
【0062】
本発明は前記実施形態に限定されず、前記下腿領域の着圧、大腿領域の着圧をそれぞれ一定圧とせず、下腿領域内および/または大腿領域内でも下端から上端にかけて数段階で着圧を弱め、足首領域から大腿領域の上端にかけて4段階以上の多段階で着圧を変化させて弱めてもよい。
【0063】
図5および図6は第4実施形態を示す。
第4実施形態のストッキング50では、レッグ部51にパンティー部52を連続させたパンティーストッキングタイプの両足用とし、上端にウエストバンド57を設けたパンティー部52には、左右の浅鼠径リンパ節の位置53より内側の腹部膨出部に、該腹部膨出部を包囲する他の領域55より弾性力を小とした弱パワー領域54(図5の斜線領域)を設けている。また、パンティー部52の他の領域55は、レッグ部51の大腿領域51Aと同一の編み糸、同一の編組織の伸縮性編地で大腿領域51Aの上端と切り替えなしで連続的に編成している。さらに、クロッチ部56のサイズを従来のパンティーストッキングタイプの医療用ストッキングのクロッチ部より小さくしている。これらの点以外は第3実施形態と同様としている。
【0064】
パンティー部52の股部に設けるクロッチ部56は、弾性力の小さな弱パワー編地のクロッチ布を縫着して形成し、図6に示すような菱形形状としている。クロッチ部56の前後方向の対角線の長さL1=10cm、幅方向の対角線の長さL2=4.5cmとし、前後方向の対角線の長さL1、幅方向の対角線の長さL2を従来のパンティーストッキングタイプの医療用ストッキングのクロッチ部のL1、L2よりそれぞれ35%程度短くして骨盤前下部の恥骨部がパンティー部52の他の領域55の伸縮性編地で被覆されるようにしている。
【0065】
また、クロッチ部56の下腹部側前端56Aを始点として左右上方へ分岐、傾斜させた左右分岐ラインA1、A2を、腹部膨出部の弱パワー領域54と該弱パワー領域54を囲む他の領域55との境界ラインとし、該境界ラインA1、A2の分岐角度θを65度として、左右の浅鼠径リンパ節の位置53より内側に弱パワー領域54が形成されるようにしている。さらに、脇線ラインS1、S2からパンティー部の幅Wの20%以内の領域に弱パワー領域54が形成されないようにしている。本実施形態では、W=36cmで弱パワー領域54が形成されない領域は7cmで19%としている。即ち、左右上方に傾斜させた境界ラインA1、A2が脇線ラインS1、S2から幅Wの19%の位置(本実施形態ではD=7cmとなる位置)に到達した地点で、境界ラインA1、A2を脇線ラインS1、S2と略平行になるように屈曲させて上端のウエストバンド57まで延在させている。本実施形態における弱パワー領域54は、左右斜め上方へ分岐させた境界ラインA1、A2を上端側で略平行方向に屈曲させた略U形状(ホームベース形状)としているが、V形状や菱形形状としてもよい。
【0066】
パンティー部52の他の領域55は前記境界ラインA1から一方の浅鼠径リンパ節の位置53および脇線S1を経て背面側の臀部を覆い、脇線S2および他方の浅鼠径リンパ節の位置53を経て境界ラインA2に至る領域であり、前記したように、他の領域55をレッグ部51の大腿領域51Aと同一の編み糸、同一の編組織の伸縮性編地で大腿領域51Aの上端と切り替えなしで連続的に編成している。また、弱パワー領域54は、他の領域55を形成する編地に、該編地を編成する地糸より弾性力の小さいウーリーナイロン糸を挿入して形成している。本実施形態のパンティー部52の他の領域55および弱パワー領域54では、地糸として、44デシテックスのポリウレタン糸を芯糸とし、その外周に44デシテックスのナイロン糸を二重に巻き付けたダブルカバリング糸を用い、挿入糸として、繊度が570デシテックスで200%伸長時の回復応力が16.23cNであるベア糸のポリウレタン糸を用いている。さらに、弱パワー領域54では56デシテックスのウーリーナイロン糸を挿入している。なお、本実施形態では、パンティー部52での前記挿入糸の糸長に対する地糸の糸長の比率[(地糸の糸長)/(挿入糸の糸長)]を3.50〜3.60としている。
本実施形態では、前記のように、パンティー部52の他の領域55を形成する編地に、該編地を編成する地糸より弾性力の小さい糸を挿入して弱パワー領域54を形成しているが、弱パワー領域54をニット編地(経編、緯編)や織生地からなる別布として縫着して形成してもよい。
【0067】
腹部膨出部の弱パワー領域54の弾性力を他の領域55の弾性力より小とすることにより、弱パワー領域54の着圧を他の領域55の着圧より下げており、弱パワー領域54の着圧を同一コースの他の領域55の着圧の50〜95%程度としている。また、他の領域55の着圧は大腿領域51Aの着圧と同程度としている。
本実施形態においては、パンティー部52の他の領域55で被覆される恥骨部、臀部膨出部、臀部側部においてそれぞれ28hPa、25.3hPa、19.3hPaの着圧が得られ、弱パワー領域54で被覆される腹部膨出部においては14.3hPaの着圧が得られた。なお、前記着圧はAMI・TECHNO・CO.LTD.の衣服圧測定機を用いて、エアパックにより測定した。
【0068】
なお、本実施形態のストッキング50の作製は、筒状に編成された左右一対の丸編地50A、50Bを用い、パンティー部52の前後中心線およびクロッチ部56との縫着ラインとなる部分に切れ目を入れてクロッチ部56および裁断線同士をつき合わせて縫着し、一体化させることにより形成している。
【0069】
第4実施形態においても、第1実施形態と同様、通気性や透湿性を高めつつ、リンパ浮腫治療用のストッキングとして必要な着圧を得ることができると共に、前記のように、パンティー部52において、左右の浅鼠径リンパ節の位置53より内側の腹部膨出部に該パンティー部52の他の領域55より弾性力を小とした弱パワー領域54を設けることにより、腹部膨出部の締め付けを抑えて着用感を高めることができる。
また、パンティー部52の他の領域55、即ち、左右の浅鼠径リンパ節の位置53をカバーし、弱パワー領域54を包囲するパンティー部52の大部分をレッグ部51の大腿領域51Aと同一素材の伸縮性編地で切り替えなく連続的に編成することにより、レッグ部51側からのリンパ液を左右の浅鼠径リンパ節を経てスムーズに静脈に還流することができ、かつ脚の付け根付近へのストッキングの食い込みも防止することができる。
【符号の説明】
【0070】
10、30、40、50 ストッキング
11、31、41、51 レッグ部
12 爪先領域
13 フット領域
14 足首領域
15 下腿領域
16、51A 大腿領域
17、18 端末部
20 地糸
21 挿入糸
32 パンティー部の一部
42 パンティー部
33 腰部ベルト
52 パンティー部
53 左右の浅鼠径リンパ節の位置
54 弱パワー領域
55 他の領域
56 クロッチ部
A1、A2 境界ライン
S1、S2 脇線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地糸と、該地糸より強い圧縮力を有する挿入糸を用いて編成された伸縮性編地で、少なくともレッグ部を形成している医療用ストッキングであって、
踝からふくらはぎ下端までの足首領域、ふくらはぎ下端から膝までの下腿領域、膝から脚の付け根までの大腿領域の順に着圧が段階的に弱められ、
前記地糸の糸長と前記挿入糸の糸長との比が、前記下腿領域で(地糸の糸長):(挿入糸の糸長)=4.3〜6.0:1、前記大腿領域で(地糸の糸長):(挿入糸の糸長)=3.3〜5.0:1とされていることを特徴としている医療用ストッキング。
【請求項2】
前記下腿領域での1インチ当たりのウェール数を19〜24ウェール/インチとし、前記大腿領域での1インチ当たりのウェール数を13〜19ウェール/インチとしている請求項1に記載の医療用ストッキング。
【請求項3】
前記地糸は総繊度が75〜135デシテックスのカバリング糸とする一方、前記挿入糸は200%伸長時の回復応力が13〜28cNであるポリウレタン糸を含む弾性糸としている請求項1または請求項2に記載の医療用ストッキング。
【請求項4】
前記レッグ部のみでパンティー部を有さない片足用または両足用、
前記レッグ部の上端にパンティー部の一部が連続し、該パンティー部の上端に設けた腰部ベルトを締めて着用する片足用、
前記レッグ部にパンティー部が連続したパンティーストッキングタイプの両足用、
のいずれかである請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の医療用ストッキング。
【請求項5】
前記レッグ部にパンティー部が連続した両足用のパンティーストッキングタイプであって、
前記パンティー部と前記レッグ部の編組織または編み糸を切り替えずに、前記パンティー部と前記レッグ部とを連続的に編成している請求項4に記載の医療用ストッキング。
【請求項6】
前記レッグ部にパンティー部が連続した両足用のパンティーストッキングタイプであって、
前記パンティー部には、左右の浅鼠径リンパ節の位置より内側の腹部膨出部に、該腹部膨出部を包囲する他の領域より弾性力を小とした弱パワー領域が設けられ、前記パンティー部の他の領域は前記レッグ部と同一の素材で編成している請求項4に記載の医療用ストッキング。
【請求項7】
前記弱パワー領域は、前記パンティー部の他の領域を形成する編地に、該編地を編成する地糸より弾性力の弱い糸を挿入して形成し、または、
弾性力の小さな別布を縫着して形成している請求項6に記載の医療用ストッキング。
【請求項8】
前記パンティー部は菱形形状のクロッチ部を備え、前記弱パワー領域と前記他の領域との境界ラインを前記クロッチ部の下腹部側前端を始点として左右上方へ分岐させて傾斜させた左右分岐ラインで形成し、該左右分岐ラインの分岐角度を65〜105度としている請求項6または請求項7に記載の医療用ストッキング。
【請求項9】
前記クロッチ部は弱パワーの別布からなるクロッチ布を縫着して形成し、
前記クロッチ部の前後方向の対角線の長さを9〜14cm、幅方向の対角線の長さを3〜7cmと比較的小さくし、
恥骨部が前記クロッチ布で被覆されずに、前記大腿領域の伸縮性編地で被覆して恥骨部に着圧を負荷できる構成としている請求項8に記載の医療用ストッキング。
【請求項10】
前記パンティー部の他の領域は前記レッグ部の大腿領域と同程度の着圧を持たせ、前記パンティー部の前記大腿領域との連続部分から上端のウエストラインまでの脇側では、脇線ラインからパンティー部の幅の20%以内の領域は前記弱パワー領域としていない請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の医療用ストッキング。
【請求項11】
前記弱パワー領域は、腹部膨出部からウエストラインまで連続したV形状、U形状あるいは菱形形状としている請求項6乃至請求項10のいずれか1項に記載の医療用ストッキング。
【請求項12】
リンパ浮腫治療用として着用される請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の医療用ストッキング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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