説明

双眼鏡

【目的】 簡単にストラップを着脱する事の出来る双眼鏡を提供する事である。
【構成】 左右一対の対物レンズが装填された双眼鏡本体と、この双眼鏡本体に取り付けられた左右一対の鏡筒と、両鏡筒の外周面に夫々取り付けられた左右一対の取り付け部と、両取り付け部に夫々着脱自在に取り付けられる左右一対の尾錠と、両尾錠に両端を夫々係止されるストラップとを具備する事を特徴としている。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、望遠光学系を並設して構成される双眼鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、二つの望遠光学系をその光軸を平行に並設した双眼鏡として、例えば、本願出願人と同一出願人による先願考案として、特開平4−174411号(出願公開日:平成4年6月22日)で出願公開された考案がある。この先願考案においては、双眼鏡本体の後面に形成された透孔にストラップが貫通された状態で取り付けられており、この結果、ストラップと双眼鏡本体とは所謂スライド可能な状態に設定されていた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
この為、このストラップを双眼鏡に取り付け様とした場合に、双眼鏡本体の後面に形成した透孔中を通り抜けさせなければならず、その取り付け作業が面倒である問題点が指摘されている。また、ストラップと双眼鏡本体とは互いにスライド可能となっているので、ストラップと双眼鏡との相対位置が定まらず、使い難い都の問題点が指摘されている。
【0004】
【考案の目的】
この考案は、上述した事情に鑑みてなされたもので、この考案の目的は、簡単にストラップを着脱する事の出来る双眼鏡を提供する事である。
【0005】
この考案の別の目的は、簡単にストラップを着脱することが出来ると共に、ストラップと双眼鏡との相対位置を固定する事の出来る双眼鏡を提供する事である。
【0006】
【課題を解決する為の手段】
上述した課題を解決し、目的を達成する為、この考案に係わる双眼鏡は、請求項1の記載によれば、左右一対の対物レンズが装填された双眼鏡本体と、この双眼鏡本体に取り付けられた左右一対の鏡筒と、両鏡筒の外周面に夫々取り付けられた左右一対の取り付け部と、両取り付け部に夫々着脱自在に取り付けられる左右一対の尾錠と、両尾錠に両端を夫々係止されるストラップとを具備する事を特徴としている。
【0007】
また、この考案に係わる双眼鏡は、請求項11の記載によれば、左右一対の対物レンズが装填された双眼鏡本体と、この双眼鏡本体に取り付けられた左右一対の接眼用の鏡筒と、ストラップと、このストラップの両端に夫々係止される尾錠本体と、各尾錠本体に固着され、突出部先端に外方フランジ部が形成された係止ピンと、両鏡筒の外周面に夫々弾性的に押し込み可能に取り付けられ、側面が開放されて前記係止ピンの外方フランジ部を受ける為の凹みが外周面に形成された左右一対のロック部材と、各凹みの開放された側面に対向した前記鏡筒の部位に形成され、前記凹みを押し込んだ係止ピンの外方フランジ部が側方から嵌入される嵌合溝とを具備し、各嵌合溝内に前記係止ピンの外方フランジ部が全体的に嵌入される事により、対応する前記ロック部材が押し込み前の位置に弾性復帰して、該係止ピンは対応する前記鏡筒に取り付けられる事を特徴としている。
【0008】
【実施例の説明】
以下に、この考案に係る双眼鏡の一実施例の構成を、防水双眼鏡に適用した場合につき、添付図面を参照して説明する。図1は、この一実施例の防水双眼鏡10の構成を、一部破断した状態でその平面形状を示している。
【0009】
図示する様に、この防水双眼鏡10は、左右一対の対物レンズ12L,12Rが内蔵された双眼鏡本体14と、正立プリズムとしてポロプリズムが用いられて対物レンズ12L,12Rの夫々の光軸OAL ,OAR に対して所定量偏心配置された接眼レンズ16L,16R(但し、図示の都合上、左側の接眼レンズ16Lは示されていない。)が夫々内蔵された左右の接眼部を夫々構成する鏡体18L,18Rとを備えている。ここで、左側の対物レンズ12L及び左側の接眼レンズ16Lにより左側の望遠光学系20Lが構成され、また、右側の対物レンズ12R及び右側の接眼レンズ16Rにより右側の望遠光学系20Rが構成されている。
【0010】
この双眼鏡本体14は、互いに平行に開口された保持孔22L,22Rを内部備えており、且つ、外装ラバー24により略外面全体を覆われている。また、これら保持孔22L,22R内には、上述した左右の鏡体18L,18Rの夫々の先端部が回動自在に嵌入されており、これら左右の鏡体18L,18Rの先端部の内周には、対物レンズ12L,12Rが夫々装着された対物レンズ枠26L,26Rが夫々の光軸OAL ,OAR に沿って摺動自在に、且つ、夫々の光軸OAL ,OAR 回りに回転可能に嵌合されている。つまり、両望遠光学系20L,20Rにおいては、夫々の対物レンズ12L,12Rの光軸OAL ,OAR は互いに平行に設定され、且つ、鏡体18L,18R(従って、接眼レンズ16L,16R)を対応する対物レンズ12L,12Rの光軸OAL ,OAR 回りに回動可能に設定されているものである。
【0011】
この様に、両接眼レンズ14L,14Rにおける対物レンズ12L,12Rの光軸OAL ,OAR 回りの回動は、図示しない連動機構によって互いに連動するようになっており、この連動回動によって両接眼レンズ16L,16Rの夫々の光軸の間隔が変化して、眼幅調整を行なう事が出来るようになっている。
【0012】
また、左右の保持孔22L,22Rの先端部には、保護ガラス28L,28Rが夫々装着されており、左側の保持孔22Lを規定する双眼鏡本体14の内周と保護ガラス28Lとの間には、左側の保持孔22L内への水の浸入を防止する為に、左側の防水パッキング30Lが介設されている。一方、右側の保持孔22Rを規定する双眼鏡本体14の内周と保護ガラス28Rとの間には、右側の保持孔22R内への水の浸入を防止する為に、右側の防水パッキング30Rが介設されている。尚、図示していないが、双眼鏡本体14と左右一対の鏡体18L,18Rとの連結部、及び、互いの摺動部分にも、防水パッキングが介設されている。
【0013】
双眼鏡本体14の中央上面側には、視度差調整機能と焦点調整機能の二つの調整機能を有する調整機構32が取り付けられている。この調節機構32を取り付ける為、双眼鏡本体14の中央上面には、上述した左右の保持孔22L,22Rと外部空間とを連通させる為の開口34が形成されており、この開口34の後方に位置する双眼鏡本体14の上面には、焦点調節用の転輪36及び視度差調整用の視度差調整環38が収納される凹所40が形成されている。ここで、開口34と凹所40とは、双眼鏡本体14と一体的に形成された仕切り板42により仕切られており、この仕切り板42には、後述する調整ロッド44が挿通される為の円形状の挿通孔46が形成されている。
【0014】
この調整機構32は、焦点調整機能を果たす為、上述した光軸OAL ,OAR と平行に設定された中心軸線に沿って、図1には示されないガイド部に摺動可能に嵌合する左羽根48を、中心軸線方向に沿って移動駆動される状態で備えている。即ち、この左羽根48には、左側の望遠光学系20Lのレンズ枠26Lと係合する操作アーム48aが一体に左方に向けて突設されると共に、後方側の(即ち、鏡体18L側の)端部には、調整ロッド44にこれの中心軸線方向に沿ってのみ係合し、回転方向には係合しない様に形成された係合部48bが一体に延設されている。
【0015】
ここで、上述した調整ロッド44は、図2に取り出して示す様に、前方ロッド部50と、これの後方において、回転方向にのみ係合し、中心軸線方向には係合しない様に連結される後方ロッド部52とから構成されている。この前方ロッド部50は、前方に位置するロッド本体50Aと、このロッド本体50Aの後端面から後方に向けて同軸に延出し、ロッド本体50Aよりも小径に形成された嵌合ロッド50Bとから一体的に形成されている。このロッド本体50Aの先端外周面には、雄ねじ部50aが形成され、この雄ねじ部50aの後方に位置した外周面には、上述した係合部48bと係合する第1の係合円周溝50bが円周方向に沿って全周に渡り形成されている。
【0016】
また、このロッド本体50Aの後端外周面には、後述する転輪駒54と係合する第2の係合円周溝50cが円周方向に沿って全周に渡り形成されている。一方、嵌合ロッド50Bの外周面には、軸方向に沿って延出する一対の係合片50d,50eが、半径方向外方に向けて突出した状態で形成されている。尚、これら係合片50d,50eは、互いに対向する位置に、即ち、180度離間した状態で形成されている。
【0017】
一方、上述した後方ロッド部52は、前方に位置する小径部52Aと、この小径部の後端面から後方に向けて同軸に延出し、小径部52Aよりも大径に形成された大径部52Bとから一体的に形成されている。この小径部52Aの前端面には、これの中心部に中心軸線方向に沿って貫通し、上述した嵌合ロッド50Bが相補的に嵌合する嵌合孔52aが形成されている。この小径部52Aの外周面には、後述するEリングからなるストッパ56が係合する第3の係合円周溝52bが円周方向に沿って全周に渡り形成されている。また、大径部52Bの上面には、平坦面52cが形成されており、この平坦面52cには、後述する係合溝58が形成されている。ここで、この後方ロッド部52は、上述した凹所40内で、双眼鏡本体14に取り付けられたストッパ56を介して中心軸線方向には移動不能な状態で、且つ、回転は自由に許容される状態で支持されている。
【0018】
この様に調整ロッド44は構成されているので、前方ロッド部50と後方ロッド部52とは回転方向には一体的に回転し、中心軸線方向には、互いの相対移動が自由に許容される事になる。即ち、後方ロッド部52が視度差調整環38の回動に応じて回転駆動されると、これに応じて前方ロッド部50も回転される事になる。しかし、前方ロッド部50が転輪駒54の軸方向に移動に応じて移動駆動されても、後方ロッド部52は、その位置に止まる事が出来る事になる。
【0019】
ここで、図1に示す様に、上述した転輪36は、凹所40内で回転自在に、且つ、その中心軸線方向には移動不能に装着されている。また、転輪36の内周面には、リードねじ溝36aが螺刻されており、一方、図2に示す様に、転輪駒54の外周面には、転輪36のリードねじ溝36aに螺合するリードねじ溝54aが螺刻されている。また、この転輪駒54には、調整ロッド44の第2の係合円周溝50cに側方から、この調整ロッド44の回転を自由に許容すると共に、中心軸線方向に関して一体的に移動する様に係合することが出来る様に、側溝54bが形成されている。この側溝54bは、転輪駒54の厚さ方向に貫通した状態で、且つ、これの中心部から外周面まで延出した状態で形成されている。また、この転輪駒54の中心中心軸線から偏心すると共に、互いに対向する位置に、この転輪駒54の回転を禁止する係止凸部(図示せず)が夫々嵌入される一対の係止孔54c,54dが、厚さ方向に貫通した状態で形成されている。尚、これら係止凸部は、図示していないが、双眼鏡本体14に一体的に連接された固定部材に固定されるものである。
【0020】
また、この調整ロッド44の先端に形成された雄ねじ部50aには、視度差調整機能を果たす為、上述した左羽根48に回転不能に、且つ、中心軸線方向に沿って摺動可能に支持された右羽根62が螺着されている。ここで、この右羽根62には、右側の望遠光学系20Rのレンズ枠26Rと係合する可動操作アーム62aが一体に右方に向けて突設されると共に、上述した雄ねじ部50aに螺合する雌ねじ部62bが形成されている。
【0021】
以上の様に構成される調整機構32の双眼鏡本体14への組み付け動作においては、先ず、図2に示す様に、転輪駒54を側方から第2の係合円周溝50cに係合させた状態で調整ロッド44に取り付け、この後に、転輪36をこの調整ロッド44の前方から嵌入して、この転輪36のリードねじ溝36aと転輪駒54のリードねじ溝54aとを互いに螺合させた状態で組み立て、この組体を図1に示す様に、挿通孔46を貫通させて、双眼鏡本体14の上面に形成された開口34及び凹所40に跨がる状態で装着する。そして、調整ロッド44の雄ねじ部50aに右羽根62を螺合させ、また、第1の係合円周溝50bに左羽根48の係合部48bを係合させ、更に、転輪駒54の一対の係止孔54c,54dに係止凸部を夫々嵌入し、視度差調整環38を後述する様にして取り付ける事により、組み付け動作を完了する。
【0022】
尚、左羽根48の係合部48bと右羽根62との間に位置する調整ロッド44のロッド本体50Aの外周には、第1のスプリング64が介装されている。この第1のスプリング64は、左羽根48と右羽根62との間隔を広げる方向に付勢していえる。即ち、この第1のスプリング64の付勢力により、左羽根48の係合部48bを後方に付勢して、双眼鏡本体14に一体的に形成されたストッパ片66の前端面に当接させ、一方、右羽根62を前方側に付勢している。この結果、右羽根62の雌ねじ部62bと調整ロッド44の雄ねじ部50aとの間のバックラッシュが、効果的に解消されることになる。
【0023】
この様に構成される調整機構32によれば、後述する様に視度差調整環38を回転させる事による調整ロッド44の回転によって、右羽根62のみが中心軸線方向に沿ってのみ移動する事になる。これにより、右側の望遠光学系20Rのレンズ枠26Rが移動駆動され、左側の望遠光学系20Lのレンズ枠26Lに対する相対位置が変化する。即ち、左側の望遠光学系20Lを基準として右側の望遠光学系20Rの対物レンズ12Rを光軸方向に沿って移動調整できる事になる。
即ち、使用者の左右両目の視度差に応じて、左側の視度を基準として視度差調整が行なえる事になる。この様に視度差調整を行なった後、転輪36の回転操作によって、転輪駒54を介して、調整ロッド44が中心軸線方向に沿ってのみ移動駆動され、この結果、左羽根48が中心軸線方向に沿って移動される事になる。
ここで、右羽根62は左羽根48と一体的に移動される。この結果、左右のレンズ枠26R,26Lが一体となって移動し、これにより左右の対物レンズ12L,12Rが光軸方向に沿って一体的に移動されて、焦点調整が行なえる事になる。
【0024】
ここで、双眼鏡本体14の内部は、以上の説明から明らかな様に、左右一対の接眼レンズ12L,12Rが装着されており、水密に維持されなければならない。この為、上述した開口34は、図示していないが、防水パッキングを介して、上蓋が取り付けられており、この開口34は、組み立て完了時において、防水状態で、閉塞される事になる。一方、転輪36は操作者による操作を受ける為に外部に露出していなければならない。この為、双眼鏡本体14の内外とに渡り延出する調整ロッド44が挿通される挿通孔46も、同様に水密に維持されなければならない。この為、この一実施例においては、調整ロッド44の前方ロッド部50のロッド本体50Aの外周には、略ドーナッツ形状の防水パッキング68が嵌入されている。この防水パッキング68の内周面68aは滑らかに形成され、前方ロッド部50のロッド本体50Aの滑らかな外周面に水密に摺接する様に設定されている。また、防水パッキング68の外周面には、上述した挿通孔46の内周縁が水密に嵌合する嵌合溝68bが円周方向に沿って全周に渡り形成されている。
【0025】
この様に、この一実施例においては、調整ロッド44とこれが挿通される挿通孔46との間には、図1及び図2に示す様な簡単な形状の略ドーナッツ形状の防水パッキング68が介設されているので、この調整ロッド44が視度差調整の為に回転駆動されたとしても、また、焦点調整の為に中心軸線方向に沿って移動駆動されたとしても、防水パッキング68の滑らかな内周面68aと調整ロッド44の前方ロッド部50のロッド本体50Aの滑らかな外周面とは、互いに水密な状態で摺接する事が許容される事になる。この結果、例え、調整機構32において視度差調整または焦点調整を実行したとしても、双眼鏡本体14内は水密に維持され、この様にして、視度差調整及び焦点調整が可能でありながら防水機能を発揮し得る防水双眼鏡が提供される事になる。
【0026】
ここで、調整ロッド44の後端、特に、後方ロッド部52の後部には、視度差調整環38が後述する係止機構を介して装着されており、この視度差調整環38によって調整ロッド44を回転操作できるようになっている。
【0027】
即ち、既に説明した様に、調整ロッド44の後方ロッド部52の大径部52Bには、平坦面52cが形成され、この平坦面52cには係合溝58が形成されている。一方、視度差調整環38には、断面形状円形の棒状のバネ材を屈曲形成した係止ばね70が固着されており、この係止ばね70の先端係止部70aは、調整ロッド44の後方ロッド部52の中心方向に向けて突出させて装着されており、これにより係合溝58に係合している。そして、この先端係止部70aは係止ばね70自身の弾性変形によって、視度差調整環38の径方向に沿って移動可能であると共に、周方向に沿っても所定範囲で揺動可能となっている。
【0028】
そして、後方ロッド部52の大径部52Bの外周にはリターンスプリング72が外挿され、視度差調整環38はリターンスプリング72によって後方側に付勢されると共に、その係止ばね70の先端係止部70aが係合溝58の後方側基端部58aに係止されて脱落しないようになっている。つまり、この一実施例では、係止ばね70,係合溝58及びリターンスプリング72が上述した係止機構を構成しているものである。
【0029】
また、図1に示す様に、左右の鏡体18L,18Rの後面は、双眼鏡本体14に取り付けられた板ばね74により前方に付勢されており、鏡体18L,18Rと双眼鏡本体14との接合面における防水パッキングが確実に防水機能を発揮することが出来る様に設定されている。尚、このリターンスプリング72の外周を覆う様に、且つ、板ばね74を隠す様にする為に、左右の鏡体18L,18Rの後面には後蓋60が取り付けられている。ここで、この後蓋60のリターンスプリング72の外周を覆う部分の外径は、隣接する転輪36と略同一に設定されている。
【0030】
ここで、係合溝58は、その平面形状の拡大図を図3に示す如く形成されている。尚、図中右側が調整ロッド44の後端側である。この係合溝58は、係止ばね70の先端係止部70aが移動可能に嵌合する幅を有し、後端側(右端側)の基端部58aと、この基端部58aより図中水平方向前端側の係合凹部58eとを、基端部58aから図中下側を通って前端側に向かい上側斜め後方側に僅かに戻って係合凹部58eに至る下側経路と、この下側経路と略対称形状の上側経路とで、閉塞する無端周回経路を形成している。
【0031】
係合溝58の深さは、その部位によって異なり、図3中時計回り方向に説明すると、図4に示す様に、基端部58aから浅くなる方向の斜面部58bを介して平坦部58cに至り、その後、段部58d及び係合凹部58eと段々に深くなって最も深い底部58fに至り、この底部58fからは浅くなる方向の斜面部58gを介して、一旦、基端部58aより高く(浅く)なった後、基端部58aに戻るようになっている。
【0032】
次に、上述した様に構成された調整ロッド44への視度差調整環38の係止機構は、下記の如く作用する。
【0033】
前述の係止ばね70が係合溝58の後方基端部58aに係止されている図1に示す状態では、視度差調整環38の後端が双眼鏡本体14の後端面14aから所定量突出し、この突出した視度差調整環38を回転操作することによって調整ロッド44を回転させ、これにより容易に視度差調整を行なうことができる。
【0034】
更に、この状態から視度差調整環38をリターンスプリング72に抗して前方側に一旦押圧することにより、図1中に想像線で示す様に、また、図5に示す様に、視度差調整環38がカバー環74内に実質的に埋没して操作不能状態に係止することができるものである。
【0035】
即ち、視度差調整環38をリターンスプリング72に抗して前方側に押圧すると、係止ばね70の先端係止部70aが係合溝58の下側経路に沿って移動し(先端係止部70aは溝の深さ方向に付勢されており、斜面部段部58dと基端部58aとの境界は斜面部段部58dの方が高い為に、上側経路側には移動不能である。)、先端係止部70aが下側経路の最前端部に至った後押圧力を緩めるとリターンスプリング72の付勢力で視度差調整環38が後方側に戻り、先端係止部70aが係合凹部58eに至って(平坦部58cの方が浅い為段部58dから平坦部58cへは不可逆)、この係合凹部58eに係止されることとなる。この状態が、図1において想像線で示すと共に、図5に示す様に、視度差調整環38が双眼鏡本体14に取り付けられたカバー環74内部に実質的に埋没した操作不能状態である。
【0036】
この操作不能の状態から、再度視度差調整環38をリターンスプリング72に抗して押圧すると、先端係止部70aが係合凹部58eから底部58f(係合凹部58eから平坦部58cには不可逆)に移動し、その後、押圧力を解除するとリターンスプリング72の付勢力で先端係止部70aが上側経路に沿って移動することで視度差調整環38は後方側に移動し、先端係止部70aが基端部58aに至って視度差調整環38の後端が双眼鏡本体14の後端面から所定量突出し、図1に再び示す様に、操作可能状態となる。
【0037】
つまり、視度差調整環38を押圧操作する都度、その後端が双眼鏡本体14の後端面14aから突出する操作可能位置と、双眼鏡本体14内に埋没する操作不能位置とに交互に繰返し係止されるものであり、双眼鏡本体14の後端面から突出する位置で視度差調整環38を操作して視度調整を行なった後、視度差調整環38を押圧して双眼鏡本体14内に埋没状態としておくことで、一旦設定した視度差を誤操作により損なう事を確実に防止する事ができる事になる。
【0038】
再び図1に示す様に、この防水双眼鏡10を、例えばこの防水双眼鏡10の使用者の首に吊すことが出来る様にする為に、ストラップ76が着脱自在に取り付けられる様に構成されている。即ち、このストラップ76の両端には、尾錠78が夫々取り付けられており、左右の鏡体18L,18Rの外側面には、尾錠78が着脱自在に取り付けられる取付部80L,80Rが設けられている。
【0039】
ここで、尾錠78は、ストラップ76の端部が図示する様に押し返された状態で係止される尾錠本体78aと、この尾錠本体78aに固着された係止ピン78bとから構成されている。そして、この係止ピン78bは、図6に取り出して示す様に、尾錠本体78aに圧入されるピン本体78b1 と、このピン本体78b1 と同軸に設定され、尾錠本体78aから突出するピン突出部78b2 と、このピン突出部78b2 の端部に一体的に形成される外方フランジ部78c2 とから構成されている。
【0040】
尚、この一実施例において、ピン突出部78b2 の直径をd1 と、また、外方フランジ部78b3 の直径をd2 と夫々規定する。ここで、d1 <d2 であることは言うまでもない。
【0041】
次に、左右の取付部80L,80Rを説明するが、両者は同一に構成されているので、右側の取付部80Rのみを説明し、左側の取付部80Lの説明を省略する。即ち、図7に示す様に、取付部80Rは、右側の鏡体18Rの外側面に形成された凹部82と、この凹部82内に、外側面に直交する方向に沿って移動自在に収納されたロック部材84と、このロック部材84と凹部82の底部との間に介設され、ロック部材84を突出する方向に付勢する押し出しスプリング86とを備えている。
【0042】
ここで、このロック部材84の上面には、上述した係止ピン78bの外方フランジ部78b3 を受ける為の凹み84aが形成され、この凹み84aの一側は開放されている。換言すれば、この凹み84aは、上方から係止ピン78bの外方フランジ部78b3 を受けた後、外方フランジ部78b3 の下面を凹み84aの底面と摺接させた状態で、この係止ピン78bを開放された一側から外方に向けて凹み84aから取り出す事が出来る様に形成されている。また、このロック部材84の底面の上述した一側とは反対側の他側の端縁には、凹部82の他側に張り出した張り出し片82aに係合するフランジ部84bが突出形成されている。
このフランジ部84bが張り出し片82aに内方から係合する事により、押し出しスプリング86の付勢力に抗して、ロック部材84の押し出しが係止され、その係止位置に弾性的に保持される事になる。
【0043】
一方、凹部82の周縁を規定する鏡体18Rの部分の外周面の、ロック部材84の凹み84aの開放された一側に対向する部位には、ボス部88が突出形成されている。このボス部88には、係止ピン78bが側方から嵌合する様に形成された嵌合溝90が形成されている。即ち、この嵌合溝90は、ボス部88の上面及び凹部82の側壁を規定する側面に夫々開口し、特に、その縦断面形状を、逆T字状になる様に形成されている。詳細には、この嵌合溝90は、ボス部88の上面に開口し、上述した直径d1 より僅かに大きく設定された幅を有する第1の長溝90aと、この第1の長溝90aの下方に連続した状態で形成され、上述した直径d2 よりも僅かに大きく設定された幅を有する第2の長溝90bとを備えて構成されている。
【0044】
ここで、上述したロック部材84は、これに何ら外力が作用しない状態、即ち、図7に示す様に、押し出しスプリング86の付勢力により、ロック部材84のフランジ部84bが凹部82の張り出し片82aに内方から係合する状態で、第2の長溝90bのボス部88の側面に開口する部分は、ロック部材84の側面により閉塞される様に設定されている。
【0045】
以上の様に構成される取付部80Rに、尾錠78を着脱する動作を図7乃至図10を参照して説明する。
【0046】
先ず、取付部80Rに尾錠78を取り付ける場合には、図7に示す様に、尾錠78に固定された係止ピン78bを、ロック部材84の凹み84aに離間対向する位置にもたらす。この後、図8に示す様に、尾錠78をロック部材84に近接させ、係止ピン78bを凹み84aの底面に当接させ、ロック部材84を押し出しスプリング86の付勢力に抗して内方に押し込む。そして、凹み84aの底面と嵌合溝90の第2の長溝90bの底面とが略面一に設定された状態で、図9に示す様に、尾錠78をボス部88に向けてスライドさせる。これにより、係止ピン78bの外方フランジ部78b3 は第2の長溝90b内に、また、ピン突出部78cは第1の長溝90a内に、夫々嵌入する。
【0047】
そして更に尾錠78を側方にスライドさせ、係止ピン78bが嵌合溝90内に完全に嵌入した状態で、図10に示す様に、ロック部材84を内方に向けて押し込んでおく外力が消滅する事になる。この結果、ロック部材84は押し出しスプリング86の付勢力により外方に押し出され、ロック部材84のフランジ部84bが凹部82の張り出し片82aに内方から係合する状態で停止する。この状態で、第2の長溝90bのボス部88の側面に開口する部分は、ロック部材84の側面により閉塞されているので、ロック部材84を押し出しスプリング86の付勢力に抗して押し下げない限り、係止ピン78bは嵌合溝90内にロックされる事になる。
【0048】
即ち、図10に示す状態で、尾錠78は取付部80Rに取り付けられる事になる。
【0049】
一方、この尾錠78を取付部80Rから取り外す場合には、図10に示す状態から、手指等でロック部材84を押し出しスプリング86の付勢力に抗して押し込む。この押し込み状態から、図9、図8に順次示す様に、尾錠78を取り付け時とは逆方向にスライドさせる。この結果、図7に示す様に、尾錠78は取付部80Rから容易に取り外される事になる。
【0050】
このように、この一実施例においては、ストラップ76は、その両端に尾錠78を固定され、これら尾錠78を介して、鏡体18L,18Rに夫々着脱自在に取り付けられる事になる。この結果、ストラップ76が不要の場合には、単に、手指等でロック部材84を押し出しスプリング86の付勢力に抗して押し込んだ状態で尾錠78をスライドさせるだけで、簡単に、尾錠78を対応する取付部80から取り外すことが出来る事になる。また、ストラップ76が必要な場合には、尾錠78の係止ピン78bでロック部材84を押し出しスプリング86の付勢力に抗して押し込んだ状態で尾錠78をスライドさせるだけで、簡単に、尾錠78を対応する取り付け部80に取り付けることが出来る事になる。
【0051】
このようにして、着脱性が良い状態で、ストラップ76は防水双眼鏡10に取り付けることが出来る事になる。
【0052】
また再び図1に示す様に、この防水双眼鏡10の左右の鏡体18a,18bの接眼レンズ16L,16Rの夫々の外周には、左右の目当て機構92L,92Rが夫々取り付けられている。ここで、左右の目当て機構92L,92Rは左右対称に構成されており、以下の説明においては、右側の目当て機構92Rのみを説明し、左側の目当て機構92Lの説明を省略する。
【0053】
即ち、右側の目当て機構92Rは、鏡体18Rの後端面にねじ止めされた接眼筒押え環94Rを備えており、接眼筒押え環94Rの外周には、目当て環96Rが光軸方向に沿って摺動自在に嵌入されている。また、この目当て環96Rの外周には、目当て98Rが固定的に嵌入されている。
【0054】
詳細には、図11に取り出して示す様に、接眼筒押え環94Rは、円筒状の筒本体94aを備え、この筒本体94aの外周面の基端部側の端部には、対応する鏡体18Rの後端面にねじ止めされる雄ねじ部94bが形成されている。また、この筒本体94aの先端部側の端部には、互いに対向する位置に形成された一対の凹所94cが開口されており、各凹所94cの基端部側の側壁から先端に向けて張り出し片94dが突出している。また、各張り出し片94dの先端部の外周面にはボス部94eが突設され、各ボス部94eの外周面には、係合突起94fが突設されている。ここで、各ボス部94eの外周面と筒本体94aの外周面とは面一に、換言すれば、同一半径を有する様に設定されている。
【0055】
更に、筒本体94aの外周面には、互いに対向する位置に、軸線方向に沿って延出するスライドガイド用の凹部94gが形成されている。ここで、各凹部94gは、上述した各張り出し片94dと各々同軸に整合した状態で延出する様に設定されている。また、各凹部94gは、対応する張り出し片94dの基端部で終端する様に設定されている。尚、各張り出し片94dは薄肉状に形成され、これにより、半径方向に弾性力を有する様になされている。
【0056】
一方、上述した目当て環96Rは、上述した接眼筒押え環94Rの外周に摺動自在に嵌合する環本体96aを備え、この環本体96aの内周面の基端部側の端部には、上述したスライドガイド用の凹部94gに夫々嵌合するガイド用凸部96bが突設されている。これらガイド用凸部96bと対応する凹部94gとの嵌合により、目当て環96Rは回動することなく、軸線方向のみに沿って接眼筒押え環94Rの外周を摺動移動する様に規制される事になる。また、環本体96aの基端部側には、これが接眼筒押え環94Rから引き出された状態で一対の係合突起94fに夫々係止される第1の係止孔96cが厚さ方向に貫通した状態で形成されると共に、先端部側には、環本体96aが接眼筒押え環94Rに押し込められた状態で一対の係合突起94fに夫々係止される第2の係止孔96dが厚さ方向に貫通した状態で形成されている。即ち、この一実施例においては、上述した張り出し片94d、係合突起94f、第1及び第2の係止孔96c,96dにより、クリック係止機構が構成される事になる。
【0057】
以上の様に目当て機構92L,92Rは構成されているので、未使用状態、または、眼鏡をかけた人の使用状態においては、図12に示す様に、目当て環96L,96Rは軸線方向に沿ってスライドする様に押し込められ、この押し込み状態において、接眼筒押え環94L,94Rに形成された一対の係合突起94fが、目当て環96L,96Rの第2の係止孔96dに夫々係合し、この結果、目当て環96L,96Rは押し込み位置に弾性的に保持(即ち、クリック係止)される事になる。従って、例え、この防水双眼鏡10を用いて上方を観察する場合においても、この目当て環96L,96Rが自重により下方にスライドして引き出されて来る事が効果的に防止される事になる。
【0058】
一方、眼鏡をかけていない人の使用状態においては、図13に示す様に、目当て環96L,96Rは接眼筒押え環94L,94Rから軸線方向に沿ってスライドする様に引き出され、この引き出し状態において、接眼筒押え環94L,94Rに形成された一対の係合突起94fが、目当て環96L,96Rの第1の係止孔96cに夫々係合し、この結果、目当て環96L,96Rは引き出し位置に弾性的に保持(即ち、クリック係止)される事になる。従って、例えこの防水双眼鏡10を用いて下方を観察する場合においても、この目当て環96L,96Rが自重により下方にスライドして押し入れられる事が効果的に防止される事になる。
【0059】
尚、この一実施例においては、目当て98L,98Lは、図14に示す様に夫々対応する目の外側部方向、即ち、目尻方向に延び、両目の外側部を覆う様にして、この防水双眼鏡10を用いて観察中に、目の外側部から侵入する外光により観察し難い状態を回避することが出来る様に設定されている。ここで、上述した様に、この目当て98L,98Rが取り付けられる目当て環96L,96Rは、接眼筒押え環94L,94Rに対して、その回転を禁止された状態で軸線方向に沿ってのみスライドする様に規制されている。この結果、目当て98L,98Rを引き出し位置と押し込み位置との間で何回スライド移動させたとしても、目当て98L,98Rの取り付け姿勢は変化せず、常に、両目の外側部を覆う状態が達成される事になる。
【0060】
また、このように構成された目当て機構92L,92Rにおいては、接眼筒押え環94L,94Rは、張り出し片94d及び係合突起94fを一体的に備えた状態で構成されているので、部品点数を最小限に押えることが出来、これにより、コストの低廉化を図ることが出来る事になる。
【0061】
この考案は、上述した一実施例の構成に限定されることなく、この考案の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である事は言うまでもない。
【0062】
【考案の効果】
以上詳述した様に、この考案によれば、簡単にストラップを着脱する事の出来る双眼鏡が提供される事になる。
【0063】
また、この考案によれば、簡単にストラップを着脱することが出来ると共に、ストラップと双眼鏡との相対位置を固定する事の出来る双眼鏡が提供される事になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案に係わる双眼鏡の一実施例の構成が適用される防水双眼鏡を、上蓋を外した状態で、且つ、一部切り欠いた状態で示す平面図である。
【図2】調整ロッドの構成を取り出して示すと共に、転輪及び転輪駒との連結状態を示す分解斜視図である。
【図3】係合溝の形状を拡大した状態で示す平面図である。
【図4】係合溝の深さの変化を、この係合溝を一直線状に展開した状態で示す展開図である。
【図5】視度差調整環が押し込まれた状態で要部を取り出した状態で示す平面図である。
【図6】尾錠とこれが取り付けられる取付部とを取り出して示す斜視図である。
【図7】尾錠とこれが取り付けられる取付部とを、尾錠が取り付けられる前の状態で示す正面断面図である。
【図8】尾錠とこれが取り付けられる取付部とを、尾錠の係止ピンがロック部材を押し込んだ状態で示す正面断面図である。
【図9】尾錠とこれが取り付けられる取付部とを、尾錠の係止ピンがロック部材を押し込んまま、側方にスライドさせる途中の状態で示す正面断面図である。
【図10】尾錠とこれが取り付けられる取付部とを、尾錠の係止ピンがボス部の嵌合溝内に名入り込み、ロック部材でロックされた状態で示す正面断面図である。
【図11】目当て機構の構成を取り出して示す分解斜視図である。
【図12】目当て機構を目当て環が押し込まれた状態で示す側断面図である。
【図13】目当て機構を目当て環が引き出された状態で示す側断面図である。
【図14】目当ての形状を示す背面図である。
【符号の説明】
10 双眼鏡(防水双眼鏡)
12L;12R 対物レンズ
14 双眼鏡本体
16L;16R 接眼レンズ
18L;18R 鏡体
20L;20R 望遠光学系
22L;22R 保持孔
24 外装ラバー
26L;26R 対物レンズ枠
28L;28R 保護ガラス
30L;30R 防水パッキング
32 調整機構
34 開口
36 転輪
36a リードねじ溝
38 視度差調整環
40 凹所
42 仕切り板
44 調整ロッド
46 挿通孔
48 左羽根
48a 操作アーム
48b 係合部
50 前方ロッド部
50A ロッド本体
50B 嵌合ロッド
50a 雄ねじ部
50b 第1の係合円周溝
50c 第2の係合円周溝
50d;50e 係合片
52 後方ロッド部
52A 小径部
58b 大径部
52a 嵌合孔
52b 第3の係合円周溝
52c 平坦面
54 転輪駒
54a リードねじ溝
54b 側溝
54c;54d 係止孔
56 ストッパ
58 係合溝
60 後蓋
62 右羽根
62a 可動操作アーム
62b 雌ねじ部
64 第1のスプリング
66 ストッパ片
68 防水パッキング
68a 内周面
68b 嵌合溝
70 係止ばね
70a 先端係止部
72 リターンスプリング
74 板ばね
76 ストラップ
78 尾錠
78a 尾錠本体
78b 係止ピン
78b1 ピン本体
78b2 ピン突出部
78b3 外方フランジ部
80L;80R 取付部
82 凹部
82a 張り出し片
84 ロック部材
84a 凹み
84b フランジ部
86 押し出しスプリング
88 ボス部
90 嵌合溝
90a 第1の長溝
90b 第2の長溝
92L;92R 目当て機構
94L;94R 接眼筒押え環
94a 筒本体
94b 雄ねじ部
94c 凹所
94d 張り出し片
94e ボス部
94f 係合突起
94g スライドガイド用の凹部
96L;96R 目当て環
96a 環本体
96b ガイド用凸部
96c;96d 係止孔
98L;98R 目当て

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】左右一対の対物レンズが装填された双眼鏡本体と、この双眼鏡本体に取り付けられた左右一対の鏡筒と、両鏡筒の外周面に夫々取り付けられた左右一対の取り付け部と、両取り付け部に夫々着脱自在に取り付けられる左右一対の尾錠と、両尾錠に両端を夫々係止されるストラップとを具備する事を特徴とする双眼鏡。
【請求項2】前記尾錠は、前記ストラップの対応する端部が係止される尾錠本体と、この尾錠本体に固着された係止ピンとを備える事を特徴とする請求項1に記載の双眼鏡。
【請求項3】前記係止ピンは、前記尾錠本体に植設されるピン本体と、このピン本体に同軸に連接され、尾錠本体から外方に突出するピン突出部と、このピン突出部の先端に形成された外方フランジ部とから一体に形成される事を特徴とする請求項2に記載の双眼鏡。
【請求項4】前記取り付け部は、対応する鏡筒の外周面に形成された凹部と、この凹部に押し込み可能に配設され、前記係止ピンを受ける凹みが外面に形成されたロック部材と、このロック部材を外方に押し出す様に付勢するスプリングと、前記凹部の側縁部に形成され、前記係止ピンのピン突出部及び外方フランジ部が側方から嵌入される嵌合溝とを備える事を特徴とする請求項3に記載の双眼鏡。
【請求項5】前記凹みは、前記嵌合溝に対向する側が、開放されている事を特徴とする請求項4に記載の双眼鏡。
【請求項6】前記嵌合溝は、凹部に隣接する鏡筒の外周面に突出形成されたボス部に形成される事を特徴とする請求項4または5に記載の双眼鏡。
【請求項7】前記ロック部材は、前記スプリングの付勢力により、これに外力が作用しない状態において、前記凹みの底面が前記嵌合溝の底面よりも前記鏡筒の半径方向外方に位置する様に付勢される事を特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載の双眼鏡。
【請求項8】前記ロック部材は、前記スプリングの付勢力に抗して押し込まれる事により、前記凹みの底面が前記嵌合溝の底面よりも前記鏡筒の半径方向内方に変位させられる事を特徴とする請求項7に記載の双眼鏡。
【請求項9】前記嵌合溝は、前記鏡筒の半径方向外方側に前記係止ピンのピン突出部が側方から嵌入される第1の長溝と、内方側に前記係止ピンの外方フランジが側方から嵌入される第2の長溝とを備えている事を特徴とする請求項4乃至8の何れか1項に記載の双眼鏡。
【請求項10】前記ロック部材の一側には、前記凹部に形成された張り出し片に内方から係合可能なフランジ部が突出形成され、該フランジ部が張り出し片に係合する事により、前記スプリングの付勢力に抗して、係合位置に弾性的に保持される事を特徴とする請求項4乃至9の何れか1項に記載の双眼鏡。
【請求項11】左右一対の対物レンズが装填された双眼鏡本体と、この双眼鏡本体に取り付けられた左右一対の接眼用の鏡筒と、ストラップと、このストラップの両端に夫々係止される尾錠本体と、各尾錠本体に固着され、突出部先端に外方フランジ部が形成された係止ピンと、両鏡筒の外周面に夫々弾性的に押し込み可能に取り付けられ、側面が開放されて前記係止ピンの外方フランジ部を受ける為の凹みが外周面に形成された左右一対のロック部材と、各凹みの開放された側面に対向した前記鏡筒の部位に形成され、前記凹みを押し込んだ係止ピンの外方フランジ部が側方から嵌入される嵌合溝とを具備し、各嵌合溝内に前記係止ピンの外方フランジ部が全体的に嵌入される事により、対応する前記ロック部材が押し込み前の位置に弾性復帰して、該係止ピンは対応する前記鏡筒に取り付けられる事を特徴とする双眼鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【登録番号】第3000119号
【登録日】平成6年(1994)5月6日
【発行日】平成6年(1994)8月2日
【考案の名称】双眼鏡
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−456
【出願日】平成6年(1994)1月12日
【出願人】(000000527)旭光学工業株式会社 (1,878)