説明

厚さ測定装置及び筒状シート成形装置

【課題】 シート状部材の厚さ測定精度を向上させると共に,放射線源を含む測定構成機器の耐圧防爆構造を実現すること,及び,成形されたシート状部材の形状にかかわらずシート成形直後におけるシート厚さの測定を可能とし,ダイの間隙の早期調整を実現すること。
【解決手段】 X線源1(放射線源)と,X線検出器2(放射線検出器)と,X線が照射された際に固有のエネルギーを持つ特性X線を発生するTi板6(特性X線発生物質)とが適宜配置されてなり,上記X線源1から出射されたX線が上記Ti板6に照射され,該照射により上記Ti板6で発生しシートS(被測定部材)を透過して上記X線検出器2に入射した特性X線の強度の減衰量に基づいて上記シートSの厚さを演算,算出するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
被測定部材を透過する放射線の強度の減衰量を検出することにより上記被測定部材の厚さを測定する技術に関し,特に,放射線源から出射された放射線が照射された際に所定の物質から二次的に発生する特性X線の強度の減衰量に基づいて上記被測定部材の厚さを測定する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス,セラミックシート(セラミックグリーンシート),電極板,研磨シート,磁気テープ,セラミック繊維等からなる建材用の無機質ボード,多孔金属シート,プラスチックフィルム,樹脂シート,シール材等のシート状部材(いずれも被測定部材に相当)の厚さを測定する装置として,上記シート状部材を透過する放射線の強度の減衰量を検出することにより上記シート状部材の厚さを測定する透過型測定装置Z(図9参照)と,上記シート状部材に照射されその後該シート状部材の表面で反射された放射線の強度に基づいて上記シート状部材の厚さを測定する反射型測定装置(不図示)とが知られている。これらの測定装置を比較すると,一般に,前者の透過型測定装置Zの方が後者の反射型測定装置より厚さ測定精度及び測定値の安定度という点において優れているため,従来,前者の透過型測定装置Zが広く普及している。なお,上記強度とは,単位時間当たりに計数される(又は通過する)放射線の光量子の数或いはその計数率を意味する。
上記透過型測定装置Zは,図9に示すように,上記シート状部材Sを挟んで一方側に放射線(主としてX線,γ線,電子線,若しくはイオンビーム)を発生させる放射線源1が配置され,他方側に該放射線源1から出射された放射線の強度を検出する放射線検出器2が配置されて構成されている。ここに,図9(a)は上記透過型測定装置Zを上方から見た平面図,(b)は(a)のA−Aの模式断面図である。なお,図中の符号5は上記放射線源1や上記放射線検出器2等の測定構成機器を支持する支持フレームである。このように構成された従来の上記透過型測定装置Zでは,上記シート状部材Sを挟んで双方側に上記放射線源1や上記放射線検出器2等の測定構成機器を配置するためのスペースを確保する必要がある。また,上記各測定構成機器それぞれへ電力を供給する電源線や制御信号線等の配線を上記シート状部材Sを避けて接続する必要もある。そのため,従来,シート状部材の製造あるいは成形プロセスにおいて,上記シート状部材を挟んで一方側だけにしか上記放射線源1又は上記放射線検出器2等の測定構成機器の配置スペースを確保することができないような場合には,上記透過型測定装置Zを用いることができず,否応なく,測定精度及び測定安定度の劣る前記した反射型測定装置が用られている。
【0003】
ところで,上記シート状部材を挟んで一方側だけにしか配置スペースを確保することができない成形プロセスの具体例として,インフレーション成形装置を用いた成形プロセスが挙げられる。このインフレーション成形装置により成形されるシートは筒形状をしているため,その内部に上記放射線源又は上記放射線検出器を配置することは困難である。また,仮に上記放射線源又は上記放射線検出器のいずれかを配置させたとしても,配置された測定構成機器に必要な配線を接続することは容易ではない。更に,上記筒状シートの内部,特にダイ(口金)近傍は高温状態であるため,上記測定構成機器を配置するのに好ましい環境とはいえない。
一方,インフレーション成形装置に透過型測定装置を適用した例が特許文献1に開示されている。この特許文献1に記載のインフレーション形成装置では,筒状シートが冷却され,その後ピンチロールにより折り畳まれた状態におけるシートの厚さを測定するよう構成されている。
他方,特許文献2には,筒状シートの内部に上記放射線源又は上記放射線検出器等の測定構成機器を配設することなく筒状シートの厚さを測定する厚さ測定装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−1379号公報
【特許文献2】特開平11−14335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,従来の透過型測定装置では,電源電圧が変動した場合には,放射線源から出射される放射線のエネルギーが不安定となり,その結果,測定されるシート厚さに誤差が生じるおそれがあり得る。そのため,精度の高い厚さ測定をすることができないという問題がある。もちろん,かかる問題は,定電圧装置等の新たな装置や設備を設けることで解消することができるが,装置の複雑化,装置規模の拡大化を招くことになる。
また,上記特許文献1のインフレーション成形装置では,折り畳まれた状態のシートの厚さを測定するものであるため,二重に折り畳まれた二重シートのうち一枚のシート厚さに異常があっても,二枚で正常厚さと判定されれば,成形された筒状シートに実質的な不良が生じていても誤って正常と判定されるという問題がある。そのため,従来は,高い厚み精度が要求される分野では上記インフレーション成形装置を用いることができず,専ら,包装用フィルムや家庭用或いは農業用フィルムといった厚み精度の要求が厳しくない分野におけるフィルム製造に限られていた。更に,冷却され,その後に折り畳まれた後にシート厚さが測定されるため,シート状部材が成形されてからその良否の判定結果を得るまでに相当の待ち時間を要するという問題もある。また,測定されたシート厚さに基づきシート状部材が不良と判定された場合は,上記待ち時間中に成形されたシート状部材までもが不良とみなされて廃棄されるため,シート状部材の原料を無駄に消費するという問題がある。もちろん,この場合は,インフレーション成形装置のダイの調整が必要となるが,この調整作業の着手に遅れが生じることとなり,シート状部材の製造効率の悪化を招いていた。
【0005】
一方,上記特許文献2の厚さ測定装置によれば,ダイから押し出された直後のシート状部材の厚さを測定することができるが,これにより測定されるシート厚さは結局のところ折り畳まれた状態のシート厚さに相当するため,筒状シートの良否を正確に判定することができないという問題がある。また,放射線源と放射線検出器との離間距離が長い上,広角度の放射線源においては広範囲の出射口の全ての位置において安定的なエネルギーや強度を有する放射線を供給することは困難であるため,上記特許文献2の厚さ測定装置の測定精度は低いと言わざるを得ない。
また,放射線源の出射口の窓部材には,主としてBe(ベリリウム)が用いられるが,放射線の透過性を向上させるため上記窓部材の厚さは約0.2mm程度の薄膜状に形成されている。そのため,爆発性ガスや可燃性ガス等が充満する悪質環境において上記放射線源を用いる場合には,上記放射線源を防爆構造とする必要があるが,上述したように薄膜状の窓部材を用いているため,上記放射線源を内圧防爆構造とするしか手法はなく,該内圧防爆構造以外の防爆構造とすることが困難であった。なお,上記内圧防爆構造とは,容器(筐体)の内部に保護気体(清浄空気又は不活性ガス)を圧入して内圧を保持することにより,爆発性ガス等の内部への進入を防止する構造のことをいう。このような内圧防爆構造は,常時保護気体を供給する装置や保護気体の供給が停止した際のインターロック機構等が必要であるため,他の防爆構造(例えば耐圧防爆構造)と比較して構造の複雑化,配線数の増加を招くという問題がある。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その第1の目的とするところは,シート状部材の厚さ測定精度を向上させると共に,放射線源を含む測定構成機器の耐圧防爆構造を実現すること,第2の目的とするところは,成形されたシート状部材の形状にかかわらずシート成形直後におけるシート厚さの測定を可能とし,ダイの間隙の早期調整を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の厚さ測定装置は,X線,γ線等の放射線を発生させる放射線源と,入射された放射線の強度を検出する放射線検出器と,放射線が照射された際に固有のエネルギーを持つ特性X線を発生する特性X線発生物質とが適宜配置されてなり,上記放射線源から出射された放射線が上記特性X線発生物質に照射され,該照射により上記特性X線発生物質で発生し上記被測定部材を透過して上記放射線検出器に入射した特性X線の強度の減衰量に基づいて上記被測定部材の厚さを演算,算出するように構成されている。
上記特性X線は,放射線が照射された際に,原子を構成する軌道電子が励起され,その軌道に外殻電子が補われる際に放出するエネルギーによるものである。そのため,上記軌道電子を励起させる程度の放射線を照射さえすれば上記特性X線発生物質からは常に上記特性X線発生物質固有のエネルギーを有する特性X線が発生することになる。したがって,上述のように本発明が構成されることにより,照射される放射線が軌道電子を励起させ得るエネルギー以上であれば,仮にそのエネルギーが一定でなく,不安定なものであっても,該放射線を上記特性X線発生物質に照射させることで,安定した固有のエネルギーを持つ上記特性X線が発生するため,エネルギー安定度の高い放射線源を用いることなく測定精度の高い厚さ測定装置を実現することが可能となる。
また,上記放射線源としては,少なくとも上記特性X線が発生し得るエネルギー以上であれば比較的高いエネルギーの放射線を出射するものを用いることができるため,放射線源の出射口の窓部材による減衰量を考慮せずに上記窓部材の厚さを設定することができる。したがって,上記窓部材を厚くし強固にすることができ,その結果,放射線源を内圧防爆構造以外の例えば耐圧防爆構造等の防爆構造とすることが可能となる。
なお,上記被測定部材としては種々のものを適用することができるが,特にシート状部材に対して好適にシート厚さを測定することができる。
【0007】
ここで,上記被測定部材を挟んで一方側に少なくとも上記放射線源と上記放射線検出器と含む測定構成機器が配置され,他方側に上記特性X線発生物質が配置されてなることが望ましい。例えば,一方側に上記測定構成機器が配置され,他方側には上記特性X線発生物質のみが配置された構成が考えられる。これにより,上記放射線源や放射線検出器等の測定構成機器を一方側にしか配置することができないようなフィルム等の成形プロセスであっても,反射型よりも測定精度の高い透過型の測定装置を適用することが可能となる。
ここで,上記成形プロセスとしては,例えば,インフレーション成形プロセス等が挙げられる。この場合,本発明の厚さ測定装置は,インフレーション成形装置により成形された筒状シート(被測定部材の一例)の外側に上記測定構成機器が配置され,上記筒状シートの内側に上記特性X線発生物質が配置された構成となる。これにより,インフレーション成形装置等により成形された筒状シートのシート厚さを高精度に測定することが可能となる。
【0008】
また,上記被測定部材の幅方向に沿って上記放射線源及び上記放射線検出器若しくは上記測定構成機器を移動させる移動機構(機器移動手段)が設けられておれば,例えばシート状部材の幅方向全域に渡る走査が可能となる。特に上記移動機構は,上記シート状部材が上記インフレーション成形装置等により成形された筒状シートである場合には,上記筒状シートの外周面に沿って上記測定構成機器等をその円周方向へ移動させるものであることが望ましい。このように構成されることにより,上記筒状シートの円周方向全域にわたる厚さ測定が可能となる。
この場合,上記移動機構による移動経路上に上記測定構成機器を校正するための校正部材が設けられていてもよい。これにより,成形プロセスを停止させることなく上記放射線検出器の自動校正が可能となる。
また,上記放射線検出器と上記被測定部材との間に,上記特性X線発生物質で発生した上記特性X線のみを上記放射線検出器に導く単色化手段を設けることにより,上記特性X線発生物質で発生した上記特性X線以外の放射線を除去することが可能となる。これにより,他の放射線の影響を低減して高精度の厚さ測定が実現され得る。
【0009】
ここで,本発明は,上記厚さ測定装置の機能を具備する筒状シート成形装置の発明として捉えることも可能である。即ち,環状ダイ(環状口金)から加熱溶融した溶融材を押し出すことにより筒状シートを成形する筒状シート成形装置であって,上記筒状シートの外側に放射線を発生させる放射線源と入射された放射線の強度を検出する放射線検出器とを少なくとも含む測定構成機器が配置され,上記筒状シートの内側に放射線が照射された際に固有のエネルギーを持つ特性X線を発生する特性X線発生物質が配置されてなり,上記放射線源から出射された放射線が上記筒状シートを透過して上記特性X線発生物質に照射され,該照射により上記特性X線発生物質で発生し上記筒状シートを透過して上記放射線検出器に入射した特性X線の強度の減衰量に基づいて上記筒状シートの厚さを演算するよう構成されたものとして捉えることもできる。このとき,上記測定構成機器及び上記特性X線発生物質が,上記口金近傍に配置されていることが望ましい。このような筒状シート成形装置であっても,上記透過型厚さ測定装置と同様の効果が奏され,且つ,環状ダイから押し出されて成形された直後の筒状シートの厚さ測定も可能となる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように,本発明の上記厚さ測定装置及び同筒状シート成形装置によれば,放射線源から不安定なエネルギーの放射線が放射され,上記特性X線発生物質に照射されたとしても,特性X線発生物質から安定した固有エネルギーを持つ特性X線が発生するため,高い厚さ測定精度を得ることが可能となる。また,放射線源の出射口の窓部材による減衰量を考慮せずに上記窓部材の厚さを設定することができるため,上記窓部材を厚くし強固にすることができ,その結果,放射線源を内圧防爆構造以外の例えば耐圧防爆構造等の防爆構造とすることが可能となる。
また,一方側にしか上記放射線源や放射線検出器等の測定構成機器を配置できないインフレーション成形プロセス等の成形プロセスであっても,反射型より測定精度の高い透過型の厚さ測定装置を用いることが可能となる。また,インフレーション成形プロセス等に用いられる環状ダイから押し出されて成形された直後のシート状部材の厚さ測定も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る厚さ測定器Xの構成の概略を示す構成図,図2は上記厚さ測定器Xのシステム構成の概要を説明するブロック図,図3は特性X線発生物質から放射された放射線のエネルギースペクトルを示す図,図4は上記厚さ測定器Xの変形例の構成の概略を示す構成図,図5は特性X線以外の放射線を除去する手法を説明する模式図,図6はフィルター3による特性X線以外の放射線の除去効果を説明する図,図7は本発明の実施例に係る筒状シート成形装置の一例であるインフレーション成形装置Yの主要構成の概略を示す部分構成図,図8は上記インフレーション成形装置Yの変形例の主要構成の概略を示す部分構成図,図9は従来の透過型測定装置Zの構成の概略を示す構成図,図10は本発明の実施例に係る厚さ測定器X1の構成の概略を示す構成図である。
まず,図1を用いて上記厚さ測定器Xの概略構成について説明する。ここに,図1(a)は上記厚さ測定器Xを上方から見た平面図,(b)は(a)のA−Aの模式断面図,(c)は(a)のB−B模式断面図である。
図1に示すように,上記厚さ測定器Xは,プラスチックフィルムからなるシート状部材S(被測定部材の一例,以下,シートSと略す)を透過するX線(放射線の一例)の強度の減衰量を検出することにより上記シートSの厚さを測定する透過型の厚さ測定装置であって,X線源1(放射線源の一例)と,X線検出器2(放射線検出器の一例)と,上記X線源1が具備するに電力を供給するX線管用電源供給回路27(図2参照)と,上記X線検出器2に電力を供給する検出器用電源供給回路25(図2参照)と,上記X線源1及びX線検出器2を上記シートSの幅方向へ移動可能に支持すると共に上記シートSの幅方向へ上記X線源1及びX線検出器2等の測定構成機器を移動させるサーボモータ等を有する駆動部5a(図2参照)を備えた支持フレーム5(機器移動手段の一例)と,Ti(チタン)板6(特性X線発生物質の一例),上記X線源1及びX線検出器2それぞれと配線接続された測定制御装置20とを備えて概略構成されている。
【0012】
上記X線源1は,X線管用電源供給回路27(図2参照)から該X線源1が備えるX線管1a(図2参照)へ供給された電力を受けることにより,予め設定されたエネルギーのX線を生成して出射するものであり,上記シートSを挟んで一方側(本実施例形態では上方側)に配置されている。このX線源1は特に限定されるものではなく,上記Ti板6へX線を照射して上記Ti板6において特性X線を発生させるのに十分なエネルギーと強度とを有するX線を生成するものであればよい。本実施形態では,上記X線源1を放射線源の一例として説明するが,γ線や電子線,イオンビーム等の他の放射線を生成するものであっても別段かまわない。
また,上記X線検出器2は,検出器用電源供給回路25(図2参照)から供給された電力を受けることにより作動して,該X線検出器2に入射されたX線の強度を検出するものであり,例えば,電離箱,GM計数管,シンチーション検出器,半導体検出器などX線を用いた一般的な測定装置に用いられる周知の検出器である。このX線検出器2は,上記シートSを挟んで一方側(本実施例形態では上方側)にシートSの幅方向に上記X線源1と並列配置されている。即ち,上記X線源1と同じ側に配置されている。なお,上記X線検出器2の配置位置は上記特性X線を検出し得る位置であれば特に限定されることはなく,例えば,図4に示すように,上記X線源1と同じ側であって,シートSの幅方向に直交する方向(即ちシートSの搬送方向)に並列配置されていてもかまわない。ここに,図4(a)は上記厚さ測定器Xを上方から見た平面図,(b)は(a)のA−Aの模式断面図である。なお,図4(a)において,上記測定制御装置20の図示は省略している。
【0013】
上記Ti板6は,上記X線源1から出射されたX線が照射された際に上記Ti板6のTi元素固有の波長,換言すれば固有のエネルギー(Ti元素の特性X線のエネルギーは約4.5KeV)を持つ特性X線を発生する物質であり,上記シートSの幅方向に沿って長い板状に形成されている。
ここで,図3に,シートSがない状態で25KeVのX線を照射させたときに上記Ti板6から発生する放射線のエネルギースペクトルを示す。縦軸は放射線の強度,横軸は放射線のエネルギーを示す。なお,(a)は縦軸を比例尺で表現したものであり,(b)は(a)の縦軸をlog尺で表現したものである。また,図中の符号Pは特性X線のスペクトルを示し,符号Qは連続X線のスペクトルを示す。図3からも理解できるように,特性X線のスペクトルPは他の放射線のスペクトルと明確に区別し得る程度に約4.5KeVの位置に現れることがわかる。
上記Ti板6は,上記X線源1及び上記X線検出器2とは上記シートSを挟んで反対側(他方側),即ち,シートSの下方側に配置されている。また,上記Ti板6は,上記X線源1から出射されたX線を受けることができ,且つ,発生した特性X線が上記X線検出器2により検出され得るように,上記X線源1及び上記X線検出器2に略対向して配置されている。本実施形態では,特性X線発生物質としてTi板6を使用するが,これは,上記Ti板6がプラスチックフィルムからなる上記シートSの測定に最適な約4.5KeVの特性X線を発生するからである。したがって,被測定部材の材質や種類等に応じて最適なエネルギーの特性X線を発生させる元素からなる物質を上記特性X線発生物質に選定すればよい。なお,一般に,特性X線を顕著に発生する元素番号11(Na)以上の元素を含む化合物からなる物質或いは該元素単体からなる物質の中から最適な特性X線発生物質が選定される。
上記X線源1及び上記X線検出器2は後述するようにシートSの幅方向を走査しながら移動する。そのため,移動の際に,X線源1とTi板6との離間距離,及びX線検出器2とTi板6と離間距離が変化しないようにX線源1,X線検出器及びTi板6が配置されている。なお,上記シートSは,上記Ti板6と上記X線源1及び上記X線検出器2との間にあるが,測定中シートSと上記Ti板6の離間距離,シートSと上記X線源1及び上記X線検出器2の離間距離に多少の変化があっても,その変化は厚さ測定値に影響を与えることはなく,与えたとしても微差である。即ち,パスライン誤差は無視できる程度のものである。
上記測定制御装置20は,図2のブロック図に示すように,X線源1が備えるX線管1aへ電力を供給するための電源供給回路27と,X線検出器2へ電力を供給するための電源供給回路25と,上記X線検出器2からの検出信号(例えば,0〜10〔V〕のアナログ信号)をデジタル信号に変換するAD変換回路26と,上記駆動部5aを駆動制御する駆動制御回路23と,EEPROM等の半導体メモリ22(以下「メモリ」と称す)と,液晶パネル等の表示器24と,これらの各部を統括的に制御するCPU21とを備えて構成されている。上記X線源1,上記X線検出器2及び上記駆動部5aは上述したように全て上記シートSの上方側に配置されているため(図1参照),上記測定制御装置20と上記X線源1,上記X線検出器2及び上記駆動部5aとの配線は従来のようにシートSを避けて引き回す必要が無いため簡素化される。
上記メモリ22には,上記シートSにより減衰される前の上記Ti板6の特性X線の強度に関するデータや,強度の減衰量(又は減衰率)とシートSの厚さとの相関関係を示すテーブルデータ等が記憶されている。これらのデータは後述するシートSの厚さ測定に供される。
【0014】
次に,上述のように構成された厚さ測定器Xにおける測定動作について説明する。
上記シートSの厚さ測定の開始指示がなされると,上記CPU21によって上記駆動制御装置23に上記駆動部5aに対する駆動指令が出力され,上記駆動部5aが駆動される。これにより,上記X線源1及び上記X線検出器2がシートSの幅方向へ移動される。このとき,上記X線源1からは約25KeVの高エネルギーのX線が上記シートSに向けて出射され,この出射されたX線が上記シートSを透過して上記Ti板6に照射される。
出射されたX線は,まず,上記X線源1の出射口の窓部材(不図示)においてその強度が減衰され,その後,上記シートSを透過することにより更に減衰される。従来の透過型測定装置Z(図9)では,上記シートS(プラスチックフィルム)の厚さを測定する場合には約4.5KeVという低エネルギーのX線を用いるしかないため,上記窓部材における減衰量は厚さ測定に大きな影響を与えていた。そのため,従来は,減衰量の極めて少ない薄膜Be板(厚さ0.2mm)が窓部材に用いられていたが,本厚さ測定器Xでは,約25KeVという高エネルギーのX線を使用するため,上記窓部材においてシートSの厚さ測定に影響を及ぼすほどの減衰は生じない。したがって,上記厚さ測定器Xでは,従来とは異なり,上記窓部材に厚さ数mm程度のBe板といった比較的厚い部材を用いることが可能となる。もちろん,X線のエネルギーをより高く設定すれば,上記窓部材を更に厚くすることが可能である。なお,上記厚さ測定器Xでは,上記X線源1から出射されたX線は,一度,上記シートSを透過するため,これにより放射線の強度はある程度減衰するが,上述と同様の理由により厚さ測定に影響するものではない。
【0015】
X線がTi板6に照射されると,このTi板6では,Ti原子の所定の軌道電子が照射されたX線により励起される。即ち,Ti原子核の周囲を回る電子が放射線のエネルギーをもらってエネルギー準位の高い外側の軌道に移る。このとき,Ti原子では,自身の安定化のために電子が欠けた軌道に外殻軌道から外殻電子が補われるが,その際にTi元素固有のエネルギーを有する特性X線が放出される。本発明はこの特性X線を用いてシートSの厚さ測定を行うものである。上記特性X線は,Ti板6に照射されるX線がある一定以上のエネルギーを有してさえいれば発生する放射線であり,また,そのエネルギー以上であれば照射されるX線のエネルギー分布に左右されずに一定エネルギー(約4.5KeV)を有する放射線である。本発明の厚さ測定器Xでは,この特性X線の強度がシートSにより減衰される減衰量に基づいてシートSの厚さが測定される点で,従来の透過型測定装置Z(図9)とは異なる。
【0016】
上記Ti板6で発生した特性X線のうち,上記X線検出器2の方向に向かって放射された特性X線は,シートSを透過した後に上記X線検出器2によって捕捉され,そして,この捕捉された特性X線の強度が検出される。このように検出された特性X線の強度(以下「検出強度」と称す)と,シートSがない状態で予め検出され上記メモリ22等に記憶された特性X線の強度(以下「基準強度」と称す)との比,即ち特性X線の強度の減衰量が上記CPU21による演算(割算)により算出される。
続いて,上記メモリ22に予め記憶された「減衰量とシートSとの相関関係を示すテーブルデータ」が参照され,上記算出された減衰量に対応するシート厚さが上記テーブルデータから抽出される。即ち,算出された強度の減衰量に基づいてシートSの厚さが演算される。
このように本発明の厚さ測定器Xによれば,上記特性X線の強度の減衰量に基づいてシートSの厚さが求められるため,高い厚さ測定精度が達成される。また,上記測定制御装置20と接続される上記X線源1及びX線検出器2等の測定構成機器が一方側に集約されて配置されているため,配線の引き回しが簡素化される。更にまた,上述したようにX線源1の出射口の窓部材に比較的厚い素材を用いることができるため,上記X線源1の筐体が強固となり,上記X線源1を内圧防爆構造以外の例えば耐圧防爆構造等の防爆構造とすることが可能となる。
【0017】
続いて,上記X線検出器2において上記特性X線以外の放射線を除去して上記特性X線のみを検出する手法について図5(a)及び(b)を用いて説明する。ここに,図5(a)は単色化手段としてフィルタ3を用いた構成を示し,(b)はモノクロメータ4を用いて構成を示す。
上記X線源1からのX線が上記Ti板6に照射されると,上述した原理により上記特性X線が放射されるが,このときに同時に,上記Ti板6からは,図3に示される連続X線Qも放射される。このような放射線はシートSの厚さ測定には不要なものであり,測定精度を高めるためにも上記放射線を除去して,特性X線のみを検出することが望まれる。このような放射線を除去する手法として,上記X線検出器2と上記シートSとの間に,上記Ti板6で発生した特性X線のみを上記X線検出器2に導く単色化手段を設ける手法がある。上記単色化手段の一例として,例えば,図5(a)に示すように,上記X線検出器2の検出面に取り付けられた上記特性X線のみを通すフィルタ3が挙げられる。このフィルタ3は,特性X線発生物質と同元素からなる薄膜からなるものであり,本厚さ測定器Xにおいては,約20μmのTi箔が用いられる。このようなフィルタ3を用いることにより,図6に示すように,特性X線の強度は上記フィルタ3によって40%程度減衰されるが,4.5KeVを超える連続X線の強度は多いところで1/100以下に減衰され,少なくても1/10程度に減衰される。これにより,特性X線のスペクトルと連続X線のスペクトルとの強度差(強度比)が顕著となり,結果的に,測定精度が向上されることになる。なお,このようなフィルタ3は,上記X線検出器2に例えば直流型シンチレーション検出器等の直流型検出器を用いる場合に効果が発揮される。
ここで,上記フィルタ3を用いずとも,例えば,波高分析機能をもつ半導体型検出器,比例計数管型検出器或いは減衰定数の短いシンチレーション検出器などのパルス型検出器を使用することで特定の特性X線のエネルギーにだけ感度を持たせることも可能である。これらはいずれもX線の強度が弱い場合には特に有効である。
【0018】
また,上記単色化手段の他の例として,例えば,上記X線検出器2に上記直流型検出器を用いるとともに,図5(b)に示すように,上記X線検出器2の入射側に配設されたX線モノクロメータ4が該当する。このX線モノクロメータ4としては,公知のソーラースリット4aと単結晶4bとが組み合わされたものや,多層膜或いは全反射ミラー等を利用したもの等がある。もちろん,上記X線モノクロメータ4と共に上記フィルタ3を併用してもかまわない。なお,特性X線発生物質としてTi板6を用いた場合は,特性X線には,Kα(電子がL殻からK殻に移動したときに発生する放射線)とKβ(電子がM殻からK殻に移動したときに発生する放射線)とが存在することになるが,これらはほぼ等しいエネルギー(Kα:約4.5keV,Kβ:4.9keV)を有するため,必ずしも分別する必要はない。そのため,上記X線モノクロメータ4としては高精度の高価なものを必要とせず,比較的安価なもので対応することができる。このような点において,特性X線発生物質としてTi板6を使用するメリットがある。
【実施例1】
【0019】
上述の実施の形態では,図1に示すように,上記X線源1と上記X線検出器2とが,シートSを挟んで同じ側に配置された構成の厚さ測定器Xについて説明したが,例えば,図10に示すように構成された厚さ測定器X1であってもかまわない。
上記厚さ測定器X1は,図10に示すように,上記X線源1及び上記X線検出器2の位置関係については,基本的に前記した従来の透過型測定装置Z(図9)と変わるところはないが,上記X線源1と同じ側(図10の上方側)にTi板6が配置されており,上記X線源1から出射されたX線が上記Ti板6に照射され,該照射により上記Ti板6で発生した特性X線がシートSを透過して上記X線検出器2に入射するように構成されている点において従来の透過型測定装置Zとは異なる。
このように構成された厚さ測定器X1であっても,上記厚さ側定器Xと同様に,測定精度の向上が達成される。また,放射線源の出射口の窓部材を強固にして,上記X線源1を内圧防爆構造以外の例えば耐圧防爆構造等の防爆構造とすることが可能となる。
【実施例2】
【0020】
次に,図7を用いて,本発明の実施例に係る筒状シート成形装置の一例であるインフレーション成形装置Yの主要構成の概略について説明する。ここに,図7(a)は上記インフレーション成形装置Yを上方から見た平面図,(b)は(a)のA−Aの模式断面図である。なお,インフレーション成形装置Yが備える構成要素のうち,上記実施の形態に係る厚さ測定器Xの構成要素と同じ構成要素については図中に同一符号を示してその詳細な説明を省略する。
図7に示すように,上記インフレーション成形装置Yは,環状ダイ31から加熱溶融した溶融材32を押し出すことにより筒状のインフレーションフィルムS1(筒状シートに相当,以下,シートS1と称す)を成形するよう構成された周知の成形装置に,前記X線源1と前記X線検出器2と,これらを支持すると共に上記シートS1の円周方向へ移動させる環状フレーム35(機器移動手段の一例)と,環状のTi板36(特性X線発生物質の一例)とを備えて構成されている。
上記X線源1と上記X線検出器2とはそれぞれユニット化されており,これらが上記シートS1の外周面に沿って環状に配設された上記環状フレーム35に上記シートS1の円周方向へ移動可能に支持されている。即ち,上記X線源1と上記X線検出器2とは上記シートS1を挟んで外側に配置されている。なお,上記環状フレーム35は,その形状が環状に構成されている点で前記支持フレーム5と異なるが,特にそれ以外に相違点はない。
上記シートS1の内側には,上記環状のTi板36が上記X線源1と上記X線検出器2による走査が可能な位置に配置されている。なお,上記環状のTi板36は,その形状が上記シートS1の内面に沿って環状に構成されている点で前記Ti板6と異なるが,特にそれ以外に相違点はない。
従来のインフレーション成形装置では,筒状のフィルムの円周面の厚さをX線透過方式で測定することは困難であったが,上記インフレーション成形装置Yでは,配線が必要な測定構成機器(X線源1,X線検出器2等)がシートS1の外側に配置され,内側には配線の不要な上記環状のTi板36だけが配置されているため,X線透過方式による厚さ測定が可能となる。なお,具体的な測定手法については上述の実施の形態と異なるところはないため,ここでの説明は省略する。
このように上記インフレーション成形装置Yが構成されることにより,一方側(シートS1の外側)にしか上記X線源1や上記X線検出器2等の測定構成機器を配置できないインフレーション成形プロセスにおいても,反射型よりも測定精度の高い透過型の測定手法によりシートS1の厚さ測定が可能となる。
また,上記X線源1,上記X線検出器2及び上記環状Ti板36を,上記ダイ31の近傍に配置することにより,成形直後のシートS1の厚さ測定も可能となる。その結果,例えばシートS1の厚さ不良が生じた場合でもその厚さ不良を迅速に判定することが可能となり,上記ダイ31の間隙の調整処理を迅速に行うことができる。
【0021】
また,図8に示すように,上記環状フレーム35により移動される上記X線源1や上記X線検出器2等の測定構成機器の移動経路上に,上記X線検出器2を校正するための校正部材を設けることで,これらの測定構成機器が筒状のシートS1を少なくとも一周毎に上記X線検出器2を校正することが可能となる。なお,上記校正部材の具体例としては,例えば図8に示すように,上記X線検出器2の入射口とシートS1との間に設けられた上記環状のTi板36と同材質の小片のTi板37と,該Ti板37と上記X線検出器2の入射口との間に設けられた上記シートS1と同材質であって正常厚さのシート片38(サンプルシート)とからなるものが考えられる。これにより,上記構成部材の設置箇所を上記測定構成機器が通る度に上記シート片38からの特性X線の強度を測定し,その測定値でシートS1からの特性X線の強度を除することで,測定値のドリフトを回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は,半導体デバイス,セラミックシート(セラミックグリーンシート),電極板,研磨シート,磁気テープ,セラミック繊維等からなる建材用の無機質ボード,多孔金属シート,プラスチックフィルム,樹脂シート,シール材等のシート状部材の厚さを測定する装置に適用することが可能である。また,上記各シート状部材を成形する成形装置或いは成形プロセス(工程)において上記シート状部材の厚さ測定にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る厚さ測定器Xの構成の概略を示す構成図。
【図2】本発明の実施の形態に係る厚さ測定器Xのシステム構成の概要を説明するブロック図。
【図3】特性X線発生物質から発生した放射線のエネルギースペクトルを示す図。
【図4】本発明の実施の形態に係る厚さ測定器Xの変形例の構成の概略を示す構成図。
【図5】特性X線以外の放射線を除去する手法を説明する模式図。
【図6】フィルター3による特性X線以外の放射線の除去効果を説明する図。
【図7】本発明の実施例に係るインフレーション成形装置Yの主要構成の概略を示す部分構成図。
【図8】本発明の実施例に係るインフレーション成形装置Yの変形例の主要構成の概略を示す部分構成図。
【図9】従来の透過型測定装置Zの構成の概略を示す構成図。
【図10】本発明の実施例に係る厚さ測定器X1の構成の概略を示す構成図。
【符号の説明】
【0024】
X…厚さ測定器(厚さ測定装置の一例)
Y…インフレーション成形装置(筒状シート成形装置の一例)
Z…従来の透過型測定装置
1…X線源(放射線源の一例)
2…X線検出器(放射線検出器の一例)
3…フィルタ(単一化手段の一例)
4…X線モノクロメータ(単一化手段の一例)
5…支持フレーム(機器移動手段の一例)
6…Ti板(特性X線発生物質の一例)
20…測定制御装置
35…環状フレーム(機器移動手段の一例)
36…環状のTi板(特性X線発生物質の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定部材を透過する放射線の強度の減衰量を検出することにより上記被測定部材の厚さを測定する厚さ測定装置であって,
放射線を発生させる放射線源と,入射された放射線の強度を検出する放射線検出器と,放射線が照射された際に固有のエネルギーを持つ特性X線を発生する特性X線発生物質とが適宜配置されてなり,
上記放射線源から出射された放射線が上記特性X線発生物質に照射され,該照射により上記特性X線発生物質で発生し上記被測定部材を透過して上記放射線検出器に入射した特性X線の強度の減衰量に基づいて上記被測定部材の厚さを演算することを特徴とする厚さ測定装置。
【請求項2】
上記被測定部材を挟んで一方側に少なくとも上記放射線源と上記放射線検出器と含む測定構成機器が配置され,他方側に上記特性X線発生物質が配置されてなる請求項1に記載の厚さ測定装置。
【請求項3】
上記被測定部材がインフレーション成形装置により成形された筒状シートであって,上記筒状シートの外側に上記測定構成機器が配置され,上記筒状シートの内側に上記特性X線発生物質が配置されてなる請求項2に記載の厚さ測定装置。
【請求項4】
上記被測定部材の幅方向に沿って上記放射線源及び上記放射線検出器若しくは上記測定構成機器を移動させる機器移動手段を具備してなる請求項1〜3のいずれかに記載の厚さ測定装置。
【請求項5】
上記放射線検出器と上記被測定部材との間,若しくは上記特性X線発生物質と上記被測定部材との間に,上記特性X線発生物質で発生した上記特性X線のみを上記放射線検出器に導く単色化手段が設けられてなる請求項1〜4のいずれかに記載の厚さ測定装置。
【請求項6】
環状の口金から加熱溶融した溶融材を押し出すことにより筒状シートを成形する筒状シート成形装置であって,
上記筒状シートの外側に放射線を発生させる放射線源と入射された放射線の強度を検出する放射線検出器とを少なくとも含む測定構成機器が配置され,上記筒状シートの内側に放射線が照射された際に固有のエネルギーを持つ特性X線を発生する特性X線発生物質が配置されてなり,
上記放射線源から出射された放射線が上記筒状シートを透過して上記特性X線発生物質に照射され,該照射により上記特性X線発生物質で発生し上記筒状シートを透過して上記放射線検出器に入射した特性X線の強度の減衰量に基づいて上記筒状シートの厚さを演算することを特徴とする筒状シート成形装置。
【請求項7】
上記測定構成機器及び上記特性X線発生物質が,上記口金近傍に配置されてなる請求項6に記載の筒状シート成形装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−126150(P2006−126150A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318574(P2004−318574)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(000100517)アースニクス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】