印刷物検査方法
【課題】商品に貼付等された対象印刷物の内容の正否を容易に検査することが可能な印刷物検査方法を提供する。
【解決手段】印刷物検査方法においては、消火器1Aに貼付されたラベル印刷物10A上に、当該消火器1Aに貼付すべき正規のラベルの内容が印刷された透光性シート20Aが重畳して配置される。また、当該印刷物検査方法においては、検査者がラベル印刷物10Aと透光性シート20Aとの重畳状態を視認して、ラベル印刷物10Aに印刷された内容と透光性シート20Aに印刷された内容との同一性を判定し、ラベル印刷物10Aの内容が正規のラベルの内容と同一であるか否かを判定する。
【解決手段】印刷物検査方法においては、消火器1Aに貼付されたラベル印刷物10A上に、当該消火器1Aに貼付すべき正規のラベルの内容が印刷された透光性シート20Aが重畳して配置される。また、当該印刷物検査方法においては、検査者がラベル印刷物10Aと透光性シート20Aとの重畳状態を視認して、ラベル印刷物10Aに印刷された内容と透光性シート20Aに印刷された内容との同一性を判定し、ラベル印刷物10Aの内容が正規のラベルの内容と同一であるか否かを判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品に貼付あるいは同梱された印刷物の内容の正否を検査する印刷物検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防災設備(たとえば、避難梯子(はしご)装置および消火器)等の商品には、その使用方法などを記載したラベル印刷物が貼付されている。
【0003】
ところで、このような商品が生産される際には、当該商品の構成部品を用いて当該商品が組み立てられた後に、当該商品の外表面に当該ラベル印刷物が貼付される。その後、出荷直前の商品に対する検査作業が行われる。この検査作業においては、当該商品に貼付されたラベル印刷物が正規の内容を有するものであるか否かに関して、作業者の目視によって検査が行われる。
【0004】
従来、このようなラベル印刷物の検査作業においては、作業者(検査者)は、商品に貼付されたラベル印刷物(検査対象の印刷物)を、その左右あるいは上下に配置された正規のラベル印刷物と見比べながら、その文字を交互に一字ずつ比較するなどして、その内容の正否を検査している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来技術に係る検査手法においては、検査対象のラベル印刷物上の各文字と正規のラベル印刷物上の各文字とを一字ずつ交互に見比べる比較作業等が行われるため、非常に多大な労力を要するなどの問題がある。
【0006】
また、このような問題は、商品に貼付されたラベル印刷物のみならず、商品包装箱内にて商品に同梱される印刷物(取扱説明書)の検査においても同様に生じ得る。
【0007】
そこで、この発明の課題は、商品に貼付等された対象印刷物の内容の正否を容易に検査することが可能な印刷物検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、印刷物検査方法であって、特定の商品に貼付されたラベル印刷物上に、当該特定の商品に貼付すべき正規のラベルの内容が印刷された透光性シートを重畳して配置するステップと、前記ラベル印刷物と前記透光性シートとの重畳状態を視認して、前記ラベル印刷物に印刷された内容と前記透光性シートに印刷された内容との同一性を判定し、前記ラベル印刷物の内容が前記正規のラベルの内容と同一であるか否かを判定するステップとを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る印刷物検査方法において、前記透光性シートの内容は、前記ラベル印刷物の色とは異なる色で印刷されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2の発明に係る印刷物検査方法において、前記透光性シートの文字は、前記正規のラベルの文字に関する縁取り文字として印刷されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る印刷物検査方法において、前記ラベル印刷物は、前記特定の商品の曲面上に貼付され、前記透光性シートは、可撓性を有し、前記ラベル印刷物の上に湾曲して重畳されることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、印刷物検査方法であって、商品包装箱内において特定の商品に同梱された印刷物である対象印刷物上に、当該特定の商品に同梱すべき正規の印刷物の内容が印刷された透光性シートを重畳して配置するステップと、前記対象印刷物と前記透光性シートとの重畳状態を視認して、前記対象印刷物に印刷された内容と前記透光性シートに印刷された内容との同一性を判定し、前記対象印刷物の内容が前記正規の印刷物の内容と同一であるか否かを判定するステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1ないし請求項4に記載の発明によれば、検査者の視線の移動を最小限に止めて、商品に貼付等されたラベル印刷物の内容の正否を容易に検査することが可能である。
【0014】
特に、請求項2に記載の発明によれば、透光性シートの内容とラベル印刷物の内容とを色で識別することができるので、同一性の判定をさらに容易に行うことができる。
【0015】
また特に、請求項3に記載の発明によれば、重畳状態の各文字部分における縁取りの有無等に基づいて脱字等を認識できるので、正常部分と異常部分との識別性が非常に高い。
【0016】
また特に、請求項4に記載の発明によれば、商品の曲面上に貼付されたラベル印刷物の正否をも容易に判定することができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明によれば、検査者の視線の移動を最小限に止めて、商品に同梱された対象印刷物の内容の正否を容易に検査することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係る検査方法の検査対象商品(消火器)を示す図である。
【図2】消火器に貼付されるラベル印刷物の構成例を示す図である。
【図3】ラベル印刷物に関する作成工程等を示す図である。
【図4】検査用の透光性シートを示す図である。
【図5】透光性シートに印刷された正規の内容を示す図である。
【図6】ラベル印刷物の印刷内容(非正規の印刷内容)の一例を示す図である。
【図7】透光性シートがラベル印刷物に重畳された状態を示す図である。
【図8】「ずらし操作」後の重畳状態を示す図である。
【図9】第2実施形態に係る検査方法の検査対象商品(避難梯子装置)を示す図である。
【図10】検査時において透光性シートがラベル印刷物に重ねられる様子を示す図である。
【図11】避難梯子装置の上蓋に貼付されるラベル印刷物の構成例を示す図である。
【図12】検査用の透光性シートを示す図である。
【図13】透光性シートの印刷内容とラベル印刷物の印刷内容とを示す図である。
【図14】透光性シートがラベル印刷物に重畳された状態を示す図である。
【図15】「ずらし操作」後の重畳状態を示す図である。
【図16】第3実施形態に係る検査方法の検査対象物(取扱説明書)が商品包装箱に同梱された状態を示す図である。
【図17】消火器の商品包装箱に同梱される取扱説明書の構成例を示す図である。
【図18】検査用の透光性シートを示す図である。
【図19】変形例に係る検査用の透光性シートを示す図である。
【図20】別の変形例に係る検査用の透光性シートを示す図である。
【図21】透光性シートの印刷内容とラベル印刷物の印刷内容とを示す図である。
【図22】透光性シートがラベル印刷物に重畳された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
<1.第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る検査方法の検査対象商品である消火器1Aを示す図である。
【0021】
この消火器1A(商品)が生産される際には、当該消火器1Aの構成部品を用いて当該消火器1Aが組み立てられた後に、略円筒形状を有する消火器1Aの外表面(外周曲面)の所定位置にラベル印刷物10Aが貼付される。そして、当該消火器1Aは、ラベル印刷物10Aが貼付された状態で製品(商品)として出荷される(図1参照)。
【0022】
図2は、消火器1Aに貼付されるラベル印刷物10Aの構成例を示す図である。図2に示すように、ラベル印刷物10Aには、消火器1Aの使用方法および仕様等を示す文字(文章)、図形および記号等が印刷されている。ラベル印刷物10Aの裏面(接着面)が消火器1Aの本体容器2の外周曲面に密着することによって、ラベル印刷物10Aは消火器1Aに貼付される。なお、消火器1Aに貼付されたラベル印刷物10Aは、消火器1Aの銘板であるとも表現される。
【0023】
図3は、消火器1Aの製造工程の一部を示す概念図であり、ラベル印刷物10Aに関する作成工程等を中心に示している。
【0024】
図3に示すように、ラベル印刷物10Aの印刷内容は、例えば、消火器1Aの製造メーカの社内にてデザイン(ステップS11)された後に、印刷業者に発注される(ステップS12)。発注先の当該印刷業者は、発注元の製造メーカからの指示内容に基づいて、ラベルを製作(ステップS13)し、製作したラベル印刷物10Aを発注元の製造メーカに納入する(ステップS14)。
【0025】
ここにおいて、通常、最終的な納入完了に至るまでには、幾度かの修正作業が繰り返し行われる。具体的には、ラベル印刷物10Aの試作品が一旦製造メーカ側へ提示され、当該試作品における印刷内容が正しいか否か等が確認される。修正すべき点(たとえば誤字および脱字等)が存在する場合には、修正後の内容でラベル印刷物10Aの新たな試作品が再び製作され、新たな試作品が製造メーカ側へ再提示され、当該試作品における印刷内容等が再び確認される。通常は、このような作業が繰り返されることによって、最終的なラベル印刷物10Aが確定される。その後、当該最終的な確定内容に従って多数枚(たとえば1万枚)のラベル印刷物10Aが製作され、発注元の製造メーカに納入される。
【0026】
特に、このような複数の修正作業が繰り返される際には、複数の版下が作成され、これら複数の版下は印刷業者によって管理される。また、最終納入までの上述のような過程においては、製造メーカ側においてデザイン原案の一部変更が発生し、当該原案の一部変更に伴ってラベル印刷物10Aの内の修正がなされることもある。このような事情が存在する場合には、複数の版下の管理はさらに煩雑になる。
【0027】
そして、このようにして製作されたラベル印刷物10Aは、予め工場等で組み立てられた消火器1Aに貼付される(ステップS15)。
【0028】
その後、出荷前の消火器1Aに対して検査作業が行われる(ステップS30)。ここでは、検査作業として社内検査作業(具体的には、工場での検査作業)を想定する。
【0029】
通常は、正規の内容を有するラベル印刷物10Aが消火器1Aに貼付されている。しかしながら、種々の事情によって、消火器1Aに貼付されたラベル印刷物10Aの内容が正規の内容ではないことがある。たとえば、上述のように、ステップS12〜S14等において修正作業等が繰り返されるために、印刷業者には複数の版下が存在する。そのため、複数の版下のうち最終確定物以外の版下に基づいて印刷されたラベル印刷物が、発注元に対して誤って納入され、さらに消火器1Aに誤って貼付されることなどが生じ得る。
【0030】
この検査作業(ステップS30)においては、このような誤りを発見すべく、当該商品に貼付されたラベル印刷物10Aが正規の内容を有するものであるか否か等に関して、作業者(検査者)による目視検査が行われる。
【0031】
上述のように、従来技術に係る検査作業においては、作業者(検査者)は、商品に貼付されたラベル印刷物(検査対象の印刷物)を、その左右あるいは上下に配置された正規のラベル印刷物と見比べながら、その文字を交互に一字ずつ比較して、その内容の正否を検査している。
【0032】
しかしながら、そのような検査手法は、非常に多大な労力を要するなどの問題を有している。
【0033】
そこで、この実施形態においては、次述する透光性シート20Aを用いて当該検査を実行する技術を例示する。この技術によれば、消火器1Aに貼付されたラベル印刷物10A(検査対象印刷物)の内容の正否を容易に検査することが可能である。
【0034】
図4は、透光性シート20Aを示す図である。
【0035】
この透光性シート20Aは、透明なシート状部材であり、可撓性を有している。透光性シート20Aとしては、たとえば、ポリエステルで形成されたOHPフィルムなどが用いられる。
【0036】
透光性シート20Aには正規のラベルの内容が印刷されている。また、透光性シート20Aの各部分は、原則として、正規のラベル印刷物の各対応部分とそれぞれ互いに同じ色で印刷されている。ここでは、ラベル印刷物10Aが多色刷り(詳細にはフルカラー)で印刷されていることに対応して、透光性シート20Aにおいても正規のラベルの内容がフルカラーで印刷されているものとする。たとえば、透光性シート20Aおよびラベル印刷物10Aは、それぞれ、赤色の下地の上に所定の色(白色および黒色等)の文字を有している。また、各種の図形等も原則としてそれぞれ互いに同じ色で印刷されている。ただし、ここでは白色インクを用いないものとし、厳密には、透光性シート20Aにおいて、ラベル印刷物10Aの白色部分に対応する部分は同色(白色)ではなく無色透明のままである。
【0037】
また、この透光性シート20Aは、図3に示されるように、ラベル印刷物10Aの印刷工程とは別の工程にて作成される。たとえば、透光性シート20Aは、最終確定内容が反映されたデータに基づく印刷内容がOHPフィルム等に印刷されることによって社内等で作成される(ステップS21)。また、透光性シート20Aが正規の内容を有することが、検査者等によって入念に確認される(ステップS22)。
【0038】
そして、検査者は、上述の検査工程(ステップS30)において、このような透光性シート20Aを、消火器1Aに貼付されたラベル印刷物10A上にさらに重畳して配置する(図1も参照)。詳細には、検査者は、透光性シート20Aを消火器1Aの外周曲面に沿って湾曲させ、ラベル印刷物10A上に重ね合わせる。より詳細には、検査者は、まず透光性シート20Aを湾曲させてラベル印刷物10A上の対応位置に大まかに配置した後に、透光性シート20Aの各文字がそれぞれラベル印刷物10A上の各対応文字に一致するように、手前側の透光性シート20Aを奥側のラベル印刷物10Aに対してその密着面に平行な方向(上下左右)にずらしていく。これにより、ラベル印刷物10Aの各文字と透光性シート20Aの各文字とが丁度対応する位置に配置され、透光性シート20Aとラベル印刷物10Aとは基本的に一致した状態で密着して重畳される。
【0039】
このような重畳状態において、検査者は、ラベル印刷物10Aと透光性シート20Aとの重畳状態を精緻に視認して、ラベル印刷物10Aに印刷された内容と透光性シート20Aに印刷された内容との同一性を判定する。特に、透光性シート20Aは(その彩色部分も含めて)透光性を有しているため、作業者には、透光性シート20Aの各部分の色と透光性シート20Aの奥側に配置されたラベル印刷物10Aの対応部分の色とが重なって視認される。したがって、混色が生じている部分の有無によって誤字等の存在を判定することが可能である。
【0040】
図5〜図8は、ラベル印刷物10Aと透光性シート20Aとの同一性の判定作業の一例を説明する概念図である。図5〜図8においては、説明の簡単化のため、数文字のアルファベットに関する同一性の判定処理を例示する。また、図2および図4では、主に下地色が赤色であり文字が白色(ないし無色透明)である場合を例示しているが、ここでは、簡単化のため、下地を白色で示し文字を黒色で示す。
【0041】
図5は、透光性シート20Aに記載された正規の内容を示す図である。ここでは、5つの大文字「A」、「B」、「C」、「D」、「E」が正規の内容であるものとする。一方、図6は、ラベル印刷物10Aに関する非正規の印刷内容の一例を示す図である。図6においては、正規の内容に含まれるべき3つの大文字「B」、「C」、「E」が正規の位置に配置されている。また、図6においては、本来含まれるべき大文字「A」が脱落しており、本来の大文字「D」ではなく誤って小文字「d」が印刷されており、本来含まれるべきでない大文字「F」が余分に含まれている状況が示されている。
【0042】
図7は、「ABCDE」の文字を有する透光性シート20Aが、「 BCdEF」の文字を有するラベル印刷物10Aに対して重畳された状態を示す図である。
【0043】
図7においては、特に、左から4つめの文字の位置において「D」と「d」とが重なっていることが判る。検査者は、このような不自然な重なり部分(混色部分)を視認すると、当該重なり部分に誤字が存在することを知得することができる。
【0044】
つぎに、検査者は、ラベル印刷物10Aに対して透光性シート20Aを微少量(たとえば1mm(ミリメートル)程度)左右方向および/または上下方向に意図的にずらす操作を行う。図8は、このような「ずらし操作」後の重畳状態を示す図である。なお、図8では、透光性シート20Aをラベル印刷物10Aに対して左上の方向にずらした様子が示されている。
【0045】
このとき、図8に示すように、透光性シート20Aの正規の文字「B」、「C」、「E」の奥側に、ラベル印刷物10Aの対応文字「B」、「C」、「E」が若干ずれて存在するため、検査者は、二重の各文字「B」、「C」、「E」を視認できる。一方、ラベル印刷物10Aにおいては大文字「A」が脱落しているため、検査者は、透光性シート20Aの文字「A」を(二重ではなく)鮮明に視認できる。また、ラベル印刷物10Aにおいては大文字「F」が余分に印字されているため、検査者は、ラベル印刷物10Aの文字「F」を(二重ではなく)鮮明に視認できる。このように「ずらし操作」後の図8の状態においては、鮮明に見える文字は、脱字等である可能性が高い。そのため、検査者は、鮮明な文字を視認すると、当該鮮明な文字の位置に脱字等が存在することを知得することができる。
【0046】
検査者は、このような視認作業を各文字について順次に実行し、誤字脱字等が存在しないことを確認すると、ラベル印刷物10Aに印刷された内容と透光性シート20Aに印刷された内容とが同一であると判定する。そして、ラベル印刷物10Aに印刷された内容と透光性シート20Aに印刷された内容とが同一であると判定されるときには、ラベル印刷物10Aの内容が正規のラベルの内容と同一であると判定される。一方、誤字あるいは脱字等が検出され、ラベル印刷物10Aに印刷された内容と透光性シート20Aに印刷された内容とが互いに異なると判定されるときには、ラベル印刷物10Aは正規のラベルの内容を有しないと判定される。
【0047】
以上のような検査方法によれば、検査者は、ラベル印刷物10Aと透光性シート20Aとの重畳状態を視認することにより、ラベル印刷物10Aの内容が正規のラベルの内容と同一であるか否かを判定することができる。より詳細には、検査者は、正規の印刷内容(文字等)が重畳されたラベル印刷物10Aの各文字等を順次に視認して、ラベル印刷物10Aの各文字等の正当性を順次に判定してくことが可能である。端的に言えば、検査者は、文章を通常に読むときと同様に当該文章の各文字を順次に目で追っていくことによって各文字の正否を判定することができる。したがって、従来手法のように並列配置された2つの印刷物を交互に見比べてラベル印刷物の内容の正否を判定する場合に比べて、視線を交互に移動させることを要さず視線の移動を最小限に止めて、ラベル印刷物の内容の正否を容易に判定することが可能である。また、透光性シート20Aは非常に安価に準備され得るため、効率的な検査作業を非常に低コストで実現することが可能である。
【0048】
また特に、ラベル印刷物10Aの各文字と透光性シート20Aの各文字とが丁度対応する位置に配置された重畳状態(図7参照)で誤字が判定された後に、透光性シート20Aとラベル印刷物10Aとを相対的にずらして再判定する(図8参照)ことが好ましい。これによれば、ラベル印刷物10A上の誤字のみならず、ラベル印刷物10A上の脱字および余分な文字をも容易に検出することが可能である。
【0049】
また、上記実施形態においては、可撓性を有する透光性シート20Aがラベル印刷物10Aの上に湾曲して重畳されるので、ラベル印刷物10Aが消火器1Aの曲面上に貼付された状態のまま、当該ラベル印刷物10Aの正否を容易に判定することが可能である。
【0050】
ところで、上記実施形態においては、社内検査に対して本発明の思想を適用する場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、消火器1Aに関する国家検定(特に個別検定)における表示の確認検査に対して、上記の思想を適用するようにしてもよい。以下、このような検査について説明する。
【0051】
消火器1A等の消防用機械器具は、国家検定に合格することが求められる。このような国家検定には、型式検定と個別検定とが存在する。型式検定は、「或る型式の消防用機械器具等の形状、材質、成分および性能が所定の技術上の規格に適合しているか否か」に関するものである。当該型式の消防用機械器具等が所定の規格に適合していると判定されると、型式検定に合格し、型式承認がなされる。一方、個別検定は、「個々の消防用機械器具等の形状、構造、材質、成分および性能等が、型式検定を経て承認された型式(内容)と同一であるかどうか」を検査するものである。この個別検定に合格すると、各個別の製品に合格表示を付すことができる。なお、個別検定は、通常、JIS(日本工業規格)で定められた抜き取り検査方法で行われる。例えば、1万本の消火器1Aに関してはそのうちの数十本が抜き取り検査の対象として選択される。
【0052】
上記の思想は、例えば、この個別検定に対しても好適に適用され得る。個別検定においては、上記のような消火器1Aのラベル印刷物10A(銘板)の表示の正否等に関する検査項目も存在する。このようなラベル印刷物10Aの表示内容を検査者(外部検査員(すなわち検定官))が検査する際において、上記のような検査方法を用いることによれば、当該検査を効率的に実行することが可能である。
【0053】
<2.第2実施形態>
第2実施形態においては、消火器とは別の商品(具体的には「避難梯子装置」)に貼付されたラベル印刷物10Bが正規の内容を有するものであるか否かを検査する場合について例示する。
【0054】
図9および図10は、避難梯子(はしご)装置1Bを示す図である。この避難梯子装置1Bは、緊急時の避難用設備(防災設備)であり、マンションあるいはビルのベランダ等に設置されるものである。避難梯子装置1Bは、避難用の開口を有する枠型の筐体5、当該筐体5の開口を開閉する開閉式の上蓋6、およびパンタグラフ状の伸縮機構により伸縮可能な梯子(避難梯子)7等を備えて構成される。
【0055】
図9に示すように、緊急時に、避難者が避難梯子装置1Bの上蓋6を開けた後に所定の操作を行うと、パンタグラフ状の梯子7が階下に向けて伸長する。避難者は、伸長された当該梯子7を伝って階下に移動し避難することが可能である。
【0056】
図9に示すように、このような避難梯子装置1Bの上蓋6の内側面(裏面)には、ラベル印刷物10Bが貼付されている。図11は、ラベル印刷物10Bの構成例を示す図である。図11に示すように、ラベル印刷物10Bには、避難梯子装置1Bの使用方法等が印刷されている。ラベル印刷物10Bは、第1実施形態のラベル印刷物10Aと同様にして製作される。
【0057】
なお、この第2実施形態に係る検査の対象印刷物であるラベル印刷物10Bは、モノクロ印刷(白黒印刷)されたものであるとする。詳細には、ラベル印刷物10Bにおいては、原則として、白地に黒文字で各種の情報が記載されている。換言すれば、ラベル印刷物10Bの背景色は白色であり、ラベル印刷物10Bの文字色は黒色である。
【0058】
また、この第2実施形態においては、図12に示すような透光性シート20Bを用いてラベル印刷物10Bを検査する場合について例示する。これによれば、避難梯子装置1Bの上蓋6に貼付されたラベル印刷物10Bの内容の正否を容易に検査することが可能である。透光性シート20Bは、第1実施形態の透光性シート20Aと同様にして製作される。
【0059】
この透光性シート20B(図12参照)には正規のラベルの内容が印刷されている。ここでは、ラベル印刷物10Bの内容(文字等)が黒色で印刷されているのに対して、透光性シート20Bの内容(文字等)は赤色で印刷されているものとする。すなわち、透光性シート20Bの文字等の色(赤色)は、ラベル印刷物10Bの文字等の色(黒色)とは異なっている。また、透光性シート20Bにおける赤色印刷部分(文字部分等)以外の領域(背景領域)は、無色(詳細には無色透明)であり、透光性を有している。さらに、透光性シート20Bにおける赤色印刷部分も透光性を有している。詳細には、透光性シート20Bにおける赤色印刷部分は、有色透明状態(半透明状態とも称される)を有している。このように、透光性シート20Bは、文字部分と非文字部分(背景部分)との双方において透光性を有していることが好ましい。
【0060】
検査者は、このような透光性シート20B(図12)を、避難梯子装置1Bの上蓋の裏面に貼付されたラベル印刷物10B(図11)上に重畳して配置する(図10も参照)。詳細には、検査者は、まず透光性シート20Bをラベル印刷物10B上に密着させて大まかな対応位置に配置した後に、透光性シート20Bの各文字がそれぞれラベル印刷物10B上の各対応文字に一致するように、手前側の透光性シート20Bを奥側のラベル印刷物10Bに対してずらしていく。これにより、ラベル印刷物10Bの各文字と透光性シート20Bの各文字とが丁度対応する位置に配置され、透光性シート20Bとラベル印刷物10Bとは基本的に一致した状態で密着して重畳される。
【0061】
このような重畳状態において、検査者は、ラベル印刷物10Bと透光性シート20Bとの重畳状態を文字毎に順次に視認して、ラベル印刷物10Bに印刷された内容と透光性シート20Bに印刷された内容との同一性を判定する。
【0062】
図13〜図15は、ラベル印刷物10Bと透光性シート20Bとの同一性の判定作業の一例を説明する概念図である。図13〜図15においては、説明の簡単化のため、数文字のアルファベットに関する同一性の判定処理を例示する。ここでは、図13に示すように、第1実施形態と同様に、「ABCDE」の文字を有する透光性シート20Bが、「 BCdEF」の文字を有するラベル印刷物10Bに対して重畳される場合を例示する。ただし、上述したように、この第2実施形態においては、透光性シート20Bの文字は赤色で印刷されており、ラベル印刷物10Bの文字は黒色で印刷されているものとする。
【0063】
図14は、「ABCDE」の文字を有する透光性シート20Bが、「 BCdEF」の文字を有するラベル印刷物10Bに対して重畳された状態を示す図である。
【0064】
図14に示すように、透光性シート20Bの正規の文字「B」、「C」、「E」に、ラベル印刷物10Bの対応文字「B」、「C」、「E」が丁度重なっており、検査者は、鮮明な各文字「B」、「C」、「E」を視認できる。ここにおいて、透光性シート20Bにおける赤色の文字は透光性を有する文字(有色透明文字)である。そのため、ラベル印刷物10Bにおける黒色の文字の上に透光性シート20Bにおける赤色の文字(透光性を有する)が重なると、当該各文字「B」、「C」、「E」は、それぞれ、(黒でも赤でもなく)赤茶色を有する状態で視認される。このように、ラベル印刷物10Bと透光性シート20Bとの重畳状態においては、正しい文字は、赤茶色を有する状態で視認される。
【0065】
一方、ラベル印刷物10Bにおいては黒色文字「A」が脱落しているため、検査者は、透光性シート20Bの赤色文字「A」を視認する。このように、ラベル印刷物10Bにおいて本来文字が存在すべき位置に文字が存在しない場合には、赤色文字が視認される。
【0066】
また、ラベル印刷物10Bにおいては黒色文字「F」が余分に印字されているため、検査者は、ラベル印刷物10Bの黒文字「F」を鮮明に視認する。このように、ラベル印刷物10Bにおいて本来文字が存在すべきでない位置に文字が存在する場合には、黒色文字が視認される。
【0067】
このように、ラベル印刷物10Bと透光性シート20Bとの重畳状態においては、赤茶色の文字部分は正規の内容を有する部分であると認識され、赤色の文字部分と黒色の文字部分とはいずれも正規の内容とは異なる部分(非正規部分)であると認識される。
【0068】
さらに、図14においては、左から4つめの文字の位置において赤色文字「D」と黒色文字「d」とが重なっていることが判る。検査者は、このような不自然な重なり部分を視認すると、当該重なり部分に誤字が存在することを知得することもできる。
【0069】
検査者は、このような視認作業を各文字について順次に実行し、誤字脱字等が存在しないことを確認すると、ラベル印刷物10Bに印刷された内容と透光性シート20Bに印刷された内容とが同一であると判定する。そして、ラベル印刷物10Bに印刷された内容と透光性シート20Bに印刷された内容とが同一であると判定されるときに、ラベル印刷物10Bの内容が正規のラベルの内容と同一であると判定される。一方、ラベル印刷物10Bに印刷された内容と透光性シート20Bに印刷された内容とが互いに異なると判定されるときには、ラベル印刷物10Bは正規のラベルの内容を有しないと判定される。
【0070】
以上のような検査方法によれば、従来手法のように、並列配置された2つの印刷物を交互に見比べてラベル印刷物10Bの内容が正規の内容であるか否かを判定する場合に比べて、視線を交互に移動させることを要さず非常に容易に誤字等を検出することが可能である。換言すれば、検査者の視線の移動を最小限に止めて、商品に貼付等されたラベル印刷物10Bの内容の正否を容易に検査することが可能である。また、透光性シート20Bは非常に安価に準備され得るため、効率的な検査作業を非常に低コストで実現することが可能である。
【0071】
さらに、透光性シート20Bの各文字は、ラベル印刷物10Bの各文字とは異なる色で印刷されているので、同一性の判定をさらに容易に行うことができる。より具体的には、透光性シートの内容とラベル印刷物の内容とを色で識別することができるので、脱字等を容易に発見することが可能である。特に、透光性シート20Bの各文字は、透光性を有する状態、詳細にはラベル印刷物10Bの文字色(黒色)とは異なる比較的明るい色(赤色)で印刷されているため、一致部分(重複部分)においては色の混合(混色)が発生する。その結果、当該一致部分は、ラベル印刷物10Bの文字色(黒色)とも透光性シート20Bの文字色(赤色)とも異なる第3の色(赤茶色)で表現される。また、本来存在すべきであるにもかかわらず脱落している文字、および本来存在しない部分に存在する文字は、それぞれ、当該第3の色(赤茶色)とは異なる色の文字(赤色文字および黒色文字)として認識されるので、誤字等の識別性が非常に高い。
【0072】
なお、この第2実施形態のように、透光性シートの文字は、検査対象印刷物の文字とは異なる色であって且つ検査対象印刷物の文字よりも明るい色で彩色されていることが好ましい。
【0073】
ところで、避難梯子装置1Bの組立工程および検査工程は、ラベル印刷物10Bの文字に対応する言語とは異なる言語を母国語とする人物(検査者等)によって行われることもある。そして、検査者の母国語がラベル印刷物10Bの文字の言語と異なっている場合(詳細には検査者がラベル印刷物10Bの文字を知らない場合)においても、上記態様の検査方法を用いることによれば、当該検査者はラベル印刷物10Bの正否を容易に判定することが可能である。特に、ラベル印刷物10Bの色と透光性シート20Bの色との重なり具合によって、ラベル印刷物10Bが正規のものであるか否かを容易に判定することが可能である。
【0074】
なお、この第2実施形態においても、図14のような重畳状態の後に、検査者は、ラベル印刷物10Bに対して透光性シート20Bを微少量(たとえば1mm(ミリメートル)程度)左右方向および/または上下方向に意図的にずらす「ずらし操作」を行うようにしてもよい。図15では、透光性シート20Bをラベル印刷物10Bに対して左上の方向にずらした様子が示されている。このような第1実施形態と同様の「ずらし操作」を行うことによって、「ずらし操作」後において各文字が鮮明に見える文字であるか否かを判定し、脱字等をさらに確実に検出するようにしてもよい。
【0075】
<3.第3実施形態>
上記各実施形態においては、商品に貼付されているラベル印刷物を検査対象とする場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、商品包装箱内において商品(防災設備等)に同梱された印刷物(取扱説明書等)を検査対象(対象印刷物)とするようにしてもよい。この第3実施形態においては、このような態様について説明する。
【0076】
図16は、消火器1Aの出荷直前における梱包状態を示す図であり、商品包装箱50の内部の様子を示している。図16に示すように、消火器1Aは、略直方体形状の商品包装箱50内に収容(梱包)されている。また、商品包装箱50には取扱説明書51が同梱されている。この取扱説明書(取扱説明書シートとも称する)51は、図17に示すように細長形状の1枚の用紙に印刷されて作成されている。また、図16の梱包状態においては、取扱説明書51は、山折りと谷折りとが交互に繰り返された状態で折り畳まれて収容されている。取扱説明書51にて山折り線と谷折り線とに挟まれた領域は、印刷物のページ(頁)を構成する。たとえば、図17に示すように、3つの折り線(左から、山折り線、谷折り線、山折り線)L1〜L3で区切られた4つの領域R1〜R4は、当該取扱説明書51における4つのページPG1〜PG4を構成する。
【0077】
商品出荷前の検査等においては、商品包装箱50に同梱された取扱説明書51が正規の印刷物であるか否かを検査することも求められる。この第3実施形態においては、このような検査に上記の思想を適用して、取扱説明書51の正否を検査する。
【0078】
具体的には、取扱説明書51の正規の内容(消火器1Aに同梱すべき正規の取扱説明書51の内容)が印刷された透光性シート20Cを利用する。図18は、透光性シート20Cを示す図である。たとえば、第2実施形態と同様に、検査対象印刷物である取扱説明書51の内容(文字等)が黒色で印刷されているものとし、透光性シート20Cの内容(文字等)は赤色で印刷されているものとする。なお、ここでは、透光性シート20Cは、4つのページPG1〜PG4の内容を全て有するものとする。
【0079】
検査者は、商品包装箱50に同梱された取扱説明書51を当該商品包装箱50から一旦取り出して所定の作業台の上に当該取扱説明書51を載置した後、当該取扱説明書51の上に透光性シート20Cを重畳して配置する。そして、検査者は、取扱説明書51と透光性シート20Cとの重畳状態を視認して、取扱説明書51に印刷された内容と透光性シート20Cに印刷された内容との同一性を判定する。そして、その判定結果に基づいて、対象印刷物の内容が正規の印刷物の内容と同一であるか否かが判定される。
【0080】
以上のような検査方法によれば、商品に同梱された対象印刷物(取扱説明書51)に関しても、上記各実施形態(特に第2実施形態)と同様にして、その印刷内容の正否を容易に検査することが可能である。
【0081】
なお、上記においては、透光性シート20Cは、4つのページPG1〜PG4の内容を全て有する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、ページPG1〜PG4ごとに異なる透光性シートSH1〜SH4を作成しておき、取扱説明書51の各ページPG1〜PG4と各透光性シートSH1〜SH4とをそれぞれ重畳させて比較することによって、ページごとに内容の正否を検査するようにしてもよい。
【0082】
<4.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0083】
たとえば、上記第2実施形態においては、黒色印刷されたラベル印刷物10Bの検査において、文字等が赤色で印刷された透光性シート20Bを用いる場合を例示したが、これに限定されず、その他の色(例えば緑色、水色、黄色など)で文字等が印刷された透光性シートを用いるようにしてもよい。また、透光性シート20Bの背景領域は、無色ではなく、白色(好ましくは白色半透明)等であってもよい。
【0084】
あるいは、図19に示すような透光性シート20Dを用いるようにしてもよい。透光性シート20Dは、第2実施形態に係る透光性シート20B(図12)の内容に対してネガポジ反転させた内容を有している。透光性シート20Dにおける非文字部分は赤色等で印刷され、透光性シート20Dにおける文字部分(図19での白抜き部分)は無色透明である。
【0085】
また、図20に示すような透光性シート20Eを用いるようにしてもよい。透光性シート20Eは、第2実施形態に係る透光性シート20B(図12)の各文字が「縁取り文字」に変換されて印刷されたものである。詳細には、透光性シート20Eにおいては、各文字の輪郭の外側に縁取り部分(外側輪郭部分)が設けられている。当該縁取り部分は、ラベル印刷物10Bの文字色以外の色(例えば赤色)で彩色されており、それ以外の部分(文字の内部も含む)は無色透明である。なお、厳密には、透光性シート20E(図20)の各文字の内部(各文字において抜かれた部分)は無色透明であるが、本願では、このような文字も「白抜き」文字の一態様であるものとし、透光性シート20E(図20)の各文字等を「白抜き縁取り文字」とも称するものとする。
【0086】
図21および図22は、ラベル印刷物10Bと透光性シート20Eとの同一性の判定作業の一例を説明する概念図である。
【0087】
図21は、透光性シート20Eとラベル印刷物10Bとをそれぞれ示す図(重畳前)であり、図22は、「ABCDE」の文字を有する透光性シート20Eが、「 BCdEF」の文字を有するラベル印刷物10Bに対して重畳された状態を示す図である。
【0088】
図22に示すように、重畳状態においては、透光性シート20Eの正規の文字(赤色の白抜き縁取り文字)「B」、「C」、「E」は、それぞれ、ラベル印刷物10Bの対応文字(黒色文字)「B」、「C」、「E」と結合されて視認される。この結果、検査者は、赤色で縁取りされた黒文字「B」、「C」、「E」を視認する。このように、ラベル印刷物10Bと透光性シート20Eとの重畳状態においては、正しい文字は、赤色で縁取りされた黒文字として視認される。
【0089】
一方、ラベル印刷物10Bにおいて黒色文字「A」が脱落している部分においては、検査者は、透光性シート20Eの赤色の白抜き縁取り文字「A」のみを視認する。このように、ラベル印刷物10Bにおいて本来文字が存在すべき位置に文字が存在しない部分においては、赤色の白抜き縁取り文字が視認される。
【0090】
また、ラベル印刷物10Bにおいては黒色文字「F」が余分に印字されているため、検査者は、当該文字の位置においては、ラベル印刷物10Bの黒文字「F」を視認する。この黒文字「F」には、赤色の縁取りは存在しない。このように、ラベル印刷物10Bにおいて本来文字が存在すべきでない位置に文字が存在する場合には、縁取り無しの黒色文字が視認される。
【0091】
このように、ラベル印刷物10Bと透光性シート20Bとの重畳状態においては、赤色で縁取られた黒色文字部分は正規の内容を有する部分であると認識され、赤色の縁取りを有する白抜き文字部分と縁取り無しの黒色文字部分とはいずれも正規の内容とは異なる部分であると認識される。
【0092】
このような検査方法を用いるようにしても、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。また特に、この透光性シート20Eを用いる場合には、重畳状態の各文字部分における縁取りの有無等に基づいて脱字等を認識できるので、正常部分と異常部分との識別性が非常に高い。したがって、検査者は誤字および脱字等を非常に容易に認識することができる。
【符号の説明】
【0093】
1A 消火器
1B 避難梯子装置
2 本体容器
5 筐体
6 上蓋
7 梯子
10A,10B ラベル印刷物
20A〜20E,SH1〜SH4 透光性シート
50 商品包装箱
51 取扱説明書
PG1〜PG4 ページ
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品に貼付あるいは同梱された印刷物の内容の正否を検査する印刷物検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防災設備(たとえば、避難梯子(はしご)装置および消火器)等の商品には、その使用方法などを記載したラベル印刷物が貼付されている。
【0003】
ところで、このような商品が生産される際には、当該商品の構成部品を用いて当該商品が組み立てられた後に、当該商品の外表面に当該ラベル印刷物が貼付される。その後、出荷直前の商品に対する検査作業が行われる。この検査作業においては、当該商品に貼付されたラベル印刷物が正規の内容を有するものであるか否かに関して、作業者の目視によって検査が行われる。
【0004】
従来、このようなラベル印刷物の検査作業においては、作業者(検査者)は、商品に貼付されたラベル印刷物(検査対象の印刷物)を、その左右あるいは上下に配置された正規のラベル印刷物と見比べながら、その文字を交互に一字ずつ比較するなどして、その内容の正否を検査している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来技術に係る検査手法においては、検査対象のラベル印刷物上の各文字と正規のラベル印刷物上の各文字とを一字ずつ交互に見比べる比較作業等が行われるため、非常に多大な労力を要するなどの問題がある。
【0006】
また、このような問題は、商品に貼付されたラベル印刷物のみならず、商品包装箱内にて商品に同梱される印刷物(取扱説明書)の検査においても同様に生じ得る。
【0007】
そこで、この発明の課題は、商品に貼付等された対象印刷物の内容の正否を容易に検査することが可能な印刷物検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、印刷物検査方法であって、特定の商品に貼付されたラベル印刷物上に、当該特定の商品に貼付すべき正規のラベルの内容が印刷された透光性シートを重畳して配置するステップと、前記ラベル印刷物と前記透光性シートとの重畳状態を視認して、前記ラベル印刷物に印刷された内容と前記透光性シートに印刷された内容との同一性を判定し、前記ラベル印刷物の内容が前記正規のラベルの内容と同一であるか否かを判定するステップとを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る印刷物検査方法において、前記透光性シートの内容は、前記ラベル印刷物の色とは異なる色で印刷されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2の発明に係る印刷物検査方法において、前記透光性シートの文字は、前記正規のラベルの文字に関する縁取り文字として印刷されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る印刷物検査方法において、前記ラベル印刷物は、前記特定の商品の曲面上に貼付され、前記透光性シートは、可撓性を有し、前記ラベル印刷物の上に湾曲して重畳されることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、印刷物検査方法であって、商品包装箱内において特定の商品に同梱された印刷物である対象印刷物上に、当該特定の商品に同梱すべき正規の印刷物の内容が印刷された透光性シートを重畳して配置するステップと、前記対象印刷物と前記透光性シートとの重畳状態を視認して、前記対象印刷物に印刷された内容と前記透光性シートに印刷された内容との同一性を判定し、前記対象印刷物の内容が前記正規の印刷物の内容と同一であるか否かを判定するステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1ないし請求項4に記載の発明によれば、検査者の視線の移動を最小限に止めて、商品に貼付等されたラベル印刷物の内容の正否を容易に検査することが可能である。
【0014】
特に、請求項2に記載の発明によれば、透光性シートの内容とラベル印刷物の内容とを色で識別することができるので、同一性の判定をさらに容易に行うことができる。
【0015】
また特に、請求項3に記載の発明によれば、重畳状態の各文字部分における縁取りの有無等に基づいて脱字等を認識できるので、正常部分と異常部分との識別性が非常に高い。
【0016】
また特に、請求項4に記載の発明によれば、商品の曲面上に貼付されたラベル印刷物の正否をも容易に判定することができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明によれば、検査者の視線の移動を最小限に止めて、商品に同梱された対象印刷物の内容の正否を容易に検査することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係る検査方法の検査対象商品(消火器)を示す図である。
【図2】消火器に貼付されるラベル印刷物の構成例を示す図である。
【図3】ラベル印刷物に関する作成工程等を示す図である。
【図4】検査用の透光性シートを示す図である。
【図5】透光性シートに印刷された正規の内容を示す図である。
【図6】ラベル印刷物の印刷内容(非正規の印刷内容)の一例を示す図である。
【図7】透光性シートがラベル印刷物に重畳された状態を示す図である。
【図8】「ずらし操作」後の重畳状態を示す図である。
【図9】第2実施形態に係る検査方法の検査対象商品(避難梯子装置)を示す図である。
【図10】検査時において透光性シートがラベル印刷物に重ねられる様子を示す図である。
【図11】避難梯子装置の上蓋に貼付されるラベル印刷物の構成例を示す図である。
【図12】検査用の透光性シートを示す図である。
【図13】透光性シートの印刷内容とラベル印刷物の印刷内容とを示す図である。
【図14】透光性シートがラベル印刷物に重畳された状態を示す図である。
【図15】「ずらし操作」後の重畳状態を示す図である。
【図16】第3実施形態に係る検査方法の検査対象物(取扱説明書)が商品包装箱に同梱された状態を示す図である。
【図17】消火器の商品包装箱に同梱される取扱説明書の構成例を示す図である。
【図18】検査用の透光性シートを示す図である。
【図19】変形例に係る検査用の透光性シートを示す図である。
【図20】別の変形例に係る検査用の透光性シートを示す図である。
【図21】透光性シートの印刷内容とラベル印刷物の印刷内容とを示す図である。
【図22】透光性シートがラベル印刷物に重畳された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
<1.第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る検査方法の検査対象商品である消火器1Aを示す図である。
【0021】
この消火器1A(商品)が生産される際には、当該消火器1Aの構成部品を用いて当該消火器1Aが組み立てられた後に、略円筒形状を有する消火器1Aの外表面(外周曲面)の所定位置にラベル印刷物10Aが貼付される。そして、当該消火器1Aは、ラベル印刷物10Aが貼付された状態で製品(商品)として出荷される(図1参照)。
【0022】
図2は、消火器1Aに貼付されるラベル印刷物10Aの構成例を示す図である。図2に示すように、ラベル印刷物10Aには、消火器1Aの使用方法および仕様等を示す文字(文章)、図形および記号等が印刷されている。ラベル印刷物10Aの裏面(接着面)が消火器1Aの本体容器2の外周曲面に密着することによって、ラベル印刷物10Aは消火器1Aに貼付される。なお、消火器1Aに貼付されたラベル印刷物10Aは、消火器1Aの銘板であるとも表現される。
【0023】
図3は、消火器1Aの製造工程の一部を示す概念図であり、ラベル印刷物10Aに関する作成工程等を中心に示している。
【0024】
図3に示すように、ラベル印刷物10Aの印刷内容は、例えば、消火器1Aの製造メーカの社内にてデザイン(ステップS11)された後に、印刷業者に発注される(ステップS12)。発注先の当該印刷業者は、発注元の製造メーカからの指示内容に基づいて、ラベルを製作(ステップS13)し、製作したラベル印刷物10Aを発注元の製造メーカに納入する(ステップS14)。
【0025】
ここにおいて、通常、最終的な納入完了に至るまでには、幾度かの修正作業が繰り返し行われる。具体的には、ラベル印刷物10Aの試作品が一旦製造メーカ側へ提示され、当該試作品における印刷内容が正しいか否か等が確認される。修正すべき点(たとえば誤字および脱字等)が存在する場合には、修正後の内容でラベル印刷物10Aの新たな試作品が再び製作され、新たな試作品が製造メーカ側へ再提示され、当該試作品における印刷内容等が再び確認される。通常は、このような作業が繰り返されることによって、最終的なラベル印刷物10Aが確定される。その後、当該最終的な確定内容に従って多数枚(たとえば1万枚)のラベル印刷物10Aが製作され、発注元の製造メーカに納入される。
【0026】
特に、このような複数の修正作業が繰り返される際には、複数の版下が作成され、これら複数の版下は印刷業者によって管理される。また、最終納入までの上述のような過程においては、製造メーカ側においてデザイン原案の一部変更が発生し、当該原案の一部変更に伴ってラベル印刷物10Aの内の修正がなされることもある。このような事情が存在する場合には、複数の版下の管理はさらに煩雑になる。
【0027】
そして、このようにして製作されたラベル印刷物10Aは、予め工場等で組み立てられた消火器1Aに貼付される(ステップS15)。
【0028】
その後、出荷前の消火器1Aに対して検査作業が行われる(ステップS30)。ここでは、検査作業として社内検査作業(具体的には、工場での検査作業)を想定する。
【0029】
通常は、正規の内容を有するラベル印刷物10Aが消火器1Aに貼付されている。しかしながら、種々の事情によって、消火器1Aに貼付されたラベル印刷物10Aの内容が正規の内容ではないことがある。たとえば、上述のように、ステップS12〜S14等において修正作業等が繰り返されるために、印刷業者には複数の版下が存在する。そのため、複数の版下のうち最終確定物以外の版下に基づいて印刷されたラベル印刷物が、発注元に対して誤って納入され、さらに消火器1Aに誤って貼付されることなどが生じ得る。
【0030】
この検査作業(ステップS30)においては、このような誤りを発見すべく、当該商品に貼付されたラベル印刷物10Aが正規の内容を有するものであるか否か等に関して、作業者(検査者)による目視検査が行われる。
【0031】
上述のように、従来技術に係る検査作業においては、作業者(検査者)は、商品に貼付されたラベル印刷物(検査対象の印刷物)を、その左右あるいは上下に配置された正規のラベル印刷物と見比べながら、その文字を交互に一字ずつ比較して、その内容の正否を検査している。
【0032】
しかしながら、そのような検査手法は、非常に多大な労力を要するなどの問題を有している。
【0033】
そこで、この実施形態においては、次述する透光性シート20Aを用いて当該検査を実行する技術を例示する。この技術によれば、消火器1Aに貼付されたラベル印刷物10A(検査対象印刷物)の内容の正否を容易に検査することが可能である。
【0034】
図4は、透光性シート20Aを示す図である。
【0035】
この透光性シート20Aは、透明なシート状部材であり、可撓性を有している。透光性シート20Aとしては、たとえば、ポリエステルで形成されたOHPフィルムなどが用いられる。
【0036】
透光性シート20Aには正規のラベルの内容が印刷されている。また、透光性シート20Aの各部分は、原則として、正規のラベル印刷物の各対応部分とそれぞれ互いに同じ色で印刷されている。ここでは、ラベル印刷物10Aが多色刷り(詳細にはフルカラー)で印刷されていることに対応して、透光性シート20Aにおいても正規のラベルの内容がフルカラーで印刷されているものとする。たとえば、透光性シート20Aおよびラベル印刷物10Aは、それぞれ、赤色の下地の上に所定の色(白色および黒色等)の文字を有している。また、各種の図形等も原則としてそれぞれ互いに同じ色で印刷されている。ただし、ここでは白色インクを用いないものとし、厳密には、透光性シート20Aにおいて、ラベル印刷物10Aの白色部分に対応する部分は同色(白色)ではなく無色透明のままである。
【0037】
また、この透光性シート20Aは、図3に示されるように、ラベル印刷物10Aの印刷工程とは別の工程にて作成される。たとえば、透光性シート20Aは、最終確定内容が反映されたデータに基づく印刷内容がOHPフィルム等に印刷されることによって社内等で作成される(ステップS21)。また、透光性シート20Aが正規の内容を有することが、検査者等によって入念に確認される(ステップS22)。
【0038】
そして、検査者は、上述の検査工程(ステップS30)において、このような透光性シート20Aを、消火器1Aに貼付されたラベル印刷物10A上にさらに重畳して配置する(図1も参照)。詳細には、検査者は、透光性シート20Aを消火器1Aの外周曲面に沿って湾曲させ、ラベル印刷物10A上に重ね合わせる。より詳細には、検査者は、まず透光性シート20Aを湾曲させてラベル印刷物10A上の対応位置に大まかに配置した後に、透光性シート20Aの各文字がそれぞれラベル印刷物10A上の各対応文字に一致するように、手前側の透光性シート20Aを奥側のラベル印刷物10Aに対してその密着面に平行な方向(上下左右)にずらしていく。これにより、ラベル印刷物10Aの各文字と透光性シート20Aの各文字とが丁度対応する位置に配置され、透光性シート20Aとラベル印刷物10Aとは基本的に一致した状態で密着して重畳される。
【0039】
このような重畳状態において、検査者は、ラベル印刷物10Aと透光性シート20Aとの重畳状態を精緻に視認して、ラベル印刷物10Aに印刷された内容と透光性シート20Aに印刷された内容との同一性を判定する。特に、透光性シート20Aは(その彩色部分も含めて)透光性を有しているため、作業者には、透光性シート20Aの各部分の色と透光性シート20Aの奥側に配置されたラベル印刷物10Aの対応部分の色とが重なって視認される。したがって、混色が生じている部分の有無によって誤字等の存在を判定することが可能である。
【0040】
図5〜図8は、ラベル印刷物10Aと透光性シート20Aとの同一性の判定作業の一例を説明する概念図である。図5〜図8においては、説明の簡単化のため、数文字のアルファベットに関する同一性の判定処理を例示する。また、図2および図4では、主に下地色が赤色であり文字が白色(ないし無色透明)である場合を例示しているが、ここでは、簡単化のため、下地を白色で示し文字を黒色で示す。
【0041】
図5は、透光性シート20Aに記載された正規の内容を示す図である。ここでは、5つの大文字「A」、「B」、「C」、「D」、「E」が正規の内容であるものとする。一方、図6は、ラベル印刷物10Aに関する非正規の印刷内容の一例を示す図である。図6においては、正規の内容に含まれるべき3つの大文字「B」、「C」、「E」が正規の位置に配置されている。また、図6においては、本来含まれるべき大文字「A」が脱落しており、本来の大文字「D」ではなく誤って小文字「d」が印刷されており、本来含まれるべきでない大文字「F」が余分に含まれている状況が示されている。
【0042】
図7は、「ABCDE」の文字を有する透光性シート20Aが、「 BCdEF」の文字を有するラベル印刷物10Aに対して重畳された状態を示す図である。
【0043】
図7においては、特に、左から4つめの文字の位置において「D」と「d」とが重なっていることが判る。検査者は、このような不自然な重なり部分(混色部分)を視認すると、当該重なり部分に誤字が存在することを知得することができる。
【0044】
つぎに、検査者は、ラベル印刷物10Aに対して透光性シート20Aを微少量(たとえば1mm(ミリメートル)程度)左右方向および/または上下方向に意図的にずらす操作を行う。図8は、このような「ずらし操作」後の重畳状態を示す図である。なお、図8では、透光性シート20Aをラベル印刷物10Aに対して左上の方向にずらした様子が示されている。
【0045】
このとき、図8に示すように、透光性シート20Aの正規の文字「B」、「C」、「E」の奥側に、ラベル印刷物10Aの対応文字「B」、「C」、「E」が若干ずれて存在するため、検査者は、二重の各文字「B」、「C」、「E」を視認できる。一方、ラベル印刷物10Aにおいては大文字「A」が脱落しているため、検査者は、透光性シート20Aの文字「A」を(二重ではなく)鮮明に視認できる。また、ラベル印刷物10Aにおいては大文字「F」が余分に印字されているため、検査者は、ラベル印刷物10Aの文字「F」を(二重ではなく)鮮明に視認できる。このように「ずらし操作」後の図8の状態においては、鮮明に見える文字は、脱字等である可能性が高い。そのため、検査者は、鮮明な文字を視認すると、当該鮮明な文字の位置に脱字等が存在することを知得することができる。
【0046】
検査者は、このような視認作業を各文字について順次に実行し、誤字脱字等が存在しないことを確認すると、ラベル印刷物10Aに印刷された内容と透光性シート20Aに印刷された内容とが同一であると判定する。そして、ラベル印刷物10Aに印刷された内容と透光性シート20Aに印刷された内容とが同一であると判定されるときには、ラベル印刷物10Aの内容が正規のラベルの内容と同一であると判定される。一方、誤字あるいは脱字等が検出され、ラベル印刷物10Aに印刷された内容と透光性シート20Aに印刷された内容とが互いに異なると判定されるときには、ラベル印刷物10Aは正規のラベルの内容を有しないと判定される。
【0047】
以上のような検査方法によれば、検査者は、ラベル印刷物10Aと透光性シート20Aとの重畳状態を視認することにより、ラベル印刷物10Aの内容が正規のラベルの内容と同一であるか否かを判定することができる。より詳細には、検査者は、正規の印刷内容(文字等)が重畳されたラベル印刷物10Aの各文字等を順次に視認して、ラベル印刷物10Aの各文字等の正当性を順次に判定してくことが可能である。端的に言えば、検査者は、文章を通常に読むときと同様に当該文章の各文字を順次に目で追っていくことによって各文字の正否を判定することができる。したがって、従来手法のように並列配置された2つの印刷物を交互に見比べてラベル印刷物の内容の正否を判定する場合に比べて、視線を交互に移動させることを要さず視線の移動を最小限に止めて、ラベル印刷物の内容の正否を容易に判定することが可能である。また、透光性シート20Aは非常に安価に準備され得るため、効率的な検査作業を非常に低コストで実現することが可能である。
【0048】
また特に、ラベル印刷物10Aの各文字と透光性シート20Aの各文字とが丁度対応する位置に配置された重畳状態(図7参照)で誤字が判定された後に、透光性シート20Aとラベル印刷物10Aとを相対的にずらして再判定する(図8参照)ことが好ましい。これによれば、ラベル印刷物10A上の誤字のみならず、ラベル印刷物10A上の脱字および余分な文字をも容易に検出することが可能である。
【0049】
また、上記実施形態においては、可撓性を有する透光性シート20Aがラベル印刷物10Aの上に湾曲して重畳されるので、ラベル印刷物10Aが消火器1Aの曲面上に貼付された状態のまま、当該ラベル印刷物10Aの正否を容易に判定することが可能である。
【0050】
ところで、上記実施形態においては、社内検査に対して本発明の思想を適用する場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、消火器1Aに関する国家検定(特に個別検定)における表示の確認検査に対して、上記の思想を適用するようにしてもよい。以下、このような検査について説明する。
【0051】
消火器1A等の消防用機械器具は、国家検定に合格することが求められる。このような国家検定には、型式検定と個別検定とが存在する。型式検定は、「或る型式の消防用機械器具等の形状、材質、成分および性能が所定の技術上の規格に適合しているか否か」に関するものである。当該型式の消防用機械器具等が所定の規格に適合していると判定されると、型式検定に合格し、型式承認がなされる。一方、個別検定は、「個々の消防用機械器具等の形状、構造、材質、成分および性能等が、型式検定を経て承認された型式(内容)と同一であるかどうか」を検査するものである。この個別検定に合格すると、各個別の製品に合格表示を付すことができる。なお、個別検定は、通常、JIS(日本工業規格)で定められた抜き取り検査方法で行われる。例えば、1万本の消火器1Aに関してはそのうちの数十本が抜き取り検査の対象として選択される。
【0052】
上記の思想は、例えば、この個別検定に対しても好適に適用され得る。個別検定においては、上記のような消火器1Aのラベル印刷物10A(銘板)の表示の正否等に関する検査項目も存在する。このようなラベル印刷物10Aの表示内容を検査者(外部検査員(すなわち検定官))が検査する際において、上記のような検査方法を用いることによれば、当該検査を効率的に実行することが可能である。
【0053】
<2.第2実施形態>
第2実施形態においては、消火器とは別の商品(具体的には「避難梯子装置」)に貼付されたラベル印刷物10Bが正規の内容を有するものであるか否かを検査する場合について例示する。
【0054】
図9および図10は、避難梯子(はしご)装置1Bを示す図である。この避難梯子装置1Bは、緊急時の避難用設備(防災設備)であり、マンションあるいはビルのベランダ等に設置されるものである。避難梯子装置1Bは、避難用の開口を有する枠型の筐体5、当該筐体5の開口を開閉する開閉式の上蓋6、およびパンタグラフ状の伸縮機構により伸縮可能な梯子(避難梯子)7等を備えて構成される。
【0055】
図9に示すように、緊急時に、避難者が避難梯子装置1Bの上蓋6を開けた後に所定の操作を行うと、パンタグラフ状の梯子7が階下に向けて伸長する。避難者は、伸長された当該梯子7を伝って階下に移動し避難することが可能である。
【0056】
図9に示すように、このような避難梯子装置1Bの上蓋6の内側面(裏面)には、ラベル印刷物10Bが貼付されている。図11は、ラベル印刷物10Bの構成例を示す図である。図11に示すように、ラベル印刷物10Bには、避難梯子装置1Bの使用方法等が印刷されている。ラベル印刷物10Bは、第1実施形態のラベル印刷物10Aと同様にして製作される。
【0057】
なお、この第2実施形態に係る検査の対象印刷物であるラベル印刷物10Bは、モノクロ印刷(白黒印刷)されたものであるとする。詳細には、ラベル印刷物10Bにおいては、原則として、白地に黒文字で各種の情報が記載されている。換言すれば、ラベル印刷物10Bの背景色は白色であり、ラベル印刷物10Bの文字色は黒色である。
【0058】
また、この第2実施形態においては、図12に示すような透光性シート20Bを用いてラベル印刷物10Bを検査する場合について例示する。これによれば、避難梯子装置1Bの上蓋6に貼付されたラベル印刷物10Bの内容の正否を容易に検査することが可能である。透光性シート20Bは、第1実施形態の透光性シート20Aと同様にして製作される。
【0059】
この透光性シート20B(図12参照)には正規のラベルの内容が印刷されている。ここでは、ラベル印刷物10Bの内容(文字等)が黒色で印刷されているのに対して、透光性シート20Bの内容(文字等)は赤色で印刷されているものとする。すなわち、透光性シート20Bの文字等の色(赤色)は、ラベル印刷物10Bの文字等の色(黒色)とは異なっている。また、透光性シート20Bにおける赤色印刷部分(文字部分等)以外の領域(背景領域)は、無色(詳細には無色透明)であり、透光性を有している。さらに、透光性シート20Bにおける赤色印刷部分も透光性を有している。詳細には、透光性シート20Bにおける赤色印刷部分は、有色透明状態(半透明状態とも称される)を有している。このように、透光性シート20Bは、文字部分と非文字部分(背景部分)との双方において透光性を有していることが好ましい。
【0060】
検査者は、このような透光性シート20B(図12)を、避難梯子装置1Bの上蓋の裏面に貼付されたラベル印刷物10B(図11)上に重畳して配置する(図10も参照)。詳細には、検査者は、まず透光性シート20Bをラベル印刷物10B上に密着させて大まかな対応位置に配置した後に、透光性シート20Bの各文字がそれぞれラベル印刷物10B上の各対応文字に一致するように、手前側の透光性シート20Bを奥側のラベル印刷物10Bに対してずらしていく。これにより、ラベル印刷物10Bの各文字と透光性シート20Bの各文字とが丁度対応する位置に配置され、透光性シート20Bとラベル印刷物10Bとは基本的に一致した状態で密着して重畳される。
【0061】
このような重畳状態において、検査者は、ラベル印刷物10Bと透光性シート20Bとの重畳状態を文字毎に順次に視認して、ラベル印刷物10Bに印刷された内容と透光性シート20Bに印刷された内容との同一性を判定する。
【0062】
図13〜図15は、ラベル印刷物10Bと透光性シート20Bとの同一性の判定作業の一例を説明する概念図である。図13〜図15においては、説明の簡単化のため、数文字のアルファベットに関する同一性の判定処理を例示する。ここでは、図13に示すように、第1実施形態と同様に、「ABCDE」の文字を有する透光性シート20Bが、「 BCdEF」の文字を有するラベル印刷物10Bに対して重畳される場合を例示する。ただし、上述したように、この第2実施形態においては、透光性シート20Bの文字は赤色で印刷されており、ラベル印刷物10Bの文字は黒色で印刷されているものとする。
【0063】
図14は、「ABCDE」の文字を有する透光性シート20Bが、「 BCdEF」の文字を有するラベル印刷物10Bに対して重畳された状態を示す図である。
【0064】
図14に示すように、透光性シート20Bの正規の文字「B」、「C」、「E」に、ラベル印刷物10Bの対応文字「B」、「C」、「E」が丁度重なっており、検査者は、鮮明な各文字「B」、「C」、「E」を視認できる。ここにおいて、透光性シート20Bにおける赤色の文字は透光性を有する文字(有色透明文字)である。そのため、ラベル印刷物10Bにおける黒色の文字の上に透光性シート20Bにおける赤色の文字(透光性を有する)が重なると、当該各文字「B」、「C」、「E」は、それぞれ、(黒でも赤でもなく)赤茶色を有する状態で視認される。このように、ラベル印刷物10Bと透光性シート20Bとの重畳状態においては、正しい文字は、赤茶色を有する状態で視認される。
【0065】
一方、ラベル印刷物10Bにおいては黒色文字「A」が脱落しているため、検査者は、透光性シート20Bの赤色文字「A」を視認する。このように、ラベル印刷物10Bにおいて本来文字が存在すべき位置に文字が存在しない場合には、赤色文字が視認される。
【0066】
また、ラベル印刷物10Bにおいては黒色文字「F」が余分に印字されているため、検査者は、ラベル印刷物10Bの黒文字「F」を鮮明に視認する。このように、ラベル印刷物10Bにおいて本来文字が存在すべきでない位置に文字が存在する場合には、黒色文字が視認される。
【0067】
このように、ラベル印刷物10Bと透光性シート20Bとの重畳状態においては、赤茶色の文字部分は正規の内容を有する部分であると認識され、赤色の文字部分と黒色の文字部分とはいずれも正規の内容とは異なる部分(非正規部分)であると認識される。
【0068】
さらに、図14においては、左から4つめの文字の位置において赤色文字「D」と黒色文字「d」とが重なっていることが判る。検査者は、このような不自然な重なり部分を視認すると、当該重なり部分に誤字が存在することを知得することもできる。
【0069】
検査者は、このような視認作業を各文字について順次に実行し、誤字脱字等が存在しないことを確認すると、ラベル印刷物10Bに印刷された内容と透光性シート20Bに印刷された内容とが同一であると判定する。そして、ラベル印刷物10Bに印刷された内容と透光性シート20Bに印刷された内容とが同一であると判定されるときに、ラベル印刷物10Bの内容が正規のラベルの内容と同一であると判定される。一方、ラベル印刷物10Bに印刷された内容と透光性シート20Bに印刷された内容とが互いに異なると判定されるときには、ラベル印刷物10Bは正規のラベルの内容を有しないと判定される。
【0070】
以上のような検査方法によれば、従来手法のように、並列配置された2つの印刷物を交互に見比べてラベル印刷物10Bの内容が正規の内容であるか否かを判定する場合に比べて、視線を交互に移動させることを要さず非常に容易に誤字等を検出することが可能である。換言すれば、検査者の視線の移動を最小限に止めて、商品に貼付等されたラベル印刷物10Bの内容の正否を容易に検査することが可能である。また、透光性シート20Bは非常に安価に準備され得るため、効率的な検査作業を非常に低コストで実現することが可能である。
【0071】
さらに、透光性シート20Bの各文字は、ラベル印刷物10Bの各文字とは異なる色で印刷されているので、同一性の判定をさらに容易に行うことができる。より具体的には、透光性シートの内容とラベル印刷物の内容とを色で識別することができるので、脱字等を容易に発見することが可能である。特に、透光性シート20Bの各文字は、透光性を有する状態、詳細にはラベル印刷物10Bの文字色(黒色)とは異なる比較的明るい色(赤色)で印刷されているため、一致部分(重複部分)においては色の混合(混色)が発生する。その結果、当該一致部分は、ラベル印刷物10Bの文字色(黒色)とも透光性シート20Bの文字色(赤色)とも異なる第3の色(赤茶色)で表現される。また、本来存在すべきであるにもかかわらず脱落している文字、および本来存在しない部分に存在する文字は、それぞれ、当該第3の色(赤茶色)とは異なる色の文字(赤色文字および黒色文字)として認識されるので、誤字等の識別性が非常に高い。
【0072】
なお、この第2実施形態のように、透光性シートの文字は、検査対象印刷物の文字とは異なる色であって且つ検査対象印刷物の文字よりも明るい色で彩色されていることが好ましい。
【0073】
ところで、避難梯子装置1Bの組立工程および検査工程は、ラベル印刷物10Bの文字に対応する言語とは異なる言語を母国語とする人物(検査者等)によって行われることもある。そして、検査者の母国語がラベル印刷物10Bの文字の言語と異なっている場合(詳細には検査者がラベル印刷物10Bの文字を知らない場合)においても、上記態様の検査方法を用いることによれば、当該検査者はラベル印刷物10Bの正否を容易に判定することが可能である。特に、ラベル印刷物10Bの色と透光性シート20Bの色との重なり具合によって、ラベル印刷物10Bが正規のものであるか否かを容易に判定することが可能である。
【0074】
なお、この第2実施形態においても、図14のような重畳状態の後に、検査者は、ラベル印刷物10Bに対して透光性シート20Bを微少量(たとえば1mm(ミリメートル)程度)左右方向および/または上下方向に意図的にずらす「ずらし操作」を行うようにしてもよい。図15では、透光性シート20Bをラベル印刷物10Bに対して左上の方向にずらした様子が示されている。このような第1実施形態と同様の「ずらし操作」を行うことによって、「ずらし操作」後において各文字が鮮明に見える文字であるか否かを判定し、脱字等をさらに確実に検出するようにしてもよい。
【0075】
<3.第3実施形態>
上記各実施形態においては、商品に貼付されているラベル印刷物を検査対象とする場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、商品包装箱内において商品(防災設備等)に同梱された印刷物(取扱説明書等)を検査対象(対象印刷物)とするようにしてもよい。この第3実施形態においては、このような態様について説明する。
【0076】
図16は、消火器1Aの出荷直前における梱包状態を示す図であり、商品包装箱50の内部の様子を示している。図16に示すように、消火器1Aは、略直方体形状の商品包装箱50内に収容(梱包)されている。また、商品包装箱50には取扱説明書51が同梱されている。この取扱説明書(取扱説明書シートとも称する)51は、図17に示すように細長形状の1枚の用紙に印刷されて作成されている。また、図16の梱包状態においては、取扱説明書51は、山折りと谷折りとが交互に繰り返された状態で折り畳まれて収容されている。取扱説明書51にて山折り線と谷折り線とに挟まれた領域は、印刷物のページ(頁)を構成する。たとえば、図17に示すように、3つの折り線(左から、山折り線、谷折り線、山折り線)L1〜L3で区切られた4つの領域R1〜R4は、当該取扱説明書51における4つのページPG1〜PG4を構成する。
【0077】
商品出荷前の検査等においては、商品包装箱50に同梱された取扱説明書51が正規の印刷物であるか否かを検査することも求められる。この第3実施形態においては、このような検査に上記の思想を適用して、取扱説明書51の正否を検査する。
【0078】
具体的には、取扱説明書51の正規の内容(消火器1Aに同梱すべき正規の取扱説明書51の内容)が印刷された透光性シート20Cを利用する。図18は、透光性シート20Cを示す図である。たとえば、第2実施形態と同様に、検査対象印刷物である取扱説明書51の内容(文字等)が黒色で印刷されているものとし、透光性シート20Cの内容(文字等)は赤色で印刷されているものとする。なお、ここでは、透光性シート20Cは、4つのページPG1〜PG4の内容を全て有するものとする。
【0079】
検査者は、商品包装箱50に同梱された取扱説明書51を当該商品包装箱50から一旦取り出して所定の作業台の上に当該取扱説明書51を載置した後、当該取扱説明書51の上に透光性シート20Cを重畳して配置する。そして、検査者は、取扱説明書51と透光性シート20Cとの重畳状態を視認して、取扱説明書51に印刷された内容と透光性シート20Cに印刷された内容との同一性を判定する。そして、その判定結果に基づいて、対象印刷物の内容が正規の印刷物の内容と同一であるか否かが判定される。
【0080】
以上のような検査方法によれば、商品に同梱された対象印刷物(取扱説明書51)に関しても、上記各実施形態(特に第2実施形態)と同様にして、その印刷内容の正否を容易に検査することが可能である。
【0081】
なお、上記においては、透光性シート20Cは、4つのページPG1〜PG4の内容を全て有する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、ページPG1〜PG4ごとに異なる透光性シートSH1〜SH4を作成しておき、取扱説明書51の各ページPG1〜PG4と各透光性シートSH1〜SH4とをそれぞれ重畳させて比較することによって、ページごとに内容の正否を検査するようにしてもよい。
【0082】
<4.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0083】
たとえば、上記第2実施形態においては、黒色印刷されたラベル印刷物10Bの検査において、文字等が赤色で印刷された透光性シート20Bを用いる場合を例示したが、これに限定されず、その他の色(例えば緑色、水色、黄色など)で文字等が印刷された透光性シートを用いるようにしてもよい。また、透光性シート20Bの背景領域は、無色ではなく、白色(好ましくは白色半透明)等であってもよい。
【0084】
あるいは、図19に示すような透光性シート20Dを用いるようにしてもよい。透光性シート20Dは、第2実施形態に係る透光性シート20B(図12)の内容に対してネガポジ反転させた内容を有している。透光性シート20Dにおける非文字部分は赤色等で印刷され、透光性シート20Dにおける文字部分(図19での白抜き部分)は無色透明である。
【0085】
また、図20に示すような透光性シート20Eを用いるようにしてもよい。透光性シート20Eは、第2実施形態に係る透光性シート20B(図12)の各文字が「縁取り文字」に変換されて印刷されたものである。詳細には、透光性シート20Eにおいては、各文字の輪郭の外側に縁取り部分(外側輪郭部分)が設けられている。当該縁取り部分は、ラベル印刷物10Bの文字色以外の色(例えば赤色)で彩色されており、それ以外の部分(文字の内部も含む)は無色透明である。なお、厳密には、透光性シート20E(図20)の各文字の内部(各文字において抜かれた部分)は無色透明であるが、本願では、このような文字も「白抜き」文字の一態様であるものとし、透光性シート20E(図20)の各文字等を「白抜き縁取り文字」とも称するものとする。
【0086】
図21および図22は、ラベル印刷物10Bと透光性シート20Eとの同一性の判定作業の一例を説明する概念図である。
【0087】
図21は、透光性シート20Eとラベル印刷物10Bとをそれぞれ示す図(重畳前)であり、図22は、「ABCDE」の文字を有する透光性シート20Eが、「 BCdEF」の文字を有するラベル印刷物10Bに対して重畳された状態を示す図である。
【0088】
図22に示すように、重畳状態においては、透光性シート20Eの正規の文字(赤色の白抜き縁取り文字)「B」、「C」、「E」は、それぞれ、ラベル印刷物10Bの対応文字(黒色文字)「B」、「C」、「E」と結合されて視認される。この結果、検査者は、赤色で縁取りされた黒文字「B」、「C」、「E」を視認する。このように、ラベル印刷物10Bと透光性シート20Eとの重畳状態においては、正しい文字は、赤色で縁取りされた黒文字として視認される。
【0089】
一方、ラベル印刷物10Bにおいて黒色文字「A」が脱落している部分においては、検査者は、透光性シート20Eの赤色の白抜き縁取り文字「A」のみを視認する。このように、ラベル印刷物10Bにおいて本来文字が存在すべき位置に文字が存在しない部分においては、赤色の白抜き縁取り文字が視認される。
【0090】
また、ラベル印刷物10Bにおいては黒色文字「F」が余分に印字されているため、検査者は、当該文字の位置においては、ラベル印刷物10Bの黒文字「F」を視認する。この黒文字「F」には、赤色の縁取りは存在しない。このように、ラベル印刷物10Bにおいて本来文字が存在すべきでない位置に文字が存在する場合には、縁取り無しの黒色文字が視認される。
【0091】
このように、ラベル印刷物10Bと透光性シート20Bとの重畳状態においては、赤色で縁取られた黒色文字部分は正規の内容を有する部分であると認識され、赤色の縁取りを有する白抜き文字部分と縁取り無しの黒色文字部分とはいずれも正規の内容とは異なる部分であると認識される。
【0092】
このような検査方法を用いるようにしても、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。また特に、この透光性シート20Eを用いる場合には、重畳状態の各文字部分における縁取りの有無等に基づいて脱字等を認識できるので、正常部分と異常部分との識別性が非常に高い。したがって、検査者は誤字および脱字等を非常に容易に認識することができる。
【符号の説明】
【0093】
1A 消火器
1B 避難梯子装置
2 本体容器
5 筐体
6 上蓋
7 梯子
10A,10B ラベル印刷物
20A〜20E,SH1〜SH4 透光性シート
50 商品包装箱
51 取扱説明書
PG1〜PG4 ページ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物検査方法であって、
特定の商品に貼付されたラベル印刷物上に、当該特定の商品に貼付すべき正規のラベルの内容が印刷された透光性シートを重畳して配置するステップと、
前記ラベル印刷物と前記透光性シートとの重畳状態を視認して、前記ラベル印刷物に印刷された内容と前記透光性シートに印刷された内容との同一性を判定し、前記ラベル印刷物の内容が前記正規のラベルの内容と同一であるか否かを判定するステップと、
を備えることを特徴とする印刷物検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷物検査方法において、
前記透光性シートの内容は、前記ラベル印刷物の色とは異なる色で印刷されていることを特徴とする印刷物検査方法。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷物検査方法において、
前記透光性シートの文字は、前記正規のラベルの文字に関する縁取り文字として印刷されていることを特徴とする印刷物検査方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の印刷物検査方法において、
前記ラベル印刷物は、前記特定の商品の曲面上に貼付され、
前記透光性シートは、可撓性を有し、前記ラベル印刷物の上に湾曲して重畳されることを特徴とする印刷物検査方法。
【請求項5】
印刷物検査方法であって、
商品包装箱内において特定の商品に同梱された印刷物である対象印刷物上に、当該特定の商品に同梱すべき正規の印刷物の内容が印刷された透光性シートを重畳して配置するステップと、
前記対象印刷物と前記透光性シートとの重畳状態を視認して、前記対象印刷物に印刷された内容と前記透光性シートに印刷された内容との同一性を判定し、前記対象印刷物の内容が前記正規の印刷物の内容と同一であるか否かを判定するステップと、
を備えることを特徴とする印刷物検査方法。
【請求項1】
印刷物検査方法であって、
特定の商品に貼付されたラベル印刷物上に、当該特定の商品に貼付すべき正規のラベルの内容が印刷された透光性シートを重畳して配置するステップと、
前記ラベル印刷物と前記透光性シートとの重畳状態を視認して、前記ラベル印刷物に印刷された内容と前記透光性シートに印刷された内容との同一性を判定し、前記ラベル印刷物の内容が前記正規のラベルの内容と同一であるか否かを判定するステップと、
を備えることを特徴とする印刷物検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷物検査方法において、
前記透光性シートの内容は、前記ラベル印刷物の色とは異なる色で印刷されていることを特徴とする印刷物検査方法。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷物検査方法において、
前記透光性シートの文字は、前記正規のラベルの文字に関する縁取り文字として印刷されていることを特徴とする印刷物検査方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の印刷物検査方法において、
前記ラベル印刷物は、前記特定の商品の曲面上に貼付され、
前記透光性シートは、可撓性を有し、前記ラベル印刷物の上に湾曲して重畳されることを特徴とする印刷物検査方法。
【請求項5】
印刷物検査方法であって、
商品包装箱内において特定の商品に同梱された印刷物である対象印刷物上に、当該特定の商品に同梱すべき正規の印刷物の内容が印刷された透光性シートを重畳して配置するステップと、
前記対象印刷物と前記透光性シートとの重畳状態を視認して、前記対象印刷物に印刷された内容と前記透光性シートに印刷された内容との同一性を判定し、前記対象印刷物の内容が前記正規の印刷物の内容と同一であるか否かを判定するステップと、
を備えることを特徴とする印刷物検査方法。
【図3】
【図9】
【図10】
【図16】
【図17】
【図18】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図9】
【図10】
【図16】
【図17】
【図18】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−112883(P2011−112883A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269479(P2009−269479)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000114905)ヤマトプロテック株式会社 (46)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000114905)ヤマトプロテック株式会社 (46)
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