半田付け方法
【課題】半田付け後において基板等の基体に残留する活性剤に起因して保護コート層が損傷することを抑制し、保護コート層の耐久性を向上させ長寿命化を図るのに有利な半田付け方法を提供する。
【解決手段】電気部品31,32を半田付けした基板1を、下限温度Tmin、上限温度Tmaxの範囲内に設定された熱処理温度の領域内において加熱させることにより、フラックス4に含まれている活性剤による影響を低減させる熱処理工程を実施する。熱処理温度の下限温度Tminについては180℃以上とする。熱処理温度の上限温度Tmaxについては、半田溶融温度にマージン値α(0〜10℃)を加算した温度をT1とし、電気部品31,32のうちの耐熱温度が低い側の電気部品の耐熱温度をT2とするとき、温度T1およびT2のうちの低い側の温度
【解決手段】電気部品31,32を半田付けした基板1を、下限温度Tmin、上限温度Tmaxの範囲内に設定された熱処理温度の領域内において加熱させることにより、フラックス4に含まれている活性剤による影響を低減させる熱処理工程を実施する。熱処理温度の下限温度Tminについては180℃以上とする。熱処理温度の上限温度Tmaxについては、半田溶融温度にマージン値α(0〜10℃)を加算した温度をT1とし、電気部品31,32のうちの耐熱温度が低い側の電気部品の耐熱温度をT2とするとき、温度T1およびT2のうちの低い側の温度
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板等の基体に半田付けされている電気部品の耐久性を高めることができる半田付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、絶縁基板に設けた抵抗体層の上に合金保護層を被覆し、更に合金保護層をガラス保護層で被覆したチップ抵抗器を開示している。特許文献2は、分割切断用のスリットを有する絶縁基板の上面に電極を形成する工程と、電極に重なるように抵抗体を形成する工程と、抵抗体をガラス層で被覆する工程と、スリットを介して絶縁基板を多数に分割させる工程とを含む角形チップ固定抵抗器の製造方法を開示している。特許文献3は、基板の上面に金系の金属薄膜で形成された上面電極層を形成する工程と、上面電極層に電気的に接続されたNiCr系の抵抗層を設ける工程と、抵抗層を覆うように樹脂による第1保護層を形成する工程と、第1保護層を覆うように樹脂による第2保護層を形成する工程とを順に実施する抵抗器の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−67501号公報
【特許文献2】特開平1−151204号公報
【特許文献3】特開平11−204304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した方法で製造された基板は、複数の電気部品を半田付けにより搭載しているものである。半田付けの際には、溶融半田の酸化膜の除去、半田付け部分の酸化膜の除去、溶融半田の濡れ性の改善等を図るため、活性剤を含有するフラックスが使用されるのが一般的である。しかし、フラックスに含まれる活性剤が半田付け後において基板に残留することがある。半田付けの際に、フラックスが高温の溶融半田に接触すれば、フラックスに含有されている活性剤は不活性化されるため、問題はない。
【0005】
しかし、フラックスに接触する半田の温度が低いときには、フラックスに含有されている活性剤の不活性化が促進されないままの状態で、フラックスの活性剤が基板に残留することがある。この場合、自動車用等の車両用のように、凝縮水を生成させるような湿度が高い環境において基板が使用されたり、外部水が進入する環境において基板が使用されたりすると、基板に残留する活性剤に含まれる成分が水に混ざり、腐食性をもつイオン水を生成させるおそれがある。この場合、電気部品を防水および防湿等のために被覆している保護コート層と基体との接合面にクラックが発生する要因となり得る。このようにイオン水は保護コート層を損傷させて剥がす要因となる。ひいては、半田部や電気部品の劣化を促進させる要因となりかねない。特に、フラックスの活性剤に含まれる成分がハロゲン元素(例えばBr,Cl)である場合には、イオン水は腐食性を発揮させ、保護コート層等を剥がす要因となり、半田部や電気部品の劣化を促進させる要因となりかねない。
【0006】
近年、鉛を含まないように鉛フリー化した半田が使用されることが多いため、半田付け性の改善のため、フラックスに含まれている活性剤の活性度がますます高くなる傾向がある。この場合、イオン水の腐食性が益々向上する傾向がある。
【0007】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、半田付け後において基板等の基体に残留する活性剤に起因して保護コート層が損傷することを抑制し、保護コート層の耐久性を向上させ長寿命化を図るのに有利な半田付け方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る半田付け方法は、(i)電気絶縁性をもつ基体に設けられた導電層に積層された半田層を介して第1電気部品を基体の第1領域に半田付けする第1半田付け工程と、(ii)その後、基体のうち第1電気部品を半田付けした第1領域と異なる第2領域に、活性剤を含有するフラックスを存在させた状態で、第2電気部品を半田付けする第2半田付け工程と、(iii)その後、第1電気部品および第2電気部品が半田付けされた基体を、下記の(a)の下限温度Tminと、(b)の上限温度Tmaxとで規定される範囲内に設定された熱処理温度の領域内において加熱させることにより、フラックスに含まれている活性剤による影響を低減させる熱処理工程とを実施する半田付け方法。
(a)熱処理温度の下限温度Tmin:180℃以上
(b)熱処理温度の上限温度Tmax:半田溶融温度にマージン値α(0〜10℃)を加算した温度をT1とし、第1電気部品および第2電気部品のうちの耐熱温度が低い側の電気部品の耐熱温度をT2とするとき、温度T1および温度T2のうちの低い側の温度
ここで、半田溶融温度としては、半田の状態図における液相線として把握できる。熱処理温度の上限温度Tmaxとして半田溶融温度を基準とする理由は、熱処理温度が過剰に高温であると、第1電気部品および第2電気部品を半田付けしている半田部が過剰に溶融し、第1電気部品および第2電気部品がそれぞれの定位置からずれるおそれがあるためである。第1半田付け工程では、電気絶縁性をもつ基体の導電層の上面に積層された半田層を介して第1電気部品を基体の第1領域に半田付けする。この場合、半田付け性を改善させるため、活性剤を含有するフラックスを採用することが好ましい。
【0009】
第2半田付け工程では、基体のうち第1電気部品を半田付けした第1領域と異なる第2領域に、活性剤を含有するフラックスを存在させた状態で、第2電気部品を半田付けする。フラックスは、溶融した半田の表面張力を改善して半田の濡れ性を改善させる。フラックスに含有されている活性剤は、溶融した半田の酸化膜、基体の導電層の酸化膜等を除去する作用を果たすため、第2電気部品等の電気部品の半田付け性を改善させる。活性剤は、一般的には、ハロゲン化合物を含有すると共に、有機酸および/または無機酸等を含有する。
【0010】
熱処理工程においては、第1電気部品および第2電気部品を半田付けした基体を、上記した温度領域内において加熱させることにより、フラックスに含まれている活性剤による影響を低減させる。この場合、熱処理により、フラックスの活性剤に含まれているハロゲン元素の活性度が低下する。
(a)熱処理工程における熱処理温度の下限温度Tmin:180℃以上
(b)熱処理温度の上限温度Tmax:半田溶融温度にマージン値α(0〜10℃)を加算した温度T1、第1電気部品および第2電気部品のうちの耐熱温度が低い側の電気部品の耐熱温度をTとするとき、温度T1および温度T2のうちの低い側の温度
温度T1については、半田溶融温度にマージン値α(0〜10℃)を加算した温度とする。マージン値αは、熱の伝達には時間を要すること、熱処理工程の時間等の要因を考慮したものである。熱処理工程の時間が短いときには、電気部品等への影響が少ないため、マージン値αを0〜10℃の範囲内で増加することが好ましい。熱処理工程の時間が長いときには、マージン値αを0〜10℃の範囲内で減少することが好ましい。電気部品の耐熱温度T2については、第1電気部品および第2電気部品のうちの耐熱温度が低い側の耐熱温度とする。熱処理工程における第1電気部品および第2電気部品の保護性を高めるためである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熱処理工程においては、第1電気部品および第2電気部品を半田付けした基体を、上記した温度領域内において加熱させることにより、フラックスに含まれている活性剤(特に活性剤に含まれるハロゲン元素)による影響を低減させる。このため、半田付け後の使用時において、活性剤に起因してクラックが発生することが抑制されている。殊に、電気部品を被覆させる保護コート層が形成される場合には、保護コート層と基体との接合面においてクラックが発生することが抑制される。よって半田部および電気部品の耐久性の向上、長寿命化に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1に係り、製造過程を示す図である。
【図2】熱処理の温度とイオン量との関係を示すグラフである。
【図3】イオン量とクラック発生率との関係を示すグラフである。
【図4】実施形態2に係り、基板上に半田付けした電気部品を保護コート層で被覆している状態を示す斜視図である。
【図5】実施形態2に係り、図4のY方向に沿って切断して状態を示す断面図である。
【図6】実施形態2に係り、図4のX方向に沿って切断して状態を示す断面図である。
【図7】実施形態3に係り、基板上に半田付けした電気部品を保護コート層で被覆している状態を示す斜視図である。
【図8】実施形態3に係り、図7のX方向に沿って切断して状態を示す断面図である。
【図9】実施形態3に係り、図7のY方向に沿って切断して状態を示す断面図である。
【図10】実施形態4に係り、基板上に半田付けした電気部品を保護コート層で被覆している状態を切断した横断面図である。
【図11】実施形態5に係り、基板上に半田付けした電気部品を保護コート層で被覆している状態を切断した横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
基体は電気部品を搭載できるものであれば、何でも良い。基体は板状の基板とすることができるが、板状に限定されるものではない。電気部品は電子部品を含む。熱処理工程において熱処理温度の領域内に維持される熱処理時間は、180秒以内であることが好ましい。電気部品への熱影響を回避するため、熱処理工程の生産性を高めるためである。更に、それ以上の時間、熱処理温度に維持しても、熱処理による改善効果は飽和するためである。熱処理温度によっても異なるものの、熱処理温度に加熱する時間としては、一般的には、120秒以内、60秒以内、30秒以内であることが好ましい。一般的には、熱処理温度が高いほど、熱処理時間を短縮できる。
【0014】
好ましくは、第2半田付け工程は、溶融半田を貯留した半田槽の上側に基体を配置した状態で、基体の下側の表面を半田槽の溶融半田に接近または接触させ、溶融半田を基体の表面側に供給させることにより行われる。好ましくは、基体はこれを厚み方向に貫通するスルーホールを有しており、第2半田付け工程は、溶融半田を貯留した半田槽の上側に基体を配置した状態で、基体の下面を半田槽の溶融半田に接近または接触させ、溶融半田をスルーホールを介して基体の上面側に供給させることにより行われる。半田の溶融温度(液相線)としては、特に限定されるものではないが、150〜310℃、170〜280℃が例示される。
【0015】
基体に搭載した第1電気部品または第2電気部品の用途によっては、基体に残留したフラックスに含まれている活性剤等の成分が、腐食性をもつイオン水として基体に存在する可能性がある。また、基体に活性剤が残留しているとき、大気に含まれる湿気が凝縮した凝縮水が活性剤等の成分を溶解し、腐食性をもつイオン水として基体に存在する可能性がある。そこで上記した熱処理工程を実施し、フラックスに含まれている活性剤等の不活性化を促進させる。
【0016】
また熱処理工程後に、基体に半田付けされている第1電気部品を保護コート層で被覆する被覆工程が実施されることが好ましい。保護コートとしては、無機材料および/または樹脂材料で形成できる。無機材料としては、アルミナ、窒化アルミナ、炭化珪素等のセラミックスが挙げられる。樹脂材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を使用できる。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。天然樹脂であるロジン、および/または変性ロジンも使用可能である。
【0017】
更に、基体および/または保護コート層は、基体に付着する流動物が保護コート層と基体との接合面に接触することを抑える流動物接触抑制構造を有することが好ましい。流動物接触抑制構造は、基体の上面に形成され基体に存在する流動物を流下させる流下傾斜面を備えていることが好ましい。また、流動物接触抑制構造は、基体の上面に形成され基体に存在する流動物が保護コート層と基体との接合面に接触することを抑える溝を有することが好ましい。また、流動物接触抑制構造は、保護コート層の外側を覆うロジン被覆層を有することが好ましい。
【0018】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態を図1を参照して説明する。本実施形態に係る半田付け方法においては、第1半田付け工程では、図1の状態(1)として示すように、電気絶縁性をもつセラミックス(例えばアルミナ、炭化珪素)を基材とする基板1(基体)の表面である上面1uの第1領域1fにおいて、銅等の導電材料で形成された導電層11を電極層として形成する。更に、図1の状態(2)として示すように、基板1上の導電層11の上面に半田層2を印刷で積層する。次に、図1の状態(3)として示すように、基板1上の半田層2の上に第1電気部品31を配置する。第1電気部品31の外壁面は、半田付け性を向上させるための金属薄膜31cを有する。図1の状態(4)として示すように、その状態で、基板1を加熱炉に挿入し、大気雰囲気において半田層2を加熱して半田層2を溶融凝固させ、第1電気部品31を基板1の第1領域1fに半田付けする。半田層2はフィレット化される。第1電気部品31は電気を使用する部品であり、電気部品でも良いし、電子部品でも良く、抵抗、コンデンサ、コイル、マイコン、メモリ、インターフェース、入力機器、出力機器を例示できる。第1電気部品31は、絶縁基板に抵抗体等の電子素子を搭載したものでも良い。
【0019】
その後、第2半田付け工程を実施する。第2半田付け工程では、図1の状態(5)として示すように、基板1を上下反転させた状態で、基板1のうち第1電気部品31を半田付けした第1領域1fと異なる第2領域1s(上下反転させた下側の位置)に、ハロゲン元素を含有する活性剤を含むフラックス4を塗布して存在させる。フラックス4は、ハロゲン元素(例えばBr,Cl)を含有する活性剤を含む。
【0020】
フラックス4を塗布した状態で、図1の状態(6)として示すように、第2電気部品32を基板1の下面1d(反転により上側となっている表面)に配置する。ここで、基板1は、これを厚み方向に貫通する貫通孔であるスルーホール13を有する。スルーホール13には、銅等の導電材料で形成されたスルーホール用導電層11mが設けられている。スルーホール用導電層11mは、スルーホール13の内周壁面に被覆された筒部110と、基板1の片側に被覆された第1鍔部としての導電性をもつ鍔部112と、基板1の他の片側に被覆された第2鍔部としての導電性をもつ鍔部114とをもつ。第2電気部品32の端子となる脚32cは、筒部110に対面するようにスルーホール13に挿入される。
【0021】
第2半田付け工程では、図1の状態(7)として示すように、溶融半田50(温度:300〜440℃)を貯留したDip槽とも呼ばれる半田槽5の湯面5s側に基板1を接近させて配置する。その状態で、半田槽5に装備されている作動源52を作動させ、半田槽5の溶融半田50の一部を基板1の下側となった上面1dに向けて部分的に持ち上げる。この結果、持ち上がった溶融半田50は、基板1のスルーホール13内のスルーホール導電層11mに接触しつつ、スルーホール13内をフラックス4の一部と共に第2電気部品32に向けて浸透透過する。この溶融半田は、基板1の導電層11mの鍔部112と第2電気部品32の下面32dとの間に配置される。基板1のスルーホール13を介して供給された溶融半田が凝固すれば、第2電気部品32の脚32cがスルーホール13に挿入された状態で、第2電気部品32は基板1のうち第1電気部品31と反対側に半田付けされて固定される。このとき、スルーホール13内の溶融半田も速やかに凝固し、第2電気部品32の脚32cが基板1のスルーホール13内で固定される。
【0022】
その後、第1電気部品31および第2電気部品32が半田付けされた基板1を、熱処理炉6の大気雰囲気の炉室に装入させることにより熱処理工程を行う。ここで、熱処理工程では、熱処理温度の下限温度側の温度Tminとしては、180℃以上とする。殊に190℃以上、195℃以上、200℃以上が好ましい。熱処理温度の上限温度側の温度Tmaxとしては、半田溶融温度+αの温度未満とする。半田材料等に応じて、αは0〜10℃以内、0〜5℃以内で適宜設定することが好ましい。但し、第1電気部品31および第2電気部品32のうちの耐熱温度が低い側の電気部品の耐熱温度T2を考慮することが好ましい。従って、熱処理温度の上限温度側の温度Tmaxとしては、半田溶融温度+αの温度未満の温度T1、または、電気部品の耐熱温度未満の温度T2のうちのいずれかとすることができる。従って、上限温度側の温度Tmaxとしては、温度T1および温度T2のうちの低い方を採用する。熱処理時間としては180秒以内、120秒以内、60秒以内、30秒以内とすることができる。熱処理時間が過剰に長いと、電気部品31,32に影響を与えるおそれがあるし、熱処理の生産性が低下する。熱処理時間が過剰に短いと、伝熱が不充分となり、フラックスに含まれている活性剤の不活性化が低下するおそれがある。
【0023】
このような熱処理工程により、フラックスに含まれている活性剤(特にBr,Cl等のハロゲン元素)による影響を低減させる。この場合、フラックスに含まれている活性剤(特にハロゲン元素)を不活性化させる。熱処理により不活性化させるメカニズムとしては、活性剤の活性成分(特にハロゲン元素)が、フラックスを構成している他の成分と高温雰囲気において化合物を形成し、不活性化されると推定される。不活性とされた活性剤は残留していても支障がない。その後、熱処理工程後に、基板1に半田付けされている第1電気部品31および/または第2電気部品32を保護コート層で被覆する被覆工程が実施される。保護コート層は樹脂コートでも良いし、無機コートでも良いし、両者を併用しても良い。
【0024】
以上説明したように本実施形態によれば、第1電気部品31および第2電気部品32が半田付けされた基板1を、熱処理工程においては、上記した熱処理温度領域内において加熱させる。このため、第2半田付け工程において使用されるフラックスに含まれていた活性剤が基板1上に残留するときであっても、基板1において残留する活性剤(特にハロゲン元素)の不活性化を熱処理工程において促進させることができる。このため、第1電気部品31および/または第2電気部品32を被覆する保護コート層において、活性剤(特にハロゲン元素)に起因してクラック等の損傷が発生することが抑制されている。
【0025】
すなわち、フラックスに含まれている活性剤が高温の溶融半田と接触すると、フラックスに含まれている活性剤は、溶融半田の熱により不活性化される。しかし本実施形態では、第2半田付け工程においては、基板1側に持ち上がった溶融半田は、基板1に存在するフラックス4と接触しつつ、表面張力等によって、基板1の下側となっている上面1u(表面)を矢印E方向(図1の(6)に示す状態)に沿って第1電気部品31に向けて流れることがある。このような溶融半田の温度は、温度をかなり低下させている。このように温度が低温化した半田が基板1のフラックス4と接触しつつ基板1の表面に沿って流れるときには、フラックス4に含まれている活性剤は溶融半田と接触しても、溶融半田50が低温化されているため、活性剤は不活性化されにくい。よって活性剤は活性状態を維持しつつ、基板1の上面1u(第1電気部品31が搭載されている表面)において残留するおそれがある。このように不活性化が進行していない活性剤が基板1の上面1u(第1電気部品31が搭載されている表面)に残留する場合には、次の不具合を発生させるおそれがある。
【0026】
すなわち、使用時において、車載などのように、凝縮水を生成させる程の湿度が高い環境において基板1が設置されたり、あるいは、外部水が進入する環境において基板1が設置されたりすると、基板1に残留する活性剤(不活性化が不充分)に含まれる成分が水に混ざり、腐食性をもつイオン水を生成させるおそれがある。この場合、イオン水は、基板1上の保護コート層を剥がす要因となり、保護コート層で覆われている半田部や電気部品の劣化を促進させる要因となりかねない。特に、フラックスの活性剤に含まれる成分がBr,Cl等のハロゲン元素である場合には、イオン水は腐食性を発揮させることになる。この場合、イオン水は保護コート層等に対して剥がれ等の損傷を発生させる要因となり、半田部や電気部品の劣化を促進させる要因となりかねない。
【0027】
この点について本実施形態によれば、第1電気部品31および第2電気部品32が半田付けされた基板1を、熱処理工程においては、上記した熱処理温度領域内において加熱させる。このため第2半田付け工程において使用されるフラックス4に含まれていた活性化されている活性剤が基板1上に残留するときであっても、基板1の上面1u(第1電気部品31が搭載されている表面)において残留する活性剤(特にハロゲン元素)の不活性化を、熱処理工程において促進させることができる。このため第1電気部品31および/または第2電気部品32を覆う保護コート層において、活性剤(特にハロゲン元素)に起因してクラック等の損傷を発生させることが抑制されている。従って、第1電気部品31および第2電気部品32を実装している基板1の耐久性の向上、長寿命化を図り得る。
【0028】
なお、第1半田付け工程においても、活性剤を含有するフラックスが使用される。しかし第1半田付け工程では、フラックスと接触する溶融半田の温度が180℃以上または200℃以上と高温であるため、フラックスに含まれている活性剤は不活性化される。よって第1半田付け工程において残留するフラックスは特に支障がない。なお、第1半田付け工程および第2半田付け工程において使用される半田としては公知の半田を採用でき、例えば、Sn系、Sn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−Ag−Cu系、場合によってはSn−Pb系が例示される。
【0029】
(実機試験例)
実施形態1の効果を確認する試験を実機試験例として実施した。この場合では、第1半田付け工程として、半田ペーストとフラックスとを含有する半田ペースト(溶融温度:210〜220℃、型式:TLF-204-SIS、株式会社:タムラ製作所)を用いて電気部品31を基板1に半田付けした。次に、電気部品32を第2半田付け工程にてフラックス4を用いて半田付けした。(電気部品32は第2半田付け工程で半田付けされる。)半田の組成は、Sn−3.0質量%Ag−0.5質量%Cuとした。用いたフラックス4は、ハロゲン元素(Br)を含有する活性剤を含むポストフラックス(型式:ES−1061,千住金属株式会社)とした。凝縮水を発生させ得るような可能性がある多湿雰囲気において実際に基板1が長期にわたり使用されると、樹脂製の保護コート層と基板との接合面においてクラックが発生し、保護コート層の剥離が発生する傾向があった。更に、剥がれた保護コートの下でAgマイグレーションが発生する傾向があった。
【0030】
(モデル試験例)
上記実機試験の場合、1年以上の長期間の試験が必要であった。そこで、水の入った状態を模擬して、次のモデル試験を行うことで加速試験とした。モデル試験片(パナソニック株式会社、1608サイズ(品番:961010−45200、型番:ERJ3GEYJ104V)を用い、(i)〜(iv)に従って加速試験を実施した。
(i)熱処理を行ったハロゲン元素(Br)を含有する活性剤を含むポストフラックス(型式:ES−1061,千住金属株式会社)と純水とを混合した。これによりイオン量(Brイオン)を0〜1400ppmの範囲内において変化させた複数の混合水を形成した。各混合水を2日以上静置した後に、上澄み液を試験液としてそれぞれ採取した。イオン量が低い試験液については、純水で希釈させて作製した。
(ii)上澄み液で形成した試験液(温度:室温(25℃))の内部に、試験片としてチップ抵抗20個をそれぞれ浸漬させ、恒温槽において2週間、放置した。各濃度に調整した試験液毎にチップ抵抗を20個浸漬させた。
(iii)各試験液から試験片をそれぞれ取り出し、溶媒(IPA)により試験片を超音波洗浄した(10分間×2回)。更に、試験片を60℃×1時間で乾燥した。
(iv)光学顕微鏡観察および電子顕微鏡観察(SEM)を行い、試験片におけるクラックを検出した。そしてクラック発生率を測定した。クラックは、保護コート層と基板の上面との接合面に形成されていた。
【0031】
図2および図3は試験結果を示す。図2の横軸は熱処理温度を示し、縦軸は試験液のイオン量(Brイオン)を示す。イオン量はガスクロマトグラフィにより測定した。図3の横軸はイオン量(Brイオン)を示し、縦軸は試験片におけるクラック発生率を示す。図2および図3においてA範囲が好ましい範囲であり、B範囲が更に好ましい範囲である。図2によれば、熱処理温度が上昇するにつれてイオン量が低下している。特に、熱処理温度が180℃以上、190℃以上であれば、イオン量の低下は著しい。熱処理温度が200℃であれば、残留するイオン量は100ppm程度であり、熱処理温度が250℃であれば、実質的に0であった。
【0032】
図3によれば、イオン量が低下するにつれて試験片におけるクラック発生率が低下している。殊に、加速試験において、イオン量が200ppmであれば、クラック発生率が10%程度に低下している。これは加速試験であるため、10%でも実用上の使用条件では支障がないと考えられる。イオン量が100ppmであれば、クラック発生率が0%に低下している。図2および図3に示す試験結果に基づけば、イオン量を低減させるためには、熱処理温度を180℃以上、殊に190℃以上、なかでも200℃以上が好ましい。
【0033】
(実施形態2)
図4〜図6は実施形態2に係る第1電気部品31を示す。図4は第1電気部品31の斜視図を示す。図5はY方向に沿って切断した縦断面を示す。図6はX方向に沿って切断した横断面を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。第1電気部品31はセラミックスなどで形成された絶縁基板31aを有する。絶縁基板31aには、絶縁基板31aの材料が露出する一面(図4の図示で上面)側の基板露出面31au,他面(図4の図示で下面)側の基板露出面31adが形成されている。絶縁基板31aには金属薄膜31cが被覆されている。金属薄膜31cは、銅またはスズあるいはこれらの合金で形成されたメッキ層で被覆されている。
【0034】
本実施形態においても、実施形態1と同様に、第2半田付け工程を実施した後に、第1電気部品31および第2電気部品32を半田付けした基板1を、下記の(a)の下限温度Tmin、(b)の上限温度Tmaxの範囲内に設定された温度領域内において加熱させることにより、フラックス4に含まれている活性剤による影響、殊に活性剤に含まれるハロゲン元素による影響を低減させる熱処理工程を実施する。熱処理時間としては、使用するフラックス4によっても相違するが、180秒間以内、120秒間以内、60秒以内とすることが好ましい。
(a)熱処理温度の下限温度Tmin:180℃以上、
(b)熱処理温度の上限温度Tmax:半田溶融温度にマージン値α(0〜10℃)を加算した温度をT1とし、第1電気部品31および第2電気部品32のうちの耐熱温度が低い側の電気部品の耐熱温度をT2とするとき、温度T1およびT2のうちの低い側の温度
そして、熱処理工程後に、基板1上に半田付けされた第1電気部品31を保護コート層7で被覆する被覆工程が実施されている。図5に示すように、保護コート層7は、第1電気部品31の抵抗体31b(電子素子)を被覆するセラミックスを基材とする無機コート層71と、無機コート層71を被覆する熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂等)を基材とする樹脂コート層72とで形成されている。場合によっては、無機コート層71を樹脂コート層としても良い。図5では樹脂コート層72は、第1電気部品31の主要素である抵抗体31bを被覆している。図6では樹脂コート層72は絶縁基板31aの上面を被覆している。なお第2電気部品32については保護コート層で被覆しても良いし、しなくても良い。なお、図6において、下面72dは樹脂コート層42の下面(端面)を示し、72xは樹脂コート層72と絶縁基板1aとの接合面を示す。
【0035】
(実施形態3)
図7〜図9は実施形態3を示す。図7は第1電気部品31の斜視図を示す。図8はX方向に沿って切断した縦断面を示す。図9はY方向に沿って切断した横断面を示す。本実施形態は実施形態1,2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。第1電気部品31は、電気絶縁性をもつセラミックスで形成された絶縁基板31aを有する。絶縁基板31aの表面には、電極層を形成する導電層である金属薄膜31cが被覆されている。金属薄膜31cは、銅またはスズあるいはこれらの合金で形成されたメッキ層で被覆されている。
【0036】
本実施形態においても、実施形態1,2と同様に、第1電気部品31および第2電気部品32を半田付けした基板1を、下記の(a)の下限温度Tmin、(b)の上限温度Tmaxの範囲内に設定された温度領域内において加熱させることにより、フラックスに含まれている活性剤による影響、殊に活性剤に含まれるハロゲン元素による影響を低減させる熱処理工程を実施する。
(a)熱処理温度の下限温度Tmin:180℃以上、
(b)熱処理温度の上限温度Tmax:半田溶融温度にマージン値α(0〜10℃)を加算した温度をT1とし、第1電気部品31および第2電気部品32のうちの耐熱温度が低い側の電気部品の耐熱温度をT2とするとき、温度T1およびT2のうちの低い側の温度
このような熱処理工程により、フラックスに含まれる活性化剤が不活性となり、使用時において、腐食性をもつイオン水の生成が抑制されている。本実施形態によれば、熱処理工程後に、図8および図9に示すように、基板1上に半田付けされた第1電気部品31の抵抗体31b(電子素子)を外側から保護コート層7で被覆する被覆工程が実施されている。保護コート層7は、抵抗体31b(電子素子)を外側から被覆するアルミナ等を基材とする無機コート層71と、無機コート層71を被覆する熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂等)を基材とする樹脂コート層72とで形成されている。場合によっては、無機コート層71を樹脂コート層としても良い。
【0037】
本実施形態では、図7〜図9に示すように、第1半田付け工程前の絶縁基板31aの基板露出面31auに、レーザビームや電子ビーム等の高エネルギ密度ビームの照射により、上面が開口する第1溝101を直状に形成し、第1溝101の長さ方向の途中部に連通するように第1溝101に交差する第2溝102を直状に形成する。図7に示すように、第1溝101は上面開口101uをもち、樹脂コート層72を両側から挟むように互いに並設されている。第2溝102は、上方に開放された上面開口102uと、横方に開放された側面開口102dとをもち、第1溝101に連通しつつ、水(イオン水等の流動物)を絶縁基板31aの外方側に排出できる。例えば、第1溝101および第2溝102の溝幅は10〜50マイクロメートル、溝高は20〜70マイクロメートルにできるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
図7、図8に示すように、第1溝101は、樹脂コート層72で被覆されておらず、樹脂コート層72の両側に位置しつつ、樹脂コート層72の下面72d(端面)と絶縁基板31aの上面との接合面72xの入口側(樹脂コート層72のうち、これの側面72sと絶縁基板31aの上面である基板露出面31auとが交差する外縁72p側)に隣設されている。このため、樹脂コート層72の下面72dと絶縁基板31aの上面との接合面72xに、腐食性をもつイオン水(流動物)が侵入することが抑制される。第1溝101および第2溝102は、絶縁基板31aの上面において、金属薄膜31c以外の領域(絶縁基板31aの上面の基板材料が露出している基板露出面31au)に形成されている。その理由としては、金属薄膜31cが第1溝101および第2溝102に接触しないように金属薄膜31cを絶縁基板31aの上面に形成するためである。このような第1溝101および第2溝102は、基板1や絶縁基板31aに付着するイオン水等の流動物が樹脂コート層72の下面72dと絶縁基盤31aの上面との接合面72xに接触することを抑える流動物接触抑制構造として機能することができる。
【0039】
上記したように本実施形態によれば、製造段階では、フラックス4の活性剤(特にハロゲン元素)が実装基板1に残留しないように熱処理工程が実施されている。このため実装部品の用途によって水が基板1にかかるおそれがある場合、あるいは、大気中の湿気が凝縮して基板1において凝縮水となる場合等であっても、その水は、腐食性をもつイオン水が生成されることが抑制されている。従って基板1の耐久性を高めることができる。
【0040】
但し、万一、何らかの事情(例えば外部からの侵入等)により、腐食性をもつイオン水(流動物)が基板1に存在する場合があり得る。このような場合であっても、本実施形態によれば、第1溝101および第2溝102が第1電気部品31の絶縁基板31aの上面に形成されているため、イオン水が第1電気部品31を損傷させることが抑制される。よって樹脂コート層72の下面72d(端面)と絶縁基板31aの上面(表面)との接合面72xにおいて、イオン水に起因するクラックが発生することが抑制される。樹脂コート層72の耐久性の向上、長寿命化に貢献でき、ひいては第1電気部品31の耐久性の向上、長寿命化に貢献できる。
【0041】
(実施形態4)
図10は実施形態4を示す。図10はX方向に沿って切断した横断面を示す。本実施形態は実施形態1,2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。本実施形態は各実施形態と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。本実施形態においても、各実施形態と同様に、第1電気部品31等を半田付けした基板1を、下記の(a)の下限温度Tmin、(b)の上限温度Tmaxの範囲内に設定された温度領域内において加熱させることにより、フラックスに含まれている活性剤による影響を低減させる熱処理工程を実施する。
(a)熱処理温度の下限温度Tmin:180℃以上
(b)熱処理温度の上限温度Tmax:半田溶融温度にマージン値α(0〜10℃)を加算した温度をT1とし、第1電気部品31および第2電気部品32のうちの耐熱温度が低い側の電気部品の耐熱温度をT2とするとき、温度T1およびT2のうちの低い側の温度
このような熱処理工程により、フラックスに含まれる活性化剤が不活性となり、腐食性をもつイオン水の生成が抑制されている。
【0042】
そして、熱処理工程後に、第1電気部品31の抵抗体31b(電子素子)を保護コート層7(図10参照)で被覆する被覆工程が実施されている。保護コート層7は、抵抗体31bを被覆するセラミックスを基材とする無機コート層71と、無機コート層71を被覆する熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)を基材とする樹脂コート層72とで形成されている。場合によっては、無機コート層71を樹脂コート層としても良い。
【0043】
本実施形態によれば、図10に示すように、この絶縁基板31aの端部には、切削や研磨等により、あるいはレーザビーム等の高エネルギ密度ビームにより、絶縁基板31aの水平に沿った上面に対して傾斜角度θ(図10参照)で下降傾斜する流下傾斜面200が形成されている。図10に示すように、流下傾斜面200は、互いに背向する位置に形成された直状の第1流下傾斜面201と第2流下傾斜面202とを有する。図10に示すように、流下傾斜面201,202は、保護コート層7の樹脂コート層72の下面72dと絶縁基板31aの上面との接合面72xにおける外縁72xpを、ほぼ始点として外方に向けて下降傾斜するように延設されている。流下傾斜面201,202の終端201e,202eは、セラミックス製の絶縁基板31aの側面31sに到達するように下降傾斜している。このような流下傾斜面201,202は、保護コート層7および絶縁基板31aの上面に存在する流動物としての水を、絶縁基板31aの外部(絶縁基板31aの側面31s)に向けて、矢印A2方向に沿って流下させて逃がす機能を有する。このため万一、水(腐食性をもつイオン水、または、イオンではない水)が保護コート層7の樹脂コート層72や絶縁基板31aの上面に存在する場合であっても、その水を逃がすことができ、水(流動物)の溜まりが発生することが抑制される。
【0044】
上記したように本実施形態によれば、前記した各実施形態と同様に、製造段階では、基板1に残留するおそれがあるフラックスの活性剤(特にハロゲン元素)が基板1において活性化しないように、熱処理工程が実施されている。このため第1電気部品31等の用途によって水が基板1にかかるおそれがある場合、あるいは、大気中の湿気が凝縮して基板1において凝縮水となる場合等であっても、その水は腐食性が少ない水であり、腐食性をもつイオン水となることが抑制される。従って実装基板1の耐久性を高めることができる。
【0045】
但し、万一、何らかの事情(例えば外部からの侵入等)により腐食性をもつイオン水が電気部品31の絶縁基板31aや樹脂コート層72上に存在する場合であっても、図10に示すように、絶縁基板31aの上面には第1流下傾斜面201および第2流下傾斜面202が形成されている。このため、腐食性をもつイオン水(流動物)を流下傾斜面201,202を介して絶縁基板31aの上面から逃がすことができる。従って、樹脂コート層72の下面72dと絶縁基板31の上面との接合面72xから樹脂コート層72内に水が侵入することが抑制される。よって、腐食性をもつイオン水が樹脂コート層72,無機コート層71,半田部、第1電気部品31等を損傷させることが抑制され、これらの耐久性を高めることができる。従って、第1流下傾斜面201および第2流下傾斜面202は、基板1に付着するイオン水等の流動物が樹脂コート層72の端面である下面72dと絶縁基板31aとの接合面72xに接触することを抑える流動物接触抑制構造として機能することができる。
【0046】
(実施形態5)
図11は実施形態5を示す。図11はX方向に沿って切断した横断面を示す。本実施形態は実施形態1,2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。本実施形態においても、半田付け工程が終了した後、第1電気部品31等を半田付けした基板1を、下記の(a)の下限温度Tmin、(b)の上限温度Tmaxの範囲内に設定された温度領域内において加熱させることにより、フラックスに含まれている活性剤による影響を低減させる熱処理工程を実施する。
(本実施形態においても、実施形態1と同様に、半田付け工程が終了した基板1を、下記の(a)の下限温度Tmin、(b)の上限温度Tmaxの範囲内に設定された温度領域内において加熱させることにより、フラックスに含まれている活性剤による影響を低減させる熱処理工程を実施する。
(a)熱処理温度の下限温度Tmin:180℃以上
(b)熱処理温度の上限温度Tmax:半田溶融温度にマージン値α(0〜10℃)を加算した温度をT1とし、第1電気部品31および第2電気部品32のうちの耐熱温度が低い側の電気部品の耐熱温度をT2とするとき、温度T1およびT2のうちの低い側の温度
そして、熱処理工程後に、第1電気部品31を保護コート層7で被覆する被覆工程が実施されている。図11に示すように、保護コート層7は、第1電気部品31の抵抗体31b(電子素子)を被覆する無機コート層71と、無機コート層71を被覆するエポキシ樹脂等の樹脂材料で形成された樹脂コート層72とで形成されている。更に、図11に示すように、絶縁基板31aの上面と樹脂コート層72の下面72dとの接合面72xを外側から被覆するように、ロジン(天然樹脂,まつやに)をスプレー等の塗布手段で覆っている。これによりロジン被覆層78が樹脂コート層72の外側に被覆されている。ロジン被覆層78の下面78dは、絶縁基板31aの上面を上側から被覆している。更に、ロジン被覆層78の下方に延びる下端部78sは、絶縁基板31aの側面31sを外側から被覆している。
【0047】
上記したように本実施形態によれば、製造段階では、フラックス4の活性剤(特にハロゲン元素)が実装基板1に残留しないように熱処理工程が実施されている。このためフラックスの活性化剤が不活性となり、腐食性をもつイオン水の生成が抑制されている。従って、電気部品31,32の用途によって水が基板1にかかるおそれがある場合、あるいは、大気中の湿気が凝縮して基板1において凝縮水となる場合等であっても、その水は腐食性が少ない水であり、結果として、その水が、腐食性をもつイオン水となることが抑制される。従って腐食性をもつイオン水(流動物)によって樹脂コート層72が損傷するおそれが抑制される。従って、基板1における第1電気部品31、第2電気部品32、半田部の耐久性を高めることができる。
【0048】
但し、万一、何らかの事情(例えば外部からの侵入等)により、腐食性をもつイオン水が基板1上や保護コート層7上に存在する場合があり得る。このような場合であっても、樹脂コート層72には、これの側面72sを覆うようにロジン被覆層78が被覆されている。このため、腐食性をもつイオン水が樹脂コート層72の下面72d(端面)と絶縁基板31aとの接合面72xから樹脂コート層72内に侵入することが抑制される。よって、腐食性をもつイオン水が樹脂コート層72、第1電気部品31や半田部を損傷させることが抑制される。従って、ロジン被覆層78は、基板1に付着するイオン水等の流動物が樹脂コート層72の下面72dと絶縁基板31aの上面との接合面72xに接触することを抑える流動物接触抑制構造として機能することができる。
【0049】
(その他)
図1に示す実施形態では、電気部品の搭載密度を高めるため、第2電気部品32は第1電気部品31と反対側の表面に半田付けされるが、これに限らず、第2電気部品32は第1電気部品31と同じ側の表面に半田付けされることにしても良い。電気部品は電子部品を含む意味である。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。溝や流下傾斜面等の流動物接触抑制構造が基板1等に必ずしも形成されていなくても良い。第2半田付け工程では、半田槽5の溶融半田50の湯面を特に持ち上げることなく、基板1を半田槽5の溶融半田50の平坦な湯面に接触させる方式でも良い。本明細書から次の技術的思想も把握できる。
[付記項1]電気絶縁性をもつ基板等の基体と、前記基体の第1領域に設けられた導電層に積層された半田層を介して半田付けされた電気部品と、前記基体に半田付けされた前記電気部品を被覆する保護コート層とを具備しており、前記基体および/または前記保護コート層は、前記基体に付着する流動物が前記保護コート層と前記基体との接合面に接触することを抑える流動物接触抑制構造を有する基体半田付け構造。この場合、腐食性をもつイオン水等の流動物に起因して保護コート層が損傷することが抑制される。保護コート層の被覆前に、前記した熱処理工程を実施することが好ましいが、実施せずとも良い。
[付記項2]付記項1において、前記流動物接触抑制構造は、前記基体の上面に形成され前記基体に存在する流動物を流下させる流下傾斜面を備えている基体半田付け構造。前記した熱処理工程を実施することが好ましいが、実施せずとも良い。流下傾斜面は、保護コート層から保護コート層の外部に流下させることが好ましい。
[付記項3]付記項1において、前記流動物接触抑制構造は、前記基体の上面(表面)に形成され前記基体に存在する前記流動物が前記保護コート層と前記基体との接合面に接触することを抑える溝を有する基体半田付け構造。この場合、腐食性をもつイオン水等の流動物による保護コート層の損傷が抑制される。前記した熱処理工程を実施することが好ましいが、実施せずとも良い。溝は、前記基体において接合面の外側に設けられていることが好ましい。
[付記項4]付記項1において、前記流動物接触抑制構造は、前記保護コート層の外側を覆うロジン被覆層を有する基体半田付け構造。この場合、腐食性をもつイオン水等の流動物による保護コート層の損傷が抑制される。前記した熱処理工程を実施することが好ましいが、実施せずとも良い。
[付記項5]付記項1〜4のうちの一項において、前記基体はこれを厚み方向に貫通するスルーホールを有しており、半田付け工程は、溶融半田を貯留した半田槽の上側に前記基体を配置した状態で、前記基体の下面を前記半田槽の前記溶融半田に接近または接触させ、前記溶融半田を前記スルーホールを介して前記基体の上面側に供給させることにより行われる基体半田付け構造。
【符号の説明】
【0050】
1は基板(基体)、1uは上面(表面)、1dは下面(表面)、11は導電層、2は半田層、31は第1電気部品、31aは絶縁基板、32は第2電気部品、5は半田槽、50は溶融半田、6は熱処理炉、7は保護コート層、71は無機コート層、72は樹脂コート層、72xは接合面、78はロジン被覆層(流動物接触抑制構造)、101,102は溝(流動物接触抑制構造)、200は流下傾斜面、201は第1流下傾斜面、202は第2流下傾斜面(流動物接触抑制構造)を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板等の基体に半田付けされている電気部品の耐久性を高めることができる半田付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、絶縁基板に設けた抵抗体層の上に合金保護層を被覆し、更に合金保護層をガラス保護層で被覆したチップ抵抗器を開示している。特許文献2は、分割切断用のスリットを有する絶縁基板の上面に電極を形成する工程と、電極に重なるように抵抗体を形成する工程と、抵抗体をガラス層で被覆する工程と、スリットを介して絶縁基板を多数に分割させる工程とを含む角形チップ固定抵抗器の製造方法を開示している。特許文献3は、基板の上面に金系の金属薄膜で形成された上面電極層を形成する工程と、上面電極層に電気的に接続されたNiCr系の抵抗層を設ける工程と、抵抗層を覆うように樹脂による第1保護層を形成する工程と、第1保護層を覆うように樹脂による第2保護層を形成する工程とを順に実施する抵抗器の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−67501号公報
【特許文献2】特開平1−151204号公報
【特許文献3】特開平11−204304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した方法で製造された基板は、複数の電気部品を半田付けにより搭載しているものである。半田付けの際には、溶融半田の酸化膜の除去、半田付け部分の酸化膜の除去、溶融半田の濡れ性の改善等を図るため、活性剤を含有するフラックスが使用されるのが一般的である。しかし、フラックスに含まれる活性剤が半田付け後において基板に残留することがある。半田付けの際に、フラックスが高温の溶融半田に接触すれば、フラックスに含有されている活性剤は不活性化されるため、問題はない。
【0005】
しかし、フラックスに接触する半田の温度が低いときには、フラックスに含有されている活性剤の不活性化が促進されないままの状態で、フラックスの活性剤が基板に残留することがある。この場合、自動車用等の車両用のように、凝縮水を生成させるような湿度が高い環境において基板が使用されたり、外部水が進入する環境において基板が使用されたりすると、基板に残留する活性剤に含まれる成分が水に混ざり、腐食性をもつイオン水を生成させるおそれがある。この場合、電気部品を防水および防湿等のために被覆している保護コート層と基体との接合面にクラックが発生する要因となり得る。このようにイオン水は保護コート層を損傷させて剥がす要因となる。ひいては、半田部や電気部品の劣化を促進させる要因となりかねない。特に、フラックスの活性剤に含まれる成分がハロゲン元素(例えばBr,Cl)である場合には、イオン水は腐食性を発揮させ、保護コート層等を剥がす要因となり、半田部や電気部品の劣化を促進させる要因となりかねない。
【0006】
近年、鉛を含まないように鉛フリー化した半田が使用されることが多いため、半田付け性の改善のため、フラックスに含まれている活性剤の活性度がますます高くなる傾向がある。この場合、イオン水の腐食性が益々向上する傾向がある。
【0007】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、半田付け後において基板等の基体に残留する活性剤に起因して保護コート層が損傷することを抑制し、保護コート層の耐久性を向上させ長寿命化を図るのに有利な半田付け方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る半田付け方法は、(i)電気絶縁性をもつ基体に設けられた導電層に積層された半田層を介して第1電気部品を基体の第1領域に半田付けする第1半田付け工程と、(ii)その後、基体のうち第1電気部品を半田付けした第1領域と異なる第2領域に、活性剤を含有するフラックスを存在させた状態で、第2電気部品を半田付けする第2半田付け工程と、(iii)その後、第1電気部品および第2電気部品が半田付けされた基体を、下記の(a)の下限温度Tminと、(b)の上限温度Tmaxとで規定される範囲内に設定された熱処理温度の領域内において加熱させることにより、フラックスに含まれている活性剤による影響を低減させる熱処理工程とを実施する半田付け方法。
(a)熱処理温度の下限温度Tmin:180℃以上
(b)熱処理温度の上限温度Tmax:半田溶融温度にマージン値α(0〜10℃)を加算した温度をT1とし、第1電気部品および第2電気部品のうちの耐熱温度が低い側の電気部品の耐熱温度をT2とするとき、温度T1および温度T2のうちの低い側の温度
ここで、半田溶融温度としては、半田の状態図における液相線として把握できる。熱処理温度の上限温度Tmaxとして半田溶融温度を基準とする理由は、熱処理温度が過剰に高温であると、第1電気部品および第2電気部品を半田付けしている半田部が過剰に溶融し、第1電気部品および第2電気部品がそれぞれの定位置からずれるおそれがあるためである。第1半田付け工程では、電気絶縁性をもつ基体の導電層の上面に積層された半田層を介して第1電気部品を基体の第1領域に半田付けする。この場合、半田付け性を改善させるため、活性剤を含有するフラックスを採用することが好ましい。
【0009】
第2半田付け工程では、基体のうち第1電気部品を半田付けした第1領域と異なる第2領域に、活性剤を含有するフラックスを存在させた状態で、第2電気部品を半田付けする。フラックスは、溶融した半田の表面張力を改善して半田の濡れ性を改善させる。フラックスに含有されている活性剤は、溶融した半田の酸化膜、基体の導電層の酸化膜等を除去する作用を果たすため、第2電気部品等の電気部品の半田付け性を改善させる。活性剤は、一般的には、ハロゲン化合物を含有すると共に、有機酸および/または無機酸等を含有する。
【0010】
熱処理工程においては、第1電気部品および第2電気部品を半田付けした基体を、上記した温度領域内において加熱させることにより、フラックスに含まれている活性剤による影響を低減させる。この場合、熱処理により、フラックスの活性剤に含まれているハロゲン元素の活性度が低下する。
(a)熱処理工程における熱処理温度の下限温度Tmin:180℃以上
(b)熱処理温度の上限温度Tmax:半田溶融温度にマージン値α(0〜10℃)を加算した温度T1、第1電気部品および第2電気部品のうちの耐熱温度が低い側の電気部品の耐熱温度をTとするとき、温度T1および温度T2のうちの低い側の温度
温度T1については、半田溶融温度にマージン値α(0〜10℃)を加算した温度とする。マージン値αは、熱の伝達には時間を要すること、熱処理工程の時間等の要因を考慮したものである。熱処理工程の時間が短いときには、電気部品等への影響が少ないため、マージン値αを0〜10℃の範囲内で増加することが好ましい。熱処理工程の時間が長いときには、マージン値αを0〜10℃の範囲内で減少することが好ましい。電気部品の耐熱温度T2については、第1電気部品および第2電気部品のうちの耐熱温度が低い側の耐熱温度とする。熱処理工程における第1電気部品および第2電気部品の保護性を高めるためである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熱処理工程においては、第1電気部品および第2電気部品を半田付けした基体を、上記した温度領域内において加熱させることにより、フラックスに含まれている活性剤(特に活性剤に含まれるハロゲン元素)による影響を低減させる。このため、半田付け後の使用時において、活性剤に起因してクラックが発生することが抑制されている。殊に、電気部品を被覆させる保護コート層が形成される場合には、保護コート層と基体との接合面においてクラックが発生することが抑制される。よって半田部および電気部品の耐久性の向上、長寿命化に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1に係り、製造過程を示す図である。
【図2】熱処理の温度とイオン量との関係を示すグラフである。
【図3】イオン量とクラック発生率との関係を示すグラフである。
【図4】実施形態2に係り、基板上に半田付けした電気部品を保護コート層で被覆している状態を示す斜視図である。
【図5】実施形態2に係り、図4のY方向に沿って切断して状態を示す断面図である。
【図6】実施形態2に係り、図4のX方向に沿って切断して状態を示す断面図である。
【図7】実施形態3に係り、基板上に半田付けした電気部品を保護コート層で被覆している状態を示す斜視図である。
【図8】実施形態3に係り、図7のX方向に沿って切断して状態を示す断面図である。
【図9】実施形態3に係り、図7のY方向に沿って切断して状態を示す断面図である。
【図10】実施形態4に係り、基板上に半田付けした電気部品を保護コート層で被覆している状態を切断した横断面図である。
【図11】実施形態5に係り、基板上に半田付けした電気部品を保護コート層で被覆している状態を切断した横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
基体は電気部品を搭載できるものであれば、何でも良い。基体は板状の基板とすることができるが、板状に限定されるものではない。電気部品は電子部品を含む。熱処理工程において熱処理温度の領域内に維持される熱処理時間は、180秒以内であることが好ましい。電気部品への熱影響を回避するため、熱処理工程の生産性を高めるためである。更に、それ以上の時間、熱処理温度に維持しても、熱処理による改善効果は飽和するためである。熱処理温度によっても異なるものの、熱処理温度に加熱する時間としては、一般的には、120秒以内、60秒以内、30秒以内であることが好ましい。一般的には、熱処理温度が高いほど、熱処理時間を短縮できる。
【0014】
好ましくは、第2半田付け工程は、溶融半田を貯留した半田槽の上側に基体を配置した状態で、基体の下側の表面を半田槽の溶融半田に接近または接触させ、溶融半田を基体の表面側に供給させることにより行われる。好ましくは、基体はこれを厚み方向に貫通するスルーホールを有しており、第2半田付け工程は、溶融半田を貯留した半田槽の上側に基体を配置した状態で、基体の下面を半田槽の溶融半田に接近または接触させ、溶融半田をスルーホールを介して基体の上面側に供給させることにより行われる。半田の溶融温度(液相線)としては、特に限定されるものではないが、150〜310℃、170〜280℃が例示される。
【0015】
基体に搭載した第1電気部品または第2電気部品の用途によっては、基体に残留したフラックスに含まれている活性剤等の成分が、腐食性をもつイオン水として基体に存在する可能性がある。また、基体に活性剤が残留しているとき、大気に含まれる湿気が凝縮した凝縮水が活性剤等の成分を溶解し、腐食性をもつイオン水として基体に存在する可能性がある。そこで上記した熱処理工程を実施し、フラックスに含まれている活性剤等の不活性化を促進させる。
【0016】
また熱処理工程後に、基体に半田付けされている第1電気部品を保護コート層で被覆する被覆工程が実施されることが好ましい。保護コートとしては、無機材料および/または樹脂材料で形成できる。無機材料としては、アルミナ、窒化アルミナ、炭化珪素等のセラミックスが挙げられる。樹脂材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を使用できる。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。天然樹脂であるロジン、および/または変性ロジンも使用可能である。
【0017】
更に、基体および/または保護コート層は、基体に付着する流動物が保護コート層と基体との接合面に接触することを抑える流動物接触抑制構造を有することが好ましい。流動物接触抑制構造は、基体の上面に形成され基体に存在する流動物を流下させる流下傾斜面を備えていることが好ましい。また、流動物接触抑制構造は、基体の上面に形成され基体に存在する流動物が保護コート層と基体との接合面に接触することを抑える溝を有することが好ましい。また、流動物接触抑制構造は、保護コート層の外側を覆うロジン被覆層を有することが好ましい。
【0018】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態を図1を参照して説明する。本実施形態に係る半田付け方法においては、第1半田付け工程では、図1の状態(1)として示すように、電気絶縁性をもつセラミックス(例えばアルミナ、炭化珪素)を基材とする基板1(基体)の表面である上面1uの第1領域1fにおいて、銅等の導電材料で形成された導電層11を電極層として形成する。更に、図1の状態(2)として示すように、基板1上の導電層11の上面に半田層2を印刷で積層する。次に、図1の状態(3)として示すように、基板1上の半田層2の上に第1電気部品31を配置する。第1電気部品31の外壁面は、半田付け性を向上させるための金属薄膜31cを有する。図1の状態(4)として示すように、その状態で、基板1を加熱炉に挿入し、大気雰囲気において半田層2を加熱して半田層2を溶融凝固させ、第1電気部品31を基板1の第1領域1fに半田付けする。半田層2はフィレット化される。第1電気部品31は電気を使用する部品であり、電気部品でも良いし、電子部品でも良く、抵抗、コンデンサ、コイル、マイコン、メモリ、インターフェース、入力機器、出力機器を例示できる。第1電気部品31は、絶縁基板に抵抗体等の電子素子を搭載したものでも良い。
【0019】
その後、第2半田付け工程を実施する。第2半田付け工程では、図1の状態(5)として示すように、基板1を上下反転させた状態で、基板1のうち第1電気部品31を半田付けした第1領域1fと異なる第2領域1s(上下反転させた下側の位置)に、ハロゲン元素を含有する活性剤を含むフラックス4を塗布して存在させる。フラックス4は、ハロゲン元素(例えばBr,Cl)を含有する活性剤を含む。
【0020】
フラックス4を塗布した状態で、図1の状態(6)として示すように、第2電気部品32を基板1の下面1d(反転により上側となっている表面)に配置する。ここで、基板1は、これを厚み方向に貫通する貫通孔であるスルーホール13を有する。スルーホール13には、銅等の導電材料で形成されたスルーホール用導電層11mが設けられている。スルーホール用導電層11mは、スルーホール13の内周壁面に被覆された筒部110と、基板1の片側に被覆された第1鍔部としての導電性をもつ鍔部112と、基板1の他の片側に被覆された第2鍔部としての導電性をもつ鍔部114とをもつ。第2電気部品32の端子となる脚32cは、筒部110に対面するようにスルーホール13に挿入される。
【0021】
第2半田付け工程では、図1の状態(7)として示すように、溶融半田50(温度:300〜440℃)を貯留したDip槽とも呼ばれる半田槽5の湯面5s側に基板1を接近させて配置する。その状態で、半田槽5に装備されている作動源52を作動させ、半田槽5の溶融半田50の一部を基板1の下側となった上面1dに向けて部分的に持ち上げる。この結果、持ち上がった溶融半田50は、基板1のスルーホール13内のスルーホール導電層11mに接触しつつ、スルーホール13内をフラックス4の一部と共に第2電気部品32に向けて浸透透過する。この溶融半田は、基板1の導電層11mの鍔部112と第2電気部品32の下面32dとの間に配置される。基板1のスルーホール13を介して供給された溶融半田が凝固すれば、第2電気部品32の脚32cがスルーホール13に挿入された状態で、第2電気部品32は基板1のうち第1電気部品31と反対側に半田付けされて固定される。このとき、スルーホール13内の溶融半田も速やかに凝固し、第2電気部品32の脚32cが基板1のスルーホール13内で固定される。
【0022】
その後、第1電気部品31および第2電気部品32が半田付けされた基板1を、熱処理炉6の大気雰囲気の炉室に装入させることにより熱処理工程を行う。ここで、熱処理工程では、熱処理温度の下限温度側の温度Tminとしては、180℃以上とする。殊に190℃以上、195℃以上、200℃以上が好ましい。熱処理温度の上限温度側の温度Tmaxとしては、半田溶融温度+αの温度未満とする。半田材料等に応じて、αは0〜10℃以内、0〜5℃以内で適宜設定することが好ましい。但し、第1電気部品31および第2電気部品32のうちの耐熱温度が低い側の電気部品の耐熱温度T2を考慮することが好ましい。従って、熱処理温度の上限温度側の温度Tmaxとしては、半田溶融温度+αの温度未満の温度T1、または、電気部品の耐熱温度未満の温度T2のうちのいずれかとすることができる。従って、上限温度側の温度Tmaxとしては、温度T1および温度T2のうちの低い方を採用する。熱処理時間としては180秒以内、120秒以内、60秒以内、30秒以内とすることができる。熱処理時間が過剰に長いと、電気部品31,32に影響を与えるおそれがあるし、熱処理の生産性が低下する。熱処理時間が過剰に短いと、伝熱が不充分となり、フラックスに含まれている活性剤の不活性化が低下するおそれがある。
【0023】
このような熱処理工程により、フラックスに含まれている活性剤(特にBr,Cl等のハロゲン元素)による影響を低減させる。この場合、フラックスに含まれている活性剤(特にハロゲン元素)を不活性化させる。熱処理により不活性化させるメカニズムとしては、活性剤の活性成分(特にハロゲン元素)が、フラックスを構成している他の成分と高温雰囲気において化合物を形成し、不活性化されると推定される。不活性とされた活性剤は残留していても支障がない。その後、熱処理工程後に、基板1に半田付けされている第1電気部品31および/または第2電気部品32を保護コート層で被覆する被覆工程が実施される。保護コート層は樹脂コートでも良いし、無機コートでも良いし、両者を併用しても良い。
【0024】
以上説明したように本実施形態によれば、第1電気部品31および第2電気部品32が半田付けされた基板1を、熱処理工程においては、上記した熱処理温度領域内において加熱させる。このため、第2半田付け工程において使用されるフラックスに含まれていた活性剤が基板1上に残留するときであっても、基板1において残留する活性剤(特にハロゲン元素)の不活性化を熱処理工程において促進させることができる。このため、第1電気部品31および/または第2電気部品32を被覆する保護コート層において、活性剤(特にハロゲン元素)に起因してクラック等の損傷が発生することが抑制されている。
【0025】
すなわち、フラックスに含まれている活性剤が高温の溶融半田と接触すると、フラックスに含まれている活性剤は、溶融半田の熱により不活性化される。しかし本実施形態では、第2半田付け工程においては、基板1側に持ち上がった溶融半田は、基板1に存在するフラックス4と接触しつつ、表面張力等によって、基板1の下側となっている上面1u(表面)を矢印E方向(図1の(6)に示す状態)に沿って第1電気部品31に向けて流れることがある。このような溶融半田の温度は、温度をかなり低下させている。このように温度が低温化した半田が基板1のフラックス4と接触しつつ基板1の表面に沿って流れるときには、フラックス4に含まれている活性剤は溶融半田と接触しても、溶融半田50が低温化されているため、活性剤は不活性化されにくい。よって活性剤は活性状態を維持しつつ、基板1の上面1u(第1電気部品31が搭載されている表面)において残留するおそれがある。このように不活性化が進行していない活性剤が基板1の上面1u(第1電気部品31が搭載されている表面)に残留する場合には、次の不具合を発生させるおそれがある。
【0026】
すなわち、使用時において、車載などのように、凝縮水を生成させる程の湿度が高い環境において基板1が設置されたり、あるいは、外部水が進入する環境において基板1が設置されたりすると、基板1に残留する活性剤(不活性化が不充分)に含まれる成分が水に混ざり、腐食性をもつイオン水を生成させるおそれがある。この場合、イオン水は、基板1上の保護コート層を剥がす要因となり、保護コート層で覆われている半田部や電気部品の劣化を促進させる要因となりかねない。特に、フラックスの活性剤に含まれる成分がBr,Cl等のハロゲン元素である場合には、イオン水は腐食性を発揮させることになる。この場合、イオン水は保護コート層等に対して剥がれ等の損傷を発生させる要因となり、半田部や電気部品の劣化を促進させる要因となりかねない。
【0027】
この点について本実施形態によれば、第1電気部品31および第2電気部品32が半田付けされた基板1を、熱処理工程においては、上記した熱処理温度領域内において加熱させる。このため第2半田付け工程において使用されるフラックス4に含まれていた活性化されている活性剤が基板1上に残留するときであっても、基板1の上面1u(第1電気部品31が搭載されている表面)において残留する活性剤(特にハロゲン元素)の不活性化を、熱処理工程において促進させることができる。このため第1電気部品31および/または第2電気部品32を覆う保護コート層において、活性剤(特にハロゲン元素)に起因してクラック等の損傷を発生させることが抑制されている。従って、第1電気部品31および第2電気部品32を実装している基板1の耐久性の向上、長寿命化を図り得る。
【0028】
なお、第1半田付け工程においても、活性剤を含有するフラックスが使用される。しかし第1半田付け工程では、フラックスと接触する溶融半田の温度が180℃以上または200℃以上と高温であるため、フラックスに含まれている活性剤は不活性化される。よって第1半田付け工程において残留するフラックスは特に支障がない。なお、第1半田付け工程および第2半田付け工程において使用される半田としては公知の半田を採用でき、例えば、Sn系、Sn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−Ag−Cu系、場合によってはSn−Pb系が例示される。
【0029】
(実機試験例)
実施形態1の効果を確認する試験を実機試験例として実施した。この場合では、第1半田付け工程として、半田ペーストとフラックスとを含有する半田ペースト(溶融温度:210〜220℃、型式:TLF-204-SIS、株式会社:タムラ製作所)を用いて電気部品31を基板1に半田付けした。次に、電気部品32を第2半田付け工程にてフラックス4を用いて半田付けした。(電気部品32は第2半田付け工程で半田付けされる。)半田の組成は、Sn−3.0質量%Ag−0.5質量%Cuとした。用いたフラックス4は、ハロゲン元素(Br)を含有する活性剤を含むポストフラックス(型式:ES−1061,千住金属株式会社)とした。凝縮水を発生させ得るような可能性がある多湿雰囲気において実際に基板1が長期にわたり使用されると、樹脂製の保護コート層と基板との接合面においてクラックが発生し、保護コート層の剥離が発生する傾向があった。更に、剥がれた保護コートの下でAgマイグレーションが発生する傾向があった。
【0030】
(モデル試験例)
上記実機試験の場合、1年以上の長期間の試験が必要であった。そこで、水の入った状態を模擬して、次のモデル試験を行うことで加速試験とした。モデル試験片(パナソニック株式会社、1608サイズ(品番:961010−45200、型番:ERJ3GEYJ104V)を用い、(i)〜(iv)に従って加速試験を実施した。
(i)熱処理を行ったハロゲン元素(Br)を含有する活性剤を含むポストフラックス(型式:ES−1061,千住金属株式会社)と純水とを混合した。これによりイオン量(Brイオン)を0〜1400ppmの範囲内において変化させた複数の混合水を形成した。各混合水を2日以上静置した後に、上澄み液を試験液としてそれぞれ採取した。イオン量が低い試験液については、純水で希釈させて作製した。
(ii)上澄み液で形成した試験液(温度:室温(25℃))の内部に、試験片としてチップ抵抗20個をそれぞれ浸漬させ、恒温槽において2週間、放置した。各濃度に調整した試験液毎にチップ抵抗を20個浸漬させた。
(iii)各試験液から試験片をそれぞれ取り出し、溶媒(IPA)により試験片を超音波洗浄した(10分間×2回)。更に、試験片を60℃×1時間で乾燥した。
(iv)光学顕微鏡観察および電子顕微鏡観察(SEM)を行い、試験片におけるクラックを検出した。そしてクラック発生率を測定した。クラックは、保護コート層と基板の上面との接合面に形成されていた。
【0031】
図2および図3は試験結果を示す。図2の横軸は熱処理温度を示し、縦軸は試験液のイオン量(Brイオン)を示す。イオン量はガスクロマトグラフィにより測定した。図3の横軸はイオン量(Brイオン)を示し、縦軸は試験片におけるクラック発生率を示す。図2および図3においてA範囲が好ましい範囲であり、B範囲が更に好ましい範囲である。図2によれば、熱処理温度が上昇するにつれてイオン量が低下している。特に、熱処理温度が180℃以上、190℃以上であれば、イオン量の低下は著しい。熱処理温度が200℃であれば、残留するイオン量は100ppm程度であり、熱処理温度が250℃であれば、実質的に0であった。
【0032】
図3によれば、イオン量が低下するにつれて試験片におけるクラック発生率が低下している。殊に、加速試験において、イオン量が200ppmであれば、クラック発生率が10%程度に低下している。これは加速試験であるため、10%でも実用上の使用条件では支障がないと考えられる。イオン量が100ppmであれば、クラック発生率が0%に低下している。図2および図3に示す試験結果に基づけば、イオン量を低減させるためには、熱処理温度を180℃以上、殊に190℃以上、なかでも200℃以上が好ましい。
【0033】
(実施形態2)
図4〜図6は実施形態2に係る第1電気部品31を示す。図4は第1電気部品31の斜視図を示す。図5はY方向に沿って切断した縦断面を示す。図6はX方向に沿って切断した横断面を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。第1電気部品31はセラミックスなどで形成された絶縁基板31aを有する。絶縁基板31aには、絶縁基板31aの材料が露出する一面(図4の図示で上面)側の基板露出面31au,他面(図4の図示で下面)側の基板露出面31adが形成されている。絶縁基板31aには金属薄膜31cが被覆されている。金属薄膜31cは、銅またはスズあるいはこれらの合金で形成されたメッキ層で被覆されている。
【0034】
本実施形態においても、実施形態1と同様に、第2半田付け工程を実施した後に、第1電気部品31および第2電気部品32を半田付けした基板1を、下記の(a)の下限温度Tmin、(b)の上限温度Tmaxの範囲内に設定された温度領域内において加熱させることにより、フラックス4に含まれている活性剤による影響、殊に活性剤に含まれるハロゲン元素による影響を低減させる熱処理工程を実施する。熱処理時間としては、使用するフラックス4によっても相違するが、180秒間以内、120秒間以内、60秒以内とすることが好ましい。
(a)熱処理温度の下限温度Tmin:180℃以上、
(b)熱処理温度の上限温度Tmax:半田溶融温度にマージン値α(0〜10℃)を加算した温度をT1とし、第1電気部品31および第2電気部品32のうちの耐熱温度が低い側の電気部品の耐熱温度をT2とするとき、温度T1およびT2のうちの低い側の温度
そして、熱処理工程後に、基板1上に半田付けされた第1電気部品31を保護コート層7で被覆する被覆工程が実施されている。図5に示すように、保護コート層7は、第1電気部品31の抵抗体31b(電子素子)を被覆するセラミックスを基材とする無機コート層71と、無機コート層71を被覆する熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂等)を基材とする樹脂コート層72とで形成されている。場合によっては、無機コート層71を樹脂コート層としても良い。図5では樹脂コート層72は、第1電気部品31の主要素である抵抗体31bを被覆している。図6では樹脂コート層72は絶縁基板31aの上面を被覆している。なお第2電気部品32については保護コート層で被覆しても良いし、しなくても良い。なお、図6において、下面72dは樹脂コート層42の下面(端面)を示し、72xは樹脂コート層72と絶縁基板1aとの接合面を示す。
【0035】
(実施形態3)
図7〜図9は実施形態3を示す。図7は第1電気部品31の斜視図を示す。図8はX方向に沿って切断した縦断面を示す。図9はY方向に沿って切断した横断面を示す。本実施形態は実施形態1,2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。第1電気部品31は、電気絶縁性をもつセラミックスで形成された絶縁基板31aを有する。絶縁基板31aの表面には、電極層を形成する導電層である金属薄膜31cが被覆されている。金属薄膜31cは、銅またはスズあるいはこれらの合金で形成されたメッキ層で被覆されている。
【0036】
本実施形態においても、実施形態1,2と同様に、第1電気部品31および第2電気部品32を半田付けした基板1を、下記の(a)の下限温度Tmin、(b)の上限温度Tmaxの範囲内に設定された温度領域内において加熱させることにより、フラックスに含まれている活性剤による影響、殊に活性剤に含まれるハロゲン元素による影響を低減させる熱処理工程を実施する。
(a)熱処理温度の下限温度Tmin:180℃以上、
(b)熱処理温度の上限温度Tmax:半田溶融温度にマージン値α(0〜10℃)を加算した温度をT1とし、第1電気部品31および第2電気部品32のうちの耐熱温度が低い側の電気部品の耐熱温度をT2とするとき、温度T1およびT2のうちの低い側の温度
このような熱処理工程により、フラックスに含まれる活性化剤が不活性となり、使用時において、腐食性をもつイオン水の生成が抑制されている。本実施形態によれば、熱処理工程後に、図8および図9に示すように、基板1上に半田付けされた第1電気部品31の抵抗体31b(電子素子)を外側から保護コート層7で被覆する被覆工程が実施されている。保護コート層7は、抵抗体31b(電子素子)を外側から被覆するアルミナ等を基材とする無機コート層71と、無機コート層71を被覆する熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂等)を基材とする樹脂コート層72とで形成されている。場合によっては、無機コート層71を樹脂コート層としても良い。
【0037】
本実施形態では、図7〜図9に示すように、第1半田付け工程前の絶縁基板31aの基板露出面31auに、レーザビームや電子ビーム等の高エネルギ密度ビームの照射により、上面が開口する第1溝101を直状に形成し、第1溝101の長さ方向の途中部に連通するように第1溝101に交差する第2溝102を直状に形成する。図7に示すように、第1溝101は上面開口101uをもち、樹脂コート層72を両側から挟むように互いに並設されている。第2溝102は、上方に開放された上面開口102uと、横方に開放された側面開口102dとをもち、第1溝101に連通しつつ、水(イオン水等の流動物)を絶縁基板31aの外方側に排出できる。例えば、第1溝101および第2溝102の溝幅は10〜50マイクロメートル、溝高は20〜70マイクロメートルにできるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
図7、図8に示すように、第1溝101は、樹脂コート層72で被覆されておらず、樹脂コート層72の両側に位置しつつ、樹脂コート層72の下面72d(端面)と絶縁基板31aの上面との接合面72xの入口側(樹脂コート層72のうち、これの側面72sと絶縁基板31aの上面である基板露出面31auとが交差する外縁72p側)に隣設されている。このため、樹脂コート層72の下面72dと絶縁基板31aの上面との接合面72xに、腐食性をもつイオン水(流動物)が侵入することが抑制される。第1溝101および第2溝102は、絶縁基板31aの上面において、金属薄膜31c以外の領域(絶縁基板31aの上面の基板材料が露出している基板露出面31au)に形成されている。その理由としては、金属薄膜31cが第1溝101および第2溝102に接触しないように金属薄膜31cを絶縁基板31aの上面に形成するためである。このような第1溝101および第2溝102は、基板1や絶縁基板31aに付着するイオン水等の流動物が樹脂コート層72の下面72dと絶縁基盤31aの上面との接合面72xに接触することを抑える流動物接触抑制構造として機能することができる。
【0039】
上記したように本実施形態によれば、製造段階では、フラックス4の活性剤(特にハロゲン元素)が実装基板1に残留しないように熱処理工程が実施されている。このため実装部品の用途によって水が基板1にかかるおそれがある場合、あるいは、大気中の湿気が凝縮して基板1において凝縮水となる場合等であっても、その水は、腐食性をもつイオン水が生成されることが抑制されている。従って基板1の耐久性を高めることができる。
【0040】
但し、万一、何らかの事情(例えば外部からの侵入等)により、腐食性をもつイオン水(流動物)が基板1に存在する場合があり得る。このような場合であっても、本実施形態によれば、第1溝101および第2溝102が第1電気部品31の絶縁基板31aの上面に形成されているため、イオン水が第1電気部品31を損傷させることが抑制される。よって樹脂コート層72の下面72d(端面)と絶縁基板31aの上面(表面)との接合面72xにおいて、イオン水に起因するクラックが発生することが抑制される。樹脂コート層72の耐久性の向上、長寿命化に貢献でき、ひいては第1電気部品31の耐久性の向上、長寿命化に貢献できる。
【0041】
(実施形態4)
図10は実施形態4を示す。図10はX方向に沿って切断した横断面を示す。本実施形態は実施形態1,2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。本実施形態は各実施形態と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。本実施形態においても、各実施形態と同様に、第1電気部品31等を半田付けした基板1を、下記の(a)の下限温度Tmin、(b)の上限温度Tmaxの範囲内に設定された温度領域内において加熱させることにより、フラックスに含まれている活性剤による影響を低減させる熱処理工程を実施する。
(a)熱処理温度の下限温度Tmin:180℃以上
(b)熱処理温度の上限温度Tmax:半田溶融温度にマージン値α(0〜10℃)を加算した温度をT1とし、第1電気部品31および第2電気部品32のうちの耐熱温度が低い側の電気部品の耐熱温度をT2とするとき、温度T1およびT2のうちの低い側の温度
このような熱処理工程により、フラックスに含まれる活性化剤が不活性となり、腐食性をもつイオン水の生成が抑制されている。
【0042】
そして、熱処理工程後に、第1電気部品31の抵抗体31b(電子素子)を保護コート層7(図10参照)で被覆する被覆工程が実施されている。保護コート層7は、抵抗体31bを被覆するセラミックスを基材とする無機コート層71と、無機コート層71を被覆する熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)を基材とする樹脂コート層72とで形成されている。場合によっては、無機コート層71を樹脂コート層としても良い。
【0043】
本実施形態によれば、図10に示すように、この絶縁基板31aの端部には、切削や研磨等により、あるいはレーザビーム等の高エネルギ密度ビームにより、絶縁基板31aの水平に沿った上面に対して傾斜角度θ(図10参照)で下降傾斜する流下傾斜面200が形成されている。図10に示すように、流下傾斜面200は、互いに背向する位置に形成された直状の第1流下傾斜面201と第2流下傾斜面202とを有する。図10に示すように、流下傾斜面201,202は、保護コート層7の樹脂コート層72の下面72dと絶縁基板31aの上面との接合面72xにおける外縁72xpを、ほぼ始点として外方に向けて下降傾斜するように延設されている。流下傾斜面201,202の終端201e,202eは、セラミックス製の絶縁基板31aの側面31sに到達するように下降傾斜している。このような流下傾斜面201,202は、保護コート層7および絶縁基板31aの上面に存在する流動物としての水を、絶縁基板31aの外部(絶縁基板31aの側面31s)に向けて、矢印A2方向に沿って流下させて逃がす機能を有する。このため万一、水(腐食性をもつイオン水、または、イオンではない水)が保護コート層7の樹脂コート層72や絶縁基板31aの上面に存在する場合であっても、その水を逃がすことができ、水(流動物)の溜まりが発生することが抑制される。
【0044】
上記したように本実施形態によれば、前記した各実施形態と同様に、製造段階では、基板1に残留するおそれがあるフラックスの活性剤(特にハロゲン元素)が基板1において活性化しないように、熱処理工程が実施されている。このため第1電気部品31等の用途によって水が基板1にかかるおそれがある場合、あるいは、大気中の湿気が凝縮して基板1において凝縮水となる場合等であっても、その水は腐食性が少ない水であり、腐食性をもつイオン水となることが抑制される。従って実装基板1の耐久性を高めることができる。
【0045】
但し、万一、何らかの事情(例えば外部からの侵入等)により腐食性をもつイオン水が電気部品31の絶縁基板31aや樹脂コート層72上に存在する場合であっても、図10に示すように、絶縁基板31aの上面には第1流下傾斜面201および第2流下傾斜面202が形成されている。このため、腐食性をもつイオン水(流動物)を流下傾斜面201,202を介して絶縁基板31aの上面から逃がすことができる。従って、樹脂コート層72の下面72dと絶縁基板31の上面との接合面72xから樹脂コート層72内に水が侵入することが抑制される。よって、腐食性をもつイオン水が樹脂コート層72,無機コート層71,半田部、第1電気部品31等を損傷させることが抑制され、これらの耐久性を高めることができる。従って、第1流下傾斜面201および第2流下傾斜面202は、基板1に付着するイオン水等の流動物が樹脂コート層72の端面である下面72dと絶縁基板31aとの接合面72xに接触することを抑える流動物接触抑制構造として機能することができる。
【0046】
(実施形態5)
図11は実施形態5を示す。図11はX方向に沿って切断した横断面を示す。本実施形態は実施形態1,2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。本実施形態においても、半田付け工程が終了した後、第1電気部品31等を半田付けした基板1を、下記の(a)の下限温度Tmin、(b)の上限温度Tmaxの範囲内に設定された温度領域内において加熱させることにより、フラックスに含まれている活性剤による影響を低減させる熱処理工程を実施する。
(本実施形態においても、実施形態1と同様に、半田付け工程が終了した基板1を、下記の(a)の下限温度Tmin、(b)の上限温度Tmaxの範囲内に設定された温度領域内において加熱させることにより、フラックスに含まれている活性剤による影響を低減させる熱処理工程を実施する。
(a)熱処理温度の下限温度Tmin:180℃以上
(b)熱処理温度の上限温度Tmax:半田溶融温度にマージン値α(0〜10℃)を加算した温度をT1とし、第1電気部品31および第2電気部品32のうちの耐熱温度が低い側の電気部品の耐熱温度をT2とするとき、温度T1およびT2のうちの低い側の温度
そして、熱処理工程後に、第1電気部品31を保護コート層7で被覆する被覆工程が実施されている。図11に示すように、保護コート層7は、第1電気部品31の抵抗体31b(電子素子)を被覆する無機コート層71と、無機コート層71を被覆するエポキシ樹脂等の樹脂材料で形成された樹脂コート層72とで形成されている。更に、図11に示すように、絶縁基板31aの上面と樹脂コート層72の下面72dとの接合面72xを外側から被覆するように、ロジン(天然樹脂,まつやに)をスプレー等の塗布手段で覆っている。これによりロジン被覆層78が樹脂コート層72の外側に被覆されている。ロジン被覆層78の下面78dは、絶縁基板31aの上面を上側から被覆している。更に、ロジン被覆層78の下方に延びる下端部78sは、絶縁基板31aの側面31sを外側から被覆している。
【0047】
上記したように本実施形態によれば、製造段階では、フラックス4の活性剤(特にハロゲン元素)が実装基板1に残留しないように熱処理工程が実施されている。このためフラックスの活性化剤が不活性となり、腐食性をもつイオン水の生成が抑制されている。従って、電気部品31,32の用途によって水が基板1にかかるおそれがある場合、あるいは、大気中の湿気が凝縮して基板1において凝縮水となる場合等であっても、その水は腐食性が少ない水であり、結果として、その水が、腐食性をもつイオン水となることが抑制される。従って腐食性をもつイオン水(流動物)によって樹脂コート層72が損傷するおそれが抑制される。従って、基板1における第1電気部品31、第2電気部品32、半田部の耐久性を高めることができる。
【0048】
但し、万一、何らかの事情(例えば外部からの侵入等)により、腐食性をもつイオン水が基板1上や保護コート層7上に存在する場合があり得る。このような場合であっても、樹脂コート層72には、これの側面72sを覆うようにロジン被覆層78が被覆されている。このため、腐食性をもつイオン水が樹脂コート層72の下面72d(端面)と絶縁基板31aとの接合面72xから樹脂コート層72内に侵入することが抑制される。よって、腐食性をもつイオン水が樹脂コート層72、第1電気部品31や半田部を損傷させることが抑制される。従って、ロジン被覆層78は、基板1に付着するイオン水等の流動物が樹脂コート層72の下面72dと絶縁基板31aの上面との接合面72xに接触することを抑える流動物接触抑制構造として機能することができる。
【0049】
(その他)
図1に示す実施形態では、電気部品の搭載密度を高めるため、第2電気部品32は第1電気部品31と反対側の表面に半田付けされるが、これに限らず、第2電気部品32は第1電気部品31と同じ側の表面に半田付けされることにしても良い。電気部品は電子部品を含む意味である。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。溝や流下傾斜面等の流動物接触抑制構造が基板1等に必ずしも形成されていなくても良い。第2半田付け工程では、半田槽5の溶融半田50の湯面を特に持ち上げることなく、基板1を半田槽5の溶融半田50の平坦な湯面に接触させる方式でも良い。本明細書から次の技術的思想も把握できる。
[付記項1]電気絶縁性をもつ基板等の基体と、前記基体の第1領域に設けられた導電層に積層された半田層を介して半田付けされた電気部品と、前記基体に半田付けされた前記電気部品を被覆する保護コート層とを具備しており、前記基体および/または前記保護コート層は、前記基体に付着する流動物が前記保護コート層と前記基体との接合面に接触することを抑える流動物接触抑制構造を有する基体半田付け構造。この場合、腐食性をもつイオン水等の流動物に起因して保護コート層が損傷することが抑制される。保護コート層の被覆前に、前記した熱処理工程を実施することが好ましいが、実施せずとも良い。
[付記項2]付記項1において、前記流動物接触抑制構造は、前記基体の上面に形成され前記基体に存在する流動物を流下させる流下傾斜面を備えている基体半田付け構造。前記した熱処理工程を実施することが好ましいが、実施せずとも良い。流下傾斜面は、保護コート層から保護コート層の外部に流下させることが好ましい。
[付記項3]付記項1において、前記流動物接触抑制構造は、前記基体の上面(表面)に形成され前記基体に存在する前記流動物が前記保護コート層と前記基体との接合面に接触することを抑える溝を有する基体半田付け構造。この場合、腐食性をもつイオン水等の流動物による保護コート層の損傷が抑制される。前記した熱処理工程を実施することが好ましいが、実施せずとも良い。溝は、前記基体において接合面の外側に設けられていることが好ましい。
[付記項4]付記項1において、前記流動物接触抑制構造は、前記保護コート層の外側を覆うロジン被覆層を有する基体半田付け構造。この場合、腐食性をもつイオン水等の流動物による保護コート層の損傷が抑制される。前記した熱処理工程を実施することが好ましいが、実施せずとも良い。
[付記項5]付記項1〜4のうちの一項において、前記基体はこれを厚み方向に貫通するスルーホールを有しており、半田付け工程は、溶融半田を貯留した半田槽の上側に前記基体を配置した状態で、前記基体の下面を前記半田槽の前記溶融半田に接近または接触させ、前記溶融半田を前記スルーホールを介して前記基体の上面側に供給させることにより行われる基体半田付け構造。
【符号の説明】
【0050】
1は基板(基体)、1uは上面(表面)、1dは下面(表面)、11は導電層、2は半田層、31は第1電気部品、31aは絶縁基板、32は第2電気部品、5は半田槽、50は溶融半田、6は熱処理炉、7は保護コート層、71は無機コート層、72は樹脂コート層、72xは接合面、78はロジン被覆層(流動物接触抑制構造)、101,102は溝(流動物接触抑制構造)、200は流下傾斜面、201は第1流下傾斜面、202は第2流下傾斜面(流動物接触抑制構造)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性をもつ基体に設けられた導電層に積層された半田層を介して第1電気部品を前記基体の第1領域に半田付けする第1半田付け工程と、
その後、前記基体のうち前記第1電気部品を半田付けした前記第1領域と異なる第2領域に、活性剤を含有するフラックスを存在させた状態で、第2電気部品を半田付けする第2半田付け工程と、
その後、前記第1電気部品および前記第2電気部品が半田付けされた前記基体を、下記の(a)の下限温度Tminと、(b)の上限温度Tmaxとで規定される熱処理温度の領域内において加熱させることにより、前記フラックスに含まれている活性剤による影響を低減させる熱処理工程とを実施する半田付け方法。
(a)熱処理温度の下限温度Tmin:180℃以上、
(b)熱処理温度の上限温度Tmax:半田溶融温度にマージン値α(0〜10℃)を加算した温度をT1とし、前記第1電気部品および前記第2電気部品のうちの耐熱温度が低い側の電気部品の耐熱温度をT2とするとき、温度T1および温度T2のうちの低い側の温度
【請求項2】
請求項1において、前記熱処理工程において前記熱処理温度の領域内に維持される熱処理時間は180秒以内である半田付け方法。
【請求項3】
請求項1または2において、前記第2半田付け工程は、溶融半田を貯留した半田槽の上側に前記基体を配置した状態で、前記基体の下側の表面を前記半田槽の前記溶融半田に接近または接触させ、前記溶融半田を前記基体の表面側に供給させることにより行われる半田付け方法。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの一項において、前記熱処理工程後に、前記基体に半田付けされている前記第1電気部品を保護コート層で被覆する被覆工程を実施し、
前記基体および/または前記保護コート層は、前記基体に付着する流動物が前記保護コート層と前記基体との接合面に接触することを抑える流動物接触抑制構造を有する半田付け方法。
【請求項5】
請求項4において、前記流動物接触抑制構造は、前記基体の上面に形成され前記基体に存在する流動物を流下させる流下傾斜面を備えている半田付け方法。
【請求項6】
請求項4において、前記流動物接触抑制構造は、前記基体の上面に形成され前記基体に存在する前記流動物が前記保護コート層と前記基体との接合面に接触することを抑える溝を有する半田付け方法。
【請求項7】
請求項4において、前記流動物接触抑制構造は、前記保護コート層の外側を覆うロジン被覆層を有する半田付け方法。
【請求項1】
電気絶縁性をもつ基体に設けられた導電層に積層された半田層を介して第1電気部品を前記基体の第1領域に半田付けする第1半田付け工程と、
その後、前記基体のうち前記第1電気部品を半田付けした前記第1領域と異なる第2領域に、活性剤を含有するフラックスを存在させた状態で、第2電気部品を半田付けする第2半田付け工程と、
その後、前記第1電気部品および前記第2電気部品が半田付けされた前記基体を、下記の(a)の下限温度Tminと、(b)の上限温度Tmaxとで規定される熱処理温度の領域内において加熱させることにより、前記フラックスに含まれている活性剤による影響を低減させる熱処理工程とを実施する半田付け方法。
(a)熱処理温度の下限温度Tmin:180℃以上、
(b)熱処理温度の上限温度Tmax:半田溶融温度にマージン値α(0〜10℃)を加算した温度をT1とし、前記第1電気部品および前記第2電気部品のうちの耐熱温度が低い側の電気部品の耐熱温度をT2とするとき、温度T1および温度T2のうちの低い側の温度
【請求項2】
請求項1において、前記熱処理工程において前記熱処理温度の領域内に維持される熱処理時間は180秒以内である半田付け方法。
【請求項3】
請求項1または2において、前記第2半田付け工程は、溶融半田を貯留した半田槽の上側に前記基体を配置した状態で、前記基体の下側の表面を前記半田槽の前記溶融半田に接近または接触させ、前記溶融半田を前記基体の表面側に供給させることにより行われる半田付け方法。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの一項において、前記熱処理工程後に、前記基体に半田付けされている前記第1電気部品を保護コート層で被覆する被覆工程を実施し、
前記基体および/または前記保護コート層は、前記基体に付着する流動物が前記保護コート層と前記基体との接合面に接触することを抑える流動物接触抑制構造を有する半田付け方法。
【請求項5】
請求項4において、前記流動物接触抑制構造は、前記基体の上面に形成され前記基体に存在する流動物を流下させる流下傾斜面を備えている半田付け方法。
【請求項6】
請求項4において、前記流動物接触抑制構造は、前記基体の上面に形成され前記基体に存在する前記流動物が前記保護コート層と前記基体との接合面に接触することを抑える溝を有する半田付け方法。
【請求項7】
請求項4において、前記流動物接触抑制構造は、前記保護コート層の外側を覆うロジン被覆層を有する半田付け方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−4472(P2012−4472A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140311(P2010−140311)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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