説明

反射偏光型光学デバイス、それを備えた反射偏光型光学ユニット及びそれを備えた液晶表示装置

【課題】表示装置の輝度をさらに向上させることができる反射偏光型光学デバイスを提供する。
【解決手段】反射偏光型光学デバイス5は、反射偏光子2と、位相差フィルム1とを備えている。位相差フィルム1は、反射偏光子2の光入射面側に配置される。位相差フィルム1は、所定の偏光状態の光を、所定の偏光状態とは異なる偏光状態の光を主成分とする光に変換して透過させる。位相差フィルム1の光学軸71と、反射偏光子2の透過軸70とのなす角のうち、小さい方は、35°以上、55°以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射偏光型光学デバイス、それを備えた反射偏光型光学ユニット及びそれを備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターのプリンタやテレビジョン受像機として、様々な光学表示装置が用いられている。このような光学表示装置としては、液晶表示装置、プラズマ表示装置などが存在する。光学表示装置においては、表示品位を高めるために、解像度や輝度の向上が強く求められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、反射偏光子を用いた液晶表示装置が開示されている。図10は、特許文献1に開示された液晶表示装置100の概略断面図である。液晶表示装置100は、光学キャビティ101と、反射偏光子102と、LCDアセンブリ103と、正面偏光子104とを備えている。特許文献1には、図10に示すように、光学キャビティ101とLCDアセンブリ103との間に、反射偏光子102を配置することにより、液晶表示装置100の輝度を向上させることができる旨が開示されている。
【特許文献1】特許第3448626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のように、単に光学キャビティとLCDアッセンブリとの間に反射偏光子を配置したのみでは、十分に輝度を向上させることが困難であるという課題がある。
【0005】
本発明は、係る点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、表示装置の輝度をさらに向上させることができる反射偏光型光学デバイス、その反射偏光型光学デバイスを備えた反射偏光型光学ユニット及びその反射偏光型光学ユニットを備えた液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1の反射偏光型光学デバイスは、反射偏光子と、光学フィルムとを備えている。反射偏光子は、光入射面と光出射面とを有する。光学フィルムは、反射偏光子の光入射面側に配置される。光学フィルムの面内位相差は、250nm以上、300nm以下である。光学フィルムの光学軸と、反射偏光子の透過軸とのなす角のうち、小さい方は、35°以上、55°以下である。
【0007】
本発明に係る第2の反射偏光型光学デバイスは、反射偏光子と、光学フィルムとを備えている。反射偏光子は、光入射面と光出射面とを有する。光学フィルムは、反射偏光子の光入射面側に配置される。光学フィルムは、所定の偏光状態の光を、所定の偏光状態とは異なる偏光状態の光を主成分とする光に変換して透過させる。光学フィルムの光学軸と、反射偏光子の透過軸とのなす角のうち、小さい方は、35°以上、55°以下である。
【0008】
本発明に係る第2の反射偏光型光学デバイスにおいて、光学フィルムは、所定の波長の入射光に対して、5/11波長以上、6/11波長以下の面内位相差を与えるものであることが好ましい。
【0009】
光学フィルムは、1/2波長板であることが好ましい。
【0010】
光学フィルムは、そのNz係数が1以下であることが好ましい。
【0011】
本発明に係る第1及び第2の反射偏光型光学デバイスは、反射偏光子の光出射面側に配置されたプリズムレンズシートをさらに備えていることが好ましい。
【0012】
本発明に係る反射偏光型光学ユニットは、本発明に従って構成された反射偏光型光学デバイスと、光源と、反射素子と、を備えている。光源は、光学フィルムの反射偏光子とは反対側に配置されている。反射素子は、光源の反射偏光子とは反対側に配置され、光源側からの光を、偏光状態を変化させて反射偏光子側に反射させる。
【0013】
ここで、「偏光状態を変化させて反射する」とは、所定の偏光成分の光を、その偏光成分の光とは異なる偏光状態の光に変換して反射する場合と、所定の偏光成分の光を、その偏光成分の光とは異なる偏光状態の光と、その偏光成分の光と同じ偏光状態の光との混合光として反射する場合とを含む。具体的には、例えば、P偏光をS偏光に変換して反射する場合と、P偏光を偏光状態がランダムな光(ランダム偏光)に変換して反射する場合とを含む。
【0014】
本発明に係る表示装置は、本発明に従って構成された反射偏光型光学ユニットと、液晶表示セルとを備えている。液晶表示セルは、反射偏光型光学ユニットの光出射面側に配置されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、表示装置のさらなる高輝度化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<第1の実施形態>
本発明者らは、鋭意研究した結果、反射偏光子の光入射面側に面内位相差を有する光学フィルムを配置することにより、反射偏光子のみを配置した場合よりも、反射偏光型光学デバイスから取り出される光の光量をより強くすることができる場合があることを初めて見いだした。具体的には、光学フィルムの面内位相差を所定の範囲内に設定すると共に、光学フィルムの光学軸と反射偏光子の透過軸とのなす角のうちの小さい方の大きさを所定の範囲に設定することで、反射偏光型光学デバイスから取り出される光の光量をより強くすることができることを見いだし、その結果、本発明をなすに至った。
【0017】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について、図1等を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、本第1の実施形態に係る反射偏光型光学ユニット5を表す概略図である。図1に示すように、反射偏光型光学ユニット5は、反射偏光型光学デバイス5aと、光源ユニット6とを備えている。反射偏光型光学デバイス5aは、反射偏光子2と、光学フィルムの一種である位相差フィルム1とを備えている。反射偏光子2は、光入射面2aと、光出射面2bとを備えている。位相差フィルム1は、反射偏光子2の光入射面2a側に配置されている。
【0019】
尚、本明細書において、「反射偏光子」とは、反射偏光子に入射する光のうち、特定の偏光状態の光のみを透過させ、その他の偏光状態の光の少なくとも一部を反射させるものをいう。反射偏光子は、その他の偏光状態の光のうち、80%の光を反射させるものであることが好ましく、その他の偏光状態の光のうち、90%以上の光を反射させるものであることが特に好ましい。本実施形態では、P偏光のみを透過させ、S偏光を反射させる場合を例に挙げて説明する。
【0020】
第1の実施形態では、反射偏光型光学デバイス5aが、位相差フィルム1と、反射偏光子2とにより構成される例について説明する。但し、本発明はこの構成に限定されず、反射偏光型光学デバイスは、位相差フィルム1及び反射偏光子2に加え、さらにプリズムシートを備えていてもよい。
【0021】
(反射偏光子2の構造及び製造方法)
反射偏光子2の構造は、特に限定されない。反射偏光子2としては、例えば特許文献1に示すものを使用してもよい。
【0022】
図3は、反射偏光子2の概略斜視図である。図3に示すように、反射偏光子2は、相互に異なる2種類の複屈折層80、81が複数交互に積層されてなる。尚、複屈折層80、81の積層数及び積層形態は、特に限定されない。複屈折層80と複屈折層81とは、通常、交互に数十〜数百層ずつ積層される。
【0023】
複屈折層80の軸X方向に関する屈折率と、軸Y方向に関する屈折率とは、相互に略同一である。一方、複屈折層81の軸X方向に関する屈折率と、軸Y方向に関する屈折率とは、相互に異なる。具体的に、複屈折層81の軸Xに関する屈折率は、複屈折層80の軸X方向に関する屈折率と略同一である。複屈折層81の軸Y方向に関する屈折率は、複屈折層80の軸Y方向に関する屈折率と異なる。
【0024】
反射偏光子2の製造方法も特に限定されない。反射偏光子2は、例えば、以下のようにして形成することができる。まず、延伸されることにより、延伸方向に関する屈折率が変化する材料からなる層と、延伸されても、延伸方向に関する屈折率が変化しない材料からなる層を交互に積層することにより、積層体を形成する。延伸前の両層の屈折率は、略同一に設定しておく。形成された積層体を、例えば軸X方向に延伸させる。これにより、延伸されても、延伸方向に関する屈折率が変化しない材料からなる層が、複屈折層80に形成され、延伸されることにより、延伸方向に関する屈折率が変化する材料からなる層が、複屈折層81に形成され、反射偏光子2が得られる。
【0025】
複屈折層80の材料は、特に限定されない。複屈折層80の材料としては、例えば、有機ポリマーなどが挙げられる。有機ポリマーの具体例としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びその異性体、ポリエチレンテレナフタレートなどのポリアルキレンテレナフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ポリエチレンナフタレート(PEN)の異性体の具体例としては、例えば、2,6−PEN、1,4-PEN、1,5-PEN、2,7−PEN、2,3−PENなどが挙げられる。
【0026】
複屈折層81の材料は、特に限定されない。複屈折層81の材料としては、例えば、結晶性若しくは半結晶性の有機ポリマーが挙げられる。結晶性若しくは半結晶性の有機ポリマーの具体例としては、例えば、PENの共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系共重合体などが挙げられる。PENの共重合体の具体例としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル、1,4-ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル、1,5-ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル、2,7−ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル、並びに2,3−ナフタレンジカルボン酸又はそのエステルからなる群から選ばれた1又は複数のナフタレンジカルボン酸又はそのエステルと、テレフタル酸又はそのエステル、イソフタル酸又はそのエステル、若しくはフタル酸又はそのエステルとの共重合体が挙げられる。
【0027】
(位相差フィルム1)
〜位相差フィルム1の面内位相差〜
位相差フィルム1は、光源ユニット6と反射偏光子2との間に配置されている。位相差フィルム1と反射偏光子2とは、一体化されていてもよいし、別体であってもよい。さらに、位相差フィルム1と反射偏光子2とは、離間して配置されていてもよい。
【0028】
位相差フィルム1は、所定の偏光状態の光を、その所定の偏光状態とは異なる偏光状態の光を主成分とする光に変換して透過させる光学フィルムである。具体的には、位相差フィルム1は、例えば、P偏光が入射した際に、P偏光とは異なるS偏光の光を主成分とする光に変換して透過させる。位相差フィルム1は、所定の偏光状態の光を、その所定の偏光状態とは異なる偏光状態の光に実質的に変換して透過させる光学フィルムであることが好ましく、5/11波長以上、6/11波長以下の面内位相差を与える光学フィルムであることがさらに好ましく、13/27波長以上、14/27波長以下の面内位相差を与える光学フィルムであることがなお好ましく、1/2波長板であることが特に好ましい。
【0029】
尚、「面内位相差」とは、下記数式(1)で表される。
Re=(nx−ny)×d ・・・・・(1)
【0030】
ここで、
Re:面内位相差
nx:位相差フィルム1の遅相軸方向の屈折率、
ny:位相差フィルム1の進相軸方向の屈折率、
d:位相差フィルム1の厚み、
遅相軸:位相差フィルム1の面内の屈折率が最大になる方向に延びる軸、
進相軸:位相差フィルム1の面内で遅相軸に垂直な方向に延びる軸、
である。
【0031】
「1/2波長板」とは、実質的に1/2波長の面内位相差を付与する波長板をいう。つまり、1/2波長板は、厳密に1/2波長の面内位相差を付与する波長板に限定されない。
【0032】
例えば、所謂白色光を出射させる光源に対して使用される場合のように、位相差フィルム1に入射する光が種々の波長の光を含む場合、位相差フィルム1は、入射光のピーク波長に対して設計されることが好ましい。ここで、「ピーク波長」とは、入射光のうち、もっとも強度が強い波長をいう。
【0033】
つまり、入射光のピーク波長の所定の偏光状態の光を、その所定の偏光状態とは異なる偏光状態の光を主成分とする光に変換して透過させるように位相差フィルム1を設計することが好ましい。
【0034】
例えば、液晶表示装置などの表示装置においては、通常、ピーク波長が約550nmの所謂白色光源が使用される。このため、白色光源を利用した表示装置に使用される場合、位相差フィルム1は、約550nmの波長の所定の偏光状態の光を、その所定の偏光状態とは異なる偏光状態の光を主成分とする光に変換して透過させるように設計される。具体的に、位相差フィルム1の面内位相差は、250nm以上、300nm以下に設定される。位相差フィルム1の面内位相差は、265nm以上、285nm以下に設定されることが好ましく、約275nmに設定されることがより好ましい。
【0035】
〜位相差フィルム1の光学軸71と反射偏光子2の透過軸70との関係〜
図2に示すように、位相差フィルム1は、位相差フィルム1の光学軸71と、反射偏光子2の透過軸70とのなす角のうち小さい方(θ)が35°以上、55°以下となるように配置されている。位相差フィルム1の光学軸71と、反射偏光子2の透過軸70とのなす角のうち小さい方(θ)は、40°以上、50°以下であることが好ましく、約45°であることがさらに好ましく、45°であることが特に好ましい。
【0036】
〜Nz係数〜
本発明において、位相差フィルム1のNz係数は、特に限定されないが、例えば、1以下であることがより好ましく、0.9以下であることがさらに好ましく、0.5以下であることが特に好ましく、0.4以下であることが最も好ましい。尚、Nz係数は、下記数式(2)により表される。
Nz=(nx−nz)/(nx−ny) ・・・・・(2)
【0037】
ここで、
Re:面内位相差、
nx:位相差フィルム1の遅相軸方向の屈折率、
ny:位相差フィルム1の進相軸方向の屈折率、
nz:位相差フィルム1の厚み方向の屈折率、
遅相軸:位相差フィルム1の面内の屈折率が最大になる方向に延びる軸、
進相軸:位相差フィルム1の面内で遅相軸に垂直な方向に延びる軸、
である。
【0038】
また、Nz係数は、下記数式(3)によっても表される。
Nz=(Rth/Re)+0.5 ・・・・・(3)
【0039】
ここで、
Rth:位相差フィルム1の厚み方向の位相差、
Re:面内位相差、
である。
【0040】
〜位相差フィルム1の材料〜
位相差フィルム1の材料は、特に限定されない。位相差フィルム1の材料の具体例としては、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂等が挙げられる。
【0041】
位相差フィルム1の材料は、光輝性率が低く外部応力に対して位相差が変化しにくいものであることが好ましい。具体的には、環状オレフィン系樹脂が好ましい。
【0042】
環状オレフィン系樹脂の好ましい具体例としては、ノルボルネン系樹脂が挙げられる。ノルボルネン系樹脂の具体例としては、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体の水素添加物;ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの付加共重合体;ノルボルネン系モノマー同士の付加共重合体又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらのノルボルネン系樹脂は、単独で用いられてもよく、併用されてもよい。
【0043】
ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を有するものであれば、特に限定されず、例えば、ノルボルネン;ノルボルナジエン等の二環体;ジシクロペンタジエン等の三環体;テトラシクロドデセン等の四環体;シクロペンタジエン三量体等の五環体;シクロペンタジエン四量体などの七環体等が挙げられる。
【0044】
ノルボルネン系モノマーは置換基を有していてもよい。置換基の具体例としては、アルキル基、ビニル基等のアルケニル基、エチリデン基等のアルキリデン基、アリール基等の炭化水素基;エステル基;エーテル基;シアノ基;ハロゲン原子;アルコキシカルボニル基;ピリジル基;水酸基;カルボン酸基;アミノ基;無水酸基;シリル基;エポキシ基;アクリル基;メタクリル基等の極性基などが挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0045】
また、入手が容易であり、反応性に優れ、得られる位相差フィルムの耐熱性が優れていることから、三環体以上の多環ノルボルネン系モノマーが好ましく、その中でも、三環体、四環体及び五環体のノルボルネン系モノマーがより好ましい。
【0046】
なお、商業的に入手できるノルボルネン系樹脂の具体例としては、例えば、JSR社製の商品名「アートン」シリーズ、日本ゼオン社製の商品名「ゼオノア」シリーズ、三井化学社製の商品名「アペル」シリーズ等が挙げられる。
【0047】
なお、環状オレフィン系樹脂の数平均分子量は、小さすぎると、得られる位相差フィルムの機械的強度が低下することがあり、大きすぎると、製膜時の作業性が低下することがある。このため、環状オレフィン系樹脂の数平均分子量は、5000〜50000であることが好ましく、8000〜30000であることがより好ましい。尚、本明細書において、環状オレフィン系樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法によって測定されたものをいう。
【0048】
環状オレフィン系樹脂には、位相差フィルムの機能を阻害しない範囲内において、成形中の環状オレフィン系樹脂の劣化を防止するため、及び位相差フィルムの耐熱性、耐紫外線性、平滑性等を向上するために、フェノール系、リン系等の酸化防止剤;ラクトン系等の熱劣化防止剤;ベルゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系等の紫外線吸収剤;脂肪族アルコールのエステル系、多価アルコールの部分エステル系、部分エーテル系等の滑剤;アミン系等の帯電防止剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。添加剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0049】
〜位相差フィルム1の形成方法〜
環状オレフィン系樹脂からフィルムを形成する方法としては、以前から汎用されている方法が用いられる。具体的には、所謂溶融押出法や溶融流延法などが挙げられる。溶融押出法とは、環状オレフィン系樹脂を押出機に供給して溶融、混練し、押出機の先端に取り付けたTダイから溶融樹脂をフィルム状に押し出して樹脂フィルムを得る方法である。溶液流延法とは、環状オレフィン系樹脂を有機溶媒中に溶解してなる溶液をドラム又はバンド上に流延し、その後に有機溶媒を蒸発させて樹脂フィルムを得る方法である。
【0050】
環状オレフィン系樹脂フィルムの厚みは、薄すぎると、所望のリタデーションReを得ることが困難となる。厚すぎると、液晶表示装置に組み込んだ場合に液晶表示装置の薄型化に不利となる。このため、環状オレフィン系樹脂フィルムの厚みは、50〜200μmであることが好ましい。
【0051】
なお、環状オレフィン系樹脂フィルムの厚みが80μm以上となる場合には、溶液流延法を用いたのでは、有機溶媒を十分に蒸発、除去させることが困難となることがあるので、溶融押出法を用いて環状オレフィン系樹脂フィルムを製造するのが好ましい。
【0052】
位相差フィルム1の製造方法としては、縦一軸延伸法、横一軸延伸法、縦横逐次二軸延伸法、縦横同時二軸延伸法等がある。これらの方法は、目的とする位相差フィルム1の性能に応じて使い分けられる。
【0053】
また、例えば、Nz係数が1未満の位相差フィルム1は、例えば以下のような要領で作製することができる。まず長手方向に遅相軸を有する光学フィルムの両面に、MD収縮率とTD収縮率とが相互に異なる熱収縮性フィルムを貼り付けて、積層体を形成する。この積層体を長手方向に自由端一軸延伸する。最後に、熱収縮性フィルムを剥離することで、位相差フィルムを完成させることができる。この作製方法の場合、Nz係数は、例えば、用いる熱収縮性フィルムのMD収縮率/TD収縮率、熱収縮性フィルムの厚み、延伸温度や延伸倍率などの延伸条件等を変化させることにより調節することができる。
【0054】
尚、位相差フィルム1は、複数の複屈折フィルムにより構成してもよい。その場合、複数の複屈折フィルム全体のNz係数が1以下であることが好ましい。
【0055】
(光源ユニット6)
光源ユニット6は、位相差フィルム1の反射偏光子2とは反対側に配置されている。光源ユニット6は、光源3と、反射素子4とを備えている。反射素子4は、光源3の反射偏光子2とは反対側に配置されている。反射素子4は、光源3側からの光を、偏光状態を変化させて反射偏光子2側に反射させる。ここで、光源3側からの光には、光源3から出射される光と、反射偏光子2により光源3側に反射された光とを含む。
【0056】
反射素子4は、例えば、光源3側からの光の偏光状態をランダム化して反射させるものであってもよい。具体的には、例えば、光源3側からP偏光が入射した場合に、P偏光とS偏光とが混じった光に変換して反射させるものであってもよい。
【0057】
また、反射素子4は、例えば、光源3側からの光を、その偏光状態とは異なる偏光状態の光に実質的に変換して反射させるものであってもよい。具体的には、例えば、光源3側からP偏光が入射した場合に、実質的にS偏光に変換して反射させるものであってもよい。
【0058】
(反射偏光型光学ユニット5における光の流れ)
次に、図1を参照しながら、反射偏光型光学ユニット5における光の流れについて説明する。尚、ここでは、反射素子4は、光源3側からの光の偏光状態をランダム化して反射させるものとして説明する。
【0059】
反射偏光型光学ユニット5では、反射偏光子2と光源3との間に位相差フィルム1が配置されている。このため、光源3から出射された光のうち、P偏光は、位相差フィルム1によって、合計2回、偏光状態が変換される。その結果、光源3から出射されたP偏光は、P偏光として光源3側に戻る。すなわち、光源3から出射され、反射偏光子2により反射された光は、光源3から出射され、最初に位相差フィルム1を透過するまでの偏光状態と同じ偏光状態で反射素子4に戻る。
【0060】
図1を参照しながら、さらに具体的に説明すると、光源3から出射された光のうち、P偏光50は、位相差フィルム1においてS偏光51に変換される。ここでは、反射偏光子2は、S偏光を反射させるものである。このため、S偏光51は、反射偏光子2において反射される。S偏光である反射光52は、位相差フィルム1において、再びP偏光53に変換される。P偏光53は、反射素子4において、偏光状態がランダム化されて反射される。反射素子4において反射された光のうちのS偏光54は、位相差フィルム1において、P偏光55に変換される。ここで、反射偏光子2は、P偏光を透過させるものである。このため、P偏光55は、反射偏光子2を透過して、反射偏光型光学ユニット5から取り出される。一方、反射素子4において反射された光のうちのP偏光56は、位相差フィルム1において、S偏光57に変換される。S偏光57は、反射偏光子2において反射され、位相差フィルム1を経由して再び反射素子4に至る。
【0061】
それに対して、光源3から出射された光のうち、S偏光59は、位相差フィルム1においてP偏光60に変換される。P偏光60は、反射偏光子2を透過して、反射偏光型光学ユニット5から取り出される。
【0062】
(効果)
以上説明したように、本実施形態では、反射偏光子2が配置され、反射偏光型光学ユニット5から取り出される偏光以外の偏光状態の光が反射されて再利用される。従って、反射偏光型光学ユニット5から取り出される光の光量を高くすることができる。
【0063】
例えば、図4のように、位相差フィルム1を配置せず、反射偏光子2のみを配置することも考えられる。その場合、光源3から出射されたP偏光61は、反射偏光子2を透過して、反射偏光型光学ユニット5から取り出される。一方、S偏光62は、反射偏光子2において反射される。反射光63は、反射素子4において、偏光状態がランダム化されて反射される。そのうち、P偏光64は、反射偏光子2を透過して、反射偏光型光学ユニット5から取り出される。一方、S偏光65は、反射偏光子2において反射され、再び光源3側に戻る。
【0064】
このように、光源3と反射偏光子2との間に、位相差フィルム1を配置しない場合は、反射偏光子2において反射された光の偏光状態は、反射偏光子2において反射される前の偏光状態と異なる。
【0065】
それに対して、本実施形態では、反射偏光子2の入射面側に、位相差フィルム1が配置されている。このため、反射偏光子2により反射され、リサイクルされる主たる光の偏光状態は、反射偏光子2に入射する前であって、位相差フィルム1に到達するまでの光の偏光状態と等しくなる。よって、以下の実施例にて実証するように、図4に示す場合と比較して、反射偏光型光学ユニット5から出射される光の光量をより高くすることができる。その結果、反射偏光型光学ユニット5を用いることで、高輝度な表示装置を実現することができる。
【0066】
さらに、位相差フィルム1の光学軸71と反射偏光子2の透過軸70とのなす角のうちの小さい方(θ)が35°以上、55°以下となるように、位相差フィルム1を反射偏光子2の入射面側に配置することで、反射偏光型光学ユニット5から取り出される偏光の光量をさらに高くすることができる。
【0067】
位相差フィルム1の光学軸71と反射偏光子2の透過軸70とのなす角のうちの小さい方(θ)を40°以上、50°以下、さらには、実質的に45°、特には45°とすることで、反射偏光型光学ユニット5から取り出される偏光の光量をさらに高くすることができる。
【0068】
また、反射偏光型光学ユニット5から取り出される光の光量をより高くする観点から、位相差フィルム1は、所定の偏光状態の光を、その所定の偏光状態とは異なる偏光状態の光に実質的に変換して透過させるものであることが好ましく、所定の波長の入射光に対して5/11波長以上、6/11波長以下の面内位相差を与えるものであることがより好ましく、13/27波長以上、14/27波長以下の面内位相差を与えるものであることがなお好ましく、1/2波長板であることが特に好ましい。
【0069】
例えば、光源3が、ピーク波長が約550nmの所謂白色光源である場合は、反射偏光型光学ユニット5から取り出される光の光量をより高くする観点から、位相差フィルム1の面内位相差は、250nm以上、300nm以下に設定される。位相差フィルム1の面内位相差は、265nm以上、285nm以下であることが好ましく、約275nmであることがより好ましい。
【0070】
また、本実施形態では、位相差フィルム1のNz係数が1以下に設定されている。このため、斜め方向の偏光の乱れを好適に補償することができる。その結果、反射偏光子2により光源3側に反射され位相差フィルム1を透過したリサイクル光に対するP偏光の占める割合をより高くすることができる。よって、反射偏光型光学ユニット5から取り出される偏光の光量をより高くすることができる。反射偏光型光学ユニット5から取り出される偏光の光量をより高くする観点から、位相差フィルム1のNz係数は、0.9以下であることがさらに好ましく、0.5以下であることが特に好ましく、0.4以下であることが最も好ましい。
【0071】
<第2の実施形態>
本第2の実施形態では、第1の実施形態において説明した反射偏光型光学ユニット5を用いたバックライト式の液晶表示装置について説明する。尚、本第2の実施形態の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素を第1の実施形態と共通の参照符号で説明し、説明を省略する。
【0072】
(液晶表示装置11)
図5は、本第2の実施形態に係る液晶表示装置11の分解斜視図である。液晶表示装置11は、反射偏光型光学ユニット5を備えている。反射偏光型光学ユニット5は、光源ユニット6と、拡散シート13と、反射偏光型光学デバイス5aとを備えている。反射偏光型光学デバイス5aは、位相差フィルム1と、反射偏光子2と、プリズムレンズシート7とを備えている。
【0073】
反射偏光型光学ユニット5は、最も背面側に配置された光源ユニット6を備えている。光源ユニット6は、ケーシング8と、反射素子(反射層)4と、光源3と、拡散板12とを備えている。ケーシング8には、正面に向かって開口する凹部が形成されている。反射素子4は、その凹部に形成されている。光源3は、反射素子4の上に配置されている。本第2の実施形態では、光源3は、相互に略並行に配置された複数の蛍光放電管3aにより構成されている。拡散板12は、光源3の上に配置されている。
【0074】
拡散板12の上には、ビーズ付きの拡散シート13が配置されている。この拡散板12と上記拡散シート13とは、複数の蛍光放電管3aから出射された光の光量を面内において均一化するためのものである。拡散板12と拡散シート13は、特に限定されず、例えば、従来の拡散板や拡散シートを用いることができる。このため、拡散板12及び拡散シート13に関するさらなる詳細な説明は省略する。
【0075】
拡散シート13の上には、反射偏光型光学デバイス5aが配置されている。図5及び図6に示すように、反射偏光型光学デバイス5aは、位相差フィルム1と、反射偏光子2と、プリズムレンズシート7とを備えている。プリズムレンズシート7は、相互に並行に線条に延びる、断面略三角形状の複数のプリズムレンズ部7aを有している。このプリズムレンズシート7を配置することで、液晶表示装置11の正面輝度を向上させることができる。
【0076】
本実施形態では、位相差フィルム1と、反射偏光子2と、プリズムレンズシート7とは、積層され、貼付されて一体化されている。このため、別体に設けられた位相差フィルム1、反射偏光子2及びプリズムレンズシート7とを用いて液晶表示装置11を組み立てる場合よりも、組み立て工程の簡略化を図ることができる。
【0077】
プリズムレンズシート7の上方には、光源ユニット6側から、偏光板14、液晶層を含む液晶表示セル15及び偏光板16がこの順で配置されている。偏光板14、16は、液晶表示セル15に貼付されている。偏光板14、16及び液晶表示セル15は、特に限定されず、例えば、従来のものを使用することができ、従来の製造方法によって製造することができる。
【0078】
(効果)
以上説明したように、本第2の実施形態の反射偏光型光学ユニット5においても、所定の面内位相差を有する位相差フィルム1が所定の配置条件で配置されている。このため、反射偏光型光学ユニット5の高輝度化が図られている。その結果、液晶表示装置11の高輝度化、高コントラスト化が実現されている。
【0079】
(第1の実施例)
以下の要領で図5に示した液晶表示装置11を組み立てた。シャープ社製の液晶テレビ(品名 AQUOS LC−20S1)のバックライトを取り出し、その取り出したバックライトを光源3及びケーシング8として使用した。拡散板12は、旭化成ケミカルズ社製の拡散板(グレードMS、厚さ2mm)とした。ビーズ付拡散シート13は、きもと社製、品番:100DX2とした。尚、きもと社製、品番:100DX2のビーズ付拡散シート13は、スチレンビーズをアクリル系バインダーに分散させたものをポリエチレンテレフタレート(PET)基材に塗布したものであり、厚みは100μmであった。反射偏光子2は、ミネソタマイニングアンドマニュファクチュアリングカンパニー製の反射偏光子(品名:DBEF、厚さ132μm)とした。その反射偏光子2の一方の面に、厚さ35μmのゼオノア(日本ゼオン社製)の一軸延伸フィルムからなる位相差フィルム1を、その光学軸と反射偏光子2の透過軸とのなす角のうちの小さい方が45°となるように、ポリエステル系接着剤を用いて貼り合わせた。反射偏光子2の他方の面には、ポリカーボネート(PC)からなるプリズムレンズシート7を、ポリエステル系接着剤を用いて貼り合わせた。プリズムレンズシート7のプリズムレンズ部7aの斜面のなす角度は93度、プリズムレンズ部7aからのピッチは50μm、プリズムレンズ部7aの頂部から谷底までの高さは19μm、厚みは100μmであった。
【0080】
液晶表示セル15及び偏光板14、16としては、上記の液晶テレビに搭載されていたものを用いた。
【0081】
上記位相差フィルム1を反射偏光子2に積層するに先立ち、位相差測定装置を用いて、位相差フィルム1の面内位相差(Re)及び厚み方向の位相差(Rth)を測定した。位相差測定装置としては、王子計測機器社製 KOBRA−21ADH装置を用いた。さらに、得られたRe及びRthより、下記数式(3)を用いてNz係数を算出した。
Nz=(Rth/Re)+0.5 ・・・・・(3)
【0082】
ここで、
Rth:位相差フィルム1の厚み方向の位相差、
Re:面内位相差、
である。
【0083】
また、上述のように作製した液晶表示装置11の正面輝度及び積算光量を、ELDIM社製のEZContrast80で測定した。結果を下記の表1に示す。
【0084】
(第2の実施例)
上記第1の実施例の位相差フィルム1を、以下の要領で作製した位相差フィルムに変更したことを除いては、上記第1の実施例と同様の手順で液晶表示装置11を作製し、同様の評価を行った。結果を下記の表1に示す。
【0085】
まず、帝人社製のポリカーボネートフィルム(品番 パンライト1225ZE)の両面に、延伸温度における収縮率が30%であるポリプロピレン熱収縮性フィルムを、その収縮方向が延伸方向と垂直となるように貼り付けて、積層体を形成した。この積層体を長手方向に自由端一軸延伸した。延伸温度は152℃、延伸倍率は1.3倍であった。次いで、122℃の雰囲気下で1分間この状態を保持しながら冷却し、さらに室温まで冷却した。最後に、熱収縮性フィルムを剥離して、第2の実施例で使用する位相差フィルムを得た。
【0086】
(第1の比較例)
使用した位相差フィルム1の位相差を下記表1に示すように変更したことを除いては、第1の実施例と同様にして液晶表示装置11を作製し、同様の評価を行った。結果を下記の表1に示す。
【0087】
(第2の比較例)
位相差フィルム1に換えて、ロール金型による押出賦形で表面を荒らした帝人社製のポリカーボネートの光学シートを用いたことを除いては、第1の実施例と同様にして液晶表示装置11を作製し、同様の評価を行った。結果を下記の表1に示す。
【0088】
【表1】

【0089】
表1に示すように、面内位相差が250nm以下である第1の比較例や位相差フィルム1を用いなかった第2の比較例では、420cd/m以下という比較的低い正面輝度しか得られなかったのに対し、面内位相差を250nm以上、300nm以下とした第1及び第2の実施例では、440cd/m以上という比較的高い正面輝度が得られた。また、第1及び第2の比較例では、715lm/m以下という比較的低い積算光量しか得られなかったのに対し、第1及び第2の実施例では、735lm/m以上という比較的高い積算光量が得られた。
【0090】
この結果より、位相差フィルム1の面内位相差を250nm以上、300nm以下とし、位相差フィルム1を、所定の偏光状態の光を、その所定の偏光状態とは異なる光を主成分とする光に変換して透過させるものとすることで、液晶表示装置の正面輝度及び積算光量をより高められることがわかった。
【0091】
また、Nz係数が1.0である第1の実施例では、正面輝度が446cd/mであり、積算光量が738m/mであるのに対し、Nz係数が0.5である第2の実施例では、正面輝度が467cd/mであり、積算光量が773m/mであった。この結果から、Nz係数を1よりもさらに小さくすることで、液晶表示装置の正面輝度及び積算光量をさらに向上できることがわかった。
【0092】
(第3の実施例)
位相差フィルム1の面内位相差(Re)を種々の値に変化させて、第1の実施例と同様の液晶表示装置11を作製し、第1の実施例に記載の要領で各液晶表示装置11の積算光量を測定した。その測定結果を、図7に表す。
【0093】
図7に示すグラフからわかるように、位相差フィルム1の面内位相差が、250nm以上、300nm以下であるときに高い積算光量が得られ、265nm以上、285nm以下であるときにより高い積算光量が得られ、約275nmであるときに最も高い積算光量が得られた。よって、この結果から、位相差フィルム1の面内位相差は、250nm以上、300nm以下であることが好ましく、265nm以上、285nm以下であることがより好ましく、約275nmであることがさらに好ましいことがわかった。
【0094】
(第4の実施例)
位相差フィルム1の光学軸と反射偏光子2の透過軸とのなす角のうちの小さい方(配置角度:θ)を種々の値に変化させて、第1の実施例と同様の液晶表示装置11を作製し、第1の実施例に記載の要領で各液晶表示装置11の積算光量を測定した。その測定結果を、図8に表す。
【0095】
図8に示すグラフからわかるように、位相差フィルム1の配置角度が、35°以上、55°以下であるときに高い積算光量が得られ、40°以上、50°以下であるときにより高い積算光量が得られ、約45°であるときに最も高い積算光量が得られた。よって、この結果から、位相差フィルム1の配置角度(θ)は、35°以上、55°以下であることが好ましく、40°以上、50°以下であることがより好ましく、約45°であることがさらに好ましいことがわかった。
【0096】
(第5の実施例)
位相差フィルム1のNz係数を種々の値に変化させて、第1の実施例と同様の液晶表示装置11を作製し、第1の実施例に記載の要領で各液晶表示装置11の積算光量を測定した。その測定結果を、図9に表す。
【0097】
図9に示すグラフからわかるように、位相差フィルム1のNz係数が、1以下であるときに高い積算光量が得られ、0.9以下であるときにより高い積算光量が得られ、0.5以下であるときにさらに高い積算光量が得られ、0.4以下であるときに最も高い積算光量が得られた。よって、この結果から、位相差フィルム1のNz係数は、1以下であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、約0.5であることがさらに好ましく、0.4以下であることが特に好ましいことがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】第1の実施形態に係る反射偏光型光学デバイスを表す概略図である。
【図2】位相差フィルムの光学軸と、反射偏光子の透過軸との関係を説明するための斜視図である。
【図3】反射偏光子の概略斜視図である。
【図4】位相差フィルムが配置されていない場合の光の流れを説明するための断面図である。
【図5】第2の実施形態に係る液晶表示装置の分解斜視図である。
【図6】反射偏光型光学デバイスの断面図である。
【図7】第3の実施例において測定された面内位相差と積算光量との関係を表すグラフである。
【図8】第4の実施例において測定された配置角度(θ)と積算光量との関係を表すグラフである。
【図9】第5の実施例において測定されたNz係数と積算光量との関係を表すグラフである。
【図10】特許文献1に開示された液晶表示装置の概略断面図である。
【符号の説明】
【0099】
1 光学フィルム(位相差フィルム)
2 反射偏光子
2a 光入射面
2b 光出射面
4 反射素子
5 反射偏光型光学ユニット
5a 反射偏光型光学デバイス
7 プリズムレンズシート
11 液晶表示装置
12 拡散板
15 液晶表示セル
70 反射偏光子の透過軸
71 位相差フィルムの光学軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光入射面と光出射面とを有する反射偏光子と、前記反射偏光子の光入射面側に配置された光学フィルムとを備えた反射偏光型光学デバイスであって、
前記光学フィルムの面内位相差が250nm以上、300nm以下であって、
前記光学フィルムの光学軸と、前記反射偏光子の透過軸とのなす角のうち小さい方が35°以上55°以下である、反射偏光型光学デバイス。
【請求項2】
光入射面と光出射面とを有する反射偏光子と、前記反射偏光子の光入射面側に配置された光学フィルムとを備えた反射偏光型光学デバイスであって、
前記光学フィルムは、所定の偏光状態の光を、前記所定の偏光状態とは異なる偏光状態の光を主成分とする光に変換して透過させ、
前記光学フィルムの光学軸と、前記反射偏光子の透過軸とのなす角のうち小さい方が35°以上55°以下である、反射偏光型光学デバイス。
【請求項3】
前記光学フィルムは、所定の波長の入射光に対して5/11波長以上、6/11波長以下の面内位相差を与える、請求項2に記載の反射偏光型光学デバイス。
【請求項4】
前記光学フィルムが1/2波長板である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の反射偏光型光学デバイス。
【請求項5】
前記光学フィルムのNz係数が1以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の反射偏光型光学デバイス。
【請求項6】
前記反射偏光子の光出射面側に配置されたプリズムレンズシートをさらに備えた、請求項1〜5のいずれか一項に記載の反射偏光型光学デバイス。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の反射偏光型光学デバイスと、
前記光学フィルムの前記反射偏光子とは反対側に配置された光源と、
前記光源の前記反射偏光子側とは反対側に配置され、前記光源側からの光を、偏光状態を変化させて前記反射偏光子側に反射させる反射素子と、
を備えた、反射偏光型光学ユニット。
【請求項8】
請求項7に記載の反射偏光型光学ユニットと、
前記反射偏光型光学ユニットの光出射面側に配置された液晶表示セルと、
を備えた液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−53624(P2009−53624A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222720(P2007−222720)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(596111276)積水フイルム株式会社 (133)
【Fターム(参考)】