説明

医療装置

【課題】アングルワイヤを牽引して湾曲部を繰り返し湾曲動作させることによって、挿入部の長さが長くなり、挿入部の挿入性及び湾曲部の湾曲性能が低下することを防止して、長期にわたる使用が可能な医療装置を提供すること
【解決手段】マニピュレータ40は、複数の関節47a、47bを備える能動湾曲部43及び可撓性を有する挿入部形成チューブ46で構成された挿入部45と、挿入部45内に挿通されたアングルワイヤ49と、挿入部45の基端部に設けられた、モータ70を備える駆動ユニット60に着脱自在な駆動接続部44と、一端部が駆動接続部44内に固定され、他端部が湾曲部43内に固定されて挿入部45内に配置されるコイルパイプ48とを備え、挿入部45を構成する挿入部形成チューブ46は、駆動接続部44に対して移動可能に保持する調整孔51を備えるチューブ受け部材50と保持用ネジ52とで構成される調整機構部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部が備える湾曲部を、この挿入部内に挿通されたアングルワイヤを牽引操作して、湾曲動作させる医療器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡下外科手術で使用される処置具の操作性を向上させる目的で、例えば、マスタースレーブ方式の医療用マニピュレータ装置が使用されている。また、内視鏡の有する処置具チャンネルに挿通して使用される処置具においてもマスタースレーブ方式の医療用マニピュレータ装置が考案されている。
【0003】
医療用マニピュレータ装置では、複数の関節を備えたマニピュレータの先端に設けられている処置部の位置および姿勢を、軌道入力手段であるマスタースレーブ装置を操作することによって変化させるようになっている。なお、処置部としては、例えばハンドアーム、鉗子、電気メス等がある。
【0004】
図1に示すように内視鏡の処置具チャンネルに挿通される多関節マニピュレータ(以下、マニピュレータと略記する)1は、先端側から順に処置部2、湾曲部3、駆動接続部4等を備えている。マニピュレータ1において、処置部2と、湾曲部3を構成する関節駒3aとを連結する軸の軸中心5aから駆動接続部4の先端側端面5bまでが挿入部5であり、その挿入部5は湾曲部3と挿入部形成チューブ6とで構成されている。挿入部形成チューブ6は、処置具チャンネル内をスムーズに通過できるように所定の可撓性を有している。なお、本図の処置部2は、把持用のハンドアームである。
【0005】
湾曲部3は、挿入部形成チューブ6の先端側に備えられた例えば関節駒3a、3b、3c、3dによって構成される。これら関節駒3a、3b、3c、3d同士は、回動自在に連結されて、ピッチ駆動関節7a、ヨー駆動関節7bを構成している。
【0006】
駆動接続部4は、内部空間を備え、その空間内には複数のアングルワイヤ9が配設されている。アングルワイヤ9は、複数のコイルパイプ8内を挿通して、空間内に延出されている。各コイルパイプ8の先端部は、図2に示す関節駒3dの内周面の所定位置に半田等によって強固に固定されている(図中では、コイルパイプを1つだけ示す)。一方、各コイルパイプ8の基端部は、図1、図2に示すように駆動接続部4内に設けられたコイルパイプ受け12に半田等によって固定されている。各コイルパイプ受け12は、コイルパイプ支持部材11に固設されている。各コイルパイプ8は、図2に示すように挿入部形成チューブ6内において、挿入部5の処置具チャンネル内への挿入性を考慮して弛んだ状態で挿通されている。
【0007】
挿入部形成チューブ6の先端部は、例えば、湾曲部3の最後部を構成する関節駒3dに形成されたチューブ受け3d1に糸巻き接着等によって一体的に固定されている。挿入部形成チューブ6の基端部は、チューブ受け部材4aに接着等で強固に固定され、そのチューブ受け部材4aが駆動接続部4に半田等で一体に固定されている。
【0008】
コイルパイプ8内を挿通するアングルワイヤ9の先端は、各関節7a、7bを屈曲させるように所定位置に半田等で固定されている。各アングルワイヤ9の中間部分は、それぞれプーリー13に巻回されている。プーリー13は、その外周面に平歯車14を備えている。
【0009】
コイルパイプ支持部材11は、駆動接続部4又は内部空間を2つに分割する仕切り板15に固設され、プーリー13は仕切り板15に回転自在に軸支されている。仕切り板15の裏面側にも関節に対応するプーリー13が設けられ、それぞれのプーリー13にはアングルワイヤ9が巻回されている。
【0010】
なお、プーリー13Hは、処置部2であるハンドアームを開閉動作させるためのプーリーである。また、符号10はカバーである。カバー10は、駆動接続部4の一面側及びその裏面側にそれぞれ固設される。プーリー13の平歯車14は、カバー10を取り付けた駆動接続部4の基端側で露出する構成である。
【0011】
駆動接続部4は、マニピュレータ駆動ユニット(不図示)に着脱自在に取り付けられる。マニピュレータ駆動ユニットには、各プーリー13を回転させる駆動モータ(不図示)が配設されている。駆動モータの駆動力は、図示しない歯車列を介して駆動接続部4の基端側に露出する平歯車14に伝達される。
【0012】
すなわち、マニピュレータ駆動ユニット内の駆動モータが駆動すると、その駆動に伴ってプーリー13が回転して、アングルワイヤ9が牽引弛緩される。各関節7a、7bは、駆動モータの回転によって移動される各アングルワイヤ9の緊張に伴って関節角度が徐々に変化する。そして、各関節7a、7bの関節角度の変化により、処置部2の位置及び姿勢が変化する。
【0013】
具体的に、プーリー13が回転して、アングルワイヤ9が牽引されることによって、コイルパイプ8内を挿通する弛んだ状態のアングルワイヤ9が徐々に引っ張られて緊張した状態に変化していく。このとき、図2の実線で示すように弛んでいたコイルパイプ8もアングルワイヤ9の緊張に伴って弛みが解消され、矢印に示すように二点鎖線に示す状態に向かって変化していく。
【0014】
そして、アングルワイヤ9が緊張した状態のとき、図3に示すようにコイルパイプ8は関節駒3dとコイルパイプ受け12との間に圧縮された状態で配置される。コイルパイプ8は、上述したようにその両端部がそれぞれ関節駒3d、コイルパイプ受け12に固定されているため、各コイルパイプ8のそれぞれの固定部には矢印A方向の力、つまり、コイルパイプ8の圧縮力に対する反力が作用する。
【0015】
固定部に矢印A方向の力が作用すると、その力の影響が、関節駒3dのチューブ受け3d1に先端部が固定され、基端部がチューブ受け部材4aを介して駆動接続部4に固定された、挿入部形成チューブ6にチューブ長を伸長させようとする力が付与される。
【0016】
そして、コイルパイプ8が複数設けられていること、及び処置部2の位置及び姿勢が繰り返し変化されることにより、挿入部形成チューブ6にも繰り返しチューブ長を伸長させようとする力が付与される。すると、挿入部形成チューブ6の長さが徐々に伸長されていく。このことにより、挿入部形成チューブ6と湾曲部3とで構成される挿入部5の長さが寸法Lだけ長くなる。
【0017】
すると、挿入部5の長さとコイルパイプ8の長さとの関係が変化するとともに、挿入部5の長さとアングルワイヤ9との長さとの関係が変化する。具体的には、コイルパイプ8の長さが挿入部形成チューブ6の長さに比べて短くなることによって、コイルパイプ8の挿入部形成チューブ6内における弛み量が二点鎖線に示すように減少する。一方、アングルワイヤ9の長さが元の挿入部5の長さより長くなることによって、処置部2の位置及び姿勢を変化させるためにアングルワイヤ9を牽引した際、そのアングルワイヤ9にかかる張力が予め設定された値より増大する。
【0018】
そして、コイルパイプ8の挿入部形成チューブ6内における弛み量の減少に伴い挿入性が低下する不具合が生じる。一方、ワイヤにかかる張力が増加することにより、処置部2が所望の位置及び姿勢に変化し難くなるという湾曲性能が劣化するおそれ、或いは、過大な張力が負荷され続けることによってアングルワイヤ9が破断されるおそれが生じる。
【0019】
このような状況を解消するため、挿入部形成チューブ6の硬度(ヤング率)を高く設定して、コイルパイプ8の反力による伸びを無くすこと等が考えられる。
【0020】
なお、特許文献1には、内視鏡カバーとカバー用内視鏡との気密を確保するとともに、内視鏡カバーの手元支持体が検査中に支障を来す移動を防止するカバー式内視鏡が示されている。このカバー式内視鏡では、内視鏡カバーの基端部から延出する固定部に複数の孔部を有する固定用溝を備え、カバー用内視鏡の操作部に孔部内で回転操作可能な扁平形状なピンを備えている。このようにカバー式内視鏡を構成することにより、内視鏡カバーをカバー用内視鏡に装着する時、ピンを固定用溝の何れかの孔部に選択的に配置し、その孔部内でピンを所定の向きに回転させることによって、内視鏡カバーの固定部を、カバー用内視鏡のピンに対して前後にも回転方向にも動かないように固定して、内視鏡カバーとカバー用内視鏡との気密を確保して、内視鏡カバーのカバー用内視鏡への装着を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開平8−206057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、コイルパイプの弛み量を少なくすることによって、複数のコイルパイプが挿通されて構成された挿入部の処置具チャンネル内への挿入性が低下するおそれがある。一方、挿入部形成チューブの硬度を高く設定した場合には、この挿入部形成チューブの可撓性が損なわれて、上述と同様に挿入部の処置具チャンネル内への挿入性が低下するおそれが発生する。
【0023】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、アングルワイヤを牽引して湾曲部を繰り返し湾曲動作させることによって、挿入部の長さが長くなり、挿入部の挿入性及び湾曲部の湾曲性能が低下することを防止して、長期にわたる使用が可能な医療装置を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の医療装置は、複数の関節を備える能動湾曲部及び該能動湾曲部に連設する可撓性を有する挿入部形成チューブで構成された挿入部と、この挿入部内に挿通され、前記関節の関節角度をそれぞれ変化させるアングルワイヤと、この挿入部の基端部に設けられた、前記アングルワイヤを牽引弛緩させる駆動力を発生する駆動部を備えた駆動ユニットに着脱自在な駆動接続部と、一端部が前記駆動接続部内に固定され、他端部が前記湾曲部内に固定されて前記挿入部内に弛んだ状態で配置された、内部に前記アングルワイヤが挿通する複数のコイルパイプとを備える医療装置であって、
前記挿入部を構成する挿入部形成チューブは、該挿入部形成チューブを前記駆動接続部に対して移動可能に保持する調整機構部を備えている。
【0025】
この構成によれば、アングルワイヤの緊張に伴って、コイルパイプが緊張されて圧縮状態になったとき、コイルパイプからその両端の固定部に作用する力によって挿入部形成チューブが伸長されて、挿入部の長さが長くなる。このとき、調整機構部によって挿入部形成チューブが駆動接続部側に移動されると、長くなった挿入部が元の長さに調整される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、アングルワイヤを牽引して湾曲部を繰り返し湾曲動作させることによって、挿入部の長さが長くなり、挿入部の挿入性及び湾曲部の湾曲性能が低下することを防止して、長期にわたる使用が可能な医療装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1乃至図3は従来例にかかり、図1は多関節マニピュレータの構成を説明する斜視図
【図2】湾曲部を湾曲させるアングルワイヤと、アングルワイヤが挿通されるコイルパイプと、挿入部形成チューブを主に説明するための挿入部断面図
【図3】長さ寸法がL寸法伸長された挿入部形成チューブを備える挿入部を説明する断面図
【図4】図4−図14は本発明の第1実施形態に係り、図4は医療装置として多関節マニピュレータを備える内視鏡システムを説明する図
【図5】多関節マニピュレータの構成を説明する斜視図
【図6】伸ばされた挿入部形成チューブの長さ寸法を調整して挿入部の長さを所定の長さに保持する調整機構を備えたマニピュレータ挿入部を説明する模式図
【図7】図5のVII−VII線断面図
【図8】マニピュレータ駆動ユニットを説明する斜視図
【図9】マニピュレータ駆動ユニットの内部構成を説明する断面図
【図10】調整機構部の作用を説明する図
【図11】図11及び図12は調整機構部の他の構成にかかり、図11は調整リング付調整機構部の構成を説明する図
【図12】調整リング付調整機構部の作用を説明する図
【図13】図13及び図14は調整機構部の別の構成にかかり、図13は調整機構部を駆動接続部の内部に設けた構成を説明する図
【図14】駆動接続部の内部に設けられた調整機構部の作用を説明する図
【図15】図15−図21は、本発明の第2実施形態にかかり、図15は挿入部形成チューブの伸びを吸収して挿入部の長さを所定の長さに維持する調整機構部を備えたマニピュレータを説明する図
【図16】図15のXVI−XVI線断面図
【図17】図15のXVII−XVII線断面図
【図18】挿入部形成チューブが伸ばされてクリップがクリック穴の内周面に当接した状態を説明する模式図
【図19】挿入部形成チューブがさらに伸ばされてクリップが移動溝に侵入している状態を説明する図
【図20】挿入部形成チューブがさらに伸ばされてクリップが移動溝内を隣設するクリック穴に向かって移動している状態を説明する図
【図21】クリップが係止部の弾性力によって移動溝内を通過して隣設したクリック穴に配置された状態を説明する図
【図22】図22、図23は、本発明の第3実施形態にかかり、図22は挿入部形成チューブの伸びを吸収して挿入部の長さを所定の長さに維持する他の構成の調整機構部を備えたマニピュレータを説明する図
【図23】調整機構部の作用を説明する図
【図24】図24は本発明の第4実施形態にかかる、挿入部形成チューブの伸びを吸収して挿入部の長さを所定の長さに維持する別の構成の調整機構部を備えたマニピュレータを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図4−図14は本発明の第1実施形態に係り、図4は医療装置として多関節マニピュレータを備える内視鏡システムを説明する図、図5は多関節マニピュレータの構成を説明する斜視図、図6は伸ばされた挿入部形成チューブの長さ寸法を調整して挿入部の長さを所定の長さに保持する調整機構部を備えたマニピュレータ挿入部を説明する模式図、図7は図5のVII−VII線断面図、図8はマニピュレータ駆動ユニットを説明する斜視図、図9はマニピュレータ駆動ユニットの内部構成を説明する断面図、図10は調整機構部の作用を説明する図である。
【0029】
図4に示すように内視鏡システム20は、内視鏡30と、医療装置である例えば2種類の多関節マニピュレータ(以下、マニピュレータと略記する)40、41と、マニピュレータ40、41が接続される複数のマニピュレータ駆動ユニット(以下、駆動ユニットと略記する)60A、60Bと、マニピュレータ40、41が備える処置部42の位置及び姿勢を指示するマスタースレーブ装置80、81と、制御装置90とを備えて構成されている。
【0030】
内視鏡30は、内視鏡挿入部31内に複数(例えば2つ)の処置具チャンネル(不図示)を備え、操作部32には処置具チャンネルに連通する第1処置具導入口33、第2処置具導入口34を備えている。
【0031】
図4、図5に示すようにマニピュレータ40は、先端側から順に処置部42、能動湾曲部43、駆動接続部44を備えて構成されている。このマニピュレータ40において、処置部42と湾曲部43を構成する関節駒43aとを連結する軸の軸中心45aから駆動接続部44の先端部を構成する円筒凸部(以下、凸部と略記する)44aの先端面50fまでが挿入部45である。つまり、挿入部45は、湾曲部43と挿入部形成チューブ46とで構成され、予め、所定の長さに設定されている。
【0032】
挿入部形成チューブ46は、処置具チャンネル内をスムーズに通過できるように所定の可撓性を有している。また、マニピュレータ40、41の各挿入部は、第1処置具導入口33、又は第2処置具導入口34を介して内視鏡挿入部31の先端部に設けられたチャンネル開口から外部に導出されるように構成されている。
なお、本図に示すマニピュレータ40の処置部42は、把持用のハンドアームであり、マニピュレータ41の処置部42は電気メスである。
【0033】
湾曲部43は、挿入部形成チューブ46の先端側に備えられた例えば関節駒43a、43b、43c、43dによって構成されている。これら関節駒43a、43b、43c、43d同士は、回動自在に連結されて、ピッチ駆動関節47a、ヨー駆動関節47bとして構成されている。
【0034】
駆動接続部44の内部空間内には、複数のコイルパイプ48内を挿通して延出された、複数のアングルワイヤ49が配設されている。各コイルパイプ48の先端部は、図6に示す関節駒43dの内周面の所定位置にそれぞれ固定されている。一方、各コイルパイプ48の基端部は、図5、図6に示すように駆動接続部44内に設けられたコイルパイプ支持部材54にそれぞれ固設されているコイルパイプ受け55に固定されている。そして、各コイルパイプ48は、図6に示すように挿入部形成チューブ46内において、弛んで緩んだ状態で挿通されている。つまり、コイルパイプ48は、弛みを持って挿入部45内に挿通されるように、予め長さが設定されている。
【0035】
挿入部形成チューブ46の先端部は、湾曲部43の最後部を構成する関節駒43dに形成されたチューブ受け43d1に一体的に固定されている。一方、挿入部形成チューブ46の基端部は、調整機構部と取付部とを兼ねるチューブ受け部材50の内周面に固定されている。挿入部形成チューブ46の基端面は、チューブ受け部材50の基端面に略面一致状態である。
【0036】
チューブ受け部材50の外周面には、例えば周方向に120°間隔で複数の調整孔51が長手軸方向に一列に等間隔で例えば4つ配列されている。調整孔51は、所定の径寸法、形状に形成されている。調整孔51内には、調整機構部を構成する保持用ネジ52の先端部が係入する。保持用ネジ52は、駆動接続部44の凸部44aの外周面と内周面とを連通する貫通孔に形成された雌ネジ部53に螺合する。雌ネジ部53は、凸部44aの外周に、調整孔51に対向するように例えば120度間隔で3つ設けられている。なお、貫通孔の中心軸は、凸部44aの長手軸に直交する。
【0037】
この構成によれば、チューブ受け部材50を凸部44aの内孔に配置して、保持用ネジ52の先端部を調整孔51に係入する。すると、チューブ受け部材50は、駆動接続部44の軸方向に移動することなく、且つ周方向に回転することなく一体に保持される。つまり、挿入部形成チューブ46は、チューブ受け部材50を介して駆動接続部44に取り付けられる。
【0038】
なお、チューブ受け部材50を駆動接続部44に取り付ける際、初期状態においては、保持用ネジ52を挿入部形成チューブ46の基端面側に位置している調整孔51に係入する。
【0039】
また、調整孔51を周方向に複数設けるとしているが1つであっても良い。また、周方向に設ける複数の調整孔51の間隔は、120°に限定されるものではなく、180°、90°、60°等であってもよい。
【0040】
さらに、チューブ受け部材50に調整孔51を設ける構成を示しているが、調整孔の代わりに雌ネジ部を設け、チューブ受け部材50を駆動接続部44の凸部44aにネジ固定する構成にしてもよい。
【0041】
コイルパイプ48内を挿通するアングルワイヤ49の先端は、各関節47a、47bを屈曲させるように所定位置に固定されている。各アングルワイヤ49の中間部分は、それぞれプーリー56に巻回されている。プーリー56は、図7に示すようにその外周面に平歯車56gを備えた、平歯車付きプーリーである。
【0042】
コイルパイプ支持部材54は、駆動接続部44又は内部空間を2つに分割する図5に示す仕切り板57に固設され、プーリー56は図7に示すように仕切り板57に固設された軸部57aに回転自在に軸支されている。仕切り板57の裏面側には例えば2つのプーリー56が設けられ、それぞれのプーリー56にはアングルワイヤ49が巻回している。符号56aは軸体であって、軸部57aに回動自在に取り付けられる。
【0043】
なお、プーリー56Hは、処置部42であるハンドアームを開閉動作させるためのプーリーである。そのため、開閉操作を必要としない電気メスを備えたマニピュレータ41の駆動接続部44にはプーリー56Hは不要である。
【0044】
また、図5の符号58はカバーであり、駆動接続部44の一面側及びその裏面側にそれぞれ固設される。プーリー56の平歯車56gは、カバー58を取り付けた駆動接続部44の基端側で露出している(図9参照)。符号58aはクリック孔であり、駆動ユニット60Aを構成する後述するレバー(図8、9の符号67参照)に備えられた係止部が配設される。符号44bはガイドであり、凸部で構成されている。ガイド44bは、駆動ユニット60Aを構成する後述する接続部挿入口(図8、9の符号64参照)に備えられたガイド溝(図8の符号65参照)に係入する。
【0045】
マニピュレータ40の駆動接続部44は、駆動ユニット60Aに着脱自在に取り付けられ、マニピュレータ41の駆動接続部44は、駆動ユニット60Bに着脱自在に取り付けられる構成である。駆動ユニット60Aには、各プーリー56、56Hを回転させる駆動モータ(不図示)が配設され、駆動ユニット60Bには、各プーリー56を回転させる駆動モータ(不図示)が配設されている。
【0046】
ここで、駆動ユニット60A、60Bの構成を説明する。
なお、駆動ユニット60Aと駆動ユニット60Bとの違いは、プーリー56Hに駆動力を伝達するための伝達機構の有無である。そのため、図8、図9を参照して駆動ユニット60Bの構成を説明する。
【0047】
図8、図9に示すように駆動ユニット60Bは、ベース部61と、進退部62と、ロール部63と、複数の駆動モータとを備えて構成されている。駆動ユニット60Bのベース部61は、図示しないユニット取付具に取り付けられるように構成されている。
【0048】
進退部62は、ベース部61に対して矢印Bに示すように進退自在な直動関節を構成する。具体的に、ベース部61内には送りねじ機構71が設けられている。送りねじ機構71は、図示しないモータ支持部に固設された第1モータによって動作される。ロール部63を含む進退部62が進退されると、マニピュレータ40、41の処置部42が前進、或いは後退する。
【0049】
ロール部63は、ロール軸63a回りに回転されて、ロール駆動関節を構成する。ロール部63は、進退部62に対して矢印Cに示すように回動自在である。ロール部63は、図示しないモータ支持部に固設された第2モータによって動作される。ロール部63が進退部62に対して回転すると、駆動接続部44から延出している挿入部45がロール軸63a回りに回転する。
【0050】
駆動ユニット60Bは、駆動接続部配置空間63bを有し、ロール部63にはその配置空間63bに連通する接続部挿入口64を備えている。挿入口64には、前記ガイド部44bが係入するガイド溝65が設けられている。挿入口64の近傍には、配置空間63b内に配設された駆動接続部44が脱落することを防止する接続部保持装置66が備えられている。保持装置66には、進退自在なレバー67が備えられている。
図9に示すようにマニピュレータ41と駆動ユニット60Bとの接続が完了すると、駆動接続部44は、配置空間63bに配設される。このとき、レバー67に一体な係止部67aがバネ67bの付勢力によってクリック穴58a内に配置される。そして、この接続完了状態において、配置空間63bに設けられているモータ支持台68に固設されている歯車列である回転伝達ギア機構69とプーリー56に設けられている平歯車56gとが噛み合う。
【0051】
モータ支持台68には、駆動力を発生する駆動部として複数のワイヤ牽引用モータ(以下ワイヤ用モータと略記する)70が設けられている。ワイヤ用モータ70が駆動されると、その回転が、ギア70a、ギア機構69を介して駆動接続部44の基端側に露出した平歯車56gに伝達される。すると、プーリー56が回転し、そのプーリー56の回転に伴って、アングルワイヤ49が牽引弛緩されて各関節47a、47bの関節角度が徐々に変化していく。このことによって、処置部42の位置及び姿勢が変化する。
【0052】
マスタースレーブ装置80、81は、マニピュレータ40、41の湾曲部43に対応する操作アーム82を備えている。つまり、例えば湾曲部43が4関節で構成されている場合、操作アーム82も4関節となり、湾曲部43が3関節で構成される場合、操作アーム82も3関節になる。操作アーム82は、術者によって手動操作される。
【0053】
術者は、マニピュレータ40、41の処置部42の位置、或いは姿勢を変更する際、操作アーム82を手動で操作して軌道計画を与える。マスタースレーブ装置80、81は、操作アーム82が操作されると、その操作アーム82の3次元の物理的な変位を電気信号に変換して、制御装置90に軌道計画信号を出力する。
【0054】
制御装置90は、制御部であるCPU91を備えている。制御装置90は、各種スイッチ、接続部を備えている。各接続部には駆動ユニット60A、60Bからそれぞれ延出するケーブル72、及びマスタースレーブ装置80、81からそれぞれ延出するケーブル83が接続される。CPU91は、制御装置90に軌道計画信号が入力されると、演算処理によって湾曲部43を構成する各関節47a、47bの関節角軌道を求め、駆動ユニット60A、60Bに設けられたワイヤ用モータ70を駆動するための駆動信号を駆動ユニット60A、60Bに出力する。 内視鏡システム20が備えるチューブ受け部材50を有するマニピュレータ40、41の作用を説明する。
マニピュレータ40、41を内視鏡30の処置具チャンネル内に挿入させて処置を行う場合、術者は、マスタースレーブ装置80、81の操作アーム82を適宜操作してマニピュレータ40、41の処置部42の位置、或いは姿勢を変更させる。
【0055】
処置部42の位置、或いは姿勢を変更する際、駆動ユニット60A、60B内の何れかのモータ70が駆動される。そして、モータ70の駆動に伴って対応するプーリー56が回転されて、アングルワイヤ49が牽引弛緩される。そして、アングルワイヤ49が緊張して所定の張力が働いて、各関節47a、47bの関節角度が徐々に変化して処置部2の位置及び姿勢が変化する。
【0056】
アングルワイヤ49が牽引されるに伴い、コイルパイプ48内のアングルワイヤ49が緩んだ状態から徐々に引っ張られて緊張した状態に変化する。つまり、図6で示すように弛んでいたコイルパイプ48の緩みも徐々に解消されて、コイルパイプ48が二点鎖線に示すように関節駒43dとコイルパイプ受け55との間で弛むことなく緊張して圧縮された状態で配置される。
【0057】
コイルパイプ48は、その両端部がそれぞれ関節駒43d、コイルパイプ受け55に固定されているため、コイルパイプ48のそれぞれの固定部には矢印D方向の力、つまり、コイルパイプ48の圧縮力に対する反力が作用する。すると、挿入部形成チューブ46の一端部が関節駒43dのチューブ受け43d1に固定され、且つ他端部がチューブ受け部材50が保持用ネジ52によって凸部44aに保持されているので、コイルパイプ48の矢印D方向の力による影響を受けて可撓性を有する挿入部形成チューブ46が僅かずつ引き伸ばされていく。つまり、挿入部形成チューブ46と湾曲部43とで構成される挿入部45の長さが伸長されていく。
【0058】
そして、挿入部形成チューブ46の長さ寸法が伸ばされていくにしたがって、挿入部長が長くなり、処置部2の位置及び姿勢を変化させるために牽引されるアングルワイヤ49にかかる張力が増大していく。すると、処置部42が所望の位置及び姿勢に変化し難くなってくる。言い換えれば、操作アーム82の操作に対する処置部42の応答性が低下していく。
【0059】
術者は、処置部42の応答性の低下を感じたとき、図10に示すように保持用ネジ52を破線に示すように緩め、その後、チューブ受け部材50を調整孔51、1つ分だけ駆動接続部44方向に移動させる。すると、挿入部形成チューブ46の伸びが解消されて、挿入部形成チューブ46と湾曲部43とで構成される挿入部45の長さが元の長さに調整される。つまり、チューブ受け部材50の基端側への移動によって、挿入部形成チューブ46の伸びがキャンセルされる。このことにより、処置部42の位置、或いは姿勢を変更させる操作をした際、アングルワイヤ49にかかる張力が所定範囲内に戻されるとともに、処置部42の応答性が元の状態に復帰する。
【0060】
このように、挿入部形成チューブ46の基端部を複数の調整孔51が配列されたチューブ受け部材50に固定し、そのチューブ受け部材50を凸部44aに形成した雌ネジ部53に螺合された保持用ネジ52によって、チューブ受け部材50を駆動接続部44に固定保持している。このため、チューブ受け部材50の凸部44aに対する位置を調整孔51の分だけ駆動接続部44方向に移動して挿入部45の長さ調整を行うことができる。すると、処置部42の位置、或いは姿勢を変更させる操作を行った際、アングルワイヤ49にかかる張力が規定の範囲を越えることが防止される。
【0061】
つまり、術者が、応答性の低下を感じる度に、チューブ受け部材50を調整孔51、一孔分ずつ駆動接続部44方向に移動して挿入部形成チューブ46の長さ調整を行うことにより、アングルワイヤ49にかかる張力が増大することを防止して、アングルワイヤ49による処置部42の位置、或いは姿勢の変更を長期にわたって安定して行うことができる。
【0062】
なお、上述した実施形態においては、挿入部形成チューブ46の基端部を調整孔51を備えるチューブ受け部材50に固定し、そのチューブ受け部材50を駆動接続部44の凸部44aに保持用ネジ52によって保持することにより、伸長された挿入部形成チューブ46の長さ調整を可能にしている。しかし、伸長された挿入部形成チューブ46の長さを調整する調整機構部はこの構成に限定されるものではなく、以下の図11−図14に示す構成であってもよい。
【0063】
図11及び図12は調整機構部の他の構成にかかり、図11は調整リング付調整機構部の構成を説明する図、図12は調整リング付調整機構部の作用を説明する図である。
【0064】
図11に示すように本実施形態の調整機構部は、調整リング付調整機構部であって、チューブ受け部材50Aと、調整リング101と、リング抑え102と、回転防止ネジ103とを備えて主に構成されている。
【0065】
チューブ受け部材50Aは、その内周面に挿入部形成チューブ46の基端部が固定される。チューブ受け部材50Aは、外周部の中途部所定位置にフランジ104を備えている。チューブ受け部材50Aのフランジ104より先端側の外周面には雄ネジ部105が設けられている。一方、フランジ104より基端側には雌ネジ部106が設けられている。雌ネジ部106には回転防止ネジ103が螺合される。
【0066】
調整リング101は筒状であって、チューブ受け部材50Aのフランジ104より基端側部が挿通可能な中央貫通孔107を備える。
調整リング101は、フランジ104が摺動可能に配置される内部空間108を有し、その底面にはフランジ104の先端面側が当接する。内部空間108を構成する内周面には雌ネジ部109が形成されている。調整リング101の雌ネジ部109は、凸部44aの外周に形成された雄ネジ部44cに螺合する構成になっている。そして、調整リング101の雌ネジ部109を凸部44aの雄ネジ部44cに螺合することによって、挿入部形成チューブ46が駆動接続部44に取り付けられるようになっている。
【0067】
リング押さえ102も筒状であって、挿入部形成チューブ46が挿通可能な中央貫通孔110を備える。リング抑え102には、雄ネジ部105に螺合する雌ネジ部111が形成されている。リング抑え102をチューブ受け部材50Aの雄ネジ部105に螺合固定することによって、調整リング101がチューブ受け部材50Aに対して回動自在に配置され、且つチューブ受け部材50Aが後退して雌ネジ部109と雄ネジ部44cとの螺合が外れることを防止している。
【0068】
雄ネジ部44cを形成した凸部44aには長手軸方向に細長な貫通孔である長孔44dが形成されている。長孔44dには、回転防止ネジ103が配置される。長孔44dの幅寸法は、回転防止ネジ103の頭部の径寸法より所定寸法幅広である。このことによって、チューブ受け部材50Aが、駆動接続部44の周方向に回転することなく保持される。
その他の構成は上述した実施形態と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略する。
【0069】
本実施形態の調整機構部の作用を説明する。
術者等が、処置部42の応答性の低下を感じたとき、調整リング101を所定方向に回転させる。すると、図12に示すように調整リング101の雌ネジ部109が予め雄ネジ部44cに螺合されているため、調整リング101は長手軸に平行な矢印E方向に移動していく。調整リング101の矢印E方向への移動に伴って、内部空間108の底面がフランジ104に当接し、その後、チューブ受け部材50Aが調整リング101とともに周方向に回転することなく矢印E方向に移動されていく。
【0070】
つまり、上述した実施形態と同様にチューブ受け部材50Aが移動されることによって挿入部形成チューブ46の伸びがキャンセルされて、挿入部形成チューブ46と湾曲部43とで構成される挿入部45の長さが元の長さに戻る。したがって、処置部42の位置、或いは姿勢を変更させる操作をした際、アングルワイヤ49にかかる張力が所定範囲内に戻されるとともに、処置部42の応答性が元の状態に復帰する。
【0071】
このように、挿入部形成チューブ46の基端部を、調整リング101の回転によって長手軸方向に移動可能なチューブ受け部材50Aに固定したことによって、調整リング101の回転に伴ってチューブ受け部材50Aを駆動接続部44方向に移動して挿入部45の長さ調整を行って、上述の実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0072】
図13及び図14は調整機構部の別の構成にかかり、図13は調整機構部を駆動接続部の内部に設けた構成を説明する図、図14は駆動接続部の内部に設けられた調整機構部の作用を説明する図である。
【0073】
上述した実施形態においては、術者が調整リング101を回転させてチューブ受け部材50Aを駆動接続部44方向に移動させること、或いは保持用ネジ52を緩め、その後、チューブ受け部材50を調整孔51分だけ駆動接続部44方向に移動させることによって、挿入部形成チューブ46の伸びがキャンセルされる。つまり、術者等、ユーザーによって、容易に挿入部45の長さを調整することが可能な構成であった。そのため、マニピュレータ40、41の動作が調整状態によって、変化するおそれがあった。
【0074】
図13に示すように本実施形態の調整機構部は、駆動接続部の内部に設けられる構成であって、チューブ受け部材50Bと、調整ナット121と、回転防止ネジ103とを備えて主に構成されている。
【0075】
チューブ受け部材50Bは、その内周面に挿入部形成チューブ46の基端部が固定される。チューブ受け部材50Bは、先端部にフランジ122を備えている。チューブ受け部材50Bの基端部の外周面には雄ネジ部123が設けられている。雄ネジ部123には調整ナット121が螺合される。
【0076】
駆動接続部44の凸部44aの基端面側には、調整ナット121が配置されるナット配置凹部44eが形成されている。配置凹部44eの基端面側開口は、一対の蓋部材124によって塞がれるようになっている。蓋部材124は、固定板部125と、開口閉塞部126とを備えている。固定板部125は、駆動接続部44の切り欠き溝44fに配置され、図示しないビスによって固定される。固定板部125を切り欠き溝44fに固定することによって、基端面開口が開口閉塞部126で塞がれる。切り欠き溝44fに形成される凹部44hはチューブ受け部材50Bの移動スペースである。
【0077】
なお、前記カバー58は、それぞれの蓋部材124が切り欠き溝44fに固設された後、その蓋部材124の固定板部125を覆うように配置されて図示しない締結部材によって駆動接続部44に固設される。
【0078】
調整ナット121の側面には、図示しない蟹目レンチが配置されるレンチ穴127が形成されている。調整ナット121は、チューブ受け部材50Bの雄ネジ部123に螺合配置されている。
その他の構成は上述した実施形態と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略する。
【0079】
本実施形態の調整機構部の作用を説明する。
本実施形態のマニピュレータ40、41においては、術者等が、処置部42の応答性の低下を感じたとき、保守を依頼する。保守を行う作業者は、まず、駆動接続部44からカバー58を取り外し、その後、一対の蓋部材124を取り外す。すると、調整ナットの側面が露出される。
【0080】
次に、作業者は、蟹目レンチをレンチ穴127にセットして、調整ナット121を所定の方向に回転させる。すると、図14に示すように調整ナット121が移動されることなく、チューブ受け部材50Bが長手軸に平行な矢印F方向に移動していく。つまり、上述した実施形態と同様にチューブ受け部材50Bが移動されることによって挿入部形成チューブ46の伸びがキャンセルされて、挿入部形成チューブ46と湾曲部43とで構成される挿入部45の長さが元の長さに戻っていく。この作業中、作業者は適宜、湾曲部43を湾曲させる操作を行って、アングルワイヤ49の牽引時の張力を測定する。そして、張力が所定の設定値に到達したところで、チューブ受け部材50Bの移動を停止する。その後、作業者は、蓋部材124、カバー58を駆動接続部44に取り付ける。このことによって、マニピュレータ40の保守が完了する。
【0081】
このように、挿入部形成チューブ46の基端部を、調整ナット121の回転によって長手軸方向に移動可能なチューブ受け部材50Bに固定し、その調整ナット121を駆動接続部44内に設けたことによって、挿入部45の長さ調整をユーザー主導からメーカー主導にすることができる。このことによって、保守調整後のマニピュレータの処置部の応答性が初期状態と同じになる。その他の作用及び効果は上述した実施形態と同様である。
【0082】
なお、上述した実施形態においては、術者等が処置部42の応答性の低下を感じたとき、ユーザー自身が挿入部45の長さ調整を行う、或いは保守を依頼するようになっている。つまり、調整を行うタイミング、或いは保守を依頼するタイミングが術者によって異なる。
【0083】
このような状況を解消するため、例えは前記駆動ユニット60A、60Bに、各モータ70に出力される電流値、或いはモータにかかる負荷を検出する検出部を設ける。そして、検出装置では、モータ70の何れかに出力される電流値が所定の値を超えたとき、CPU91に告知信号を出力し図示しない例えばブザーを発報させる。術者等は、ブザーが発報されることにより、アングルワイヤ49にかかる張力が増大していること、つまり、チューブ受け部材50、50Aの位置を調整をする、或いはチューブ受け部材50Bを有するマニピュレータ40、41の保守を依頼するタイミングあることを認識できる。このことによって、調整を行うタイミング、及び保守を依頼するタイミングを一定にすることができる。
【0084】
上述においては、モータ70に出力される電流値を検出して、調整タイミング等を告知するとしているが、駆動ユニット60A、60B内にアングルワイヤ49の張力を検出する検出部として歪みゲージを設け、その検出結果をCPU91に出力して、アングルワイヤ49にかかる張力を判定して、調整、或いは保守を依頼するタイミンを術者等に告知するようにしてもよい。
【0085】
図15−図21は、本発明の第2実施形態にかかり、図15は挿入部形成チューブの伸びを吸収して挿入部の長さを所定の長さに維持する調整機構部を備えたマニピュレータを説明する図、図16は図15のXVI−XVI線断面図、図17は図15のXVII−XVII線断面図、図18は挿入部形成チューブが伸ばされてクリップがクリック穴の内周面に当接した状態を説明する模式図、図19は挿入部形成チューブがさらに伸ばされてクリップが移動溝に侵入している状態を説明する図、図20は挿入部形成チューブがさらに伸ばされてクリップが移動溝内を隣設するクリック穴に向かって移動している状態を説明する図、図21はクリップが係止部の弾性力によって移動溝内を通過して隣設したクリック穴に配置された状態を説明する図である。
【0086】
図15−図17に示すように本実施形態の例えばマニピュレータ40は、クリップ付チューブ受け部材50Cと、摺動支持部44jとを備えて構成される調整機構部を有している。クリップ付チューブ受け部材50Cは、例えば金属製の管状のチューブ受け部130と、例えば樹脂製のクリップ132とで構成されている。
【0087】
クリップ132は、係止部133と、軸部134とを備えて構成されている。軸部134は、固定部であって、この固定部はチューブ受け部130に形成された取付穴131に固設されて、突設する。係止部133は、凸部44aに形成された摺動支持部44jの後述するクリック穴44k1、44k2、44k3、44k4に順次配置されるように構成されている。
【0088】
係止部133は付勢部であって、この係止部133を弾性変形可能にするスリット135を備えている。スリット135の幅寸法W及び深さ寸法Dは、所定の弾性力を有するように設定される。そして、弾性変形可能な係止部133は、係止部133に負荷が働いていない状態において外形が第1寸法d1(図18参照)であり、係止部133に負荷が働くことによって幅寸法Wが密着する図示しない第2寸法に変形する。この後、係止部133に働いていた負荷が解消されると、再び第1寸法d1に復帰する。
【0089】
摺動支持部44jは細長で、凸部44aの長手軸に対して平行で、複数のクリック穴44k1、44k2、44k3、44k4と、移動溝44mとを備えてクリック溝(以下、クリック溝も符号44jとして記載する)として構成されている。移動溝44mは、隣り合うクリック穴をそれぞれ連通している。
【0090】
そして、挿入部形成チューブ46の基端部が固定されたチューブ受け部材50Cは、係止部133をクリック穴44k1に係入させることによって、凸部44aに摺動自在に取り付けられる。このとき、係止部133の外形は第1寸法d1である。
【0091】
なお、クリック穴と移動溝との交差部(稜線)には曲面の面取りが施されている。交差部に面取りを施したことにより、係止部133のクリック穴から移動溝への移動、及び移動溝からクリック穴への移動がスムーズに連続的になる。また、クリップ132を取付穴131に固設する際、スリット135は、クリック溝44jの長手軸に対して平行に設置される。
【0092】
図18−図21を参照してクリップ付チューブ受け部材50Cの作用を説明する。
上述したように、プーリー56の回転に伴って、アングルワイヤ49が牽引されると、挿入部形成チューブ46は、コイルパイプ48から前記図6に示した矢印D方向の力の影響を受ける。そして、挿入部形成チューブ46は、長手軸に平行な矢印G方向に僅かずつ伸ばされていく。本実施形態においては、挿入部形成チューブ46の基端部に設けられたクリップ付受け部材50Cが矢印G方向に移動されていく。そして、図18に示すようにクリップ132の係止部133がクリック穴44k1の内周面に当接する。
【0093】
挿入部形成チューブ46がさらに伸長されると、クリップ付チューブ受け部材50Cを矢印G方向に移動させようとする力が増大する。即ち、クリック穴44kの内周面がクリップ132の係止部133を押圧する押圧力が増加していく。そして、押圧力の増加に伴って、係止部133は、係止部133の付勢力に抗して徐々に押し潰されていく。つまり、スリット135の幅寸法がWより幅狭にされて、係止部133が図19に示すように移動溝44m内に徐々に侵入していく。
【0094】
挿入部形成チューブ46がさらに伸長されていくことにより、クリップ132は、図20に示すように係止部133が押し潰された状態で移動溝44m内をクリック穴44k2に向かって移動していく。
【0095】
つまり、挿入部形成チューブ46の長さが伸長するにつれ、クリップ付チューブ受け部材50Cが矢印G方向に移動して、挿入部形成チューブ46の伸びを吸収する。このことによって、挿入部形成チューブ46の長さは伸長されるが、挿入部45の長さ寸法は予め設定された所定の寸法に維持されている。
【0096】
この後、挿入部形成チューブ46がさらに伸長されることにより、クリップ132は、クリック穴44k2内への侵入を開始する。すると、クリック穴44k2の内周面がクリップ132の係止部133を押圧する力が徐々に減少していく。そして、図21に示すようにクリップ132は、係止部133の有する弾性力によって元の外形に復帰して、クリック穴44k2内に配置される。
【0097】
その後、クリップ132は、上述の作用を繰り返しながら、クリック穴44k2からクリック穴44k3、44k4に移動していく。挿入部形成チューブ46の長さが伸長されて、クリップ132がクリック穴44k4に到達するまでの間、挿入部45の長さ寸法は伸長されることなく、予め設定された所定寸法に維持される。なお、ユーザーは、クリップ132がクリック穴44k4に到達したことを視認したなら、マニピュレータ40の使用を中止して、保守を依頼する。
【0098】
このように、挿入部形成チューブ46の基端部に、クリップ132を有するクリップ付チューブ受け部材50Cを設け、クリップ132を構成する係止部133を弾性変形可能な付勢部として構成する。そして、クリップ132を凸部44aの長手軸に平行で複数のクリック穴と移動溝とを備えるクリック溝44j内に配置する。このことによって、挿入部形成チューブ46が伸びるにつれて、クリック溝44jのクリック穴44k1に配置されていたクリップ付チューブ受け部材50Cのクリップ132が徐々に、クリック穴44k4に向かって移動して、挿入部形成チューブ46が伸びることによって挿入部45の長さ寸法が長くなることを防止することができる。したがって、本実施形態のマニピュレータによれば、術者が調整作業を行うことなく、挿入部45の長さが所定寸法に維持される。また、処置部42の位置、或いは姿勢を変更させる操作を行った際、アングルワイヤ49にかかる張力が常時、規定の範囲内になる。
【0099】
図22、図23は、本発明の第3実施形態にかかり、図22は挿入部形成チューブの伸びを吸収して挿入部の長さを所定の長さに維持する他の構成の調整機構部を備えたマニピュレータを説明する図、図23は調整機構部の作用を説明する図である。
【0100】
図22に示すように本実施形態の例えばマニピュレータ40は、バネ付チューブ受け部材50Dと、回転防止位置決めネジ141とで構成される調整機構部を備えている。チューブ受け部材50Dは、その内周面に挿入部形成チューブ46の基端部が固定される。チューブ受け部材50Dは、外周部の先端部にフランジ142を備えている。チューブ受け部材50Dは、フランジ142の基端面側の外周には付勢部を構成する押しバネである圧縮バネ140が配置される。圧縮バネ140のバネ定数は、コイルパイプ48から挿入部形成チューブ46に作用する力を考慮して設定されている。チューブ受け部材50Dは、中途部外周面の所定位置に、雌ネジ部143を備えている。雌ネジ部143には回転防止位置決めネジ141が螺合される。
【0101】
凸部44aには長手軸方向に細長な貫通孔である長孔44dが形成されている。長孔44dには、回転防止位置決めネジ141が配置される。長孔44dの幅寸法は、回転防止位置決めネジ141の頭部の径寸法より所定寸法幅広である。
【0102】
そして、挿入部形成チューブ46の基端部が固定されたチューブ受け部材50Dは、圧縮バネ140を外周に配置した状態で、回転防止位置決めネジ141を長孔44dを介して雌ネジ部143に螺合することによって、駆動接続部44の周方向に回転することなく凸部44aに摺動自在に取り付けられる。このとき、チューブ受け部材50Dが圧縮バネ140の付勢力によって湾曲部方向に移動されることによって、回転防止位置決めネジ141が長孔44dの先端面に当接する。この当接状態で、挿入部45の長さは、所定長さに設定される。
その他の構成は上述した実施形態と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略する。
【0103】
本実施形態の調整機構部の作用を説明する。
上述したように、プーリー56の回転に伴って、アングルワイヤ49が牽引されると、挿入部形成チューブ46は、コイルパイプ48から前記図6に示した矢印D方向の力の影響を受ける。そして、挿入部形成チューブ46は、長手軸に平行な矢印G方向に僅かずつ伸ばされていく。本実施形態においては、挿入部形成チューブ46の基端部に設けられたバネ付受け部材50Dを圧縮バネ140の付勢力に抗して矢印G方向に移動されていく。
【0104】
挿入部形成チューブ46がさらに伸長されると、バネ付チューブ受け部材50Dを矢印G方向に移動させようとする力が増大する。すると、バネ付受け部材50Dが圧縮バネ140の付勢力に抗してさらに矢印G方向に移動されていく。
【0105】
つまり、挿入部形成チューブ46の長さが伸長するにつれ、圧縮バネ140が圧縮されてバネ付チューブ受け部材50Dが矢印G方向に移動して、挿入部形成チューブ46の伸びを吸収する。このことによって、挿入部形成チューブ46の長さは伸長されるが、挿入部45の長さ寸法は予め設定された所定の寸法に維持される。
【0106】
この後、挿入部形成チューブ46がさらに伸長されることにより、バネ付チューブ受け部材50Dの圧縮バネ140が図23に示すように密着する状態に近づいていく。本実施形態のマニピュレータ40においては、挿入部形成チューブ46の長さが伸長されて圧縮バネ140が密着するまでの間、挿入部45の長さ寸法は伸長されることなく、予め設定された所定寸法に維持される。なお、ユーザーは、圧縮バネ140が密着する前に、マニピュレータ40の使用を中止して、保守を依頼する。
【0107】
このように、挿入部形成チューブ46の基端部に、圧縮バネ140を配置したバネ付チューブ受け部材50Dを設ける。そして、バネ付チューブ受け部材50Dを凸部44aに摺動自在に配置する。このことによって、挿入部形成チューブ46が伸びるにつれて、バネ付チューブ受け部材50Dの圧縮バネ140が圧縮されて挿入部形成チューブ46の伸びを吸収する方向に移動していく。このことによって、挿入部形成チューブ46が伸びることによって挿入部45の長さ寸法が長くなることを防止することができる。本実施形態のマニピュレータによれば、第2実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0108】
図24は本発明の第4実施形態にかかる、挿入部形成チューブの伸びを吸収して挿入部の長さを所定の長さに維持する別の構成の調整機構部を備えたマニピュレータを説明する図である。
【0109】
図24に示すように本実施形態の例えばマニピュレータ40は、挿入部形成チューブ46に調整機構部を備えている。挿入部形成チューブ46は、先端側に設けられた第1チューブ151と、基端側に設けられた第2チューブ152と、調整機構部と取付部とを兼ねるバネ付チューブ継手153とで構成されている。第1チューブ151の先端部は、湾曲部43に固設されている。
【0110】
第2チューブ152の可撓性は第1チューブより高く、その基端部は、チューブ受け部材50Eに固定され、チューブ受け部材50Eは、凸部44aに固定されている。バネ付チューブ継手153は、硬質な樹脂製、或いは金属製であり、本実施形態においては、金属製としている。
【0111】
バネ付チューブ継手153は、第1継手154と、第2継手155と、圧縮バネ159とで構成される。第1継手154は、ストレート形状であって、第2継手155は段付き形状である。第1継手154は、第2継手155の細径部156の外周に摺動自在に配置される。本実施形態においては、第1継手154の一端部が第1チューブ151の基端部に固設され、第2継手155の一端部が第2チューブ152の先端部に固設される。
【0112】
第2継手155の細径部の所定位置には回転防止位置決めピン157が固設される。第1継手154の基端部には長手軸に平行で細長な貫通孔であって、回転防止位置決めピン157が配置される長孔158が形成されている。第2継手155の細径部156の外周には付勢部を構成する押しバネである圧縮バネ159が配置される。圧縮バネ159のバネ定数は、コイルパイプ48から挿入部形成チューブ46に作用する力を考慮して設定されている。
【0113】
第1継手154は、第2継手155の周方向に回転することなく、第2継手155に対して摺動自在に連結される。具体的に、第2継手155の細径部156に配置された圧縮バネ159を押し潰すように第1継手155を細径部156に配置し、その後、回転防止位置決めピン157を長孔158を介して細径部156に固定することによって、第1継手154と第2継手155とが連結される。この連結状態のとき、回転防止位置決めピン157は、圧縮バネ159の付勢力によって、長孔158の基端面に当接する。この状態で、挿入部45の長さは、所定長さに設定される。
本実施形態の調整機構部の作用を説明する。
上述したように、プーリー56の回転に伴って、アングルワイヤ49が牽引されると、挿入部形成チューブ46は、コイルパイプ48から前記図6に示した矢印D方向の力の影響を受ける。そして、本実施形態においては、挿入部形成チューブ46の第1チューブ151は、長手軸に平行な矢印H方向に僅かずつ伸ばされていく。すると、第1チューブ151の基端部に設けられた第1継手154を圧縮バネ159の付勢力に抗して矢印H方向に移動されていく。
【0114】
第1チューブ151がさらに伸長されると、第1継手154を矢印H方向に移動させようとする力が増大する。すると、第1継手154が圧縮バネ159の付勢力に抗してさらに矢印H方向に移動されていく。
【0115】
つまり、挿入部形成チューブ46を構成する第1チューブ151の長さが伸長するにつれ、圧縮バネ159が圧縮されて第1継手154が矢印H方向に移動して、第1チューブ151の伸びを吸収する。このことによって、挿入部形成チューブ46の長さは伸長されるが、挿入部45の長さ寸法は予め設定された所定の寸法に維持される。
【0116】
この後、挿入部形成チューブ46の第1チューブ151がさらに伸長されることにより、圧縮バネ159が密着する状態に近づいていく。本実施形態のマニピュレータ40においては、挿入部形成チューブ46の長さが伸長されて圧縮バネ159が密着するまでの間、挿入部45の長さ寸法は伸長されることなく、予め設定された所定寸法に維持される。なお、ユーザーは、圧縮バネ159が密着する前に、マニピュレータ40の使用を中止して、保守を依頼する。
【0117】
このように、挿入部形成チューブ46を第1チューブ151と第2チューブ152とバネ付チューブ継手153とで構成し、バネ付チューブ継手153を第1継手154と第2継手155とで構成する。そして、第1継手154と第2継手155とを圧縮バネ159を配置して摺動自在に連結する。このことによって、挿入部形成チューブ46の第1チューブ151が伸びるにつれて、バネ付チューブ継手153の第1継手154が圧縮バネ159を圧縮しながら、挿入部形成チューブ46の伸びを吸収する方向に移動していく。このことによって、前記第3実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0118】
本実施形態においては、第1継手154の一端部を第1チューブ151の基端部に固設し、第2継手155の一端部を第2チューブ152の先端部に固設するとしているが、第1継手154の一端部を第2チューブ152の先端部に固設し、第2継手155の一端部を第1チューブ151の基端部に固設するようにしてもよい。
【0119】
上述した医療装置は、内視鏡の備える処置具チャンネルに挿入されるマニピュレータとしている。しかし、医療装置は、処置具チャンネルに挿入されるものに限らず、単体で血管、或いは体腔内に挿入される、挿入部が能動湾曲部と可撓性を有する挿入部形成チューブで構成され、能動湾曲部がコイルパイプに挿通されたアングルワイヤで操作されるカテーテル等にも適用できる。
【0120】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0121】
20…内視鏡システム 30…内視鏡 31…内視鏡挿入部 32…操作部
33…処置具導入口 34…処置具導入口 40、41…マニピュレータ
42…処置部 43…能動湾曲部 44…駆動接続部 44a…凸部
45…挿入部 45a…軸中心 46…挿入部形成チューブ
47a…ピッチ駆動関節 47b…ヨー駆動関節 48…コイルパイプ
49…アングルワイヤ 50…チューブ受け部材 50f…先端面
51…調整孔 52…保持用ネジ 53…雌ネジ部 54…コイルパイプ支持部材55…コイルパイプ受け 56…プーリー 56a…軸体 56g…平歯車
57…仕切り板板 57a…軸部 58…カバー 58a…クリック穴
60A、60B…駆動ユニット 70…ワイヤ牽引用モータ
80、81…マスタースレーブ装置 82…操作アーム 90…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の関節を備える能動湾曲部及び該能動湾曲部に連設する可撓性を有する挿入部形成チューブで構成された挿入部と、該挿入部内に挿通され、前記関節の関節角度をそれぞれ変化させるアングルワイヤと、前記挿入部の基端部に設けられた、前記アングルワイヤを牽引弛緩させる駆動力を発生する駆動部を備えた駆動ユニットに着脱自在な駆動接続部と、一端部が前記駆動接続部内に固定され、他端部が前記湾曲部内に固定されて前記挿入部内に弛んだ状態で配置された、内部に前記アングルワイヤが挿通する複数のコイルパイプとを備える医療装置において、
前記挿入部を構成する挿入部形成チューブは、該挿入部形成チューブを前記駆動接続部に対して移動可能に保持する調整機構部を備えることを特徴とする医療装置。
【請求項2】
前記調整機構部は、前記挿入部形成チューブの端部に固定されるチューブ受け部材を前記駆動接続部に取り付ける取付部を兼ね、前記チューブ受け部材は、前記駆動接続部に対して保持及び移動が可能であることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記調整機構部は、
前記挿入部形成チューブの端部に固定され、側周面に長手軸方向に等間隔で配列した複数の調整孔を備えたチューブ受け部材と、
前記駆動接続部に形成された内周面と外周面とを連通する雌ネジ部に螺合して前記調整孔内に先端部が配置される保持用ネジと、
を具備することを特徴とする請求項2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記調整機構部は
前記挿入部形成チューブの端部に固定され、外周面に、フランジ、及び前記駆動接続部に形成された長孔内に配置されて周方向の回転を防止する回転防止ネジが螺合する雌ネジ部を備えるチューブ受け部材と、
前記チューブ受け部材に回動自在に配置され、前記駆動接続部に形成された雄ネジ部に螺合する雌ネジ部を形成した内周面及び前記フランジに当接する底面を備えた内部空間を有する筒状の調整リングと、
前記調整リングが前記チューブ受け部材から脱落することを防止する、当該チューブ受け部材に固設されるリング抑えと、
を具備することを特徴とする請求項2に記載の医療装置。
【請求項5】
前記調整機構部は
前記挿入部形成チューブの端部に固定され、外周面に、前記駆動接続部に形成された長孔内に配置されて周方向の回転を防止する回転防止ネジが螺合する雌ネジ部を備え、一端部に雄ネジ部を設けたチューブ受け部材と、
前記駆動接続部に形成されたナット配置部に配置され、前記チューブ受け部材の雄ネジ部に螺合する調整ナットと、
を具備することを特徴とする請求項2に記載の医療装置。
【請求項6】
さらに、前記駆動部に出力される電流値、或いは当該駆動部にかかる負荷を検出する検出部、又は前記アングルワイヤの張力を検出するは検出部を備えることを特徴とする請求項1−5の何れか1項に記載の医療装置。
【請求項7】
前記調整機構部は、前記挿入部形成チューブの端部に固定されるチューブ受け部材を前記駆動接続部に取り付ける取付部を兼ね、前記チューブ受け部材は、付勢部を介して、前記駆動接続部に摺動自在に配置されることを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項8】
前記調整機構部は、
前記挿入部形成チューブの端部に固定される管状のチューブ受け部及び当該チューブ受け部の外周部に突出する前記付勢部である係止部を有するクリップとを備えるクリップ付チューブ受け部材と、
前記駆動接続部に形成された、内周面と外周面とを連通して当該駆動接続部の長手軸に平行で、負荷が作用していない状態の前記係止部が配置されるクリック穴及び負荷によって変形された前記係止部が配置される移動溝を備える摺動支持部と、
を具備することを特徴とする請求項7に記載の医療装置。
【請求項9】
前記調整機構部は、
前記挿入部形成チューブの端部に固定され、フランジ、外周面に設けられ前記駆動接続部に形成された長孔内に配置されて周方向の回転を防止する回転防止位置決めネジが螺合する所定位置に形成された雌ネジ部、および前記フランジと前記駆動接続部の先端面との間の外周面に配置されて当該フランジを前記湾曲部方向に付勢し、かつ前記アングルワイヤが緊張するとともに、前記コイルパイプが圧縮されて緊張することにより、当該コイルパイプの固定部に作用する力で圧縮されるバネ定数の圧縮バネを備える、バネ付チューブ受け部材であることを特徴とする請求項2に記載の医療装置。
【請求項10】
前記調整機構部は、挿入部形成チューブの中途部に設けられ、
前記湾曲部に一端部が固設する第1チューブと、
前記第1チューブの他端部側に配置され、他端部がチューブ受け部材を介して前記駆動接続部に固定される第2チューブと
前記第1チューブと前記第2チューブとを連結するバネ付チューブ継手と、
を具備することを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項11】
バネ付チューブ継手は、
ストレート形状で端部に回転防止位置決めピンが配置される長手軸に平行な長孔を備える第1継手と、
段付き形状で、前記第1継手の長孔に配置される回転位置決めピンが固定され、前記第1継手に挿通される細径部を備える第2継手と、
前記第2継手の細径部に配置され、前記第1継手を付勢し、かつ前記アングルワイヤが緊張するとともに、前記コイルパイプが圧縮されて緊張することにより、当該コイルパイプの固定部に作用する力で圧縮されるバネ定数の圧縮バネと、
を具備することを特徴とする請求項10に記載の医療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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