半導体モジュール
【課題】圧接型半導体モジュールにおいて複数の半導体素子を備えた場合でも半導体素子と冷却部材との熱的接触性及び当該冷却部材の放熱性を維持させる。
【解決手段】半導体モジュール1は半導体素子4を介在させた積層部材2とこの部材2の両面に接触配置される一対の冷却部材3a,3bとを備える。冷却部材3a,3bの内部には冷却部材3a,3bと積層部材2との接触面30a,30bと重複しないように冷媒流路31が形成されている。冷却部材3aは付勢部材16により積層部材2に圧接している。冷却部材3a,3bは接触面30a,30bと重複しない壁部32a,32bの壁厚が接触面30a,30bと重複する壁部33a,33bの壁厚よりも薄く設定されている。付勢部材16は密閉部材17の押圧を受けて壁部33aの面に圧接する。積層部材2間の空間には冷却部材3a,3bによって狭持される絶縁熱分離部材15が具備される。
【解決手段】半導体モジュール1は半導体素子4を介在させた積層部材2とこの部材2の両面に接触配置される一対の冷却部材3a,3bとを備える。冷却部材3a,3bの内部には冷却部材3a,3bと積層部材2との接触面30a,30bと重複しないように冷媒流路31が形成されている。冷却部材3aは付勢部材16により積層部材2に圧接している。冷却部材3a,3bは接触面30a,30bと重複しない壁部32a,32bの壁厚が接触面30a,30bと重複する壁部33a,33bの壁厚よりも薄く設定されている。付勢部材16は密閉部材17の押圧を受けて壁部33aの面に圧接する。積層部材2間の空間には冷却部材3a,3bによって狭持される絶縁熱分離部材15が具備される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体モジュールの圧接及び冷却の構造に関する。特に、高温動作が要求される絶縁形パワー半導体モジュール及びこれを備えた電力変換装置に適用される圧接型半導体モジュールの圧接及び冷却の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
代表的な絶縁型パワー半導体モジュールとして、インバータ等の電力変換装置に用いられるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)モジュールがある。また、このIGBTモジュールに代表される「絶縁型パワー半導体モジュール」若しくは「Isolated power semiconductor devices」はそれぞれJEC−2407−2007、IEC60747−15にて規格が制定されている。
【0003】
非特許文献1に開示された一般的な絶縁型パワー半導体モジュールの構造について説明する。図4(a)に示された絶縁型パワー半導体モジュール40において、図4(b)に示されたスイッチング素子であるIGBTやダイオード等の半導体素子41はその下面電極層を介してDBC(Direct Bond Copper)基板42の銅回路箔43上にはんだ付けされる。DBC基板42はセラミックス等からなる絶縁板44の両面に銅回路箔43を直接接合したものである。DBC基板42は放熱のための銅ベース45にはんだ付け(はんだ部46を介して接続)される。
【0004】
半導体素子41の上面電極層はアルミワイヤー47を超音波でボンディングされ、例えばDBC基板42上のもう一つの銅回路箔43と電気的に接続される。そして、DBC基板42の銅回路箔43から外部へ電気を接続するための銅端子48は銅回路箔43とはんだ付けにより接続されている。さらにこの周りをプラスチックのケース49で囲み、その中を電気絶縁のためのシリコーンゲル等が充填されている。ここで、一般に半導体素子41,DBC基板42間のはんだ接合部はDBC基板42,銅ベース45間のはんだ接合部に対し、融点が高く、2回のリフローにより接合されている。
【0005】
近年、半導体素子の動作温度の高温化が進んでおり、動作温度が175℃〜200℃となっており、汎用的なはんだ材料の融点に近い。このため、代替的な材料として金属系高温はんだ(Bi,Zn,Au)、化合物系高温はんだ(Sn−Cu)、低温焼結金属(Agナノペースト)等が提案されている。また、次世代の半導体素子であるSiCは250〜300℃での動作が報告されている。
【0006】
一方、はんだ接続を採用していない半導体モジュールとして図5(a)に例示した平型圧接構造パッケージ50が知られている(非特許文献1,2等)。図5(b)に示したように平型圧接構造パッケージ50内の半導体素子51の上面電極層はコンタクト端子52に接触した状態でMo板53上に備えられている。そして、半導体素子51の端部には半導体素子51及びコンタクト端子52の位置決めをするガイド54が備えられている。
【0007】
平型圧接構造パッケージ50は半導体素子51を両面から冷却できると共にはんだを用いないで電気的、熱的に外部と接続できる。このため、一般的に平型圧接構造パッケージ50の両端をヒートシンクで圧接することで当該パッケージ50の両面を冷却すると共にそのヒートシンクを導電部材として用いている。
【0008】
前記圧接は平型圧接構造パッケージ50の上下のヒートシンク間とで電気的に絶縁する必要があること、当該圧接は板バネで行うがその設計圧接力が平型圧接構造パッケージ50の電極ポストに均等にかかるようにする必要がある。圧接が不良であった場合は半導体素子51の破壊につながる。また、回路を構成するのに、このヒートシンクや圧接のため板バネが小型化の妨げとなるなど使いこなすには熟練を要する。
【0009】
このことから平型圧接構造パッケージ50は限られた装置への適用となり、代わりに使い勝手のよい前記絶縁型パワー半導体モジュールが広く用いられていた。
【0010】
温度サイクル、パワーサイクル等への信頼性を向上するには半導体モジュールを構成する各部材(半導体、金属、セラミックス等)の熱膨張の違いにより生じる課題がある。すなわち、DBC基板‐銅ベース間、DBC基板‐銅端子間において、銅とセラミックスの熱膨張係数の差から間のはんだにせん断応力が働き、はんだに亀裂が生じて熱抵抗が増大し、端子が剥離する虞がある。さらに、半導体素子‐DBC基板間のはんだにも亀裂が生じる場合がある。条件によっては半導体素子上のアルミワイヤーの接続部でも、アルミニウムと半導体素子の熱膨張の差で応力が発生してアルミワイヤーが疲労破断する。
【0011】
近年、年々電力密度が増すこと及び半導体素子内部の接合温度が高くなっていることから、はんだ接合部のせん断応力、アルミワイヤーにかかる応力が大きくなってきている。これに対して熱膨張の影響が半導体モジュールの設計寿命に至るまでの期間の間は顕在化しないようにする必要がある。SiCやGaNのような高温で使用できるワイドバンドキャップ半導体素子の出現によりさらに熱膨張の影響の低減が要求される。
【0012】
そこで、高信頼性、環境性、利便性を同時に実現するために、はんだ接合またはワイヤー接続を採用しないで、両面冷却が容易に実現可能であり放熱性の面で有利な圧接型絶縁形パワー半導体モジュールが発案されている(例えば特許文献1等)。
【0013】
また、図6に例示された従来の両面冷却方式の圧接型半導体モジュール60は、半導体素子62を有する積層部材61を収納したケース63の上下端に冷却部材72をボルト,ナット等の固定部材66によって均一な圧縮応力を印加した状態で備える。ケース63内にははんだ層64,半導体素子62,配線層65a,65bから成る複数の積層部材61が同一平面上に配置されるように収納されている。半導体素子62の上方側に配置された配線層65aはAC側端子67と電気的に接続されている。一方の半導体素子62の下方側に配置された配線層65bは陽極側DC端子68と電気的に接続されている。他方の半導体素子62の下方側に配置された配線層65bは陰極側DC端子69と電気的に接続されている。また、積層部材61と冷却部材72との間には絶縁部材70を介在させている。そして、積層部材61を有する空間には樹脂からなる封止材71が充填される。これにより、積層部材61にかかる応力が適正な範囲に収まり、また全ての半導体素子62に対する圧接力のばらつきが大きくならないようになっている。以上のように機械的に圧接を実現させる方式とは別にはんだ等による界面接合形成技術と樹脂等による封止技術とを併用した方式で圧接型半導体モジュールの信頼性を確保している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】パワーデバイス・パワーICハンドブック,コロナ社,p.289,p.336
【非特許文献2】森、関,「大容量IGBTの最近の進歩」,電気学会誌Vol.118,1998,p276
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2001−267481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
近年さらなる電力変換器の電力の高密度化、小型化、SiC素子等の採用により高温化(冷却機構の小型化)が進むにつれ、はんだや樹脂の接合、封止材料にも高温(例えば200℃以上)への耐性、信頼性が要求されるようになり、材料開発が進んでいる。
【0017】
しかしながら、高温材料の実装時の信頼性はまだ評価され始めたばかりであり、また材料は従来と比べて高コストとなる。これまでの両面冷却圧接構造ははんだ層、樹脂層等の接合、封止層を排除した純粋に両面から加える圧力のみで全ての接合を形成する構成の場合、高温動作時には高温動作時には熱膨張の違いによる応力集中が避けられない。
【0018】
また、図6に例示したタイプの圧接型半導体モジュール60においては積層部材61の上下冷却面間で平行度を維持することが困難となる。その結果、モジュール60を構成する部材の特定の界面で接触圧力が過大または過小となる。
【0019】
スプリング等の機械的な機構のみで接合材、封止材の使用をできるだけ抑えつつ、同時に信頼性があるモジュールを構成できれば、材料面での制約、信頼性を毀損する要因が減り、高温対応が可能な信頼性の高いモジュールの構築が可能となると思われる。
【0020】
但し、両面から圧接、冷却するモジュールを実現する場合、大電流モジュールを実現するために半導体チップの並列化が必要となる。例えば、フルブリッジの3相インバータを実現するためには2in1の単相インバータを3個並列に配置するなど半導体素子の数がモジュール全体では多数となる。そのためには半導体チップに対し1:1で圧接するような構成にすると圧接力を負荷するための機構(例えばばね等)が多数必要となり、部品点数が増える結果、信頼性の低下、大型化、高コスト化が懸念される。
【0021】
以上のようにSiC,GaNなどの高温で使用可能な半導体素子の性能を活かす半導体モジュールにおいて、温度サイクル、パワーサイクル等の信頼性のさらなる向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
そこで、請求項1の半導体モジュールは、半導体素子を介在させた積層部材と、この積層部材の両面に接触配置される一対の冷却部材とを備え、前記各冷却部材の内部には当該冷却部材と前記積層部材との接触面と重複しないように冷媒流路が形成され、少なくとも前記一方の冷却部材は付勢部材により前記積層部材に圧接している。
【0023】
請求項2の半導体モジュールは、請求項1の半導体モジュールにおいて、前記各冷却部材は前記接触面と重複しない壁部の壁厚が当該接触面と重複する壁部の壁厚よりも薄く設定されている。
【0024】
請求項3の半導体モジュールは、請求項2の半導体モジュールにおいて、前記付勢部材は前記接触面と重複する壁部の面を押圧するように前記一方の冷却部材に設けられている。
【0025】
請求項4の半導体モジュールは、請求項3の半導体モジュールにおいて、前記一方の冷却部材は前記付勢部材を収納させる収納部を有し、この収納部は前記接触面と重複する当該接触面とは反対側の壁部にて形成されている。
【0026】
請求項5の半導体モジュールは、請求項1から4のいずれかの半導体モジュールにおいて、前記一方の冷却部材は前記付勢部材を有する空間を密閉させる密閉部材を備え、この密閉部材は当該付勢部材をその付勢方向に押圧するように当該冷却部材に固定されている。
【0027】
請求項6の半導体モジュールは、請求項1から5のいずれかの半導体モジュールにおいて、前記積層部材を同一平面上に複数配置し、この各積層部材間の空間には当該部材間の電気的な短絡を防止すると共に当該部材間の放熱を遮断する絶縁熱分離部材を備える。
【0028】
請求項7の半導体モジュールは、請求項6の半導体モジュールにおいて、前記絶縁熱分離部材は板状に形成され、前記一対の冷却部材によって狭持されている。
【0029】
請求項8の半導体モジュールは、請求項1から7のいずれかの半導体モジュールにおいて、前記積層部材は前記半導体素子を複数備え、この各半導体素子間の電気的な短絡を防止する絶縁分離層をさらに備える。
【0030】
請求項9の半導体モジュールは、請求項1から8のいずれかの半導体モジュールにおいて、前記冷却部材はヤング率が100GPa以下である材料からなる。
【0031】
請求項10の半導体モジュールは、請求項9の半導体モジュールにおいて、前記材料はアルミニウム、アルミニウム合金、AlSiCのいずれかである。
【0032】
請求項11の半導体モジュールは、請求項1から10のいずれかの半導体モジュールにおいて、前記付勢部材はコイルバネ、板バネ、皿バネのいずれかである。
【発明の効果】
【0033】
以上の発明によれば圧接型の半導体モジュールにおいて複数の半導体素子を備えた場合でも半導体素子と冷却部材との熱的接触性及び当該冷却部材の放熱性を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態1に係る半導体モジュールの概略断面図。
【図2】本発明の実施形態に係る冷却部材の平面図。
【図3】本発明の実施形態2に係る半導体モジュールの概略断面図。
【図4】はんだ接続を採用した従来の半導体モジュールの斜視図(a),当該半導体モジュールの冷却部材の接続形態を示した断面図(b)。
【図5】従来の両面冷却方式の圧接型半導体モジュールの斜視図(a),当該半導体モジュールの冷却部材の接続形態を示した断面図(b)。
【図6】従来の両面冷却方式の圧接型半導体モジュールの概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態に係る半導体モジュールについて説明する。尚、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく特許請求の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0036】
(実施形態1)
図1に示された本発明の実施形態1に係る半導体モジュール1は、圧接型半導体モジュールであって、積層部材2とこの積層部材2の両面に接触配置される一対の冷却部材3a,3bとを備える。
【0037】
積層部材2は半導体素子(例えばパワー半導体スイッチング素子)4を介在させている。すなわち、積層部材2は半導体素子4の両面にそれぞれ応力緩和層5a,5bを介して配線層6a,6bを備える。そして、配線層6a,6bと冷却部材3a,3bとの間にはそれぞれ絶縁層7a,7bを介在させている。半導体素子4はそれぞれ導体8,9を介してゲート回路10と電気的に接続されている。ゲート回路10は半導体モジュール1の外部に具備されている。
【0038】
応力緩和層5a,5bはMo,CuMo,Cu−W,AlSiCに例示される低熱膨張係数、高熱伝導率を有する材料から成る。応力緩和層5a,5bは半導体素子4の上下面に設けられた図示省略の電極層(例えばMOSFETの場合はソース、ドレインパッド)から放熱パスを拡大させるヒートスプレッダーとしても機能する。
【0039】
配線層6a,6bは銅に例示される導電性の材料から成る。一方の配線層6aは導体11aを介してAC端子12に電気的に接続されている。他方の配線層6bは導体11bを介してP極(陽極)側またはN極(陰極)側のDC端子13に電気的に接続されている。
【0040】
AC端子12,DC端子13は積層部材2を収納させるケース14の壁部に形成された穴141,142からそれぞれ露出した状態となっている。ケース14はPPS(ポリフェニレンスルファイド)樹脂に例示される耐熱性の材料から成る。また、AC端子12,DC端子13と穴141,142との隙間はエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等から成る封止部材によって封止されることでケース14内の部品(例えば半導体素子4)の汚染や腐食の防止が図られている。
【0041】
絶縁層7a,7bは窒化アルミニウムに例示される周知の絶縁性の材料から成る。絶縁層7a,7bはそれぞれ冷却部材3a,3bとの間で絶縁耐圧を確保できるように層厚が設定されると共に層厚を均等にするために適宜に表面処理が施される。
【0042】
積層部材2は図1に示されたように同一平面上に複数配置されている。そして、個々の積層部材2間の空間には当該部材2間の電気的な短絡を防止すると共に当該部材2間の放熱を遮断する絶縁熱分離が設けられている。絶縁熱分離部材15は板状に形成され、冷却部材3a,3bによって狭持されている。また、絶縁熱分離部材15は接着剤によって冷却部材3a,3bに適宜に接着される。尚、絶縁熱分離部材15は絶縁性の周知の樹脂によって構成すればよい。
【0043】
冷却部材3a,3bは積層部材2を冷却するための部材である。冷却部材3a,3bは放熱性に優れると共にヤング率が100GPa以下である材料からなる。当該材料としてはアルミニウム、アルミニウム合金、AlSiCが例示される。
【0044】
冷却部材3a,3bは図1に示したようにその内部に冷媒流路31が形成されている。冷媒流路31は図2に示したように冷却部材3a,3bと積層部材2とのそれぞれの接触面30a,30bと重複しないように形成されている。冷媒流路31に供される冷媒には従来の絶縁形パワー半導体モジュールの冷却に採用されている周知の冷媒が適用される。
【0045】
冷却部材3a,3bは接触面30a,30bとそれぞれ重複しない壁部32a,32bの壁厚が接触面30a,30bとそれぞれ重複する壁部33a,33bの壁厚よりも薄く設定されている。例えば図1に示された冷却部材3a,3bの最大高さ(冷却部材3aの場合は接触面30aと付勢部材16の設置面32aとの距離、冷却部材3bの場合は接触面30bと冷却部材3bの下端面32bとの距離)hが10mmである場合に領域a1,a2における壁部32a,32bの最小厚みdは0.1mm〜0.5mmの範囲となるように設定される。
【0046】
上記のように冷却部材3aは壁部33aの壁厚が壁部32aの壁厚よりも厚くなっているので後述の付勢部材16からの圧縮応力が接触面30aにかかると当該応力を効率的に絶縁層7aの面内に対して均等に伝達できる。
【0047】
一方、壁部32a,32bはその壁厚が壁部33a,33bの壁厚よりも薄くなっているので剛性が低減して変形しやすくなっている。これにより各々の積層部材2間の高さ寸法の誤差、ケース14と積層部材2の高さ寸法の誤差、積層部材2の上下の水平度のずれ等を吸収できる。
【0048】
上記の効果は冷却部材3a,3bの材料として上記のヤング率の材料が採用されることでより確実なものとなる。さらに、放熱性の観点からも複数の積層部材2間の厚みの誤差を調整する緩衝材が不要となり、放熱部(冷媒流路31)を低熱抵抗で積層部材2と連結できるので放熱性が向上する。
【0049】
また、冷却部材3aは付勢部材16により積層部材2に対して圧接した状態となっている。付勢部材16は壁部33aの上面(すなわち、接触面30aとは反対側の壁部33aの面)を押圧するように冷却部材3aに設けられている。付勢部材16としてはコイルバネ、板バネ、皿バネ等に例示される態様の周知の材料からなる弾性部材が挙げられる。
【0050】
付勢部材16は接触面30aの広さに応じて単一または複数設けられる。付勢部材16の配置は半導体素子4の真上である必要はないが、配置位置が半導体素子4上から水平方向に大きくずれると圧縮応力(半導体素子4の厚み方向の力)以外に滑り方向(半導体素子4の面内方向)の力がかかるので適当ではない。
【0051】
付勢部材16は前記一方の冷却部材3a上に形成された収納部34に収納されている。収納部34は接触面30aとは反対側の壁部33aに形成されている。そして、冷却部材3a上の収納部34を有する空間35は密閉部材17によって密閉される。密閉部材17はステンレスに例示される放熱性の材料から成り、厚さが例えば3mm程度のものが採用されている。密閉部材17は付勢部材16をその付勢方向に押圧するように冷却部材3aに固定される。密閉部材17はボルト,ナットに例示される固定部材18によって冷却部材3a,3bに固定される。固定部材18にボルト,ナットが採用された場合、ボルトが冷却部材3a、ケース14、冷却部材3bに挿通され、ナットが当該ボルトに螺着される。また、頭付きボルトタイプの固定部材18が冷却部材3a上の適宜の箇所で螺着される。このように密閉部材17が冷却部材3aに固定されることにより、付勢部材16は積層部材2に対する一定の垂直応力を常時伝達した状態となる。
【0052】
以上の半導体モジュール1によれば複数の半導体素子4を備えた場合でも半導体素子4と冷却部材3a,3bとの熱的接触性及び冷却部材3a,3bの放熱性を維持できる。
【0053】
すなわち、半導体素子4で発生した損失を逃す主な放熱パスは積層部材2の上下面にそれぞれ配置された冷却部材3a,3b内の冷媒に伝わるので冷媒流路31を有する壁厚32a,32bにおける放熱性の低下が小さくなる。
【0054】
また、冷却部材3a,3bにおいては、壁部33a,33bはその壁厚が壁部32a,32bよりも大きいので、付勢部材16が密閉部材17の押圧を受けて壁部33a,33bに圧接すると、付勢部材16の圧縮応力は個々の積層部材2に対して拡散する。これにより、積層部材2の真上に1対1に対応するような態様で付勢部材16を設置させる必要がなくなり半導体モジュール1内の付勢部材16の数を減らすことができる。
【0055】
一方、壁部32a,32bは少なくとも壁部33a,33bの壁厚よりも薄くなっていることにより、付勢部材16からの圧縮応力を緩和させることができ、積層部材2内の部材間の密着性が向上する(積層部材2間の接触抵抗の低減する)。また、積層部材2毎の高さの誤差、ケース14と積層部材2の高さの誤差、各部材の温度に違いにより発生する各部材の高さ方向の熱膨張、熱収縮による歪みを吸収できる。これにより、冷却部材3a,3bの間に積層部材2が複数並列に配置または増設された場合でも全ての積層部材2を均一な圧力で圧接できる。
【0056】
そして、付勢部材16は収納部34に収納されているので半導体モジュール1の動作時での付勢部材16本体の温度変化が小さくなり付勢部材16の信頼性を維持させることができる。このことは冷却部材3a,3bの信頼性、しいては半導体モジュール1の信頼性の維持に繋がる。
【0057】
さらに、冷却部材3a,3b内においては冷媒流路31が接触面30a,30bと重複しないように形成されているので、個々の半導体素子4と冷媒との間の熱抵抗のばらつきが低減し、半導体素子4毎の温度の不均一性を軽減できる。
【0058】
また、本実施形態のように半導体素子4が同一平面上に並列配置され、半導体モジュール1が定常動作すなわちスイッチング動作時に全ての半導体素子4が同時に動作する場合でも、特定の半導体素子4への電流集中がなくなる。したがって、半導体モジュール1の信頼性が向上、維持される。
【0059】
(実施形態2)
図3に例示された実施形態2に係る半導体モジュール20の積層部材2は半導体素子4を複数備えていること以外は実施形態1に係る半導体モジュール1と同じ構成となっている。図示されたように単一の積層部材2は半導体素子4a,4bを介在させている。
【0060】
半導体素子4a,4bは同一平面上に配置されている。半導体素子4aは導体8a,9aを介して図示省略されたゲート回路と電気的に接続されている。同様に半導体素子4bは導体8b,9bを介して図示省略されたゲート回路と電気的に接続されている。前記ゲート回路は半導体モジュール20の外部に具備されている。
【0061】
半導体素子4a,4bの上下面にはそれぞれ応力緩和層5a,5bを介して配線層6a,6bを備える。配線層6a,6bと冷却部材3a,3bとの間に絶縁層7a,7bを介在させている。配線層6aは導体11aを介してAC端子12に電気的に接続されている。また、一方の半導体素子4aの下方側の配線層6bは導体111bを介してP極(陽極)側のDC端子13に電気的に接続されている。他方の半導体素子4bの下方側の配線層6bは導体112bを介して図示省略のN極(陰極)側のDC端子に電気的に接続されている。この構成により、AC端子12,P極側のDC端子13,N極側のDC端子間の配線インダクタンスを軽減でき、半導体素子4a,4bをスイッチングする際に発生するサージ電圧を低減できる。また、実施形態1の半導体モジュール1と比べて小型化(集積化)が可能となる。
【0062】
積層部材2は半導体素子4a,4bの電気的な短絡を防止する絶縁分離層21を備えている。絶縁分離層21も絶縁性の周知の樹脂から構成すればよい。例えば、絶縁分離層21は高温対応の周知の絶縁性の樹脂から成る板状の部材から成る。絶縁分離層21は配線層6aと絶縁層7bとで狭持されている。絶縁分離層21と配線層6a,絶縁層7bとは適宜に接着剤によって接着される。また、絶縁分離層21は配線層6aと応力緩和層5a,5bと半導体素子4a,4bと絶縁層7bの間隙22に高温対応の周知の絶縁性の樹脂を充填させることで構成してもよい。
【0063】
冷却部材3a上には密閉部材17の押圧を受けて積層部材2に圧接する付勢部材23が備えられている。付勢部材23は図3に例示されたように皿バネタイプのものが採用され、接触面30aとは反対側の冷却部材3aの壁部に形成された収納部34に収納されている。付勢部材23は図示されたように複数の積層部材2を覆うように収納される。密閉部材17は付勢部材23をその付勢方向に押圧するように固定部材18によって冷却部材3a,3bに固定され、空間35が密閉される。
【0064】
以上のように半導体モジュール20によれば、単一の積層部材2においてDC側端子(P極側端子,N極側端子)を近接して配置させているので、上述の半導体モジュール1の作用効果に加えて、スイッチング時のサージ電圧の発生を抑制できる。また、小型化が実現する。そして、このことにより例えば3相インバータなど集積したモジュールへの拡張が容易となる。
【符号の説明】
【0065】
1,20…半導体モジュール
4,4a,4b…半導体素子
2…積層部材
3a,3b…冷却部材
31…冷媒流路
16,23…付勢部材
17…密閉部材
15…絶縁熱分離部材
21…絶縁分離層
32a,32b,33a,33b…壁部
30a,30b…接触面
34…収納部
35…空間
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体モジュールの圧接及び冷却の構造に関する。特に、高温動作が要求される絶縁形パワー半導体モジュール及びこれを備えた電力変換装置に適用される圧接型半導体モジュールの圧接及び冷却の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
代表的な絶縁型パワー半導体モジュールとして、インバータ等の電力変換装置に用いられるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)モジュールがある。また、このIGBTモジュールに代表される「絶縁型パワー半導体モジュール」若しくは「Isolated power semiconductor devices」はそれぞれJEC−2407−2007、IEC60747−15にて規格が制定されている。
【0003】
非特許文献1に開示された一般的な絶縁型パワー半導体モジュールの構造について説明する。図4(a)に示された絶縁型パワー半導体モジュール40において、図4(b)に示されたスイッチング素子であるIGBTやダイオード等の半導体素子41はその下面電極層を介してDBC(Direct Bond Copper)基板42の銅回路箔43上にはんだ付けされる。DBC基板42はセラミックス等からなる絶縁板44の両面に銅回路箔43を直接接合したものである。DBC基板42は放熱のための銅ベース45にはんだ付け(はんだ部46を介して接続)される。
【0004】
半導体素子41の上面電極層はアルミワイヤー47を超音波でボンディングされ、例えばDBC基板42上のもう一つの銅回路箔43と電気的に接続される。そして、DBC基板42の銅回路箔43から外部へ電気を接続するための銅端子48は銅回路箔43とはんだ付けにより接続されている。さらにこの周りをプラスチックのケース49で囲み、その中を電気絶縁のためのシリコーンゲル等が充填されている。ここで、一般に半導体素子41,DBC基板42間のはんだ接合部はDBC基板42,銅ベース45間のはんだ接合部に対し、融点が高く、2回のリフローにより接合されている。
【0005】
近年、半導体素子の動作温度の高温化が進んでおり、動作温度が175℃〜200℃となっており、汎用的なはんだ材料の融点に近い。このため、代替的な材料として金属系高温はんだ(Bi,Zn,Au)、化合物系高温はんだ(Sn−Cu)、低温焼結金属(Agナノペースト)等が提案されている。また、次世代の半導体素子であるSiCは250〜300℃での動作が報告されている。
【0006】
一方、はんだ接続を採用していない半導体モジュールとして図5(a)に例示した平型圧接構造パッケージ50が知られている(非特許文献1,2等)。図5(b)に示したように平型圧接構造パッケージ50内の半導体素子51の上面電極層はコンタクト端子52に接触した状態でMo板53上に備えられている。そして、半導体素子51の端部には半導体素子51及びコンタクト端子52の位置決めをするガイド54が備えられている。
【0007】
平型圧接構造パッケージ50は半導体素子51を両面から冷却できると共にはんだを用いないで電気的、熱的に外部と接続できる。このため、一般的に平型圧接構造パッケージ50の両端をヒートシンクで圧接することで当該パッケージ50の両面を冷却すると共にそのヒートシンクを導電部材として用いている。
【0008】
前記圧接は平型圧接構造パッケージ50の上下のヒートシンク間とで電気的に絶縁する必要があること、当該圧接は板バネで行うがその設計圧接力が平型圧接構造パッケージ50の電極ポストに均等にかかるようにする必要がある。圧接が不良であった場合は半導体素子51の破壊につながる。また、回路を構成するのに、このヒートシンクや圧接のため板バネが小型化の妨げとなるなど使いこなすには熟練を要する。
【0009】
このことから平型圧接構造パッケージ50は限られた装置への適用となり、代わりに使い勝手のよい前記絶縁型パワー半導体モジュールが広く用いられていた。
【0010】
温度サイクル、パワーサイクル等への信頼性を向上するには半導体モジュールを構成する各部材(半導体、金属、セラミックス等)の熱膨張の違いにより生じる課題がある。すなわち、DBC基板‐銅ベース間、DBC基板‐銅端子間において、銅とセラミックスの熱膨張係数の差から間のはんだにせん断応力が働き、はんだに亀裂が生じて熱抵抗が増大し、端子が剥離する虞がある。さらに、半導体素子‐DBC基板間のはんだにも亀裂が生じる場合がある。条件によっては半導体素子上のアルミワイヤーの接続部でも、アルミニウムと半導体素子の熱膨張の差で応力が発生してアルミワイヤーが疲労破断する。
【0011】
近年、年々電力密度が増すこと及び半導体素子内部の接合温度が高くなっていることから、はんだ接合部のせん断応力、アルミワイヤーにかかる応力が大きくなってきている。これに対して熱膨張の影響が半導体モジュールの設計寿命に至るまでの期間の間は顕在化しないようにする必要がある。SiCやGaNのような高温で使用できるワイドバンドキャップ半導体素子の出現によりさらに熱膨張の影響の低減が要求される。
【0012】
そこで、高信頼性、環境性、利便性を同時に実現するために、はんだ接合またはワイヤー接続を採用しないで、両面冷却が容易に実現可能であり放熱性の面で有利な圧接型絶縁形パワー半導体モジュールが発案されている(例えば特許文献1等)。
【0013】
また、図6に例示された従来の両面冷却方式の圧接型半導体モジュール60は、半導体素子62を有する積層部材61を収納したケース63の上下端に冷却部材72をボルト,ナット等の固定部材66によって均一な圧縮応力を印加した状態で備える。ケース63内にははんだ層64,半導体素子62,配線層65a,65bから成る複数の積層部材61が同一平面上に配置されるように収納されている。半導体素子62の上方側に配置された配線層65aはAC側端子67と電気的に接続されている。一方の半導体素子62の下方側に配置された配線層65bは陽極側DC端子68と電気的に接続されている。他方の半導体素子62の下方側に配置された配線層65bは陰極側DC端子69と電気的に接続されている。また、積層部材61と冷却部材72との間には絶縁部材70を介在させている。そして、積層部材61を有する空間には樹脂からなる封止材71が充填される。これにより、積層部材61にかかる応力が適正な範囲に収まり、また全ての半導体素子62に対する圧接力のばらつきが大きくならないようになっている。以上のように機械的に圧接を実現させる方式とは別にはんだ等による界面接合形成技術と樹脂等による封止技術とを併用した方式で圧接型半導体モジュールの信頼性を確保している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】パワーデバイス・パワーICハンドブック,コロナ社,p.289,p.336
【非特許文献2】森、関,「大容量IGBTの最近の進歩」,電気学会誌Vol.118,1998,p276
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2001−267481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
近年さらなる電力変換器の電力の高密度化、小型化、SiC素子等の採用により高温化(冷却機構の小型化)が進むにつれ、はんだや樹脂の接合、封止材料にも高温(例えば200℃以上)への耐性、信頼性が要求されるようになり、材料開発が進んでいる。
【0017】
しかしながら、高温材料の実装時の信頼性はまだ評価され始めたばかりであり、また材料は従来と比べて高コストとなる。これまでの両面冷却圧接構造ははんだ層、樹脂層等の接合、封止層を排除した純粋に両面から加える圧力のみで全ての接合を形成する構成の場合、高温動作時には高温動作時には熱膨張の違いによる応力集中が避けられない。
【0018】
また、図6に例示したタイプの圧接型半導体モジュール60においては積層部材61の上下冷却面間で平行度を維持することが困難となる。その結果、モジュール60を構成する部材の特定の界面で接触圧力が過大または過小となる。
【0019】
スプリング等の機械的な機構のみで接合材、封止材の使用をできるだけ抑えつつ、同時に信頼性があるモジュールを構成できれば、材料面での制約、信頼性を毀損する要因が減り、高温対応が可能な信頼性の高いモジュールの構築が可能となると思われる。
【0020】
但し、両面から圧接、冷却するモジュールを実現する場合、大電流モジュールを実現するために半導体チップの並列化が必要となる。例えば、フルブリッジの3相インバータを実現するためには2in1の単相インバータを3個並列に配置するなど半導体素子の数がモジュール全体では多数となる。そのためには半導体チップに対し1:1で圧接するような構成にすると圧接力を負荷するための機構(例えばばね等)が多数必要となり、部品点数が増える結果、信頼性の低下、大型化、高コスト化が懸念される。
【0021】
以上のようにSiC,GaNなどの高温で使用可能な半導体素子の性能を活かす半導体モジュールにおいて、温度サイクル、パワーサイクル等の信頼性のさらなる向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
そこで、請求項1の半導体モジュールは、半導体素子を介在させた積層部材と、この積層部材の両面に接触配置される一対の冷却部材とを備え、前記各冷却部材の内部には当該冷却部材と前記積層部材との接触面と重複しないように冷媒流路が形成され、少なくとも前記一方の冷却部材は付勢部材により前記積層部材に圧接している。
【0023】
請求項2の半導体モジュールは、請求項1の半導体モジュールにおいて、前記各冷却部材は前記接触面と重複しない壁部の壁厚が当該接触面と重複する壁部の壁厚よりも薄く設定されている。
【0024】
請求項3の半導体モジュールは、請求項2の半導体モジュールにおいて、前記付勢部材は前記接触面と重複する壁部の面を押圧するように前記一方の冷却部材に設けられている。
【0025】
請求項4の半導体モジュールは、請求項3の半導体モジュールにおいて、前記一方の冷却部材は前記付勢部材を収納させる収納部を有し、この収納部は前記接触面と重複する当該接触面とは反対側の壁部にて形成されている。
【0026】
請求項5の半導体モジュールは、請求項1から4のいずれかの半導体モジュールにおいて、前記一方の冷却部材は前記付勢部材を有する空間を密閉させる密閉部材を備え、この密閉部材は当該付勢部材をその付勢方向に押圧するように当該冷却部材に固定されている。
【0027】
請求項6の半導体モジュールは、請求項1から5のいずれかの半導体モジュールにおいて、前記積層部材を同一平面上に複数配置し、この各積層部材間の空間には当該部材間の電気的な短絡を防止すると共に当該部材間の放熱を遮断する絶縁熱分離部材を備える。
【0028】
請求項7の半導体モジュールは、請求項6の半導体モジュールにおいて、前記絶縁熱分離部材は板状に形成され、前記一対の冷却部材によって狭持されている。
【0029】
請求項8の半導体モジュールは、請求項1から7のいずれかの半導体モジュールにおいて、前記積層部材は前記半導体素子を複数備え、この各半導体素子間の電気的な短絡を防止する絶縁分離層をさらに備える。
【0030】
請求項9の半導体モジュールは、請求項1から8のいずれかの半導体モジュールにおいて、前記冷却部材はヤング率が100GPa以下である材料からなる。
【0031】
請求項10の半導体モジュールは、請求項9の半導体モジュールにおいて、前記材料はアルミニウム、アルミニウム合金、AlSiCのいずれかである。
【0032】
請求項11の半導体モジュールは、請求項1から10のいずれかの半導体モジュールにおいて、前記付勢部材はコイルバネ、板バネ、皿バネのいずれかである。
【発明の効果】
【0033】
以上の発明によれば圧接型の半導体モジュールにおいて複数の半導体素子を備えた場合でも半導体素子と冷却部材との熱的接触性及び当該冷却部材の放熱性を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態1に係る半導体モジュールの概略断面図。
【図2】本発明の実施形態に係る冷却部材の平面図。
【図3】本発明の実施形態2に係る半導体モジュールの概略断面図。
【図4】はんだ接続を採用した従来の半導体モジュールの斜視図(a),当該半導体モジュールの冷却部材の接続形態を示した断面図(b)。
【図5】従来の両面冷却方式の圧接型半導体モジュールの斜視図(a),当該半導体モジュールの冷却部材の接続形態を示した断面図(b)。
【図6】従来の両面冷却方式の圧接型半導体モジュールの概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態に係る半導体モジュールについて説明する。尚、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく特許請求の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0036】
(実施形態1)
図1に示された本発明の実施形態1に係る半導体モジュール1は、圧接型半導体モジュールであって、積層部材2とこの積層部材2の両面に接触配置される一対の冷却部材3a,3bとを備える。
【0037】
積層部材2は半導体素子(例えばパワー半導体スイッチング素子)4を介在させている。すなわち、積層部材2は半導体素子4の両面にそれぞれ応力緩和層5a,5bを介して配線層6a,6bを備える。そして、配線層6a,6bと冷却部材3a,3bとの間にはそれぞれ絶縁層7a,7bを介在させている。半導体素子4はそれぞれ導体8,9を介してゲート回路10と電気的に接続されている。ゲート回路10は半導体モジュール1の外部に具備されている。
【0038】
応力緩和層5a,5bはMo,CuMo,Cu−W,AlSiCに例示される低熱膨張係数、高熱伝導率を有する材料から成る。応力緩和層5a,5bは半導体素子4の上下面に設けられた図示省略の電極層(例えばMOSFETの場合はソース、ドレインパッド)から放熱パスを拡大させるヒートスプレッダーとしても機能する。
【0039】
配線層6a,6bは銅に例示される導電性の材料から成る。一方の配線層6aは導体11aを介してAC端子12に電気的に接続されている。他方の配線層6bは導体11bを介してP極(陽極)側またはN極(陰極)側のDC端子13に電気的に接続されている。
【0040】
AC端子12,DC端子13は積層部材2を収納させるケース14の壁部に形成された穴141,142からそれぞれ露出した状態となっている。ケース14はPPS(ポリフェニレンスルファイド)樹脂に例示される耐熱性の材料から成る。また、AC端子12,DC端子13と穴141,142との隙間はエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等から成る封止部材によって封止されることでケース14内の部品(例えば半導体素子4)の汚染や腐食の防止が図られている。
【0041】
絶縁層7a,7bは窒化アルミニウムに例示される周知の絶縁性の材料から成る。絶縁層7a,7bはそれぞれ冷却部材3a,3bとの間で絶縁耐圧を確保できるように層厚が設定されると共に層厚を均等にするために適宜に表面処理が施される。
【0042】
積層部材2は図1に示されたように同一平面上に複数配置されている。そして、個々の積層部材2間の空間には当該部材2間の電気的な短絡を防止すると共に当該部材2間の放熱を遮断する絶縁熱分離が設けられている。絶縁熱分離部材15は板状に形成され、冷却部材3a,3bによって狭持されている。また、絶縁熱分離部材15は接着剤によって冷却部材3a,3bに適宜に接着される。尚、絶縁熱分離部材15は絶縁性の周知の樹脂によって構成すればよい。
【0043】
冷却部材3a,3bは積層部材2を冷却するための部材である。冷却部材3a,3bは放熱性に優れると共にヤング率が100GPa以下である材料からなる。当該材料としてはアルミニウム、アルミニウム合金、AlSiCが例示される。
【0044】
冷却部材3a,3bは図1に示したようにその内部に冷媒流路31が形成されている。冷媒流路31は図2に示したように冷却部材3a,3bと積層部材2とのそれぞれの接触面30a,30bと重複しないように形成されている。冷媒流路31に供される冷媒には従来の絶縁形パワー半導体モジュールの冷却に採用されている周知の冷媒が適用される。
【0045】
冷却部材3a,3bは接触面30a,30bとそれぞれ重複しない壁部32a,32bの壁厚が接触面30a,30bとそれぞれ重複する壁部33a,33bの壁厚よりも薄く設定されている。例えば図1に示された冷却部材3a,3bの最大高さ(冷却部材3aの場合は接触面30aと付勢部材16の設置面32aとの距離、冷却部材3bの場合は接触面30bと冷却部材3bの下端面32bとの距離)hが10mmである場合に領域a1,a2における壁部32a,32bの最小厚みdは0.1mm〜0.5mmの範囲となるように設定される。
【0046】
上記のように冷却部材3aは壁部33aの壁厚が壁部32aの壁厚よりも厚くなっているので後述の付勢部材16からの圧縮応力が接触面30aにかかると当該応力を効率的に絶縁層7aの面内に対して均等に伝達できる。
【0047】
一方、壁部32a,32bはその壁厚が壁部33a,33bの壁厚よりも薄くなっているので剛性が低減して変形しやすくなっている。これにより各々の積層部材2間の高さ寸法の誤差、ケース14と積層部材2の高さ寸法の誤差、積層部材2の上下の水平度のずれ等を吸収できる。
【0048】
上記の効果は冷却部材3a,3bの材料として上記のヤング率の材料が採用されることでより確実なものとなる。さらに、放熱性の観点からも複数の積層部材2間の厚みの誤差を調整する緩衝材が不要となり、放熱部(冷媒流路31)を低熱抵抗で積層部材2と連結できるので放熱性が向上する。
【0049】
また、冷却部材3aは付勢部材16により積層部材2に対して圧接した状態となっている。付勢部材16は壁部33aの上面(すなわち、接触面30aとは反対側の壁部33aの面)を押圧するように冷却部材3aに設けられている。付勢部材16としてはコイルバネ、板バネ、皿バネ等に例示される態様の周知の材料からなる弾性部材が挙げられる。
【0050】
付勢部材16は接触面30aの広さに応じて単一または複数設けられる。付勢部材16の配置は半導体素子4の真上である必要はないが、配置位置が半導体素子4上から水平方向に大きくずれると圧縮応力(半導体素子4の厚み方向の力)以外に滑り方向(半導体素子4の面内方向)の力がかかるので適当ではない。
【0051】
付勢部材16は前記一方の冷却部材3a上に形成された収納部34に収納されている。収納部34は接触面30aとは反対側の壁部33aに形成されている。そして、冷却部材3a上の収納部34を有する空間35は密閉部材17によって密閉される。密閉部材17はステンレスに例示される放熱性の材料から成り、厚さが例えば3mm程度のものが採用されている。密閉部材17は付勢部材16をその付勢方向に押圧するように冷却部材3aに固定される。密閉部材17はボルト,ナットに例示される固定部材18によって冷却部材3a,3bに固定される。固定部材18にボルト,ナットが採用された場合、ボルトが冷却部材3a、ケース14、冷却部材3bに挿通され、ナットが当該ボルトに螺着される。また、頭付きボルトタイプの固定部材18が冷却部材3a上の適宜の箇所で螺着される。このように密閉部材17が冷却部材3aに固定されることにより、付勢部材16は積層部材2に対する一定の垂直応力を常時伝達した状態となる。
【0052】
以上の半導体モジュール1によれば複数の半導体素子4を備えた場合でも半導体素子4と冷却部材3a,3bとの熱的接触性及び冷却部材3a,3bの放熱性を維持できる。
【0053】
すなわち、半導体素子4で発生した損失を逃す主な放熱パスは積層部材2の上下面にそれぞれ配置された冷却部材3a,3b内の冷媒に伝わるので冷媒流路31を有する壁厚32a,32bにおける放熱性の低下が小さくなる。
【0054】
また、冷却部材3a,3bにおいては、壁部33a,33bはその壁厚が壁部32a,32bよりも大きいので、付勢部材16が密閉部材17の押圧を受けて壁部33a,33bに圧接すると、付勢部材16の圧縮応力は個々の積層部材2に対して拡散する。これにより、積層部材2の真上に1対1に対応するような態様で付勢部材16を設置させる必要がなくなり半導体モジュール1内の付勢部材16の数を減らすことができる。
【0055】
一方、壁部32a,32bは少なくとも壁部33a,33bの壁厚よりも薄くなっていることにより、付勢部材16からの圧縮応力を緩和させることができ、積層部材2内の部材間の密着性が向上する(積層部材2間の接触抵抗の低減する)。また、積層部材2毎の高さの誤差、ケース14と積層部材2の高さの誤差、各部材の温度に違いにより発生する各部材の高さ方向の熱膨張、熱収縮による歪みを吸収できる。これにより、冷却部材3a,3bの間に積層部材2が複数並列に配置または増設された場合でも全ての積層部材2を均一な圧力で圧接できる。
【0056】
そして、付勢部材16は収納部34に収納されているので半導体モジュール1の動作時での付勢部材16本体の温度変化が小さくなり付勢部材16の信頼性を維持させることができる。このことは冷却部材3a,3bの信頼性、しいては半導体モジュール1の信頼性の維持に繋がる。
【0057】
さらに、冷却部材3a,3b内においては冷媒流路31が接触面30a,30bと重複しないように形成されているので、個々の半導体素子4と冷媒との間の熱抵抗のばらつきが低減し、半導体素子4毎の温度の不均一性を軽減できる。
【0058】
また、本実施形態のように半導体素子4が同一平面上に並列配置され、半導体モジュール1が定常動作すなわちスイッチング動作時に全ての半導体素子4が同時に動作する場合でも、特定の半導体素子4への電流集中がなくなる。したがって、半導体モジュール1の信頼性が向上、維持される。
【0059】
(実施形態2)
図3に例示された実施形態2に係る半導体モジュール20の積層部材2は半導体素子4を複数備えていること以外は実施形態1に係る半導体モジュール1と同じ構成となっている。図示されたように単一の積層部材2は半導体素子4a,4bを介在させている。
【0060】
半導体素子4a,4bは同一平面上に配置されている。半導体素子4aは導体8a,9aを介して図示省略されたゲート回路と電気的に接続されている。同様に半導体素子4bは導体8b,9bを介して図示省略されたゲート回路と電気的に接続されている。前記ゲート回路は半導体モジュール20の外部に具備されている。
【0061】
半導体素子4a,4bの上下面にはそれぞれ応力緩和層5a,5bを介して配線層6a,6bを備える。配線層6a,6bと冷却部材3a,3bとの間に絶縁層7a,7bを介在させている。配線層6aは導体11aを介してAC端子12に電気的に接続されている。また、一方の半導体素子4aの下方側の配線層6bは導体111bを介してP極(陽極)側のDC端子13に電気的に接続されている。他方の半導体素子4bの下方側の配線層6bは導体112bを介して図示省略のN極(陰極)側のDC端子に電気的に接続されている。この構成により、AC端子12,P極側のDC端子13,N極側のDC端子間の配線インダクタンスを軽減でき、半導体素子4a,4bをスイッチングする際に発生するサージ電圧を低減できる。また、実施形態1の半導体モジュール1と比べて小型化(集積化)が可能となる。
【0062】
積層部材2は半導体素子4a,4bの電気的な短絡を防止する絶縁分離層21を備えている。絶縁分離層21も絶縁性の周知の樹脂から構成すればよい。例えば、絶縁分離層21は高温対応の周知の絶縁性の樹脂から成る板状の部材から成る。絶縁分離層21は配線層6aと絶縁層7bとで狭持されている。絶縁分離層21と配線層6a,絶縁層7bとは適宜に接着剤によって接着される。また、絶縁分離層21は配線層6aと応力緩和層5a,5bと半導体素子4a,4bと絶縁層7bの間隙22に高温対応の周知の絶縁性の樹脂を充填させることで構成してもよい。
【0063】
冷却部材3a上には密閉部材17の押圧を受けて積層部材2に圧接する付勢部材23が備えられている。付勢部材23は図3に例示されたように皿バネタイプのものが採用され、接触面30aとは反対側の冷却部材3aの壁部に形成された収納部34に収納されている。付勢部材23は図示されたように複数の積層部材2を覆うように収納される。密閉部材17は付勢部材23をその付勢方向に押圧するように固定部材18によって冷却部材3a,3bに固定され、空間35が密閉される。
【0064】
以上のように半導体モジュール20によれば、単一の積層部材2においてDC側端子(P極側端子,N極側端子)を近接して配置させているので、上述の半導体モジュール1の作用効果に加えて、スイッチング時のサージ電圧の発生を抑制できる。また、小型化が実現する。そして、このことにより例えば3相インバータなど集積したモジュールへの拡張が容易となる。
【符号の説明】
【0065】
1,20…半導体モジュール
4,4a,4b…半導体素子
2…積層部材
3a,3b…冷却部材
31…冷媒流路
16,23…付勢部材
17…密閉部材
15…絶縁熱分離部材
21…絶縁分離層
32a,32b,33a,33b…壁部
30a,30b…接触面
34…収納部
35…空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を介在させた積層部材と、
この積層部材の両面に接触配置される一対の冷却部材と
を備え、
前記各冷却部材の内部には当該冷却部材と前記積層部材との接触面と重複しないように冷媒流路が形成され、
少なくとも前記一方の冷却部材は付勢部材により前記積層部材に圧接していること
を特徴とする半導体モジュール。
【請求項2】
前記各冷却部材は前記接触面と重複しない壁部の壁厚が当該接触面と重複する壁部の壁厚よりも薄く設定されたこと
を特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記付勢部材は前記接触面と重複する壁部の面を押圧するように前記一方の冷却部材に設けられたこと
を特徴とする請求項2に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記一方の冷却部材は前記付勢部材を収納させる収納部を有し、この収納部は前記接触面と重複する当該接触面とは反対側の壁部にて形成されたこと
を特徴とする請求項3に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記一方の冷却部材は前記付勢部材を有する空間を密閉させる密閉部材を備え、
この密閉部材は当該付勢部材をその付勢方向に押圧するように当該冷却部材に固定されたこと
を特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記積層部材を同一平面上に複数配置し、
この各積層部材間の空間には当該部材間の電気的な短絡を防止すると共に当該部材間の放熱を遮断する絶縁熱分離部材を備えたこと
を特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
前記絶縁熱分離部材は板状に形成され、前記一対の冷却部材によって狭持されたこと
を特徴とする請求項6に記載の半導体モジュール。
【請求項8】
前記積層部材は前記半導体素子を複数備え、
この各半導体素子間の電気的な短絡を防止する絶縁分離層をさらに備えたこと
を特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項9】
前記冷却部材はヤング率が100GPa以下である材料からなること
を特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項10】
前記材料はアルミニウム、アルミニウム合金、AlSiCのいずれかであること
を特徴とする請求項9に記載の半導体モジュール。
【請求項11】
前記付勢部材はコイルバネ、板バネ、皿バネのいずれかであること
を特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項1】
半導体素子を介在させた積層部材と、
この積層部材の両面に接触配置される一対の冷却部材と
を備え、
前記各冷却部材の内部には当該冷却部材と前記積層部材との接触面と重複しないように冷媒流路が形成され、
少なくとも前記一方の冷却部材は付勢部材により前記積層部材に圧接していること
を特徴とする半導体モジュール。
【請求項2】
前記各冷却部材は前記接触面と重複しない壁部の壁厚が当該接触面と重複する壁部の壁厚よりも薄く設定されたこと
を特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記付勢部材は前記接触面と重複する壁部の面を押圧するように前記一方の冷却部材に設けられたこと
を特徴とする請求項2に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記一方の冷却部材は前記付勢部材を収納させる収納部を有し、この収納部は前記接触面と重複する当該接触面とは反対側の壁部にて形成されたこと
を特徴とする請求項3に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記一方の冷却部材は前記付勢部材を有する空間を密閉させる密閉部材を備え、
この密閉部材は当該付勢部材をその付勢方向に押圧するように当該冷却部材に固定されたこと
を特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記積層部材を同一平面上に複数配置し、
この各積層部材間の空間には当該部材間の電気的な短絡を防止すると共に当該部材間の放熱を遮断する絶縁熱分離部材を備えたこと
を特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
前記絶縁熱分離部材は板状に形成され、前記一対の冷却部材によって狭持されたこと
を特徴とする請求項6に記載の半導体モジュール。
【請求項8】
前記積層部材は前記半導体素子を複数備え、
この各半導体素子間の電気的な短絡を防止する絶縁分離層をさらに備えたこと
を特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項9】
前記冷却部材はヤング率が100GPa以下である材料からなること
を特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項10】
前記材料はアルミニウム、アルミニウム合金、AlSiCのいずれかであること
を特徴とする請求項9に記載の半導体モジュール。
【請求項11】
前記付勢部材はコイルバネ、板バネ、皿バネのいずれかであること
を特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2013−115073(P2013−115073A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256979(P2011−256979)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】
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