説明

収納家具

【課題】物品支持具をライン取手にワンアクションで簡単に装着することができる収納家具を提供する。
【解決手段】ライン取手10は、下面壁11、後面壁12、上面壁13、傾斜垂下片14を備えている。タオル掛け20は、傾斜垂下片14に対応する前面上部に形成された突条22aと、ライン取手10に嵌着する際、下面壁11に当接しながら後方側に移動する円弧状に面取りされた後方側下端コーナー部23a及び後面壁12に当接しながら上方側に移動する円弧状に面取りされた後方側上端コーナー部23bとを有する嵌着部21Aを備えており、嵌着部21Aをライン取手10に嵌着する際、嵌着部21Aの突条22aが傾斜垂下片14を押圧することによって、傾斜垂下片14を前方側に弾性変形させるようになっており、嵌着部21Aがライン取手10に嵌着された状態では、嵌着部21Aが上面壁13と下面壁11との間で突っ張るようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、家具本体の扉や引き出しの前板に取り付けられたレール型のライン取手に、タオル掛け等の物品支持具を着脱自在に装着するようにした収納家具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の収納家具としては、流し台、調理台といったキッチンキャビネットや洗面化粧台等の洗面キャビネットがあり、例えば、図19に示すように、キャビネットの扉50の上端部に取り付けたアルミニウム製のレール型のライン取手60にタオル掛け70が着脱自在に装着されるようになっている。
【0003】
前記ライン取手60は、図20(b)に示すように、後方側が高くなるように湾曲した下面壁61と、下面壁61の後端縁から立ち上がる後面壁62と、後面壁62の上端縁から前方に張り出す上面壁63と、上面壁63の前端縁から垂下する垂下片64とを備えており、垂下片64の前面に凹部が形成されている。
【0004】
前記タオル掛け70は、図19及び図20(a)に示すように、ライン取手60に着脱自在に取り付けられる左右一対のベース部材71と、左右一対のベース部材71の先端部に支持された掛止バー74と、それぞれのベース部材71をライン取手60に固定する固定部材75とから構成されている。
【0005】
前記ベース部材71は、図20(a)及び図21(b)に示すように、前方側からライン取手60に着脱自在に嵌合される嵌合部72と、この嵌合部72から斜め下方に張り出す張出部73とを備えており、張出部73の下端部に掛止バー74が支持されていると共に、張出部73の前面に形成された凹部には、固定部材75が回転可能に取り付けられるようになっている。
【0006】
以上のように構成されたタオル掛け70をライン取手60に取り付ける場合は、図21(a)に示すように、ベース部材71の嵌合部72をライン取手60に嵌め込んで、同図(b)に示すように、固定部材75を張出部73に取り付けて回転させることによって、ライン取手60の垂下片64をベース部材71の嵌合部72と固定部材75との間に挟み込むことで、ベース部材71をライン取手60に固定することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−68557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、このタオル掛け70は、キャビネットの前面側からライン取手60に取り付けることはできるが、ライン取手60に固定するためには、ベース部材71の嵌合部72をライン取手60に嵌め込んだ後、固定部材75をベース部材71の張出部73に取り付けて回転させるという固定操作が必要となるので、ライン取手60に対する着脱作業が面倒であるといった問題がある。
【0009】
そこで、この発明の課題は、物品支持具をライン取手にワンアクションで簡単に装着することができる収納家具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、扉または引き出しの前板にレール型のライン取手が取り付けられた家具本体と、前記家具本体の前記ライン取手に着脱自在に装着される物品支持具とを備えた収納家具において、前記ライン取手は、下面壁と、前記下面壁の後端縁から立ち上がる後面壁と、前記後面壁の上端縁から前方に張り出す上面壁と、前記上面壁の前端縁から前方に向かって斜め下方に垂下する傾斜垂下片とを備え、前記物品支持具は、前方側から前記ライン取手に着脱自在に嵌着される嵌着部を備え、前記嵌着部は、前記傾斜垂下片に対応する前面上部に形成された突条と、前記ライン取手に嵌着する際、前記ライン取手の前記下面壁に当接しながら後方側に移動する円弧状に面取りされた後方側下端コーナー部及び前記ライン取手の前記後面壁に当接しながら上方側に移動する円弧状に面取りされた後方側上端コーナー部とを有し、前記嵌着部を前記ライン取手に嵌着する際、前記嵌着部の前記突条が前記傾斜垂下片を押圧することによって、前記傾斜垂下片を前方側に向かって斜め上方に弾性変形させるようになっており、前記嵌着部が前記ライン取手に嵌着された状態では、前記嵌着部が前記ライン取手の前記上面壁と前記下面壁との間または前記傾斜垂下片と前記後面壁との間で突っ張るようになっていることを特徴とする収納家具を提供するものである。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の収納家具において、前記傾斜垂下片は、その前端縁が前記下面壁の前端縁よりも前方側に張り出していることを特徴としている。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明の収納家具において、前記傾斜垂下片の前端縁には、後方側に突出する突条が形成されており、前記嵌着部を前記ライン取手に嵌着する際、前記嵌着部の前記突条が前記傾斜垂下片の前記突条を乗り越えるようになっており、前記ライン取手に嵌着した状態で、前記嵌着部に形成された前記突条が、前記傾斜垂下片に形成された前記突条に係合するようになっていることを特徴としている。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1、2または3に係る発明の収納家具において、前記嵌着部の上面には、前記ライン取手に対する摩擦力を高める滑り止め部材が取り付けられていることを特徴としている。
【0014】
上記の課題を解決するため、請求項5に係る発明は、扉または引き出しの前板の下部にレール型のライン取手が取り付けられた家具本体と、前記家具本体の前記ライン取手に着脱自在に装着される物品支持具とを備えた収納家具において、前記ライン取手は、上面壁と、前記上面壁の後端縁から垂下する後面壁と、前記後面壁の下端縁から前方に張り出す下面壁と、前記下面壁の前端縁から前方に向かって斜め上方に立ち上がる傾斜起立片とを備え、前記物品支持具は、前方側から前記ライン取手に着脱自在に嵌着される嵌着部を備え、前記嵌着部は、前記傾斜起立片に対応する前面下部に形成された突条と、前記ライン取手に嵌着する際、前記ライン取手の前記上面壁に当接しながら後方側に移動する円弧状に面取りされた後方側上端コーナー部及び前記ライン取手の前記後面壁に当接しながら下方側に移動する円弧状に面取りされた後方側下端コーナー部とを有し、前記嵌着部を前記ライン取手に嵌着する際、前記嵌着部の前記突条が前記傾斜起立片を押圧することによって、前記傾斜起立片を前方側に向かって斜め下方に弾性変形させるようになっており、前記嵌着部が前記ライン取手に嵌着された状態では、前記嵌着部が前記ライン取手の前記下面壁と前記上面壁との間または前記傾斜起立片と前記後面壁との間で突っ張るようになっていることを特徴とする収納家具を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、請求項1に係る発明の収納家具は、物品支持具の嵌着部をライン取手に嵌着する際、嵌着部における円弧状に面取りされた後方側下端コーナー部がライン取手の下面壁に当接しながら後方側に移動すると共に、嵌着部における円弧状に面取りされた後方側上端コーナー部がライン取手の後面壁に当接しながら上方側に移動し、嵌着部の突条がライン取手における上面壁の前端縁から前方に向かって斜め下方に垂下した傾斜垂下片を押圧することによって、傾斜垂下片を前方側に向かって斜め上方に弾性変形させるようになっているので、物品支持具の嵌着部をライン取手に円滑かつ容易に嵌着することができ、しかも、嵌着部をライン取手に嵌着した状態では、嵌着部がライン取手の上面壁と下面壁との間または傾斜垂下片と後面壁との間で突っ張るようになっているので、嵌着部がライン取手に沿って移動しにくく、特に、固定操作を行わなくても、物品支持具をライン取手の任意の位置に簡単かつ確実に固定することができる。
【0016】
また、請求項2に係る発明の収納家具では、ライン取手における傾斜垂下片の前端縁が下面壁の前端縁よりも前方側に張り出しているので、傾斜垂下片の前端縁と下面壁の前端縁との間に形成される開口が大きくなり、物品支持具の嵌着部をライン取手に挿入しやすくなると共に、傾斜垂下片が前方側に弾性変形し易くなり、物品支持具の嵌着部をライン取手により円滑かつ容易に嵌着することができる。
【0017】
また、請求項3に係る発明の収納家具では、物品支持具の嵌着部をライン取手に嵌着する際、嵌着部の突条が傾斜垂下片の突条を乗り越えるようになっており、ライン取手に嵌着した状態で、嵌着部に形成された突条が、傾斜垂下片に形成された突条に係合するようになっているので、物品支持具の嵌着部がライン取手に完全に嵌着されたか否かを実感することができ、しかも、ライン取手に一旦嵌着された嵌着部がライン取手から外れにくいという効果がある。
【0018】
また、請求項4に係る発明の収納家具では、ライン取手に対する摩擦力を高める滑り止め部材が物品支持具の嵌着部の上面に取り付けられているので、嵌着部がライン取手の下面壁と上面壁との間または傾斜起立片と後面壁との間で必要以上に突っ張らなくても、ライン取手に対する物品支持具の移動を阻止することができるので、物品支持具の嵌着部をライン取手にさらに嵌着し易くなるという効果がある。
【0019】
また、請求項5に係る発明の収納家具は、物品支持具の嵌着部をライン取手に嵌着する際、嵌着部における円弧状に面取りされた後方側上端コーナー部がライン取手の上面壁に当接しながら後方側に移動すると共に、嵌着部における円弧状に面取りされた後方側下端コーナー部がライン取手の後面壁に当接しながら下方側に移動し、嵌着部の突条がライン取手における下面壁の前端縁から前方に向かって斜め上方に立ち上がる傾斜起立片を押圧することによって、傾斜起立片を前方側に向かって斜め下方に弾性変形させるようになっているので、物品支持具の嵌着部をライン取手に円滑かつ容易に嵌着することができ、しかも、嵌着部をライン取手に嵌着した状態では、嵌着部がライン取手の下面壁と上面壁との間または傾斜起立片と後面壁との間で突っ張るようになっているので、嵌着部がライン取手に沿って移動しにくく、物品支持具をライン取手の任意の位置に簡単かつ確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明に係る収納家具の一実施形態であるキッチンキャビネットを示す斜視図である。
【図2】同上のキッチンキャビネットにおけるタオル掛けの装着部分を示す部分正面図である。
【図3】同上のキッチンキャビネットにおけるタオル掛けの装着部分を示す部分側面図である。
【図4】(a)は同上のキッチンキャビネットを構成しているライン取手を示す斜視図、(b)は同上のライン取手を示す縦断面図である。
【図5】(a)は同上のタオル掛けを示す斜視図、(b)は同上のタオル掛けを示す平面図、(c)は同上のタオル掛けを示す正面図、(d)は同上のタオル掛けを示す側面図である。
【図6】(a)は同上のタオル掛けを構成しているベース部材を示す平面図、(b)は同上のベース部材を示す側面図、(c)は同上のベース部材を示す正面図、(d)は同上のベース部材を示す背面図である。
【図7】(a)は同上のタオル掛けを構成しているアーム部材を示す平面図、(b)は同上のアーム部材を示す側面図、(c)は同上のアーム部材を示す正面図、(d)は同上のアーム部材を示す背面図である。
【図8】図6(a)のX−X線に沿った断面図である。
【図9】図7(a)のY−Y線に沿った断面図である。
【図10】(a)は同上のタオル掛けのアームを下げた状態を示す断面図、(b)は同上のタオル掛けのアームを上げた状態を示す断面図である。
【図11】(a)、(b)は同上のタオル掛けのライン取手への装着動作を示す説明図である。
【図12】(a)、(b)は同上のタオル掛けのライン取手への装着動作を示す説明図である。
【図13】(a)、(b)は同上のタオル掛けのライン取手への装着動作を示す説明図である。
【図14】同上のタオル掛けを装着する際のライン取手の変形状態を示す拡大断面図である。
【図15】同上のキッチンキャビネットにおけるタオル掛けのアーム部材を上げた状態を示す斜視図である。
【図16】同上のキッチンキャビネットにおけるアーム部材を上げた状態のタオル掛けの装着部分を示す部分正面図である。
【図17】同上のキッチンキャビネットにおけるアーム部材を上げた状態のタオル掛けの装着部分を示す部分側面図である。
【図18】(a)は他の実施形態であるタオル掛けとライン取手を示す図、(b)は同上のタオル掛けを同上のライン取手に装着した状態を示す図である。
【図19】従来のキャビネットにおけるタオル掛けの装着部分を示す部分正面図である。
【図20】(a)は同上のタオル掛けの断面図、(b)は同上のキャビネットの扉に取り付けたライン取手を示す断面図である。
【図21】(a)、(b)は同上のタオル掛けのライン取手への装着動作を示す動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜図3は、本発明の収納家具であるベースキャビネット1を使用したシステムキッチンを示している。このベースキャビネット1は、同図に示すように、引き出しの前板2aの上端部にレール型のライン取手10が取り付けられたキャビネット本体2と、このキャビネット本体2のライン取手10に着脱自在に装着されるタオル掛け20とを備えており、キャビネット本体2の上端開口部には、シンク4等が連設されたワークトップ3が取り付けられている。
【0022】
前記ライン取手10は、図4(a)、(b)に示すように、後端側が上方側に湾曲した下面壁11と、この下面壁11の後端縁から立ち上がる後面壁12と、この後面壁12の上端縁から前方に張り出す上面壁13と、前端縁が下面壁11の前端縁よりも前方側に張り出すように、上面壁13の前端縁から前方に向かって斜め下方に垂下する傾斜垂下片14とを備えており、傾斜垂下片14の前端縁には、後方側に突出する突条14aが形成されている。
【0023】
前記下面壁11の下面には、その前端部、中間部及び後端部に脚部15がそれぞれ連設されており、後端側の脚部15の下端には、下方に垂下する、複数のビス孔16aが形成された取付片16が連設されている。
【0024】
また、このライン取手10の両端部には、図3に示すように、後面壁12の上部から上面壁13、傾斜垂下片14にわたって内側に張り出す合成樹脂製のキャップ17が嵌着されている。
【0025】
以上のように構成されたライン取手10は、3本の脚部15を引き出しの前板2aの上端面に載せると共に、取付片16を引き出しの前板2aの後面上端部に重ね合わせた状態で、取付片16を引き出しの前板2aの後面上端部にビス止めすることで、前板2aに取り付けられている。
【0026】
前記タオル掛け20は、図5(a)〜(d)に示すように、ライン取手10に着脱自在に取り付けられる左右一対のベース部材21と、左右一対のベース部材21の先端部に基端部がそれぞれ支持された、先端側が回動可能なアーム部材25と、両端部が左右一対のアーム部材25、25の先端部に支持された、タオルをかけるための円筒状の掛止バー29とから構成されている。
【0027】
前記ベース部材21は、図6(a)〜(d)及び図8に示すように、前方側からライン取手10に着脱自在に嵌着される嵌着部21Aと、この嵌着部21Aの下端部から前方側に張り出す張出部21Bとを備えており、嵌着部21A及び張出部21Bは、基板22と、この基板22の両側縁に連設された左右一対の側面板23、23とによって一体的に形成されている。
【0028】
前記嵌着部21Aを構成している基板22には、その前面上部に、ライン取手10に嵌着した状態で、ライン取手10を構成している傾斜垂下片14に形成された突条14aに係合する、横方向に延びる突条22aが形成されていると共に、その上面に形成された凹部22bに、ライン取手10に対する摩擦力を高めるゴム製または軟質合成樹脂製の滑り止め部材24が、その上面から僅かに突出した状態で取り付けられており、嵌着部21Aを構成している側面板23、23は、その後方側下端コーナー部23a及び後方側上端コーナー部23bが円弧状に面取りされていると共に、その下端縁に、ライン取手10を構成している下面壁11の前端縁が嵌合する段部23cが形成されている。
【0029】
前記張出部21Bを構成している基板22は、その前方側に、張出部21Bを構成している側面板23、23に連設されておらず、上下方向に弾性変形可能な弾性変形部22cを備えており、この弾性変形部22cは、その前端側が下方側に垂下した垂下部22dと、この垂下部22dの後方側を下方側に窪ませることによって形成された、上方側に突出した突条22eとを有している。
【0030】
前記張出部21Bを構成している側面板23、23は、基板22に連設されていない前端部の外面に、アーム部材25を回動可能に支持するための円形の突起23d、23dが形成されており、この前端部の下縁には、凹部23eが形成されている。
【0031】
前記アーム部材25は、図7(a)〜(d)及び図9に示すように、先端側に向かって徐々に幅狭になるように形成された略台形状の基板26と、この基板26の両側縁にそれぞれ連設されたフラットな側面板27A及び湾曲した側面板27Bと、幅狭の先端部に形成された、掛止バー29を支持する支持部28とを備えており、側面板27A、27Bは、その後端部側が基板26から張り出している。
【0032】
前記側面板27A、27Bの張出部には、円形孔27aが形成されており、この円形孔27aに、ベース部材21の張出部21Bに形成された突起23dを嵌め込むことによって、アーム部材25がベース部材21に回動可能に支持されるようになっている。
【0033】
前記基板26の後端部には、その内面側に突出する係止片26aが一方の側面板27Aから他方の側面板27Bにわたって形成されており、図10(a)に示すように、係止片26aが、ベース部材21の張出部21Bに形成された凹部23eに嵌合することで、アーム部材25の前後方向へのバタツキが防止されるようになっており、同図(b)に示すように、アーム部材25の先端側を持ち上げると、係止片26aが、ベース部材21の張出部21Bに形成された弾性変形部22cを下方側に弾性変形させながら突条22eを乗り越えて、初期位置に復帰した突条22eの後面に係止されることで、掛止バー29をライン取手10よりも上側に位置決めすることができるようになっている。
【0034】
前記支持部28は、一方の側面板27Aに形成された円形凹部28aと、その側面板27Aから突出するように、円形凹部28a内に配設された小径の円筒部28bとから構成されており、円筒状の掛止バー29の端部を、円形凹部28aと小径の円筒部28bとの間に形成された隙間に嵌入することで、掛止バー29を支持するようになっている。
【0035】
以上のように構成されたタオル掛け20をキャビネット本体2のライン取手10に装着する場合は、図11(a)、(b)に示すように、ベース部材21の嵌着部21Aが斜めになるように、タオル掛け20全体を傾けた状態で、キャビネット本体2の前面側からライン取手10の下面壁11と傾斜垂下片14との間に挿入し、嵌着部21Aの円弧状に面取りされた後方側上端コーナー部23bを後面壁12に当接させる。
【0036】
続いて、図12(a)に示すように、嵌着部21Aの円弧状に面取りされた後方側下端コーナー部23aを下面壁11に当接させ、同図(b)及び図13(a)に示すように、後方側上端コーナー部23bを後面壁12に当接させた状態で上方側に移動させると共に、後方側下端コーナー部23aを下面壁11に当接させた状態で上方側に移動させると、図14に実線で示すように、嵌着部21Aに形成された突条22aが傾斜垂下片14に形成された突条14aを前面側に押圧することで、傾斜垂下片14及び上面壁13を前方側に向かって斜め上方に弾性変形させながら、嵌着部21Aの突条22aが傾斜垂下片14の突条14aを乗り越え、図13(b)に示すように、嵌着部21Aの突条22aと傾斜垂下片14の突条14aとが相互に係合した状態で、タオル掛け20がライン取手10に装着される。
【0037】
タオル掛け20がライン取手10に装着された状態では、嵌着部21Aがライン取手10の上面壁13と下面壁11との間で突っ張るようになっており、これによって、ゴム製または軟質合成樹脂製の滑り止め部材24がライン取手10の上面壁13に密着し、ライン取手10に対するタオル掛け20の移動が阻止されるようになっている。
【0038】
また、タオル掛け20がライン取手10に装着された状態では、下面壁11の前端縁が嵌着部21Aの段部23cに嵌合すると共に、嵌着部21Aの後方側下端コーナー部23aが、湾曲した下面壁11と後面壁12とによって形成されるライン取手10の下端コーナー部に嵌合するようになっている。
【0039】
このようにして、キャビネット本体2のライン取手10に装着されたタオル掛け20は、図15〜図17に示すように、タオル掛け20のアーム部材25を持ち上げて、掛止バー29をライン取手10よりも上側に位置決めした状態で、その掛止バー29にタオルを掛けて使用することになる。
【0040】
以上のように、このベースキャビネット1では、タオル掛け20の嵌着部21Aをライン取手10に嵌着する際、嵌着部21Aにおける円弧状に面取りされた後方側下端コーナー部23aがライン取手10の下面壁11に当接しながら後方側に移動すると共に、嵌着部21Aにおける円弧状に面取りされた後方側上端コーナー部23bがライン取手10の後面壁12に当接しながら上方側に移動し、嵌着部21Aの突条22aがライン取手10における上面壁13の前端縁から前方に向かって斜め下方に垂下した傾斜垂下片14を押圧することによって、傾斜垂下片14を前方側に弾性変形させるようになっているので、タオル掛け20の嵌着部21Aをライン取手10に円滑かつ容易に嵌着することができ、しかも、嵌着部21Aをライン取手10に嵌着した状態では、嵌着部21Aがライン取手10の上面壁13と下面壁11との間で突っ張るようになっているので、嵌着部21Aがライン取手10に沿って移動しにくく、嵌着部21Aをライン取手10に別途固定しなくても、タオル掛け20をライン取手10の任意の位置に簡単かつ確実に固定することができる。
【0041】
特に、このベースキャビネット1では、ライン取手10における傾斜垂下片14の前端縁が下面壁11の前端縁よりも前方側に張り出しているので、傾斜垂下片14の前端縁と下面壁11の前端縁との間に形成される開口が大きくなり、タオル掛け20の嵌着部21Aをライン取手10に挿入しやすくなると共に、傾斜垂下片14が前方側に弾性変形し易くなり、タオル掛け20の嵌着部21Aをライン取手10により円滑かつ容易に嵌着することができる。
【0042】
また、このベースキャビネット1では、タオル掛け20の嵌着部21Aをライン取手10に嵌着する際、嵌着部21Aの突条22aが傾斜垂下片14の突条14aを乗り越えるようになっており、ライン取手10に嵌着した状態で、嵌着部21Aに形成された突条22aが、傾斜垂下片14に形成された突条14aに係合するようになっているので、タオル掛け20の嵌着部21Aがライン取手10に完全に嵌着されたか否かを実感することができ、しかも、ライン取手10に一旦嵌着された嵌着部21Aがライン取手10から外れにくいという効果がある。
【0043】
また、このベースキャビネット1では、ライン取手10に対する摩擦力を高める滑り止め部材24がタオル掛け20の嵌着部21Aの上面に取り付けられているので、嵌着部21Aがライン取手10の下面壁11と上面壁13との間で必要以上に突っ張らなくても、ライン取手10に対するタオル掛け20の移動を阻止することができるので、タオル掛け20の嵌着部21Aをライン取手10にさらに嵌着し易くなるという効果がある。
【0044】
また、このベースキャビネット1では、タオル掛け20の嵌着部21Aを構成している弾性変形部22cは、その前端側が下方側に垂下した垂下部22dを有しているので、アーム部材25を下げた状態で、アーム部材25における基板26から張り出した側面板27A、27Bの張出部の間が、垂下部22dによって隠蔽され、体裁がよい。
【0045】
また、ライン取手10に装着されたタオル掛け20は、そのアーム部材25を持ち上げて、掛止バー29をライン取手10よりも上側に位置決めした状態で使用することができるので、使いやすく、また、タオルを掛けないときは、アーム部材25を下げることによって、アーム部材25を前面側に張り出さない状態にすることができるので、タオル掛け20がキッチン使用者の邪魔にならない。
【0046】
なお、上述した実施形態では、引き出しの前板2aの上端部に取り付けられたライン取手10にタオル掛け20を着脱自在に装着するベースキャビネット1について説明したが、これに限定されるものではなく、扉の上端部にライン取手10が取り付けられたベースキャビネットについても、本発明を適用することができることはいうまでもない。
【0047】
また、上述した実施形態では、システムキッチンのベースキャビネットについて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、引き出しや扉等の上端部にライン取手が取り付けられている種々の収納家具について本発明を適用することができる。
【0048】
また、上述した実施形態では、ライン取手にタオル掛けを着脱自在に装着する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、キッチンペーパーホルダー、調理器具掛けといった種々の物品支持具をライン取手に取り付ける場合に本発明を適用することができる。
【0049】
また、上述した実施形態において採用しているタオル掛け20は、ライン取手10に着脱自在に取り付けられる左右一対のベース部材21、21に、掛止バー29を支持する左右一対のアーム部材25、25を回動可能に取り付け、使用する際は、掛止バー29をライン取手10よりも上側に位置決めすることができるようになっているが、これに限定されるものではなく、例えば、ベース部材に掛止バーが直接固定された通常のタオル掛けであってもよい。
【0050】
また、上述した実施形態では、タオル掛け20の嵌着部21Aをライン取手10に嵌着した状態で、嵌着部21Aがライン取手10の上面壁13と下面壁11との間で突っ張るようになっているが、これに限定されるものではなく、例えば、傾斜垂下片14と後面壁12との間で突っ張るようにしてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、引き出しの前板2aの上端部にライン取手10が取り付けられたベースキャビネット1について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、扉の下端部にライン取手が取り付けられた吊り戸棚に種々の物品支持具を取り付ける場合についても、本発明を適用することができ、その場合は、上述したライン取手10の上下関係をそのままの状態で取り付けてもよく、上下を反転した状態で取り付けることも可能である。
【0052】
上下を反転した状態でライン取手を取り付ける場合は、例えば、図18(a)、(b)に示すように、上面壁31と、上面壁31の後端縁から垂下する後面壁32と、後面壁32の下端縁から前方に張り出す下面壁33と、下面壁33の前端縁から前方に向かって斜め上方に立ち上がる傾斜起立片34とを備えたライン取手30を採用すると共に、ライン取手30に着脱自在に取り付けられる左右一対のベース部材41と、左右一対のベース部材41の先端部に支持された、タオルをかけるための円筒状の掛止バー45とから構成されるタオル掛け40を採用することになる。
【0053】
タオル掛け40は、そのベース部材41を、前方側からライン取手30に着脱自在に嵌着される嵌着部41Aと、この嵌着部41Aの上端部から前方側に張り出す張出部41Bとによって構成し、嵌着部41Aには、その前面下部に、ライン取手30に嵌着した状態で、ライン取手30を構成している傾斜起立片34に形成された突条34aに係合する突条42を形成すると共に、後方側上端コーナー部43a及び後方側下端コーナー部43bを円弧状に面取りし、下面に形成した凹部に滑り止め部材44を取り付ければよい。
【0054】
そして、嵌着部41Aの後方側上端コーナー部43aを上面壁31に当接させた状態で後方側に移動させると共に、後方側下端コーナー部43bを後面壁32に当接させた状態で下方側に移動させると、嵌着部41Aに形成された突条42が傾斜起立片34に形成された突条34aを前面側に押圧することで、傾斜起立片34及び下面壁33を前方側に向かって斜め下方に弾性変形させながら、嵌着部41Aの突条42が傾斜起立片34の突条34aを乗り越え、嵌着部41Aの突条42と傾斜起立片34の突条34aとが相互に係合した状態で、タオル掛け40がライン取手30に装着される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、家具本体の扉や引き出しの前板に取り付けられたレール型のライン取手に、タオル掛け等の物品支持具を着脱自在に装着するキッチンキャビネットや取り戸棚等の収納家具に利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 ベースキャビネット
2 キャビネット本体
2a 前板
3 ワークトップ
4 シンク
10 ライン取手
11 下面壁
12 後面壁
13 上面壁
14 傾斜垂下片
14a 突条
15 脚部
16 取付片
16a ビス孔
17 キャップ
20 タオル掛け
21 ベース部材
21A 嵌着部
21B 張出部
22 基板
22a 突条
22b 凹部
22c 弾性変形部
22d 垂下部
22e 突条
23 側面板
23a 後方側下端コーナー部
23b 後方側上端コーナー部
23c 段部
23d 突起
23e 凹部
24 滑り止め部材
25 アーム部材
26 基板
26a 係止片
27A、27B 側面板
27a 円形孔
28 支持部
28a 円形凹部
28b 円筒部
29 掛止バー
30 ライン取手
31 上面壁
32 後面壁
33 下面壁
34 傾斜起立片
34a 突条
40 タオル掛け
41 ベース部材
41A 嵌着部
41B 張出部
42 突条
43a 後方側上端コーナー部
43b 後方側下端コーナー部
44 滑り止め部材
45 掛止バー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉または引き出しの前板にレール型のライン取手が取り付けられた家具本体と、
前記家具本体の前記ライン取手に着脱自在に装着される物品支持具と
を備えた収納家具において、
前記ライン取手は、
下面壁と、
前記下面壁の後端縁から立ち上がる後面壁と、
前記後面壁の上端縁から前方に張り出す上面壁と、
前記上面壁の前端縁から前方に向かって斜め下方に垂下する傾斜垂下片とを備え、
前記物品支持具は、前方側から前記ライン取手に着脱自在に嵌着される嵌着部を備え、
前記嵌着部は、
前記傾斜垂下片に対応する前面上部に形成された突条と、
前記ライン取手に嵌着する際、前記ライン取手の前記下面壁に当接しながら後方側に移動する円弧状に面取りされた後方側下端コーナー部及び前記ライン取手の前記後面壁に当接しながら上方側に移動する円弧状に面取りされた後方側上端コーナー部とを有し、
前記嵌着部を前記ライン取手に嵌着する際、前記嵌着部の前記突条が前記傾斜垂下片を押圧することによって、前記傾斜垂下片を前方側に向かって斜め上方に弾性変形させるようになっており、
前記嵌着部が前記ライン取手に嵌着された状態では、前記嵌着部が前記ライン取手の前記上面壁と前記下面壁との間または前記傾斜垂下片と前記後面壁との間で突っ張るようになっていることを特徴とする収納家具。
【請求項2】
前記傾斜垂下片は、その前端縁が前記下面壁の前端縁よりも前方側に張り出している請求項1に記載の収納家具。
【請求項3】
前記傾斜垂下片の前端縁には、後方側に突出する突条が形成されており、
前記嵌着部を前記ライン取手に嵌着する際、前記嵌着部の前記突条が前記傾斜垂下片の前記突条を乗り越えるようになっており、
前記ライン取手に嵌着した状態で、前記嵌着部に形成された前記突条が、前記傾斜垂下片に形成された前記突条に係合するようになっている請求項1または2に記載の収納家具。
【請求項4】
前記嵌着部の上面には、前記ライン取手に対する摩擦力を高める滑り止め部材が取り付けられている請求項1、2または3に記載の収納家具。
【請求項5】
扉または引き出しの前板の下部にレール型のライン取手が取り付けられた家具本体と、
前記家具本体の前記ライン取手に着脱自在に装着される物品支持具と
を備えた収納家具において、
前記ライン取手は、
上面壁と、
前記上面壁の後端縁から垂下する後面壁と、
前記後面壁の下端縁から前方に張り出す下面壁と、
前記下面壁の前端縁から前方に向かって斜め上方に立ち上がる傾斜起立片とを備え、
前記物品支持具は、前方側から前記ライン取手に着脱自在に嵌着される嵌着部を備え、
前記嵌着部は、
前記傾斜起立片に対応する前面下部に形成された突条と、
前記ライン取手に嵌着する際、前記ライン取手の前記上面壁に当接しながら後方側に移動する円弧状に面取りされた後方側上端コーナー部及び前記ライン取手の前記後面壁に当接しながら下方側に移動する円弧状に面取りされた後方側下端コーナー部とを有し、
前記嵌着部を前記ライン取手に嵌着する際、前記嵌着部の前記突条が前記傾斜起立片を押圧することによって、前記傾斜起立片を前方側に向かって斜め下方に弾性変形させるようになっており、
前記嵌着部が前記ライン取手に嵌着された状態では、前記嵌着部が前記ライン取手の前記下面壁と前記上面壁との間または前記傾斜起立片と前記後面壁との間で突っ張るようになっていることを特徴とする収納家具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−229700(P2011−229700A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103014(P2010−103014)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【出願人】(592245890)井上金物株式会社 (7)
【Fターム(参考)】