説明

双輪キャスターおよびその取り付け方法

【課題】右車輪8-1および左車輪8-2の接地面8-1b,8-2bとキャスターボルト3の上端3f1との間隔を変更する。
【解決手段】水平方向に延びている車軸7がキャスター本体5によって支持され、右車輪8-1および左車輪8-2が車軸7に取り付けられ、鉛直方向に延びているキャスターボルト3に対してキャスター本体5が旋回可能に構成されており、双輪キャスター100が取り付けられた被取付体の高さを変更することができる双輪キャスター100において、キャスターボルト3に対して回転できず、上下方向に摺動可能なギアボルト2の雄ねじ部2bと、操作リング1の雌ねじ部1bとを螺合させ、キャスター本体5の上端の当接面5cとギアボルト2の下端の当接面2dとを2dさせ、操作リング1の上面とキャスターボルト3のストッパー部3dの下面とを直接または間接的に当接させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平方向に延びている車軸がキャスター本体によって支持され、右車輪および左車輪が車軸に取り付けられ、鉛直方向に延びているキャスターボルトに対してキャスター本体が旋回可能に構成されており、双輪キャスターが取り付けられた被取付体の高さを変更することができる双輪キャスターおよびその取り付け方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、右車輪および左車輪の接地面とキャスターボルトの上端との間隔を変更することができる双輪キャスターおよびその取り付け方法に関する。
【0003】
詳細には、本発明は、双輪キャスターのキャスターボルトが取り付けられる被取付体の高さが頻繁に変更されるのに伴って被取付体が破損してしまうおそれを排除することができる双輪キャスターおよびその取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0004】
従来から、水平方向に延びている車軸がキャスター本体によって支持され、右車輪および左車輪が車軸に取り付けられ、鉛直方向に延びているキャスターボルトに対してキャスター本体が旋回可能に構成されている双輪キャスターが知られている。この種の双輪キャスターの例としては、例えば特開2004−75040号公報の図5に記載されたものがある。
【0005】
特開2004−75040号公報の図5に記載された双輪キャスターでは、水平方向に延びている車軸(水平軸)が、キャスター本体(枠体)によって支持されている。また、車軸(水平軸)に対して右車輪(右ローラー)が回転できるように、右車輪(右ローラー)が車軸(水平軸)に取り付けられている。更に、車軸(水平軸)に対して左車輪(左ローラー)が回転できるように、左車輪(左ローラー)が車軸(水平軸)に取り付けられている。
【0006】
また、特開2004−75040号公報の図5に記載された双輪キャスターでは、キャスター本体(枠体)が、鉛直方向に延びているキャスターボルト(支軸)に対して旋回可能に構成されている。
【0007】
更に、特開2004−75040号公報の図5に記載された双輪キャスターでは、キャスターボルト(支軸)の上端に雄ねじ部が形成されている。また、双輪キャスターが取り付けられる被取付体(テーブルの脚部)の底面にねじ穴(雌ねじ部)が形成されている。更に、キャスターボルト(支軸)の上端の雄ねじ部と、被取付体(テーブルの脚部)の底面の雌ねじ部とが螺合せしめられている。
【0008】
詳細には、特開2004−75040号公報の図5に記載された双輪キャスターでは、被取付体(テーブルの脚部)に対してキャスターボルト(支軸)を回転させ、キャスターボルト(支軸)の上端の雄ねじ部が被取付体(テーブルの脚部)の底面のねじ穴(雌ねじ部)に進入する量を変更することにより、つまり、キャスターボルト(支軸)の上端の雄ねじ部と被取付体(テーブルの脚部)の底面の雌ねじ部とが噛み合うねじ山の数を変更することにより、被取付体の高さが変更されている。
【0009】
ところで、特開2004−75040号公報の図5に記載された双輪キャスターでは、右車輪および左車輪の接地面とキャスターボルト(支軸)の上端の雄ねじ部との間隔を変更することができない。
【0010】
そのため、特開2004−75040号公報の図5に記載された双輪キャスターでは、被取付体の高さを変更するためには、上述したように、キャスターボルト(支軸)の上端の雄ねじ部が被取付体(テーブルの脚部)の底面のねじ穴(雌ねじ部)に進入する量を変更しなければならない。つまり、キャスターボルト(支軸)の上端の雄ねじ部と被取付体(テーブルの脚部)の底面の雌ねじ部とが噛み合うねじ山の数を変更しなければならない。
【0011】
それゆえ、特開2004−75040号公報の図5に記載された双輪キャスターでは、被取付体(テーブルの脚部)が比較的脆弱な材料によって形成されている場合には、被取付体の高さを頻繁に変更すると、被取付体(テーブルの脚部)が破損してしまうおそれがある。
【0012】
【特許文献1】特開2004−75040号公報の図5
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記問題点に鑑み、本発明は、右車輪および左車輪の接地面とキャスターボルトの上端との間隔を変更することができる双輪キャスターおよびその取り付け方法を提供することを目的とする。
【0014】
詳細には、本発明は、双輪キャスターのキャスターボルトが取り付けられる被取付体の高さが頻繁に変更されるのに伴って被取付体が破損してしまうおそれを排除することができる双輪キャスターおよびその取り付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、水平方向に延びている車軸(7)をキャスター本体(5)によって支持し、
車軸(7)に対して右車輪(8−1)が回転できるように、右車輪(8−1)を車軸(7)に取り付け、
車軸(7)に対して左車輪(8−2)が回転できるように、左車輪(8−2)を車軸(7)に取り付け、
鉛直方向に延びているキャスターボルト(3)に対してキャスター本体(5)が旋回することができ、キャスターボルト(3)に対してキャスター本体(5)が上下方向に摺動することができるように、キャスターボルト(3)の円柱状部(3a)と、キャスター本体(5)の円柱状のキャスターボルト収容穴(5b)とを嵌合させ、
キャスターボルト(3)の円柱状部(3a)の上側に角柱状部(3c)を形成し、
ギアボルト(2)をキャスター本体(5)の上側に配置し、
ギアボルト(2)がキャスターボルト(3)に対して回転することができず、ギアボルト(2)がキャスターボルト(3)に対して上下方向に摺動することができるように、キャスターボルト(3)の角柱状部(3c)とギアボルト(2)の角柱状穴(2c)とを嵌合させ、
キャスター本体(5)の上端の当接面(5c)と、ギアボルト(2)の下端の当接面(2d)とを当接させ、
ギアボルト(2)の外周面に雄ねじ部(2b)を形成し、
操作リング(1)をギアボルト(2)のまわりに配置し、操作リング(1)の内周面の雌ねじ部(1b)と、ギアボルト(2)の外周面の雄ねじ部(2b)とを螺合させ、
キャスターボルト(3)の角柱状部(3c)の上側にストッパー部(3d)を形成し、
操作リング(1)の上面とキャスターボルト(3)のストッパー部(3d)の下面とを直接または間接的に当接させ、
操作リング(1)がギアボルト(2)およびキャスターボルト(3)に対して一方の向きに回転せしめられると、ギアボルト(2)およびキャスター本体(5)が、操作リング(1)およびキャスターボルト(3)に対して上向きに移動し、それにより、右車輪(8−1)の接地面(8−1b)および左車輪(8−2)の接地面(8−2b)とキャスターボルト(3)の上端(3f1)との間隔が小さくなり、
操作リング(1)がギアボルト(2)およびキャスターボルト(3)に対して逆向きに回転せしめられると、ギアボルト(2)およびキャスター本体(5)が、操作リング(1)およびキャスターボルト(3)に対して下向きに移動し、それにより、右車輪(8−1)の接地面(8−1b)および左車輪(8−2)の接地面(8−2b)とキャスターボルト(3)の上端(3f1)との間隔が大きくなることを特徴とする双輪キャスター(100)が提供される。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、操作リング(1)の直径を右車輪(8−1)および左車輪(8−2)の直径の約9割に設定したことを特徴とする請求項1に記載の双輪キャスター(100)が提供される。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、キャスターボルト(3)に対するキャスター本体(5)の旋回のロック/アンロックを切り換えるための旋回ロック機構を設け、
旋回ロック機構の一部を構成する係合突起(9a1)と係合するための係合溝(2a)をギアボルト(2)に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の双輪キャスター(100)が提供される。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、キャスターボルト(3)のストッパー部(3d)の上側に雄ねじ部(3f)を形成し、
キャスターボルト(3)の雄ねじ部(3f)と被取付体の底面の雌ねじ部とを螺合させることのみによって、双輪キャスター(100)が被取付体に取り付けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の双輪キャスター(100)の取り付け方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の双輪キャスター(100)では、水平方向に延びている車軸(7)がキャスター本体(5)によって支持されている。また、車軸(7)に対して右車輪(8−1)が回転できるように、右車輪(8−1)が車軸(7)に取り付けられている。更に、車軸(7)に対して左車輪(8−2)が回転できるように、左車輪(8−2)が車軸(7)に取り付けられている。
【0020】
また、請求項1に記載の双輪キャスター(100)では、鉛直方向に延びているキャスターボルト(3)に対してキャスター本体(5)が旋回することができ、キャスターボルト(3)に対してキャスター本体(5)が上下方向に摺動することができるように、キャスターボルト(3)の円柱状部(3a)と、キャスター本体(5)の円柱状のキャスターボルト収容穴(5b)とが嵌合せしめられている。
【0021】
更に、請求項1に記載の双輪キャスター(100)では、キャスターボルト(3)の円柱状部(3a)の上側に角柱状部(3c)が形成されている。また、ギアボルト(2)がキャスター本体(5)の上側に配置されている。更に、ギアボルト(2)がキャスターボルト(3)に対して回転することができず、ギアボルト(2)がキャスターボルト(3)に対して上下方向に摺動することができるように、キャスターボルト(3)の角柱状部(3c)とギアボルト(2)の角柱状穴(2c)とが嵌合せしめられている。
【0022】
また、請求項1に記載の双輪キャスター(100)では、キャスター本体(5)の上端の当接面(5c)と、ギアボルト(2)の下端の当接面(2d)とが、当接せしめられている。更に、ギアボルト(2)の外周面に雄ねじ部(2b)が形成されている。また、操作リング(1)がギアボルト(2)のまわりに配置されている。
【0023】
更に、請求項1に記載の双輪キャスター(100)では、操作リング(1)の内周面の雌ねじ部(1b)と、ギアボルト(2)の外周面の雄ねじ部(2b)とが螺合せしめられている。また、キャスターボルト(3)の角柱状部(3c)の上側にストッパー部(3d)が形成されている。更に、操作リング(1)の上面と、キャスターボルト(3)のストッパー部(3d)の下面とが、直接または間接的に当接せしめられている。
【0024】
詳細には、請求項1に記載の双輪キャスター(100)では、操作リング(1)がギアボルト(2)およびキャスターボルト(3)に対して一方の向きに回転せしめられると、ギアボルト(2)およびキャスター本体(5)が、操作リング(1)およびキャスターボルト(3)に対して上向きに移動する。その結果、右車輪(8−1)の接地面(8−1b)および左車輪(8−2)の接地面(8−2b)とキャスターボルト(3)の上端(3f1)との間隔が小さくなる。
【0025】
一方、請求項1に記載の双輪キャスター(100)では、操作リング(1)がギアボルト(2)およびキャスターボルト(3)に対して逆向きに回転せしめられると、ギアボルト(2)およびキャスター本体(5)が、操作リング(1)およびキャスターボルト(3)に対して下向きに移動する。その結果、右車輪(8−1)の接地面(8−1b)および左車輪(8−2)の接地面(8−2b)とキャスターボルト(3)の上端(3f1)との間隔が大きくなる。
【0026】
つまり、請求項1に記載の双輪キャスター(100)によれば、右車輪(8−1)の接地面(8−1b)および左車輪(8−2)の接地面(8−2b)とキャスターボルト(3)の上端(3f1)との間隔を変更することができる。
【0027】
そのため、請求項1に記載の双輪キャスター(100)によれば、双輪キャスター(100)のキャスターボルト(3)が取り付けられる例えば家具などの被取付体とキャスターボルト(3)との相対位置関係を変更することなく、右車輪(8−1)の接地面(8−1b)および左車輪(8−2)の接地面(8−2b)とキャスターボルト(3)の上端(3f1)との間隔を変更することにより、被取付体の高さを変更することができる。
【0028】
その結果、請求項1に記載の双輪キャスター(100)によれば、双輪キャスター(100)のキャスターボルト(3)が取り付けられる例えば家具などの被取付体の高さが頻繁に変更されるのに伴って被取付体が破損してしまうおそれを排除することができる。
【0029】
詳細には、請求項1に記載の双輪キャスター(100)では、操作リング(1)を回転させることのみによって、被取付体の高さを変更することができる。そのため、請求項1に記載の双輪キャスター(100)によれば、圧縮コイルバネに抗して係止部材のロックを解除しながらキャスターボルト(支軸)を回転させなければ被取付体の高さを変更することができない特開2004−75040号公報の図5に記載された双輪キャスターよりも、被取付体の高さの変更操作をシンプルにすることができる。
【0030】
更に、請求項1に記載の双輪キャスター(100)では、操作リング(1)をリニアに回転させることができ、それゆえ、被取付体の高さをリニアに変更することができる。そのため、請求項1に記載の双輪キャスター(100)によれば、キャスターボルト(支軸)をリニアに回転させることができず、それゆえ、被取付体の高さをリニアに変更することができない特開2004−75040号公報の図5に記載された双輪キャスターよりも、被取付体の高さを微調整することができる。
【0031】
請求項2に記載の双輪キャスター(100)では、操作リング(1)の直径が右車輪(8−1)および左車輪(8−2)の直径の約9割に設定されている。つまり、操作リング(1)の直径が比較的大きい値に設定されている。
【0032】
そのため、請求項2に記載の双輪キャスター(100)によれば、操作リングとして機能する係止部材の直径が比較的小さい値に設定されている特開2004−75040号公報の図5に記載された双輪キャスターよりも、被取付体の高さの変更操作に要する力を小さくすることができる。
【0033】
請求項3に記載の双輪キャスター(100)では、キャスターボルト(3)に対するキャスター本体(5)の旋回のロック/アンロックを切り換えるための旋回ロック機構が設けられている。更に、旋回ロック機構の一部を構成する係合突起(9a1)と係合するための係合溝(2a)が、ギアボルト(2)に形成されている。
【0034】
そのため、請求項3に記載の双輪キャスター(100)によれば、キャスター本体(5)がキャスターボルト(3)に対して上下方向に相対移動せしめられても、キャスターボルト(3)に対するキャスター本体(5)の旋回のロックを確実に行うことができる。
【0035】
請求項4に記載の双輪キャスター(100)の取り付け方法では、キャスターボルト(3)のストッパー部(3d)の上側に雄ねじ部(3f)が形成されている。更に、キャスターボルト(3)の雄ねじ部(3f)と被取付体の底面の雌ねじ部とを螺合させることのみによって、双輪キャスター(100)が被取付体に取り付けられる。
【0036】
そのため、請求項4に記載の双輪キャスター(100)の取り付け方法によれば、圧縮コイルバネに抗して係止部材を押し下げた状態で係止部材を回転させることにより、キャスターボルト(支軸)の雄ねじ部と被取付体の底面の雌ねじ部とを螺合させなければならない特開2004−75040号公報の図5に記載された双輪キャスターの取り付け方法よりも、被取付体に対する双輪キャスター(100)の取り付け作業をシンプルにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の双輪キャスターの第1の実施形態について説明する。図1および図2は第1の実施形態の双輪キャスター100を示した図である。詳細には、図1(A)は第1の実施形態の双輪キャスター100の正面図、図1(B)は第1の実施形態の双輪キャスター100の左側面図、図2(A)は図1(A)のA−A線に沿った断面図、図2(B)は右車輪8−1および左車輪8−2の回転、並びに、キャスターボルト3に対するキャスター本体5の旋回のアンロック状態における双輪キャスター100の斜視図、図2(C)は右車輪8−1および左車輪8−2の回転、並びに、キャスターボルト3に対するキャスター本体5の旋回のロック状態における双輪キャスター100の斜視図である。
【0038】
図3は左後側かつ上側から見た第1の実施形態の双輪キャスター100の分解斜視図、図4は右後側かつ上側から見た第1の実施形態の双輪キャスター100の分解斜視図である。図5は第1の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成する操作リング1の部品図である。詳細には、図5(A)は操作リング1の平面図、図5(B)は操作リング1の正面図、図5(C)は操作リング1の斜視図、図5(D)は操作リング1の断面図である。図6は第1の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成するギアボルト2の部品図である。詳細には、図6(A)はギアボルト2の平面図、図6(B)はギアボルト2の正面図、図6(C)はギアボルト2の底面図、図6(D)はギアボルト2の斜視図、図6(E)は図6(A)のI−I線に沿った断面図である。
【0039】
図7〜図9は第1の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成するキャスター本体5の部品図である。詳細には、図7(A)はキャスター本体5の平面図、図7(B)はキャスター本体5の右側面図、図7(C)はキャスター本体5の後側面図、図8(A)はキャスター本体5の左側面図、図8(B)は左後側かつ上側から見たキャスター本体5の斜視図、図9(A)は図7(B)のB−B線に沿った断面図、図9(B)は図7(B)のC−C線に沿った断面図である。
【0040】
図10は第1の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成するロック部材9の部品図である。詳細には、図10(A)はロック部材9の右側面図、図10(B)はロック部材9の平面図、図10(C)はロック部材9の左側面図、図10(D)はロック部材9の底面図、図10(E)は左前側かつ上側から見たロック部材9の斜視図、図10(F)はロック部材9の正面図、図10(G)は図10(B)のD−D線に沿った断面図である。
【0041】
図11は第1の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成するブレーキヘッド10の部品図である。詳細には、図11(A)はブレーキヘッド10の平面図、図11(B)は右後側かつ上側から見たブレーキヘッド10の斜視図、図11(C)はブレーキヘッド10の正面図、図11(D)はブレーキヘッド10の右側面図、図11(E)は図11(C)のE−E線に沿った断面図である。
【0042】
図12は第1の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成するブレーキボックス11の部品図である。詳細には、図12(A)はブレーキボックス11の後側面図、図12(B)はブレーキボックス11の左側面図、図12(C)は図12(A)のF−F線に沿った断面図、図12(D)はブレーキボックス11の底面図、図12(E)は左後側かつ上側から見たブレーキボックス11の斜視図である。
【0043】
図13および図14は第1の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成する操作レバー12の部品図である。詳細には、図13(A)は操作レバー12の右側面図、図13(B)は操作レバー12の平面図、図13(C)は操作レバー12の左側面図、図13(D)は操作レバー12の底面図、図13(E)は操作レバー12の正面図、図14(A)は図13(B)のG−G線に沿った断面図、図14(B)は図13(B)のH−H線に沿った断面図、図14(C)は左前側かつ上側から見た操作レバー12の斜視図である。
【0044】
第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(A)、図3および図4に示すように、水平方向に延びている車軸7が、キャスター本体5の車軸収容穴5aに挿入され、キャスター本体5によって支持されている。第1の実施形態の双輪キャスター100では、車軸7が金属によって形成されている。また、キャスター本体5が、例えばPAなどの樹脂、アルミダイキャストなどによって形成されている。
【0045】
また、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図3および図4に示すように、車軸7に対して右車輪8−1が回転できるように、右車輪8−1が車軸7に取り付けられている。更に、車軸7に対して左車輪8−2が回転できるように、左車輪8−2が車軸7に取り付けられている。第1の実施形態の双輪キャスター100では、右車輪8−1および左車輪8−2の外周部分(地面に接地する部分)が、例えばPA、PURなどの樹脂によって形成されている。また、右車輪8−1および左車輪8−2の内側部分(ハブ)が、例えばPAなどの樹脂によって形成されている。
【0046】
詳細には、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図3に示すように、車軸7に対する右車輪8−1の回転をロックするために、右車輪8−1の内周面に複数の係合溝8−1aが形成されている。また、図4に示すように、車軸7に対する左車輪8−2の回転をロックするために、左車輪8−2の内周面に複数の係合溝8−2aが形成されている。
【0047】
更に、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(A)、図3および図4に示すように、鉛直方向に延びているキャスターボルト3に対してキャスター本体5が旋回できるように、かつ、キャスターボルト3に対してキャスター本体5が上下方向に摺動できるように、キャスターボルト3の円柱状部3aと、キャスター本体5の円柱状のキャスターボルト収容穴5bとが嵌合せしめられている。詳細には、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(A)、図3および図4に示すように、キャスターボルト3の円柱状部3aと、キャスター本体5のキャスターボルト収容穴5b(図9参照)とによって、隙間嵌めが構成されている。その結果、キャスター本体5がキャスターボルト3に対して旋回することができ、キャスター本体5がキャスターボルト3に対して上下方向に摺動することができる。
【0048】
また、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(A)、図3および図4に示すように、例えば家具などの被取付体(図示せず)の底面の雌ねじ部(図示せず)に対してキャスターボルト3の雄ねじ部3fを螺合させることのみにより、双輪キャスター100が例えば家具などの被取付体の底面に取り付けられる。詳細には、キャスターボルト3を例えば家具などの被取付体の底面にねじ止めする時に、キャスターボルト3のナット状のストッパー部3dまたはナット状部3eが用いられる。
【0049】
第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(A)、図3および図4に示すように、雄ねじ部3fがキャスターボルト3に設けられているが、第2の実施形態の双輪キャスター100では、代わりに、雄ねじ部3fを省略し、板状部材(図示せず)を例えば家具などの被取付体の底面に取り付け、その板状部材とキャスターボルト3とを連結することにより、双輪キャスター100を例えば家具などの被取付体の底面に取り付けることも可能である。
【0050】
詳細には、第1の実施形態の双輪キャスター100の組立時には、図2(A)、図3および図4に示すように、キャスターボルト3がワッシャー4に挿入され、ワッシャー4の上面がキャスターボルト3のストッパー部3dの下面に突き当てられる。更に、キャスターボルト3が操作リング1に挿入され、操作リング1のワッシャー収容凹部1cの上面がワッシャー4の下面に突き当てられる。
【0051】
第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(A)、図3および図4に示すように、操作リング1の上面と、キャスターボルト3のストッパー部3dの下面とが、ワッシャー4を介して間接的に当接せしめられているが、第3の実施形態の双輪キャスター100では、代わりに、ワッシャー4を省略し、操作リング1の上面とキャスターボルト3のストッパー部3dの下面とを直接当接させることも可能である。
【0052】
次いで、第1の実施形態の双輪キャスター100の組立時には、図2(A)、図3および図4に示すように、キャスターボルト3がギアボルト2の角柱状穴2cに挿入され、キャスターボルト3の角柱状部3cとギアボルト2の角柱状穴2cとが嵌合せしめられる。その結果、ギアボルト2は、キャスターボルト3に対して上下方向に摺動可能であるが、キャスターボルト3に対して回転できなくなる。第1の実施形態の双輪キャスター100では、キャスターボルト3のまわりに概略放射状に延びている複数の係合溝2aがギアボルト2に形成されており、これらの係合溝2aもキャスターボルト3に対して回転することができない。
【0053】
次いで、第1の実施形態の双輪キャスター100の組立時には、図2(A)、図3および図4に示すように、操作リング1のローレット部1aが把持され、操作リング1の内周面の雌ねじ部1bと、ギアボルト2の外周面の雄ねじ部2bとが螺合せしめられる。詳細には、第1の実施形態の双輪キャスター100では、操作リング1がギアボルト2およびキャスターボルト3に対して一方の向きに回転せしめられると、ギアボルト2が、操作リング1、ワッシャー4およびキャスターボルト3に対して上向きに移動する。一方、操作リング1がギアボルト2およびキャスターボルト3に対して逆向きに回転せしめられると、ギアボルト2が、操作リング1、ワッシャー4およびキャスターボルト3に対して下向きに移動する。
【0054】
次いで、第1の実施形態の双輪キャスター100の組立時には、図2(A)、図3および図4に示すように、キャスターボルト3の円柱状部3aが、キャスター本体5の円柱状のキャスターボルト収容穴5bに挿入され、次いで、バネ座19、圧縮コイルバネ16およびワッシャー14に挿入される。次いで、Eリング15がキャスターボルト3のEリング溝3bに装着される。その結果、第1の実施形態の双輪キャスター100では、圧縮コイルバネ16によって上向きに付勢されたバネ座19が、キャスター本体5のバネ座当接面5d(図9参照)に当接せしめられ、それにより、キャスター本体5が上向きに付勢され、キャスター本体5の上端のギアボルト当接面5c(図7、図8および図9参照)がギアボルト2の下端の当接面2d(図6参照)に当接せしめられている。
【0055】
詳細には、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(A)、図3および図4に示すように、キャスターボルト3の円柱状部3aの上側に角柱状部3cが形成されている。また、キャスターボルト3の角柱状部3cの上側にストッパー部3dが形成されている。更に、キャスターボルト3のストッパー部3dの上側に雄ねじ部3fが形成されている。また、ギアボルト2がキャスター本体5の上側に配置されている。更に、操作リング1がギアボルト2のまわりに配置されている。
【0056】
つまり、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図1、図2、図3および図4に示すように、操作リング1がギアボルト2およびキャスターボルト3に対して一方の向きに回転せしめられると、ギアボルト2およびキャスター本体5が、操作リング1、ワッシャー4およびキャスターボルト3に対して上向きに移動し、その結果、右車輪8−1の接地面8−1b(図1および図2参照)および左車輪8−2の接地面8−2b(図1参照)とキャスターボルト3の雄ねじ部3fの上端3f1(図1(B)中の実線)との間隔が小さくなる。一方、操作リング1がギアボルト2およびキャスターボルト3に対して逆向きに回転せしめられると、ギアボルト2およびキャスター本体5が、操作リング1、ワッシャー4およびキャスターボルト3に対して下向きに移動し、その結果、右車輪8−1の接地面8−1b(図1および図2参照)および左車輪8−2の接地面8−2b(図1参照)とキャスターボルト3の雄ねじ部3fの上端3f1(図1(B)中の破線)との間隔が大きくなる。
【0057】
すなわち、第1の実施形態の双輪キャスター100によれば、右車輪8−1の接地面8−1b(図1および図2参照)および左車輪8−2の接地面8−2b(図1参照)とキャスターボルト3の雄ねじ部3fの上端3f1との間隔を変更することができる。
【0058】
そのため、第1の実施形態の双輪キャスター100によれば、双輪キャスター100のキャスターボルト3が取り付けられる例えば家具などの被取付体とキャスターボルト3との相対位置関係を変更することなく、右車輪8−1の接地面8−1b(図1および図2参照)および左車輪8−2の接地面8−2b(図1参照)とキャスターボルト3の雄ねじ部3fの上端3f1との間隔を変更することにより、例えば家具などの被取付体の高さを変更することができる。
【0059】
その結果、第1の実施形態の双輪キャスター100によれば、双輪キャスター100のキャスターボルト3が取り付けられる例えば家具などの被取付体の高さが頻繁に変更されるのに伴って例えば家具などの被取付体が破損してしまうおそれを排除することができる。
【0060】
詳細には、第1の実施形態の双輪キャスター100では、操作リング1を回転させることのみによって、例えば家具などの被取付体の高さを変更することができる。そのため、第1の実施形態の双輪キャスター100によれば、圧縮コイルバネに抗して係止部材のロックを解除しながらキャスターボルト(支軸)を回転させなければ例えば家具などの被取付体の高さを変更することができない特開2004−75040号公報の図5に記載された双輪キャスターよりも、例えば家具などの被取付体の高さの変更操作をシンプルにすることができる。
【0061】
更に、第1の実施形態の双輪キャスター100では、操作リング1をリニアに回転させることができ、それゆえ、例えば家具などの被取付体の高さをリニアに変更することができる。そのため、第1の実施形態の双輪キャスター100によれば、キャスターボルト(支軸)をリニアに回転させることができず、それゆえ、例えば家具などの被取付体の高さをリニアに変更することができない特開2004−75040号公報の図5に記載された双輪キャスターよりも、例えば家具などの被取付体の高さを微調整することができる。
【0062】
更に、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図1、図2、図3および図4に示すように、リング状のダンパー6が、キャスター本体5のダンパー収容溝5kに装着されている。第4の実施形態の双輪キャスター100では、代わりに、ダンパー6を省略することも可能である。
【0063】
第1の実施形態の双輪キャスター100では、操作リング1が例えばPAなどの樹脂によって形成されている。また、ギアボルト2が例えばPOMなどの樹脂によって形成されている。更に、キャスターボルト3が例えばPOMなどの樹脂、金属などによって形成されている。更に、ワッシャー4,14が金属によって形成され、バネ座19が例えばPOMなどの樹脂によって形成されている。また、ダンパー6が例えばウレタンゴムなどの樹脂によって形成されている。
【0064】
詳細には、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図1(B)および図2(A)に示すように、操作リング1の直径が右車輪8−1および左車輪8−2の直径の約9割に設定されている。つまり、操作リング1の直径が比較的大きい値に設定されている。
【0065】
そのため、第1の実施形態の双輪キャスター100によれば、操作リングとして機能する係止部材の直径が比較的小さい値に設定されている特開2004−75040号公報の図5に記載された双輪キャスターよりも、例えば家具などの被取付体の高さの変更操作に要する力を小さくすることができる。
【0066】
更に、第1の実施形態の双輪キャスター100の組立時には、図2(A)、図3および図4に示すように、右車輪8−1の係合溝8−1aと係合するための右係合突起10a(図11参照)と、左車輪8−2の係合溝8−2aと係合するための左係合突起10b(図11参照)とを有するブレーキヘッド10と、圧縮コイルバネ17とが、ブレーキボックス11の収容穴11a(図12参照)に挿入される。詳細には、ブレーキヘッド10の右係合突起10a(図11参照)の右端がブレーキボックス11の右係合突起ガイド溝11b(図12参照)よりも右側に突出するように、かつ、ブレーキヘッド10の左係合突起10b(図11参照)の左端がブレーキボックス11の左係合突起ガイド溝11c(図12参照)よりも左側に突出するように、ブレーキヘッド10および圧縮コイルバネ17が、ブレーキボックス11の収容穴11aに挿入される。その結果、圧縮コイルバネ17の後端(図2(A)および図3の左端、図4の右端)がブレーキヘッド10のバネ座部10c(図11参照)に当接せしめられ、圧縮コイルバネ17の前端(図2(A)および図3の右端、図4の左端)がブレーキボックス11の収容穴11a(図12参照)のバネ座部11a1(図12参照)に当接せしめられる。
【0067】
次いで、第1の実施形態の双輪キャスター100の組立時には、図2(A)、図3および図4に示すように、ブレーキヘッド10および圧縮コイルバネ17が挿入されたブレーキボックス11と、圧縮コイルバネ18とが、キャスター本体5の収容穴5eに挿入される。その結果、圧縮コイルバネ18の下端がキャスター本体5の収容穴5eのバネ座面5e1(図8および図9参照)に当接せしめられ、圧縮コイルバネ18の上端がブレーキボックス11のバネ座部11d(図12参照)に当接せしめられる。そのため、ブレーキボックス11が、圧縮コイルバネ18によって上向きに付勢される。更に、圧縮コイルバネ17によって、ブレーキボックス11が前向き(図2(A)および図3の右向き、図4の左向き)に付勢され、ブレーキボックス11がキャスター本体5の収容穴5eのブレーキボックスガイド面5e2(図7、図8および図9参照)に突き当てられる。また、圧縮コイルバネ17によって、ブレーキヘッド10が後向き(図2(A)および図3の左向き、図4の右向き)に付勢され、ブレーキヘッド10の後端(図3の左端、図4の右端)がキャスター本体5の収容穴5eの第1突き当て面5e3(図7、図8および図9参照)に突き当てられる。
【0068】
次いで、第1の実施形態の双輪キャスター100の組立時には、図3に示すように、パネルキャップ13の突起13aがキャスター本体5の突起収容穴5jに圧入され、キャスター本体5の収容穴5eの一部がパネルキャップ13によって覆われる。
【0069】
第1の実施形態の双輪キャスター100では、ブレーキヘッド10が、例えばPOMなどのような樹脂によって形成されている。また、ブレーキボックス11が、例えばPOMなどのような樹脂によって形成されている。更に、パネルキャップ13が、例えばPAなどのような樹脂によって形成されている。
【0070】
更に、第1の実施形態の双輪キャスター100の組立時には、図2(A)、図3および図4に示すように、ギアボルト2の係合溝2aと係合するための係合突起9a1(図10参照)を有するロック部材9と圧縮コイルバネ17’とが、キャスター本体5の収容穴5fに開口5f1(図9参照)を介して挿入される。
【0071】
次いで、第1の実施形態の双輪キャスター100の組立時には、図3に示すように、ロック部材9の右側壁部9b(図10参照)の右突起9b1(図10参照)が、キャスター本体5の収容穴5fの右突起ガイド溝5f5によってガイドされ、右突起収容穴5f4に挿入されると共に、図4に示すように、ロック部材9の左側壁部9c(図10参照)の左突起9c1(図10参照)が、キャスター本体5の収容穴5fの左突起ガイド溝5f7によってガイドされ、左突起収容穴5f6に挿入される。また、図2(A)、図3および図4に示すように、ロック部材9の係合突起9a1(図10参照)が、キャスター本体5の開口5f2(図7、図8および図9参照)の位置に配置され、ギアボルト2の係合溝2aと対向せしめられる。それにより、圧縮コイルバネ17’の下端がキャスター本体5の収容穴5fのバネ座面5f3(図7および図9参照)に当接せしめられ、圧縮コイルバネ17’の上端がロック部材9の中央部9a(図10参照)のバネ座部9a3(図10参照)に当接せしめられる。その結果、ロック部材9の係合突起9a1が、ギアボルト2の係合溝2aと係合する側(図2(A)、図3および図4の上側)に圧縮コイルバネ17’によって付勢される。
【0072】
第1の実施形態の双輪キャスター100では、ロック部材9が、例えばPOMなどのような樹脂によって形成され、例えば赤色などのような目立つ色に着色されている。
【0073】
次いで、第1の実施形態の双輪キャスター100の組立時には、図4に示すように、キャスター本体5の右突起5hが、操作レバー12の右側壁部12b(図13および図14参照)の右突起ガイド溝12b2(図13および図14参照)によってガイドされ、右突起収容穴12b1(図13および図14参照)に挿入されると共に、図3に示すように、キャスター本体5の左突起5iが、操作レバー12の左側壁部12c(図13および図14参照)の左突起ガイド溝12c2(図13および図14参照)によってガイドされ、左突起収容穴12c1(図13および図14参照)に挿入される。次いで、図3および図4に示すように、右車輪8−1が車軸7に取り付けられると共に、左車輪8−2が車軸7に取り付けられる。その結果、図1および図2に示すような第1の実施形態の双輪キャスター100が完成する。
【0074】
第1の実施形態の双輪キャスター100では、操作レバー12が、例えばPAなどのような樹脂によって形成されている。
【0075】
詳細には、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図1(B)、図2(B)および図2(C)に示すように、キャスター本体5の右突起5h(図4参照)および左突起5i(図3参照)によって一部が構成されている操作レバー12の回転中心軸を中心に、操作レバー12が回動可能に構成されている。
【0076】
第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(A)および図2(B)に示すように、操作レバー12のハンドル部12a4(図13および図14参照)が操作され、操作レバー12がキャスターボルト3に近づく側(図2(A)の右側、双輪キャスター100の前側)に回動されると、概略コ字状の断面形状を有する操作レバー12の中央部12a(図13および図14参照)の当接部12a1(図13および図14参照)が、ダンパー6に突き当たり、操作レバー12がアンロック位置に配置され、着色されているロック部材9が操作レバー12によって覆い隠される。
【0077】
第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(A)および図2(B)に示すように、操作レバー12がアンロック位置に配置されている時には、操作レバー12の中央部12a(図13および図14参照)の当接部12a3(図13および図14参照)が、ロック部材9の中央部9a(図10参照)の当接突起9a2(図10参照)に当接している。そのため、ロック部材9の右側壁部9b(図10参照)の右突起9b1(図10参照)と左側壁部9c(図10参照)の左突起9c1(図10参照)とによって一部が構成されているロック部材9の回転中心軸を中心に、ロック部材9が、圧縮コイルバネ17’に抗して下向き(図2(A)の時計回り)に回動している。その結果、ロック部材9の中央部9a(図10参照)の係合突起9a1(図10参照)が、ギアボルト2の概略放射状の係合溝2aと係合していない。それゆえ、キャスター本体5がキャスターボルト3に対して自由に旋回することができる。
【0078】
また、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(A)および図2(B)に示すように、操作レバー12がアンロック位置に配置されている時には、操作レバー12の右側壁部12b(図13および図14参照)のカム小径部12b3(図13および図14参照)および左側壁部12c(図13および図14参照)のカム小径部12c3(図13および図14参照)が、圧縮コイルバネ16によって上向きに付勢されているブレーキボックス11の当接面(上面)11e(図12参照)に当接している。そのため、ブレーキヘッド10が、圧縮コイルバネ17によって、キャスター本体5の第2突き当て面5e4(図8および図9参照)よりも上側の第1突き当て面5e3(図7、図8および図9参照)に突き当てられている。その結果、ブレーキヘッド10の右係合突起10a(図11参照)が右車輪8−1の係合溝8−1aと係合せず、右車輪8−1が車軸7に対して自由に回転することができる。また、ブレーキヘッド10の左係合突起10b(図11参照)が左車輪8−2の係合溝8−2a(図4参照)と係合せず、左車輪8−2が車軸7に対して自由に回転することができる。
【0079】
一方、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(C)に示すように、操作レバー12のハンドル部12a4(図13および図14参照)が操作され、操作レバー12がキャスターボルト3から遠ざかる側(図2(C)の左側、双輪キャスター100の後側)に回動されると、概略コ字状の断面形状を有する操作レバー12の中央部12a(図13および図14参照)の当接部12a2(図13および図14参照)が、キャスター本体5の外周面5g(図7、図8および図9参照)に突き当たり、操作レバー12がロック位置に配置され、着色されているロック部材9が露出せしめられる。
【0080】
第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(C)に示すように、操作レバー12がロック位置に配置されている時には、操作レバー12の中央部12a(図13および図14参照)の当接部12a3(図13および図14参照)が、ロック部材9(図2(A)参照)の中央部9a(図10参照)の当接突起9a2(図10参照)に当接していない。そのため、ロック部材9(図2(A)参照)の右側壁部9b(図10参照)の右突起9b1(図10参照)と左側壁部9c(図10参照)の左突起9c1(図10参照)とによって一部が構成されているロック部材9(図2(A)参照)の回転中心軸を中心に、ロック部材9(図2(A)参照)が、圧縮コイルバネ17’(図2(A)参照)によって、上向き(図2(A)の反時計回り)に回動せしめられ、ロック部材9(図2(A)参照)の中央部9a(図10参照)の係合突起9a1(図10参照)がギアボルト2(図2(A)参照)の概略放射状の係合溝2a(図2(A)参照)と係合する側に付勢されている。
【0081】
その結果、ロック部材9(図2(A)参照)の中央部9a(図10参照)の係合突起9a1(図10参照)が、ギアボルト2(図2(A)参照)の概略放射状の係合溝2a(図2(A)参照)と係合しているか、あるいは、隣接する2個の係合溝2a(図2(A)参照)の境界部分に位置している。ロック部材9(図2(A)参照)の中央部9a(図10参照)の係合突起9a1(図10参照)がギアボルト2(図2(A)参照)の概略放射状の係合溝2a(図2(A)参照)と係合している場合には、キャスター本体5がキャスターボルト3に対して旋回することができない。一方、ロック部材9(図2(A)参照)の中央部9a(図10参照)の係合突起9a1(図10参照)が、ギアボルト2(図2(A)参照)の隣接する2個の係合溝2a(図2(A)参照)の境界部分に位置している場合には、キャスター本体5がキャスターボルト3に対して僅かに旋回すると、ロック部材9(図2(A)参照)の中央部9a(図10参照)の係合突起9a1(図10参照)がギアボルト2(図2(A)参照)の概略放射状の係合溝2a(図2(A)参照)と係合する。その結果、キャスター本体5がキャスターボルト3に対して旋回することができなくなる。
【0082】
また、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(C)に示すように、操作レバー12がロック位置に配置されている時には、操作レバー12の右側壁部12b(図13および図14参照)のカム大径部12b4(図13および図14参照)および左側壁部12c(図13および図14参照)のカム大径部12c4(図13および図14参照)が、圧縮コイルバネ16(図2(A)参照)によって上向きに付勢されているブレーキボックス11(図2(A)参照)の当接面(上面)11e(図12参照)に当接している。そのため、ブレーキヘッド10(図2(A)参照)が、キャスター本体5の第1突き当て面5e3(図7、図8および図9参照)よりも下側の第2突き当て面5e4(図8および図9参照)の高さに配置されている。更に、ブレーキヘッド10(図2(A)参照)の右係合突起10a(図11参照)が右車輪8−1の係合溝8−1a(図2(A)参照)と係合する側(図2(A)の左側、双輪キャスター100の後側)であって、ブレーキヘッド10(図2(A)参照)の左係合突起10b(図11参照)が左車輪8−2の係合溝8−2a(図4参照)と係合する側(図2(A)の左側、双輪キャスター100の後側)に、ブレーキヘッド10(図2(A)参照)が圧縮コイルバネ17によって付勢されている。
【0083】
その結果、ブレーキヘッド10(図2(A)参照)の右係合突起10a(図11参照)が、右車輪8−1の係合溝8−1a(図2(A)参照)と係合すると共に、ブレーキヘッド10(図2(A)参照)の左係合突起10b(図11参照)が、左車輪8−2の係合溝8−2a(図4参照)と係合しているか、あるいは、ブレーキヘッド10(図2(A)参照)の右係合突起10a(図11参照)が、右車輪8−1の隣接する2個の係合溝8−1a(図2(A)参照)の境界部分に位置しているか、または、ブレーキヘッド10(図2(A)参照)の左係合突起10b(図11参照)が、左車輪8−2の隣接する2個の係合溝8−2a(図4参照)の境界部分に位置している。
【0084】
ブレーキヘッド10(図2(A)参照)が、圧縮コイルバネ17(図2(A)参照)によってキャスター本体5の第2突き当て面5e4(図8および図9参照)に突き当てられ、ブレーキヘッド10(図2(A)参照)の右係合突起10a(図11参照)が、右車輪8−1の係合溝8−1a(図2(A)参照)と係合すると共に、ブレーキヘッド10(図2(A)参照)の左係合突起10b(図11参照)が、左車輪8−2の係合溝8−2a(図4参照)と係合している場合には、右車輪8−1および左車輪8−2が車軸7(図2(A)参照)に対して回転することができない。
【0085】
一方、ブレーキヘッド10(図2(A)参照)の右係合突起10a(図11参照)が、右車輪8−1の隣接する2個の係合溝8−1a(図2(A)参照)の境界部分に位置している場合には、右車輪8−1が車軸7(図2(A)参照)に対して僅かに回転すると、ブレーキヘッド10(図2(A)参照)の右係合突起10a(図11参照)が右車輪8−1の係合溝8−1a(図2(A)参照)と係合する。その結果、右車輪8−1が車軸7(図2(A)参照)に対して回転することができなくなる。また、ブレーキヘッド10(図2(A)参照)の左係合突起10b(図11参照)が、左車輪8−2の隣接する2個の係合溝8−2a(図4参照)の境界部分に位置している場合には、左車輪8−2が車軸7(図2(A)参照)に対して僅かに回転すると、ブレーキヘッド10(図2(A)参照)の左係合突起10b(図11参照)が左車輪8−2の係合溝8−2a(図4参照)と係合する。その結果、左車輪8−2が車軸7(図2(A)参照)に対して回転することができなくなる。
【0086】
詳細には、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(A)に示すように、ブレーキヘッド10が、車軸7とほぼ同じ高さであって、車軸7を隔ててキャスターボルト3の反対側(図2(A)の左側、双輪キャスター100の後側)に配置されている。
【0087】
また、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(A)に示すように、キャスターボルト3のまわりに概略放射状に延びており、キャスターボルト3に対して回転できないように構成されている複数の係合溝2aが、車軸7よりも上側に形成されている。更に、キャスターボルト3のまわりの係合溝2aと係合するための係合突起9a1(図10参照)を有するロック部材9が、車軸7のほぼ真上に配置されている。
【0088】
更に、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(A)に示すように、キャスター本体5に対するロック部材9の回転中心軸の一部を構成する右突起9b1(図10参照)および左突起9c1(図10参照)が、ロック部材9のうち、係合突起9a1(図10参照)の反対側(図2(A)の左側、双輪キャスター100の後側)に配置されている。
【0089】
また、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(A)、図3および図4に示すように、操作レバー12の回転中心軸の一部を構成するキャスター本体5の右突起5h(図4参照)および左突起5i(図3参照)が、ブレーキヘッド10およびブレーキボックス11のほぼ真上に配置されている。
【0090】
更に、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(A)に示すように、操作レバー12の中央部12a(図13および図14参照)の当接部12a3(図13および図14参照)に当接するための当接突起9a2(図10参照)が、ロック部材9の係合突起9a1(図10参照)と、右突起9b1(図10参照)および左突起9c1(図10参照)との間に形成されている。
【0091】
また、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図13および図14に示すように、操作レバー12の回転中心軸の一部を構成するキャスター本体5(図4参照)の右突起5h(図4参照)を収容するための右側壁部12bの右突起収容穴12b1のまわりにカム小径部12b3およびカム大径部12b4が形成されている。また、操作レバー12の回転中心軸の一部を構成するキャスター本体5(図4参照)の左突起5i(図3参照)を収容するための左側壁部12cの左突起収容穴12c1のまわりにカム小径部12c3およびカム大径部12c4が形成されている。
【0092】
換言すれば、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図13および図14に示すように、車軸7(図2参照)に対する右車輪8−1(図2参照)の回転、車軸7(図2参照)に対する左車輪8−2(図2参照)の回転、および、キャスターボルト3(図2参照)に対するキャスター本体5(図2参照)の旋回のロック/アンロックの切り換えを行うために、ブレーキボックス11(図2参照)の当接面11e(図12参照)に当接する右側壁部12bのカム小径部12b3およびカム大径部12b4並びに左側壁部12cのカム小径部12c3およびカム大径部12c4と、ロック部材9(図2参照)の当接突起9a2(図10参照)に当接する中央部12aの当接部12a3とが、操作レバー12に別個に設けられている。
【0093】
詳細には、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(A)に示すように、右車輪8−1の係合溝8−1aと係合するブレーキヘッド10の右係合突起10a(図11参照)、および、左車輪8−2(図4参照)の係合溝8−2a(図4参照)と係合するブレーキヘッド10の左係合突起10b(図11参照)と、操作レバー12の右側壁部12b(図13および図14参照)のカム小径部12b3(図13および図14参照)およびカム大径部12b4(図13および図14参照)並びに左側壁部12c(図13および図14参照)のカム小径部12c3(図13および図14参照)およびカム大径部12c4(図13および図14参照)に当接するブレーキボックス11の当接面11e(図12参照)とが、近接して配置されている。
【0094】
その上、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図2(A)に示すように、キャスターボルト3のまわりの係合溝2aと係合するロック部材9の係合突起9a1(図10参照)と、操作レバー12の中央部12a(図13および図14参照)の当接部12a3(図13および図14参照)に当接するロック部材9の当接突起9a2(図10参照)とが、近接して配置されている。
【0095】
更に、第1の実施形態の双輪キャスター100では、弾性変形可能な樹脂材料によってロック部材9が形成されている。詳細には、図10(F)に示すように、概略コ字状の断面形状を有するように、中央部9aと右側壁部9bと左側壁部9cとがロック部材9に設けられている。更に、ロック部材9の回転中心軸の一部を構成する右突起9b1が、ロック部材9の右側壁部9bに形成されている。また、ロック部材9の回転中心軸の一部を構成する左突起9c1が、ロック部材9の左側壁部9cに形成されている。
【0096】
また、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図3および図4に示すように、ロック部材9および圧縮コイルバネ17’を収容するための収容穴5fが、キャスター本体5に形成されている。
【0097】
更に、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図3に示すように、ロック部材9の右突起9b1(図10参照)を収容するための右突起収容穴5f4が、収容穴5fの壁面に形成されている。また、ロック部材9の右突起9b1(図10参照)をガイドするための右突起ガイド溝5f5が、キャスター本体5の外周面5gから右突起収容穴5f4まで延ばされている。更に、図10に示すように、ロック部材9の右突起9b1の先端にテーパ面9b1aが形成されている。
【0098】
また、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図4に示すように、ロック部材9の左突起9c1(図10参照)を収容するための左突起収容穴5f6が、収容穴5fの壁面に形成されている。更に、ロック部材9の左突起9c1(図10参照)をガイドするための左突起ガイド溝5f7が、キャスター本体5の外周面5gから左突起収容穴5f6まで延ばされている。また、図10に示すように、ロック部材9の左突起9c1の先端にテーパ面9c1aが形成されている。
【0099】
つまり、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図3、図4および図10に示すように、ロック部材9がキャスター本体5に取り付けられる時に、ロック部材9の右突起9b1が、キャスター本体5の外周面5gから右突起ガイド溝5f5にガイドされて右突起収容穴5f4と嵌合せしめられると共に、ロック部材9の左突起9c1が、キャスター本体5の外周面5gから左突起ガイド溝5f7にガイドされて左突起収容穴5f6と嵌合せしめられる。
【0100】
また、第1の実施形態の双輪キャスター100では、弾性変形可能な樹脂材料によって操作レバー12が形成されている。詳細には、図4に示すように、操作レバー12の回転中心軸の一部を構成する右突起5hが、キャスター本体5に形成されている。また、図3に示すように、操作レバー12の回転中心軸の一部を構成する左突起5iが、キャスター本体5に形成されている。
【0101】
更に、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図4、図13および図14に示すように、キャスター本体5の右突起5hを収容するための右突起収容穴12b1が、操作レバー12の右側壁部12bに形成されている。また、キャスター本体5の右突起5hをガイドするための右突起ガイド溝12b2が、操作レバー12の右側壁部12bのカム小径部12b3から右突起収容穴12b1まで延ばされている。
【0102】
また、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図3、図13および図14に示すように、キャスター本体5の左突起5iを収容するための左突起収容穴12c1が、操作レバー12の左側壁部12cに形成されている。更に、キャスター本体5の左突起5iをガイドするための左突起ガイド溝12c2が、操作レバー12の左側壁部12cのカム小径部12c3から左突起収容穴12c1まで延ばされている。
【0103】
つまり、第1の実施形態の双輪キャスター100では、図3、図4、図13および図14に示すように、操作レバー12がキャスター本体5に取り付けられる時に、キャスター本体5の右突起5hが、操作レバー12の右側壁部12bのカム小径部12b3から右突起ガイド溝12b2にガイドされて右突起収容穴12b1と嵌合せしめられると共に、キャスター本体5の左突起5iが、操作レバー12の左側壁部12cのカム小径部12c3から左突起ガイド溝12c2にガイドされて左突起収容穴12c1と嵌合せしめられる。
【0104】
以下、本発明の双輪キャスターの第5の実施形態について説明する。図15および図16は第5の実施形態の双輪キャスター100を示した図である。詳細には、図15(A)は第5の実施形態の双輪キャスター100の正面図、図15(B)は第5の実施形態の双輪キャスター100の左側面図、図16(A)は図15(A)のJ−J線に沿った断面図、図16(B)は右車輪8−1の接地面8−1b(図15および図16参照)および左車輪8−2の接地面8−2b(図15参照)とキャスターボルト3の雄ねじ部3fの上端3f1との間隔が小さくされた状態における双輪キャスター100の斜視図、図16(C)は右車輪8−1の接地面8−1b(図15および図16参照)および左車輪8−2の接地面8−2b(図15参照)とキャスターボルト3の雄ねじ部3fの上端3f1との間隔が大きくされた状態における双輪キャスター100の斜視図である。
【0105】
図17は左後側かつ上側から見た第5の実施形態の双輪キャスター100の分解斜視図である。図18および図19は第5の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成するキャスター本体5の部品図である。詳細には、図18(A)はキャスター本体5の平面図、図18(B)はキャスター本体5の後側面図、図18(C)はキャスター本体5の左側面図、図19(A)は左後側かつ上側から見たキャスター本体5の斜視図、図19(B)は図18(B)のK−K線に沿った断面図である。
【0106】
第1の実施形態の双輪キャスター100(図1〜図4参照)では、キャスターボルト3に対するキャスター本体5の旋回のロック/アンロックを切り換えるための旋回ロック機構、および、車軸7に対する右車輪8−1および左車輪8−2の回転のロック/アンロックを切り換えるための回転ロック機構が設けられているが、第5の実施形態の双輪キャスター100では、図15〜図17に示すように、キャスターボルト3に対するキャスター本体5の旋回のロック/アンロックを切り換えるための旋回ロック機構、および、車軸7に対する右車輪8−1および左車輪8−2の回転のロック/アンロックを切り換えるための回転ロック機構が設けられていない。
【0107】
詳細には、第5の実施形態の双輪キャスター100では、図15〜図17に示すように、上述した点を除き、第1の実施形態の双輪キャスター100(図1〜図4参照)と同様に構成されている。
【0108】
つまり、第5の実施形態の双輪キャスター100では、図15〜図17に示すように、操作リング1がギアボルト2およびキャスターボルト3に対して一方の向きに回転せしめられると、ギアボルト2およびキャスター本体5が、操作リング1、ワッシャー4およびキャスターボルト3に対して上向きに移動し、その結果、右車輪8−1の接地面8−1b(図15および図16参照)および左車輪8−2の接地面8−2b(図15参照)とキャスターボルト3の雄ねじ部3fの上端3f1(図15(B)中の実線)との間隔が小さくなる。一方、操作リング1がギアボルト2およびキャスターボルト3に対して逆向きに回転せしめられると、ギアボルト2およびキャスター本体5が、操作リング1、ワッシャー4およびキャスターボルト3に対して下向きに移動し、その結果、右車輪8−1の接地面8−1b(図15および図16参照)および左車輪8−2の接地面8−2b(図15参照)とキャスターボルト3の雄ねじ部3fの上端3f1(図15(B)中の破線)との間隔が大きくなる。
【0109】
すなわち、第5の実施形態の双輪キャスター100によれば、右車輪8−1の接地面8−1b(図15および図16参照)および左車輪8−2の接地面8−2b(図15参照)とキャスターボルト3の雄ねじ部3fの上端3f1との間隔を変更することができる。
【0110】
そのため、第5の実施形態の双輪キャスター100によれば、双輪キャスター100のキャスターボルト3が取り付けられる例えば家具などの被取付体とキャスターボルト3との相対位置関係を変更することなく、右車輪8−1の接地面8−1b(図15および図16参照)および左車輪8−2の接地面8−2b(図15参照)とキャスターボルト3の雄ねじ部3fの上端3f1との間隔を変更することにより、例えば家具などの被取付体の高さを変更することができる。
【0111】
その結果、第5の実施形態の双輪キャスター100によれば、双輪キャスター100のキャスターボルト3が取り付けられる例えば家具などの被取付体の高さが頻繁に変更されるのに伴って例えば家具などの被取付体が破損してしまうおそれを排除することができる。
【0112】
詳細には、第5の実施形態の双輪キャスター100では、操作リング1を回転させることのみによって、例えば家具などの被取付体の高さを変更することができる。そのため、第5の実施形態の双輪キャスター100によれば、圧縮コイルバネに抗して係止部材のロックを解除しながらキャスターボルト(支軸)を回転させなければ例えば家具などの被取付体の高さを変更することができない特開2004−75040号公報の図5に記載された双輪キャスターよりも、例えば家具などの被取付体の高さの変更操作をシンプルにすることができる。
【0113】
更に、第5の実施形態の双輪キャスター100では、操作リング1をリニアに回転させることができ、それゆえ、例えば家具などの被取付体の高さをリニアに変更することができる。そのため、第5の実施形態の双輪キャスター100によれば、キャスターボルト(支軸)をリニアに回転させることができず、それゆえ、例えば家具などの被取付体の高さをリニアに変更することができない特開2004−75040号公報の図5に記載された双輪キャスターよりも、例えば家具などの被取付体の高さを微調整することができる。
【0114】
更に、第5の実施形態の双輪キャスター100では、第1の実施形態の双輪キャスター100の右車輪8−1(図3参照)が流用され、右車輪8−1の内周面に複数の係合溝8−1aが形成されている。また、第1の実施形態の双輪キャスター100の左車輪8−2(図4参照)が流用され、左車輪8−2の内周面に複数の係合溝8−2aが形成されている。第6の実施形態の双輪キャスター100では、代わりに、右車輪8−1の係合溝8−1aを省略し、左車輪8−2の係合溝8−2aを省略することも可能である。
【0115】
また、第5の実施形態の双輪キャスター100では、第1の実施形態の双輪キャスター100のギアボルト2(図6参照)が流用され、ギアボルト2に複数の係合溝2aが形成されている。第7の実施形態の双輪キャスター100では、代わりに、ギアボルト2の係合溝2aを省略することも可能である。
【0116】
第8の実施形態では、上述した第1から第7の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】第1の実施形態の双輪キャスター100を示した図である。
【図2】第1の実施形態の双輪キャスター100を示した図である。
【図3】左後側かつ上側から見た第1の実施形態の双輪キャスター100の分解斜視図である。
【図4】右後側かつ上側から見た第1の実施形態の双輪キャスター100の分解斜視図である。
【図5】第1の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成する操作リング1の部品図である。
【図6】第1の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成するギアボルト2の部品図である。
【図7】第1の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成するキャスター本体5の部品図である。
【図8】第1の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成するキャスター本体5の部品図である。
【図9】第1の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成するキャスター本体5の部品図である。
【図10】第1の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成するロック部材9の部品図である。
【図11】第1の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成するブレーキヘッド10の部品図である。
【図12】第1の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成するブレーキボックス11の部品図である。
【図13】第1の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成する操作レバー12の部品図である。
【図14】第1の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成する操作レバー12の部品図である。
【図15】第5の実施形態の双輪キャスター100を示した図である。
【図16】第5の実施形態の双輪キャスター100を示した図である。
【図17】左後側かつ上側から見た第5の実施形態の双輪キャスター100の分解斜視図である。
【図18】第5の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成するキャスター本体5の部品図である。
【図19】第5の実施形態の双輪キャスター100の一部を構成するキャスター本体5の部品図である。
【符号の説明】
【0118】
1 操作リング
1a ローレット部
1b 雌ねじ部
1c ワッシャー収容凹部
2 ギアボルト
2a 係合溝
2b 雄ねじ部
2c 角柱状穴
2d 当接面
3 キャスターボルト
3a 円柱状部
3b Eリング溝
3c 角柱状部
3d ストッパー部
3e ナット状部
3f 雄ねじ部
3f1 上端
4 ワッシャー
5 キャスター本体
5a 車軸収容穴
5b キャスターボルト収容穴
5c ギアボルト当接面
5d バネ座当接面
5e 収容穴
5e1 バネ座面
5e2 ブレーキボックスガイド面
5e3 第1突き当て面
5e4 第2突き当て面
5f 収容穴
5f1,5f2 開口
5f3 バネ座面
5f4 右突起収容穴
5f5 右突起ガイド溝
5f6 左突起収容穴
5f7 左突起ガイド溝
5g 外周面
5h 右突起
5i 左突起
5j 突起収容穴
5k ダンパー収容溝
6 ダンパー
7 車軸
8−1 右車輪
8−1a 係合溝
8−1b 接地面
8−2 左車輪
8−2a 係合溝
8−2b 接地面
9 ロック部材
9a 中央部
9a1 係合突起
9a2 当接突起
9a3 バネ座部
9b 右側壁部
9b1 右突起
9b1a テーパ面
9c 左側壁部
9c1 左突起
9c1a テーパ面
10 ブレーキヘッド
10a 右係合突起
10b 左係合突起
10c バネ座部
11 ブレーキボックス
11a 収容穴
11a1 バネ座部
11b 右係合突起ガイド溝
11c 左係合突起ガイド溝
11d バネ座部
11e 当接面
12 操作レバー
12a 中央部
12a1,12a2,12a3 当接部
12a4 ハンドル部
12b 右側壁部
12b1 右突起収容穴
12b2 右突起ガイド溝
12b3 カム小径部
12b4 カム大径部
12c 左側壁部
12c1 左突起収容穴
12c2 左突起ガイド溝
12c3 カム小径部
12c4 カム大径部
13 パネルキャップ
13a 突起
14 ワッシャー
15 Eリング
16,17,17’,18 圧縮コイルバネ
19 バネ座
100 双輪キャスター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延びている車軸(7)をキャスター本体(5)によって支持し、
車軸(7)に対して右車輪(8−1)が回転できるように、右車輪(8−1)を車軸(7)に取り付け、
車軸(7)に対して左車輪(8−2)が回転できるように、左車輪(8−2)を車軸(7)に取り付け、
鉛直方向に延びているキャスターボルト(3)に対してキャスター本体(5)が旋回することができ、キャスターボルト(3)に対してキャスター本体(5)が上下方向に摺動することができるように、キャスターボルト(3)の円柱状部(3a)と、キャスター本体(5)の円柱状のキャスターボルト収容穴(5b)とを嵌合させ、
キャスターボルト(3)の円柱状部(3a)の上側に角柱状部(3c)を形成し、
ギアボルト(2)をキャスター本体(5)の上側に配置し、
ギアボルト(2)がキャスターボルト(3)に対して回転することができず、ギアボルト(2)がキャスターボルト(3)に対して上下方向に摺動することができるように、キャスターボルト(3)の角柱状部(3c)とギアボルト(2)の角柱状穴(2c)とを嵌合させ、
キャスター本体(5)の上端の当接面(5c)と、ギアボルト(2)の下端の当接面(2d)とを当接させ、
ギアボルト(2)の外周面に雄ねじ部(2b)を形成し、
操作リング(1)をギアボルト(2)のまわりに配置し、操作リング(1)の内周面の雌ねじ部(1b)と、ギアボルト(2)の外周面の雄ねじ部(2b)とを螺合させ、
キャスターボルト(3)の角柱状部(3c)の上側にストッパー部(3d)を形成し、
操作リング(1)の上面とキャスターボルト(3)のストッパー部(3d)の下面とを直接または間接的に当接させ、
操作リング(1)がギアボルト(2)およびキャスターボルト(3)に対して一方の向きに回転せしめられると、ギアボルト(2)およびキャスター本体(5)が、操作リング(1)およびキャスターボルト(3)に対して上向きに移動し、それにより、右車輪(8−1)の接地面(8−1b)および左車輪(8−2)の接地面(8−2b)とキャスターボルト(3)の上端(3f1)との間隔が小さくなり、
操作リング(1)がギアボルト(2)およびキャスターボルト(3)に対して逆向きに回転せしめられると、ギアボルト(2)およびキャスター本体(5)が、操作リング(1)およびキャスターボルト(3)に対して下向きに移動し、それにより、右車輪(8−1)の接地面(8−1b)および左車輪(8−2)の接地面(8−2b)とキャスターボルト(3)の上端(3f1)との間隔が大きくなることを特徴とする双輪キャスター(100)。
【請求項2】
操作リング(1)の直径を右車輪(8−1)および左車輪(8−2)の直径の約9割に設定したことを特徴とする請求項1に記載の双輪キャスター(100)。
【請求項3】
キャスターボルト(3)に対するキャスター本体(5)の旋回のロック/アンロックを切り換えるための旋回ロック機構を設け、
旋回ロック機構の一部を構成する係合突起(9a1)と係合するための係合溝(2a)をギアボルト(2)に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の双輪キャスター(100)。
【請求項4】
キャスターボルト(3)のストッパー部(3d)の上側に雄ねじ部(3f)を形成し、
キャスターボルト(3)の雄ねじ部(3f)と被取付体の底面の雌ねじ部とを螺合させることのみによって、双輪キャスター(100)が被取付体に取り付けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の双輪キャスター(100)の取り付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−36784(P2010−36784A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203648(P2008−203648)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(591220665)株式会社石黒製作所 (18)