説明

印刷装置を伴う非加熱式フィルムユニットの運転

印刷機に設けられる非加熱式フィルム転写のためのユニットにおいて、転写プロセスの改良が行われる。このときフィルム転写を制御するために制御装置が取り付けられ、当該制御装置を用いて、フィルム転写を伴わない印刷ジョブを実施するとき、あるいは、前記印刷機において実施すべき準備ジョブを実施するとき、フィルム転写を行うように定められたコーティング装置2の印圧調整は解除可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のおいて書き部に記載の、画線部提供層を担体フィルムから印刷枚葉紙に転写するための機械における装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フィルム転写法を用いて、印刷枚葉紙上に金属層を製造することが知られている。例として特許文献1には印刷材料および当該材料を用いる印刷装置が記載されている。前記文献には、給紙装置と排紙装置とを有し、これら二つの機構の間に複数の印刷装置と1つのコーティング装置とが設けられてなる枚葉紙加工機が示されている。これらの印刷装置の少なくとも一つにおいては、平版印刷法を用いて接着剤パターンが塗布される。この接着剤パターンはコールドプレス法によって塗布され、画線部を提供する特定の絵柄を表している。前記の印刷装置に続いて設けられた、圧胴およびプレスローラを有してなるコーティング装置にはフィルムガイドが設けられている。当該フィルムガイドは、フィルムストックロールからフィルムストリップもしくは転写フィルムを、コーティング装置の圧胴とプレスローラとの間に設けられた転写間隙を介してガイドするという構想のもとに形成されている。フィルムストリップはコーティング装置から出た後、排出側で再び巻きつけられる。転写フィルムは担体層を有し、当該担体層の上にたとえばアルミニウムから成る金属層のような画線部提供層が設けられてもよい。金属層と担体フィルムとの間には分離層が設けられている。当該分離層は金属層を担体層から剥離可能とするために設けられる。
印刷枚葉紙を搬送して印刷装置を通過させる際に、各印刷枚葉紙には接着剤パターンが塗布される。その後、印刷枚葉紙はコーティング装置を通過するようにガイドされるが、その際にプレスローラを用いて、圧胴に載置された印刷枚葉紙をフィルム材料と結合させる。このとき下方に向けて設けられた金属層は、印刷枚葉紙の接着剤が塗布された領域と密接に結合される。印刷枚葉紙をさらに搬送すると、金属層は接着剤が塗布された領域のみに付着する。すなわち、接着剤パターンの領域では、担体フィルムから金属層が剥離される。そしてこのように消費された転写フィルムは再び巻きつけられる。印刷枚葉紙はコーティングされた状態で排出される。前記のようなコーティング装置を、たとえば印刷機の印刷装置において用いることは知られている。このような従来の装置の不利点は、多くの場合、これらのコーティング装置を十分に臨機応変に使用できないことである。
ウェブもしくは機械の速度、フィルムロールの巻き取り品質、ウェブテンションの変化、貼付される絵柄の可変性、および、いわゆる経路の外乱などに起因する負荷に応じて、プロセスを決定するパラメータを制御することは困難である。その結果、貼付プロセスにおいてフィルム転写の際に品質が損なわれ、それによってフィルム貼付において欠陥が生じる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第569520号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の課題は、印刷枚葉紙の上に画線部提供層を、経済的かつ確実に転写できる装置を提供することである。当該装置は、簡単に操作できるものでなくてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、請求項1に記載の特徴を有する装置において解決される。
【0006】
本発明により、フィルム転写装置として使用される印刷装置の調整を行い、それによって当該印刷装置において、ウェブ状フィルムが引き込まれた状態で、かつ、機械を運転しながら、フィルム搬送が行われ得なくなる。
【0007】
上記の使用は、印刷機においてインキ装着、胴のクリーニングまたは印刷枚葉紙のテスト走行といった補助的作業が行われるときに提供され得る。そうなると、ウェブ状フィルムは恒常的に機械内にあり、新たに取り付ける必要はない。これにより、準備時間が著しく節約される。
【0008】
従って、さらなる印刷装置において印刷インキによる印刷が、先行して、あるいは後続して行われる印刷機では、フィルム転写のためのコーティング装置の圧力間隙を形成する部材の調整は、フィルム転写を伴わない製造に対して制限される。それによって、少なくともフィルム転写の機能を実現するコーティング装置において、後続の印刷装置から独立して、間隙の大きさの調整が可能となる。少なくとも、非加熱式フィルム転写を行うためのコーティング装置において、非加熱式フィルム転写ができないとき、ウェブ状フィルムを開放するような調整が可能でなくてはならない。
特に、ウェブ状フィルムが停止している間、プレスローラを圧胴から当接解除した状態で、停止させるか、または動かし続けることが行われる。
【0009】
転写フィルムを、より幅の狭い一つまたは複数の分割ウェブ状フィルムに分けることによって、フィルムの利用の向上を図る必要がある場合、当該装置は好適に用いられる。上記の方法と組み合わせることによって、異なる種類のフィルムを並行して用いることもできる。
【0010】
以下に図1に基づいて、本発明をより詳しく説明する。図に示すのは以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】フィルム転写装置を有する印刷機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1には枚葉紙加工機が示され、当該枚葉紙加工機は少なくとも二つの印刷装置もしくは貼付装置からなっている。当該二つの印刷装置もしくは貼付装置は以下の目的のために用いられる。
第一の印刷装置もしくは貼付装置において、印刷枚葉紙に、画線部を提供する接着剤パターンが設けられる(塗布装置1)。
【0013】
続いて後続の印刷装置もしくは貼付装置において、印刷枚葉紙とともに転写フィルム5が転写間隙6を介してガイドされ、転写フィルム5は転写間隙6において印刷枚葉紙に押し付けられる(コーティング装置2)。
【0014】
塗布装置1は、インキ装置11と、版胴12と、転写胴13と、枚葉紙をガイドする圧胴4と、を有してなる周知のオフセット印刷装置であってよい。塗布装置はまた、いわゆるモジュール型ニス引き装置であってもよく、当該モジュール型ニス引き装置においては、転写胴13が版胴として形成されている。当該版胴には、インキ装置11の代わりに、たとえばチャンバドクタ機構として形成された装置により、インキあるいは接着剤が供給される。
【0015】
コーティング装置2における転写間隙6は、プレスローラ3と圧胴4とによって形成される。この場合、プレスローラ3はオフセット印刷装置の転写胴に対応し、圧胴4はオフセット印刷装置の圧胴に対応し得る。また、プレスローラ3は枚葉紙印刷機のモジュール型ニス引き装置の版胴に対応し、圧胴4は枚葉紙印刷機のモジュール型ニス引き装置の圧胴に対応することもあり得る。
この点に関してコーティング装置2はまた、印刷装置のベースユニットとして形成されていてもよい。それによって圧胴4およびプレスローラ3のみが設けられ、これによって枚葉紙の搬送と、転写間隙6における転写プロセスとを、相応に設けられるフィルム繰り出し部およびフィルム巻取り部と関連して実施する。
【0016】
転写フィルム5は複数の層をなして構成されている。転写フィルムは担体層を有し、当該担体層の上には分離層を介して画線部提供層が設けられている。前記分離層は画線部提供層を担体層から剥がすことをより簡単に行うために用いられる。画線部提供層とは、たとえば金属被覆層または光沢層またはテクスチャ加工層またはインキ付けされた層、あるいは、一つもしくは複数の画線部パターンを含む層などである。
フィルムストックロール8はコーティング装置2の枚葉紙供給側に配設されている。フィルムストックロール8は回転駆動部7を有する。当該回転駆動部7は、転写フィルムを連続的に制御しながらコーティング装置2に供給するために必要であり、そのような理由から制御可能となっている。フィルム供給領域にはまた、方向転換ローラもしくはテンションローラが設けられている。これにより、転写フィルムのウェブ状フィルムはプレスローラ3に対して、常に同じテンションで保持される。印刷装置の排出側にはフィルム収集ロール9が示されている。フィルム収集ロール9には、使用されたフィルム材料が再び巻きつけられる。フィルム収集ロールにも、最適化された生産を行うために、制御可能な回転駆動部7を設けることができる。転写フィルム5は概ね、排出側では同様に回転駆動部7によって移動され、流入側ではブレーキを用いて強く張られる。金属被覆層などの画線部提供層を印刷用紙に転写するプロセスは、プレスローラ3と圧胴との間の転写間隙6において行われる。
【0017】
図1に概略的に示すとおり、塗布装置1に設けられたプレスローラ3’もまた、ブランケット胴13と圧胴4との間の転写間隙に対して後置されるとともに、圧胴4に対応して設けられていてよい。プレスローラ3’によって、圧胴4に設けられた枚葉紙上に転写フィルム5’を載置することができ、当該枚葉紙では画線部を提供する接着剤の塗布の直後に、画線部提供層または金属被覆層を設けることができる。
【0018】
プレスローラ3には、プラスチックコーティングなどとしてのプレス張設材10が設けられている。当該プレス張設材は、ゴムブランケットもしくは印刷ブランケットに比肩すべきものである。プレス張設材10は胴溝において、緊締装置に係留される。
【0019】
コーティング方法の効率を確実にするために、フィルムストックロール8から、転写間隙6およびフィルム収集ロール9への転写フィルム5のフィルム給送を制御可能とし、それによって、画線部提供層の転写を行ってはいけない場合には、可能なかぎり転写フィルム5を停止させる。この点に関して、転写フィルム5の制御は以下のように行われ得る。すなわち、枚葉紙をガイドする圧胴4のくわえが収容されている胴溝を通過する際に、フィルム給送が停止される。
【0020】
転写フィルム5を幅のより小さい一つまたは複数の分割ウェブ状フィルムに分けることによって、フィルムの利用を向上させることができる。フィルム転写のために使用されるコーティング装置2の内部には、転写フィルム5のためのウェブガイドが示されている。当該ウェブガイドはフィルムガイドローラ14を有し、当該フィルムガイドローラによって、転写フィルム5が転写間隙6に導入されるとともに当該転写間隙から導出される。このときコーティング装置2に接して設けられている保護装置15に、フィルムガイドに応じて開口部を設ける必要がある。当該開口部の形成は、ウェブ状フィルム5の導入および導出を容易に行うことができ、かつ同時に、保護機能が全面的に保持されるように行われる。
【0021】
ウェブ状フィルムを監視するために、ウェブガイドの領域に、ウェブテンションを監視するためのウェブテンション測定部19が設けられていてよい。さらに、当該領域にはウェブの断裂に備えて、ウェブを監視するための装置20が同様に設けられていてよい。
【0022】
図1にウェブガイドの二つの態様を示す。
a.転写フィルム5は、コーティング装置2の、塗布装置1に対向する側から、転写間隙6に向かってガイドされ、プレスローラ3に対してほぼ接線方向に、転写間隙6を介してガイドされ、反対側に導出される。
b.転写フィルム5’(点線で図示)は、塗布装置1において、印刷装置の、枚葉紙供給から離れた側で、プレスローラ3’と圧胴4との間の転写間隙6’に向かって搬送され、当該転写間隙から再び搬出され、転写間隙6’は、インキ印刷もしくは接着剤印刷に用いられる、転写胴13と圧胴4との間の印刷間隙に後置されている。
【0023】
図1には主たる態様として、プレスローラ3もしくはプレスローラ3への巻きつけに対する、プレスローラ3と圧胴4との間のほぼ接線方向のフィルムガイドが90°よりも小さくされている。こうすることによって、プレスローラ3にウェブ状フィルム5を規定どおりに載置させるとともに、溝を通過する間、転写間隙6においてフィルムのクロック動作もしくはフィルムの停止を行うために、また、細長いウェブ状フィルム5を使用するために必要となる前提条件が達成されなければならない。
【0024】
転写フィルム5の搬送は、フィルムガイドローラにおいて、またはフィルムガイドローラ同士の間で、ウェブ状フィルム5のウェブテンションの検査によって監視され得る。このためにフィルムウェブガイドには、一つまたは複数のウェブテンション測定装置19が設けられている。
さらに、ウェブ状フィルム5を安定させるために、第一の方向転換ローラと、転写装置への第一の引き込みローラとの間に、安定化装置30が設けられていてよい。これによってウェブ状フィルム5のばたつきを減少させる。安定化装置30は、例えば二つの回転自在に軸受けされたロールを有しており、当該ロールはウェブ状フィルム5の巻き付け角度を可変に調整するために、ガイドローラに設けられており、これによってウェブ状フィルム5に対するガイド作用および緩衝作用は、運転状態に応じて調整可能となっている。安定化装置30の調整は、ウェブテンション制御のための装置19と、場合によってはウェブ断裂監視のためのセンサ装置20とに関連して行われ得る。
【0025】
ウェブテンション測定装置の電気信号が評価される。当該評価に関して、さまざまな運転状態が可能である。
1 ウェブテンションが所定の最小値を上回る場合、ウェブ状フィルム5の存在を表す信号として評価され、機械の制御部に供給される。
2 所定のウェブテンションの最大値を超過した場合、ダンサーローラ18、あるいはフィルムストックロール8もしくはフィルム収集ロール9のロール駆動部7を介して、ウェブテンションが低減される。これにより、認められないウェブの伸張やウェブの断裂を回避することができる。
3 所定のウェブテンションの最小値を下回った場合、ウェブテンション制御がまだ作動しているかどうか点検される。ダンサーローラ18、あるいは制動装置を介して、ウェブテンションを増大させられない場合、ウェブの断裂が認識される。
【0026】
目標値としてのウェブテンションに関して、特に上記のような評価に関連して付加的に得られる情報は、印刷プロセスもしくは転写プロセスの制御のために用いることができる。そのために、システムが印刷機のコントロールステーションと接続可能となっており、当該コントロールステーションを介して、最大ウェブテンションおよび最小ウェブテンションに対する目標値を入力することができる。このような目標値は、使用される転写フィルム5の種類、モジュール型コーティング装置2における印刷もしくは転写の条件、すなわち被印刷材料、接着剤、あるいはプレス張設材の特性に関連する条件に依存しうるものである。必要なデータはインタフェースを介して、フィルムストックロールにおいて、データ媒体から直接に読み込まれ、モジュール型コーティング装置2に設けられた転写プロセス調整部から得られるパラメータ値を用いて変化させられる。
【0027】
フィルム転写に関する方法は、図1に示す上記のような印刷装置もしくは貼付装置において以下のように実施される。
【0028】
少なくともコーティング装置2に後続する印刷装置50において、金属被覆層によって画線部に応じたコーティングが施された印刷枚葉紙に、カラー印刷を行うものとする。このとき、印刷枚葉紙はコーティング装置2の圧胴4から、枚葉紙搬送ドラムまたは枚葉紙搬送ユニットを介して印刷装置50の圧胴40に移送される。
印刷装置50は、オフセット印刷装置において通常みられるように、圧胴40と、当該圧胴に対応するゴム胴または転写胴41と、当該転写胴に対応する版胴43とを有している。本図において概略的に示すように、版胴43には、インキ装置および湿し装置が配設されている。
圧胴40と転写胴41の間には、さらなる印刷間隙60が形成されている。当該印刷間隙60において、印刷インキは、版胴43に張設された印刷プレート44から、転写胴41に設けられた張設材42を介して印刷枚葉紙に塗布される。
【0029】
転写胴41と圧胴40の表面間の印刷間隙60の間隙の大きさは、転写胴41に配設されている調整装置45によって調整可能である。この場合、オフセット印刷の領域では通常、印圧調整について言及されるが、それは前記調整が、印刷間隙60において印刷されるべき被印刷材料の厚みに関わるためである。当該調整のためには、圧力をかけることが必要であり、それによって印刷インキを転写胴41から、圧胴40に担持されている被印刷材料に移す。
転写間隙6に関する調整は、プレスローラ3に配設されている、さらなる調整装置46によって行われる。
調整装置45,46はオフセット印刷機の技術分野では通常、印刷装置の転写胴もしくはゴム胴に用いられ、あるいはモジュール型ニス引き装置の版胴にも用いられている。
図1において、印圧調整または押圧力が作用する場所は、DB1およびDB2で表されており、転写間隙6もしくは印刷間隙60に等しい。
このような理由により、機械操作者にとって、カラー印刷からフィルム転写への変換、またはその逆の変換は極めて容易となる。
【0030】
印刷機には、プロセス制御のためにいわゆる機械制御部が設けられている。当該機械制御部は、印刷装置50に対して、また、コーティング装置2および塗布装置1に含まれている印刷機または貼付機の印刷装置または貼付装置に対して、あらゆる調整の可能性を含んでいる。従って、転写間隙6および印刷間隙60に関する、胴3,4もしくは41,40の表面同士の間隙の大きさの調整も、当該機械制御部から調整可能である。
【0031】
この点に関して、機械制御部に関連して、あるいは別個に、印刷機(好ましくは枚葉紙オフセット印刷機)を非加熱式フィルム転写に調整する際に、印刷装置において相応の調整を行うための制御装置が設けられていてよい。
すなわち、印刷機の機械制御部は非加熱式フィルム転写という運転モードに対して、特別な調整を提供する。当該運転モードでは、転写間隙6における表面距離の調整が行われ、それによってフィルム転写の結果に対して、当該フィルム転写の印刷品質を操作する。これによって、基材に対して、フィルム転写に続いて行われるカラー印刷が、インキ移しにとって不都合な条件の下で行われ、それによって印刷品質が悪化する恐れが回避される。
【0032】
従ってさらに、プレス張設材10、印刷ブランケット/ゴムブランケット42および下敷き枚葉紙の厚みの大きさは、手動または自動で機械制御部に読み込まれるようになっている。このために、プレス張設材10、印刷ブランケット/ゴムブランケット42および下敷き枚葉紙には、それぞれ、これらの厚みの大きさの値などの機能データを表す読み取り可能なマーキングが設けられていてよい。その場合、印刷機の作用間隙6,60における間隙の大きさの調整は、マーキングから読み込まれる、印刷ブランケット/ゴムブランケット42もしくは下敷き枚葉紙に関するデータを読み込むことによってのみ行われる。機能データを表すマーキングとして、グラフィックなコード(バーコード、スキャンコード、カラーコードなど)が用いられ得る。データの読み込みに関してはさらに、データを受信するために、電気的または磁気的に読み取り可能なデータ媒体(磁気帯、RFIDチップ、電子回路、トランスポンダなど)が用いられ得る。データの読み取りもしくは認識は、相応の補助手段によって実現される。このような目的のための読み取り器機は自明であり、印刷機の外部に操作装置と関連させて設けるか、あるいは、印刷機自体に当該読み取り器機を組み込むことができる。
【0033】
データの認識はさらに、例えばタワー型印刷装置もしくは貼付装置、あるいはその他のユニット内で、プレスローラ3または転写胴41または版胴に、プレス張設材10または印刷ブランケット/ゴムブランケット42および/または下敷き枚葉紙をそれぞれ支持するために相応に配設されている一つまたは複数の、組み込み型の読み取り器機を用いて行われる。その場合、これらの読み取り器機から、プレス張設材10、印刷ブランケット/ゴムブランケット42または下敷き枚葉紙における厚みの寸法などの機能データに関する個々のマーキングは自動的に行われ、機械の運転中に読み取られ得る。
【0034】
本発明により、フィルム転写を伴うジョブを実施した後であって、同じ転写フィルムを用いて行う、フィルム転写を伴う新たなさらなるジョブの前に、ウェブ状フィルム5を引き込んだ状態で、準備プロセスまたはテストプロセスを実施するためにも、このような印刷機(枚葉紙オフセット印刷機)を使用することができる。当該準備プロセスまたはテストプロセスにおいて、印刷機部材は回転される。
【0035】
上記のような準備プロセスとして例えば以下のものが知られている。
− インキ装置および版胴(印刷プレート)の洗浄(クリーニング)
− 転写胴または圧胴の洗浄(クリーニング)
− 一つまたは複数のモジュール型コーティング装置から、過剰(残留)ニスを排出させる ためのニス排出プロセス(クリーニング)
− 一つまたは複数の転写胴、版胴および/またはインキ装置から、過剰(残留)印刷インキを排出させるためのインキ排出プロセス(クリーニング)
− 印刷装置における個々の、あるいは複数の印刷プレートの交換
− インキ装置における印刷インキのならし運転プロセス
− インキの試し刷りの実施
− 特殊な被印刷材料のためのテスト走行
【0036】
いずれの場合も印刷機内で、機械ユニットは回転するように運転される。このときコーティング装置2も回転を続けてよく、ウェブ状フィルム5は停止されるので、フィルムの消費は生じない。このような応用のためのコーティング装置2の調整については、さらに以下において説明する。
準備プロセスを実施するために、印刷機内に相応の装置が設けられている。
【0037】
インキ装置の洗浄のために、相応のインキ装置洗浄装置が設けられており、当該インキ装置洗浄装置によって、特に、洗浄補助手段の供給によって、インキ装置ローラの表面は自動的に仕上げられる。インキ装置と関連して、対応する版胴上の印刷プレートも洗浄することができる。これらの装置は遠隔制御可能である。
圧胴および転写胴の洗浄のために、相応の圧胴またはブランケット洗浄装置が設けられており、当該圧胴またはブランケット洗浄装置によって、特に、洗浄補助手段の供給によって、ブランケットおよび圧胴の表面は自動的に仕上げられる。これらの装置は遠隔制御可能である。
【0038】
インキ装置および/または印刷プレートならびに版胴モジュール型ニス引き装置のニス版をクリーニングするために、いわゆるインキ排出プロセスまたはニス排出プロセスが実施され得る。このために相応の制御装置が設けられている。インキ排出準備プロセスのために、印刷機に印刷枚葉紙を供給しながら、インキ装置におけるインキ供給を停止した状態で、あるいは、印刷プレートからインキ着けローラを離した状態で、インキ装置ローラの表面および印刷プレートの表面から自動的に、印刷プロセス後に残留している印刷インキが一掃され得る。当該プロセスは、転写胴を当接させた状態で、前もって選択可能な数の印刷枚葉紙を通過させ、印刷プレートおよび/またはインキ装置からの残留インキで印刷を行うことによって行われる。これによって印刷プレートの予備クリーニングが行われ、それに関連してインキ装置の予備クリーニングも行われ得る。
ニス排出準備プロセスのために、印刷機に印刷枚葉紙を供給しながら、ニス引き装置におけるニス供給を停止した状態で、ニス引きローラの表面およびニス版の表面から自動的に、印刷プロセス後に残留している印刷インキまたは残留ニスが一掃され得る。当該プロセスは、ニス版胴または転写胴を当接させた状態で、前もって選択可能な数の印刷枚葉紙を通過させ、ニス版および/またはニス引き装置のニス供給部からの残留インキまたは残留ニスでコーティングを行うことによって行われる。これらのプロセスを実施するための前記の装置は遠隔制御可能である。
【0039】
印刷機の印刷装置を新たな印刷ジョブに対して準備するために、すでにある第一の印刷ジョブの印刷プレートは、対応する版胴において、交換装置を用いて、他の印刷ジョブの新たな印刷プレートと交換される。当該プレート交換プロセスは、印刷機の個々の印刷装置、複数の印刷装置、あるいは全ての印刷装置において順次に、部分的に並行して、あるいは、完全に時間的に並行して行われ得る。当該装置は遠隔制御可能である。
【0040】
インキ装置を新たな印刷ジョブに対して準備するために、すでにあるインキ装置制御装置が使用される。このために、インキ装置へのインキ供給をゾーンごとに配量するための配量装置と、インキ装置ローラの、印刷プレートもしくは版胴への割り当てを行うための調整装置が設けられている。これらの装置を用いて、目標を定めて制御可能な量の印刷インキが、インキ装置ローラの表面に、選択された配分で自動的に供給され得る。それによってインキ装置ローラは印刷プロセスに対して最適に準備された状態となる。インキ装置に関連して、相応に対応する版胴上の印刷プレートおよび転写胴にも、予備的にインキ着けが行われ得る。これらの装置は遠隔制御可能である。
【0041】
いわゆる枚葉紙走行をテストするため、および試し刷りを実施するために、対応する制御装置が設けられている。
【0042】
このとき印刷機を通過する印刷枚葉紙の搬送に関与する要素は、最適な枚葉紙搬送を行うように準備がなされる。最適な枚葉紙搬送のための準備とは、印刷機への枚葉紙供給領域における枚葉紙の配向と、印刷機内部の印刷装置における枚葉紙ガイドと、印刷機の排紙装置における枚葉紙排出とに関する。枚葉紙の配向に対しての調整は、枚葉紙版型、裁断品質および表面特性品質との関連で検査され得る。枚葉紙ガイドと枚葉紙排出に対しての調整は、印刷プロセスと、枚葉紙の版型および重量との関連で試行され得る。
【0043】
さらに、予備調整された印刷装置およびユニットを用いて、印刷インキおよび場合によってはニスによるコーティングに関連して、印刷プロセスの作用を検査するための試し刷りの実施が行われ得る。これによって後に、印刷プロセスにおいて損紙が発生することを回避する。
【0044】
上記の、および全てのさらなる必要な準備プロセスは、それぞれコーティング装置2内にウェブ状フィルム5を引き込んだ状態で、当該コーティング装置においてプレスローラ3を圧胴4から離間させて行われる。調整手段については、以下においてさらに詳しく説明する。
【0045】
上記の準備プロセスは、部分的に互いに並行して実施することができ、それによって準備時間が節約される。そのために必要とされる装置および制御はすでに知られている。
【0046】
本発明により、フィルム転写を伴うジョブを実施した後に、カラー印刷のみで、かつフィルム転写を伴わない印刷ジョブを実施するために、このような印刷機(枚葉紙オフセット印刷機)を使用することもできる。このためにコーティング装置2は、プレスローラ3を圧胴4から離間させるだけで、停止される。このときウェブ状フィルム5はフィルムガイド内にとどめられ、軽いプリテンションを与えられた状態で保持される。当該プリテンションは、フィルム転写の際の調整に対して低減される場合もある。こうして、フィルムがあまり強く振動し得ないことが保証される。同時に、印刷の色度に応じて、塗布装置1と、コーティング装置2に後置されている全ての印刷装置50は、カラー印刷に対して調整される。そのために必要とされる印刷装置1,50にはインキが供給され、印圧調整は被印刷材料に応じて必要な値に調整される。その後、必要に応じて、対応する印刷装置1,50によって、相応の多色刷りが製造され得る。当該方法に関して有利な点は、ウェブ状フィルム5がコーティング装置内にとどまれることである。これによって、手間のかかる準備プロセスがなくなり、特にコーティング装置2内で再びフィルム転写を行う必要がある印刷ジョブに対して、新たに装備を行う場合にも、当該準備プロセスがなくなる。
【0047】
上記の運転モードに関して重要な点は、プレスローラ3が圧胴4から離間されている状態で、ウェブ状フィルム5がコーティング装置2内にとどまることである。これに対して、純粋な印刷を伴う作動プロセスでは、ウェブ状フィルム5は移動されず、プレスローラ3が、ウェブを強く引っ張ることなく、当該プレスローラに当接しているウェブ状フィルム5の下方を通過できる程度にのみ、ウェブテンションが保たれる。このためにプレスローラ3には、粘着性の少ないプレス張設材10が設けられており、当該プレス張設材は例えば微細な表面構造、いわゆるガラスビーズ入りの布のようなものを有していてよい。プレスローラ3におけるウェブ状フィルム5の摩擦は、場合によって、プレスローラ3とウェブ状フィルムの間の間隙に空気を送り込むことによって低減され得る。
【0048】
ウェブ状フィルム5はフィルム転写を伴わないカラー印刷プロセスに対して、上記の場所において、場合によっては塗布装置1において刷り込まれる印刷インキに対して、プレスローラを保護するものとして働く。その理由は、以下の通りである。すなわち、ここで印刷枚葉紙は、圧胴送風装置21あるいはコーティング装置2の圧胴4に設けられた同様の枚葉紙ガイド手段を介してガイドされるだけなので、依然として湿っている印刷インキが印刷枚葉紙からプレスローラ3に着くことがあり得る。しかしながら、付着した印刷インキはウェブ状フィルム5に付着し、ウェブ状フィルム5のステップ移動による搬送を介して印刷間隙6から搬出され得る。フィルム転写を伴う新たなジョブを実施するとき、場合によって汚染されたフィルム領域は転写間隙6から十分遠くにあるので、もはや障害にはならない。
【0049】
上記の態様に関して有利な点は、まず、フィルム転写を含む印刷ジョブ間に行われる交換時、あるいは、カラー印刷のみでフィルム転写を伴わずに実施される印刷ジョブにおいて、操作が簡易化されることである。
【0050】
さらに、インキの塗布のみに寄与する印刷ジョブにおいて、ウェブ状フィルム5がプレスローラ3に当接しながらさらにガイドされるとき、通過する印刷枚葉紙に対してプレスローラ3が保護される点が挙げられる。当該有利点は、特に、印刷機の第一の印刷装置(塗布装置1)において、すでにインキの塗布が行われている場合に該当する。この場合、万が一、インキがウェブ状フィルム5に付着しても、当該ウェブ状フィルムは一定の距離を有してさらにガイドされるので、フィルムの消費は極めてわずかでありながら、印刷枚葉紙に対しては、常に汚れのないガイド面が供されることになる。
【0051】
上記の機能は以下のように実現される。すなわち、転写間隙6において、転写フィルム5は恒常的かつ連続的にゆっくりと搬送される。これによって常に最新のフィルム面が使用に供される。インキ汚れの蓄積および戻りは生じ得ない。
当該機能は代替的に以下のように実現することもできる。すなわち、転写間隙6において転写フィルム5は、ステップ移動によってゆっくりと搬送される。搬送ステップの長さおよび搬送ステップを実施する時間間隔は、塗布装置1におけるインキ塗布、あるいは、転写間隙6におけるフィルム汚れの測定技術を用いた検出から、自動的に導出され得る。必要に応じて作業員が手動で調整を行うことも可能である。
【0052】
このように転写間隙6において、常に最新のフィルム面が使用に供される。毛羽やインキ汚れの蓄積、あるいは、コーティング装置2において、フィルム転写を伴わない調整のもとで搬送される印刷枚葉紙から発して、当該印刷枚葉紙に再び移される恐れのある、その他の堆積は生じ得ない。
【符号の説明】
【0053】
1 塗布装置、2 コーティング装置、3,3’ プレスローラ、4 圧胴、5,5’ 転写フィルム/ウェブ状フィルム、6 転写間隙、7 ロール駆動部、8 フィルムストックロール、9 フィルム収集ロール、10 プレス張設材、11 インキ装置、12 版胴、13 転写胴、14 フィルムガイドローラ、15 印刷装置の保護装置、16 乾燥器、17 検査装置、18 ダンサーローラ、19 ウェブテンション測定装置、20 ウェブ監視装置、30 安定化装置、40 圧胴、41 転写胴、42 印刷ブランケット/ゴムブランケット、43 版胴、44 印刷プレート、45,46 調整装置、50 印刷装置、60 印刷間隙、DB1 印圧調整、DB2 印圧調整

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画線部を提供する層を、転写フィルム(5)から、塗布装置(1)において、接着剤による画線部に対応したコーティングが設けられた印刷枚葉紙へ、コーティング装置(2)を用いて転写するための印刷機において印刷を行う方法であって、
当該コーティング装置は、共通の間隙(6)を形成する圧胴(4)とプレスローラ(3)とを含み、当該転写間隙(6)を介して前記転写フィルム(5)は、フィルムストックロール(8)から前記プレスローラ(3)に接触しながらガイド可能であり、それによって、前記転写フィルムのコーティングされた側が、前記圧胴(4)上にガイドされた印刷枚葉紙に載置されるとともに、前記コーティングを転写するために圧力をかけられて、前記印刷枚葉紙とともに前記転写間隙(6)を介してガイドされ、
前記印刷枚葉紙は、それぞれカラー印刷を実施するさらなる印刷装置(50)および/またはニスの塗布を実施する少なくとも一つの印刷装置またはニス引き装置を通過するようにガイドされる、方法において、
カラー印刷を伴い、かつ、フィルム転写を伴わない印刷プロセスを実施するために、
a) 前記印刷枚葉紙は、カラー印刷を伴わずに空転経路で、またはカラー印刷を伴って実施される経路で、前記塗布装置(1)を通過するようにガイドされるステップと、
b) 前記印刷枚葉紙はプレスローラ(3)を離間させた状態で、前記コーティング装置を通過するようにガイドされ、前記枚葉紙が前記プレスローラ(3)の周囲を、あるいは前記プレスローラ(3)に接して通過する間、ウェブ状フィルム(5)がガイドされたままであるステップと、
c) 前記コーティング装置(2)においてフィルム転写が行われないステップと、
d) 前記印刷枚葉紙は、少なくとも第一の、またはさらなるカラー印刷にあたって、一つまたは複数の後置された印刷装置(50)を通過するようにガイドされ、当該印刷装置において、圧胴(40)と転写胴(41)との間に形成される印刷間隙(60)は印刷インキを転写するために設けられているステップと、
e) 調整装置(45,46)を制御するための制御装置を用いて、前記コーティング装置(2)における前記フィルム転写のための運転モードを、選択状態または非選択状態にすることができるステップと、
f) 前記フィルム転写のための運転モードを非選択状態にするとともに、ウェブ状フィルムが装着された状態で、前記コーティング装置(2)における前記調整装置(46)を調整し、印刷機を作動させるとき、前記転写間隙(6)が開放されているステップと、
が行われることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記塗布装置(1)内に設けられているとともに、胴(13,4)によって形成されている印刷間隙および/または前記コーティング装置(2)に後置されている一つまたは複数の印刷装置(50)において、胴(40,41)の間に形成されている印刷間隙(60)は、印刷インキを転写するために、圧力をかけられた状態で被印刷材料を支持しながら調整されており、
印刷製造のために印刷機を作動させるとき、前記転写間隙(6)が開放されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記転写間隙(6)において前記ウェブ状フィルム(5)は停止され、あるいは、
前記転写間隙(6)において前記ウェブ状フィルム(5)は、プロセス速度に対してはるかに低減された速度で、連続的に前記転写間隙(6)を通過するように移動され、あるいは、
前記転写間隙(6)において前記ウェブ状フィルム(5)は、汚れに応じて、時間的に、かつ、ステップ長さに関して選択可能あるいは設定されたステップで、前記転写間隙(6)を通過するように移動され、
全ての場合において、印刷製造のために印刷機を作動させるとき、前記転写間隙(6)が開放されていることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティング装置(2)を前記フィルム転写のために使用するとき、前記転写間隙(6)において作用位置における表面同士の距離の調整は、前記印刷間隙(60)における当該距離と等しいか、当該距離よりもほんのわずかだけ大きく調整されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
印刷機において印刷を行う方法であって、
当該印刷機は画線部を提供する層を、転写フィルム(5)から、塗布装置(1)において、接着剤による画線部に対応したコーティングが設けられた印刷枚葉紙へ、コーティング装置(2)を用いて転写するためのものであり、当該コーティング装置は、共通の間隙(6)を形成する圧胴(4)とプレスローラ(3)とを含み、当該転写間隙(6)を介して前記転写フィルム(5)は、フィルムストックロール(8)から前記プレスローラ(3)に接触しながらガイド可能であり、それによって、前記転写フィルムのコーティングされた側が、前記圧胴(4)上にガイドされた印刷枚葉紙に載置されるとともに、前記コーティングを転写するために圧力をかけられて、前記印刷枚葉紙とともに前記転写間隙(6)を介してガイドされ、
前記印刷枚葉紙は、それぞれカラー印刷を実施するさらなる印刷装置(50)および/またはニスの塗布を実施する少なくとも一つの印刷装置またはニス引き装置を通過するようにガイドされる、方法において、
カラー印刷とフィルム転写とを伴うさらなる印刷ジョブに対して、前記印刷機の準備プロセスを実施するために、
a) カラー印刷を伴う、またはカラー印刷を伴わない輪転プロセス、および/またはニス塗布を伴う、またはニス塗布を伴わない輪転プロセスにおいて、前記印刷機の運転が開始されるステップと、
b) 前記印刷機は、前記コーティング装置(2)においてプレスローラ(3)を離間させた状態で運転され、前記輪転プロセスの間、前記ウェブ状フィルム(5)は前記プレスローラ(3)の周囲に、あるいは前記プレスローラ(3)に接してガイドされたままであるステップと、
c) 前記印刷機を制御するための制御装置を用いて、準備プロセスを実施するために、前記コーティング装置(2)における前記フィルム転写のための運転モードを、選択状態または非選択状態にすることができるステップと、
f) 前記印刷機の前記運転モードを準備プロセスとして選択するとともに、ウェブ状フィルム(5)が装着された状態で、前記コーティング装置(2)における前記調整装置(46)を調整し、準備プロセスに対して印刷機を作動させるとき、前記転写間隙(6)が開放されているステップと、
g)準備プロセスとしてインキ装置および/またはブランケットおよび/または印刷プレートおよび/または圧胴のクリーニングのためのプロセス、および/または印刷プレート交換のためのプロセス、および/またはインキ装置の予備充填のためのプロセス、および/または試し刷りのためのプロセス、および/または枚葉紙走行テストのためのプロセスが用意されているステップと、
が行われることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記塗布装置(1)において、および/または前記コーティング装置(2)に後置された一つまたは複数の印刷装置(50)において、胴はインキ装置および/または版胴および/または転写胴から、残留する印刷インキを被印刷材料に転写するために、支持を行いながら調整されており、および/または、
前記コーティング装置(2)に前置および/または後置されている、前記印刷機の一つまたは複数のニス引き装置において、胴は配量装置および/または版胴から、残留するニスまたは残留する印刷インキを被印刷材料に転写するために、支持を行いながら調整されており、
残留する印刷インキおよび/または残留するニスを排出させるために印刷機を作動させるとき、前記転写間隙(6)が開放されていることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記塗布装置(1)において、および/または前記コーティング装置(2)に後置された一つまたは複数の印刷装置(50)において、インキ装置および/または湿し装置および/または版胴および/または転写胴から印刷インキを一掃するための装置が調整され、および/または、
前記コーティング装置(2)に前置および/または後置されている、前記印刷機の一つまたは複数のニス引き装置において、配量装置および/または版胴においてニスまたは印刷インキをクリーニングするための装置が調整され、
クリーニングを行うために印刷製造のための印刷機を作動させるとき、前記転写間隙(6)が開放されていることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記塗布装置(1)において、および/または前記コーティング装置(2)に後置された一つまたは複数の印刷装置(50)において、インキ装置および/または版胴および/または転写胴に印刷インキを準備的に供給するための装置が調整され、
前記印刷機は、前記塗布装置(1)および/または前記一つの、あるいは全ての印刷装置(50)において、インキ装置および/または版胴および/または転写胴を、調整可能なインキ量および/または調整可能な印刷インキのインキプロファイルで充填するために運転され、
前記準備的なインキ供給のために印刷機を作動させるとき、前記転写間隙(6)が開放されていることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記塗布装置(1)において、および/または前記コーティング装置(2)に後置された一つまたは複数の印刷装置(50)において、および/または、前記印刷機に設けられている一つまたは複数のニス引き装置において、前記印刷装置(50)および/またはニス引き装置に印刷枚葉紙を準備的に供給するための装置、あるいは前記印刷装置(50)および/またはニス引き装置において試し刷りを実施するための装置が調整され、
前記印刷機は、前記塗布装置(1)および/または前記一つの、あるいは全ての印刷装置(50)および/または前記一つの、あるいは全てのニス引き装置において、枚葉紙走行を実施するために、あるいは、試し刷りを実施するために運転され、
印刷枚葉紙の準備的な供給を実施するために印刷機を作動させるとき、前記転写間隙(6)が開放されていることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記転写間隙(6)において前記ウェブ状フィルム(5)は停止され、あるいは、 プロセス速度に対してはるかに低減された速度で、連続的に前記転写間隙(6)を通過するように移動され、あるいは、
汚れに応じて、時間的に、かつステップ長さに関して選択可能あるいは設定されたステップで、前記転写間隙(6)を通過するように移動され、 全ての場合において、準備プロセスのために印刷機を作動させるとき、前記転写間隙(6)が開放されていることを特徴とする請求項5から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
印刷機において、画線部を提供する層を、転写フィルム(5)から、塗布装置(1)の印刷間隙(60)において、接着剤による画線部に対応したコーティングが設けられた印刷枚葉紙へ、コーティング装置(2)を用いて転写するための請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置であって、
前記コーティング装置は、圧胴(4)とプレスローラ(3)とを含み、当該圧胴とプレスローラとは共通の転写間隙(6)を形成し、当該転写間隙を介して前記転写フィルム(5)は、フィルムストックロール(8)から前記プレスローラ(3)に接触しながらガイド可能であり、それによって、前記転写フィルムのコーティングされた側が、前記圧胴(4)上にガイドされた印刷枚葉紙に載置されるとともに、前記コーティングを転写するために圧力をかけられて、前記印刷枚葉紙とともに前記転写間隙(6)を介してガイドされ、前記印刷機は前記塗布装置(1)と前記コーティング装置(2)のほかに、少なくとも一つのさらなる印刷装置を有している装置において、
前記コーティング装置(2)に対して、圧胴(40)と転写胴(41)との間に形成される印刷間隙(60)を有する、少なくとも一つの印刷装置(50)が後置されており、当該印刷装置は印刷インキを転写するために設けられており、前記プレスローラ(3)には硬質弾性的であるとともに粘着性が小さい張設材(10)が設けられており、
調整装置(45,46)は前記転写間隙(6)および前記印刷間隙(60)を形成する胴(3,4;41,40)に関連して設けられており、それによって二つの作用間隙において前記胴(3,4;41,40)の表面同士の距離を調整し、
前記印刷機において印刷ジョブまたは準備ジョブを選択するための制御装置が設けられており、それによって、前記コーティング装置(2)において、前記プレスローラ(3)は前記転写間隙(6)を開放するために前記圧胴(4)から離され、前記塗布装置(1)および/または少なくとも前記後続の印刷装置(50)において、前記印刷間隙(60)は閉鎖され、
前記塗布装置(1)および/または少なくとも前記後続の印刷装置(50)において、準備ジョブを実施するための調整が行われることを特徴とする装置。
【請求項12】
前記張設材(10)はガラスビーズ入りの布のようなものとして実施されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記転写フィルム(5)に下方から送風を行うための送風装置が、前記プレスローラ(3)に接する前記転写フィルムのガイドにおいて設けられており、それによって前記プレスローラ(3)における前記転写フィルム(5)の摩擦が低減されることを特徴とする請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
前記調整装置(45,46)のための制御装置が設けられており、当該制御装置によって、前記コーティング装置(2)における前記フィルム転写のための運転モードを選択状態および非選択状態にすることができ、前記制御装置は、前記フィルム転写のための運転モードが非選択状態であり、かつ、前記印刷機の印刷ジョブまたは準備ジョブが選択状態であるとき、前記コーティング装置(2)における前記調整装置(46)の調整によって、前記プレスローラ(3)がウェブ状転写フィルム(5)をガイドしながら、前記転写間隙(6)を開放するために前記圧胴(4)から離され、前記塗布装置(1)および/または少なくとも前記後続の印刷装置(50)において、印刷インキを被印刷材料に転写するための調整が実施可能であるように、形成されていることを特徴とする請求項11から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記調整装置(45,46)のための制御装置が設けられており、当該制御装置によって、前記コーティング装置(2)における前記フィルム転写のための運転モードを選択状態および非選択状態にすることができ、
前記制御装置は、前記フィルム転写のための運転モードが非選択状態であり、かつ、前記印刷機の印刷ジョブまたは準備ジョブが選択状態であるとき、前記コーティング装置(2)における前記調整装置(46)の調整によって、前記プレスローラ(3)がウェブ状転写フィルム(5)をガイドしながら、前記転写間隙(6)を開放するために前記圧胴(4)から離され、
前記塗布装置(1)および/または少なくとも前記後続の印刷装置(50)において、準備ジョブを実施するための調整が実施可能であるように、形成されていることを特徴とする請求項11から14のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【公表番号】特表2011−521807(P2011−521807A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510924(P2011−510924)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054927
【国際公開番号】WO2009/144103
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(599011584)マンローラント・アーゲー (257)
【Fターム(参考)】