説明

医療用樹脂組成物、樹脂ペレット及び医療用部品

【課題】本発明は、放射線照射滅菌処理、特にγ線照射滅菌しても変色を著しく低減し、耐放射線性に優れた医療用樹脂組成物、樹脂ペレット及びこれを成形した医療用部品を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂100重量部に対して、耐放射線剤としてシラン化合物を0.1〜15重量部含む医療用樹脂組成物である。前記熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニル系樹脂が好ましく、前記シラン化合物は、モノアルコキシシラン化合物、ジアルコキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物、及びテトラアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも一つのアルコキシシラン化合物が好ましい。前記樹脂組成物は、JIS K7202で規定されるロックウェル硬さが、35°以上の硬質でもよいし、JIS K6253で規定されるデュロメーターA硬さが97°以下の軟質でもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、γ線又は電子線による放射線滅菌方法に対して優れた変色安定性を有する医療用樹脂組成物、樹脂ペレット及びそれを用いた医療用部品に関する。特に、人工透析回路、人工心肺回路、血液回路、廃液バッグ回路など医療用の回路において、分岐、連結などに用いる医療用部品、又は血液バッグ、輸液バッグ、各種回路用チューブなどの医療用部品であって、放射線滅菌方法に対して優れた変色安定性を有する医療用部品に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用部品には、(1)重金属等の溶出などによって人体に害を及ぼすことがない、(2)医療現場において使い勝手が良い、(3)使用時まで無菌性が保たれている、(4)内部液の状況が確認できることなどが必要とされる。
【0003】
前記性能を高度に満足する素材として軟質ポリ塩化ビニル系樹脂組成物が使用され、軟質医療用部品、例えば、血液バッグ、輸液バッグ、透析回路チューブなどにポリ塩化ビニル系樹脂と可塑剤からなる軟質ポリ塩化ビニル系樹脂組成物が好適に使用されている。また、これらの軟質医療用部品に接続される各種の部品、例えば、注射器、チューブ連結部材、分岐バルブ、速度調節部品などには、ポリカーボネート、ポリオレフィンなどの硬質素材が使用されている。
【0004】
従来、これらの医療用部品は、高度に滅菌される必要性から、主にエチレンオキサイドガス(以下、EOGという)を用いて滅菌されてきた。しかしながら、滅菌後の残存EOGガスに発がん性があるために、安全性の観点からEOGガス滅菌に替えて、高圧蒸気滅菌へ移行している。しかしながら、これらEOG滅菌、高圧蒸気滅菌という滅菌方法では、包装品を一袋ごとに個々に滅菌する必要があり、滅菌作業に多大な手間がかかるという問題点があった。
【0005】
滅菌作業の迅速化を図るため、1980年以降、梱包後の滅菌が可能で、コスト低減につながるコバルト60−γ線滅菌法(以下、γ線滅菌法という)や、電子線滅菌法といういわゆる放射線滅菌法への転換が急速に進展している。放射線滅菌法のうち、電子線滅菌法は短時間に大量の部品を滅菌処理できるという利点があるが、透過力が小さく、滅菌が不均一になりがちであり、滅菌にロットぶれが発生し易いという問題がある。他方、γ線滅菌法は照射時間が長いため、滅菌が均一に行なわれるという利点があるが、部品の色調変化が著しいという問題がある。
【0006】
これら放射線滅菌による色調変化は、変色のために医療用部品の色調を識別できなくなり、部品間違いなどの医療事故を誘発する原因になる可能性がある。そのため、放射線滅菌によって変色する材料は、医療用部品として使用することに制約があった。
【0007】
前記のように、医療用部品の材料劣化による変色は、当業界の重大な技術課題であり、この課題解決のためにいろいろな取組みがなされている。
【0008】
軟質ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、これらの変色問題をある程度改良することができ、耐放射線性に優れた素材として現在電子線滅菌用途に使用されている。しかしながら、本質的には変色課題を解決できておらず、より強力な滅菌法であるγ線照射に耐える軟質ポリ塩化ビニル系樹脂組成物が望まれてきた。
【0009】
一方、医療用の硬質部品には、耐γ線性が比較的良好なポリカーボネート樹脂、オレフィン樹脂などが使用されている。ポリカーボネート樹脂は、γ線に対し比較的安定で、γ線滅菌用途では主流になりつつある。しかしながら、麻酔薬の作用によって割れるなど耐薬品性が劣り、ビスフェノールAの残存モノマーの影響、また成形性がポリ塩化ビニル系樹脂組成物に比較して劣るなどの難点がある。
【0010】
また、α−オレフィンなどの樹脂を使用することも知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、当該方法は、耐キンク性(耐折性)が劣るなどの問題点があるため、市場での長期的な安全性実績があり、成形性、耐薬品性、耐折性などに優れるポリ塩化ビニル系樹脂であって、かつ耐放射線性に優れて変色の少ない硬質ポリ塩化ビニル系樹脂組成物が強く要望されてきた。
【0011】
この様な医療現場の要望に応えるべく、安定剤、エポキシ化植物油を添加することで、着色を抑える方法(例えば、特許文献2、3参照)、アルキルメルカプタンやアジピン酸のアルキルエステルを添加する方法(例えば、特許文献4、5参照)が知られている。しかしながら、これらの方法では、電子線滅菌法にはある程度改良効果が認められるものの、γ線滅菌法に対する効果は不充分であり、さらなる改善が緊急の課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−3026号公報
【特許文献2】特開平8−73619号公報
【特許文献3】特開平8−176383号公報
【特許文献4】特開平7−102142号公報
【特許文献5】特表平11−510854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、放射線照射滅菌処理、特にγ線照射滅菌しても変色を著しく低減し、耐放射線性に優れた医療用樹脂組成物、樹脂ペレット及び医療用部品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らはかかる実情に鑑み、耐放射線性(特に、耐γ線性)とポリマー素材、配合剤との関連を精査し、シラン化合物の添加が耐γ線性を改善する効果が極めて顕著であるということを見出し、本発明を完成した。特に、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の場合、硬質組成物では不可能と考えられてきた耐γ線性を大きく改良でき、硬質組成物においても顕著に変色を抑制できるということを見出し、本発明を完成したものである。
【0015】
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、耐放射線剤としてシラン化合物を0.1〜15重量部含む医療用樹脂組成物である。
【0016】
また、本発明は前記医療用樹脂組成物からなる樹脂ペレットである。
【0017】
さらに本発明は、前記医療用樹脂組成物を成形した医療用部品である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の医療用樹脂組成物を成形加工して得られる医療用部品は、γ線などの放射線を用いて滅菌の際、変色が極めて少なく、大きなエネルギーで短時間に滅菌でき、産業上極めて有用である。
【0019】
前記熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、及び1,2−ポリブタジエン樹脂から選ばれる少なくともひとつの樹脂であることが好ましい。
【0020】
さらに熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。
【0021】
シラン化合物が、モノアルコキシシラン化合物、ジアルコキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物及びテトラアルコキシシラン化合物からなる群から選択される1種以上のアルコキシシラン化合物を含むことが好ましい。
【0022】
前記樹脂組成物は、JIS K7202で規定されるロックウェル硬さ(Rスケール)が35°以上の硬質であることが好ましい。
【0023】
前記樹脂組成物は、JIS K6253で規定されるデュロメーターA硬さが97°以下の軟質であることが好ましい。以上のように、本発明の樹脂は硬質樹脂にも軟質樹脂にも適用できる。
【0024】
本発明は、熱可塑性樹脂及びシラン化合物を溶融ブレンドし、樹脂ペレットとし、この樹脂ペレットを用いて成形加工するのが好ましい。成形法は、射出成形、押し出し成形、圧縮成形、真空成形、ブロー成形など、いかなる成形法であっても良い。
【0025】
本発明で使用する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリブテン樹脂、ポリイソブテン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂、1,2−ポリブタジエン樹脂、部分架橋エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂などがあげられるが、これらの中でも、医療用途に適した素材であるという観点から、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、1,2−ポリブタジエン樹脂が好ましく、さらに硬質用途から軟質用途まで同一素材で部品適用ができ、接着性が優れる観点、耐γ線性改良効果(ΔYI改善効果)が大きいという観点から、ポリ塩化ビニル系樹脂であることが特に好ましい。
【0026】
ここで、ポリ塩化ビニル系樹脂とは、従来の公知のポリ塩化ビニル系樹脂であればよく、例えば、塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニルと共重合可能な他のモノマーを共重合させたポリ塩化ビニル系共重合樹脂があげられる。
【0027】
ポリ塩化ビニル系共重合樹脂としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−ステアリン酸ビニル共重合樹脂などの塩化ビニルとアルキルビニルエステルとの共重合樹脂、塩化ビニル−エチレン共重合樹脂、塩化ビニル−プロピレン共重合樹脂などの塩化ビニルとオレフィン類との共重合樹脂、塩化ビニルと(メタ)アクリル酸又はそのエステルとの共重合樹脂、塩化ビニルとフマル酸エステルとの共重合樹脂、塩化ビニルとアルキルビニルエーテルとの共重合樹脂などをあげることができ、これらを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
本発明で使用するポリ塩化ビニル系樹脂の平均重合度は特に限定されないが、加工性と性能のバランスから、平均重合度400〜1300が好ましく、650〜1100がより好ましい。平均重合度が400以上であると、衝撃強度が向上して脆性が低くなり、医療用部品が簡単に割れるなどの不具合を生じにくくすることができ、平均重合度が1300以下であると、軟質組成物のゴム弾性と押出成形性のバランスを良好に維持できると共に、硬質組成物の流動性などの低下を防ぎ、射出成形を容易に行なうことができるため好ましい。
【0029】
本発明で耐放射線剤として使用するシラン化合物は、アルコキシシラン化合物、クロロシラン化合物、アセトキシシラン化合物及びオルガノシラン化合物からなる群から選択される1種以上のシラン化合物である。
【0030】
シラン化合物の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.1〜15重量部である。好ましくは1.0〜7.0重量部であり、さらに好ましくは1.5〜3.5重量部である。シラン化合物の添加量が0.1〜15重量部であると、耐γ線性などの耐放射線性の改善効果とその他の特性、配合コストなどとのバランスが最適な領域を選択することができる。0.1重量部未満では耐放射線性の改善効果は顕著にみられない。また15重量部を超えるとその効果は頭打ちとなるうえ、ブリードアウトなどの懸念がある。
【0031】
アルコキシシラン化合物としては、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシランなどのモノアルコキシシラン化合物;ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルアミノエトキシプロピルジアルコキシシラン、N−(βアミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどのジアルコキシシラン化合物;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(フェニル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−(ポリエチレンアミノ)プロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのトリアルコキシシラン化合物;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのテトラアルコキシシラン化合物などがあげられる。
【0032】
アセトキシシラン化合物としては、例えば、ビニルトリアセトキシシランなどがあげられる。
【0033】
クロロシラン化合物としては、例えば、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジクロロシランなどがあげられる。
【0034】
オルガノシラン化合物とは、前記アルコキシシラン化合物、アセトキシシラン化合物、クロロシラン化合物以外の、ケイ素原子に、アルキル基、ビニル基、(メタ)アクリル基、アリル基、酢酸メチル基などの基が直接結合しているシラン化合物を示すものであり、例えば、トリイソプロピルシラン、トリイソプロピルシリルアクリレート、アリルトリメチルシラン、トリメチルシリル酢酸メチルなどがあげられる。
【0035】
これらのシラン化合物の中でも、耐放射線性とその他の特性とのバランスから、モノアルコキシシラン化合物、ジアルコキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物及びテトラアルコキシシラン化合物からなる群から選択される1種以上のアルコキシシラン化合物が好ましく、トリアルコキシシラン化合物がより好ましく、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランがさらに好ましい。
【0036】
また、本発明においては、これらのシラン化合物を2種以上併用することも可能であり、特に限定されるものではない。
【0037】
また、本発明の医療用樹脂組成物のJIS K7202で規定されるロックウェル硬さ(Rスケール)は、硬質医療用部品を製造する場合には、35°以上であることが好ましく、60°以上であることがより好ましい。ロックウェル硬さが35°以上の組成物を硬質医療用部品に適用すると、部品が折れ曲がり、内容物の液流が妨げられるなどの不具合を発生することもなく、バルブ性能、チューブ連結作業性なども良好に維持することができる。ここで、ロックウェル硬さ(Rスケール)とは、JIS K7202に規定されている硬さであり、当該JISに準拠して23℃の温度で測定した値である。
【0038】
また、該ロックウェル硬さは、γ線照射前の硬さもγ線照射後の硬さも35°以上に維持されることが好ましい。またγ線照射前後での硬さの変化(Δ硬さ)は、あまり大きな変化がない方が好ましく、特に限定されるものではないが、−2〜50°であることが好ましい。この範囲の硬さ変化であれば、硬質医療用部品として支障無く使用できる。
【0039】
また、本発明の医療用樹脂組成物のJIS K6253で規定されるデュロメーターA硬さは、軟質医療用部品を製造するには、97°以下であることが好ましく、70°以下であることがより好ましい。該硬さが97°以下となる組成物を軟質医療用部品に適用すると、適度な弾力性があり、医療用チューブ、血液バッグ、輸液バッグなどに好適に使用することができる。ここで、デュロメーターA硬さとは、JIS K6253に規定されている硬さであり、該JISに準拠して23℃の温度で測定した値である。
【0040】
また、該デュロメーターA硬さは、γ線照射前の硬さもγ線照射後の硬さも97°以下に維持されることが好ましい。またγ線照射前後での硬さの変化(Δ硬さ)は、あまり大きな変化がない方が好ましく、特に限定されるものではないが、0〜10°であることが好ましい。この範囲の硬さ変化であれば、軟質医療用部品として支障無く使用できる。
【0041】
本発明においては、熱可塑性樹脂の配合剤として、従来公知の配合剤を適宜必要に応じて使用することができる。配合剤としては、例えば、可塑剤、安定剤、安定化助剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤などをあげることができる。
【0042】
前記可塑剤としては、従来公知のものを使用できるが、例えば、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジオクチルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、イソフタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどのフタル酸系可塑剤;アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−デシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪酸エステル系可塑剤;リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリ−2−エチルヘキシルジフェニル、リン酸トリクレジルなどのリン酸エステル系可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化トール油脂肪酸−2−エチルヘキシルなどのエポキシ系可塑剤;トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシルなどのトリメリット酸エステル可塑剤;クエン酸エステル可塑剤、グルコール酸エステル可塑剤などをあげることができ、これらを単独で又は必要に応じて2種以上併用することもできる。これらの中でも、従来医療用途に好適に使用されていて、耐γ線性に優れるという点から、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシルが好ましく、可塑剤としての機能と熱安定化助剤としての機能を併有する点から、エポキシ化合物が好ましく、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油がより好ましい。
【0043】
これらの可塑剤の添加量は、必要に応じて決定することができ、特に限定されないが、軟質組成物とする場合には、熱可塑性樹脂100重量部に対して、15〜150重量部であることが好ましく、硬質組成物とする場合には、熱可塑性樹脂100重量部に対して、2〜15重量部であることが好ましい。
【0044】
また、本発明においては、必要に応じてエポキシ化合物を使用することができ、例えば、上記のエポキシ系可塑剤でも良いし、従来公知のエポキシ基を含有する化合物も使用できる。例えば、各種のエポキシ樹脂、エポキシ不飽和脂肪酸エステル類、エポキシ化ポリブタジエンなどがあげられる。
【0045】
エポキシ化合物の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して2〜25重量部であることが好ましい。この範囲であれば、ブリードなどの不具合を発生することもなく、良好な医療用部品を製造することができる。
【0046】
本発明の医療用樹脂組成物には、従来公知の安定剤又は安定化助剤を使用することができる。安定剤は、成形加工時など熱が加わった際の着色を抑制する目的で使用するものであり、安定化助剤は安定化機能を補助するものであり必要に応じて適宜選択できる。
【0047】
本発明に添加できる安定剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウムとステアリン酸亜鉛とを主成分とするカルシウム亜鉛系複合安定剤、有機錫系安定剤など従来医療用途に使用されている公知の安定剤を使用することができる。
【0048】
本発明においては、耐γ線性に優れるという観点から有機錫安定剤が好ましく、これらの中でも、例えば、メチル錫メルカプト、ブチル錫メルカプト、オクチル錫メルカプトなどの錫メルカプト系安定剤を特に好適に使用でき、さらに、放射線滅菌時の変色をおさえる効果、衛生性の観点から、オクチル錫メルカプト系安定剤が特に好ましい。
【0049】
また、安全性、衛生性の観点から、従来医療用途に使用されているステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸も好適に使用でき、さらに、医療用組成物としての各種の性能バランスという観点から、オクチル錫メルカプト系安定剤とステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムを組み合わせた安定剤系は、特に有用である。
【0050】
これら安定剤の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、1〜8重量部であることが好ましい。この範囲であると、耐放射線性、熱安定性と安定剤の溶出性、コストのバランスを高度に制御できる。
【0051】
また、安定化助剤としては従来公知の助剤を使用でき、例えば、ジオクチルホスァイト、ジフェニルノニルフェニルホスファィト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイトなどのホスファイト類、トリアリルホスフェートなどのホスフェート類、ステアロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタンなどのβジケトン類などを使用できる。
【0052】
本発明の医療用樹脂組成物を用いて医療用部品を製造する場合、特別な限定はなく従来公知の方法で製造することができる。例えば、所定の配合にてブレンドした樹脂組成物を、ロール、バンバリー、押出機などで混練してペレット化し、次いで、得られたペレットを各種の成形機、例えば押出機、射出成形機、カレンダー成形機などで成形加工することができる。
【0053】
ブレンドする方法としては、従来公知の方法を適用でき、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどを用いてホットブレンド又はコールドブレンドにて各成分を混合する。混練する方法としては、従来公知の方法を適用でき、例えば単軸押出機、異方向ニ軸押出機、同方向ニ軸押出機、加圧ニーダー、遊星ギア押出機などを用いてペレットを作製する。ペレット化の条件としてはシリンダー温度を100〜160℃、ダイ温度を130〜170℃に設定した混練り機を使用することが好ましい。
【0054】
さらに、該ペレットを二次成形する場合、シリンダー温度、ダイ温度を130〜200℃に設定した成形機を使用することが好ましい。
【0055】
本発明における医療用部品とは、薬事法、薬事法施行令に定められている医療用器具ならびにその部品を意味し、具体的には、血液バック、輸液バック、廃液バッグ、輸液セット、輸血セット、成分採血システム、白血球除去フィルター、人工透析回路、血液回路システム、人工心肺システムなどの医療用具、医療用部品などがあげられる。
【0056】
硬質部品と軟質部品を組み合わせた医療用部品の場合には、ポリ塩化ビニル系素材のみで製造することが可能であり、他素材との組合せで発生する接着不良などの不具合を回避でき、部品外れなどの医療トラブルを低減することに貢献できるものである。
【実施例】
【0057】
つぎに、本発明の樹脂組成物を実施例及び比較例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものでない。
【0058】
以下に、実施例及び比較例で用いる原材料及び評価方法を示す。
(1)使用材料
<樹脂成分>
ポリ塩化ビニル樹脂:カネビニールS1007 (株)カネカ製
ポリ塩化ビニル樹脂:カネビニールS1001 (株)カネカ製
ポリプロピレン樹脂:ノバテックBC6D 日本ポリプロ(株)製
1,2−ポリブタジエン樹脂:RB−820 JSR(株)製
<シラン化合物>
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業(株)製
テトラエトキシシラン:信越化学工業(株)製
クロロトリイソプロピルシラン:三共有機合成(株)製
トリメチルエトキシシラン:東芝シリコーン(株)
ジメチルジエトキシシラン:東芝シリコーン(株)
ビニルトリエトキシシラン:東芝シリコーン(株)
<可塑剤成分>
エポキシ化大豆油:(株)ADEKA製
エポキシ化アマニ油:(株)ADEKA製
フタル酸エステル可塑剤:(株)ADEKA製
トリメリット酸エステル可塑剤:(株)ADEKA製
<安定剤、安定化助剤成分>
有機錫系安定剤:ジオクチル錫ジメルカプタイド
CaZn系安定剤:CaZn系複合安定剤
安定化助剤:有機ホスファイト
<滑剤成分>
ポリエチレン系滑剤:ポリエチレンWax
高分子滑剤:カネエースPA−100:(株)カネカ製
【0059】
(2)物性及び成形性評価方法
<耐放射線性の評価>
耐放射線性については明確なJIS規格などがないため、独自の方法で評価した。すなわち、まずロール/プレス加工にて作製したシート状のテストサンプルに対し、照射前の黄色度(YI値)をJIS K7105に準拠しているコンピュータカラーマッチングシステム(大日精化工業(株)製)により測定した。次いで、そのテストサンプルに25kGyのγ線を照射した。照射後のテストサンプルは着色黄変が徐々に進行するため、安定化するまで照射後サンプルを恒温恒湿の条件下(23℃、50%相対湿度)で3日間静置した。その後、照射後サンプルのYI値を上記測定器にて測定して、照射後YI値を求めた。
【0060】
変色度の評価指標として、下記式で定義した黄変度(ΔYI値)を計算し、実施例1〜8については比較例1、実施例9〜16については比較例2、実施例17〜23については比較例3、実施例24〜30については比較例4、実施例31については比較例5、実施例32については比較例6のΔYI値より小さいΔYI値のものを変色改良効果ありと判定した。
【0061】
ΔYI値=(照射後YI)−(照射前YI)
<ロックウェル硬さ(Rスケール)>
JIS K7202に準拠して、ロックウェル硬さ試験機を用いて、試験温度23℃、測定直後のデータを採用した。試験片は、ロール/プレス加工にて厚さ6mmのシートテストサンプルを作製し、23℃、50%RHの恒温恒湿室に一昼夜保持した後に測定した。
<デュロメーターA硬さ>
JIS K6253に準拠して、デュロメーターA硬さ試験機を用いて、試験温度23℃、測定直後のデータを採用した。試験片は、ロール/プレス加工にて厚さ6mmのシートテストサンプルを作製し、23℃、50%RHの恒温恒湿室に一昼夜保持した後に測定した。
【0062】
(実施例1〜8、比較例1)
表1の配合処方に基づき、硬質配合系でのシラン化合物添加効果を調べた。各成分を計量し、全ての成分を一括してハンドミキシングし、該ブレンド物を表面温度160℃に制御した2本ロールに投入して5分間混練した。得られたロールシートを所定の大きさに切断して、プレス成形機にて、所定の厚さのシートを作製した。プレス条件は、170℃予熱2分、加熱2分後、冷却プレスにて5分とした。該シートについて、耐放射線性などの各測定を行なった結果を表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
比較例1と実施例1〜8の性能比較から、シラン化合物の添加に伴って、ΔYIが大幅に小さくなり、γ線照射によって変色しない組成物になることが分かった。一方、シラン化合物の添加に伴って、γ線照射後のロックウェル硬さが上昇しシートが硬く変化していくことが分かった。ロックウェル硬さとΔYIのバランス(初期硬さが硬質医療用部品に適した範囲(35°以上)で、かつΔYIが小さい範囲)から、シラン化合物の添加量はポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して0.1〜15重量部の範囲が特に好ましいことが分かった。
【0065】
また、実施例3、7、8の比較からシラン化合物の種類によって、変色の程度が異なり、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましいことが分かった。
【0066】
(実施例9〜16、比較例2)
表2の配合処方に基づき、シラン化合物を配合した配合系において硬質配合系での可塑剤の添加効果を調べた。実施例1と同様に、各成分を計量し全ての成分を一括してハンドミキシングし、該ブレンド物を表面温度160℃に制御した2本ロールに投入して、5分間混練した。得られたロールシートを所定の大きさに切断して、プレス成形機にて、所定の厚さのシートを作製した。プレス条件は、170℃予熱2分、加熱2分後、冷却プレスにて5分とした。該シートについて、耐放射線性などの各測定を行なった結果を表2に示す。
【0067】
【表2】

【0068】
比較例2と実施例9〜12の性能比較から、シラン化合物を配合した配合系において可塑剤の添加に伴って、ΔYIが小さくなって、γ線照射によって変色しない組成物となることが分かった。また、実施例11、13〜15の可塑剤種の比較からエポキシ化大豆油、DOPは、ΔYIが小さく特に好ましいことが分かった。
【0069】
表2より、硬質用途に適する可塑剤の最適量としては、25部以下であることが分る。また、実施例3、9〜12の比較から、可塑剤の添加量増加に伴って硬さが変化するが、15〜25部付近で急激に硬さ低下を生じることが分かり、可塑剤の最適量としては、15部以下であることがより好ましいことが分かる。
【0070】
また、配合が若干異なるが、エポキシ化合物の有無(比較例1と比較例2の比較)によって変色程度が大きく異なり、エポキシ化合物の単独添加で大きく変色が抑制されることが分かった。同様に、実施例3と実施例9の比較からも同様の効果が観測され、エポキシ系可塑剤の添加が耐γ線性改良に有効であることが分かった。
【0071】
(実施例17〜23、比較例3)
表3の配合処方に基づき、軟質(半硬質)配合における種類の異なるシラン化合物添加効果を調べた。実施例1と同様に、各成分を計量し全ての成分を一括してハンドミキシングし、該ブレンド物を表面温度160℃に制御した2本ロールに投入して、5分間混練した。得られたロールシートを所定の大きさに切断して、プレス成形機にて、所定の厚さのシートを作製した。プレス条件は、170℃予熱2分、加熱2分後、冷却プレスにて5分とした。該シートについて、耐放射線性などの各測定を行なった結果を表3に示す。
【0072】
【表3】

【0073】
比較例3は、現在医療用途に使用されている軟質(半硬質)組成物でありΔYIも比較的小さな値となる。これに対して実施例16〜23は、各種のシラン化合物の添加に伴って、ΔYIが比較例3より大幅に小さくなって、軟質(半硬質)組成物にあってもγ線照射に優れた組成物になることが分かった。
【0074】
また、硬質組成物ほど極端ではないがシラン化合物の添加に伴って、γ線照射後のデュロメーターA硬さが上昇しシートが硬く変化していくことが分かった。シラン化合物の種類によって、変色の程度は幾分異なるが、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが優れた耐変色性を示し特に好ましいことが分かった。
【0075】
さらに、2種以上のシラン化合物を併用しても、耐γ線性改良効果は発現し、医療用部品としての特性、配合コストなどとの必要性に応じて自在な併用が可能であることが分かった。
【0076】
(実施例24〜30、比較例4)
表4の配合処方に基づき、軟質配合における種類の異なるシラン化合物添加効果、可塑剤種の効果を調べた。実施例1と同様に、各成分を計量し全ての成分を一括してハンドミキシングし、該ブレンド物を表面温度160℃に制御した2本ロールに投入して、5分間混練した。得られたロールシートを所定の大きさに切断して、プレス成形機にて、所定の厚さのシートを作製した。プレス条件は、170℃予熱2分、加熱2分後、冷却プレスにて5分とした。該シートについて、耐放射線性などの各測定を行なった結果を表4に示す。
【0077】
【表4】

【0078】
比較例4は、現在医療用途に使用されている軟質組成物でありΔYIも比較的小さな値となる。実施例24〜30の結果から、各種の可塑剤を併用しても、シラン化合物の添加によって、ΔYIが比較例4より大幅に小さくなって、耐γ線性に優れた組成物になることが分かった。
【0079】
(実施例31〜32、比較例5〜6)
表5の配合処方に基づき、ポリプロピレン樹脂又は1,2−ポリブタジエン樹脂にシラン化合物を添加し、充分にハンドミキシングした後、該ブレンド物をプレス成形機にてプレス成形し、所定の厚さのシートを作製した。プレス条件は、160℃予熱2分、加熱3分後、冷却プレスにて5分とした。該シートについて、耐放射線性などの各測定を行なった結果を表5に示す。
【0080】
【表5】

【0081】
比較例5と実施例31の比較から、樹脂成分がポリプロピレン樹脂の場合も、シラン化合物添加によってΔYIが小さくなり、耐γ線性が改善される。また、シラン化合物の添加に伴って、γ線照射後のロックウェル硬さがやや硬くなることが分る。さらに、実施例3と実施例31の比較から、配合系は異なるがほぼ同程度のロックウェル硬さの場合、シラン化合物添加効果は、ポリ塩化ビニル樹脂の方が、ΔYIが小さく、ポリ塩化ビニル樹脂に適していることが分る。
【0082】
また、比較例6と実施例32の比較から、樹脂成分が1,2−ポリブタジエン樹脂の場合も、シラン化合物添加によってΔYIが小さくなり、耐γ線性が改善される。また、シラン化合物の添加に伴って、γ線照射後のデュロメータA硬さがやや硬くなることが分る。さらに、実施例17と実施例32の比較から、配合系は異なるもののほぼ同程度のデュロメータA硬さの場合、シラン化合物添加効果は、ポリ塩化ビニル樹脂の方がΔYIが小さく、ポリ塩化ビニル樹脂に適していることが分る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂100重量部に対して、耐放射線剤としてシラン化合物を0.1〜15重量部含む医療用樹脂組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂が、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、及び1,2−ポリブタジエン樹脂から選ばれる少なくともひとつの樹脂である請求項1に記載の医療用樹脂組成物。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニル系樹脂である請求項2に記載の医療用樹脂組成物。
【請求項4】
前記シラン化合物は、モノアルコキシシラン化合物、ジアルコキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物、及びテトラアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも一つのアルコキシシラン化合物である請求項1に記載の医療用樹脂組成物。
【請求項5】
前記樹脂組成物は、JIS K7202で規定されるロックウェル硬さが、35°以上の硬質である請求項1〜4のいずれかに記載の医療用樹脂組成物。
【請求項6】
前記樹脂組成物は、JIS K6253で規定されるデュロメーターA硬さが97°以下の軟質である請求項1〜4のいずれかに記載の医療用樹脂組成物。
【請求項7】
前記樹脂組成物は、さらに可塑剤を含む請求項1に記載の医療用樹脂組成物。
【請求項8】
前記可塑剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対して15〜150重量部含む請求項7に記載の医療用樹脂組成物。
【請求項9】
前記可塑剤は、フタル酸系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、トリメリット酸エステル可塑剤、クエン酸エステル可塑剤、及びグルコール酸エステル可塑剤から選ばれる少なくとも一つの可塑剤である請求項7又は8に記載の医療用樹脂組成物。
【請求項10】
前記樹脂組成物は、さらにエポキシ化合物を含む請求項1に記載の医療用樹脂組成物。
【請求項11】
前記エポキシ化合物は、熱可塑性樹脂100重量部に対して2〜25重量部含む請求項10に記載の医療用樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の医療用樹脂組成物からなる樹脂ペレット。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれかに記載の医療用樹脂組成物を成形した医療用部品。

【公開番号】特開2013−100549(P2013−100549A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−35519(P2013−35519)
【出願日】平成25年2月26日(2013.2.26)
【分割の表示】特願2008−534288(P2008−534288)の分割
【原出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【出願人】(399034378)昭和化成工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】