説明

印刷用ドラム及び同印刷用ドラムを備える印刷装置

【課題】 紫外線を照射する光源を一体的に設けたドラムを着脱可能に印刷機本体に取付けることにより、紫外線硬化インキによる印刷を選択的に行えるようにした印刷用ドラム及び同印刷用ドラムを備える印刷装置を提供する。
【解決手段】 印刷装置の本体1に着脱自在に装着される印刷用ドラム23において、印刷用ドラムが用紙Pに対して紫外線を照射する光源69を装備している。更に、印刷装置本体1に着脱自在に装着される印刷用ドラム23を有する印刷装置において、印刷用ドラム23が用紙Pに対して紫外線UVを照射する光源69を装備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用ドラム及び同印刷用ドラムを備える印刷装置に関し、さらに詳しくは紫外線硬化型インキを用いて孔版印刷を行う印刷用ドラム及び同印刷用ドラムを備える印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
孔版印刷機(以下、「印刷装置」という)は、使用される孔版インキが空気中では通常固まらないようなものが採用され、これにより印刷ドラム部を使用の都度清掃したりする手間がかからないようにしている。更に、この孔版インキは印刷用紙(シート状記録媒体の一例、以下「用紙」という)に浸透して擬似的に乾燥する方式のために、印刷用紙が順次重なる場合、印刷直後の印刷用紙上の未乾燥インキが重なる用紙の裏面に付着する場合があり、ユーザーの手を汚すことにもなる。そこで、印刷用紙の乾燥向上のため、紫外線(以下、課題を解決するための手段及び効果の欄を除き、「UV」と略称する)照射装置を採用している。
【0003】
これまで孔版印刷機に用いるUV照射装置は印刷装置本体内部への取付け方式を採る場合、例えば、実公平04−35188号公報(特許文献1)の孔版印刷装置や、後処理装置として印刷機後流側にオプション機として据え付ける方式を採る場合、例えば、特開平05−64878号公報(特許文献2)の紫外線定着装置知られている。
【0004】
【特許文献1】実公平4−35188号公報
【特許文献2】特開平5−64878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2の場合、ごく稀にしか紫外線硬化インキによる印刷を行なわないユーザにとっては、紫外線照射装置を設置した分、同紫外線照射装置を含む印刷装置が高価になり、金銭的負担が増える。また、引用文献2の紫外線照射装置の場合、オプション機である紫外線照射装置を据え付ける場所が必要になる、等の問題がある。
【0006】
本発明は、上述の問題点に着目してなされたもので、紫外線を照射する光源を一体的に設けたドラムを着脱可能に印刷機本体に取付けることにより、高価な紫外線照射用の後処理装置を別途購入することなく、紫外線硬化インキによる印刷を選択的に行えるようにした印刷用ドラム及び同印刷用ドラムを備える印刷装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題を解決して前記目的を達成するために、請求項毎の発明においては以下の発明特定事項(構成)を採っていることを特徴とするものである。
請求項1記載の発明は、印刷装置の本体に着脱自在に装着される印刷用ドラムにおいて、前記印刷用ドラムが用紙に対して紫外線を照射する光源を装備していることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の印刷用ドラムにおいて、外光を検出する光センサと、前記光センサが外光を検知した場合に警告を発する警告手段とを設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の印刷用ドラムにおいて、前記光センサによる外光検出時間を計測する外光検出時間計測手段と、前記外光検出時間計測手段が一定時間以上外光を検出した場合に前記警告手段にて警告を発するよう制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、印刷装置本体に着脱自在に装着される印刷用ドラムを有する印刷装置において、前記印刷用ドラムが用紙に対して紫外線を照射する光源を装備していることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の印刷装置において、外光を検出する印刷用ドラム上の光センサと、前記印刷用ドラム上の光センサが外光を検知した場合に警告を発する警告手段とを設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項5の印刷装置において、印刷用ドラム上の光センサによる外光検出時間を計測する外光検出時間計測手段と、前記外光検出時間計測手段が一定時間以上外光を検出した場合に前記警告手段にて警告を発するよう制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項4、5又は6記載の印刷装置において、前記印刷用ドラムは版胴と同版胴を枢支するドラム支持枠とを有し、前記印刷装置本体には、前記ドラム支持枠が印刷作動位置に保持されるよう装着するドラム受け枠と前記ドラム支持枠を離脱可能にロックするロック手段とを設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項4乃至7の何れか一つに記載の印刷装置において、印刷用ドラム内のインキ量を検知調整するインキ検知調整手段を設け、同インキ検知調整手段が使用しているインキの種類に応じて印刷用ドラム内インキ量の検知調整を行なうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上述したような従来の印刷用ドラム及び同印刷用ドラムを備える印刷装置が有する問題点及び前記課題を解決して新規な印刷用ドラム及び同印刷用ドラムを備える印刷装置を提供することができる。主な効果を挙げれば次のとおりである。
【0016】
本発明によれば、印刷用ドラムが光源を装備することによって、ユーザが印刷機本体を買い換えたり、高価な紫外線照射用の後処理装置を別途購入することなく紫外線硬化インキによる印刷を選択的に行なうことができる(請求項1)。
【0017】
本発明によれば、印刷用ドラムに外光を検知するセンサと警告手段を設けることで、紫外線を含む外光の影響によるインキの硬化を未然に防ぐことが可能となる(請求項2)。
【0018】
本発明によれば、外光検出時間の設定により、外光を検知した瞬間に警告表示が行なわれることは無くなり、実際のインキ硬化が始まる放置時間を考慮した警告表示時間設定を行なうことが可能となる(請求項3)。
【0019】
本発明によれば、印刷装置本体に対して着脱可能であるドラムが光源を装備することによって、ユーザが印刷機本体を買い換えたり、高価な紫外線照射用の後処理装置を別途購入することなく紫外線硬化インキによる印刷を選択的に行なうことができる(請求項4)。
【0020】
本発明によれば、外光を検知するセンサと警告表示手段を設けることで、印刷装置本体の機外にドラムを放置した場合、紫外線を含む外光の影響によるインキの硬化を未然に防ぐことが可能となる(請求項5)。
【0021】
本発明によれば、外光検出時間の設定により、外光を検知した瞬間に警告表示が行なわれることは無くなり、実際のインキ硬化が始まる放置時間を考慮した警告表示時間設定を行なうことが可能となる(請求項6)。
【0022】
本発明によれば、前記印刷装置本体内のドラム受け枠に対してドラム支持枠を装着すると共にロック手段によりロックするので、印刷用ドラムが印刷作動位置に容易に装着され、適性に印刷作動でき、しかも、ドラム取付け作業が容易化される(請求項7)。
【0023】
本発明によれば、紫外線硬化型インキと非紫外線硬化型インキを混在使用する場合に、インキ種類に応じてインキ量の検知に応じての調整を行なうことで、印刷に必要な最適インキ量を常にドラム内に保つことができる(請求項8)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図を参照して本発明の実施形態としての印刷用ドラムとこの印刷用ドラムを備える印刷装置を説明する。実施形態や変形例等に亘り、同一の機能及び形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
本発明の一実施形態に係る印刷用ドラムとこの印刷用ドラムを備える印刷装置は、特に、印刷用ドラム23が印刷装置本体1内に紫外線を照射する光源を有するUV照射装置2を装備しており、このようなUV照射装置2付きの印刷用ドラム23を着脱可能に印刷装置が内蔵している。ここでは、まず、印刷装置の全体構成について説明する。なお、ここでの印刷装置は当業者にとって周知である構成部分を含むため、周知構成部分とその動作とは簡単な説明に留める。
【0025】
図1に示す印刷装置は画像読取部3、給紙部4、孔版製版部5、印刷部6、排版部7、排紙部8及び印刷装置制御手段9から主に構成されている。同図において、符号10は、印刷装置の骨組みとしての筐体を示す。
孔版印刷装置1はその外殻をなす筐体10が略箱形に形成される。筐体10の不図示の前側壁の主要部は横開きの蓋体である前カバー101で開閉可能に被われる。筐体10の右側壁102の下部には給紙口11が形成され、給紙口11に給紙台12が装着され、左側壁103の下部には排紙口13が形成され、その排紙口13に排紙台14が装着され、上縁側に原稿画像を読み取る周知のスキャナユニットである画像読取部3が配備され、その手前側の前側縁近傍部には操作パネル15(図11参照)が配備され、原稿画像の読取動作は読取駆動手段310(図15参照)により行われる。
【0026】
操作パネル15は、スタートスイッチ15s、テンキー152、印刷モード等に応じた複数の入力スイッチ153や、操作、作動指示値、あるいは警告表示を行う表示パネル154等を有する。特に、印刷装置制御手段56は印刷装置本体1に装着されたUV照射装置2を装備する印刷用ドラム23、インキパック97、マスタ22、排版収納装置28の種別識別結果とユーザの操作パネル15からの印刷方式指示に応じて印刷動作可否判定を行い、操作パネル15に設けられた表示パネル154に判定結果(図11にはマスタ種類と排版収納装置が誤セットの例)を表示する。
画像読取部3の下方には製版部(製版ユニット)5と給紙部4が順次配設される。
【0027】
給紙部4は、給紙台12、給紙ローラー31、分離ローラー32、レジストローラー対33、等を有している。上面に用紙Pを積載される給紙台12は、図示しない駆動機構により上下動自在に支持され、昇降手段を含む給紙駆動手段141(図15参照)によって上下動される。給紙台12の上方に配設され、図示しない駆動手段により図の時計回り方向に回転駆動される給紙ローラー31は、給紙台12上に積載された最上位の用紙Pに対して所定の圧力で圧接し、その左方近傍に配設された分離ローラー32は図示しない分離パッドに所定の圧力で圧接配置されている。分離ローラー32は図示しない駆動力伝達手段により駆動力を伝達されて、給紙ローラー31と同方向に同期して回転駆動される。分離ローラー32の左方には、駆動ローラー及びこれに圧接された従動ローラーからなるレジストローラー対33が配設されている。レジストローラー対33は図示しない駆動手段により回転駆動され、分離ローラー32によって送られた1枚の用紙Pを一時停留させた後、所定のタイミングで印刷部6に向けて給送する。なお、レジストローラー対33の前後には、筐体10側に固定された複数のガイド板34が配設されており、各ガイド板34により給紙通路が形成されている。
【0028】
給紙部4の上側に位置する孔版製版部5は、マスタロール16、プラテンローラー17、サーマルヘッド18、切断手段19、マスタ搬送ローラー対21、等を有している。
マスタロール16は、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタ22をロール状に巻成してなり、回転自在かつ着脱自在に孔版製版部5の側板側に支持される。
【0029】
図13(a)、(b)にはマスタ種類識別手段20を示す。ここではマスタ紙管の内径の違いを識別してマスタ種類を識別する。マスタ22は両脇をホルダ201に支持されて印刷機本体1にセットされる。マスタ種類識別手段20はホルダ201のボス部b内に配備されるフランジ202の突き出し量をマスタ紙管内径に応じて可変させ、可変有無をマスタ種類検知センサ203で検知することでマスタ種類を判別する。即ち、図13(a)は紙管径が大のUVインキ用の場合で、ホルダ201のボス部bよりフランジ202が突き出し、この際、マスタ種類検知センサ203はオフする。一方、図13(b)は紙管径が小の非UVインキ用の場合で、ホルダ201のボス部b内に大部分のフランジ202が弾性的に退却作動し、この際、マスタ種類検知センサ203がオンする。マスタ種類検知センサ203は紙管内径が小さい場合はフランジ202がボス部b内部に押し下げられ、このフランジ径調整作動したフランジ202によりプッシュスイッチである電気接点203が接続され、本体側で小内径の紙管であることが検知され、マスタ種類識別手段20によりマスタ種類が認識される。
マスタ紙管内径以外のマスタ種類識別方法としては後述するインキ種類識別方法と同様にマスタ紙管内径にICタグを設けたり、一方に黒窯色シールを貼り付けたりするなどして識別しても良い。
【0030】
孔版製版部(製版ユニット)5では、マスターロール16から繰り出されたマスタ22がプラテンローラー17によりサーマルヘッド18の発熱素子に押し付けられ、画像読取部3によって読み込まれた原稿パターンに従って穿孔される。プラテンローラー17は、図示しない側板に回転自在に支持されており、ステッピングモータを含む製版駆動制御手段151(図15参照)によって回転駆動される。製版されたマスタ22は切断手段19により切断され、マスタ搬送ローラー対21により印刷用のドラム23のマスタクランパ24に向けて搬送される。搬送されたマスタ22はマスタクランパ24により先端をクランプされ、印刷用ドラム23の回転により印刷用ドラム23に巻装される。
【0031】
原稿パターンを元にマスタ22が穿孔されている間に、印刷用ドラム23上に残っている前回印刷に使用されたマスタ22は、排版部7に排版される。排版部7は排版枠体25に枢着され、駆動ローラー26と、従動ローラー27と、使用済みマスタを貯容する排版収納装置28と、これらを駆動する排版駆動手段171(図15参照)と、排版収納装置種類識別手段172とを有する。なお、両ローラー26,27は図示しない移動手段によって左右方向に移動自在に設けられている。回転駆動する駆動ローラー26と従動ローラー27が印刷用ドラム23の外周面に対して接近した際に印刷用ドラム23が逆転制御され、この際、印刷用ドラム23上のマスタ22の先端が駆動ローラー26と従動ローラー27に引き込まれ、排版収納装置28に回収される。
【0032】
排版収納装置種類識別手段172は排版収納装置28の種類に応じて形状を変更し認識を行なう。即ち、図14に示すように、印刷機本体1にはプッシュスイッチである排版収納装置有無センサ173とプッシュスイッチである排版収納装置種類検知センサ174が接続される。UVインキ用排版収納装置28、もしくは非UVインキ用排版収納装置28a(不図示)のどちらか一方(ここではUVインキ用)の排版収納装置28に切り欠きC0を設け、切り欠きC0の有無で排版収納装置種類検知センサ53への接触の有無を区別する。接触の有無により印刷機本体1側の排版収納装置種類識別手段172は排版収納装置の種類を識別する。なお、排版収納装置28においてもインキ種類やマスタ種類識別と同様にICタグを用いたり黒色シールを用いたりするなどして識別を行なっても良い。
【0033】
なお、図1に示すように、排版枠体25の下側には剥離爪42とドラム回転方向下流側の位置に、ファン431により空気を送り、用紙Pの剥離補助を行うエアーナイフ43が設けられる。なお、剥離爪42は図示しない爪揺動手段を備え、爪揺動手段が印刷ドラム駆動手段161(図15参照)からの駆動力を図示しない駆動力伝達手段により伝達されることで、印刷用ドラム23の回転と同期して剥離爪84を揺動させる。
【0034】
給紙部4の左方には印刷部6、排紙部8が順次配設されている。
ここで印刷部6は印刷用ドラム23とその下方に配備されインキローラー38に対向して押圧手段であるプレスローラー35とを備える。印刷用ドラム23は歯車81、83(図3参照)を備えた駆動力伝達手段を介して、メインモータ82等を有する印刷ドラム駆動手段161(図15参照)によって回転駆動される。プレスローラー35はインキローラー38に対向した印刷用ドラム23の外周面上の位置である印圧部にて印刷用ドラム23の外面に巻装されたマスタ22に用紙Pを押し付けるローラー状の回転体からなる押圧手段である。このプレスローラー35はプレスローラー駆動制御回路162(図15参照)の作動によって離間位置と圧接位置とに搖動する。押圧手段はここに示すプレスローラーでも良いし、圧胴が使用されることもある。
【0035】
ここで、印刷用ドラム23側の説明に先駆け排紙部8を先に説明する。
排紙部8では、プレスローラー35により印刷用ドラム23に押圧されマスタ22に穿孔された原稿パターンが転写された後の用紙Pを排紙爪42とその回転方向後側に配備されるエアナイフユニット43から発生する風力とにより、印刷用ドラム23から剥離し、その用紙Pを排紙駆動手段181(図15参照)に駆動されるコロ状の駆動ローラーを備えた吸着ユニット44により排紙台14に向け搬送するように構成されている。
【0036】
次に、印刷部6における印刷用ドラム23を含むドラムユニット62とそのドラムユニット62を印刷機本体1内に装着する前後のドラム受け枠72、73からなる連結機構を順次説明する。
ドラムユニット62は、印刷用ドラム23と後述のインキパック97やポンプ96と一体的にユニット化され、特に、後述のUV照射装置2を一体的に付設し、これによって、印刷装置本体1に対して簡単な操作で着脱できるようになっている。そして、UVインキ(紫外線硬化型インキ)が装着された印刷用ドラム23(UV硬化型インキ用印刷ドラム)を備えたドラムユニット62と、通常の非UVインキ(非UV硬化型インキ)が装着された印刷用ドラム23a(非UV硬化型インキ用印刷ドラム)を備えたドラムユニット62aとは別々に用意されていて、それぞれが前後のドラム受け枠72、73からなる連結機構に対して着脱自在に構成されている。
【0037】
図1に示すように、印刷用ドラム23の外周はステンレス製の多孔性円筒構造を持つ版胴36と、版胴外周にメッシュスクリーン37が巻装された構成となっている。この印刷用ドラム23はその前後のフランジ部201、202が後述のドラム支持枠61側に一体的に結合されたドラム軸80に対して枢支される。
印刷用ドラム23の内部には同印刷用ドラムと周方向に同期して回転するインキローラー38と、インキローラー38の外周と僅かに隙間を置いてドクターローラー39が設けられている。インキローラー38とドクターローラー39との間には楔状の対向空間であるインキ溜まり41が形成され、ここには上方に位置する中空パイプ状のドラム軸80内のインキ孔r1よりインキが供給される。インキローラー38とドクターローラー39の回転により、インキ溜まり41のインキはインキローラー38の外周面に調量されて供給される。さらにインキローラー38の外周面に供給されたインキは版胴36の内周面に供給される。
【0038】
印刷用ドラム23は、図3に示す印刷ドラム駆動手段161により時計回りに回転駆動される。印刷ドラム23はドラム軸80に枢支される後フランジ部202と同心的に一体結合される歯車81をその一端側に有している。歯車81はモータ82によって回転駆動される小歯車83に噛み合っている。印刷ドラム23を駆動するモータ82はステッピングモータであり、そのパルス数に応じて正確に印刷ドラム23をドラム軸80中心に回転駆動できる。印刷ドラム23はその側端フランジ側の外周面に不図示のドラム基準ポイントセンサ有し、これによって検知される基準ポイントを設定している。したがって、後述の印刷装置制御手段9は印刷ドラム23の位相をドラム基準ポイントセンサによって検知しつつ、印刷ドラム23をモータ82によって回転駆動し、これによって、印刷ドラム23の回転をその速度及び位相を正確に把握し、制御する。具体的には、印刷ドラム23は正確に設定される速度を維持して回転駆動されるよう制御され、また回転タイミングが最適に制御されて回転駆動される。
【0039】
図1、3、4に示すように、印刷用ドラム23はドラムユニット62の要部をなし、この印刷用ドラム23とこれを覆うようにして枢支すると共に複数の後述する付設部材を装備するドラム支持枠61とによりドラムユニット62を形成している。
図1、4に示すように、ドラムユニット62は印刷装置本体1の前側(図3で右側)である、オペレータにとって手前側となる位置の前カバー101を開放することで、印刷装置本体1より着脱可能な構成を採る。即ち、ドラムユニット62は印刷装置本体1内の前後のドラム受け枠72、73に着脱可能に装着される。ここでは、先にドラムユニット62のドラム支持枠61を、次いで、前後のドラム受け枠72、73を説明する。
【0040】
ドラム支持枠61はドラム長手方向Xに沿って印刷用ドラム23の上部を覆う略板状の主部63と、主部63の前後端より下方に屈曲して伸びて印刷用ドラム23の前後端を枢支する前後の端板部64、65と、主部63の略中央に取付けられ印刷装置本体1の外での搬送を容易化させる折りたたみ式のハンドル66と、前後の端板部64、65の両下端であって印刷用ドラム23の排紙側(図3で下側)に位置し、両端部を互いに連結する逆U字状断面の長枠状のケース66とを備えている。
ケース66及びその内部の紫外線光源69はUV照射装置2を構成し、ドラム支持枠61側に一体形成されてもよいが、ここでは前後の端板部64、65の両下端に対して着脱可能な構成を採っている。
【0041】
なお、以下で説明するように、ケース66をドラム支持枠61側に対して着脱可能な構成を採ることで、ここでドラム支持枠61側にケース66を装着した時にはドラムユニット62をUVドラム装備の構成に組み立てることができ、ケース66をドラム支持枠61より排除すると、非UVドラム装備のドラムユニット62aに組み立てることができ、ドラム支持枠61側の共用化を図ることができ、コスト低減に寄与できる。
【0042】
図5(a)〜(c)に示すように、長枠状のケース66はその前後縦片部661にソケット662を備え、両ソケット間に紫外線光源69を取付けている。前後縦片部661の外側にはソケット662の接点が突き出ており、そこに前後の端板部64、65に配備された板側接点641、651が接触するよう配備されている。板側接点641、651は後述のドラム側接点列J2、本体側接点列J1(図3参照)を介して印刷装置制御手段9に接続される。前後の端板部64、65には各一対の縦フランジ642、652がそれぞれ突設され、各一対の縦フランジ642、652間に長枠状のケース66の前後端が差し込み装着可能に形成される。なお、符号643、653は下端であって長枠状のケース66の前後縦片部661が対向する側は各一対の縦フランジ642、652間に嵌挿されたケース66の前後縦片部661の下端をずれなく係止するストッパを示している。
【0043】
なお、図5(c)に示すように、ケース66は紫外線光源69からの紫外線が印刷用ドラム23に直接照射されないよう、印刷用紙Pのみに照射されるよう、ケース66の形状や紫外線光源69の位置が適宜設定されている。更に、ケース66の長手方向略中央部で版胴36側との間にはケース66と一体化されたブラケット664を介し光反射型の第1排紙センサ68(図5参照)が設けられている。第1排紙センサ68は後述のドラム側接点列J2に配線が接続されている。このため印刷装置制御手段9は印刷用ドラム23で印刷処理された用紙Pを検知すると、その際、紫外線光源制御手段135は紫外線光源69の点灯(発光)を行ない、用紙Pが完全に通過したことが検知されると消灯するよう機能できる。
【0044】
なお、ドラムユニット23のドラム支持枠61側にUV照射装置2の紫外線光源69が機械的かつ電気的に接続されているか否かを検出する接続検出手段としての印刷装置本体接続検知センサ(不図示)を配設してもよい。印刷装置本体接続検知センサの具体例としては、後述する本体側接点列J1とドラムユニット62側のドラム側接点列J2が通信ケーブルを介して接続された際に印刷装置制御手段9がそのように認識・判断する構成を採ることとなる。
【0045】
次に、ドラム支持枠61を載置する前後のドラム受け枠72、73を説明する。
図3、6に示すように、前ドラム受け枠72は上向き面に嵌合凹部721及びその左右の左右係止部722、723が形成される横長板片状を成す。嵌合凹部721にはドラム支持枠61の前端板部64が嵌合する形状を成し、しかも、左右係止部722、723には前端板部64の側縁との対向部位に係止穴h1が形成される。この係止穴h1と、左右係止部722、723側のピン75等により前ロック手段74が装着される。この前ロック手段74は、左右対称の構造を成し、左右係止部722、723の内向き壁に形成されるピン孔h2と、ピン孔h2に突入可能に係合されるピン75と、ピン75の後端に結合され同ピンを突き出し付勢するばね77とを備える。
【0046】
ここで、左右係止部722、723の対向間隔は前端板部64の横幅より僅かに大きく形成され、前端板部64の嵌合時には左右側縁の係止穴h1に左右係止部722、723の各ピン75が突入して、ドラム支持枠61を嵌合凹部721にロックできる。
【0047】
図3、7に示すように、後ドラム受け枠73は縦向きの屈曲板状を成し、筐体10の内側に一体結合される。後ドラム受け枠73は、図7に示すように、縦壁部731と、その下縁側に設けられ後端板部65の下縁651が載置される係止屈曲部732と、係止屈曲部732及び縦壁部731に一体結合され後端板部65の下部切り込み652が係合する下突起部733と、縦壁部731に形成されドラム軸80の端部801が嵌挿される位置合せ穴734と、縦壁部731に一体結合され後端板部65の上位置合わせ穴653が嵌合する上突起部735とを備える。ここで、後ドラム受け枠73の係止屈曲部732に下部切り込み652が係合し、位置合せ穴734にドラム軸の後端801が嵌挿され、上突起部735に上位置合わせ穴653が嵌合することで、後端板部65が後ドラム受け枠73に位置合わせされて嵌着される。更に、嵌合凹部721に前端板部64が嵌合し、左右係止部722、723の左右の前ロック手段74でロックされることで、ドラムユニット62の印刷用ドラム23は適正な印刷作動位置にずれなく、離脱可能に装着される。
【0048】
図3に示すように、前ドラム受け枠72の嵌合凹部721の低壁側には印刷装置制御手段9に接続される信号回線上の本体側接点列J1が取付けられ、嵌合凹部721に接するドラムユニット62側の前端板部64の下端の下向き面にドラム側接点列J2が形成されている。嵌合凹部721にドラムユニット62がロックされる状態において、嵌合凹部721の本体側接点列J1と前端板部64のドラム側接点列J2とが接続でき、これにより、印刷装置制御手段9にドラムユニット62側の電源及び信号回線が接続される。
【0049】
なお、場合により、ドラムユニット62を印刷装置本体1に装着した場合だけではなく、ドラムユニット62を機外で放置中の場合でも印刷装置本体1でドラムの状態を認識できるように、印刷装置本体1とドラムユニット62のドラムコントローラー921とに無線交信機能を持たせて操作パネル15に機外にあるドラムユニット62の状態を表示させる方式を採っても良い。
【0050】
図6に示すように、ドラム支持枠61の前端板部64にはドラムユニット62着脱操作用の前ハンドル641が装着される。しかも、その下側にはインクパック97、ドラム種類を設定するディップスイッチ85、外光の検知期間を入力するドラム液晶表示パネル92、警告ブザー93、警告ランプ94が装着され、これらは信号線を介してドラム側接点列J2にそれぞれ接続される。
【0051】
図1のドラムユニット62はUVインキ用として使用するよう形成され、ここでのディップスイッチ85にはUVドラムの設定が成され、これにより、本体側接点列J1とドラム側接点列J2とが接続されることで、印刷装置制御手段9側のドラム種類識別手段131(図15参照)にUVドラム種別信号を入力できる。
【0052】
更に、ドラム支持枠61の主部63に光センサ91(図3参照)が装着され、同センサの信号線もドラム側接点列J2に接続されている。ここでドラムユニット62がUVインキによる印刷を行なう場合、UVインキを充填した印刷用ドラム23を機外に長時間放置すると太陽光に含まれる紫外線の影響でインキの硬化が起こってしまう。そこで、UVインキを使用できる印刷用ドラム23には光センサ91を設けて、紫外線を有する太陽光を始めとする外光の検知を行なっている。
【0053】
ドラムユニット62の前端板部64に配備されるドラム液晶表示パネル92にはカウント数を入力する増減ボタン922、923が装着され、これらは補助電源BT(不図示)を備えたドラムユニット62側のドラムコントローラー921及び印刷装置本体1側の印刷装置制御手段9(図15参照)に接続される。ドラムコントローラー921及び印刷装置制御手段9は、検出時間の管理をする外光検出警告制御手段132(図15参照)として相互に並列的に機能するよう接続される。
【0054】
即ち、外光検出警告制御手段132は設定された外光受光量Q1のレベルを超える検出時間を外光受光カウント数HCnとしてカウントし、外光受光カウント数HCnが閾値HCαに達するか否かを判断する外光検出時間計測手段としての機能を備える。更に、外光検出警告制御手段132は外光受光カウント数HCnが閾値HCαに達すると、警告ブザー93や、警告ランプ94(警告手段)を警告を発するように駆動制御する警告制御手段としての機能を備える。更に、警告表示を行うまでの期間である閾値を切換え入力して外光受光カウント数をドラム液晶表示パネル92(警告手段)に表示する閾値設定表示機能を備える。なお、ここでの警告は警告ブザー93や警告ランプ94を組み合わせて行なっても良いし、単体での警告表示でもかまわない。
【0055】
次に、図3、6、9、10に示すように、ドラム支持枠61の前端板部64の中央にはインクパック97装着用のインク台99が取付けられる。インク台99はその基端部993が前端板部64に左右一対のレール994を介して摺動可能に取付られる。更に、インク台99は基端より前方に伸びる台部992の突端に上向きに屈曲する係止ずれ規制部991が形成される。
【0056】
図3に示すように、前端板部64にはドラム軸80の前端が固着される。ドラム軸80は印刷用ドラム23の内部と対向する部位及び前端板部64との対向部に亘りインク供給穴r1を連続形成され、印刷用ドラム23内の長手方向Xに配備される複数の孔(不図示)よりにインク供給を行うことを可能としている。インク供給穴r1の前開口は前端板部64側に取付けられるインク供給用のポンプ96の吐出管961に連結される。ポンプ96はインク台99側に吸入管962を突き出し形成される。係止ずれ規制部991の把持により、所定量引き出された台部992にインクパック97は載置され、再び台部992が押し込まれることで、セット位置(図3、図10の実線で示す位置)に保持され、この際、係止ずれ規制部991により台部992からのずれを防止される。このセット位置のインクパック97は、その後壁に形成される不図示のジョイント孔に吸入管962の突き出し端が嵌挿され、これにより、ポンプ96が駆動する際にインクパック97のUVインクが吸入され、インク供給穴r1を経て印刷用ドラム23内に供給されている。
【0057】
ポンプ96は印刷装置制御手段9側のインク量検知調整部133(図15参照)の駆動信号に応じて駆動できる。インク量検知調整部133はドラム内に設けられる不図示のインキ検知センサのインキ量信号に応じてインキ量が適正量を下回る場合に、ポンプ96を駆動制御する。
【0058】
図3、図9に示すように、インク台99側に載置されたインクパック97の後壁側とこれと対向する前端板部64とに亘り、インキ種類識別手段134が配備される。ここで、UVインク用のインクパック97にはその後壁にUVインク用であることを検知可能な切り欠きC1が形成され、前端板部64にはプッシュスイッチであるインキパック有無センサ111とプッシュスイッチであるインキ種類検知センサ112(インキ種類識別手段)とが設けてある。ここではUVインキ用のインクパック97に切り欠きC1を設け、非UVインキ用のインクパック97aからは切り欠きC1を排除する。これにより、UVインク用のドラムユニット62のインク台99にUVインキ用のインクパック97をセットすると、インキパック有無センサ111がオンし、インキ種類検知センサ112は切り欠きC1に対向して押圧されず、オフし、このオン、オフパターンの入力時に印刷装置制御手段9側のインキ種類識別手段134(図15参照)は適正であるUVインキ用のインクパック97のセットを確認できる。
【0059】
これに対し、UVインク用のドラムユニット62のインク台99に非UVインキ用のインクパック97aを誤ってセットすると、インキ種類検知センサ112がプッシュされてオンし、このオン、オンパターンの入力時にインキ種類識別部134は誤って非UVインキ用のインクパック97aがセットされたことを確認できる。その際、印刷装置制御手段9は操作パネル15(図11参照)の液晶表示パネル154、及び、ドラム液晶表示パネル92によりインクパックの誤セットを警告表示し、警告ブザー93を駆動することとなる。これに応じて、オペレーターはインクパックの種類を交換する作業を行うこととなる。
【0060】
なお、後述するように、図1の印刷装置本体1では、UVドラムを備えたドラムユニット62に代えて、非UVドラムを備えたドラムユニット62aが図2、図12(a)、(b)に示すように選択的に使用され、この非UVドラムを備えたドラムユニット62aにも同様のインキ種類識別手段(インキパック有無センサ111とインキ種類検知センサ112)が配備される。
【0061】
この場合、ドラムユニット62aの前端板部64aにはプッシュスイッチであるインキパック有無センサ111とプッシュスイッチであるインキ種類検知センサ112とが同様に設けてあるが、非UVインク用のインクパック97はその後壁に非UVインク用であることを検知可能とするため上述の切り欠きC1が排除される。この場合、インク台99aに非UVインキ用のインクパック97aをセットすると、インキパック有無センサ111がオンし、インキ種類検知センサ112がプッシュされ、このオン、オンパターンで適正である非UVインキ用のインクパック97aのセットを確認できる。これに対し、UVインキ用のインクパック97が誤ってセットされると、UVインキ用のインクパック97aの切り欠きC1によりインキ種類検知センサ112がプッシュされず、オン、オフパターンの入力信号で誤セットを確認できる。この場合も、印刷装置制御手段9は操作パネル15(図11参照)の液晶表示パネル154によりインクパックの誤セットを警告表示し、警告ブザー93a、警告ランプ94aを駆動することとなる。
【0062】
なお、上述のインキ種類識別手段134はインキ種類検知センサ112によるインクパックの切り欠きC1の有無を検出することで、UVインキ用と非UVインキ用のインクパック97、97aを識別していたが、これに代えて、インキパックにICタグを取付け、ドラムユニット62側の識別手段によりインキ種類を識別する方法を採用しても良い。なお、ICタグによる認識方法は当業者にとって周知であるため説明を割愛する。
【0063】
さらにICタグによる認識以外にもUVインキもしくは非UVインキのどちらか一方のインキパックに黒色のシールを貼り付け、シールの有無をドラムユニット62側の前端板部64に不図示の光センサを取付け、シール有りの場合とシール無しの場合の反射率の違いから生じる反射光量のレベルを判断し、インキ種類を識別する方法を採用することもできる。更に、インキ種類識別はUVインキと非UVインキの二者択一ではなく、種類を拡張してUVインキにおける複数のUVインキ種類の区別等を行なうようにすることも可能である。
【0064】
次に、図1の印刷装置本体1では、UVドラムを備えたドラムユニット62に代えて、非UVドラムを備えたドラムユニット62aが選択使用されるので、その説明を行う。
図2、図12(a)、(b)に示したドラムユニット62aは非UVインキ用の印刷用ドラム23aを枢支するが、そのドラム支持枠61aはUVインキ用の印刷用ドラム23を枢支するドラム支持枠61と外形がほぼ同一に形成され、これにより前後のドラム受け枠72、73からなる連結機構に対してドラムユニット62に代えて容易に着脱可能に形成される。
【0065】
ドラムユニット62aは非UVインキ用のマスタ22aを装着するのに適した構成を採り、ドラム軸80aを介し非UVインキ用のインクパック97aから非UVインキの供給を受けて適正作動できるものである。ドラム支持枠61aの前後の端板部64、65に両端が取付けられていた紫外線光源69を収容したケース66や、紫外線光源69の点灯制御に用いる第1排紙センサ68や、外光検知用の光センサ91が排除される。ここで、ドラム支持枠61aはその要部がドラムユニット62で用いていたドラム支持枠61を共用しており、これよりケース66及び第1排紙センサ68の排除作業は図5(a)〜(c)で説明したように、容易に行うことができる。更に、ドラムユニット62aでは、前端板部64のインク台99aに非UVインキ用のインクパック97aが装着される。この際、上述のように、インキ種類識別手段134(インキパック有無センサ111とインキ種類検知センサ112に接続される)が機能し、インクパックの誤セットがあると、インキ種類識別手段134が警告表示作動し、警告ブザー93a、警告ランプ94aで警告できる。
【0066】
次に、図15を参照して、孔版印刷装置本体1の制御構成を説明する。
図15は、孔版印刷装置の制御構成を示すブロック図である。同図において印刷装置制御手段9は、内部にCPU120、ROM121、RAM122、図示しないタイマ及び図示しない入出力ポートを有する周知のマイクロコンピュータを具備しており、印刷装置本体1の内部に設けられている。
【0067】
印刷装置制御手段9のCPU120は、操作パネル15からの各種信号及び印刷装置本体1に設けられた各種センサからの検知信号及びROM121から呼び出された動作プログラムに基づいて、画像読取部3、給紙部4、孔版製版部5、印刷部6、排版部7、排紙部8、ドラム種類識別手段131、外光検出警告制御手段132、インキ量検知調整手段133、インキ種類識別手段134等、に設けられた各駆動手段を制御し、孔版印刷装置全体の動作を制御する。ここでドラム種類識別手段131、外光検出警告制御手段132、インキ量検知調整手段133、インキ種類識別手段134はドラムユニット62側のドラムコントローラー921を介して印刷装置制御手段9に入力される各センサの検知情報に基づき制御作動する。
【0068】
ROM121には、孔版印刷装置全体の動作プログラムが記憶されており、この動作プログラムはCPU120によって適宜呼び出される。RAM122は、CPU120の計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル15上の各種キー及び各種センサから設定及び入力されたデータ信号及びオン・オフ信号を随時記憶する機能等を有している。また、印刷装置制御手段9はームポジションセンサ124からのホームポジション信号と、印刷ドラム駆動手段161に設けられた図示しないエンコーダからの信号とに基づいて、印刷用ドラム23印刷用ドラム23の回転位相位置の把握も行っている。
【0069】
次に、印刷装置制御手段9が行う印刷装備判定処理と、インキ供給制御処理と、外光検知処理とを図16〜図18の各処理ルーチンのフローに沿って説明する。
印刷装置制御手段9によるメインルーチンの実行途中で印刷装備判定処理ルーチンに達すると、ステップs1ではドラム種類識別手段131としてディップスイッチ85よりのUVドラム信号の入力の有無を判断し、非UVドラム信号が入力時にはステップs2,3に進んで、非UV用のドラムユニット23aからUV用のドラムユニット23に交換するのを待ち、交換によりステップs4に達する。ステップs4〜s6ではインキ種類識別手段134としてインキパック有無センサ111がオンし、インキ種類検知センサ112は切り欠きC1に対向してオフし、オン、オフパターンの入力時に適正のUVインキ用のインクパック97がセットされたことを確認し、ステップs7に進む。ここで、非UVインキ用のインクパック97aの誤セット時にはオン、オンパターンの入力を受け、UVインキ用のインキパック97の交換を待つこととなる。
【0070】
ステップs7ではマスタ種類識別手段20として、マスタ種類検知センサ203がオフ(UVインキ用の場合)か否か判断し、オン(非UVインキ用の場合)ではステップs8,9を繰り返し、オフするのを待ち、交換によりステップs10に達する。
ステップs10では排版収納装置種類識別手段172として、排版収納装置有無センサ173と排版収納装置種類検知センサ174の両オン、オフ信号の組み合わせがUVインキ用であること確認し、そうでない場合は、非UVインキ用よりUVインキ用の排版収納装置28に交換されるのを待ち、ステップs13に進み、UVインキ用の印刷装備完了信号をオンし、メインルーチンにリターンし、以後、紫外線光源制御手段135によるUV照射装置2の点灯(発光)駆動を可能とすることとなる。
【0071】
次に、印刷装置制御手段9のメインルーチンの途中でインキ供給制御処理ルーチンに達すると、ステップa1でインキパック有無センサ111がオンか否か判断し、オフ時にはメインルーチンにリターンし、オンでステップa2に進む。
ステップa2ではインキ種類識別手段134としてインキ種類検知センサ112のオン、オフを識別する。ステップa3では操作パネル15(図11参照)でUVインキによる印刷方式「UV」が指定されていると、UVインキ用のインクパック97の装着を、操作パネル15で非UVインキによる印刷方式「EM」が指定されていると、非UVインキ用のインクパック97aの装着をそれぞれ確認できるまで待ち、ステップa4、a5を繰り返して、誤セットが解除されるとステップa6に進む。
【0072】
ステップa6では操作パネル15(図11参照)で指定されている現在のインキがUVインキ用か非UVインキ用か確認し、現在の指定インキ種類に応じたインキ溜り41の適正インキ量を予め設定したインキ量テーブルマップ(不図示)より読み取り、ステップa7でインキ量検知調整手段133として現在のインキ溜り41のインキ量を不図示のインキ検知センサで検知し、その現在のインキ量が指定インキ種類に応じた適正量を下回る場合に、ポンプ96を駆動するよう制御し、印刷に必要な最適インキ量をドラム内に保持して、最適な印刷処理を可能とし、メインルーチンにリターンする。
【0073】
次に、印刷装置制御手段9のメインルーチンの途中で外光検知処理ルーチンに達すると、まず、ステップb1ではUVインキ用のドラムユニット62の装着時であるか否か判断し、非UVインキ用のドラムユニット62aの装着時にはこの制御を終了し、メインルーチンに戻る。UVインキ用のドラムユニット62であると、ステップb2に進み、ここでは外光検出時間に相当する外光受光カウント数HCnのカウントをスタートさせたとするフラグFCがオンか否か判断する。ここで、カウントスタート前ではステップb3でカウントスタート条件である、メイン電源スイッチのオン後の適正な制御開始時であるか判断し、この条件を満たすとカウントスタートのフラグFCをオンし、満たさないと、オフとし、この回の制御をメインルーチンに戻す。なお、カウントスタート条件としては、メイン電源スイッチのオン後の他に、開閉蓋101の開放毎にカウントをスタートさせても良い。
【0074】
再度、ステップb2に達してカウントスタートフラグがFC=1であるとステップb4に進み、そこで、最新の1制御周期中の外光量Qnが所定レベルQ1を上回るか否か判断し、上回ると、ステップb5で外光受光カウント数HCn(=CHn−1+1)を+1アップして書き換え、ステップb6に進み、下回るとこの制御周期のカウント値は更新せず、メインルーチンにリターンする。
【0075】
ステップb6では、外光受光カウント数HCnの閾値HCαが、予め増減ボタン922、923によるか、印刷装置制御手段9の操作パネル15により入力されている最新の値により設定され、ステップb7に進む。ステップb7では最新の外光受光カウント数HCnが閾値HCαを上回るか否か判断し、上回るとステップb8に進み、ここでは警告ブザー93や、警告ランプ94を駆動し、メインルーチンにリターンする。なお、警告は印刷装置本体1の操作パネル15(警告手段)に表示するよう構成してもよい。
【0076】
これにより、開閉蓋101の開放等により印刷装置本体1内に外光が入射し、この入射光がドラムユニット23上の光センサ91で受光され、外光量Qnが所定レベルQ1以上の外光を受光した期間を外光受光カウント数HCnによりカウントし、過度に開閉蓋101の開放が続くような場合、即ち、外光受光カウント数HCnが閾値HCαを上回ると、警告ブザー93や、警告ランプ94が警報作動される。これにより、印刷装置本体1の機外に印刷用ドラム23を放置した場合、紫外線を含む外光の影響によるインキの硬化を未然に防ぐことが可能となる。
特に、上述の印刷装置本体1に対して着脱可能であるドラムユニット62がUV光源69を装備することによって、ユーザが印刷装置を買い換えたり、高価な紫外線照射用の後処理装置を別途購入することなくUVインキによる印刷を選択的に行なうことができる。
【0077】
更に、外光検出時間に相当する外光受光カウント数HCnの設定を行うので、外光を検知した瞬間に警告表示が行なわれることは無くなり、実際のインキ硬化が始まる放置時間を考慮した警告表示時間に相当する閾値HCαの設定を行なうことが可能となる。なお、このような警告に応じて、オペレーターは開閉蓋101を閉め、内部への外光の侵入を防止することとなる。
【0078】
上述のところにおいて、カウントスタート条件として、メイン電源スイッチのオン後、開閉蓋101の開放毎とするとしたが、これらに代えて、カウントスタート条件を、ドラムユニット62が前後のドラム受け枠72、73からなる連結機構から離脱する際としても良い。
この場合、補助電源BTで駆動するドラムコントローラー921がカウントスタート条件満たすとして新たな光受光カウント数HCnのカウントに入る。この場合、機外にドラムユニット62が過度に放置され続けると、ドラムコントローラー921が外光受光カウント数HCnを順次加算し、外光受光カウント数HCnが閾値HCαを上回ると、警告ブザー93や、警告ランプ94が警報作動されることとなる。この場合、オペレーターは完全な遮蔽手段でドラムユニット62を覆うか、機内にドラムユニット62を戻すこととなる。
【0079】
上述のドラムユニット62は前後のドラム受け枠72、73からなる連結機構から離脱し、機外に載置されると、補助電源BTでドラムコントローラー921が駆動し、カウント値をカウントアップすると(外光受光カウント数HCnが閾値HCαを上回る)、警告ブザー93や、警告ランプ94を直接警報作動している。
【0080】
このようなドラムユニット62がドラムコントローラー921による独立制御を行うのに代えて、印刷装置本体1の印刷装置制御手段9と、ドラムユニット62のドラムコントローラー921との双方に、送受信機を取付け、双方に無線交信機能を持たせて、印刷装置本体1の操作パネル15(図11参照)に機外にあるドラムコントローラー921の状態を表示(警告を含む)させる方式を採るように構成しても良い。
【0081】
ところで、設定された外光受光カウント数(外光検出時間)を越えたドラムユニット62が印刷装置本体1に装着された場合、印刷用ドラム23内のUVインキが外光の影響により硬化している可能牲がある。
このような場合、印刷装置の印刷装置制御手段9は操作パネル15にドラム内インキが硬化して印刷不可である旨を表示し、印刷動作を不作動としサービスマンの呼び出しを促す。もしくは操作パネル15に硬化ドラム復帰動作中の旨を表示してユーザに待機してもらう。その間、印刷用ドラム23はインキ供給源であるインキパックから新たなインキを充填し、新たなインキ中に含まれる溶剤成分による硬化インキの溶解、及び図示しない印刷用ドラム23内のブレードにより、版胴36に付着した硬化インキの掻き取りを行い、印刷用ドラム23の回復を図ることとなる。
【0082】
図1の印刷装置では、前後のドラム受け枠72,73に対してドラム支持枠61を装着すると共に前ロック手段74によりロックするので、印刷用ドラム23が印刷作動位置に容易に装着され、適性に印刷作動でき、しかも、ドラム取付け作業が容易化される。
図1の印刷装置では、前後のドラム受け枠72,73に、UVインキ用の印刷用ドラム23と非UVインキ用の印刷用ドラム23aとを選択的に装着することで、単一の印刷装置にもかかわらず、UVインキによる印刷と非UVインキによる印刷とを選択的に容易に行うことができる。
【0083】
図1のドラム種類識別手段131(印刷ドラム検出手段)は、UVインキ用の印刷用ドラム23と非UVインキ用の印刷用ドラム23aの相違を容易に検知でき、印刷装置本体1の誤作動を未然に防止できる。
図1の印刷装置本体1によれば、UVインキ用の印刷用ドラム23の装着が検出されたときにUV照射手段2を動作させ、UVインキによる印刷を容易に行うことができ、非UVインキ用の印刷用ドラム23aによる印刷時に無駄な紫外線照射を確実に行わないようにできる。
【0084】
図1の印刷装置本体1によれば、UVインキと非UVインキを混在使用する場合に、インキ種類に応じてインキ量の検知に応じての調整を行なうことで、印刷に必要な最適インキ量を常にドラム内に保つことができる。
以上述べたとおり、本発明を実施例を含む特定の実施形態等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した実施形態等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、そのように組み合わせることでさらに操作性が向上することも可能である。このように、本発明の範囲内において、その必要性及び用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の一実施形態を成す印刷装置にUVインキ用のドラムユニットを装備した場合の概略的な正面図である。
【図2】本発明の一実施形態を成す印刷装置に非UVインキ用のドラムユニットを装備した場合の概略的な正面図である。
【図3】本発明の一実施形態を成し、図1中に示されるUVインキ用のドラムユニット及びこれを載置する前後のドラム受け枠の拡大平面図である。
【図4】図1のUVインキ用のドラムユニットの斜視図である。
【図5】図1のUVインキ用のドラムユニットに装備されるUV照射装置の拡大説明図で、(a)はUV照射装置装着時の切欠側面断面図、(b)はUV照射装置排除時の切欠側面断面図、(c)は(a)におけるA−A線断面図である。
【図6】図1のUVインキ用のドラムユニットの正面図である。
【図7】図1のUVインキ用のドラムユニットの後面図である。
【図8】図1のドラムユニットのドラム支持枠の後端と、それが結合される後のドラム受け枠の要部切欠断面図である。
【図9】図1のドラムユニットに組み込まれるインクパックの斜視図である。
【図10】図1のドラムユニットに組み込まれるインク台とそれに載置されるインクパックの平面図である。
【図11】本発明の一実施形態を成す印刷装置に装備される表示パネルの平面図である。
【図12】図2の印刷装置に装備される非UVインキ用のドラムユニットを示し、(a)は正面図、(b)は後面図である。
【図13】図1の印刷装置の製版部に装備されるマスタロールの平面図で、(a)はUVインキ用、(b)は非UVインキ用である。
【図14】図1の印刷装置の排版部に装備された排版収納装置及びこれに対設されるセンサの斜視図である。
【図15】図1の印刷装置における制御系の機能ブロック図である。
【図16】図1の印刷装置における制御系が行う印刷装備判定処理ルーチンのフローチャートである。
【図17】図1の印刷装置における制御系が行うインキ供給制御処理ルーチンのフローチャートである。
【図18】図1の印刷装置における制御系が行う外光検知処理ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
1 印刷装置本体
2 UV照射装置(紫外線照射装置)
3 画像読取部
4 給紙部
5 孔版製版部
6 印刷部
7 排版部
8 排紙部
9 印刷装置制御手段
23,23a 印刷用ドラム
61 ドラム支持枠
62,62a ドラムユニット
69 光源
72 前ドラム受け枠
73 後ドラム受け枠
74 前ロック手段(ロック手段)
85 ディップスイッチ
91 光センサ(外光検知手段)
92 ドラム液晶表示パネル
921 ドラムコントローラー
93 警告ブザー(警告手段)
94 警告ランプ(警告手段)
132 外光検出警告制御手段(警告を発する手段)
134 インキ種類識別手段(インキ検出手段)
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置の本体に着脱自在に装着される印刷用ドラムにおいて、
前記印刷用ドラムが用紙に対して紫外線を照射する光源を装備していることを特徴とする印刷用ドラム。
【請求項2】
請求項1記載の印刷用ドラムにおいて、
外光を検出する光センサと、
前記光センサが外光を検知した場合に警告を発する警告手段とを設けたことを特徴とする印刷用ドラム。
【請求項3】
請求項2記載の印刷用ドラムにおいて、
前記光センサによる外光検出時間を計測する外光検出時間計測手段と、
前記外光検出時間計測手段が一定時間以上外光を検出した場合に前記警告手段にて警告を発するよう制御する制御手段とを有することを特徴とする印刷用ドラム。
【請求項4】
印刷装置本体に着脱自在に装着される印刷用ドラムを有する印刷装置において、
前記印刷用ドラムが用紙に対して紫外線を照射する光源を装備していることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4の印刷装置において、
外光を検出する印刷用ドラム上の光センサと、
前記印刷用ドラム上の光センサが外光を検知した場合に警告を発する警告手段とを設けたことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項5記載の印刷装置において、
印刷用ドラム上の光センサによる外光検出時間を計測する外光検出時間計測手段と、
前記外光検出時間計測手段が一定時間以上外光を検出した場合に前記警告手段にて警告を発するよう制御する制御手段とを有することを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項4、5又は6記載の印刷装置において、
前記印刷用ドラムは版胴と同版胴を枢支するドラム支持枠とを有し、
前記印刷装置本体には、前記ドラム支持枠が印刷作動位置に保持されるよう装着するドラム受け枠と前記ドラム支持枠を離脱可能にロックするロック手段とを設けたことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項4乃至7の何れか一つに記載の印刷装置において、
印刷用ドラム内のインキ量を検知調整するインキ検知調整手段を設け、
同インキ検知調整手段が使用しているインキの種類に応じてドラム内インキ量の検知調整を行なうことを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−327047(P2006−327047A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−154405(P2005−154405)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】