説明

印刷用ブランケットおよびその製造方法

【課題】排紙性に優れ、画像品質(網点再現性・着肉性)の良好な印刷画像を形成することのできる印刷用ブランケットを提供する。
【解決手段】基材層上に表面ゴム層を積層形成してなる印刷用ブランケットであって、前記表面ゴム層の表面が、下記式(F1)で示されるフッ素含有化合物(式中、RF はフルオロアルキル基を含有する基を表し、R1 はアルキル基またはアルコキシアルキル基を表し、R2 およびR3 は、同一または異なる、水素原子または1価の有機基を表す。xは1〜100の整数であり、yは0〜100の整数である。)と、テトラアルコキシシランと、テトラアルコキシチタンと、シランカップリング剤と、これらを溶解する溶剤とを含有する表面処理剤により処理されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排紙性に優れているとともに、良好な印刷画像を形成することのできるオフセット印刷用のブランケットに関する。
【背景技術】
【0002】
オフセット印刷用のブランケットは、基布を貼り合わせてなる基材層上に表面ゴム層が積層形成されてなり、基材層に圧縮層(スポンジ層)を含まないソリッドタイプのもの、圧縮層を含むコンプレッシプルタイプのものが使用されている。
【0003】
オフセット印刷用のブランケットにおいては、良好な排紙性(紙に対する非粘着性)が要求される。ブランケットの排紙性は、表面ゴム層を粗面化したり、高硬度化したりするよってある程度向上させることができる。
【0004】
しかし、表面ゴム層を粗面化すると、印刷画像の網点再現性が損なわれる傾向がある。 また、表面ゴム層を高硬度化すると、ベタ着肉性が低下する傾向がある。
【0005】
従来、印刷用ブランケットにおける排紙性や画像品質を向上させるための技術として、耐油性ゴムと多硫化ゴムとのブレンドゴムにより表面ゴム層を構成する技術(特許文献1参照)、特定の物理的性質を有するゴム材料から表面ゴム層を構成する技術(特許文献2〜3参照)、特定の結合アクリロニトリル量のニトリルゴムを含有するゴム材料によって表面ゴム層を構成する技術(特許文献4参照)、表面ゴム層を特定の表面形状とする技術(特許文献5〜6参照)などが紹介されている。
【特許文献1】特開平5−85080号公報
【特許文献2】特開平8−52954号公報
【特許文献3】特開平8−52955号公報
【特許文献4】特開平11−91260号公報
【特許文献5】特開平5−177968号公報
【特許文献6】特開平9−76658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、表面ゴム層を特定のゴム材料から構成し(特許文献1〜4)、あるいは、特定の表面形状とする(特許文献5〜6)だけでは、排紙性と、印刷画像の品質(網点再現性・着肉性)の両方を十分に満足させることはできない。
【0007】
本発明は以上のような事情に基いてなされたものであって、その目的は、排紙性に優れているとともに、画像品質(網点再現性・着肉性)の良好な印刷画像を形成することのできる印刷用ブランケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の印刷用ブランケットは、基材層上に表面ゴム層を積層形成してなる印刷用ブランケットであって、前記表面ゴム層の表面が、下記式(F1)で示されるフッ素含有化合物(以下、「特定のフッ素含有化合物」という。)と、式(1):Si(OR4 4 (式中、R4 は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で示されるテトラアルコキシシランと、式(2):Ti(OR5 4 (式中、R5 は、炭素数2〜4のアルキル基を表す。)で示されるテトラアルコキシチタンと、式(3):Si(OR6 m 7 3-m −(CH2 n −R8 (式中、R6 はアルキル基またはアルコキシアルキル基を表し、R7 はアルキル基を表し、mは1〜3の整数であり、nは0〜5の整数である。また、R8 は、ゴムのポリマー主鎖との反応性を有する有機官能基を表す。)で示されるシランカップリング剤と、これらを溶解する溶剤とを含有する表面処理剤(以下、「特定の表面処理剤」ともいう。);により処理されていることを特徴とする。
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、RF はフルオロアルキル基を含有する基を表し、R1 はアルキル基またはアルコキシアルキル基を表し、R2 およびR3 は、同一または異なる、水素原子または1価の有機基を表す。xは1〜100の整数であり、yは0〜100の整数である。)
【0011】
特定の表面処理剤を構成する特定のフッ素含有化合物は、分子中に複数の加水分解性基(−OR1 )を有し、テトラアルコキシシランは、分子中に4個のアルコキシ基(−OR4 )を有し、テトラアルコキシチタンも、分子中に4個のアルコキシ基(−OR5 )を有する。また、シランカップリング剤は、加水分解性基(−OR6 )および反応性の有機官能基(−R8 )を分子中に有する。
【0012】
印刷用ブランケットを構成する表面ゴム層の表面(被処理面)において、特定のフッ素含有化合物と、テトラアルコキシシランと、テトラアルコキシチタンと、シランカップリング剤とが反応(加水分解・縮合反応)することにより、ハイブリッド化合物(フッ素原子を含有し、SiO2 −TiO2 系の架橋構造を有する化合物)からなる表面処理膜が形成され、この表面処理膜(ハイブリッド化合物)を構成するフッ素原子および架橋構造により、当該表面ゴム層の表面には、紙に対する優れた非粘着性が付与され、この結果、本発明の印刷用ブランケットは排紙性に優れたものとなる。特に、SiO2 −TiO2 系の架橋構造を有する表面処理膜は、SiO2 系の架橋構造を有する表面処理膜(フッ素含有架橋ポリシロキサンからなる表面処理膜)と比較して、紙に対する非粘着性の付与効果(粘着力の低減効果)が優れたものとなる。
【0013】
しかも、表面処理膜を構成するハイブリッド化合物(またはその形成過程における構造)中には、シランカップリング剤に由来する反応性の有機官能基(−R8 )が導入され、この有機官能基は、表面ゴム層を構成するゴムのポリマー主鎖と反応する。これにより、ハイブリッド化合物は、シランカップリング剤を介して、表面ゴム層を構成するゴムのポリマー主鎖と化学的に結合する。このように、表面ゴム層を構成するゴムのポリマー主鎖と、ハイブリッド化合物からなる表面処理膜との間には、シランカップリング剤を介して化学的な結合が形成されるため、当該表面処理膜は、表面ゴム層に対して強固に密着することになる。従って、表面ゴム層の表面に付与された非粘着性は、長期にわたり安定的に発現される。
【0014】
また、ゴムのポリマー主鎖に結合されたハイブリッド化合物からなる表面処理膜は、熱安定性および化学安定性に優れ、特定のフッ素含有化合物に対して良溶媒である種々の有機溶剤に対しても不溶性または難溶性となる。これにより、表面ゴム層に有機溶剤を含有するインキを接触させてもハイブリッド化合物の一部が溶出することはなく、これにより付与された非粘着性が実質的に損なわれることはない。
【0015】
本発明の印刷用ブランケットにおいては、下記の形態が好ましい。
(1)特定のフッ素含有化合物を示す上記式(F1)中のyが0であること。
(2)特定のフッ素含有化合物を示す上記式(F1)において、RF で表されるフルオロアルキル基を含有する基が、−CF3 、−C2 5 、−C3 7 、−C6 13、−C7 15または−CF(CF3 )[OCF2 CF(CF3 )]p OC3 7 (式中、pは0,1もしくは2である。)で表される基であること。
(3)前記テトラアルコキシシランが、テトラメトキシシラン(TMOS)またはテトラエトキシシラン(TEOS)であること。
(4)前記テトラアルコキシチタンが、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタンおよびテトラブトキシチタンから選ばれた少なくとも1種であること。
(5)特定の表面処理剤が酸を含有すること。
(6)特定の表面処理剤による表面処理膜の膜厚が0.001〜10μm、更に0.01〜2μm、特に0.1〜1.5μmであること。
【0016】
本発明の製造方法は、前記表面ゴム層の表面に特定の表面処理剤を塗布する工程と、この表面処理剤による塗膜を加熱する工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の印刷用ブランケットは、排紙性に優れているとともに、網点再現性・着肉性などの画像品質の良好な印刷画像を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明の印刷用ブランケットの層構成の一例を模式的に示す断面図である。
同図に示すブランケットは、基材層10上に接着ゴム層20を介して表面ゴム層30が積層形成されてなる。
【0019】
基材層10は、第1の基布111と、スポンジ層(圧縮層)12と、第2の基布112と、接着ゴム層13と、第3の基布113とが積層されて形成されている。
【0020】
基材層10を構成する第1の基布111、第2の基布112および第3の基布113としては、通常綿布が使用される。
【0021】
第1の基布111と第2の基布112との間に設けられたスポンジ層12は、ブランケットに好適な圧縮特性を付与し、印圧を緩和して良好な印刷を可能にするために形成された任意の層である。
かかるスポンジ層12の構成材料としては、ニトリルゴムなどからなるスポンジゴムを例示することができ、スポンジ層12を構成するスポンジゴムは、連泡型であっても独立気泡型であってもよい。
【0022】
第2の基布112と第3の基布113との間に設けられた接着ゴム層13は、これらを接着するための接着剤層である。かかる接着ゴム層13の構成材料としてはニトリルゴムを例示することができる。
【0023】
基材層10と表面ゴム層30との間に設けられた接着ゴム層20は、これらを接着するためのゴム系の接着剤層である。
【0024】
表面ゴム層30はインキの受理および転写を行うための層であり、例えばニトリルゴムからなる。
【0025】
表面ゴム層30の硬度は、JIS−A硬度計で45〜60であることが好ましく、更に好ましくは50〜55とされる。表面ゴム層の硬度が過大である場合には、ベタ着肉性が低下する傾向がある。一方、この硬度が過小である場合には、圧力が十分に掛からず、受理不良や転写不良を招きやすい。
【0026】
表面ゴム層30の表面粗さ(Rz)は、3.0〜10.0μmであることが好ましく、更に好ましくは4.0〜6.0μmとされる。
表面ゴム層30の表面粗さ(Rz)が過大となる場合には、網点再現性が低下し、鮮明な印刷画像を形成することができない。
【0027】
本発明の印刷用ブランケットは、これを構成する表面ゴム層の表面が、特定の表面処理剤により処理されている点に特徴を有する。この表面処理剤は、特定のフッ素含有化合物と、テトラアルコキシシランと、テトラアルコキシチタンと、シランカップリング剤と、溶剤とを含有してなる。
【0028】
特定のフッ素含有化合物は、フルオロアルキル基を含有する基(RF )を分子両末端に有するとともに、−Si(OR1 3 で示される基(トリアルコキシシリル基もしくはトリアルコキシアルコキシシリル基)が結合されてなる中間鎖を有し、さらに(−CH2 −CR2 3 −)で示される中間鎖を有していてもよいフッ素系のオリゴマーである。
【0029】
特定のフッ素含有化合物を構成するフルオロアルキル基を含有する基(RF )の具体例としては、−CF3 、−C2 5 、−C3 7 、−C6 13および−C7 15など−Cq 2q+1(q=1〜10)で表されるフルオロアルキル基;−CF(CF3 )OC3 7 、−CF(CF3 )[OCF2 CF(CF3 )]OC3 7 、および−CF(CF3 )[OCF2 CF(CF3 )]2 OC3 7 で表される基(オキシフルオロアルキレン基およびフルオロアルキル基を含有する基)を例示することができ、これらのうち、−CF(CF3 )OC3 7 で表される基が特に好ましい。
【0030】
特定のフッ素含有化合物を構成する必須の中間鎖の有する−Si(OR1 3 で示される基の具体例としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;トリ(メトキシメトキシ)シリル基、トリ(メトキシエトキシ)シリル基、トリ(エトキシメトキシ)シリル基、トリ(エトキシエトキシ)シリル基などのトリアルコキシアルコキシシリル基を挙げることができる。これらのうち、トリアルコキシシリル基が好ましく、トリメトキシシリル基が特に好ましい。
【0031】
特定のフッ素含有化合物における任意の中間鎖(−CH2 −CR2 3 −)を構成する基(R2 ,R3 )は、同一または異なる基であって、水素原子または1価の有機基である。R2 またはR3 で示される有機基としては、下記の式(i)〜(v)で示される基などを例示することができる。
【0032】
【化3】

【0033】
特定のフッ素含有化合物を示す上記式(F1)において、必須の中間鎖の数(x)は1〜100とされ、好ましくは1〜50、更に好ましくは1〜10、特に好ましくは2〜5とされる。
また、任意の中間鎖の数(y)は0〜100とされ、好ましくは0〜50、更に好ましくは0〜10とされる。
【0034】
特定のフッ素含有化合物を構成する好適な化合物としては、下記式(4)乃至(8)で示される化合物を挙げることができる。特に、下記式(4)または式(5)で示される化合物〔上記式(F1)中のyが0である化合物〕は、1分子中に占めるフッ素原子(非粘着性を付与する原子)の割合が大きいために、表面ゴム層の表面に高い効率でフッ素原子を存在させることができる。
【0035】
【化4】

【0036】
(式中、x’は2または3である。)
【0037】
【化5】

【0038】
〔式(5)および式(6)において、RF ’は、式:−CF(CF3 )OCF2 CF(CF3 )OC3 7 で示される基である。
式(5)中、xaは1〜100の整数である。
式(6)中、xbは1〜100の整数、ybは1〜500の整数である。〕
【0039】
【化6】

【0040】
〔式(7)中、xcは1〜10の整数、ycは0〜100の整数である。式(8)中、xdは1〜10の整数、ydは0〜100の整数である。〕
【0041】
上記式(F1)で示される特定のフッ素含有化合物は、下記式(F1A)で示されるフッ素含有過酸化物の存在下に、下記式(F1B)で示される単量体と、下記式(F1C)で示される単量体とを重合させることにより得ることができる。
なお、この反応生成物(フッ素含有化合物)中には、フルオロアルキル基を含有する基(RF )が片末端のみに導入されているオリゴマーが任意の割合で含まれていてもよい。
【0042】
【化7】

【0043】
(式中、RF 、R1 、R2 およびR3 は、先に定義したとおりである。)
【0044】
特定の表面処理剤における特定のフッ素含有化合物の含有割合としては、0.001〜20質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.005〜10質量%、特に好ましくは0.01〜5質量%とされる。特定のフッ素含有化合物の含有割合が過小である場合には、表面ゴム層の表面に十分な処理効果(非粘着性)を付与することが困難となる。他方、20質量%を超える割合で特定のフッ素含有化合物を含有させても、含有量に見合う処理効果が得られない。
【0045】
特定の表面処理剤を構成するテトラアルコキシシランは、式(1):Si(OR4 4 で示される4官能性のアルコキシシランである。
テトラアルコキシシランを示す式(1)において、R4 は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基を表す。ここに、テトラアルコキシシランの好適な具体例としては、テトラメトキシシラン(TMOS)およびテトラエトキシシラン(TEOS)を挙げることができ、TEOSが特に好ましい。
【0046】
特定の表面処理剤におけるテトラアルコキシシランの含有量としては、特定のフッ素含有化合物の含有量の0.5〜1000倍(質量)であることが好ましく、更に好ましくは1〜500倍、特に好ましくは1〜200倍とされる。
テトラアルコキシシランの含有割合(特定のフッ素含有化合物に対する相対的な割合)が過小である場合には、架橋構造の形成が不十分となって、表面ゴム層の表面を完全に覆うこと(被膜形成)が困難となる。一方、この割合が過大である場合には、表面ゴム層の表面に十分な処理効果(非粘着性)を付与することが困難となる。
【0047】
特定の表面処理剤を構成するテトラアルコキシチタンは、式(2):Si(OR5 4 で示される4官能性のアルコキシチタンである。
特定の表面処理剤の必須成分としてテトラアルコキシチタンが含有されることにより、非粘着性の付与効果(粘着力の低減効果)に特に優れた表面処理膜(SiO2 −TiO2 系の架橋構造を有するハイブリッド化合物)を形成することができる。
【0048】
テトラアルコキシチタンを示す上記式(2)において、R5 は、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などの炭素数2〜4のアルキル基を表す。ここに、テトラアルコキシシランの好適な具体例としては、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタンおよびテトラブトキシチタンを挙げることができ、テトラエトキシチタンが特に好ましい。
【0049】
特定の表面処理剤におけるテトラアルコキシチタンの含有量としては、特定のフッ素含有化合物の含有量の0.001〜20倍(質量)であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜10倍、特に好ましくは2〜5倍とされる。
また、テトラアルコキシチタンの含有量は、テトラエトキシシランの1〜10質量%であることが好ましく、更に好ましくは2〜5質量%とされる。
テトラアルコキシチタンの含有割合(テトラアルコキシシランに対する相対的な割合)が過小である場合には、表面ゴム層の表面に十分な処理効果(非粘着性)を付与することが困難となる。一方、テトラアルコキシチタンの含有割合(テトラアルコキシシランに対する相対的な割合)が過大である場合には、得られる表面処理剤が短時間で硬化してしまい、塗布性などの作業性が低下する。
【0050】
特定の表面処理剤を構成するシランカップリング剤は、式(3):Si(OR6 m 7 3-m −(CH2 n −R8 で示される。
シランカップリング剤を示す上記式(3)において、R6 はアルキル基またはアルコキシアルキル基を表し、R7 はアルキル基を表し、mは1〜3の整数、好ましくは3であり、nは0〜5の整数、好ましくは0〜3の整数である。また、R8 は、ゴムのポリマー主鎖との反応性を有する有機官能基を表す。
上記式(3)において、Si(OR6 m 7 3-m −で表される基は、少なくとも1個、好ましくは3個の加水分解性基(−OR6 )を有する。これにより、上記式(3)で示されるシランカップリング剤は、4個のアルコキシ基(−OR4 )を有するテトラアルコキシシラン、4個のアルコキシ基(−OR5 )を有するテトラアルコキシチタン、および複数の加水分解性基(−OR1 )を有する特定のフッ素含有化合物の何れとも反応することができる。
ここに、Si(OR6 m 7 3-m −で表される基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基であることが好ましい。
【0051】
また、ゴムのポリマー主鎖との反応性を有する有機官能基(−R8 )としては、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基、ウレイド基などを挙げることができる。これらのうち、不飽和結合を有するゴムのポリマー主鎖に対して反応性を有するメルカプト基、不飽和結合を有しないゴムのポリマー主鎖に対して反応性を有するビニル基を好適なものとして挙げることができる。
このように、ゴムの種類(ポリマー主鎖中の不飽和結合の有無など)に応じて、反応性有機官能基(−R8 )を選択することによれば、特定のフッ素含有化合物として同一種類の化合物を種々のゴム(表面ゴム層を構成するゴム)に対して使用することが可能となる。
【0052】
表面ゴム層の表面において、特定のフッ素含有化合物と(−OR1 )、テトラアルコキシシラン(−OR4 )と、テトラアルコキシチタン(−OR5 )と、シランカップリング剤(−OR6 )とが反応(加水分解・縮合反応)することにより、フッ素原子を含有し、SiO2 −TiO2 系の架橋構造を有するハイブリッド化合物からなる表面処理膜が形成される。
【0053】
しかして、表面処理膜を構成するハイブリッド化合物、または、その形成過程(加水分解・縮合反応過程)における構造中には、シランカップリング剤に由来する反応性の有機官能基(−R8 )が導入され、この有機官能基(−R8 )は、表面ゴム層を構成するゴムのポリマー主鎖と反応する。これにより、ハイブリッド化合物は、シランカップリング剤を介して、表面ゴム層を構成するゴムのポリマー主鎖と化学的に結合することになる。
【0054】
このように、表面ゴム層を構成するゴムのポリマー主鎖と、ハイブリッド化合物からなる表面処理膜との間には、シランカップリング剤を介して化学的な結合が形成されるため、当該表面処理膜は、表面ゴム層に対して強固に密着することになる。従って、当該表面処理膜が脱離するようなことはなく、表面ゴム層の表面に付与された非粘着性は安定的に発現される。
【0055】
特定の表面処理剤において、シランカップリング剤の含有量としては、特定のフッ素含有化合物の含有量の0.01〜10倍(質量)であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜5倍、特に好ましくは0.1〜5倍とされる。
シランカップリング剤の含有割合(特定のフッ素含有化合物に対する相対的な割合)が過小である場合には、得られる表面処理剤によって形成される表面処理膜が、表面ゴム層に対して十分な密着性を有するものとならない。一方、この割合が過大である場合には、表面ゴム層の表面に十分な処理効果(非粘着性)を付与することが困難となる。
【0056】
特定の表面処理剤を構成する溶剤としては、特定のフッ素含有化合物、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシチタンおよびシランカップリング剤の何れも溶解することができるものの中から選択することができ、これらの種類によっても異なるが、ヘキサン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、アセトンなどの有機溶剤を例示することができ、これらのうち、ヘキサン、メタノール、エタノール、ジクロロメタンおよびアセトンが好ましい。
【0057】
特定の表面処理剤には、その効果が損なわれない限度において、上記の必須成分以外に各種の任意成分が含有されていてもよい。
特定のフッ素含有化合物と、テトラアルコキシシランと、テトラアルコキシチタンと、シランカップリング剤との反応(加水分解・縮合反応)を効率的に行わせて、ハイブリッド化合物における架橋構造の形成を促進させる観点から、特定の表面処理剤は、酸性(pHが6以下、特に2〜5)であることが好ましい。
【0058】
特定の表面処理剤を酸性とするために含有される酸としては、無機酸であっても有機酸であってもよい。ここに、無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸などを挙げることができ、塩酸が好ましい。また、有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸などを挙げることができ、酢酸が好ましい。
【0059】
特定の表面処理剤は、特定のフッ素含有化合物と、テトラアルコキシシランと、テトラアルコキシチタンと、シランカップリング剤と、任意成分とを溶剤に溶解させることにより容易に調製することができる。
なお、得られた表面処理剤を室温下に長時間静置すると、構成成分(特に、テトラアルコキシシランおよびテトラアルコキシチタン)の縮合物が形成されて沈澱物を生じるおそれがある。このため、特定の表面処理剤は、製造後24時間以内に使用することが好ましく、また、使用前に十分に(例えば1〜6時間)攪拌して表面処理剤の均質化を図ることが肝要である。また、必要に応じて、60〜70℃に加温してもよい。
【0060】
本発明の印刷用ブランケットは、表面ゴム層の表面(被処理面)に特定の表面処理剤を塗布する工程(以下、「塗布工程」という。)と、この表面処理剤による塗膜を加熱する工程(以下、「加熱工程」という。)とを含む製造方法により得られる。
【0061】
塗布工程における特定の表面処理剤の塗布方法としては、特に限定されるものではないが、表面処理膜の薄膜化が図れることから、スプレーによる塗布、浸漬による塗布などが好ましい。
なお、この塗布工程の終了後、表面ゴム層の表面に形成された塗膜から溶剤を除去するために乾燥処理を行ってもよい。乾燥条件としては、表面処理剤に含有される溶剤の種類および含有割合などによっても異なるが、例えば室温で1分間〜24時間とされ、好ましくは3分間〜1時間とされる。
加熱工程において、塗膜の加熱方法としては、オーブンによる加熱、熱プレスによる加熱など、特に制限されるものではない。加熱条件としては、例えば50〜200℃で5分間〜24時間とされる。
【0062】
表面ゴム層の表面に形成された特定の表面処理剤による塗膜を加熱することにより、(i)特定のフッ素含有化合物(−OR1 )と、テトラアルコキシシラン(−OR4 )と、テトラアルコキシチタン(−OR5 )と、シランカップリング剤(−OR6 )との反応(加水分解・縮合による架橋構造の形成反応)が進行するとともに、(ii)シランカップリング剤の有する反応性有機官能基(−R8 )と、表面ゴム層を構成するゴムのポリマー主鎖との反応が進行する。
【0063】
これにより、(i)表面処理膜を構成するハイブリッド化合物とシランカップリング剤との間、および、(ii)シランカップリング剤とゴムのポリマー主鎖との間に化学的な結合が形成され、この結果、表面ゴム層に対する密着性(被膜としての耐久性・強靱性)に優れた表面処理膜が形成される。
【0064】
そして、この表面処理膜(ハイブリッド化合物)を構成するフッ素原子および架橋構造により、当該表面ゴム層の表面には、紙に対する優れた非粘着性が付与され、この結果、本発明の印刷用ブランケットは排紙性に優れたものとなる。特に、テトラアルコキシチタンに由来するTi−O結合を含む架橋構造(SiO2 −TiO2 系の架橋構造)を有する表面処理膜は、SiO2 系の架橋構造を有する表面処理膜(フッ素含有架橋ポリシロキサンからなる表面処理膜)と比較して、非粘着性の付与効果(粘着力の低減効果)が優れたものとなる。
また、ハイブリッド化合物からなる表面処理膜は、表面ゴム層を構成するゴムに対して強固に密着しているので、当該表面処理膜が脱離するようなことはなく、表面ゴム層の表面に付与された非粘着性は安定的に発現される。
【0065】
また、ハイブリッド化合物からなる表面処理膜は、熱安定性および化学安定性に優れ、特定のフッ素含有化合物に対して良溶媒である種々の有機溶剤に対しても不溶性または難溶性となる。これにより、表面ゴム層に有機溶剤を含有するインキを接触させても、ハイブリッド化合物の一部が溶出することはなく、これによって付与された非粘着性が実質的に損なわれることはない。
【0066】
本発明の印刷用ブランケットにおいて、表面ゴム層上に形成される表面処理膜の膜厚は0.001〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは0.01〜2μm、特に好ましくは0.1〜1.5μmとされる。
0.001μm以上の表面処理膜であれば、表面ゴム層の表面を均一に被覆することができ、ブランケットの表面(表面処理膜の表面)に所期の非粘着性を発現させることができる。
また、表面処理膜の膜厚が10μm以下であることにより、ブランケットの表面(表面処理膜の表面)の硬度を、表面ゴム層(ゴム基材)の硬度と実質的に同一とすることができる(表面処理によりブランケット表面を硬化させない)。さらに、表面ゴム層の表面が特殊形状を有するものであっても、当該形状に追従して表面処理膜を形成することができる(表面処理により表面形状を変化させない)。
【0067】
本発明の印刷用ブランケットは、これを構成する表面ゴム層の表面が、特定の表面処理剤により処理されている(表面処理膜が形成されている)ので、優れた排紙性を有する。 また、本発明の印刷用ブランケットにより形成される印刷画像は、網点再現性・着肉性などの画像品質にも優れている。
【実施例】
【0068】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0069】
<実施例1>
(1)特定の表面処理剤の調製:
下記表1に示す処方に従って、上記式(4)で示される特定のフッ素含有化合物〔但し、式中「(x’=2)/(x’=3)」のモル比率が86/14であるもの。以下、同じ。〕0.004gと、テトラエトキシシラン(TEOS)0.40gと、テトラエトキシチタン〔Ti(OEt)4 〕0.008gと、式:Si(OCH3 3 −(CH2 3 −SHで示されるシランカップリング剤「A−189」〔日本ユニカー(株)製〕0.01gと、塩酸(0.1N)0.05gとを、アセトン9.5gに添加し、この系を室温下に1時間攪拌することにより、特定の表面処理剤(特定のフッ素含有化合物濃度=0.04質量%,TEOS濃度=4.0質量%,テトラエトキシチタン濃度=0.08質量%,シランカップリング剤濃度=0.1質量%)を調製した。
【0070】
(2)表面処理(塗布工程および加熱工程):
図1に示した層構成のブランケット材料(特定の表面処理剤による表面処理を施していないもの)を準備した。各層の詳細は下記のとおりである。
【0071】
・基布(111)〜(113)の種類:綿布
・スポンジ層(12)の構成材料:ニトリルゴムからなるスポンジゴム
・接着ゴム層(13)の構成材料:ニトリルゴム系の接着剤
・接着ゴム層(20)の構成材料:ニトリルゴム系の接着剤
・表面ゴム層(30)の構成材料:ニトリルゴム
【0072】
上記のブランケット材料の表面ゴム層(30)の表面に、上記(1)により調製された特定の表面処理剤(1時間の攪拌操作の終了直後の処理剤)をスプレー塗布した。次いで、このブランケット材料を150℃のオーブン内で10分間加熱処理することにより、特定の表面処理剤による表面処理膜(ハイブリッド化合物からなる表面処理膜)が表面ゴム層上に形成されてなる本発明のブランケットを製造した。このブランケットの表面硬度(JIS−A)は52であった。また、表面処理膜の膜厚をSEMにより測定したところ、0.5〜1.2μmの範囲内であった。
【0073】
<実施例2>
下記表1に示す処方に従って、テトラエトキシチタンの使用量を0.012gに変更したこと以外は実施例1(1)と同様にして特定の表面処理剤(テトラエトキシチタン濃度=0.12質量%)を調製し、この表面処理剤を用いたこと以外は実施例1(2)と同様にして、特定の表面処理剤による表面処理膜が表面ゴム層上に形成されてなる本発明のブランケットを製造した。このブランケットの表面硬度(JIS−A)は52、表面処理膜の膜厚は、実施例1に係るブランケットと同等であった。
【0074】
<実施例3>
下記表1に示す処方に従って、テトラエトキシチタンの使用量を0.020gに変更したこと以外は実施例1(1)と同様にして特定の表面処理剤(テトラエトキシチタン濃度=0.20質量%)を調製し、この表面処理剤を用いたこと以外は実施例1(2)と同様にして、特定の表面処理剤による表面処理膜が表面ゴム層上に形成されてなる本発明のブランケットを製造した。このブランケットの表面硬度(JIS−A)は52、表面処理膜の膜厚は、実施例1に係るブランケットと同等であった。
【0075】
<実施例4>
下記表1に示す処方に従って、シランカップリング剤の使用量を0.02gに変更したこと以外は実施例1(1)と同様にして特定の表面処理剤(シランカップリング剤濃度=0.2質量%)を調製し、この表面処理剤を用いたこと以外は実施例1(2)と同様にして、特定の表面処理剤による表面処理膜が表面ゴム層上に形成されてなる本発明のブランケットを製造した。このブランケットの表面硬度(JIS−A)は52、表面処理膜の膜厚は、実施例1に係るブランケットと同等であった。
【0076】
<実施例5>
下記表1に示す処方に従って、上記式(4)で示される特定のフッ素含有化合物に代えて、上記式(6)で示される特定のフッ素含有化合物(但し、xb=1〜10、ybは1〜10)0.004gを使用したこと以外は実施例1(1)と同様にして特定の表面処理剤を調製し、この表面処理剤を用いたこと以外は実施例1(2)と同様にして、特定の表面処理剤による表面処理膜が表面ゴム層上に形成されてなる本発明のブランケットを製造した。このブランケットの表面硬度(JIS−A)は52、表面処理膜の膜厚は、実施例1に係るブランケットと同等であった。
【0077】
<比較例1>
実施例1(2)で準備したものと同様のブランケット材料を150℃のオーブン内で10分間加熱処理することにより、表面ゴム層上に表面処理膜が形成されていない比較用のブランケットを製造した。このブランケットの表面硬度(JIS−A)は52であった。
【0078】
<紙に対する粘着力の測定(排紙性評価)>
実施例1〜5および比較例1で得られたブランケットの各々から試験片を採取し、この試験片(ブランケット表面部分)の紙に対する粘着力を、タッキング試験機「TAC−II」〔(株)レスカ製〕を使用して測定することにより、「排紙性」の代替評価を行った。結果を併せて表1に示す。測定条件は次のとおりである。
【0079】
(測定条件)
・プローブ:SUS304よりなる円柱形のプローブ。但し、試験片との接触部分(直径5.1mmの円形領域)にコート紙(OKトップコート菊判50.5kg)を貼付した。
・進入速度:5mm/min
・加圧力:100gf
・加圧時間:3秒間
・離間(引き離し)速度:600mm/min
・測定温度:室温
【0080】
<印刷テスト>
実施例1〜5および比較例1で得られたブランケットの各々について、下記の条件等に従って印刷テストを行い、排紙性、網点再現性および着肉性を評価した。結果を併せて表1に示す。
【0081】
・印刷機 :枚葉印刷機「DAIYA 1F」(三菱重工業(株)製)
・印刷用紙:コート紙「OKトップコート菊判50.5Kg」(王子製紙(株)製)
:中質紙「ハイネ中質紙55Kg」(大王製紙(株)製)
・印刷インキ:「TKハイユニティネオ 藍」(東洋インキ製造(株)製)
・湿し水 :IPA 3%添加
・印刷条件 :印刷速度9000枚/時・標準仕立て
【0082】
(1)排紙性の評価方法:
コート紙を用い、ベタ画像100枚を同一条件で連続して印刷し、100枚目に印刷された紙のカール高さを測定した。この数値が小さいほど排紙性が優れている。
【0083】
(2)網点再現性の評価方法:
コート紙を用い、ベタ濃度を1.60に合わせて1万枚印刷した。1万枚目の印刷画像の各網点の濃度を測定し、下記式により相対コントラスト値を求めた。この値が高いほど網点再現性に優れている。
【0084】
式):相対コントラスト値=(ベタ濃度−網点濃度)/ベタ濃度
【0085】
(3)着肉性の評価方法:
比較例1に係るブランケットをシリンダの長手方向の一方に巻回するとともに、実施例1に係るブランケットをシリンダの長手方向の他方に巻回した(左右2枚掛け)。中質紙を用い、比較例1に係るブランケットによるベタ濃度を1.20に合わせて印刷したときの、実施例1に係るブランケットによるベタ濃度を測定した。この濃度が高いほど着肉性に優れている。
実施例2〜5のブランケットの各々についても同様にしてベタ濃度を測定した。
【0086】

【表1】

【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の印刷用ブランケットは、オフセット印刷用のブランケットとして好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の印刷用ブランケットの層構成の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0089】
10 基材層
111 第1の基布
112 第2の基布
113 第3の基布
12 スポンジ層
13 接着ゴム層
20 接着ゴム層
30 表面ゴム層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層上に表面ゴム層を積層形成してなる印刷用ブランケットであって、
前記表面ゴム層の表面が、
下記式(F1)で示されるフッ素含有化合物と、
式(1):Si(OR4 4 (式中、R4 は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で示されるテトラアルコキシシランと、
式(2):Ti(OR5 4 (式中、R5 は、炭素数2〜4のアルキル基を表す。)で示されるテトラアルコキシチタンと、
式(3):Si(OR6 m 7 3-m −(CH2 n −R8 (式中、R6 はアルキル基またはアルコキシアルキル基を表し、R7 はアルキル基を表し、mは1〜3の整数であり、nは0〜5の整数である。また、R8 は、ゴムのポリマー主鎖との反応性を有する有機官能基を表す。)で示されるシランカップリング剤と、
これらを溶解する溶剤とを含有する表面処理剤;
により処理されている印刷用ブランケット。
【化1】

(式中、RF はフルオロアルキル基を含有する基を表し、R1 はアルキル基またはアルコキシアルキル基を表し、R2 およびR3 は、同一または異なる、水素原子または1価の有機基を表す。xは1〜100の整数であり、yは0〜100の整数である。)
【請求項2】
前記フッ素含有化合物を示す上記式(F1)中のyが0である請求項1に記載の印刷用ブランケット。
【請求項3】
前記フッ素含有化合物を示す上記式(F1)において、RF で表されるフルオロアルキル基を含有する基が、−CF3 、−C2 5 、−C3 7 、−C6 13、−C7 15または−CF(CF3 )[OCF2 CF(CF3 )]p OC3 7 (式中、pは0,1もしくは2である。)で表される基である請求項1または請求項2に記載の印刷用ブランケット。
【請求項4】
前記テトラアルコキシシランが、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランである請求項1乃至請求項3の何れかに記載の印刷用ブランケット。
【請求項5】
前記テトラアルコキシチタンが、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタンおよびテトラブトキシチタンから選ばれた少なくとも1種である請求項1乃至請求項4の何れかに記載の印刷用ブランケット。
【請求項6】
前記表面処理剤が酸を含有する請求項1乃至請求項5の何れかに記載の印刷用ブランケット。
【請求項7】
前記表面処理剤による表面処理膜の膜厚が0.001〜10μmである請求項1乃至請求項6の何れかに記載の印刷用ブランケット。
【請求項8】
前記表面処理剤による表面処理膜の膜厚が0.01〜2μmである請求項1乃至請求項6の何れかに記載の印刷用ブランケット。
【請求項9】
前記表面処理剤による表面処理膜の膜厚が0.1〜1.5μmである請求項1乃至請求項6の何れかに記載の印刷用ブランケット。
【請求項10】
前記表面ゴム層の表面に請求項1に記載の表面処理剤を塗布する工程と、
当該表面処理剤による塗膜を加熱する工程とを含む印刷用ブランケットの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−296678(P2007−296678A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124810(P2006−124810)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000005175)藤倉ゴム工業株式会社 (120)
【Fターム(参考)】