説明

双方向流体弁モータのシールド構造

【課題】ガス緊急遮断装置などの流体遮断装置に適用する双方向流体弁モータのシールド構造において、製造コストを抑制しつつ信頼性および生産効率を高め、品質を改善する。
【解決手段】 シールドリング8、アウターブッシュ3およびケーシング6を段付きフランジ2と平板フランジ7とで挟み込む。その結果、1箇所の機密性評価箇所を1個の弾性シール部材でシールするだけで済む。また、双方向流体弁モータ1の組立はその構成部品を単一の方向に組み付けていくだけで完了する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般家庭のガス供給管路に設置されたガス緊急遮断装置その他の流体遮断装置に適用するに好適なステッピングモータ等の双方向流体弁モータのシールド構造に関し、さらに詳しくは、流体経路上に形成された弁座に対して弁体を移動(前進または後退)させることによって流体経路の開閉動作を行う弁機構に適用しうる双方向流体弁モータのシールド構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図9は従来の流体遮断装置の一例を示す断面図である。
【0003】従来この種の流体遮断装置としては、例えば特開平5−71655号公報に開示されているように、双方向流体弁モータによるリードスクリューの回転運動を弁体の直線運動に変換する機構を具備したものが多用されている。
【0004】この流体遮断装置では、図9に示すように、ロータ16と一体化されたリードスクリュー17がすべり軸受14、34を介して回転自在に支持されており、リードスクリュー17の先端に弁体25がスプリング33によって常に前方、すなわち弁座26側に付勢された形で取り付けられている。そして、地震発生時などの異常時には、外部入力(通常は電池)によってステータ4の各マグネットワイヤ9に通電してロータ16を正回転させると、リードスクリュー17が正方向に回転し、弁体25がリードスクリュー17側から弁座26側に前進して弁座26に当接することにより、流体経路を閉塞して流体を遮断する。また、これを復元するときには、外部入力によってリードスクリュー17を逆方向に回転させ、弁体25を弁座26側からリードスクリュー17側に後退させ、流体経路を開放して流体の供給を再開する。
【0005】ところで、この流体遮断装置では、ガス等の流体が外部に漏れないようにするため、要所にOリング35、36、37を嵌着して双方向流体弁モータの流体シールド性を確保していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これではOリング35、36、37を多用することとなるので、部品点数が増えて製造コストが高騰すると同時に、機密性評価箇所が増加して信頼性に乏しくなる。
【0007】また、双方向流体弁モータを組み立てるには、Oリング35、36、37をその径方向に変形させて嵌着する必要があるので、生産効率を向上させる上での障害となるばかりか、双方向流体弁モータの組立精度が落ちて品質の低下につながる恐れがあるという不都合があった。
【0008】本発明は、上記事情に鑑み、製造コストを抑制しつつ信頼性および生産効率を高め、品質を改善することが可能な双方向流体弁モータのシールド構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、鍔付きカップ状のケーシング(6)を有し、このケーシングの外周にステータ(4)を装着し、前記ケーシングの開口部にアウターブッシュ(3)を嵌着し、このアウターブッシュにスタッド(5)を偏心させて前方に突設し、前記ケーシング内にインナーブッシュ(12)を挿設し、前記アウターブッシュおよび前記インナーブッシュにリードスクリュー(17)をその先端の雄ネジ部(17a)が当該アウターブッシュより前方に突出した状態で正逆方向に回転自在に支持し、このリードスクリューにロータ(16)を前記ステータに対向する形で取り付け、このロータと前記アウターブッシュとの間にスラスト荷重用ころがり軸受(18)を介挿した双方向流体弁モータ(1)において、弾性シール部材(8、28)、前記アウターブッシュおよび前記ケーシングを段付きフランジ(2)と平板フランジ(7)とで挟み込むようにして構成される。
【0010】また、鍔付きカップ状のケーシング(6)を有し、このケーシングの外周にステータ(4)を装着し、前記ケーシングの開口部にアウターブッシュ(3)を嵌着し、このアウターブッシュにスタッド(5)を偏心させて前方に突設し、前記ケーシング内にインナーブッシュ(12)を挿設し、前記アウターブッシュおよび前記インナーブッシュにリードスクリュー(17)をその先端の雄ネジ部(17a)が当該アウターブッシュより前方に突出した状態で正逆方向に回転自在に支持し、このリードスクリューにロータ(16)を前記ステータに対向する形で取り付け、このロータと前記アウターブッシュとの間に第1のスラスト荷重用ころがり軸受(18)を介挿し、前記ロータと前記インナーブッシュとの間に第2のスラスト荷重用ころがり軸受(24)を介挿した双方向流体弁モータ(1)において、弾性シール部材(8、28)、前記アウターブッシュおよび前記ケーシングを段付きフランジ(2)と平板フランジ(7)とで挟み込むようにして構成される。
【0011】また、鍔付きカップ状のケーシング(6)を有し、このケーシングの外周にステータ(4)を装着し、前記ケーシングの開口部にアウターブッシュ(3)を嵌着し、このアウターブッシュにスタッド(5)を偏心させて前方に突設し、前記ケーシング内にインナーブッシュ(12)を挿設し、前記アウターブッシュおよび前記インナーブッシュにリードスクリュー(17)をその先端の雄ネジ部(17a)が当該アウターブッシュより前方に突出した状態で正逆方向に回転自在に支持し、このリードスクリューにロータ(16)を前記ステータに対向する形で取り付け、このロータと前記インナーブッシュとの間に弾性伸縮部材(30)を設けた双方向流体弁モータ(1)において、弾性シール部材(8、28)、前記アウターブッシュおよび前記ケーシングを段付きフランジ(2)と平板フランジ(7)とで挟み込むようにして構成される。
【0012】また、複数個の異径のシールドリング(8)を同心円上に配置し、これを上記弾性シール部材として用いるようにして構成される。
【0013】また、断面瓢箪形のシールドリング(28)を上記弾性シール部材として用いるようにして構成される。
【0014】なお、括弧内の番号等は図面における対応する要素を表わす便宜的なものであり、従って、本発明は図面上の記載に限定拘束されるものではない。このことは「特許請求の範囲」の欄についても同様である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】図1は本発明が適用された双方向流体弁モータの第1の実施形態を示す断面図、図2は図1に示す双方向流体弁モータの右側面図、図3は本発明が適用された双方向流体弁モータの第2の実施形態を示す断面図、図4は本発明が適用された双方向流体弁モータの第3の実施形態を示す断面図、図5は図4に示す双方向流体弁モータの左側面図、図6は本発明が適用された双方向流体弁モータの第4の実施形態を示す断面図、図7は図1に示す双方向流体弁モータのシールド構造の別の例を示す拡大断面図、図8は図1に示す双方向流体弁モータのシールド構造のさらに別の例を示す拡大断面図である。
【0017】本発明が適用された双方向流体弁モータ1は、図1および図2に示すように、鍔付きカップ状のケーシング6を有しており、ケーシング6の外周にはステータ4が装着されている。このステータ4は2個のコイル状のマグネットワイヤ9を具備しており、各マグネットワイヤ9にはそれぞれ外ヨーク10および内ヨーク11が周設されている。また、ケーシング6の開口部には、自己潤滑性のある合成樹脂(例えば、ポリアセタール等)を一体成型したアウターブッシュ3が内接する形で嵌着されており、このアウターブッシュ3は本体31およびスタッド5から構成されている。すなわち、アウターブッシュ3は鍔付きカップ状の本体31を有しており、本体31の円形底面の中心から偏心した部位にはスタッド5が前方(図1左方)に突出する形で一体に形設されている。一方、ケーシング6内には、自己潤滑性のある合成樹脂(例えば、ポリアセタール等)からなるインナーブッシュ12が挿設されている。
【0018】また、アウターブッシュ3およびインナーブッシュ12にはリードスクリュー17がその先端をアウターブッシュ3より前方に突出させた状態で正逆方向に回転自在に支持されており、リードスクリュー17の先端には雄ネジ部17aが形成されている。リードスクリュー17には、マグネットコア15を樹脂13でモールドしたロータ16がステータ4の内側に対向する形で取り付けられており、ロータ16とアウターブッシュ3との間にはスラスト荷重用ころがり軸受としてスラスト玉軸受18が介挿されている。さらに、ロータ16とインナーブッシュ12との間には螺旋バネ30がその前後に位置する2枚のワッシャ22、23に挟まれた形で介挿されている。
【0019】また、アウターブッシュ3の外周には円盤状の段付きフランジ2が嵌合しているとともに、ケーシング6の外周には円環状の平板フランジ7が嵌合しており、これら段付きフランジ2および平板フランジ7は互いに固着されて、アウターブッシュ3の鍔部とケーシング6の鍔部を同時に挟み込んでいる。さらに、段付きフランジ2と平板フランジ7との間には、弾性のある合成樹脂からなる断面円形のシールドリング8が弾性シール部材として前後方向(図1左右方向)に押圧された状態で組み付けられている。
【0020】ところで、この双方向流体弁モータ1は次のようにして簡単に組み立てることができる。なお、この組立作業は軸方向が上下方向(鉛直方向)に一致するようにして行う。
【0021】まず、アウターブッシュ3内にスラスト玉軸受18を載置し、リードスクリュー17を取り付けたロータ16をリードスクリュー17の雄ネジ部17aがアウターブッシュ3より突出するようにスラスト玉軸受18に載置する。その後、ロータ16上にワッシャ22、螺旋バネ30、ワッシャ23を順に載置する。次いで、前記組立品を予めインナーブッシュ12を挿設しておいたケーシング6内に挿設し、ロータ組立品を完成させる。
【0022】一方、平板フランジ7を予め取り付けておいた外ヨーク10および他の外ヨーク10にそれぞれコイル組立品(マグネットワイヤ9とコイルボビンなどからなるもの)を挿設し、この挿設品に内ヨーク11を嵌着し、内ヨーク11同士が背中合わせになるように嵌着(溶接など)し、ステータ4を完成させる。
【0023】最後に、ステータ4にロータ組立品を装着し、ケーシング6の鍔部にシールドリング8を載置し、次に段付きフランジ2を載置し、平板フランジ7と段付きフランジ2を固定すれば、双方向流体弁モータ1が出来上がる。
【0024】このように、双方向流体弁モータ1はその構成部品を単一の方向(軸方向)に組み付けていくだけで組立が完了し、しかも、これをロータ16を中心としたロータ部組立作業とマグネットワイヤ9を中心としたステータ部組立作業とに分け、これらの組立作業を同時に並行して進めることにより、組立に要する時間を大幅に短縮できることから、双方向流体弁モータ1の生産効率を高めることができるとともに、その組立精度ひいては品質を改善することが可能となる。
【0025】本発明が適用された双方向流体弁モータ1は以上のような構成を有するので、この双方向流体弁モータ1をガス緊急遮断装置などの流体遮断装置に適用するには次の手順による。
【0026】まず、図1に示すように、双方向流体弁モータ1に弁体25を螺着し、これを流体遮断装置の筺体27の所定位置に取り付ける。すると弁体25は、筺体27に形成された弁座26に対して所定の間隔をおいて対向するように位置決めされる。そして、正常時においては弁座26と弁体25との隙間を通ってガス等の流体が供給される。この際、段付きフランジ2と平板フランジ7との間にはシールドリング8が設けられているので、流体シールド性は高く、流体が段付きフランジ2と平板フランジ7との隙間を通って外部に漏出してしまうことはない。
【0027】ところで、地震発生時などの異常時に流体を緊急遮断する際には、ステータ4の各マグネットワイヤ9に通電してロータ16を正回転させる。すると、ロータ16に同期してリードスクリュー17が正方向に回転し、その回転力が弁体25に伝達されるが、弁体25はスタッド5によって回転を拘束されているので、軸方向に沿ってリードスクリュー17から離れる方向(図1左向き)、すなわち弁座26側に前進する。そして、弁体25が弁座26に当接したところで、流体経路が閉塞されて流体が遮断される。さらにロータ16を正回転させると、弁体25が弁座26に当接しているので、弁体25は固定されたままでリードスクリュー17およびロータ16が後退し、螺旋バネ30が縮む。その結果、螺旋バネ30がロータ16およびリードスクリュー17を介して弁体25を弁座26側に弾性的に押圧する。
【0028】ここで、流体遮断装置の使用期間の大半を占める正常時には、弁体25を弁座26側に押圧する螺旋バネ30は自然長に近い状態であり、螺旋バネ30の弾性力が経時的に低下することはほとんどなく、また異常時に流体を遮断したときには、ロータ16が後退するほど螺旋バネ30の弾性力が強大になり、弁体25は弁座26に強く圧接された状態となるので、信頼性の高い遮断を実現することが可能となる。
【0029】また、こうして閉塞された流体経路を開放して流体の供給を再開する際には、ステータ4の各マグネットワイヤ9に通電してロータ16を逆回転させる。すると、ロータ16に同期してリードスクリュー17が逆方向に回転し、その回転力が弁体25に伝達されるが、弁体25はスタッド5によって回転を拘束されているので、軸方向に沿って弁座26から離れる方向(図1右向き)、すなわちリードスクリュー17側に後退する。その結果、弁座26と弁体25との間に隙間ができ、再度この隙間を通って流体が供給されるようになる。
【0030】この際、ロータ16とアウターブッシュ3との間にはスラスト玉軸受18が介挿されているので、ロータ16とアウターブッシュ3との間で発生する軸方向の荷重をスラスト玉軸受18によってころがりで受け、トルク損失を大幅に軽減することができる。その結果、双方向流体弁モータ1の出力トルクを弁体25の後退動作に効率よく変換できることから、たとえ弁体25が弁座26に貼り付いていても弁体25を円滑に後退させることが可能となり、復元不能になる事態を回避することができる。
【0031】また、アウターブッシュ3のスタッド5は本体31と一体に形設されているので、リードスクリュー17とスタッド5とは位置度が高く、リードスクリュー17の回転軸に対してスタッド5が位置ずれを生じることはない。その結果、リードスクリュー17の回転運動を弁体25の直線運動に支障なく変換することができ、従って流体経路の開閉動作を支障なく実施することが可能となる。
【0032】さらに、アウターブッシュ3およびインナーブッシュ12は自己潤滑性を有しているので、潤滑剤を塗布しなくてもリードスクリュー17の円滑な回転を長期にわたって持続させることができる。
【0033】なお、上述の実施形態においては、ロータ16とアウターブッシュ3との間にのみスラスト玉軸受18を介挿した双方向流体弁モータ1について説明したが、図3に示すように、ロータ16とインナーブッシュ12(螺旋バネ30)との間にもスラスト玉軸受24を介挿するようにしてもよい。このようにすれば、ロータ16とインナーブッシュ12(螺旋バネ30)との間で発生する軸方向の荷重をスラスト玉軸受24によってころがりで受け、トルク損失を大幅に軽減できるため、ロータ16がインナーブッシュ12側に後退している場合(例えば、弁体25を前進させたとき電気的制御の不都合などによってリードスクリュー17が後方に押しやられた状態になっている場合)でも、ロータ16の回転ひいては弁体25の移動を円滑に実施することができる。
【0034】また、上述の実施形態においては、スラスト荷重用ころがり軸受としてスラスト玉軸受18、24を用いた双方向流体弁モータ1について説明したが、図4R>4および図5または図6に示すように、2枚のワッシャ20、21間に6個の鋼球、合成樹脂球などのボール19を円周上に配置して転動自在に保持し、これをスラスト荷重用ころがり軸受として採用することもできる。このようにすれば、高価なスラスト玉軸受18、24が不要となるので、材料コストを低減することができる。また、ボール19の前後両側にはワッシャ20、21が存在するので、ボール19がアウターブッシュ3や樹脂13にめり込む事態は発生せず、ボール19のめり込みによる双方向流体弁モータ1のトルク損失を防ぐことが可能となる。
【0035】さらに、上述の実施形態においては、段付きフランジ2と平板フランジ7との間に1個の断面円形のシールドリング8を組み付けた双方向流体弁モータ1について説明したが、シールドリング8の個数や形状はこれに限るわけではない。例えば、図7に示すように、2個のシールドリング8を同心円上に配置して組み付けることにより、流体シールド性を一層向上させることもできる。或いはまた、図8に示すように、断面瓢箪形のシールドリング28を採用することにより、2個の断面円形のシールドリング8と同程度の流体シールド性を単一部品で発揮させることも可能である。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、鍔付きカップ状のケーシング6を有し、このケーシング6の外周にステータ4を装着し、前記ケーシング6の開口部にアウターブッシュ3を嵌着し、このアウターブッシュ3にスタッド5を偏心させて前方に突設し、前記ケーシング6内にインナーブッシュ12を挿設し、前記アウターブッシュ3および前記インナーブッシュ12にリードスクリュー17をその先端の雄ネジ部17aが当該アウターブッシュ3より前方に突出した状態で正逆方向に回転自在に支持し、このリードスクリュー17にロータ16を前記ステータ4に対向する形で取り付け、このロータ16と前記アウターブッシュ3との間にスラスト玉軸受18等のスラスト荷重用ころがり軸受を介挿した双方向流体弁モータ1において、シールドリング8、28等の弾性シール部材、前記アウターブッシュ3および前記ケーシング6を段付きフランジ2と平板フランジ7とで挟み込むようにして構成したので、1箇所の機密性評価箇所を1個の弾性シール部材でシールするだけで済むため、製造コストを抑制しつつ信頼性を高めることができることに加えて、双方向流体弁モータ1の組立はその構成部品を単一の方向に組み付けていくだけで完了し、しかも、この組立作業を分割して所要時間を大幅に短縮できることから、双方向流体弁モータ1の生産効率を高めることができるとともに、その組立精度ひいては品質を改善することが可能となる。
【0037】また、鍔付きカップ状のケーシング6を有し、このケーシング6の外周にステータ4を装着し、前記ケーシング6の開口部にアウターブッシュ3を嵌着し、このアウターブッシュ3にスタッド5を偏心させて前方に突設し、前記ケーシング6内にインナーブッシュ12を挿設し、前記アウターブッシュ3および前記インナーブッシュ12にリードスクリュー17をその先端の雄ネジ部17aが当該アウターブッシュ3より前方に突出した状態で正逆方向に回転自在に支持し、このリードスクリュー17にロータ16を前記ステータ4に対向する形で取り付け、このロータ16と前記アウターブッシュ3との間にスラスト玉軸受18等の第1のスラスト荷重用ころがり軸受を介挿し、前記ロータ16と前記インナーブッシュ12との間にスラスト玉軸受24等の第2のスラスト荷重用ころがり軸受を介挿した双方向流体弁モータ1において、シールドリング8、28等の弾性シール部材、前記アウターブッシュ3および前記ケーシング6を段付きフランジ2と平板フランジ7とで挟み込むようにして構成したので、1箇所の機密性評価箇所を1個の弾性シール部材でシールするだけで済むため、製造コストを抑制しつつ信頼性を高めることができることに加えて、双方向流体弁モータ1の組立はその構成部品を単一の方向に組み付けていくだけで完了し、しかも、この組立作業を分割して所要時間を大幅に短縮できることから、双方向流体弁モータ1の生産効率を高めることができるとともに、その組立精度ひいては品質を改善することが可能となる。
【0038】また、鍔付きカップ状のケーシング6を有し、このケーシング6の外周にステータ4を装着し、前記ケーシング6の開口部にアウターブッシュ3を嵌着し、このアウターブッシュ3にスタッド5を偏心させて前方に突設し、前記ケーシング6内にインナーブッシュ12を挿設し、前記アウターブッシュ3および前記インナーブッシュ12にリードスクリュー17をその先端の雄ネジ部17aが当該アウターブッシュ3より前方に突出した状態で正逆方向に回転自在に支持し、このリードスクリュー17にロータ16を前記ステータ4に対向する形で取り付け、このロータ16と前記インナーブッシュ12との間に螺旋バネ30等の弾性伸縮部材を設けた双方向流体弁モータ1において、シールドリング8、28等の弾性シール部材、前記アウターブッシュ3および前記ケーシング6を段付きフランジ2と平板フランジ7とで挟み込むようにして構成したので、1箇所の機密性評価箇所を1個の弾性シール部材でシールするだけで済むため、製造コストを抑制しつつ信頼性を高めることができることに加えて、双方向流体弁モータ1の組立はその構成部品を単一の方向に組み付けていくだけで完了し、しかも、この組立作業を分割して所要時間を大幅に短縮できることから、双方向流体弁モータ1の生産効率を高めることができるとともに、その組立精度ひいては品質を改善することが可能となる。
【0039】また、複数個の異径のシールドリング8を同心円上に配置し、これを上記弾性シール部材として用いるようにして構成したので、簡単な部品構成で双方向流体弁モータ1の流体シールド性を一層高めることができる。
【0040】また、断面瓢箪形のシールドリング28を上記弾性シール部材として用いるようにして構成したので、単一のシールドリング28で双方向流体弁モータ1の流体シールド性を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された双方向流体弁モータの第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す双方向流体弁モータの右側面図である。
【図3】本発明が適用された双方向流体弁モータの第2の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明が適用された双方向流体弁モータの第3の実施形態を示す断面図である。
【図5】図4に示す双方向流体弁モータの左側面図である。
【図6】本発明が適用された双方向流体弁モータの第4の実施形態を示す断面図である。
【図7】図1に示す双方向流体弁モータのシールド構造の別の例を示す拡大断面図である。
【図8】図1に示す双方向流体弁モータのシールド構造のさらに別の例を示す拡大断面図である。
【図9】従来の流体遮断装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1……双方向流体弁モータ
2……段付きフランジ
3……アウターブッシュ
4……ステータ
5……スタッド
6……ケーシング
7……平板フランジ
8……弾性シール部材(シールドリング)
12……インナーブッシュ
16……ロータ
17……リードスクリュー
17a……雄ネジ部
18……第1のスラスト荷重用ころがり軸受(スラスト玉軸受)
24……第2のスラスト荷重用ころがり軸受(スラスト玉軸受)
28……弾性シール部材(シールドリング)
30……弾性伸縮部材(螺旋バネ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 鍔付きカップ状のケーシング(6)を有し、このケーシングの外周にステータ(4)を装着し、前記ケーシングの開口部にアウターブッシュ(3)を嵌着し、このアウターブッシュにスタッド(5)を偏心させて前方に突設し、前記ケーシング内にインナーブッシュ(12)を挿設し、前記アウターブッシュおよび前記インナーブッシュにリードスクリュー(17)をその先端の雄ネジ部(17a)が当該アウターブッシュより前方に突出した状態で正逆方向に回転自在に支持し、このリードスクリューにロータ(16)を前記ステータに対向する形で取り付け、このロータと前記アウターブッシュとの間にスラスト荷重用ころがり軸受(18)を介挿した双方向流体弁モータ(1)において、弾性シール部材(8、28)、前記アウターブッシュおよび前記ケーシングを段付きフランジ(2)と平板フランジ(7)とで挟み込んだことを特徴とする双方向流体弁モータのシールド構造。
【請求項2】 鍔付きカップ状のケーシング(6)を有し、このケーシングの外周にステータ(4)を装着し、前記ケーシングの開口部にアウターブッシュ(3)を嵌着し、このアウターブッシュにスタッド(5)を偏心させて前方に突設し、前記ケーシング内にインナーブッシュ(12)を挿設し、前記アウターブッシュおよび前記インナーブッシュにリードスクリュー(17)をその先端の雄ネジ部(17a)が当該アウターブッシュより前方に突出した状態で正逆方向に回転自在に支持し、このリードスクリューにロータ(16)を前記ステータに対向する形で取り付け、このロータと前記アウターブッシュとの間に第1のスラスト荷重用ころがり軸受(18)を介挿し、前記ロータと前記インナーブッシュとの間に第2のスラスト荷重用ころがり軸受(24)を介挿した双方向流体弁モータ(1)において、弾性シール部材(8、28)、前記アウターブッシュおよび前記ケーシングを段付きフランジ(2)と平板フランジ(7)とで挟み込んだことを特徴とする双方向流体弁モータのシールド構造。
【請求項3】 鍔付きカップ状のケーシング(6)を有し、このケーシングの外周にステータ(4)を装着し、前記ケーシングの開口部にアウターブッシュ(3)を嵌着し、このアウターブッシュにスタッド(5)を偏心させて前方に突設し、前記ケーシング内にインナーブッシュ(12)を挿設し、前記アウターブッシュおよび前記インナーブッシュにリードスクリュー(17)をその先端の雄ネジ部(17a)が当該アウターブッシュより前方に突出した状態で正逆方向に回転自在に支持し、このリードスクリューにロータ(16)を前記ステータに対向する形で取り付け、このロータと前記インナーブッシュとの間に弾性伸縮部材(30)を設けた双方向流体弁モータ(1)において、弾性シール部材(8、28)、前記アウターブッシュおよび前記ケーシングを段付きフランジ(2)と平板フランジ(7)とで挟み込んだことを特徴とする双方向流体弁モータのシールド構造。
【請求項4】 複数個の異径のシールドリング(8)を同心円上に配置し、これを弾性シール部材として用いたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の双方向流体弁モータのシールド構造。
【請求項5】 断面瓢箪形のシールドリング(28)を弾性シール部材として用いたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の双方向流体弁モータのシールド構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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