説明

半導体加工用粘着テープ及びそれを用いたウェハの加工方法

【課題】主に半導体ウェハの裏面研削工程に用いられ、テープの収縮を抑制して裏面研削後のカーフシフトを防止する半導体加工用粘着テープ及びそれを用いたウェハの加工方法を提供する。
【解決手段】基材の一方の面上に粘着剤層を設けてなる半導体加工用粘着テープであって、前記基材の他方の面に二本以上の溝を形成してなり、前記溝の深さが、前記基材の最大厚さに対して20〜70%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェハ等の半導体デバイスの加工とその際に用いられる半導体加工用粘着テープに関するものであり、特にはシリコンウェハの裏面研削やダイシング時に用いられる半導体加工用粘着テープ及びそれを用いたウェハの加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ製造工程において、ウェハ表面にパターンを形成した後、ウェハ裏面を所定厚さまで研削するいわゆるバックグラインド工程が行なわれている。その際、一般的には、ウェハ表面を保護する目的で、ウェハ表面にウェハ表面保護テープを貼り合わせ、その状態でウェハ裏面が研削される。このウェハ表面保護テープは、例えば特許文献1に開示されているように、基材フィルムと接着する表面側に粘着層が設けられ、必要に応じて粘着層上にセパレータを有するものであり(特許文献1の0013、図1等参照)、セパレータを剥離した状態で、基材フィルムの表面側を粘着層によってウェハ表面に貼り合わせて用いることができる。
【0003】
次に、バックグラインド工程により所定の厚さに研削されたウェハは、各チップを個片化するダイシング工程に送られる。ダイシング工程では、ウェハの研削面にダイシング用の粘着テープを貼合してリングフレームと呼ばれる治具にウェハを固定し、ダイヤモンドブレードやレーザーなどで各チップに個片化される。
【0004】
ところで、ダイシング工程、特にブレードを用いてウェハの脆性加工を行うブレードダイシングでは、ブレードとウェハとの接触や、ダイシング時の振動、ダイシングテープの性能によりチップエッジ部分にクラックやチッピングと呼ばれる欠けが発生するおそれがある。
【0005】
特に近年のウェハ薄化に伴い、ウェハ自体の強度が低下し破損しやすくなっているため、これらの問題の解決が非常に重要となっている。
【0006】
上記問題を解決する方法として、ウェハの主表面(素子形成面側)から所定の深さに切り込み(溝)を入れた後、ウェハの裏面を研削及び研磨することにより個片化と薄化処理を同時に行う(例えば特許文献2参照)方法が提案されている。
【0007】
しかしながら、上記裏面研削工程では、通常のバックグラインド工程と同様にウェハの主表面に表面保護テープを貼り付けて保護した状態でウェハの裏面を研削及び研磨して除去するため、その材料特性からテープが収縮し裏面研削後に個片化されたチップが所定の位置からずれて、チップ−チップ間の距離及び角度のズレ(カーフシフト)が発生して、その後のピックアップ工程の際に機械が認識できずピックアップができないというおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−338911号公報
【特許文献2】特開昭61−112345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、主に半導体ウェハの裏面研削工程に用いられ、テープの収縮を抑制して裏面研削後のカーフシフトを防止する半導体加工用粘着テープ及びそれを用いたウェハの加工方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の課題は以下の手段によって達成された。
すなわち本発明は、
(1)基材の一方の面上に粘着剤層を設けてなる半導体加工用粘着テープであって、前記基材の他方の面に二本以上の溝を形成してなり、前記溝の深さが、前記基材の最大厚さに対して20〜70%であることを特徴とする半導体加工用粘着テープ、
(2)前記溝を格子状に形成してなることを特徴とする(1)に記載の半導体加工用粘着テープ、
(3)前記溝の幅が50μm以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の半導体加工用粘着テープ、
(4)隣接する溝同士の溝縁の間隔が、前記基材の表面に沿って測って5mm以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の半導体加工用粘着テープ、
(5)ウェハの素子形成面から所定の深さに切り込みを入れた後、前記ウェハの素子形成面に前記半導体加工用粘着テープを貼合し、前記ウェハの素子形成面の反対側の裏面を研削及び研磨することにより個片化と薄化処理を同時に行うウェハ加工方法に用いられることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の半導体加工用粘着テープ、
を提供し、また、
(6)ウェハの素子形成面から所定の深さに切り込みを入れた後、(1)〜(4)のいずれかに記載の半導体加工用粘着テープを前記ウェハの素子形成面に貼合し、前記ウェハの素子形成面の反対側の裏面を研削及び研磨することにより個片化と薄化処理を同時に行うウェハの加工方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、基材の粘着剤を設けた面と反対側の面となる基材背面に二本以上の溝を形成することで、前記溝で囲まれた領域はそれぞれが中心方向に向かって収縮する一方、溝で隔てて隣接する領域とは分断されており、テープ全長に対して基材の収縮を低減して、テープ全体が収縮することがなく、チップが移動するカーフシフトの発生を低減することができる。その結果、その後のピックアップ工程の際に機械の認識を向上させることができる。
【0012】
また、基材の樹脂は、熱可塑性樹脂をフィルム化する一般的な方法であるシリンダー内で加熱しスクリューで加圧した溶融状態の樹脂を、押出金型の吐出口(リップ)から押し出し、冷却工程を経て押出成型法により成型されることが多い。しかし、この方法では基材は押出し方向に巻き取られるため、その方向に残留応力が発生しやすく、裏面研削後にテープが収縮してチップが移動しカーフシフトの原因となるおそれがあった。これに対し本発明では、テープ全体が収縮することがないため、チップが移動するカーフシフトの発生を低減することができる。
【0013】
また、粘着テープをウェハに貼合する際にはラミネータ等の装置にテープを通して貼合を行う。この時、気泡やシワが起こらないようテープにはある程度の張力がかかった状態で貼合される。この時の張力は、テープ貼合方向に対する残留応力として残るため裏面研削後に同じく基材の収縮の原因となるおそれがあった。これに対し本発明では、テープ全体が収縮することがないため、チップが移動するカーフシフトの発生を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明する。
本発明による半導体加工用粘着テープは、基材の一方の面上に粘着剤層を設けてなるものであって、前記基材の他方の面、具体的には粘着剤とは反対側の基材表面に二本以上の溝を形成してなり、(4)前記溝の深さが、前記基材の最大厚さに対して20〜70%であることを特徴とするものである。
【0015】
溝は、通常の工具、超硬工具、ダイヤモンド工具等を用いた機械加工、レーザー加工、エッチング加工等により形成することができる他、基材上に溝形状のマスクを配し、この上から真空蒸着、スパッタリング、溶射等を施す方法等が適用することができる。
溝の形態は、特に限定されるものではなく、例えば直線状の溝が所定の間隔をあけて複数形成されたもの、あるいは放射状、螺旋状若しくは波形形状のような曲線状の溝、またはこれらの曲線状の溝を互いに交差させるようにしてもよく、さらには格子状に形成することもでき、基材の一部又は全部に設けることができる。
【0016】
基材表面に形成される溝は、格子状にスリットを形成したものが好ましい。スリットのような溝が無い場合、基材の収縮はウェハの貼合方向の直径全長に対して一様に作用するが、スリットを形成することでスリット間の局所的部分、すなわち溝で囲まれた格子はそれぞれが中心方向に向かって収縮する一方、隣接する格子とは分断されており、全長に対して作用しないため、テープ全体が収縮してカーフシフトがずれることを減少させることができる。
【0017】
前記溝の深さは、基材の最大厚さに対して20〜70%、好ましくは30〜50%である。20%未満では、分断が不十分となり基材の収縮を抑制することができないおそれがあり、70%を超えるとテープ貼合時のテンションにより溝部分が拡がり、テープ厚さが不均一となることで研削後にチップ厚さ精度(Total Thickness Variation、TTV)の悪化や、チップの破損が発生するおそれがある。
【0018】
前記溝の幅は、好ましく50μm以下であり、より好ましくは40〜10μm、さらに好ましくは30〜20μmである。50μmを超えるとテープ貼合時のテンションにより溝部分が拡がり、テープ厚さが不均一となることで研削後にチップ厚さ精度(Total Thickness Variation、TTV)の悪化や、チップの破損が発生する可能性がある。また10未満では、分断が不十分となり基材の収縮を抑制することができない傾向がある。
【0019】
隣接する溝同士の溝縁の間隔、例えば複数の溝で区画された格子の一辺の長さは、好ましくは基材の表面に沿って測って10mm以下、より好ましくは4mm以下であり、さらに好ましくは3mm以下、特に好ましくは3〜0.5mmである。10mmを超えると収縮力が作用する範囲が大きくなりすぎて、チップの破損等が発生するおそれがある。
【0020】
ここで、半導体加工用粘着テープは、ウェハをダイシングする際にはウェハが剥離しないように十分な粘着力を有し、ダイシング後にチップをピックアップする際には容易に接着剤層から剥離できるよう低い粘着力を有するものが特に好ましい。
【0021】
半導体加工用粘着テープ、具体的にはバックグラインドテープの基材は、例えばポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブテンのようなポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体およびエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のようなエチレン共重合体、軟質ポリ塩化ビニル、半硬質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、天然ゴムならびに合成ゴムなどの高分子材料で構成することができる。また、基材はこれらの群から選ばれる2種以上の材料が混合されたものでもよく、これらが単層又は複層化されたものでもよい。基材フィルムの厚さは、特に限定されるものではなく、適宜に設定してよいが、50〜200μmが好ましい。
これらの樹脂は、熱可塑性樹脂をフィルム化する一般的な方法であるシリンダー内で加熱しスクリューで加圧した溶融状態の樹脂を、押出金型の吐出口(リップ)から押し出し、冷却工程を経て押出成型法により成型することができる。
【0022】
本発明で用いることができる粘着剤は特に制限するものでは無く、公知なものを用いることができる。例えばベース基材としては(メタ)アクリル酸エステルを主たる構成単量体単位とする単独重合体および共重合体から選ばれた(メタ)アクリル系重合体、その他の官能性単量体との共重合体およびこれら重合体の混合物を用いることができ、特にこれらと硬化剤を含んだ粘着剤が好ましい。
ここで、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は「メタクリル」のいずれか、または両方を意味する。
具体的には(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどを挙げることができる。
【0023】
硬化剤としては、公知のものを使用することができる。具体的には、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)トルエン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ベンゼン、N,N,N,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンなどの分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートなどの分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート系化合物、テトラメチロール−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロール−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネートなどの分子中に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン系化合物等が挙げることができる。硬化剤の含有量は、所望の粘着力に応じて調整すれば良く、粘着剤の前記ベース樹脂共重合体100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。
【0024】
粘着剤層の厚さは、適用しようとする被着体である基材により適宜設定することができ、特に制限するものではないが、好ましくは5〜60μmである。
【0025】
また、上記のような粘着剤層中に光重合性化合物及び光重合開始剤を含ませることによって、紫外線を照射することにより硬化し、粘着剤の粘着力を低下させて、被着体から接着剤層を剥離しやすくすることができる。
【0026】
このような光重合性化合物としては、例えば特開昭60−196956号公報および特開昭60−223139号公報に開示されているような光照射によって三次元網状化しうる分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個以上有する低分子量化合物を広く用いることができる。
【0027】
具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレートなどを用いることができる。
【0028】
光重合開始剤としては、特開2007−146104号公報又は特開2004−186429号公報に記載の光重合開始剤を使用することができる。具体的にはイソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、クロロチオキサントン、ベンジルメチルケタール、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン等を併用することができる。
【0029】
また、共重合体の側鎖または主鎖中に炭素−炭素二重結合を有する共重合体と光重合開始剤と硬化剤を組み合わせた粘着剤を用いることもできる。このような共重合体は、側鎖として炭素原子数が4〜12、さらに好ましくは炭素原子数8のアルキル基〔例えば、アルキル(メタ)アクリレートの場合は、エステル基部の炭素数〕を有する(メタ)アクリル酸エステルなどのモノマーや共重合性改質モノマーを1種または2種以上を任意の方法で単独重合した(メタ)アクリル系重合体、または共重合した(メタ)アクリル系共重合体が好ましい。
【0030】
粘着剤層の形成は、基材上に粘着剤を直接塗工してする方法や、セパレータ上に粘着剤を塗工し、それを基材に転写して製造する方法など既知の方法を使用することが出来る。また、基材と粘着層の間には所望の中間層を設けることができる。
【0031】
このようにして形成される粘着剤層は、放射線、好ましくは紫外線を照射することにより架橋が起こり、初期の接着力が大きく低下し、容易に被着体から半導体加工用粘着テープを剥離することができる。
【0032】
また、基材に形成される溝は、基材に粘着剤層を設ける前または設けた後のいずれかで形成してもよく、例えば基材の一方の面に粘着剤層を設け、その上に表面保護テープを貼合した後に、基材の粘着剤層を設けた面の反対の面に溝を設けることができる。
【0033】
ところで、例えば300mm径で775±25μm厚のウェハでは、このウェハの素子形成面から所定の深さ、例えば30〜50μmの切り込みを形成した後、前記素子形成面に上記溝を形成した半導体加工用粘着テープを貼合し、ウェハの裏面を30μm程度まで研削及び研磨して、ウェハの個片化と薄化処理を同時に行うことにより、ウェハの加工方法に用いることができ、この方法ではテープ全体が収縮することがなく、カーフシフトのずれを低減することができる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
厚さが100μmであるEVAフィルムの基材上に、粘着剤としてのアクリル系共重合体を乾燥後の膜厚が40μmとなるよう塗工し、この塗工した面にポリオレフィン製の基材を貼合した。前記基材の粘着剤層を設けた面と逆の基材面に、幅30μm、深さ70μm、間隔5mmとなる溝を、ディスコ製ブレードダイサーDFD6340にて格子状に形成した。
【0036】
(実施例2)
溝の状態が幅20μm、深さ20μm、間隔3mmとなる以外は実施例1と同様の構成で半導体加工用粘着テープを得た。
【0037】
(実施例3)
溝の状態が幅50μm、深さ50μm、間隔1mmとなる以外は実施例1と同様の構成で半導体加工用粘着テープを得た。
【0038】
(実施例4)
溝の状態が幅30μm、深さ70μm、間隔1mmとなる以外は実施例1と同様の構成で半導体加工用粘着テープを得た。
【0039】
(比較例1)
溝の状態が幅50μm、深さ10μm、間隔10mmとなる以外は実施例1と同様の構成で半導体加工用粘着テープを得た。
【0040】
(比較例2)
溝の状態が幅60μm、深さ90μm、間隔10mmとなる以外は実施例1と同様の構成で半導体加工用粘着テープを得た。
【0041】
(比較例3)
溝の状態が幅80μm、深さ10μm、間隔5mmとなる以外は実施例1と同様の構成で半導体加工用粘着テープを得た。
【0042】
(比較例4)
溝を形成しない以外は実施例1と同様の構成で半導体加工用粘着テープを得た。
【0043】
(半導体ウェハ固定用半導体加工用粘着テープの性能評価)
上記実施例1〜4と比較例1〜4で得られた各半導体加工用粘着テープを、下記のシリコンベアウェハに貼合し、以下の試験を行い、表1,2の結果を得た。
【0044】
(研削時ウェハ割れ)
グラインダー((株)DISCO製 商品名DFG8760)にて、直径が8インチで厚さが750μmのシリコンベアウェハを、50μmに研削した際の割れの有無を調査し、問題無しを◎、割れがあるが問題無しを○、割れありを△、割れ多数ありを×とした。
【0045】
(反り)
上記シリコンベアウェハを同様に50μmに研削した際、凸側が下になるよう水平な台に置き、両端の反りを測定しその平均値を反りの値とした。30mm超を×、20〜30mmを△、20mm未満を○、10mm以下を◎とした。
【0046】
(カーフシフト)
ウェハのテープ貼合面から所定の深さに切り込みを入れた直径8インチで厚さが750μmのシリコンベアウェハを、30μmに研削し、研削後のチップ間の距離について測定した。
隣のチップとの距離の変化率の絶対値が、本来のスクライブラインに対して5.0%未満を◎、5.0%以上〜10%未満を○、10%以上〜30%未満を△、30%以上を×とした。
【0047】
(TTV)
同様の方法でウェハを100μmに研削したときの、TTVについて測定した。3μm未満を◎、3μm〜5μmを○、5μm超〜7μmを△、7μm超を×とした。
【0048】
(チップ割れ)
上記カーフシフトと同様に研削した際のチップ割れを測定した。破損したチップの割合が全体の1.0%未満を◎、1.0%以上〜5.0%未満を○、5.0%以上〜10%未満を△、10%以上を×とした。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
表1,2の結果より、実施例1〜4は、比較例1〜4に対して、薄膜研削を可能にし、尚且つ反りを抑制していることがわかる。
【0052】
また、実施例1〜4の各半導体加工用粘着テープを、切り込みを入れた8インチのシリコンベアウェアの切り込み面側に貼合し、半導体加工用粘着テープを貼合した面とは反対側のシリコンベアウェハの面をグラインダー((株)DISCO製 商品名DFG8760)にて8インチのシリコンベアウェハを50μmに研削及び研磨して、個片化と薄化処理を同時に行った。実施例1〜4はいずれも上記表1に示した各性能を反映して、実用的にも優れていることを確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一方の面上に粘着剤層を設けてなる半導体加工用粘着テープであって、
前記基材の他方の面に二本以上の溝を形成してなり、
前記溝の深さが、前記基材の最大厚さに対して20〜70%であることを特徴とする半導体加工用粘着テープ。
【請求項2】
前記溝を格子状に形成してなることを特徴とする請求項1に記載の半導体加工用粘着テープ。
【請求項3】
前記溝の幅が50μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体加工用粘着テープ。
【請求項4】
隣接する溝同士の溝縁の間隔が、基材の表面に沿って測って10mm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体加工用粘着テープ。
【請求項5】
ウェハの素子形成面から所定の深さに切り込みを入れた後、前記ウェハの素子形成面に前記半導体加工用粘着テープを貼合し、前記ウェハの素子形成面の反対側の裏面を研削及び研磨することにより個片化と薄化処理を同時に行うウェハ加工方法に用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体加工用粘着テープ。
【請求項6】
ウェハの素子形成面から所定の深さに切り込みを入れた後、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体加工用粘着テープを前記ウェハの素子形成面に貼合し、前記ウェハの素子形成面の反対側の裏面を研削及び研磨することにより個片化と薄化処理を同時に行うウェハの加工方法。

【公開番号】特開2013−98290(P2013−98290A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238559(P2011−238559)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】