可変光減衰器
【課題】安価に製造可能で、所定の光減衰量が得られるような高精度な減衰処理を実現することができる可変光減衰器を提供すること。
【解決手段】可変光減衰器は、信号光が射出される光伝送路を有する第一光学部材と、第一光学部材から射出された光を集光する第二光学部材と、第二光学部材により集光された光が入射する光伝送路を有する第三の光学部材と、信号光が前記第三の光学部材の入射端面に入射することにより形成されるスポットを移動させるスポット移動手段と、信号光よりも短波長の制御光を照射する光源と、光源から照射された制御光を、第二光学部材を介して入射端面に導く導光手段と、受光面で受光した制御光の光量を検出する光量検出手段と、光量検出手段により検出された光量に基づいて、上記スポットの入射端面における位置が、所定の条件を満たすような位置に向かうように偏向手段に対し負帰還制御を行なう制御手段と、を備える構成とした。
【解決手段】可変光減衰器は、信号光が射出される光伝送路を有する第一光学部材と、第一光学部材から射出された光を集光する第二光学部材と、第二光学部材により集光された光が入射する光伝送路を有する第三の光学部材と、信号光が前記第三の光学部材の入射端面に入射することにより形成されるスポットを移動させるスポット移動手段と、信号光よりも短波長の制御光を照射する光源と、光源から照射された制御光を、第二光学部材を介して入射端面に導く導光手段と、受光面で受光した制御光の光量を検出する光量検出手段と、光量検出手段により検出された光量に基づいて、上記スポットの入射端面における位置が、所定の条件を満たすような位置に向かうように偏向手段に対し負帰還制御を行なう制御手段と、を備える構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信システム等において光強度を減衰して調整する減衰器として用いられるものであり、特に光増幅器の増幅特性の平坦化に用いられる可変光減衰器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に光通信システムあるいは光計測システムなどでは、光伝送レベルを調整するための光減衰器が必要である。光減衰器には、可変光減衰器と半固定光減衰器が知られている。可変光減衰器は30dB以上の減衰を連続的に調整できるものが一般的であり、システム送受信機のレベル調整や、光デバイスの特性測定等の計測器として使用されている。また半固定光減衰器は、主に光伝送路の区間伝送損失の調整に使用される。
【0003】
可変光減衰器の従来例としては、下記の特許文献1のように、光ファイバを切断して各切断端面のコア芯をずらすことによって光減衰量を調整する構成がある。
【0004】
【特許文献1】特開平4−166803号公報
【0005】
上記特許文献1の構成では、コア芯のずれ量が変化すると光減衰量も変化するという特徴を利用して信号光の減衰処理を行っている。ここで、コア芯のずれ量とは、一方の切断端面(射出端面)から射出された信号光が他方の切断端面(入射端面)で形成するビームスポットと入射端面のコアとのずれ量ともいえる。特許文献1の構成において、所定の光減衰量が得られるように高精度な減衰処理を実現するためには、コア芯のずれ量が、精確に検出される必要がある。コア芯のずれ量の精確な検出手法としては、例えば、入射端面に入射した信号光の一部を受光素子等によって受光することにより、ビームスポットの位置を常時検出する。そして、検出結果に基づき、入射端面におけるビームスポット形成位置をフィードバック制御することが考えられる。
【0006】
しかし、一般に光通信システム等で用いられる信号光は1300nm以上の極めて長い波長を有している。そのため、入射端面からの信号光を検出可能な受光素子は、上記の波長に感度を有するように特殊な構成にせざるを得ず、必然的に高価にならざるを得なかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、安価に製造可能で、所定の光減衰量が得られるような高精度な減衰処理を実現することができる可変光減衰器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の可変光減衰器は、第一の光が射出される光伝送路を有する第一光学部材と、第一光学部材から射出された第一の光が入射する光伝送路を有する第二光学部材と、第一の光が第二光学部材の入射端面上に入射する位置を移動させる移動手段と、第一の光よりも短波長の第二の光を照射する光源と、光源から照射された第二の光を、移動手段を介して入射端面に導く第一の導光手段と、第二の光を第二の導光手段を介して受光する受光面を有し、受光面で受光した前記第二の光の光量を検出する光量検出手段と、光量検出手段により検出された第二の光の光量に基づいて、第一の光の前記入射端面における位置が、所定の条件を満たすような位置に向かうように移動手段に対し制御を行なう制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、信号光とは別個の光源から照射された信号光より短波長の制御光を減衰処理の制御用として利用する。従って、信号光の波長に感度を持つような特殊な受光素子を光量検出手段として使用する必要がなくなるため、本発明に係る可変光減衰器は、非常に安価に構成することができる。なお、現在、流通過程において信号光の波長に感度を持つ受光素子の値段は極めて高価である。そのため、請求項1に記載の発明のように、制御光を照射する光源や制御光に感度のある光量検出手段を付加しても、信号光の波長に感度を持つ受光素子を使用する構成より、安価な可変光減衰器を提供することができる。
【0010】
また、入射端面からの制御光の光量を実際に検出し、該検出結果に基づきスポット移動手段を負帰還制御する構成にしたことにより、所定の光減衰量が得られるような高精度な減衰処理が実行される。
【0011】
詳しくは、光量検出手段は、受光面が少なくとも一本の境界線によって分割された複数の受光エリアを備え、制御手段は、各受光エリアで受光された第二の光の光量の差に基づいて制御を行うように構成される(請求項2)。
【0012】
より詳しくは、制御手段は、各受光エリアで検出された第二の光の光量の差と第一光学部材から第二光学部材に伝わる第一の光の強度との関係に関する情報を有しており、情報に基づき、第一の光の入射端面における位置が、設定された光減衰量が得られるような位置に向かうように制御することができる(請求項3)。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、移動手段は、入射端面における第一の光の位置を第一の方向に移動させ、光量検出手段の前記受光面は、第一の方向に対応する方向に沿って並ぶ2つの受光エリアを有する。
【0014】
また、別の態様として、移動手段は、入射端面における第一の光の位置を互いに直交する第一の方向と第二の方向に移動させ、光量検出手段の受光面は、第一の方向に対応する第三の方向、および第二の方向に対応する第四の方向に延出する二本の境界線により4つの受光エリアに分割されているような構成にしても良い(請求項5)。この場合、制御手段は、4つの受光エリアのそれぞれで検出された光量の差に基づいて、第二の光の受光面での入射位置調整に関する制御も行うことができる(請求項6)。このように二次元方向でのスポットの移動および光量差検出を可能にすることにより、各構成部材の初期の位置調整が容易に行われる。
【0015】
請求項7に記載の可変光減衰器によれば、第一の導光手段は第一光学部材に一体形成することができる。例えば、第一光学部材の射出端面を第一の導光手段として使用することができる。この場合、該射出端面は、光源から照射された第二の光を反射して第二光学部材に導く(請求項8)。射出端面を第一の導光手段として利用することにより、導光手段として新たな部材を制御光の光路に配設する必要がなくなり部材点数の無用な増加を抑えることができる。
【0016】
第一光学部材の射出端面第一の導光手段として使用する場合、該射出端面における第二の光の入射位置(換言すれば第一の光の射出位置)には、第二の光に対して高い反射率を有しかつ第一の光に対して高い透過率を有する波長選択性を持つ光学膜がコートされていると良い(請求項9)。これにより、射出端面で反射する際、制御光の光量損失を最小限に抑えることができるため、光量検出手段はより効果的に光量検出を行える。
【0017】
請求項10に記載の可変光減衰器によれば、第一光学部材は光ファイバである。また、請求項11に記載の可変光減衰器によれば、第一光学部材は、第一の導光手段としてファイバカプラを有する光ファイバを使用することができる。
【0018】
具体的には、光源は、第一光学部材との関係において、射出端面で反射した第二の光の中心線が該射出端面から射出された第一の光の中心線と平行となって第二光学部材に入射するように位置決めされることが望ましい(請求項12)。
【0019】
より好ましくは、光源は、第一光学部材との関係において、射出端面で反射した第二の光の中心線が該射出端面から射出された第一の光の中心線と略一致して第二光学部材に入射するように位置決めされる(請求項13)。これにより、光量検出手段で検出された制御光の光量に基づく信号光の減衰処理にかかる負担を軽減することができる。
【0020】
請求項14に記載の発明によれば、第二光学部材は光ファイバであり、第二光学部材の光伝送路は光ファイバのコアである。
【0021】
請求項15に記載の発明によれば、第一光学部材から射出された光を集光する第三光学部材を有し、第二光学部材は、第二の光が入射する入射端面におけるコアとクラッドに所定寸法の段差が形成されており、第三光学部材は、入射端面上において第二の光がコアの径よりも大きくクラッドの径よりも小さい径のスポットを形成するように該第二の光を集光する。このように構成すれば、光量検出手段の受光面に入射した第二の光により回折パタンが発生する。そのため、段差を形成しない場合よりも光量の微細な変化を検出することができることになり、より精細な減衰調整を行うことができる。
【0022】
上記段差の所定寸法とは、回折現象が発生しやすい寸法、具体的には、第二の光の波長をλとし、媒質の屈折率をnとすると、略λ/(4n)よりも小さい値に設定される(請求項16)。例えば、該段差は、略λ/(8n)がよい(請求項17)。
【0023】
請求項18に記載に発明によれば、入射端面は、コアの端面とクラッドの端面は、略平行に構成される。
【0024】
請求項19に記載の発明によれば、移動手段は、第三光学部材を駆動することにより入射端面における第一の光の位置を移動させてもよい。また、第二光学部材と光学部材端面の間に設置されたガルバノミラーや頂角可変プリズムによって入射端面における第一の光の位置を移動させてもよい。
【0025】
請求項22に記載の発明によれば、第二の導光手段は、該第二の導光手段を介した第二の光が、第二の導光手段に入射する第二の光の光路と同一の光路を戻るように構成されており、第二の導光手段を介した第二の光を、該光路から外れた方向に偏向させて光量検出手段に導く偏向手段をさらに有してもよい。
【0026】
上記偏向手段としては、例えば偏光ビームスプリッタと1/4波長板を有する構成にすることができる(請求項23)。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明によれば、長波長の第一の光(例えば信号光)とは異なる短波長の第二の光(例えば制御光)を使用して光減衰調整に関する負帰還制御を行う構成にした。これにより、所定の光減衰量が得られるような高精度な減衰処理を実現することができる。さらに、信号光を負帰還制御には使用しないことにより、光量検出手段として特殊かつ高価な受光素子を使用する必要がなくなる。従って、可変光減衰器全体のコストダウンが図れる。
【0028】
また、上記のように光減衰処理に関して負帰還制御を行なうように構成された可変光減衰器は、環境変化や経時変化等に左右されることなく常に光通信に好適な光強度を取得することができるため、高い性能を維持することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、本発明の第一の実施形態としての可変光減衰器101の構成を表す図である。可変光減衰器101は、光通信システム等において信号光の光強度を減衰して調整する減衰器として用いられる。
【0030】
第一実施形態の可変光減衰器101は、LD、第一光ファイバ1、第一集光レンズ2、第二光ファイバ3、光検出器4、コントローラ5、アクチュエータ6、第二集光レンズ7を備える。図2は、第二光ファイバ3の入射端面3a近傍の拡大図である。第二光ファイバ3の入射端面3aは、クラッド3b、コア3cを備える。なお、本明細書では、説明の便宜上、コア3cの中心は第二光ファイバ3の中心と一致するものとする。可変光減衰器101では、光通信に使用される信号光の他に、該信号光の強度を減衰する処理に使用される制御光を用いる。制御光は、信号光(例えば1300nm)よりも短波長のもの、例えば650〜820nmが使用される。
【0031】
信号光は、図示しない光源から照射され、第一光ファイバ1、第一集光レンズ2を介して第二光ファイバ3の入射端面3aに入射する。図2に示すように、第二光ファイバ3の入射端面3aに入射した信号光のうち、コア3cに入射した成分のみが伝送される。従って、コア3cにどの程度信号光を入射させるかを調整することにより、光減衰処理は実行される。
【0032】
ここで第一集光レンズ2はコントローラ5の制御下、アクチュエータ6によって、光軸に直交する面内の1つの軸方向(X方向)および該X方向と直交するY方向で移動可能な状態にある。上記スポットは、該レンズ2の駆動する方向に対応して入射端面3a上をX’方向またはY’方向に移動する。
【0033】
なお、本明細書では上記スポットの入射端面3aでの移動方向(X’方向、Y’方向)を基準として可変光減衰器101における位置関係および方向を説明する。本実施形態の構成では、第一光ファイバ1から入射端面3aを臨んだ場合、コア3cの位置を基準として左方向をX’(−)方向、右方向をX’(+)方向、上方向をY’(+)方向、下方向をY’(−)方向とする。また、第一集光レンズ2の駆動方向は、第一光ファイバ1から第一集光レンズ2を臨んだ場合、左方向をX(−)方向、右方向をX(+)方向、上方向をY(+)方向、下方向をY(−)方向とする。
【0034】
LDから照射された制御光は、第二集光レンズ7を介して収束しつつ、第一光ファイバ1における信号光が射出される端面(射出端面)1aのコア1bに向かう。そして制御光は、コア1bで反射する。ここで、射出端面1aにおいて、信号光の強度を弱めることなく制御光の反射効率を高めるために、射出端面1aのコア1bには制御光の波長に対する反射率および信号光の波長に対する透過率が高く設定された波長選択性を持つ光学膜がコートされている。
【0035】
射出端面1aで反射した制御光は、信号光と同様に第二光ファイバ3の入射端面3aに入射する。ここで、図2に示すように、第一集光レンズ2は、入射端面3aに入射する制御光により形成されるスポットの径r1がコア3cの径r2よりも若干大きくなるように、該制御光を集光するパワーを持つ。例えば、本実施形態では、r1を11μm、r2を10μmに設定する。そのため、信号光が光伝送効率の最も高い位置、つまりコア3cの中心に入射している場合であっても、該制御光のスポット周縁部はクラッド3bに入射している。
【0036】
また図2に示すように、入射端面3aは、コア3cがクラッド3bの面に対して略直交する方向(第二光ファイバ3の光軸方向)に突出することにより段差が形成されている。また入射端面3aは、突出したコア3cの面とクラッド3bの面とが略平行になるように加工される。本実施形態では、フォトリソ技術を用いることにより入射端面3aを上記形状に加工している。段差の寸法は、突出したコア3cの面とクラッド3bの面の双方に光が入射した場合に、λ/(4n)よりも小さい値、好ましくはλ/(8n)に設定される。但し、λは入射する光の波長(本実施形態では制御光の波長)で、nは媒質の屈折率である。段差の寸法を上記のように設定することにより、上記制御光が入射端面3aにおけるコア3cとクラッド3bの双方にまたがるように入射すると回折現象が起こる。なお本実施形態では、該媒質を空気と想定し、コア3cに入射して反射した光(0次光)とクラッド3bに入射して反射した光(1次光)とによって得られる光強度差が最大となるように、上記所定寸法を略λ/8に設定する。
【0037】
なお、可変光減衰器101では、第一集光レンズ2から射出された制御光が入射端面3aで反射する時、入射方向とは別の方向に反射するように構成している。これにより、入射端面3aで反射した制御光の光路上に、入射端面3aに入射する信号光の光路を邪魔することなく、光検出器4の受光面4aを配置することができる。
【0038】
本実施形態では、光検出器4として4分割フォトディテクタを使用する。図3は、第一実施形態の光検出器4の受光面4aを示す図である。図3は、説明の便宜上、受光面4aを裏側から臨んだ状態を示している。図3に示すように、受光面4aにおける方向は、受光面4aを裏側から臨んだ場合に、中心Oを基準として、X’(+)方向に対応する方向つまり光検出エリアA、Dに向かう方向がX”(+)方向、X’(−)方向に対応する方向つまり光検出エリアB、Cに向かう方向がX”(−)方向と定義される。同様に、中心Oを基準として、Y’(+)方向に対応する方向つまり光検出エリアA、Bに向かう方向はY”(+)方向、Y’(−)方向に対応する方向つまり光検出エリアC、Dに向かう方向はY”(−)方向と定義する。
【0039】
具体的には、図3に示すように、受光面4aは、該受光面4aの中心Oで互いに直交する2本の境界線4b、4cによって4つの格子状の光検出エリアA〜Dに分割されている。光検出器4は、上記2本の境界線4b、4cの延出方向が第一集光レンズ2の移動可能な方向(X方向、Y方向)に対応する方向(X”方向、Y”方向)と略一致するように配置される。また、第二光ファイバ3と光検出器4は、入射端面3aのコア3c中心で反射した光線が受光面4a上における中心Oに入射するように、予め、位置決めされた状態で固定されている。なお入射端面3aと光検出器4との間には、反射光が4つの光検出エリアA〜D内に入射するように、所定の光学系(不図示)が配置されている。光検出器4は、光検出エリアA〜Dごとに受光した光の光量に対応する電圧信号をコントローラ5に出力する。
【0040】
信号光の光減衰処理を行うにあたり、可変光減衰器101では以下の初期調整が実行される。本実施形態の初期調整では、まず射出端面1aで反射した制御光の光路が、射出端面1aから射出された信号光の光路と同一となるように、より具体的には制御光の中心線と信号光の中心線が一致するように光路調整を行う。光路調整において、制御光が信号光の光路と略同一光路を進むような各部材間の相対的位置決めを容易に達成できるようにするため、射出端面1aは第一光ファイバ1の光軸に対して傾くよう形成される。そして、LDおよび第二集光レンズ7は、第一光ファイバ1との関係において、射出端面1aのコア1bで収束し、反射した制御光が第一光ファイバ1から射出される信号光の光路と略同一光路を通るような位置に配置される。
【0041】
次いで、信号光が入射端面3aにおいて形成するスポットがコア3c中心に向かうようにスポットの位置調整を行う。本実施形態では信号光と制御光は同一光路を進む。従って、ここでは、制御光を用いてスポットの位置調整を行う。具体的には、コントローラ5が、制御光において入射端面3aのコア3c中心に入射する光線が受光面4a上における中心Oに入射するように、第一集光レンズ2をX方向およびY方向に駆動制御する。制御光において入射端面3aのコア3c中心に入射する光線が受光面4a上における中心Oに入射するかどうかは、光検出器4の各光検出エリアA〜Dで検出された光量が1:1:1:1になったかどうかにより判断される。以上が初期調整である。
【0042】
次に本発明の主たる特徴である光減衰処理について詳説する。図4(A)〜図4(C)は、上記初期調整が行われた状態において、制御光の入射端面3aにおける入射位置と、制御光が各入射位置にあるときの各光検出エリアA〜Dからの出力に基づくX”方向の光強度分布を示した図である。各図に示す入射端面3aは図面左側がX’(−)方向、右側がX’(+)方向である。図4(A)は、制御光がコア3cよりもX’(−)方向に入射している状態と該状態における制御光の光強度分布を示す。図4(B)は、制御光の入射位置がコア3cと略一致する状態と該状態における制御光の光強度分布を示す。図4(C)は、制御光がコア3cよりもX’(+)方向に入射している状態と該状態における制御光の光強度分布を示す。
【0043】
図4(A)〜図4(C)に示すように、光検出器4からの出力に基づいて生成される光強度分布は、入射端面3aにおけるスポットの位置により異なる。つまり、該光強度分布は、入射端面3aにおけるスポットとコア3cとのずれに対応して変化する。ここで、各センサA〜Dの受光光量は生成される光強度分布の積分値に比例する。よって、上記光強度分布の変化とは、光検出センサAおよびDの出力の和(以下、X”(+)方向の出力という)と光検出センサBおよびCの出力の和(以下、X”(−)方向の出力という)の差(以下、X”方向の出力差という)の変化とも言える。図5は、X”方向の出力差と、入射端面3aにおける制御光のスポットのコアに対するX’方向のずれ量との関係を表すグラフである。図5に示すように、X’方向のずれ量は、X”方向の出力差に対してS字状に変化する。従って、X”方向の出力差が求められればX’方向のずれ量は一義的に決定する。
【0044】
また、信号光は、入射端面3aにおけるスポットの位置がコア3c中心から離れれば離れるほど、コア3c内を伝送する量が低下する、換言すれば光減衰量が増加する。図6は、信号光の光減衰量と、入射端面3aにおける信号光のスポットのコア3cに対するX’方向のずれ量との関係を表すグラフである。図6に示すように、信号光の光減衰量は、信号光のスポットのコア3cに対するX’方向のずれ量が求められれば一義的に決定する。
【0045】
ここで、上記初期調整により、可変光減衰器101では、信号光と制御光は同一光路を進み入射端面3aの同一位置にスポットを形成する。つまり、図5に示すずれ量と図6に示すずれ量は同一値になる。従って、図5と図6に示す特性情報を予めコントローラ5に与えておけば、コントローラ5は、以下のようにして光減衰処理を実行できる。すなわち、コントローラ5は、信号光に関する光減衰量が設定されると、光検出器4からの出力に基づいて制御光のX”方向の出力差を算出する。そして、上記特性情報を参照しつつ、算出結果が該光減衰量を得るために必要な制御光のX”方向の出力差と一致するように、アクチュエータ6を介して第一集光レンズ2をX方向に駆動制御する。これにより光通信に用いられる光の強度が調整される、換言すれば光減衰処理が行われる。
【0046】
なお、上記光減衰処理の間は、第一集光レンズ2はY方向に対して駆動しないように保持される。つまり本実施形態では、第一集光レンズ2のY方向への駆動制御は、初期調整の時のみ行われる。
【0047】
また、光検出器4は、制御光の波長に対してのみ感度を持つものを使用している。そのため、光検出器4は、入射端面3aで反射した信号光の一部成分が光検出器4に入射したとしても、該一部成分により光量検出の精度が低下することはない。さらに、制御光が第二光ファイバ3のコア3c内を伝送する可能性もあるが、制御光は信号光よりもはるかに短波長に設定されるため、光通信の妨げにはならない。
【0048】
以上が本発明の第一実施形態の可変光減衰器101の説明である。図7〜図12は、本発明の第二〜第七実施形態の可変光減衰器102〜107の構成を表す図である。第二〜第七の各実施形態の可変光減衰器102〜107は、一部の構成部材が追加、置換、変形等されて構成されている点が第一実施形態の可変光減衰器101と異なるが、それ以外の構成および光減衰処理の具体的内容は第一実施形態の可変光減衰器101と同一である。従って、図7〜図12では、第一実施形態の可変光減衰器101と共通の部材には同一符号を付してある。そして以下では、第一実施形態の可変光減衰器101と異なる特徴のみ説明する。
【0049】
図7に示す第二実施形態の可変光減衰器102は、第二光ファイバ3の入射端面3aを、第二光ファイバ3の光軸に対して傾くように構成している。従って、第一集光レンズ2と入射端面3a間の光路と、入射端面3aと光検出器4間の光路を略直交させることができる。このように、本発明に係る可変光減衰器は、光通信システム内において他の構成部材の配置に関する自由度を妨げることがないように、任意に光路を変更することができる。
【0050】
図8に示す第三実施形態の可変光減衰器103は、第一集光レンズ2と入射端面3a間に偏向手段としての偏光ビームスプリッタ8と1/4波長板9を設けている。可変光減衰器103では、第一集光レンズ2から射出された制御光は、偏光ビームスプリッタ8と1/4波長板9を介して入射端面3aに略直角に(入射角0°で)入射する。従って、入射端面3aで反射した制御光は、入射端面3aに入射した時と同一の光路を戻る。入射端面3aで反射した制御光は、1/4波長板9を介して偏光ビームスプリッタ8に入射する。ここで、制御光は、1/4波長板9を2回透過することにより、位相がちょうど半分ずれた偏光状態になっている。従って、入射端面3aで反射した制御光は、偏光ビームスプリッタ8で反射し、光検出器4に導かれる。
【0051】
また、図9に示す第四実施形態の可変光減衰器104は、偏光ビームスプリッタ8と1/4波長板9からなる上記偏向手段を、射出端面1aと第一集光レンズ2間に設けている。また図10に示す第五実施形態の可変光減衰器105は、射出端面1a側から順に、コリメートレンズ10、偏光ビームスプリッタ8、1/4波長板9を設けている。第三から第五の各実施形態の可変光減衰器103〜105は、図8〜図10に示すように、制御光が、射出端面1aおよび偏光ビームスプリッタ8で略直角に偏向し、かつ入射端面3aで再帰反射するように構成される。そのため、各構成部材間の位置決めが容易になるという利点がある。
【0052】
また、上記の各実施形態では、第一集光レンズ2を駆動させることにより、信号光や制御光が入射端面3aにおいて形成するスポットを移動させている。スポットの移動手段としては、他の構成によるものであってもよい。例えば、第一光ファイバ1自体をX方向やY方向に駆動させることにより、入射端面3aにおけるスポットの位置を移動させることも可能である。
【0053】
他にも、例えば、スポットの移動手段として、以下に述べる構造を備える頂角可変プリズムを配置することも可能である。図11は、頂角可変プリズム20の一例を示す断面図である。頂角可変プリズム20は2枚の平行ガラス板21、22と、該2枚のガラス板21、22によって封止される弾性体の蛇腹状カバー23を有する。カバー23の内部にはシリコーンオイル等の液体が充填されている。各ガラス板21、22は、ガラス保持部24a〜24dによって保持されている。ガラス保持部24aは、モータ部25により回転自在なリードねじ26に螺合している。そのため、リードねじ26の回転に伴い、ガラス保持部24aが図中α方向(リードねじ26の延出方向)に進退移動する。これにより、各ガラス板21、22によってなす頂角θの大きさが変化し、頂角可変プリズム20を透過する光の光軸を移動させる(図中破線から実線へ)ことができる。従って、上述したモータ部25やリードねじ26からなる頂角調整部27を、該光軸の移動方向がX方向やY方向に対応するように配置することにより、頂角可変プリズム20をスポット移動手段として使用することができる。
【0054】
また、図12に示す第六実施形態の可変光減衰器106は、射出端面1aからの信号光や制御光の光路上にガルバノミラー11を配置することにより入射端面3aにおけるスポットの位置を移動させる。可変光減衰器106では、信号光や制御光は、第二集光レンズ2を透過後、ガルバノミラー11によって反射され第二光ファイバ3の入射端面3aに入射する。ガルバノミラー11はコントローラ5による制御の下で図12の白抜き矢印線で示すX、Yの各方向に揺動される構成となっている。
【0055】
図13に示す第七実施形態の可変光減衰器107は、ファイバカプラFCを備えた第一光ファイバ1’を使用する。そして、LDから照射される制御光は、ファイバカプラFCを介して第一光ファイバ1’の射出端面1aから射出される。つまり、本実施形態の可変光減衰器107の場合、ファイバカプラによって、射出端面1aから射出された制御光と信号光は同一光路を進むように構成されている。つまり、第七実施形態では、射出端面1aを、制御光を信号光の光路と同一光路に導くための導光手段として使用しない。
【0056】
以上が本発明の実施形態である。本発明に係る可変光減衰器は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形を行っても、上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0057】
例えば、上記実施形態では、第一集光レンズ2を介して第二光ファイバ3へ入射する信号光が射出される光学部材として、第一光ファイバ1を用いている。ここで、本発明に係る可変光減衰器で使用可能な該光学部材は、第一光ファイバ1のような光ファイバに限定されるものではなく、光導波路であってもよい。
【0058】
また、上記説明では、光減衰処理中において、第一集光レンズ2は、X方向にのみ駆動制御しているが、Y方向にのみ駆動制御し、X方向には駆動しないように保持する構成であっても良い。
【0059】
さらには、第一集光レンズ2をはじめとするスポット移動手段は、光減衰処理に必要とされるX方向またはY方向のいずれか一方にのみ駆動自在に構成されていれば良い。またこの場合、光検出器4は、スポット移動手段の移動方向に対応する方向と直交し、かつ中心Oを通る境界線によって二分割された受光面を有する構成であってもよい。例えば、第七実施形態の可変光減衰器107において、第一集光レンズ2をX方向にのみ駆動自在に構成し、受光面4aがY”方向に延出しかつ中心Oを通る境界線によって二分割された光検出器4を使用しても良い。
【0060】
また、上記の実施形態では、第二光ファイバ3の入射端面3aに入射した第一光ファイバ1からの光が回折するために、該入射端面3aにおいて、コア3cをクラッド3bよりも突出させる構成にしているが、これ以外の構成、例えば、コア3cをクラッドよりもλ/8分凹ませる構成であっても同様の効果を得ることができる。また段差によって区切られた領域の径(つまり図2に示すr2)はコアの径よりも若干大きく設定することもできる。
【0061】
上記の各実施形態では、図5に示すような特性を得ることによって、スポットとコアのずれの変化が微細であっても、出力差の変化により確実に検出できるようにするために、入射端面3aにおいて回折現象が起きる構成にしている。従って、さほど高精度な光減衰処理が要求されない光通信システムに搭載される場合、本発明に係る可変光減衰器は、回折現象を積極的に使用しない構成にしても良い。例えば、図2に示すスポット径r1をコア径r2よりも小さく設定する、つまり入射端面3aにおいてスポットがコア3c内に収まるような構成にしてもよい。さらに、本発明に係る可変光減衰器では、入射端面3aに段差を設けず回折現象を利用しなくても制御光の光量差に基づく信号光の光減衰処理を実行することができる。入射端面3aに段差を形成しない構成であれば、より一層のコストダウンを図ることができる。
【0062】
なお、上記実施形態では、光路調整により、制御光と信号光は同一光路を進む(制御光と信号光の各中心線が一致する)と説明したが、該光路調整は、少なくとも信号光と制御光の射出端面1a〜第一集光レンズ2間の光路(中心線)が平行になるように二つの光路を調整すればよい。但し、この場合、入射端面3aにおいて、制御光のスポットのコア3c中心からのずれ量と、信号光のスポットのコア3c中心からのずれ量とは一致しない。そのため、制御部5に図5と図6に示す特性情報を与えても、設定された光減衰量が得られるような負帰還制御ができるとは限らない。そこで、信号光と制御光の光路が平行になるように光路調整した場合には、信号光のコア3c内を伝送する強度と制御光の入射端面3aでのスポット位置(換言すれば、光検出器4での出力差)の特性を実測結果から求め、該特性についての情報に基づいてコントローラ5が負帰還制御するように構成する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第一実施形態の可変光減衰器の概略構成を表す図である。
【図2】本発明の第一実施形態の第二光ファイバにおける入射端面近傍の拡大図である。
【図3】本発明の第一実施形態の光検出器の受光面を示した図である。
【図4】制御光の入射端面における入射位置と、各光検出エリアからの出力に基づくX”方向の光強度分布を示した図である。
【図5】X”方向の出力差と、入射端面における制御光のスポットのコアに対するX’方向のずれ量との関係を表すグラフである。
【図6】信号光の光減衰量と、入射端面における信号光のスポットのコアに対するX’方向のずれ量との関係を表す。
【図7】本発明の第二実施形態の可変光減衰器の構成を表す図である。
【図8】本発明の第三実施形態の可変光減衰器の構成を表す図である。
【図9】本発明の第四実施形態の可変光減衰器の構成を表す図である。
【図10】本発明の第五実施形態の可変光減衰器の構成を表す図である。
【図11】本発明の第六実施形態の可変光減衰器の構成を表す図である。
【図12】本発明の第七実施形態の可変光減衰器の構成を表す図である。
【図13】本発明の実施形態の可変光減衰器におけるスポット移動手段の変形例を示す。
【符号の説明】
【0064】
1 第一光ファイバ
2 第一集光レンズ
3 第二光ファイバ
3a 入射端面
3b クラッド
3c コア
4 光検出器
5 コントローラ
8 偏光ビームスプリッタ
9 1/4波長板
11 ガルバノミラー
101〜102 可変光減衰器
20 頂角可変プリズム
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信システム等において光強度を減衰して調整する減衰器として用いられるものであり、特に光増幅器の増幅特性の平坦化に用いられる可変光減衰器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に光通信システムあるいは光計測システムなどでは、光伝送レベルを調整するための光減衰器が必要である。光減衰器には、可変光減衰器と半固定光減衰器が知られている。可変光減衰器は30dB以上の減衰を連続的に調整できるものが一般的であり、システム送受信機のレベル調整や、光デバイスの特性測定等の計測器として使用されている。また半固定光減衰器は、主に光伝送路の区間伝送損失の調整に使用される。
【0003】
可変光減衰器の従来例としては、下記の特許文献1のように、光ファイバを切断して各切断端面のコア芯をずらすことによって光減衰量を調整する構成がある。
【0004】
【特許文献1】特開平4−166803号公報
【0005】
上記特許文献1の構成では、コア芯のずれ量が変化すると光減衰量も変化するという特徴を利用して信号光の減衰処理を行っている。ここで、コア芯のずれ量とは、一方の切断端面(射出端面)から射出された信号光が他方の切断端面(入射端面)で形成するビームスポットと入射端面のコアとのずれ量ともいえる。特許文献1の構成において、所定の光減衰量が得られるように高精度な減衰処理を実現するためには、コア芯のずれ量が、精確に検出される必要がある。コア芯のずれ量の精確な検出手法としては、例えば、入射端面に入射した信号光の一部を受光素子等によって受光することにより、ビームスポットの位置を常時検出する。そして、検出結果に基づき、入射端面におけるビームスポット形成位置をフィードバック制御することが考えられる。
【0006】
しかし、一般に光通信システム等で用いられる信号光は1300nm以上の極めて長い波長を有している。そのため、入射端面からの信号光を検出可能な受光素子は、上記の波長に感度を有するように特殊な構成にせざるを得ず、必然的に高価にならざるを得なかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、安価に製造可能で、所定の光減衰量が得られるような高精度な減衰処理を実現することができる可変光減衰器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の可変光減衰器は、第一の光が射出される光伝送路を有する第一光学部材と、第一光学部材から射出された第一の光が入射する光伝送路を有する第二光学部材と、第一の光が第二光学部材の入射端面上に入射する位置を移動させる移動手段と、第一の光よりも短波長の第二の光を照射する光源と、光源から照射された第二の光を、移動手段を介して入射端面に導く第一の導光手段と、第二の光を第二の導光手段を介して受光する受光面を有し、受光面で受光した前記第二の光の光量を検出する光量検出手段と、光量検出手段により検出された第二の光の光量に基づいて、第一の光の前記入射端面における位置が、所定の条件を満たすような位置に向かうように移動手段に対し制御を行なう制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、信号光とは別個の光源から照射された信号光より短波長の制御光を減衰処理の制御用として利用する。従って、信号光の波長に感度を持つような特殊な受光素子を光量検出手段として使用する必要がなくなるため、本発明に係る可変光減衰器は、非常に安価に構成することができる。なお、現在、流通過程において信号光の波長に感度を持つ受光素子の値段は極めて高価である。そのため、請求項1に記載の発明のように、制御光を照射する光源や制御光に感度のある光量検出手段を付加しても、信号光の波長に感度を持つ受光素子を使用する構成より、安価な可変光減衰器を提供することができる。
【0010】
また、入射端面からの制御光の光量を実際に検出し、該検出結果に基づきスポット移動手段を負帰還制御する構成にしたことにより、所定の光減衰量が得られるような高精度な減衰処理が実行される。
【0011】
詳しくは、光量検出手段は、受光面が少なくとも一本の境界線によって分割された複数の受光エリアを備え、制御手段は、各受光エリアで受光された第二の光の光量の差に基づいて制御を行うように構成される(請求項2)。
【0012】
より詳しくは、制御手段は、各受光エリアで検出された第二の光の光量の差と第一光学部材から第二光学部材に伝わる第一の光の強度との関係に関する情報を有しており、情報に基づき、第一の光の入射端面における位置が、設定された光減衰量が得られるような位置に向かうように制御することができる(請求項3)。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、移動手段は、入射端面における第一の光の位置を第一の方向に移動させ、光量検出手段の前記受光面は、第一の方向に対応する方向に沿って並ぶ2つの受光エリアを有する。
【0014】
また、別の態様として、移動手段は、入射端面における第一の光の位置を互いに直交する第一の方向と第二の方向に移動させ、光量検出手段の受光面は、第一の方向に対応する第三の方向、および第二の方向に対応する第四の方向に延出する二本の境界線により4つの受光エリアに分割されているような構成にしても良い(請求項5)。この場合、制御手段は、4つの受光エリアのそれぞれで検出された光量の差に基づいて、第二の光の受光面での入射位置調整に関する制御も行うことができる(請求項6)。このように二次元方向でのスポットの移動および光量差検出を可能にすることにより、各構成部材の初期の位置調整が容易に行われる。
【0015】
請求項7に記載の可変光減衰器によれば、第一の導光手段は第一光学部材に一体形成することができる。例えば、第一光学部材の射出端面を第一の導光手段として使用することができる。この場合、該射出端面は、光源から照射された第二の光を反射して第二光学部材に導く(請求項8)。射出端面を第一の導光手段として利用することにより、導光手段として新たな部材を制御光の光路に配設する必要がなくなり部材点数の無用な増加を抑えることができる。
【0016】
第一光学部材の射出端面第一の導光手段として使用する場合、該射出端面における第二の光の入射位置(換言すれば第一の光の射出位置)には、第二の光に対して高い反射率を有しかつ第一の光に対して高い透過率を有する波長選択性を持つ光学膜がコートされていると良い(請求項9)。これにより、射出端面で反射する際、制御光の光量損失を最小限に抑えることができるため、光量検出手段はより効果的に光量検出を行える。
【0017】
請求項10に記載の可変光減衰器によれば、第一光学部材は光ファイバである。また、請求項11に記載の可変光減衰器によれば、第一光学部材は、第一の導光手段としてファイバカプラを有する光ファイバを使用することができる。
【0018】
具体的には、光源は、第一光学部材との関係において、射出端面で反射した第二の光の中心線が該射出端面から射出された第一の光の中心線と平行となって第二光学部材に入射するように位置決めされることが望ましい(請求項12)。
【0019】
より好ましくは、光源は、第一光学部材との関係において、射出端面で反射した第二の光の中心線が該射出端面から射出された第一の光の中心線と略一致して第二光学部材に入射するように位置決めされる(請求項13)。これにより、光量検出手段で検出された制御光の光量に基づく信号光の減衰処理にかかる負担を軽減することができる。
【0020】
請求項14に記載の発明によれば、第二光学部材は光ファイバであり、第二光学部材の光伝送路は光ファイバのコアである。
【0021】
請求項15に記載の発明によれば、第一光学部材から射出された光を集光する第三光学部材を有し、第二光学部材は、第二の光が入射する入射端面におけるコアとクラッドに所定寸法の段差が形成されており、第三光学部材は、入射端面上において第二の光がコアの径よりも大きくクラッドの径よりも小さい径のスポットを形成するように該第二の光を集光する。このように構成すれば、光量検出手段の受光面に入射した第二の光により回折パタンが発生する。そのため、段差を形成しない場合よりも光量の微細な変化を検出することができることになり、より精細な減衰調整を行うことができる。
【0022】
上記段差の所定寸法とは、回折現象が発生しやすい寸法、具体的には、第二の光の波長をλとし、媒質の屈折率をnとすると、略λ/(4n)よりも小さい値に設定される(請求項16)。例えば、該段差は、略λ/(8n)がよい(請求項17)。
【0023】
請求項18に記載に発明によれば、入射端面は、コアの端面とクラッドの端面は、略平行に構成される。
【0024】
請求項19に記載の発明によれば、移動手段は、第三光学部材を駆動することにより入射端面における第一の光の位置を移動させてもよい。また、第二光学部材と光学部材端面の間に設置されたガルバノミラーや頂角可変プリズムによって入射端面における第一の光の位置を移動させてもよい。
【0025】
請求項22に記載の発明によれば、第二の導光手段は、該第二の導光手段を介した第二の光が、第二の導光手段に入射する第二の光の光路と同一の光路を戻るように構成されており、第二の導光手段を介した第二の光を、該光路から外れた方向に偏向させて光量検出手段に導く偏向手段をさらに有してもよい。
【0026】
上記偏向手段としては、例えば偏光ビームスプリッタと1/4波長板を有する構成にすることができる(請求項23)。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明によれば、長波長の第一の光(例えば信号光)とは異なる短波長の第二の光(例えば制御光)を使用して光減衰調整に関する負帰還制御を行う構成にした。これにより、所定の光減衰量が得られるような高精度な減衰処理を実現することができる。さらに、信号光を負帰還制御には使用しないことにより、光量検出手段として特殊かつ高価な受光素子を使用する必要がなくなる。従って、可変光減衰器全体のコストダウンが図れる。
【0028】
また、上記のように光減衰処理に関して負帰還制御を行なうように構成された可変光減衰器は、環境変化や経時変化等に左右されることなく常に光通信に好適な光強度を取得することができるため、高い性能を維持することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、本発明の第一の実施形態としての可変光減衰器101の構成を表す図である。可変光減衰器101は、光通信システム等において信号光の光強度を減衰して調整する減衰器として用いられる。
【0030】
第一実施形態の可変光減衰器101は、LD、第一光ファイバ1、第一集光レンズ2、第二光ファイバ3、光検出器4、コントローラ5、アクチュエータ6、第二集光レンズ7を備える。図2は、第二光ファイバ3の入射端面3a近傍の拡大図である。第二光ファイバ3の入射端面3aは、クラッド3b、コア3cを備える。なお、本明細書では、説明の便宜上、コア3cの中心は第二光ファイバ3の中心と一致するものとする。可変光減衰器101では、光通信に使用される信号光の他に、該信号光の強度を減衰する処理に使用される制御光を用いる。制御光は、信号光(例えば1300nm)よりも短波長のもの、例えば650〜820nmが使用される。
【0031】
信号光は、図示しない光源から照射され、第一光ファイバ1、第一集光レンズ2を介して第二光ファイバ3の入射端面3aに入射する。図2に示すように、第二光ファイバ3の入射端面3aに入射した信号光のうち、コア3cに入射した成分のみが伝送される。従って、コア3cにどの程度信号光を入射させるかを調整することにより、光減衰処理は実行される。
【0032】
ここで第一集光レンズ2はコントローラ5の制御下、アクチュエータ6によって、光軸に直交する面内の1つの軸方向(X方向)および該X方向と直交するY方向で移動可能な状態にある。上記スポットは、該レンズ2の駆動する方向に対応して入射端面3a上をX’方向またはY’方向に移動する。
【0033】
なお、本明細書では上記スポットの入射端面3aでの移動方向(X’方向、Y’方向)を基準として可変光減衰器101における位置関係および方向を説明する。本実施形態の構成では、第一光ファイバ1から入射端面3aを臨んだ場合、コア3cの位置を基準として左方向をX’(−)方向、右方向をX’(+)方向、上方向をY’(+)方向、下方向をY’(−)方向とする。また、第一集光レンズ2の駆動方向は、第一光ファイバ1から第一集光レンズ2を臨んだ場合、左方向をX(−)方向、右方向をX(+)方向、上方向をY(+)方向、下方向をY(−)方向とする。
【0034】
LDから照射された制御光は、第二集光レンズ7を介して収束しつつ、第一光ファイバ1における信号光が射出される端面(射出端面)1aのコア1bに向かう。そして制御光は、コア1bで反射する。ここで、射出端面1aにおいて、信号光の強度を弱めることなく制御光の反射効率を高めるために、射出端面1aのコア1bには制御光の波長に対する反射率および信号光の波長に対する透過率が高く設定された波長選択性を持つ光学膜がコートされている。
【0035】
射出端面1aで反射した制御光は、信号光と同様に第二光ファイバ3の入射端面3aに入射する。ここで、図2に示すように、第一集光レンズ2は、入射端面3aに入射する制御光により形成されるスポットの径r1がコア3cの径r2よりも若干大きくなるように、該制御光を集光するパワーを持つ。例えば、本実施形態では、r1を11μm、r2を10μmに設定する。そのため、信号光が光伝送効率の最も高い位置、つまりコア3cの中心に入射している場合であっても、該制御光のスポット周縁部はクラッド3bに入射している。
【0036】
また図2に示すように、入射端面3aは、コア3cがクラッド3bの面に対して略直交する方向(第二光ファイバ3の光軸方向)に突出することにより段差が形成されている。また入射端面3aは、突出したコア3cの面とクラッド3bの面とが略平行になるように加工される。本実施形態では、フォトリソ技術を用いることにより入射端面3aを上記形状に加工している。段差の寸法は、突出したコア3cの面とクラッド3bの面の双方に光が入射した場合に、λ/(4n)よりも小さい値、好ましくはλ/(8n)に設定される。但し、λは入射する光の波長(本実施形態では制御光の波長)で、nは媒質の屈折率である。段差の寸法を上記のように設定することにより、上記制御光が入射端面3aにおけるコア3cとクラッド3bの双方にまたがるように入射すると回折現象が起こる。なお本実施形態では、該媒質を空気と想定し、コア3cに入射して反射した光(0次光)とクラッド3bに入射して反射した光(1次光)とによって得られる光強度差が最大となるように、上記所定寸法を略λ/8に設定する。
【0037】
なお、可変光減衰器101では、第一集光レンズ2から射出された制御光が入射端面3aで反射する時、入射方向とは別の方向に反射するように構成している。これにより、入射端面3aで反射した制御光の光路上に、入射端面3aに入射する信号光の光路を邪魔することなく、光検出器4の受光面4aを配置することができる。
【0038】
本実施形態では、光検出器4として4分割フォトディテクタを使用する。図3は、第一実施形態の光検出器4の受光面4aを示す図である。図3は、説明の便宜上、受光面4aを裏側から臨んだ状態を示している。図3に示すように、受光面4aにおける方向は、受光面4aを裏側から臨んだ場合に、中心Oを基準として、X’(+)方向に対応する方向つまり光検出エリアA、Dに向かう方向がX”(+)方向、X’(−)方向に対応する方向つまり光検出エリアB、Cに向かう方向がX”(−)方向と定義される。同様に、中心Oを基準として、Y’(+)方向に対応する方向つまり光検出エリアA、Bに向かう方向はY”(+)方向、Y’(−)方向に対応する方向つまり光検出エリアC、Dに向かう方向はY”(−)方向と定義する。
【0039】
具体的には、図3に示すように、受光面4aは、該受光面4aの中心Oで互いに直交する2本の境界線4b、4cによって4つの格子状の光検出エリアA〜Dに分割されている。光検出器4は、上記2本の境界線4b、4cの延出方向が第一集光レンズ2の移動可能な方向(X方向、Y方向)に対応する方向(X”方向、Y”方向)と略一致するように配置される。また、第二光ファイバ3と光検出器4は、入射端面3aのコア3c中心で反射した光線が受光面4a上における中心Oに入射するように、予め、位置決めされた状態で固定されている。なお入射端面3aと光検出器4との間には、反射光が4つの光検出エリアA〜D内に入射するように、所定の光学系(不図示)が配置されている。光検出器4は、光検出エリアA〜Dごとに受光した光の光量に対応する電圧信号をコントローラ5に出力する。
【0040】
信号光の光減衰処理を行うにあたり、可変光減衰器101では以下の初期調整が実行される。本実施形態の初期調整では、まず射出端面1aで反射した制御光の光路が、射出端面1aから射出された信号光の光路と同一となるように、より具体的には制御光の中心線と信号光の中心線が一致するように光路調整を行う。光路調整において、制御光が信号光の光路と略同一光路を進むような各部材間の相対的位置決めを容易に達成できるようにするため、射出端面1aは第一光ファイバ1の光軸に対して傾くよう形成される。そして、LDおよび第二集光レンズ7は、第一光ファイバ1との関係において、射出端面1aのコア1bで収束し、反射した制御光が第一光ファイバ1から射出される信号光の光路と略同一光路を通るような位置に配置される。
【0041】
次いで、信号光が入射端面3aにおいて形成するスポットがコア3c中心に向かうようにスポットの位置調整を行う。本実施形態では信号光と制御光は同一光路を進む。従って、ここでは、制御光を用いてスポットの位置調整を行う。具体的には、コントローラ5が、制御光において入射端面3aのコア3c中心に入射する光線が受光面4a上における中心Oに入射するように、第一集光レンズ2をX方向およびY方向に駆動制御する。制御光において入射端面3aのコア3c中心に入射する光線が受光面4a上における中心Oに入射するかどうかは、光検出器4の各光検出エリアA〜Dで検出された光量が1:1:1:1になったかどうかにより判断される。以上が初期調整である。
【0042】
次に本発明の主たる特徴である光減衰処理について詳説する。図4(A)〜図4(C)は、上記初期調整が行われた状態において、制御光の入射端面3aにおける入射位置と、制御光が各入射位置にあるときの各光検出エリアA〜Dからの出力に基づくX”方向の光強度分布を示した図である。各図に示す入射端面3aは図面左側がX’(−)方向、右側がX’(+)方向である。図4(A)は、制御光がコア3cよりもX’(−)方向に入射している状態と該状態における制御光の光強度分布を示す。図4(B)は、制御光の入射位置がコア3cと略一致する状態と該状態における制御光の光強度分布を示す。図4(C)は、制御光がコア3cよりもX’(+)方向に入射している状態と該状態における制御光の光強度分布を示す。
【0043】
図4(A)〜図4(C)に示すように、光検出器4からの出力に基づいて生成される光強度分布は、入射端面3aにおけるスポットの位置により異なる。つまり、該光強度分布は、入射端面3aにおけるスポットとコア3cとのずれに対応して変化する。ここで、各センサA〜Dの受光光量は生成される光強度分布の積分値に比例する。よって、上記光強度分布の変化とは、光検出センサAおよびDの出力の和(以下、X”(+)方向の出力という)と光検出センサBおよびCの出力の和(以下、X”(−)方向の出力という)の差(以下、X”方向の出力差という)の変化とも言える。図5は、X”方向の出力差と、入射端面3aにおける制御光のスポットのコアに対するX’方向のずれ量との関係を表すグラフである。図5に示すように、X’方向のずれ量は、X”方向の出力差に対してS字状に変化する。従って、X”方向の出力差が求められればX’方向のずれ量は一義的に決定する。
【0044】
また、信号光は、入射端面3aにおけるスポットの位置がコア3c中心から離れれば離れるほど、コア3c内を伝送する量が低下する、換言すれば光減衰量が増加する。図6は、信号光の光減衰量と、入射端面3aにおける信号光のスポットのコア3cに対するX’方向のずれ量との関係を表すグラフである。図6に示すように、信号光の光減衰量は、信号光のスポットのコア3cに対するX’方向のずれ量が求められれば一義的に決定する。
【0045】
ここで、上記初期調整により、可変光減衰器101では、信号光と制御光は同一光路を進み入射端面3aの同一位置にスポットを形成する。つまり、図5に示すずれ量と図6に示すずれ量は同一値になる。従って、図5と図6に示す特性情報を予めコントローラ5に与えておけば、コントローラ5は、以下のようにして光減衰処理を実行できる。すなわち、コントローラ5は、信号光に関する光減衰量が設定されると、光検出器4からの出力に基づいて制御光のX”方向の出力差を算出する。そして、上記特性情報を参照しつつ、算出結果が該光減衰量を得るために必要な制御光のX”方向の出力差と一致するように、アクチュエータ6を介して第一集光レンズ2をX方向に駆動制御する。これにより光通信に用いられる光の強度が調整される、換言すれば光減衰処理が行われる。
【0046】
なお、上記光減衰処理の間は、第一集光レンズ2はY方向に対して駆動しないように保持される。つまり本実施形態では、第一集光レンズ2のY方向への駆動制御は、初期調整の時のみ行われる。
【0047】
また、光検出器4は、制御光の波長に対してのみ感度を持つものを使用している。そのため、光検出器4は、入射端面3aで反射した信号光の一部成分が光検出器4に入射したとしても、該一部成分により光量検出の精度が低下することはない。さらに、制御光が第二光ファイバ3のコア3c内を伝送する可能性もあるが、制御光は信号光よりもはるかに短波長に設定されるため、光通信の妨げにはならない。
【0048】
以上が本発明の第一実施形態の可変光減衰器101の説明である。図7〜図12は、本発明の第二〜第七実施形態の可変光減衰器102〜107の構成を表す図である。第二〜第七の各実施形態の可変光減衰器102〜107は、一部の構成部材が追加、置換、変形等されて構成されている点が第一実施形態の可変光減衰器101と異なるが、それ以外の構成および光減衰処理の具体的内容は第一実施形態の可変光減衰器101と同一である。従って、図7〜図12では、第一実施形態の可変光減衰器101と共通の部材には同一符号を付してある。そして以下では、第一実施形態の可変光減衰器101と異なる特徴のみ説明する。
【0049】
図7に示す第二実施形態の可変光減衰器102は、第二光ファイバ3の入射端面3aを、第二光ファイバ3の光軸に対して傾くように構成している。従って、第一集光レンズ2と入射端面3a間の光路と、入射端面3aと光検出器4間の光路を略直交させることができる。このように、本発明に係る可変光減衰器は、光通信システム内において他の構成部材の配置に関する自由度を妨げることがないように、任意に光路を変更することができる。
【0050】
図8に示す第三実施形態の可変光減衰器103は、第一集光レンズ2と入射端面3a間に偏向手段としての偏光ビームスプリッタ8と1/4波長板9を設けている。可変光減衰器103では、第一集光レンズ2から射出された制御光は、偏光ビームスプリッタ8と1/4波長板9を介して入射端面3aに略直角に(入射角0°で)入射する。従って、入射端面3aで反射した制御光は、入射端面3aに入射した時と同一の光路を戻る。入射端面3aで反射した制御光は、1/4波長板9を介して偏光ビームスプリッタ8に入射する。ここで、制御光は、1/4波長板9を2回透過することにより、位相がちょうど半分ずれた偏光状態になっている。従って、入射端面3aで反射した制御光は、偏光ビームスプリッタ8で反射し、光検出器4に導かれる。
【0051】
また、図9に示す第四実施形態の可変光減衰器104は、偏光ビームスプリッタ8と1/4波長板9からなる上記偏向手段を、射出端面1aと第一集光レンズ2間に設けている。また図10に示す第五実施形態の可変光減衰器105は、射出端面1a側から順に、コリメートレンズ10、偏光ビームスプリッタ8、1/4波長板9を設けている。第三から第五の各実施形態の可変光減衰器103〜105は、図8〜図10に示すように、制御光が、射出端面1aおよび偏光ビームスプリッタ8で略直角に偏向し、かつ入射端面3aで再帰反射するように構成される。そのため、各構成部材間の位置決めが容易になるという利点がある。
【0052】
また、上記の各実施形態では、第一集光レンズ2を駆動させることにより、信号光や制御光が入射端面3aにおいて形成するスポットを移動させている。スポットの移動手段としては、他の構成によるものであってもよい。例えば、第一光ファイバ1自体をX方向やY方向に駆動させることにより、入射端面3aにおけるスポットの位置を移動させることも可能である。
【0053】
他にも、例えば、スポットの移動手段として、以下に述べる構造を備える頂角可変プリズムを配置することも可能である。図11は、頂角可変プリズム20の一例を示す断面図である。頂角可変プリズム20は2枚の平行ガラス板21、22と、該2枚のガラス板21、22によって封止される弾性体の蛇腹状カバー23を有する。カバー23の内部にはシリコーンオイル等の液体が充填されている。各ガラス板21、22は、ガラス保持部24a〜24dによって保持されている。ガラス保持部24aは、モータ部25により回転自在なリードねじ26に螺合している。そのため、リードねじ26の回転に伴い、ガラス保持部24aが図中α方向(リードねじ26の延出方向)に進退移動する。これにより、各ガラス板21、22によってなす頂角θの大きさが変化し、頂角可変プリズム20を透過する光の光軸を移動させる(図中破線から実線へ)ことができる。従って、上述したモータ部25やリードねじ26からなる頂角調整部27を、該光軸の移動方向がX方向やY方向に対応するように配置することにより、頂角可変プリズム20をスポット移動手段として使用することができる。
【0054】
また、図12に示す第六実施形態の可変光減衰器106は、射出端面1aからの信号光や制御光の光路上にガルバノミラー11を配置することにより入射端面3aにおけるスポットの位置を移動させる。可変光減衰器106では、信号光や制御光は、第二集光レンズ2を透過後、ガルバノミラー11によって反射され第二光ファイバ3の入射端面3aに入射する。ガルバノミラー11はコントローラ5による制御の下で図12の白抜き矢印線で示すX、Yの各方向に揺動される構成となっている。
【0055】
図13に示す第七実施形態の可変光減衰器107は、ファイバカプラFCを備えた第一光ファイバ1’を使用する。そして、LDから照射される制御光は、ファイバカプラFCを介して第一光ファイバ1’の射出端面1aから射出される。つまり、本実施形態の可変光減衰器107の場合、ファイバカプラによって、射出端面1aから射出された制御光と信号光は同一光路を進むように構成されている。つまり、第七実施形態では、射出端面1aを、制御光を信号光の光路と同一光路に導くための導光手段として使用しない。
【0056】
以上が本発明の実施形態である。本発明に係る可変光減衰器は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形を行っても、上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0057】
例えば、上記実施形態では、第一集光レンズ2を介して第二光ファイバ3へ入射する信号光が射出される光学部材として、第一光ファイバ1を用いている。ここで、本発明に係る可変光減衰器で使用可能な該光学部材は、第一光ファイバ1のような光ファイバに限定されるものではなく、光導波路であってもよい。
【0058】
また、上記説明では、光減衰処理中において、第一集光レンズ2は、X方向にのみ駆動制御しているが、Y方向にのみ駆動制御し、X方向には駆動しないように保持する構成であっても良い。
【0059】
さらには、第一集光レンズ2をはじめとするスポット移動手段は、光減衰処理に必要とされるX方向またはY方向のいずれか一方にのみ駆動自在に構成されていれば良い。またこの場合、光検出器4は、スポット移動手段の移動方向に対応する方向と直交し、かつ中心Oを通る境界線によって二分割された受光面を有する構成であってもよい。例えば、第七実施形態の可変光減衰器107において、第一集光レンズ2をX方向にのみ駆動自在に構成し、受光面4aがY”方向に延出しかつ中心Oを通る境界線によって二分割された光検出器4を使用しても良い。
【0060】
また、上記の実施形態では、第二光ファイバ3の入射端面3aに入射した第一光ファイバ1からの光が回折するために、該入射端面3aにおいて、コア3cをクラッド3bよりも突出させる構成にしているが、これ以外の構成、例えば、コア3cをクラッドよりもλ/8分凹ませる構成であっても同様の効果を得ることができる。また段差によって区切られた領域の径(つまり図2に示すr2)はコアの径よりも若干大きく設定することもできる。
【0061】
上記の各実施形態では、図5に示すような特性を得ることによって、スポットとコアのずれの変化が微細であっても、出力差の変化により確実に検出できるようにするために、入射端面3aにおいて回折現象が起きる構成にしている。従って、さほど高精度な光減衰処理が要求されない光通信システムに搭載される場合、本発明に係る可変光減衰器は、回折現象を積極的に使用しない構成にしても良い。例えば、図2に示すスポット径r1をコア径r2よりも小さく設定する、つまり入射端面3aにおいてスポットがコア3c内に収まるような構成にしてもよい。さらに、本発明に係る可変光減衰器では、入射端面3aに段差を設けず回折現象を利用しなくても制御光の光量差に基づく信号光の光減衰処理を実行することができる。入射端面3aに段差を形成しない構成であれば、より一層のコストダウンを図ることができる。
【0062】
なお、上記実施形態では、光路調整により、制御光と信号光は同一光路を進む(制御光と信号光の各中心線が一致する)と説明したが、該光路調整は、少なくとも信号光と制御光の射出端面1a〜第一集光レンズ2間の光路(中心線)が平行になるように二つの光路を調整すればよい。但し、この場合、入射端面3aにおいて、制御光のスポットのコア3c中心からのずれ量と、信号光のスポットのコア3c中心からのずれ量とは一致しない。そのため、制御部5に図5と図6に示す特性情報を与えても、設定された光減衰量が得られるような負帰還制御ができるとは限らない。そこで、信号光と制御光の光路が平行になるように光路調整した場合には、信号光のコア3c内を伝送する強度と制御光の入射端面3aでのスポット位置(換言すれば、光検出器4での出力差)の特性を実測結果から求め、該特性についての情報に基づいてコントローラ5が負帰還制御するように構成する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第一実施形態の可変光減衰器の概略構成を表す図である。
【図2】本発明の第一実施形態の第二光ファイバにおける入射端面近傍の拡大図である。
【図3】本発明の第一実施形態の光検出器の受光面を示した図である。
【図4】制御光の入射端面における入射位置と、各光検出エリアからの出力に基づくX”方向の光強度分布を示した図である。
【図5】X”方向の出力差と、入射端面における制御光のスポットのコアに対するX’方向のずれ量との関係を表すグラフである。
【図6】信号光の光減衰量と、入射端面における信号光のスポットのコアに対するX’方向のずれ量との関係を表す。
【図7】本発明の第二実施形態の可変光減衰器の構成を表す図である。
【図8】本発明の第三実施形態の可変光減衰器の構成を表す図である。
【図9】本発明の第四実施形態の可変光減衰器の構成を表す図である。
【図10】本発明の第五実施形態の可変光減衰器の構成を表す図である。
【図11】本発明の第六実施形態の可変光減衰器の構成を表す図である。
【図12】本発明の第七実施形態の可変光減衰器の構成を表す図である。
【図13】本発明の実施形態の可変光減衰器におけるスポット移動手段の変形例を示す。
【符号の説明】
【0064】
1 第一光ファイバ
2 第一集光レンズ
3 第二光ファイバ
3a 入射端面
3b クラッド
3c コア
4 光検出器
5 コントローラ
8 偏光ビームスプリッタ
9 1/4波長板
11 ガルバノミラー
101〜102 可変光減衰器
20 頂角可変プリズム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の光が射出される光伝送路を有する第一光学部材と、
前記第一光学部材から射出された前記第一の光が入射する光伝送路を有する第二光学部材と、
前記第一の光が前記第二光学部材の入射端面上に入射する位置を移動させる移動手段と、
前記第一の光よりも短波長の第二の光を照射する光源と、
前記光源から照射された前記第二の光を、前記移動手段を介して前記入射端面に導く第一の導光手段と、
前記第二の光を第二の導光手段を介して受光する受光面を有し、前記受光面で受光した前記第二の光の光量を検出する光量検出手段と、
前記光量検出手段により検出された前記第二の光の光量に基づいて、前記第一の光の前記入射端面における位置が、所定の条件を満たすような位置に向かうように前記移動手段に対し制御を行なう制御手段と、を備えることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項2】
請求項1に記載の可変光減衰器において、
前記光量検出手段は、受光面が少なくとも一本の境界線によって分割された複数の受光エリアを備え、
前記制御手段は、各受光エリアで受光された前記第二の光の光量の差に基づいて前記制御を行うことを特徴とする可変光減衰器。
【請求項3】
請求項2に記載の可変光減衰器において、
前記制御手段は、各受光エリアで検出された前記第二の光の光量の差と前記第一光学部材から前記第二光学部材に伝わる前記第一の光の強度との関係に関する情報を有しており、前記情報に基づき、前記第一の光の前記入射端面における位置が、設定された光減衰量が得られるような位置に向かうように制御することを特徴とする可変光減衰器。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の可変光減衰器において、
前記移動手段は、前記入射端面における前記第一の光の位置を第一の方向に移動させ、
前記光量検出手段の前記受光面は、前記第一の方向に対応する方向に沿って並ぶ2つの受光エリアを有することを特徴とする可変光減衰器。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の可変光減衰器において、
前記移動手段は、前記入射端面における前記第一の光の位置を互いに直交する第一の方向と第二の方向に移動させ、
前記光量検出手段の前記受光面は、前記第一の方向に対応する第三の方向、および前記第二の方向に対応する第四の方向に延出する二本の境界線により4つの受光エリアに分割されていることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項6】
請求項5に記載の可変光減衰器において、
前記制御手段は、前記4つの受光エリアのそれぞれで検出された光量の差に基づいて、前記第二の光の前記受光面での入射位置調整に関する制御も行うことを特徴とする可変光減衰器。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記第一の導光手段は前記第一光学部材に一体形成されていることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項8】
請求項7に記載の可変光減衰器において、
前記第一の導光手段は、前記第一光学部材の射出端面であり、
前記射出端面は、前記光源から照射された前記第二の光を反射して第二光学部材に導くことを特徴とする可変光減衰器。
【請求項9】
請求項8に記載の可変光減衰器において、
前記射出端面における前記第二の光の入射位置には、前記第二の光に対して高い反射率を有しかつ前記第一の光に対して高い透過率を有する波長選択性を持つ光学膜がコートされていることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記第一光学部材は光ファイバであることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項11】
請求項7に記載の可変光減衰器において、
前記第一光学部材は、前記第一の導光手段としてファイバカプラを有する光ファイバであることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項12】
請求項7から請求項11のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記光源は、前記第一光学部材との関係において、前記射出端面で反射した前記第二の光の中心線が該射出端面から射出された前記第一の光の中心線と平行となって前記第二光学部材に入射するように位置決めされていることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項13】
請求項7から請求項12のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記光源は、前記第一光学部材との関係において、前記射出端面で反射した前記第二の光の中心線が該射出端面から射出された前記第一の光の中心線と略一致して前記第二光学部材に入射するように位置決めされていることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記第二光学部材は光ファイバであり、
前記第二光学部材の光伝送路は、前記光ファイバのコアであること、を特徴とする可変光減衰器。
【請求項15】
請求項14に記載の可変光減衰器はさらに、
前記第一光学部材から射出された光を集光する第三光学部材を有し、
前記第二光学部材は、前記第二の光が入射する入射端面におけるコアとクラッドに所定寸法の段差が形成されており、
前記第三光学部材は、前記入射端面上において前記第二の光が前記コアの径よりも大きく前記クラッドの径よりも小さい径のスポットを形成するように該第二の光を集光することを特徴とする可変光減衰器。
【請求項16】
請求項15に記載の可変光減衰器において、
前記所定寸法は、前記第二の光の波長をλとし、媒質の屈折率をnとすると、略λ/(4n)よりも小さい値に設定されることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項17】
請求項16に記載の可変光減衰器において、
前記所定寸法は、略λ/(8n)に設定されることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項18】
請求項15から請求項17のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記入射端面は、前記コアの端面と前記クラッドの端面が、略平行な関係にあることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項19】
請求項15から請求項18のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記移動手段は、前記第三光学部材を駆動することにより、前記入射端面における前記第一の光の位置を移動させることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項20】
請求項1から請求項18のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記移動手段は、第一光学部材と第二光学部材の間に設置されたガルバノミラーを有することを特徴とする可変光減衰器。
【請求項21】
請求項1から請求項18のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記移動手段は、第一光学部材と第二光学部材の間に設置された、頂角を自在に変化させることが可能な頂角可変プリズムを有することを特徴とする可変光減衰器。
【請求項22】
請求項1から請求項21のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記第二の導光手段は、該第二の導光手段を介した第二の光が、前記第二の導光手段に入射する第二の光の光路と同一の光路を戻るように構成されており、
前記第二の導光手段を介した第二の光を、該光路から外れた方向に偏向させて前記光量検出手段に導く偏向手段をさらに有することを特徴とする可変光減衰器。
【請求項23】
請求項22に記載の可変光減衰器において、
前記偏向手段は、偏光ビームスプリッタと1/4波長板とを有することを特徴とする可変光減衰器。
【請求項1】
第一の光が射出される光伝送路を有する第一光学部材と、
前記第一光学部材から射出された前記第一の光が入射する光伝送路を有する第二光学部材と、
前記第一の光が前記第二光学部材の入射端面上に入射する位置を移動させる移動手段と、
前記第一の光よりも短波長の第二の光を照射する光源と、
前記光源から照射された前記第二の光を、前記移動手段を介して前記入射端面に導く第一の導光手段と、
前記第二の光を第二の導光手段を介して受光する受光面を有し、前記受光面で受光した前記第二の光の光量を検出する光量検出手段と、
前記光量検出手段により検出された前記第二の光の光量に基づいて、前記第一の光の前記入射端面における位置が、所定の条件を満たすような位置に向かうように前記移動手段に対し制御を行なう制御手段と、を備えることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項2】
請求項1に記載の可変光減衰器において、
前記光量検出手段は、受光面が少なくとも一本の境界線によって分割された複数の受光エリアを備え、
前記制御手段は、各受光エリアで受光された前記第二の光の光量の差に基づいて前記制御を行うことを特徴とする可変光減衰器。
【請求項3】
請求項2に記載の可変光減衰器において、
前記制御手段は、各受光エリアで検出された前記第二の光の光量の差と前記第一光学部材から前記第二光学部材に伝わる前記第一の光の強度との関係に関する情報を有しており、前記情報に基づき、前記第一の光の前記入射端面における位置が、設定された光減衰量が得られるような位置に向かうように制御することを特徴とする可変光減衰器。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の可変光減衰器において、
前記移動手段は、前記入射端面における前記第一の光の位置を第一の方向に移動させ、
前記光量検出手段の前記受光面は、前記第一の方向に対応する方向に沿って並ぶ2つの受光エリアを有することを特徴とする可変光減衰器。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の可変光減衰器において、
前記移動手段は、前記入射端面における前記第一の光の位置を互いに直交する第一の方向と第二の方向に移動させ、
前記光量検出手段の前記受光面は、前記第一の方向に対応する第三の方向、および前記第二の方向に対応する第四の方向に延出する二本の境界線により4つの受光エリアに分割されていることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項6】
請求項5に記載の可変光減衰器において、
前記制御手段は、前記4つの受光エリアのそれぞれで検出された光量の差に基づいて、前記第二の光の前記受光面での入射位置調整に関する制御も行うことを特徴とする可変光減衰器。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記第一の導光手段は前記第一光学部材に一体形成されていることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項8】
請求項7に記載の可変光減衰器において、
前記第一の導光手段は、前記第一光学部材の射出端面であり、
前記射出端面は、前記光源から照射された前記第二の光を反射して第二光学部材に導くことを特徴とする可変光減衰器。
【請求項9】
請求項8に記載の可変光減衰器において、
前記射出端面における前記第二の光の入射位置には、前記第二の光に対して高い反射率を有しかつ前記第一の光に対して高い透過率を有する波長選択性を持つ光学膜がコートされていることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記第一光学部材は光ファイバであることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項11】
請求項7に記載の可変光減衰器において、
前記第一光学部材は、前記第一の導光手段としてファイバカプラを有する光ファイバであることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項12】
請求項7から請求項11のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記光源は、前記第一光学部材との関係において、前記射出端面で反射した前記第二の光の中心線が該射出端面から射出された前記第一の光の中心線と平行となって前記第二光学部材に入射するように位置決めされていることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項13】
請求項7から請求項12のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記光源は、前記第一光学部材との関係において、前記射出端面で反射した前記第二の光の中心線が該射出端面から射出された前記第一の光の中心線と略一致して前記第二光学部材に入射するように位置決めされていることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記第二光学部材は光ファイバであり、
前記第二光学部材の光伝送路は、前記光ファイバのコアであること、を特徴とする可変光減衰器。
【請求項15】
請求項14に記載の可変光減衰器はさらに、
前記第一光学部材から射出された光を集光する第三光学部材を有し、
前記第二光学部材は、前記第二の光が入射する入射端面におけるコアとクラッドに所定寸法の段差が形成されており、
前記第三光学部材は、前記入射端面上において前記第二の光が前記コアの径よりも大きく前記クラッドの径よりも小さい径のスポットを形成するように該第二の光を集光することを特徴とする可変光減衰器。
【請求項16】
請求項15に記載の可変光減衰器において、
前記所定寸法は、前記第二の光の波長をλとし、媒質の屈折率をnとすると、略λ/(4n)よりも小さい値に設定されることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項17】
請求項16に記載の可変光減衰器において、
前記所定寸法は、略λ/(8n)に設定されることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項18】
請求項15から請求項17のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記入射端面は、前記コアの端面と前記クラッドの端面が、略平行な関係にあることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項19】
請求項15から請求項18のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記移動手段は、前記第三光学部材を駆動することにより、前記入射端面における前記第一の光の位置を移動させることを特徴とする可変光減衰器。
【請求項20】
請求項1から請求項18のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記移動手段は、第一光学部材と第二光学部材の間に設置されたガルバノミラーを有することを特徴とする可変光減衰器。
【請求項21】
請求項1から請求項18のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記移動手段は、第一光学部材と第二光学部材の間に設置された、頂角を自在に変化させることが可能な頂角可変プリズムを有することを特徴とする可変光減衰器。
【請求項22】
請求項1から請求項21のいずれかに記載の可変光減衰器において、
前記第二の導光手段は、該第二の導光手段を介した第二の光が、前記第二の導光手段に入射する第二の光の光路と同一の光路を戻るように構成されており、
前記第二の導光手段を介した第二の光を、該光路から外れた方向に偏向させて前記光量検出手段に導く偏向手段をさらに有することを特徴とする可変光減衰器。
【請求項23】
請求項22に記載の可変光減衰器において、
前記偏向手段は、偏光ビームスプリッタと1/4波長板とを有することを特徴とする可変光減衰器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−330049(P2006−330049A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−149322(P2005−149322)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】
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