双眼鏡の回転伝達機構
【課題】 眼幅調整に伴う鏡体の揺動の影響を受けない双眼鏡の回転伝達機構を提供すること。
【解決手段】 鏡体内の所定のレンズを移動するために当該鏡体内に設けられた一対の駆動環と、当該一対の駆動環を駆動するために本体に設けられた操作ノブと、を備えると共に、操作ノブの回転を駆動環に伝達する一対の第1回転伝達体をさらに備え、各第1回転伝達体の一部が鏡体内に位置し、別の一部が本体側に位置するよう構成した。
【解決手段】 鏡体内の所定のレンズを移動するために当該鏡体内に設けられた一対の駆動環と、当該一対の駆動環を駆動するために本体に設けられた操作ノブと、を備えると共に、操作ノブの回転を駆動環に伝達する一対の第1回転伝達体をさらに備え、各第1回転伝達体の一部が鏡体内に位置し、別の一部が本体側に位置するよう構成した。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、双眼鏡において、操作ノブなどの回転をカム環などに伝達する回転伝達機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、左右の鏡体に収容された所定のレンズを移動して倍率を可変する変倍機構等、あるいは焦点調整機構を有する双眼鏡では、双眼鏡本体に設けられた操作ノブの回転をギア列等を介して、左右の鏡体に設けられたカム環に伝達するよう構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、カム環が操作ノブに対して揺動する部位に設けられた場合、揺動によりカム環が操作ノブに対して相対的に回転してしまうという問題点がある。即ち、上記の双眼鏡に、左右の鏡体を所定の揺動軸の周りに揺動させて眼幅を調整する所謂眼幅調整機能を設けた場合、揺動によってカム環が操作ノブに対して相対的に回転してしまい、不用意に倍率等が変化してしまうという問題点がある。
【0004】本発明は、上記の事情に鑑み、眼幅調整に伴う鏡体の揺動の影響を受けない双眼鏡の回転伝達機構を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、本発明による双眼鏡の回転伝達機構は、鏡体内の所定のレンズを移動するために一対の鏡体内に設けられた一対の駆動環と、一対の駆動環を回動するために本体に設けられた操作ノブとを備えると共に、操作ノブの回転を駆動環に伝達する一対の第1回転伝達体をさらに備え、各第1回転伝達体の一部が鏡体内に位置し、別の一部が本体側に位置するよう構成したことを特徴とするものである。
【0006】このように、一部が鏡体内に位置し別の一部が本体側に位置する第1回転伝達体を用いることにより、第1回転伝達体と揺動軸との位置関係を一定に保ちつつ、鏡体内の駆動環と連携することが可能になる。このように、鏡体内の駆動環と本体側の操作ノブとの連携が可能になるため、眼幅調整に伴う鏡体の揺動の影響を受けない回転伝達が可能になる。
【0007】なお、本体に、操作ノブの回転を回転伝達体に伝達するための第2回転伝達体をさらに設け、第1回転伝達体と第2回転伝達体との作用点が揺動軸と一致するよう構成しても良い。このように構成すれば、鏡体の揺動に伴って第1回転伝達体が揺動しても、揺動軸が作用点と一致しているため、第1回転伝達体と第2回転伝達体とが相対回転することが無く、従って、鏡体の揺動によりレンズが光軸方向に移動してしまうことが防止される。なお、第1及び第2回転伝達体はギアあるいはローラとして構成することができ、駆動環はカム環として構成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施形態の双眼鏡1の外観形状を示す斜視図であり、図2は双眼鏡1の光学系を示す概略図である。図2に示すように、双眼鏡1は、左右一対の望遠光学系10L、10Rを有している。左の望遠光学系10Lは、対物光学系を構成する第1及び第2レンズ11L,12L、ポロプリズム正立光学系を構成する2つのプリズム13L,14L、及び接眼光学系を構成する第3及び第4レンズ15L,16Lにより構成されている。第2、第3、第4レンズ12L,15L,16Lは、第1レンズ11Lの光軸OLに対し所定量偏心している。また、第2レンズ12Lと第3レンズ15Lの間には、視野を限定する視野枠17Lが設けられている。
【0009】同様に、右の望遠光学系10Rは、対物光学系を構成する第1及び第2レンズ11R,12R、ポロプリズム正立光学系を構成する2つのプリズム13R,14R、及び接眼光学系を構成する第3及び第4レンズ15R,16Rにより構成されている。第2、第3、第4レンズ12R,15R,16Rは、第1レンズ11Rの光軸ORに対し所定量偏心している。また、第2レンズ12Rと第3レンズ15Rの間には、視野を限定する視野枠17Rが設けられている。なお、以後の説明において、双眼鏡1の第1レンズ11L,11R側を前方とし、第4レンズ16L,16R側を後方とする。
【0010】図1に示す双眼鏡1は、接眼部18,19が、左右の第1レンズ11L,11Rを通る光軸OL,ORを中心として、図中矢印で示す方向に揺動することにより、観察者の眼幅に合わせて接眼部18,19の間隔を調節できるよう構成されているものである。以下、この眼幅調整のための構成について説明する。
【0011】図3は双眼鏡1の分解斜視図である。左右の望遠光学系10L,10R(図2)は、左右一対の鏡体3,4に収容されている。鏡体3は、第1レンズ11Lの光軸OLを中心とする円筒部材である第1鏡筒31と、該第1鏡筒に対し所定量偏心して設けられた第3鏡筒33と、両鏡筒の中間の第2鏡筒32により構成されている。第1レンズ11Lは第1鏡筒31に収容され、第2レンズ12Lとプリズム13L,14L(図2)は第2鏡筒32に収容される。第3及び第4レンズ15L,16L(図2)は第3鏡筒33に収容され、この第3鏡筒33の後部が接眼部18となる。
【0012】同様に、鏡体4は、第1レンズ11Rの光軸ORを中心とする円筒部材である第1鏡筒41と、該第1鏡筒に対し所定量偏心して設けられた第3鏡筒43と、両鏡筒の中間の第2鏡筒42により構成されている。第1レンズ11Rは、第1鏡筒41に収容され、第2レンズ12Rとプリズム13R,14R(図2)は第2鏡筒42に収容される。第3及び第4レンズ15R,16R(図2)は第3鏡筒43に収容され、この第3鏡筒43の後部が接眼部19となる。
【0013】左右の鏡体3,4は、フレーム2と押え板5によって前後から挟まれて保持される。フレーム2には、左右一対の円形のボア21,22が形成されており、第1鏡筒31,41がボア21,22に挿入されると、第1鏡筒31,41の外周面とボア21,22の内周面とが摺接するよう構成されている。また、フレーム2の上端部には、後方に向かって延び、後端面にねじ孔を有する左右一対の延出部25,26が形成されている。また、フレーム2の下端には、後方に向かって延び、後端面にねじ孔を有する延出部27が形成されている。
【0014】第2鏡筒32,42の後端で且つ光軸OL,ORの延長線上には、窪み321,421が形成されている。また、押え板5の、第2鏡筒32,42の窪み321,421に対応する位置には、孔53,54が形成されている。押え板5は、第2鏡筒32,42の窪み321,421と孔53,54との間にボール51,52を挟んだ状態で、フレーム2の延出部25,26,27にねじ止めされる。かくして、左右の鏡体3,4は、フレーム2と押え板5との間に挟まれた状態で、光軸OL,ORを中心に揺動可能に保持される。
【0015】なお、フレーム2に対する左右の鏡体3,4の光軸OL,OR方向の位置決めのため、第1鏡筒31,41の外周にはショルダー311,411が形成されており、ボア21,22の内部にはショルダー311,411に当接する当接部211,221(221は図示せず)が設けられている。押え板5により後方から付勢されることにより、ショルダー311,411が当接部211,221に当接し、フレーム2に対する左右の鏡体3,4の光軸方向の位置決めがなされる。
【0016】実施形態の双眼鏡1は、第1レンズ11L,11Rを光軸OL,ORに沿って移動することにより焦点調整を行い、右の第1レンズ11Rを光軸ORに沿って移動することにより左右の視度差の調整を行うよう構成されている。焦点調整を行うためのための操作ノブ91はフレーム2の上部に配置され、視度差調整を行うためのための操作ノブ92は、押え板5の後方の後端カバー6の上部に配置されている。ここでは、焦点調整・視度差調整のための構成についての説明は省略する。
【0017】また、実施形態の双眼鏡1は、第2レンズ12L,12R(図2)と第3レンズ15L,15R(図2)を光軸OL,ORと平行に移動することにより、倍率を可変するよう構成されている。この変倍のための構成について以下に説明する。図4は、変倍のための機構を示す斜視図である。左右の鏡体3,4の内部には、第2レンズ12L(図2)と第3レンズ15L(図2)を光軸OLと平行に移動するためのカム環110と、第2レンズ12R(図2)と第3レンズ15R(図2)を光軸ORと平行に移動するためのカム環120が設けられている。
【0018】カム環110,120は、双眼鏡1の幅方向中央部上方に設けられた変倍操作ノブ93によって回転操作される。変倍操作ノブ93の外周面にはギア部93aが形成されており、左右に配置された第1中間ギア130,140に係合している。また、左右の第1中間ギア130,140とカム環110,120の間には、第2中間ギア132,142が設けられている。カム環110,120の外周面には、第2ギア132,142に夫々係合するギア部111,121が形成されている。かくして、変倍操作ノブ93の回転が、第1中間ギア130,140及び第2中間ギア132,142を介して左右のカム環110,120に伝達され、カム環110,120が同期回転する。
【0019】図5は後端カバー6を前方から見た正面図であり、図6は左右の鏡体3,4と後端カバー6を後方から見た背面図である。図5に示すように、変倍操作ノブ93及び第1中間ギア130,140は後端カバー6に取り付けられている。また、図6に示すように、第2中間ギア132,142は、鏡体3,4内部のカム環110,120(図4)との連携のために鏡体3,4の内部に収容され、同時に第1中間ギア130,140(図5R>5)との連携のため、一部を鏡体3,4の外に突出させている。
【0020】このように構成された回転伝達機構と眼幅調整との関係について説明する。図4に示すように、実施形態の双眼鏡は、第1中間ギア130,140と第2中間ギア132,142との噛み合い部が、夫々左右の揺動軸(光軸OL,OR)と一致するよう構成されている。即ち、左の第1中間ギア130と第2中間ギア132の噛み合い部が左の光軸OL上にあり、右の第1中間ギア140と第2中間ギア142の噛み合い部が右の光軸OR上にある。
【0021】図7、図8及び図9に中間眼幅、最大眼幅、最小眼幅における回転伝達機構の各ギアの係合状態を示す。図7に示す中間眼幅の状態では、第1中間ギア130と第2中間ギア132の中心は一直線上に並ぶ。この直線は、図8に示す最大眼幅の状態では噛み合い部を境に外側に屈曲し、図9に示す最小眼幅の状態では噛み合い部を境に内側に屈曲する。
【0022】図10 (a)、(b)及び(c)に、中間眼幅、最大眼幅、最小眼幅における第1中間ギア130と第2中間ギア132の噛み合い部を拡大して示す。なお、図10には図示していないが、右の第1中間ギア140と第2中間ギア142の噛み合い部は、左の第1中間ギア130と第2中間ギア132の噛み合い部に対し左右対称となる。
【0023】実施形態の双眼鏡は、図10 (a)に示す中間眼幅の状態で、第1及び第2中間ギア130,132の2つのピッチ円P1,P2が接するピッチ点(作用点)が揺動軸(光軸OL)と一致するよう構成されている。なお、この時、第1及び第2中間ギア130,132の歯の間には充分なバックラッシがある。
【0024】互いに噛み合う2つのギアは、2つのピッチ円が接するピッチ点(作用点)が夫々のピッチ円に沿って順次移っていくことによって相対回転する。実施形態の双眼鏡では、第2中間ギア132の揺動軸(光軸OL)が、ピッチ円P1,P2が接するピッチ点と一致しているため、第2中間ギア132が揺動してもピッチ点が移らず、従って第1中間ギア130に対する第2中間ギア132の相対回転が生じない。そして、図10 (b)(c)に示すように、最大眼幅及び最小眼幅の状態では、第2中間ギア132は、バックラッシの範囲内で傾いて、第1中間ギア130の歯を逃がすような格好で噛み合っている。
【0025】このように、実施形態の双眼鏡によれば、眼幅調整によって、第1中間ギア130に対する第2中間ギア132の相対回転が生じることがなく、従って、眼幅調整によってカム環110,120が回転し、レンズ群を移動して倍率を変化させてしまうことを防止することができる。なお、第2中間ギア132のピッチ円半径を、第1中間ギア130のピッチ円半径よりも小さく構成すると、第2中間ギア132の歯の間で第1中間ギア130の歯を逃がし易くなる。
【0026】図11は、左のカム環110がレンズ群を移動するための構成を示す分解斜視図である。第2レンズ12L及び第3レンズ15L(図2)を夫々保持する第2レンズ枠170及び第3レンズ枠175には、カムピン171,176が植設されている。前述のカム環110には、第2レンズ枠170と第3レンズ枠175を移動させるための所定形状のカム溝112,113が形成されている。また、カム環110の内部には、第2レンズ枠170及び第3レンズ枠175を夫々光軸方向に案内する直進ガイド溝152,153を有するガイド環150が挿入される。
【0027】第2レンズ枠170と第3レンズ枠175は、カムピン171がガイド溝152とカム溝112とを貫通し、カムピン176がガイド溝153とカム溝113とを貫通するよう、カム環110内のガイド環150に夫々挿入される。ガイド環150の後端に設けられたフランジ部155には、突起156が形成され、この突起156が鏡体3の第3鏡筒33の後端に形成された凹部332に係合してガイド環150が回転しないよう係止する。
【0028】かくして、カム環110が回転すると、第2レンズ枠170と第3レンズ枠175は光軸方向に移動する。なお、第3レンズ15Lと共に接眼光学系を構成する第4レンズ16L(図2)は、最後端の環状部材180に固定されている。また、図11には図示していないが、右のカム環120によるレンズ群の移動は、左のカム環110の場合と同様に行われる。
【0029】以上説明したように、第2中間ギア132,142の揺動軸(光軸OL,OR)が、2つのピッチ円が接するピッチ点と一致しているため、第2中間ギア132,142が揺動してもバックラッシの範囲内で逃げることが可能になる。従って、第1中間ギア130,140に対する第2中間ギア132,142の回転角度が眼幅調整により変化することはなく、眼幅調整に伴う鏡体の揺動による倍率の不要な変化が防止される。
【0030】次に、第2の実施形態について図12を参照して説明する。図12に示すように、第2の実施形態は、第1実施形態の第1中間ギアの代わりに第1ローラ230を用い、第2中間ギアの代わりに第2ローラ232を用いたものである。第1及び第2ローラ230,232は互いに接触して回転を伝達する所謂摩擦ローラであり、第2ローラ232は変形しやすい弾性体で形成されている。また、第2ローラ232の外径は第1ローラ230より小さく設定されている。
【0031】第2の実施形態の双眼鏡は、図12 (a)に示す中間眼幅の状態で、第1ローラ230の外周面と第2ローラ232の外周面の接点が揺動軸(光軸OL)と一致するよう構成されている。そのため、図12R>2 (b)(c)に示すように、眼幅調整に伴って第2ローラ232が揺動しても、第1ローラ230が第2ローラ232に食い込むだけで、第2ローラ232が回転することはない。つまり、第2実施形態によれば、第1の実施形態と同様、眼幅調整に伴う鏡体の揺動による倍率の不要な変化が防止される。
【0032】最後に、本発明の特徴的構成と実施形態との関係について説明する。図4〜図6に示すように、変倍操作ノブ93の回転は、変倍操作ノブ93の左右下方に配置された第1中間ギア130,140(第2回転伝達体)、及び第2中間ギア132,142(第1回転伝達体)を介してカム環110,120の間に伝達される。また、第2中間ギア132,142は、その一部が鏡体3,4の内部に位置し、一部が鏡体3,4から本体(フレーム2及び押え板5)側に突出するよう配置されている。鏡体3,4の揺動中心(光軸OL,OR)は本体側で定まるため、第2中間ギア132,142の一部を本体側に位置させることにより、第2中間ギア132,142と揺動中心との位置関係を一定に保つことが可能になる。また、第2中間ギア132,142の一部を鏡体3,4の内部に位置させることにより、鏡体3,4内部のカム環110,120(図4)との連携が可能になる。かくして、鏡体3,4内のカム環110,120と本体側の変倍操作ノブ93との連携が可能になるため、鏡体3,4の揺動の影響を受けない回転伝達が可能になる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の双眼鏡の回転伝達機構によると、一部が鏡体内に位置し別の一部が本体側に位置する第1回転伝達体により、当該第1回転伝達体と揺動軸との位置関係を一定に保ちつつ、鏡体内の駆動環と連携することが可能になる。従って、眼幅調整に伴う鏡体の揺動の影響を受けない回転伝達が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の双眼鏡の外観形状を示す斜視図である。
【図2】図1の双眼鏡の光学系を示す図である。
【図3】図1の双眼鏡の分解斜視図である。
【図4】図1の双眼鏡の回転伝達機構を示す斜視図である。
【図5】後端カバーを示す正面図である。
【図6】左右の鏡体と押え板を示す背面図である。
【図7】中間眼幅時の回転伝達機構を示す図である。
【図8】最大眼幅時の回転伝達機構を示す図である。
【図9】最小眼幅時の回転伝達機構を示す図である。
【図10】回転伝達機構の噛み合い部分を示す拡大図である。
【図11】レンズ群を移動させるための構成を示す分解斜視図である。
【図12】第2の実施形態の双眼鏡の外観形状を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 双眼鏡
2 フレーム
3、4 鏡筒
5 押え板
6 後端カバー
31、41 第1鏡筒
32、42 第2鏡筒
93 変倍操作ノブ
110、120 カム環
130、140 第1中間ギア
132、142 第2中間ギア
230 第1ローラ
232 第2ローラ
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、双眼鏡において、操作ノブなどの回転をカム環などに伝達する回転伝達機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、左右の鏡体に収容された所定のレンズを移動して倍率を可変する変倍機構等、あるいは焦点調整機構を有する双眼鏡では、双眼鏡本体に設けられた操作ノブの回転をギア列等を介して、左右の鏡体に設けられたカム環に伝達するよう構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、カム環が操作ノブに対して揺動する部位に設けられた場合、揺動によりカム環が操作ノブに対して相対的に回転してしまうという問題点がある。即ち、上記の双眼鏡に、左右の鏡体を所定の揺動軸の周りに揺動させて眼幅を調整する所謂眼幅調整機能を設けた場合、揺動によってカム環が操作ノブに対して相対的に回転してしまい、不用意に倍率等が変化してしまうという問題点がある。
【0004】本発明は、上記の事情に鑑み、眼幅調整に伴う鏡体の揺動の影響を受けない双眼鏡の回転伝達機構を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、本発明による双眼鏡の回転伝達機構は、鏡体内の所定のレンズを移動するために一対の鏡体内に設けられた一対の駆動環と、一対の駆動環を回動するために本体に設けられた操作ノブとを備えると共に、操作ノブの回転を駆動環に伝達する一対の第1回転伝達体をさらに備え、各第1回転伝達体の一部が鏡体内に位置し、別の一部が本体側に位置するよう構成したことを特徴とするものである。
【0006】このように、一部が鏡体内に位置し別の一部が本体側に位置する第1回転伝達体を用いることにより、第1回転伝達体と揺動軸との位置関係を一定に保ちつつ、鏡体内の駆動環と連携することが可能になる。このように、鏡体内の駆動環と本体側の操作ノブとの連携が可能になるため、眼幅調整に伴う鏡体の揺動の影響を受けない回転伝達が可能になる。
【0007】なお、本体に、操作ノブの回転を回転伝達体に伝達するための第2回転伝達体をさらに設け、第1回転伝達体と第2回転伝達体との作用点が揺動軸と一致するよう構成しても良い。このように構成すれば、鏡体の揺動に伴って第1回転伝達体が揺動しても、揺動軸が作用点と一致しているため、第1回転伝達体と第2回転伝達体とが相対回転することが無く、従って、鏡体の揺動によりレンズが光軸方向に移動してしまうことが防止される。なお、第1及び第2回転伝達体はギアあるいはローラとして構成することができ、駆動環はカム環として構成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施形態の双眼鏡1の外観形状を示す斜視図であり、図2は双眼鏡1の光学系を示す概略図である。図2に示すように、双眼鏡1は、左右一対の望遠光学系10L、10Rを有している。左の望遠光学系10Lは、対物光学系を構成する第1及び第2レンズ11L,12L、ポロプリズム正立光学系を構成する2つのプリズム13L,14L、及び接眼光学系を構成する第3及び第4レンズ15L,16Lにより構成されている。第2、第3、第4レンズ12L,15L,16Lは、第1レンズ11Lの光軸OLに対し所定量偏心している。また、第2レンズ12Lと第3レンズ15Lの間には、視野を限定する視野枠17Lが設けられている。
【0009】同様に、右の望遠光学系10Rは、対物光学系を構成する第1及び第2レンズ11R,12R、ポロプリズム正立光学系を構成する2つのプリズム13R,14R、及び接眼光学系を構成する第3及び第4レンズ15R,16Rにより構成されている。第2、第3、第4レンズ12R,15R,16Rは、第1レンズ11Rの光軸ORに対し所定量偏心している。また、第2レンズ12Rと第3レンズ15Rの間には、視野を限定する視野枠17Rが設けられている。なお、以後の説明において、双眼鏡1の第1レンズ11L,11R側を前方とし、第4レンズ16L,16R側を後方とする。
【0010】図1に示す双眼鏡1は、接眼部18,19が、左右の第1レンズ11L,11Rを通る光軸OL,ORを中心として、図中矢印で示す方向に揺動することにより、観察者の眼幅に合わせて接眼部18,19の間隔を調節できるよう構成されているものである。以下、この眼幅調整のための構成について説明する。
【0011】図3は双眼鏡1の分解斜視図である。左右の望遠光学系10L,10R(図2)は、左右一対の鏡体3,4に収容されている。鏡体3は、第1レンズ11Lの光軸OLを中心とする円筒部材である第1鏡筒31と、該第1鏡筒に対し所定量偏心して設けられた第3鏡筒33と、両鏡筒の中間の第2鏡筒32により構成されている。第1レンズ11Lは第1鏡筒31に収容され、第2レンズ12Lとプリズム13L,14L(図2)は第2鏡筒32に収容される。第3及び第4レンズ15L,16L(図2)は第3鏡筒33に収容され、この第3鏡筒33の後部が接眼部18となる。
【0012】同様に、鏡体4は、第1レンズ11Rの光軸ORを中心とする円筒部材である第1鏡筒41と、該第1鏡筒に対し所定量偏心して設けられた第3鏡筒43と、両鏡筒の中間の第2鏡筒42により構成されている。第1レンズ11Rは、第1鏡筒41に収容され、第2レンズ12Rとプリズム13R,14R(図2)は第2鏡筒42に収容される。第3及び第4レンズ15R,16R(図2)は第3鏡筒43に収容され、この第3鏡筒43の後部が接眼部19となる。
【0013】左右の鏡体3,4は、フレーム2と押え板5によって前後から挟まれて保持される。フレーム2には、左右一対の円形のボア21,22が形成されており、第1鏡筒31,41がボア21,22に挿入されると、第1鏡筒31,41の外周面とボア21,22の内周面とが摺接するよう構成されている。また、フレーム2の上端部には、後方に向かって延び、後端面にねじ孔を有する左右一対の延出部25,26が形成されている。また、フレーム2の下端には、後方に向かって延び、後端面にねじ孔を有する延出部27が形成されている。
【0014】第2鏡筒32,42の後端で且つ光軸OL,ORの延長線上には、窪み321,421が形成されている。また、押え板5の、第2鏡筒32,42の窪み321,421に対応する位置には、孔53,54が形成されている。押え板5は、第2鏡筒32,42の窪み321,421と孔53,54との間にボール51,52を挟んだ状態で、フレーム2の延出部25,26,27にねじ止めされる。かくして、左右の鏡体3,4は、フレーム2と押え板5との間に挟まれた状態で、光軸OL,ORを中心に揺動可能に保持される。
【0015】なお、フレーム2に対する左右の鏡体3,4の光軸OL,OR方向の位置決めのため、第1鏡筒31,41の外周にはショルダー311,411が形成されており、ボア21,22の内部にはショルダー311,411に当接する当接部211,221(221は図示せず)が設けられている。押え板5により後方から付勢されることにより、ショルダー311,411が当接部211,221に当接し、フレーム2に対する左右の鏡体3,4の光軸方向の位置決めがなされる。
【0016】実施形態の双眼鏡1は、第1レンズ11L,11Rを光軸OL,ORに沿って移動することにより焦点調整を行い、右の第1レンズ11Rを光軸ORに沿って移動することにより左右の視度差の調整を行うよう構成されている。焦点調整を行うためのための操作ノブ91はフレーム2の上部に配置され、視度差調整を行うためのための操作ノブ92は、押え板5の後方の後端カバー6の上部に配置されている。ここでは、焦点調整・視度差調整のための構成についての説明は省略する。
【0017】また、実施形態の双眼鏡1は、第2レンズ12L,12R(図2)と第3レンズ15L,15R(図2)を光軸OL,ORと平行に移動することにより、倍率を可変するよう構成されている。この変倍のための構成について以下に説明する。図4は、変倍のための機構を示す斜視図である。左右の鏡体3,4の内部には、第2レンズ12L(図2)と第3レンズ15L(図2)を光軸OLと平行に移動するためのカム環110と、第2レンズ12R(図2)と第3レンズ15R(図2)を光軸ORと平行に移動するためのカム環120が設けられている。
【0018】カム環110,120は、双眼鏡1の幅方向中央部上方に設けられた変倍操作ノブ93によって回転操作される。変倍操作ノブ93の外周面にはギア部93aが形成されており、左右に配置された第1中間ギア130,140に係合している。また、左右の第1中間ギア130,140とカム環110,120の間には、第2中間ギア132,142が設けられている。カム環110,120の外周面には、第2ギア132,142に夫々係合するギア部111,121が形成されている。かくして、変倍操作ノブ93の回転が、第1中間ギア130,140及び第2中間ギア132,142を介して左右のカム環110,120に伝達され、カム環110,120が同期回転する。
【0019】図5は後端カバー6を前方から見た正面図であり、図6は左右の鏡体3,4と後端カバー6を後方から見た背面図である。図5に示すように、変倍操作ノブ93及び第1中間ギア130,140は後端カバー6に取り付けられている。また、図6に示すように、第2中間ギア132,142は、鏡体3,4内部のカム環110,120(図4)との連携のために鏡体3,4の内部に収容され、同時に第1中間ギア130,140(図5R>5)との連携のため、一部を鏡体3,4の外に突出させている。
【0020】このように構成された回転伝達機構と眼幅調整との関係について説明する。図4に示すように、実施形態の双眼鏡は、第1中間ギア130,140と第2中間ギア132,142との噛み合い部が、夫々左右の揺動軸(光軸OL,OR)と一致するよう構成されている。即ち、左の第1中間ギア130と第2中間ギア132の噛み合い部が左の光軸OL上にあり、右の第1中間ギア140と第2中間ギア142の噛み合い部が右の光軸OR上にある。
【0021】図7、図8及び図9に中間眼幅、最大眼幅、最小眼幅における回転伝達機構の各ギアの係合状態を示す。図7に示す中間眼幅の状態では、第1中間ギア130と第2中間ギア132の中心は一直線上に並ぶ。この直線は、図8に示す最大眼幅の状態では噛み合い部を境に外側に屈曲し、図9に示す最小眼幅の状態では噛み合い部を境に内側に屈曲する。
【0022】図10 (a)、(b)及び(c)に、中間眼幅、最大眼幅、最小眼幅における第1中間ギア130と第2中間ギア132の噛み合い部を拡大して示す。なお、図10には図示していないが、右の第1中間ギア140と第2中間ギア142の噛み合い部は、左の第1中間ギア130と第2中間ギア132の噛み合い部に対し左右対称となる。
【0023】実施形態の双眼鏡は、図10 (a)に示す中間眼幅の状態で、第1及び第2中間ギア130,132の2つのピッチ円P1,P2が接するピッチ点(作用点)が揺動軸(光軸OL)と一致するよう構成されている。なお、この時、第1及び第2中間ギア130,132の歯の間には充分なバックラッシがある。
【0024】互いに噛み合う2つのギアは、2つのピッチ円が接するピッチ点(作用点)が夫々のピッチ円に沿って順次移っていくことによって相対回転する。実施形態の双眼鏡では、第2中間ギア132の揺動軸(光軸OL)が、ピッチ円P1,P2が接するピッチ点と一致しているため、第2中間ギア132が揺動してもピッチ点が移らず、従って第1中間ギア130に対する第2中間ギア132の相対回転が生じない。そして、図10 (b)(c)に示すように、最大眼幅及び最小眼幅の状態では、第2中間ギア132は、バックラッシの範囲内で傾いて、第1中間ギア130の歯を逃がすような格好で噛み合っている。
【0025】このように、実施形態の双眼鏡によれば、眼幅調整によって、第1中間ギア130に対する第2中間ギア132の相対回転が生じることがなく、従って、眼幅調整によってカム環110,120が回転し、レンズ群を移動して倍率を変化させてしまうことを防止することができる。なお、第2中間ギア132のピッチ円半径を、第1中間ギア130のピッチ円半径よりも小さく構成すると、第2中間ギア132の歯の間で第1中間ギア130の歯を逃がし易くなる。
【0026】図11は、左のカム環110がレンズ群を移動するための構成を示す分解斜視図である。第2レンズ12L及び第3レンズ15L(図2)を夫々保持する第2レンズ枠170及び第3レンズ枠175には、カムピン171,176が植設されている。前述のカム環110には、第2レンズ枠170と第3レンズ枠175を移動させるための所定形状のカム溝112,113が形成されている。また、カム環110の内部には、第2レンズ枠170及び第3レンズ枠175を夫々光軸方向に案内する直進ガイド溝152,153を有するガイド環150が挿入される。
【0027】第2レンズ枠170と第3レンズ枠175は、カムピン171がガイド溝152とカム溝112とを貫通し、カムピン176がガイド溝153とカム溝113とを貫通するよう、カム環110内のガイド環150に夫々挿入される。ガイド環150の後端に設けられたフランジ部155には、突起156が形成され、この突起156が鏡体3の第3鏡筒33の後端に形成された凹部332に係合してガイド環150が回転しないよう係止する。
【0028】かくして、カム環110が回転すると、第2レンズ枠170と第3レンズ枠175は光軸方向に移動する。なお、第3レンズ15Lと共に接眼光学系を構成する第4レンズ16L(図2)は、最後端の環状部材180に固定されている。また、図11には図示していないが、右のカム環120によるレンズ群の移動は、左のカム環110の場合と同様に行われる。
【0029】以上説明したように、第2中間ギア132,142の揺動軸(光軸OL,OR)が、2つのピッチ円が接するピッチ点と一致しているため、第2中間ギア132,142が揺動してもバックラッシの範囲内で逃げることが可能になる。従って、第1中間ギア130,140に対する第2中間ギア132,142の回転角度が眼幅調整により変化することはなく、眼幅調整に伴う鏡体の揺動による倍率の不要な変化が防止される。
【0030】次に、第2の実施形態について図12を参照して説明する。図12に示すように、第2の実施形態は、第1実施形態の第1中間ギアの代わりに第1ローラ230を用い、第2中間ギアの代わりに第2ローラ232を用いたものである。第1及び第2ローラ230,232は互いに接触して回転を伝達する所謂摩擦ローラであり、第2ローラ232は変形しやすい弾性体で形成されている。また、第2ローラ232の外径は第1ローラ230より小さく設定されている。
【0031】第2の実施形態の双眼鏡は、図12 (a)に示す中間眼幅の状態で、第1ローラ230の外周面と第2ローラ232の外周面の接点が揺動軸(光軸OL)と一致するよう構成されている。そのため、図12R>2 (b)(c)に示すように、眼幅調整に伴って第2ローラ232が揺動しても、第1ローラ230が第2ローラ232に食い込むだけで、第2ローラ232が回転することはない。つまり、第2実施形態によれば、第1の実施形態と同様、眼幅調整に伴う鏡体の揺動による倍率の不要な変化が防止される。
【0032】最後に、本発明の特徴的構成と実施形態との関係について説明する。図4〜図6に示すように、変倍操作ノブ93の回転は、変倍操作ノブ93の左右下方に配置された第1中間ギア130,140(第2回転伝達体)、及び第2中間ギア132,142(第1回転伝達体)を介してカム環110,120の間に伝達される。また、第2中間ギア132,142は、その一部が鏡体3,4の内部に位置し、一部が鏡体3,4から本体(フレーム2及び押え板5)側に突出するよう配置されている。鏡体3,4の揺動中心(光軸OL,OR)は本体側で定まるため、第2中間ギア132,142の一部を本体側に位置させることにより、第2中間ギア132,142と揺動中心との位置関係を一定に保つことが可能になる。また、第2中間ギア132,142の一部を鏡体3,4の内部に位置させることにより、鏡体3,4内部のカム環110,120(図4)との連携が可能になる。かくして、鏡体3,4内のカム環110,120と本体側の変倍操作ノブ93との連携が可能になるため、鏡体3,4の揺動の影響を受けない回転伝達が可能になる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の双眼鏡の回転伝達機構によると、一部が鏡体内に位置し別の一部が本体側に位置する第1回転伝達体により、当該第1回転伝達体と揺動軸との位置関係を一定に保ちつつ、鏡体内の駆動環と連携することが可能になる。従って、眼幅調整に伴う鏡体の揺動の影響を受けない回転伝達が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の双眼鏡の外観形状を示す斜視図である。
【図2】図1の双眼鏡の光学系を示す図である。
【図3】図1の双眼鏡の分解斜視図である。
【図4】図1の双眼鏡の回転伝達機構を示す斜視図である。
【図5】後端カバーを示す正面図である。
【図6】左右の鏡体と押え板を示す背面図である。
【図7】中間眼幅時の回転伝達機構を示す図である。
【図8】最大眼幅時の回転伝達機構を示す図である。
【図9】最小眼幅時の回転伝達機構を示す図である。
【図10】回転伝達機構の噛み合い部分を示す拡大図である。
【図11】レンズ群を移動させるための構成を示す分解斜視図である。
【図12】第2の実施形態の双眼鏡の外観形状を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 双眼鏡
2 フレーム
3、4 鏡筒
5 押え板
6 後端カバー
31、41 第1鏡筒
32、42 第2鏡筒
93 変倍操作ノブ
110、120 カム環
130、140 第1中間ギア
132、142 第2中間ギア
230 第1ローラ
232 第2ローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】 左右の望遠光学系を収容する左右一対の鏡体と、前記一対の鏡体を所定の揺動軸を中心として夫々揺動可能に支持する本体と、により構成された双眼鏡において、前記鏡体内の所定のレンズを移動するために前記一対の鏡体に設けられた一対の駆動環と、前記一対の駆動環を回動するために前記本体に設けられた操作ノブと、を備えると共に、前記操作ノブの回転を前記駆動環に伝達する一対の第1回転伝達体をさらに備え、前記各第1回転伝達体の一部が前記鏡体内に位置し、別の一部が前記本体側に位置するよう構成したこと、を特徴とする双眼鏡の回転伝達機構。
【請求項2】 前記本体に、前記操作ノブの回転を前記第1回転伝達体に伝達するための第2回転伝達体をさらに設け、前記第1回転伝達体と前記第2回転伝達体との作用点と前記揺動軸とが一致するよう構成したこと、を特徴とする請求項1に記載の双眼鏡の回転伝達機構。
【請求項3】 前記第1及び第2回転伝達体はギアにより構成されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の双眼鏡の回転伝達機構。
【請求項4】 前記第1及び第2回転伝達体はローラにより構成されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の双眼鏡の回転伝達機構。
【請求項5】 前記駆動環はカム環であること、を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の双眼鏡の回転伝達機構。
【請求項6】 前記所定の揺動軸は、前記左右の望遠光学系に属する対物光学系の夫々最も前方のレンズの光軸であること、を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の双眼鏡の回転伝達機構。
【請求項7】 前記駆動環は、前記鏡筒内の所定のレンズを移動することによって倍率を可変する変倍機構の一部を構成すること、を特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の双眼鏡の回転伝達機構。
【請求項1】 左右の望遠光学系を収容する左右一対の鏡体と、前記一対の鏡体を所定の揺動軸を中心として夫々揺動可能に支持する本体と、により構成された双眼鏡において、前記鏡体内の所定のレンズを移動するために前記一対の鏡体に設けられた一対の駆動環と、前記一対の駆動環を回動するために前記本体に設けられた操作ノブと、を備えると共に、前記操作ノブの回転を前記駆動環に伝達する一対の第1回転伝達体をさらに備え、前記各第1回転伝達体の一部が前記鏡体内に位置し、別の一部が前記本体側に位置するよう構成したこと、を特徴とする双眼鏡の回転伝達機構。
【請求項2】 前記本体に、前記操作ノブの回転を前記第1回転伝達体に伝達するための第2回転伝達体をさらに設け、前記第1回転伝達体と前記第2回転伝達体との作用点と前記揺動軸とが一致するよう構成したこと、を特徴とする請求項1に記載の双眼鏡の回転伝達機構。
【請求項3】 前記第1及び第2回転伝達体はギアにより構成されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の双眼鏡の回転伝達機構。
【請求項4】 前記第1及び第2回転伝達体はローラにより構成されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の双眼鏡の回転伝達機構。
【請求項5】 前記駆動環はカム環であること、を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の双眼鏡の回転伝達機構。
【請求項6】 前記所定の揺動軸は、前記左右の望遠光学系に属する対物光学系の夫々最も前方のレンズの光軸であること、を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の双眼鏡の回転伝達機構。
【請求項7】 前記駆動環は、前記鏡筒内の所定のレンズを移動することによって倍率を可変する変倍機構の一部を構成すること、を特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の双眼鏡の回転伝達機構。
【図5】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1】
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【公開番号】特開平10−213730
【公開日】平成10年(1998)8月11日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−29620
【出願日】平成9年(1997)1月29日
【出願人】(000000527)旭光学工業株式会社 (1,878)
【公開日】平成10年(1998)8月11日
【国際特許分類】
【出願日】平成9年(1997)1月29日
【出願人】(000000527)旭光学工業株式会社 (1,878)
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