説明

半導体ナノ結晶複合材

【課題】半導体ナノ結晶を含有する複合材を提供すること。
【解決手段】無機マトリックス中に取り込まれた複数の半導体ナノ結晶を含む、複合材。複合材の製造方法であって、半導体ナノ結晶を提供する工程;マトリックス前駆体を提供する工程;マトリックスと適合性である部分を含有するか、マトリックス中に可溶性である部分を含有するか、またはマトリックスと反応する部分を含有する配位リガンドと、該半導体ナノ結晶を接触させる工程;前記マトリックスの前駆体と前記半導体ナノ結晶を接触させる工程;ならびに前記前駆体および前記半導体ナノ結晶から固体を形成する工程;を包含する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦政府支援による研究または開発)
米国政府は、米国エネルギー省により授与された契約番号第W−7405−ENG−36号および米国国立科学財団により授与された認可番号第DMR−9872996号に従って、本発明において特定の権利を有し得る。
【0002】
(技術分野)
本発明は、半導体ナノ結晶を含有する複合材に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
一般に、複合材は、2つまたはそれ以上の成分を含有する材料である。各成分は、複合材に特異な特性を与えることができる。その結果、複合材は各成分の有利な特性を有することができ、それらは全て、それらの成分のうちの1つが欠けた材料には存在しない。いくつかの複合材材料は、例えば光学、電子工学、光電子工学、磁気または触媒の用途における使用に特に適し得る。
【0004】
光学用途では、複合材材料は導波管または光増幅器を形成することができる。光増幅器は、光放射を増幅するために利得媒体を使用する。増幅器内では、光源が利得媒体を励起して、利得媒体の高エネルギー状態と低エネルギー状態の間の反転分布を生成する。励起された利得媒体は、反転分布の高エネルギー状態と低エネルギー状態の間のエネルギー差を重ねるエネルギーで光放射を増幅することができる。なぜなら、媒体からの放射の誘導放出は、光の吸収よりも効率的であるからである。一般に、レーザーはキャビティを使用して、励起された利得媒体にフィードバックを供給して、増幅された自然放出を引き起こす。レーザーキャビティは、一連の光学部品(例えば、放射を反射してキャビティに戻すことによりフィードバックを提供するように利得媒体に関して配置された鏡)を含むことができる。例えば、利得媒体は、安定または不安定な共振器内に配置することができる。あるいは、利得媒体が、表現:
G・L>>1
を満たすのに十分な長さL、および利得係数G(cm−1)を有する場合には、増幅された自然放出は、外部光学部品がなくても励起利得媒体内で発生することができ、ここで、利得係数Gは、誘導放出断面積と、反転分布により発生する高エネルギー状態と低エネルギー状態の分布密度の差とに関連する。
【0005】
従来の固体状態レーザーおよび気体レーザーならびに増幅器は、一般に、レーザーの材料に依存して非常に特異的なスペクトル出力を提供する。利用可能な利得材料で達成可能である以外のスペクトル出力、またはあまり特異的でないスペクトル出力が所望される場合、色素レーザーもしくはチューナブル光パラメトリック発振器(OPO)または光パラメトリック増幅器(OPA)を使用することができる。色素レーザーは大型かつ嵩高であると共に、有毒であり得る流体成分も必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
一般に、複合材は、無機マトリックス中に取り込まれた複数のナノ結晶を含有する。この無機マトリックスは、例えばゾル−ゲル処理またはその他の低温マトリックス形成法によって調製される金属酸化物マトリックスであり得る。この金属酸化物マトリックスは結晶性でも非結晶性でもあり得る。この金属酸化物マトリックスは、例えばクラックなどの光散乱性欠損を有さないものであり得る。
【0007】
ナノ結晶を取り込む合成とマトリックスの調製とは、切り離し得る。これまでに確立された文献の手順を用いて、まず、蛍光効率が高く、狭いサイズ分布の高品質ナノ結晶を調製し得、これを基本的要素として使用し得る。C.B.Murrayら,J.Amer.Chem.Soc.1993,115,8706、B.O.Dabbousiら,J.Phys.Chem.B 1997,101,9463(これらはそれぞれ、参考としてその全体が援用される)を参照のこと。ナノ結晶表面の有機表面不動態化リガンドを交換して、エタノールのような極性溶媒中でナノ結晶を安定化し得、また、チタニアゾル−ゲルマトリックス中にナノ結晶を取り込む束縛(tether)を提供し得る。制御可能に水分にさらされたチタン(IV)アルコキシド前駆体を用いるチタニアマトリックスの処方(A.Imhofら,Nature 1997,389,948(参考としてその全体が援用される)を参照のこと)は、ナノ結晶の光学特性に有害であり得る酸触媒を使用する必要がないようにする。熱アニーリングによって複合材調製を完了させ得る。このプロセスでは、ナノ結晶のマトリックス中への取り込みが不完全であると、チタニアマトリックスからナノ結晶の微小規模の相分離が発生し得、光散乱性のフィルムが形成され得るので、不活性雰囲気下でのゲル化時間が重要であり得る。
【0008】
複合材は、マトリックスと適合性である部分を含むか、マトリックス中に可溶性である部分を含むか、またはマトリックスと反応する部分を含む、配位リガンドを含む。配位リガンドは、式
【0009】
【化3】


(式中、kは2、3または5であり、nは1、2、3、4または5であり、mは1または2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、XはO、S、S=O、SO、Se、Se=O、N、N=O、P、P=O、As、またはAs=Oであり、YおよびLの各々は独立して、少なくとも1つの二重結合、少なくとも1つの三重結合、または少なくとも1つの二重結合および1つの三重結合を必要に応じて含有する直鎖または分枝のC2−12炭化水素鎖であり、この炭化水素鎖は、必要に応じて、1つ以上のC1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシル、ハロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C3−5シクロアルキル、3〜5員環のヘテロシクロアルキル、単環式アリール、5〜6員環のヘテロアリール、C1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルカルボニル、またはホルミルにより置換されており、そしてこの炭化水素鎖は、必要に応じて、−O−、−S−、−N(R)−、−N(R)−C(O)−O−、−O−C(O)−N(R)−、−N(R)−C(O)−N(R)−、−O−C(O)−O−、−P(R)−、または−P(O)(R)−により割り込まれており、RおよびRの各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、ヒドロキシル、またはハロアルキルであり、Zは、ヒドロキシ、スルフヒドリル、スルフィネート、スルフィン酸、スルホネート、スルホン酸、ジスルフィド、カルボキシル、カルボキシレート、アミン、アミド、アルコキシシリル、ハロシリル、ホスフェート、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスフィネート、ホスフィン酸、またはホスフィン酸エステルである)を有し得る。ある種の状況において、kは3であり、nは1、2または3であり、mは1、2または3であり、XはPまたはP=Oであり、YはC1−6アルキルであり、Lは直鎖または分枝のC2−6炭化水素鎖であり、Zはヒドロキシ、カルボキシル、カルボキシレート、アミン、またはアミドである。
【0010】
別の局面では、複合材の製造方法は、半導体ナノ結晶を提供する工程、マトリックス前駆体を提供する工程、マトリックスと適合性である部分を含むかマトリックス中に可溶性である部分を含むかあるいはマトリックスと反応する部分を含む配位リガンドと、半導体ナノ結晶を接触させる工程、半導体ナノ結晶をマトリックス前駆体と接触させる工程、前駆体および半導体ナノ結晶から固体を形成する工程を包含する。この前駆体は、金属ハロゲン化物または金属アルコキシドであり得る。この固体は、前駆体および半導体ナノ結晶を基材上にコーティングして形成し得る。
【0011】
1つの局面では、利得媒体は、金属酸化物マトリックス中に分布している複数の半導体ナノ結晶を含有する。利得媒体を使用して、光放射を増幅し得るか、またはレージング(lasing)により光放射を生成し得る。特に、利得媒体は、高利得を提供する半導体ナノ結晶の濃縮固体(半導体ナノ結晶の稠密充填フィルムなど)を含有し、短い増幅器またはキャビティの長さにわたって光増幅またはレージングを生成する。
【0012】
レーザーには、光利得媒体と、フィードバックを提供するように光利得媒体に対して配置されたキャビティとが含まれる。光利得媒体は、金属酸化物マトリックス中に分布している複数の半導体ナノ結晶を含み得る。
【0013】
導波管は複合材の層を含み得、この複合材は、金属酸化物マトリックス中に分布している複数の半導体ナノ結晶を含む。導波管は複数の層を含み得、その少なくとも1つの層は、半導体ナノ結晶を含有する。導波管は第1の複合材を含む第1の層と、第2の複合材を含む第2の層とを含み得、第1の複合材および第2の複合材はそれぞれ、複数の半導体ナノ結晶を含み、第1の複合材は、第2の複合材の屈折率とは異なる屈折率を有する。
【0014】
光信号を増幅する方法は、金属酸化物マトリックス中に分布している複数の半導体ナノ結晶を含む複合材内へ光ビームを向けることを含む。
【0015】
レーザーを形成する方法は、光利得媒体に対してキャビティを配置することによって、光利得媒体にフィードバックを提供することを含む。光利得媒体は、金属酸化物マトリックス中に分散されている複数の半導体ナノ結晶を含む。
【0016】
複合材は、実質的に欠損を持たないものであり得、複合材が光放射に対して利得を提供しないような損失(散乱など)が少なくなり得る。複合材は、ナノ結晶の最大バンドギャップ発光と等しいかまたはそれより低いエネルギーで、光信号に利得を提供し得る。また、複合材は、濃縮固体が実質的に吸収を有さないエネルギーで利得を提供可能である。
【0017】
複合材は、0.2体積%より多い半導体ナノ結晶、5体積%より多い半導体ナノ結晶、10体積%より多い半導体ナノ結晶、または15体積%より多い半導体ナノ結晶を含み得る。複数の半導体ナノ結晶のそれぞれは、同一または異なる第1の半導体材料を含有する。第1の半導体材料は、II−VI族化合物、II−V族化合物、III−VI族化合物、III−V族化合物、IV−VI族化合物、I−III−VI族化合物、II−IV−VI族化合物、またはII−IV−V族化合物(例えば、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、GaSe、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、またはこれらの混合物など)であり得る。第1の半導体材料はそれぞれ、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgO、MgS、MgSe、MgTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、またはこれらの混合物などの第2の半導体材料でオーバーコーティングされる。第1の半導体材料のそれぞれは第1のバンドギャップを有し、第2の半導体材料のそれぞれは、第1のバンドギャップより大きい第2のバンドギャップを有する。それぞれのナノ結晶は、約10ナノメートル未満の直径を有し得る。複数のナノ結晶は、単分散のサイズ分布を有する。複数のナノ結晶は、複数の単分散サイズ分布を有する。複数の単分散サイズ分布は、広いエネルギー範囲にわたって、あるいは例えば利得の半値全幅(FWHM)が75nm未満であるような複数の狭い範囲(狭い範囲のうちの少なくともいくつかはエネルギーが重なり合わないように別々のエネルギーで利得の最大値が生じる)にわたって、利得を提供し得る。ナノ結晶の濃縮固体は、ガラスなどの基材上に配置される。ナノ結晶の濃縮固体は、約0.2ミクロンよりも大きい厚さを有する。
【0018】
金属酸化物マトリックスは、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ホウ素、酸化リン、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、またはこれらの混合物を含み得る。
【0019】
増幅された自然放出(ASE)を観察するのに十分高い体積分率で、複合材においてチタニアマトリックス中のナノ結晶を安定化すると、多波長でASEを示すより複雑な構造の形成に対して、室温におけるASEの観察などの利点をもたらすことができる。このような構造を適切なフィードバックに結合させると、広いスペクトル範囲にわたって同調可能な室温レーザーの開発が可能になる。また、これらのマトリックスは、高いナノ結晶密度およびマトリックス安定性が重要である、ナノ結晶のその他の非線形光学用途に有用であり得る。
【0020】
本発明のその他の特徴、目的および利点は、説明および図面ならびに特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は複合材の略図である。
【図2】図2は、13μm×13μm領域のナノ結晶−チタニアフィルムの原子間力顕微鏡(AFM)画像であり、巨視的な欠損がないことを示し、計算される表面粗度(RMS)は約6nmである。挿入図は、予め清浄にした顕微鏡スライドガラス上にスピンコーティングされたフィルム(厚さ=0.31μm)の簡略図を示す。
【図3A】図3Aは、80Kにおける閾値より下のナノ結晶−チタニアフィルムの正規化発光スペクトルのプロットである。サブバンドギャップのディープトラップ発光がないことは、合成時のナノ結晶の高品質がチタニアフィルム内に取り込まれた際に保存されることを示す。発光スペクトルのFWHM線幅は、25nm〜30nmの間の範囲である。
【図3B】図3Bは、80Kにおける閾値より上の同じフィルムの正規化発光スペクトルのプロットである。誘導放出が媒介する線幅の減少(FWHM<11nm)は、自然放出スペクトルの長波長端部において明らかである。
【図4】図4は、閾値よりも上(実線)および下(点線)のナノ結晶−チタニアフィルムの室温における正規化発光スペクトルのプロットである。これらの複合材における誘導放出の開始の結果として、この場合も、線幅の減少が観察される。ASEピークは自然放出ピークの赤色端部に位置される。
【図5】図5は、多層ジオメトリのナノ結晶−チタニア複合材フィルムからの80Kにおける同時多色ASEスペクトルのプロットである。挿入図はそれぞれ、多層構造の図表示と、励起強度の関数としてのASEピークのパワー依存性とを示す。また、層のASE閾値が矢印で記される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(詳細な説明)
化学的に合成された半導体ナノ結晶(NC)は、色の調整が可能でフレキシブルな多目的発色団系の見込みを提供し、キャリアの強力な量子閉じ込めによって特異なサイズ依存性の光学特性がもたらされる。A.P.Alivisatos,Science 1996,271,933、 M.Bruchezら,Science 1998,281,2013、 W.C.Chanら,Science 1998,281,2016、 H.Mattoussiら,J.Am.Chem.Soc.2000,122,12142を参照。これらはそれぞれ、参考としてその全体が援用される。強力な量子閉じ込めによって、原則として、これらのナノ結晶は、非線形光学用途における潜在的な基本的要素とされる。例えば、ナノ結晶における次元低下およびその結果であるキャリアの量子閉じ込めは、温度の影響を受けず容易に同調可能な利得媒体の開発を促進する。M.Asadaら,IEEE J.Quant.Electron.1986,22,1912およびY.Arakawaら,Appl.Phys.Lett.1982,40,939を参照のこ。これらはそれぞれ、参考としてその全体が援用される。最近、Klimovら,Science 2000,290,314において、CdSeナノ結晶の稠密充填フィルムにおける増幅された自然放出(ASE)の最初の観察が報告され、誘導放出を促進するために必要なパラメータが推論された。狭いサイズ分布を有する高いナノ結晶濃度は、ナノ結晶フィルムにおけるASEのこれまでの観察を妨害した固有のオージェイオン化プロセスを克服するために重要である。J.Buttyら,Appl.Phys.Lett.1995,67,2672、H.Giessenら,Phase Transitions 1999,68,59、F.Gindeleら,Appl.Phys.Lett.1997,71,2181を参照のこと。これらはそれぞれ、参考としてその全体が援用される。
【0023】
ナノ結晶は、ASEを観察するのに十分高い体積分率において、無機ゾル−ゲル金属酸化物(例えば、チタニア)マトリックス内で安定化され得る。ナノ結晶の特異な光学特性を利用して、可視スペクトル(550nm〜650nm)のほぼ全体にわたって同調可能である、狭い利得プロファイルを有する複合材を生成し得る。稠密充填フィルムと比較して、このマトリックス−ナノ結晶複合材の優れた安定性は、80Kにおいてだけでなく室温でも一貫してASE挙動を示すナノ結晶−チタニア導波管をもたらすために使用し得る。最後に、複合材ナノ結晶−チタニアフィルムの屈折率を調整するナノ結晶の追加能力は、これらの複合材を生成するために必要とされる容易な合成条件と組み合わされた場合に、単一光源で励起されながらスペクトル的に別個の領域で同時にASEを示すより複雑な導波管構造を作製することを可能にし得る(ナノ結晶に基づく白色レーザーの生成に向けての第1のステップ)。
【0024】
増幅器およびレーザーは、放射を増幅するため、あるいはレージングによって放射を生成するために、利得媒体を含む。利得媒体は複数の半導体ナノ結晶を含み得る。ナノ結晶は、吸収波長において光源で照射されて、発光波長における発光を生じ得る。発光は、量子閉じ込め半導体材料のバンドギャップと一致する周波数を有する。バンドギャップはナノ結晶サイズの関数である。小さい直径を有するナノ結晶は、物質の分子形態とバルク形態との中間の特性を有し得る。例えば、小さい直径を有する半導体材料に基づくナノ結晶は、三次元全てにおいて電子および正孔の両方の量子閉じ込めを示し得、これにより、結晶サイズの減少と共に材料の有効バンドギャップの増大がもたらされる。したがって、ナノ結晶の光の吸収および発光はいずれも、微結晶サイズが減少するにつれて、青色(すなわち、高エネルギー)側にシフトする。
【0025】
ナノ結晶からの発光は狭いガウス発光バンドであり得、これは、ナノ結晶のサイズ、ナノ結晶の組成、またはその両方を変化させることによって、スペクトルの紫外領域、可視領域または赤外領域の全波長範囲にわたって同調させ得る。例えば、CdSeは可視領域において同調させ得、InAsは赤外領域において同調させ得る。ナノ結晶の集合の狭いサイズ分布は、狭いスペクトル範囲の光の放出をもたらし得る。この集合は単分散であり得、15%未満、好ましくは10%未満、更に好ましくは5%未満のナノ結晶直径のrms偏差を示し得る。半値全幅(FWHM)が約75nm以下、好ましくは60nm以下、さらに好ましくは40nm以下、最も好ましくは30nm以下の狭い範囲のスペクトル発光が、観察され得る。発光の幅は、ナノ結晶直径の分散度の低下に従って減少する。半導体ナノ結晶は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、または80%よりも高いような高発光量子効率を有し得る。
【0026】
ナノ結晶を形成する半導体としては、II−VI族化合物、II−V族化合物、III−VI族化合物、III−V族化合物、IV−VI族化合物、I−III−VI族化合物、II−IV−VI族化合物、およびII−IV−V族化合物(例えば、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、GaSe、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbS、PbSe、PbTe)またはこれらの混合物を挙げ得る。
【0027】
単分散半導体ナノ結晶の調製方法には、高温の配位溶媒中に注入されたジメチルカドミウムなどの有機金属試薬の熱分解が含まれる。これにより、離散的な核生成が可能になり、その結果、巨視的な量のナノ結晶の制御された成長が得られる。ナノ結晶の調製および操作は、例えば米国特許第6,322,901号(参考としてその全体が本明細書中に援用される)に記載されている。ナノ結晶の製造方法は、コロイド成長プロセスである。コロイド成長は、MドナーおよびXドナーを高温の配位溶媒に急速に注入することによって生じる。注入により、ナノ結晶を形成するために制御された方法で成長させ得る、核が生成される。反応混合物を穏やかに加熱して、ナノ結晶を成長および焼なまし得る。サンプル中のナノ結晶の平均サイズおよびサイズ分布はいずれも、成長温度に依存する。安定した成長を維持するために必要な成長温度は、平均結晶サイズが増大するとともに上昇する。ナノ結晶は、ナノ結晶の集合体の一員である。離散的な核形成および制御された成長の結果として、得られたナノ結晶の集合体は、直径の狭い単分散分布を有する。直径の単分散分布は、サイズとも呼ばれ得る。また、核形成に続く、配位溶媒中のナノ結晶の制御された成長および焼なましプロセスは、均一な表面誘導体化および規則的なコア構造をもたらすことができる。サイズ分布が鋭くなるにつれて、安定した成長を維持するために温度を上昇させることができる。より多くのMドナーまたはXドナーを添加することによって、成長期間を短縮することができる。
【0028】
Mドナーは、無機化合物でも、有機金属化合物でも、または元素金属でもよい。Mは、カドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウムまたはタリウムである。Xドナーは、Mドナーと反応して一般式MXを有する材料を形成することができる化合物である。通常、Xドナーは、ホスフィンカルコゲニド、ビス(シリル)カルコゲニド、二酸素、アンモニウム塩、またはトリス(シリル)プニクチド(pnictide)などの、カルコゲニドドナーまたはプニクチドドナーである。適切なXドナーとしては、二酸素、ビス(トリメチルシリル)セレニド((TMS)Se)、(トリ−n−オクチルホスフィン)セレニド(TOPSe)または(トリ−n−ブチルホスフィン)セレニド(TBPSe)などのトリアルキルホスフィンセレニド、(トリ−n−オクチルホスフィン)テルリド(TOPTe)またはヘキサプロピルリントリアミドテルリド(HPPTTe)などのトリアルキルホスフィンテルリド、ビス(トリメチルシリル)テルリド((TMS)Te)、ビス(トリメチルシリル)スルフィド((TMS)S)、(トリ−n−オクチルホスフィン)スルフィド(TOPS)などのトリアルキルホスフィンスルフィド、ハロゲン化アンモニウム(例えば、NHCl)などのアンモニウム塩、トリス(トリメチルシリル)ホスフィド((TMS)P)、トリス(トリメチルシリル)アルセニド((TMS)As)、もしくはトリス(トリメチルシリル)アンチモニド((TMS)Sb)が挙げられる。特定の実施形態では、MドナーおよびXドナーは、同一分子内の部分でもよい。
【0029】
反応混合物の溶媒中の配位リガンドは、ナノ結晶の成長の制御を手助けすることができる。配位リガンドはドナー孤立対を有する化合物であり、これは、例えば、成長中のナノ結晶表面に配位するために利用可能な孤立電子対を有する。リガンドの配位は、成長中のナノ結晶を安定化し得る。通常の配位リガンドはホスフィン、酸化ホスフィン、ホスホン酸またはホスフィン酸を含む。ピリジン、フランおよびアミンなどのその他の配位リガンドもまた、ナノ結晶の生成に適切であり得る。適切な配位リガンドの例としては、ピリジン、トリ−n−オクチルホスフィン(TOP)、およびトリ−n−オクチルホスフィン酸化物(TOPO)が挙げられる。テクニカルグレードのTOPOが、使用され得る。
【0030】
反応の成長段階の間のサイズ分布は、粒子の吸収線幅を監視することによって推定することができる。粒子の吸収スペクトルの変化に応答して反応温度を変更すると、成長の間、鋭い粒子サイズ分布の維持が可能になる。結晶成長の間に核形成溶液へ反応物を添加して、より大きい結晶を成長させ得る。特定のナノ結晶平均直径で成長を停止させ、半導体材料の適切な組成を選択することによって、ナノ結晶の発光スペクトルは、CdSeおよびCdTeに対して300nm〜5ミクロン、または400nm〜800nmの波長範囲にわたって連続的に同調させ得る。ナノ結晶は150Å未満の直径を有する。ナノ結晶の集合体は15Å〜125Åの範囲の平均直径を有する。
【0031】
ナノ結晶は、狭いサイズ分布を有するナノ結晶の集合体の一員であり得る。ナノ結晶は、球形でも、ロッドでも、ディスクでも、または他の形状でもよい。ナノ結晶は、半導体材料のコアを含み得る。ナノ結晶は、式MXを有するコアを含み得、ここでMは、カドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、またはこれらの混合物であり、Xは、酸素、硫黄、セレン、テルル、窒素、リン、ヒ素、アンチモンまたはこれらの混合物である。
【0032】
コアは、コア表面上にオーバーコーティングを有し得る。オーバーコーティングは、コアの組成と異なる組成を有する半導体材料であり得る。ナノ結晶の表面上の半導体材料のオーバーコートとしては、II−VI族化合物、II−V族化合物、III−VI族化合物、III−V族化合物、IV−VI族化合物、I−III−VI族化合物、II−IV−VI族化合物、およびII−IV−V族化合物(例えば、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、GaSe、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbS、PbSe、PbTe)またはこれらの混合物が挙げられ得る。例えば、ZnSオーバーコーティング、ZnSeオーバーコーティングまたはCdSオーバーコーティングは、CdSeナノ結晶またはCdTeナノ結晶上に成長させ得る。オーバーコーティングプロセスは、例えば、米国特許第6,322,901号(参考としてその全体が本明細書中に援用される)に記載されている。オーバーコーティングの間に反応混合物の温度を調整し、コアの吸収スペクトルを監視することによって、高い発光量子効率および狭いサイズ分布を有する、オーバーコーティングされた材料を獲得し得る。
【0033】
米国特許第6,322,901号(参考としてその全体が本明細書中に援用される)に記載されるようにメタノール/ブタノールなどのナノ結晶の貧溶媒を用いるサイズ選択的沈殿によって、粒子サイズ分布をさらに改良し得る。例えば、ナノ結晶は、10%のブタノールのヘキサン溶液中に分散させ得る。乳白光が持続するまで、この攪拌溶液中にメタノールを滴下して添加することができる。遠心分離による上澄みと凝集物の分離によって、このサンプルの最大微結晶が濃縮された沈殿物が生成される。光吸収スペクトルが更に鋭くならないことが認められるまで、この手順を繰り返すことができる。サイズ選択的沈殿は、ピリジン/ヘキサンおよびクロロホルム/メタノールを含む様々な溶媒/非溶媒ペア中で実施することができる。サイズ選択されたナノ結晶の集合体は、平均直径からのrms偏差15%以下を有し得、好ましくはrms偏差10%以下、さらに好ましくはrms偏差5%以下を有し得る。
【0034】
ナノ結晶の外側表面は、成長プロセス中に使用される配位リガンドから誘導される化合物の層を含むことができる。表面は、過剰の競合配位基に繰り返しさらして上層を形成することによって、変性することができる。例えば、キャップされたナノ結晶の分散は、ピリジンなどの配位有機化合物で処理されて、ピリジン、メタノールおよび芳香族化合物に容易に分散するが脂肪族溶媒にはもはや分散しない、微結晶を生成することができる。このような表面交換プロセスは、例えばホスフィン、チオール、アミンおよびホスフェートを含む、ナノ結晶の外側表面に配位または結合できる任意の化合物を用いて実施することができる。ナノ結晶は、表面親和性を示し、かつ懸濁媒体または分散媒体に対する親和性を有する部分が末端にある、短鎖ポリマーへ曝され得る。このような親和性は懸濁液の安定性を高め、ナノ結晶の凝集を阻止する。
【0035】
配位リガンドは、マトリックスと適合性である部分を含むか、マトリックス中に可溶性である部分を含むか、あるいはマトリックスと反応する部分を含み得る。より詳細には、リガンドは、式
【0036】
【化4】


(式中、kは2、3または5であり、nは1、2、3、4または5であり、mは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。XはO、S、S=O、SO、Se、Se=O、N、N=O、P、P=O、As、またはAs=Oである。YおよびLの各々は独立して、少なくとも1つの二重結合、少なくとも1つの三重結合、または少なくとも1つの二重結合および1つの三重結合を必要に応じて含有する直鎖または分枝のC2−12炭化水素鎖である。炭化水素鎖は、必要に応じて、1つ以上のC1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシル、ハロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C3−5シクロアルキル、3〜5員環のヘテロシクロアルキル、単環式アリール、5〜6員環のヘテロアリール、C1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルカルボニル、またはホルミルにより置換され得る。炭化水素鎖は、必要に応じて、−O−、−S−、−N(R)−、−N(R)−C(O)−O−、−O−C(O)−N(R)−、−N(R)−C(O)−N(R)−、−O−C(O)−O−、−P(R)−、または−P(O)(R)−により割り込まれ得る。RおよびRの各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、ヒドロキシル、またはハロアルキルであり得る)を有し得る。
【0037】
Zは、マトリックスと適合性である部分であるか、マトリックス中に可溶性である部分であるか、あるいはマトリックスと反応する部分である。例えばZは、ヒドロキシ、スルフヒドリル、スルフィネート、スルフィン酸、スルホネート、スルホン酸、ジスルフィド、カルボキシル、カルボキシレート、アミン、アミド、アルコキシシリル、ハロシリル、ホスフェート、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスフィネート、ホスフィン酸、またはホスフィン酸エステルであり得る。
【0038】
適切な配位リガンドは、商業的に購入することもできるし、例えばJ.March,Advanced Organic Chemistry(参考としてその全体が援用される)に記載されように、通常の合成有機技法によって調製することもできる。
【0039】
ナノ結晶を含有する複合材は、マトリックスと適合性である部分を含むかマトリックス中に可溶性である部分を含むかあるいはマトリックスと反応する部分を含む、配位リガンドを含有する溶媒中に、上記の半導体ナノ結晶粉体を再分散させて形成することができる。マトリックス前駆体は、金属ハロゲン化物または金属アルコキシド(例えばチタンアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、ケイ素アルコキシド、マグネシウムアルコキシド、ホウ素アルコキシド、リンアルコキシド、ゲルマニウムアルコキシド、インジウムアルコキシド、スズアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド)またはそれらの混合物などの、金属酸化物前駆体であり得る。金属酸化物前駆体は、商業的に入手することもできるし、金属をアルコールと接触させて調製することもできる。金属酸化物前駆体中のナノ結晶の透明蛍光溶液(すなわち、プレポリマー)が得られ、次にこれをろ過し、例えば制御された湿度条件下で基材上にスピンコーティングまたはドロップキャスティング(drop cast)して、フィルムなどの固体を生成する。フィルムを加熱してマトリックスを形成し、冷却して複合材を形成することができる。ナノ結晶、配位リガンド、および金属酸化物前駆体の成分の相対的な比率を実験的に調整して、複合材の屈折率を調整することができる。溶液の固体含量を調整して、所望の膜厚を提供することができる。膜厚は、フィルムがスピンコーティングされる速度によっても制御することができる。異なるナノ結晶−チタニアプレポリマー溶液およびニートチタニア緩衝層(buffer,neat titania layer)を連続してスピンコーティングし、各連続スピンコーティングステップの間にフィルムを焼なますことによって、より複雑なフィルムの幾何学的形状が合成される。
【0040】
基材は、ナノ結晶と反応しない任意の材料から製造することができる。基材は、特定の光放射エネルギーで不透過性または透過性であるように選択することができる。基材は様々な形状に形成することができる。基材材料の例としては、サファイアおよびケイ素が挙げられる。フィルムを受け取る前に、表面の有機汚染物質を除去するために、酸素プラズマにより基材を清浄にすることができる。あるいはケイ素基材を、基材表面の親水性を増大させるために、超純水中で沸騰させ、約175℃で乾燥させることによって、ドロップキャスティングのために準備することができる。
【0041】
透過型電子顕微鏡(TEM)は、ナノ結晶の集合体のサイズ、形状および分布についての情報を提供することができる。粉体のX線回折(XRD)パターンは、ナノ結晶の結晶構造のタイプおよび品質についての最も完全な情報を提供することができる。また、粒子の直径は、X線のコヒーレンス長を介して、ピーク幅に反比例するので、サイズの推定も可能である。例えば、ナノ結晶の直径は、透過型電子顕微鏡によって直接測定するか、あるいは、例えばシェラー(Scherrer)の式を用いてX線回折データから推定することができる。また、ナノ結晶の直径は、UV/可視吸収スペクトルから推定することもできる。固体ナノ結晶の厚さは、ナノ結晶固体の光吸収を測定し、ベールの法則を適用することによって、紫外/可視分光計を用いて決定することができる。
【0042】
複合材は実質的に欠損を持たないことが可能なので、薄膜は、光源により励起されたときに光放射に対する利得を提供する。欠損を含むナノ結晶固体、すなわち、実質的に欠損を持たない薄膜は、損失、例えば散乱を起こすので、光源で励起された場合に、薄膜は光放射の利得を生成しない。膜厚は、一般に、約0.2ミクロン〜10ミクロンの間であり得る。
【0043】
過渡的吸収フェムト秒レーザー実験などのポンプ−プローブレーザー実験を用いて、半導体ナノ結晶の濃縮固体の光利得を決定することができる。稠密充填固体などの半導体ナノ結晶の濃縮固体は、約10cm−1、25cm−1、50cm−1、100cm−1、または1,000cm−1の光放射利得を示すことができる。光源がナノ結晶を励起して、半導体ナノ結晶中に電子−正孔(e−h)対を生成するときに、半導体ナノ結晶の薄膜において利得の開始が起こる。励起源が1つの半導体ナノ結晶当たり約1.0、1.5、または2.0より多いe−h対を生成する場合、ある範囲の温度(約6K〜310K、またはそれより高い)において、半導体ナノ結晶の濃縮固体中で利得を観察することが可能である。光源の出力密度を増大して、e−h対の数を増大すると、薄膜の利得を高めることができる。光学的に説明したが、励起源は電気的でもよい。概して、励起源はナノ結晶固体の反転分布を生じることが可能であるべきである。
【0044】
濃縮固体の利得は、バンドギャップ光ルミネセンス、すなわち発光と等しいかまたはそれより低いエネルギーで生じる。例えば、最大利得は、最大バンドギャップ発光において、またはそれより低いエネルギーで生じることができる。バンドギャップ発光のエネルギーは、上述のように、量子閉じ込めナノ結晶の半導体材料およびサイズに依存する。利得の最大値と発光最大値のエネルギー差は、ナノ結晶サイズの減少と共に小さくなる。
【0045】
半導体ナノ結晶の複合材は、約75nmより小さいFWHMを有するエネルギーバンドのように狭い放射エネルギーバンドの利得を生成するために、同一サイズおよび同一半導体材料のナノ結晶を含むことができる。あるいは、広い放射エネルギーバンドにおいて、または異なる放射エネルギーを中心とする多数の狭いバンドにおいて、利得を生成するために、半導体薄膜は、異なる材料、同一材料だが異なるサイズを有する材料、あるいはその両方から製造されてもよい。
【0046】
図1を参照すると、増幅器10は、基材20および利得媒体30を含む。利得媒体30は金属酸化物マトリックス33中のナノ結晶32の複合材を含む。作動中、増幅器10のユーザーは、利得媒体30を通過するように入力光放射ビーム40を向けると共に、利得媒体を励起して反転分布を引き起こすために外部光放射ビーム50を提供する。入力光ビーム40のエネルギーと、利得媒体30が利得を促進するエネルギーとが重なっていれば、増幅器10は光ビーム40を増幅し、増幅出力ビーム60を生成する。
【0047】
ナノ結晶−チタニア複合材を調製するための一般的な方法論は、次の通りである。合成時のナノ結晶(C.B.Murrayら,J.Amer.Chem.Soc.1993,115,8706、B.O.Dabbousiら,J.Phys.Chem.B 1997,101,9463を参照)は、メタノールを用いるブタノール−へキサン溶液からの2〜3回の沈殿/再分散サイクルによって、その生来のTOPOキャップが除去される。得られる粉体を真空下で排気し、窒素雰囲気のグローブボックス内に入れる。次にナノ結晶を最少量のテトラヒドロフランに再分散させた後、エタノールならびに化学量論的に等価のトリス−ヒドロキシルプロピルホスフィン(tHPP)およびチタン(IV)ブトキシド(TBOT)と混合する。グローブックス内で、この溶液を60℃で少なくとも3〜4時間攪拌させた。チタニアプレポリマー中のナノ結晶の透明な蛍光性溶液が得られ、次にこれをろ過し、湿度制御(約20%)ボックス内で、予め清浄にした顕微鏡用ガラススライド上にスピンコーティングする。得られた薄膜を、次に、200℃で2分間、加熱ブロックへ移動させる。最後に、ガラススライドを室温まで急速に冷却させて、透明なナノ結晶/チタニア複合材薄膜を得る。ナノ結晶およびtHPP/TBOTの相対的な比率は、複合材薄膜に必要とされる屈折率によって実験的に決定した。tHPP/TBOTおよびエタノールの比率は所望される膜厚によって決定した。また、膜厚は、薄膜をスピンコーティングする速度によっても制御することができる。異なるナノ結晶−チタニアプレポリマー溶液およびニートチタニア緩衝層を連続してスピンコーティングし、各連続スピンコーティングステップの間に薄膜をアニーリングすることによって、より複雑な薄膜の幾何学的形状が合成される。
【0048】
薄膜の吸収特性および屈折率特性は、それぞれ、CaryスペクトロメータおよびGaetnerエリプソメータを用いて特徴付けた。薄膜の干渉縞は、プロファイロメータを用いて独立的に測定される膜厚と合わせると、薄膜の屈折率の推定値を提供する。これらの複合材内のナノ結晶の体積分率は、以前に計算されたナノ結晶の吸収断面積の値(L.A.Coldrenの米国特許第4,896,325号を参照)を用いて、吸収およびプロファイロメータの測定値から計算した。AFMを用いて、表面粗度および表面クラックの分布について薄膜を特徴付けた。
【0049】
薄膜の光学的調査を次の通りに行った。空気中で直接か、あるいは低温保持装置内に取り付けて、薄膜を研究した。次に、低温保持装置を80Kに冷却するか、あるいは室温で維持した。円柱レンズを用いて縞の中に焦点があわせられる100fsの再生増幅Ti−サファイアレーザー(400nm)を用いて、薄膜を導波方向と垂直に光学的にポンピングした。次に、励起方向に垂直な光ファイバケーブルを用いて導波された蛍光を集め、スペクトロメータ内で分散させ、液体窒素冷却CCDカメラを用いて集光する。
【0050】
図2は熱アニーリング後の光学的に透明なナノ結晶−チタニア複合材のAFM走査を示す。13μm×13μmの領域にわたる表面粗度(RMS)は、約6nmである。このような粗度は、複合材内で安定化されたナノ結晶サイズ(5nm直径)と同程度である。複合材薄膜の導波効率を低下させ、ASEの観察を妨害する巨視的なクラックやその他の欠損は、走査領域全体にわたって認められない。複合材薄膜の吸収スペクトルを、ナノ結晶の膜厚測定値および吸収断面積(C.A.Leatherdale,Ph.D.Dissertation,Massachusetts Institute of Technology,1999を参照、参考としてその全体が援用される)と組み合わせて、薄膜中のナノ結晶の体積分率を計算する。これらの薄膜中のナノ結晶の体積分率を10〜12%の高さに調整することができる。このような体積分率は、Klimov(V.I.Klimovら,Science 2000,290,314を参照、参考としてその全体が援用される)により計算されるASEに理論上必要な体積分率(約1%)よりも高いが、稠密充填ナノ結晶薄膜で達成される体積分率(約20%)より低い。0.2〜0.7μmに調整可能な厚さの薄膜を、1.5cmの基材上に再生可能に合成することができる。これらの巨視的な距離に対する膜厚の変動は、通常、10〜20nmである。さらに、マトリックス中のナノ結晶の体積分率を調整することによって、ナノ結晶−チタニア薄膜の屈折率を1.65〜1.82に調整することもできる。
【0051】
図3は、これらのナノ結晶−チタニア複合材を用いてナノ結晶利得プロファイルを調整することができる広いスペクトル窓を示すことによって、活性利得材料としてナノ結晶を用いる魅力を証明する。同じ安定化化学を用いて、これらの強力な量子閉じ込めナノ結晶のサイズ依存性の光学特性を利用して、560nm〜650nmのASEを示すナノ結晶−チタニア複合材を合成する。図3Aおよび図3Bは、それぞれ、ASE閾値より下および上の複合材薄膜の範囲の80Kにおける光学応答を要約することによって、このフレキシビリティを説明する。図3Aはレイジング閾値よりも下の異なるサイズのナノ結晶の正規化された発光スペクトルを示す。これら全ての薄膜における自然放出ピークの線幅は約30nm(FWHM)(合成時のナノ結晶の比較的狭いサイズ分布を示す線幅)である。サブバンドギャップの赤色トラップルミネセンスの不在も、ゾル−ゲル処理を通して、構成ナノ結晶の光学特性が保持されることを示す。自然放出スペクトルに矢印で記したのは、観察されたASEピークの位置である。図3Bは、閾値より上の同じ複合材薄膜からのASEスペクトルを示す。これらのASEピークのFWHMは10nm未満なので、線幅の大幅な減少は非常に明らかである。また、図3Aおよび図3Bから明らかであるように、例外なく、これらの薄膜で見られるASEピークは、自然放出ピークの赤色端部にある。このような挙動は、正味の利得が蛍光ピークの赤色側(再吸収損失が最小限となる)でのみ最高であるはずであるという予想と一致する。このような挙動は、稠密充填ナノ結晶薄膜におけるKlimovらの利得の実験観察とも一致する(V.I.Klimovら,Science 2000,290,314を参照、参考としてその全体が援用される)が、その他の観察とは対照をなす。F.Gindele,Appl.Phys.Lett.1997,71,2181を参照(参考としてその全体が援用される)。しかしながら、明確なASE信号の欠如(F.Gindele,Appl.Phys.Lett.1997,71,2181を参照、参考としてその全体が援用される)は、これらの異なる結果の調和を妨害する。
【0052】
次に、自己組織化(self−assembled)薄膜と比較したナノ結晶−チタニア導波管の安定性を利用して、室温(RT)におけるASEを証明する。このように強力に閉じ込められたナノ結晶における温度に影響されない利得プロファイルの存在は理論的に予測および観察されているが、RT ASEの観察は、80Kでも、稠密充填薄膜の不安定性によって妨害されている。しかしながら、ナノ結晶−チタニア薄膜の場合には、急速な熱アニーリングが、チタニアマトリックスを架橋および安定化することによって多孔度を減少させることが予測される。L.A.Coldrenの米国特許第4,896,325号(1988)を参照(参考としてその全体が援用される)。このような安定性を利用して、空気中室温でASEを示す薄膜を得る。図4は、閾値の上と下で、ナノ結晶−チタニア導波管の正規化発光スペクトルを示す。発光線幅の減少はこの場合も明らかであり、ASEピークは自然放出ピークの赤色端部に位置する。このような観察は、ナノ結晶−チタニア複合材から組み立てられ、適切なフィードバックメカニズムで室温で動作できるレーザーの開発を十分に予告する。
【0053】
最後に、これらの薄膜の調製が容易であることを利用して、2つの異なる高屈折率ナノ結晶−チタニア層が低屈折率のニートチタニア層によって隔てられる、より複雑な導波構造を生成する(図5の挿入図)。このような高い体積分率でナノ結晶が存在すると、ニートチタニア薄膜の屈折率は約1.6から1.8程度の高さの値へ増大する。図4は、1つのこのような複合材薄膜の80Kにおける光学応答を再現し、ここで、2つのスペクトル的に別個の領域(559nmおよび624nm)におけるPLスペクトルが特徴的に鋭くなっていることがわかり、それぞれは、ヘテロ構造を構築するために使用されたナノ結晶−チタニア層のうちの1つに対応する。図5の挿入図は、両方のASE波長において、特徴的である超線形挙動を励起強度の関数として示しており、ASE閾値は矢印で記される。同じ層の中で2つの異なるサイズのナノ結晶を単に混合するだけでは、2つの理由から、このような同時ASE挙動が不可能であることに注意することが重要である。第1に、同じ層の中で異なるサイズのナノ結晶を混合すると、そのそれぞれの体積分率が、ASEを観察するのに必要な値よりも低くなる。第2に、ナノ結晶は、そのバンド端吸収状態よりも高いエネルギーで著しい吸収断面積(これらの構造を同時にポンピングするために使用される特徴)を有する。したがって、より小さいサイズのナノ結晶により与えられる任意の利得は、より大きいサイズのナノ結晶からの吸収損失によって除去され、より長い波長でのみASE現象が得られる。導波された光は個々の層そのものに閉じ込められるので、2つのナノ結晶−チタニア層を空間的に分離することで、これらの吸収損失が減少される。この報告の化学的アプローチの強みは、これらの層状複合材の作製が容易であることによって、はっきりと要約される。このような構造は、層状に順次付着された個々の狭い利得の複合材を用いて広帯域利得複合材材料を再構築するためのボトムアップアプローチを表すが、観察された利得は相対的な温度による影響を受けない。
【0054】
そのほかの実施形態は以下の特許請求の範囲内にある。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明により、例えば、以下が提供される:
(項1)
無機マトリックス中に取り込まれた複数の半導体ナノ結晶を含む、複合材。
(項2)
前記無機マトリックスは、金属酸化物を含む、項1に記載の複合材。
(項3)
前記金属酸化物は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ホウ素、酸化リン、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、またはこれらの混合物である、項2に記載の複合材。
(項4)
前記半導体ナノ結晶は、II−VI族化合物、II−V族化合物、III−VI族化合物、III−V族化合物、IV−VI族化合物、I−III−VI族化合物、II−IV−VI族化合物、またはII−IV−V族化合物である、項1に記載の複合材。
(項5)
5体積%よりも多い半導体ナノ結晶を含む、項1に記載の複合材。
(項6)
前記複数のナノ結晶は、単分散のサイズ分布を形成する、項1に記載の複合材。
(項7)
項1に記載の複合材であって、配位リガンドをさらに含み、該配位リガンドは、前記マトリックスと適合性である部分を含有するか、前記マトリックス中に可溶性である部分を含有するか、または前記マトリックスと反応する部分を含有する、複合材。
(項8)
前記配位リガンドは、式
【化1】


を有し、該式において、kは2、3または5であり、nは1、2、3、4または5であり、mは1または2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
XはO、S、S=O、SO、Se、Se=O、N、N=O、P、P=O、As、またはAs=Oであり、
YおよびLの各々は独立して、少なくとも1つの二重結合、少なくとも1つの三重結合、または少なくとも1つの二重結合および1つの三重結合を必要に応じて含有する直鎖または分枝のC2−12炭化水素鎖であり、該炭化水素鎖は、必要に応じて、1つ以上のC1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシル、ハロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C3−5シクロアルキル、3〜5員環のヘテロシクロアルキル、単環式アリール、5〜6員環のヘテロアリール、C1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルカルボニル、またはホルミルにより置換されており、かつ該炭化水素鎖は、必要に応じて、−O−、−S−、−N(R)−、−N(R)−C(O)−O−、−O−C(O)−N(R)−、−N(R)−C(O)−N(R)−、−O−C(O)−O−、−P(R)−、または−P(O)(R)−により割り込まれており、
およびRの各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、ヒドロキシル、またはハロアルキルであり、そして
Zは、ヒドロキシ、スルフヒドリル、スルフィネート、スルフィン酸、スルホネート、スルホン酸、ジスルフィド、カルボキシル、カルボキシレート、アミン、アミド、アルコキシシリル、ハロシリル、ホスフェート、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスフィネート、ホスフィン酸、またはホスフィン酸エステルである、項7に記載の複合材。
(項9)
kは3であり、nは1、2または3であり、mは1、2または3であり、XはPまたはP=Oであり、YはC1−6アルキルであり、Lは直鎖または分枝のC2−6炭化水素鎖であり、Zはヒドロキシ、カルボキシル、カルボキシレート、アミン、またはアミドである、項8に記載の複合材。
(項10)
利得媒体、導波管、またはレーザーを形成する項1に記載の複合材。
(項11)
複数の層を含む導波管であって、少なくとも1つの層が第1の金属酸化物マトリックス中に第1の半導体ナノ結晶を含有する、導波管。
(項12)
項11に記載の導波管であって、第2の複合材を含む第2の層をさらに含み、該第2の複合材は、第2の半導体ナノ結晶を含有し、かつ前記第1の金属酸化物マトリックスの屈折率とは異なる屈折率を有する、導波管。
(項13)
前記第1の金属酸化物マトリックスは、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ホウ素、酸化リン、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、またはこれらの混合物である、項11に記載の導波管。
(項14)
前記第2の複合材は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ホウ素、酸化リン、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、またはこれらの混合物を含む、項12に記載の導波管。
(項15)
前記半導体ナノ結晶は、II−VI族化合物、II−V族化合物、III−VI族化合物、III−V族化合物、IV−VI族化合物、I−III−VI族化合物、II−IV−VI族化合物、またはII−IV−V族化合物である、項11に記載の導波管。
(項16)
複合材の製造方法であって、
半導体ナノ結晶を提供する工程;
マトリックス前駆体を提供する工程;
マトリックスと適合性である部分を含有するか、マトリックス中に可溶性である部分を含有するか、またはマトリックスと反応する部分を含有する配位リガンドと、該半導体ナノ結晶を接触させる工程;
前記マトリックスの前駆体と前記半導体ナノ結晶を接触させる工程;ならびに
前記前駆体および前記半導体ナノ結晶から固体を形成する工程;
を包含する、方法。
(項17)
前記前駆体は、金属ハロゲン化物または金属アルコキシドである、項16に記載の方法。
(項18)
前記前駆体は、チタンアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、ケイ素アルコキシド、マグネシウムアルコキシド、ホウ素アルコキシド、リンアルコキシド、ゲルマニウムアルコキシド、インジウムアルコキシド、スズアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、またはこれらの混合物である、項16に記載の方法。
(項19)
前記固体を形成する工程は、基材上に前記前駆体および前記半導体ナノ結晶をコーティングする工程を包含する、項16に記載の方法。
(項20)
前記配位リガンドは、式
【化2】


を有し、該式において、kは2、3または5であり、nは1、2、3、4または5であり、mは1または2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
XはO、S、S=O、SO、Se、Se=O、N、N=O、P、P=O、As、またはAs=Oであり、
YおよびLの各々は独立して、少なくとも1つの二重結合、少なくとも1つの三重結合、または少なくとも1つの二重結合および1つの三重結合を必要に応じて含有する直鎖または分枝のC2−12炭化水素鎖であり、該炭化水素鎖は、必要に応じて、1つ以上のC1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシル、ハロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C3−5シクロアルキル、3〜5員環のヘテロシクロアルキル、単環式アリール、5〜6員環のヘテロアリール、C1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルカルボニル、またはホルミルにより置換されており、該炭化水素鎖は、必要に応じて、−O−、−S−、−N(R)−、−N(R)−C(O)−O−、−O−C(O)−N(R)−、−N(R)−C(O)−N(R)−、−O−C(O)−O−、−P(R)−、または−P(O)(R)−により割り込まれており、
およびRの各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、ヒドロキシル、またはハロアルキルであり、そして
Zは、ヒドロキシ、スルフヒドリル、スルフィネート、スルフィン酸、スルホネート、スルホン酸、ジスルフィド、カルボキシル、カルボキシレート、アミン、アミド、アルコキシシリル、ハロシリル、ホスフェート、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスフィネート、ホスフィン酸、またはホスフィン酸エステルである、項16に記載の方法。
(項21)
kは3であり、nは1、2または3であり、mは1、2または3であり、XはPまたはP=Oであり、YはC1−6アルキルであり、Lは直鎖または分枝のC2−6炭化水素鎖であり、Zはヒドロキシ、カルボキシル、カルボキシレート、アミン、またはアミドである、項20に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の複合材、導波管および方法。

【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公開番号】特開2009−152642(P2009−152642A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90558(P2009−90558)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【分割の表示】特願2003−529118(P2003−529118)の分割
【原出願日】平成14年9月17日(2002.9.17)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ・インスティテュート・オブ・テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】