台所キャビネット用扉およびシステムキッチン
【課題】調理油の拭き取り等に支障を来たさず、清潔感等を確保しつつ、個性ないしは個性感を付与することができる台所キャビネット用扉を提供すること。
【解決手段】本扉14,16,18,20は、扉表面の一部に配置されて扉表面に個性感を付与する個性付与材24と、上記個性付与材24を含む扉表面全体を平坦な塗装面に仕上げる光透過性塗膜28とを備えた構成。
【解決手段】本扉14,16,18,20は、扉表面の一部に配置されて扉表面に個性感を付与する個性付与材24と、上記個性付与材24を含む扉表面全体を平坦な塗装面に仕上げる光透過性塗膜28とを備えた構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所のウォールキャビネット、ベースキャビネット、カップボード等、台所キャビネット用扉の改良に係り、より詳しくは、台所キャビネット用として平坦で没個性的とされていた扉表面に積極的に個性ないしは個性感を持たせるように改良することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
台所キャビネット用扉では、調理時に扉表面に付着した調理油やその他の拭き取り等の清掃の便や清潔感を得るうえでその扉表面は平坦な塗装面となるのが一般的であり、個性に乏しくなる傾向となる。一方、台所と食堂と居間とを1つの部屋で兼ねるためにインテリア(室内装飾)が重視されており、例えば、特許文献1のごとく、台所キャビネット用扉の扉表面に絵画や写真等を入れて該扉表面を装飾した例など多く提案されてきた。ところで、このような絵画や写真等は扉表面の装飾としての意味がある反面、扉表面に個性を持たせたり個性感を付与するところまでには至りにくい。近時においては、そのようなインテリアを重視する一方で、そのようなインテリアとは別に、使用上の制約から平坦となる台所キャビネット用扉の扉表面に個性感を付与することが好まれるようになっている。
【0003】
しかしながら、例えば扉表面にシート等を単に貼着するのみでは、調理油の拭き取り等に要求される平坦性が阻害され、最も重要である清潔感等が損なわれてしまうので、扉表面に個性ないしは個性感を付与しつつも台所キャビネット用扉の扉表面の平坦性を維持して清潔感を確保することは相当な困難が伴う課題であった。
【特許文献1】特開平11−262417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明により解決すべき課題は、調理油の拭き取り等に支障を来たさず清潔感等を確保するためなどの理由から平坦性が要求される扉表面に個性ないしは個性感を付与することを可能とした台所キャビネット用扉およびシステムキッチンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る台所用キャビネット扉は、開き戸式または引き戸式の台所用キャビネットの扉において、扉表面の一部に配置されて扉表面に個性ないしは個性感を付与する個性付与材と、上記個性付与材を含む扉表面全体を平坦な塗装面に仕上げる光透過性塗膜とを備えることを特徴とするものである。
【0006】
扉形式には限定されない。
【0007】
台所キャビネットの種類には限定されない。
【0008】
塗膜は単層でも複数層でもよく、その層数に限定されない。
【0009】
着色層は有っても無くてもよい。
【0010】
個性付与材は、その配置位置には限定されない。
【0011】
個性付与材は、色、形状、質感、表面粗さ、模様、等に限定されない。
【0012】
個性付与材は、色、形状、質感、表面粗さ、模様、等により、扉の一部に配置されることにより、扉表面全体の平坦性を損なわずに個性感を付与することができるものが好ましい。個性付与材は材料に限定されない。個性付与材は扉表面の一部に配置されるだけでよく、また、意匠性や装飾性を目的する必要は必ずしもない。
【0013】
個性付与材は、台所用キャビネット扉に、平坦で何も無い扉表面に使用者の意識を引き付ける箇所、つまり、台所用キャビネット扉に個性あるいは個性的な感覚を持たせることができるものである。その意味から、この個性ないしは個性感は、意匠や装飾のような美意識を抱かせるものとは異なり、台所用キャビネット扉それぞれの用途に合うようなイメージである。例えば、ウォールキャビネットの扉であれば、使用者より高い位置にある扉であるから、それに対応した形状にしたり、あるいは、ウォールキャビネットの扉であっても、複数の扉毎に対応した形状、色等を施した個性付与材として、その扉に個性あるいは個性感を持たせることができる。もちろん、台所用キャビネット扉には、多種多様の扉があるので、それぞれに対応した個性付与材とし、個性付与材それぞれが付与する個性あるいは個性感を使用者の好みに対応させ、使用者の個性をも表現することができる。これは、システムキッチンの台所用キャビネットは、複数の部屋の機能を持つ中に配置されるので、使用者の個性を使用者以外の他の人に伝えたりすることも可能となる。
【0014】
以上のように、本発明によれば、個性付与材を扉表面の一部に配置するだけで、扉表面全体に個性ないしは個性感を付与することができる。この場合、この個性付与材を配置しても、塗膜により扉表面全体が平坦性が確保されているので、調理油の拭き取り等に支障を来たさず、扉表面を清潔な状態を確保しつつ、アピール性豊かな個性感を付与することができる。
【0015】
本発明によればまた、全体が平坦で清潔感のある扉表面に対して、その清潔感を阻害することなく、その一部に色、形状等により個性感を付与した個性付与材を配置するだけで、使用者に印象的で個性豊かなイメージを与えることができる。この場合、個性付与材の素材、形状、個数および配置位置については、これらを適宜組み合わせることにより、多様な個性を付与することができる。
【0016】
なお、本発明の台所用キャビネット扉においては、塗膜を厚くして個性付与材を扉内部に埋め込むように覆う構造とした場合、台所周囲の熱気や湿気の影響を受けず、変質や脱落のおそれをなくすことができる。
【0017】
上記個性付与材は、金属チップであることが好ましい。この場合、金属チップはヘアライン仕上げされたものが好ましい。ヘアライン仕上げは表面に髪の毛のような細いラインが入る金属の仕上げ方法であり、扉表面の一部にこの個性付与材を配置するのみで扉表面の全体に個性感を効果的に与えることができる。
【0018】
上記個性付与材は、ワイヤ線材であることが好ましい。扉表面の一部にこの個性付与材を配置するのみで扉表面の全体に個性感を効果的に与えることができる。
【0019】
上記個性付与材は、扉表面の表面色とは別異の表面色を有することが好ましい。個性付与材の表面色を扉表面の表面色と別異とすることにより、扉表面全体に個性ないし個性感を付与する効果が高い。
【0020】
上記個性付与材は、扉表面の一部に形成した凹部に収納されていることが好ましい。凹部の断面形状はU字状、V字状等、何でも良い。個性付与材は、扉表面と略面一となる状態に上記凹部に収納されていることが好ましい。この場合、塗膜の表面に影響が現れない、すなわち、個性付与材の表面高さが塗膜表面に現れない範囲で、個性付与材表面は、扉表面に対して、多少、突出しても凹入してもよい。上記構成の扉では、塗膜を通じて、扉表面と個性付与材表面とが対比的に見えるから、個性付与材の形状やその配置位置等と相俟って個性ないし個性感を付与することができる。この場合、個性付与材の素材、形状、個数および配置位置については、これらを適宜組み合わせることにより、多種多彩な個性を付与することができる。
【0021】
上記個性付与材は、自然光や照明光により陰影が発生する凹凸表面を有することが好ましい。この陰影により、より個性感を発揮することができる。
【0022】
上記個性付与材は、単一の凹部に異なる高さで複数収納されていることにより自然光や照明光により陰影が発生する凹凸表面を有することが好ましい。この陰影により、より個性感を発揮することができる。
【0023】
上記個性付与材は、上記凹部に収納され、外周面に凹凸形状を有するワイヤ線材により形成されていることにより自然光や照明光により陰影が発生する凹凸表面を有することが好ましい。この陰影により、より個性ないしは個性感を発揮することができる。
【0024】
上記凹部が、複数、デザイン化された集合形態をなして扉表面の一部に形成され、それぞれの凹部に個性付与材が収納されていることが好ましい。扉表面の一部に集合させた形態とすることにより、よりデザイン化した形態にすることができるので、より個性感を発揮することができる。また、上記光による陰影パターンをデザイン化することにより、より個性ないしは個性感を発揮することができる。例えば、窓際にシステムキッチンを配置する場合、窓から射し込む太陽の自然光で扉表面にその光の陰影ができているとき、その個性ないし個性感は格別なものとなる。また、照明光でも同様に扉表面にその光の陰影ができ、その個性ないし個性感を付与することができる。
【0025】
上記個性付与材が扉開き側に形成されていることが好ましい。扉表面に開閉用取手が突設されていなかったり、あるいは扉開閉用手掛部が表面に突出しない状態で設けられているような場合、上記個性付与材が扉の開き側に配置されていると、個性付与材により扉の開き側を示すことができ、使用者は容易に扉の開き側の縁部や、手掛かり部に手指を掛けて扉を開くことができる。
【0026】
上記個性付与材は、磁性を有する材料を含むことが好ましい。個性付与材が磁性を有する金属材であると個性付与材がある個所の表面に磁石を吸着させて、メモ紙等の保持に利用することができる。また、磁性を有する金属材からなる個性付与材を、扉の開き側の端部に配置して、キャビネットの本体側に設けられた磁石との吸着で、扉が閉じた状態に保たれるようにしてもよい。
【0027】
少なくともその表面側が木質材からなることが好ましい。
【0028】
上記個性付与材は、扉表面の表面粗さとは異なる表面粗さを有することが好ましい。例えば、扉表面を鏡面に、個性付与材表面はざらざらした感じ、あるいは、その逆もある。こうすることにより、扉表面に個性感を付与することができる。
【0029】
なお、個性付与材としては、扉が木質扉基材からなる場合、光沢等の視覚的な質感に差をつけるために、例えば、金属板材、金属線材等の金属材を用いることが好ましい。個性付与材の素材、平面形状、個数および配置位置は、扉表面への埋め込み固定に支障が出ない範囲で、自由に選択しうる。
【0030】
また、個性付与材としては、模様が印刷された印刷紙もしくはプラスチックの印刷シート等を用いることができる。個性付与材に、絵、模様、記号、文字等のデザインを施して個性感を与えるようにしてもよい。
【0031】
なお、台所キャビネット用扉としては、扉基材上に凹部を設け、この凹部に個性付与材を収納した状態で透明合成樹脂シートを扉基材上に載置した構成とすることができる。こうすることにより光透過性塗膜を省略することができる。この場合、扉基材と透明合成樹脂シートとは透明あるいは硬化すると透明となる接着剤で接着することができる。接着剤には必要に応じて着色剤を添加して、着色接着剤として用いることができる。透明合成樹脂シートとしては、ポリエチレンシート、セロファン、アセテートシート、ポリ塩化ビニルシート、ポリプロピレンシート、ポリスチレンシート、ポリエステルシート、ナイロンシート、サランシート等が好適に用いられる。
【0032】
なお、台所キャビネット用扉としては、扉基材上に凹部を設けず、裏面に凹部を有する透明合成樹脂シートの該凹部に個性付与材を収納した状態で透明合成樹脂シートを扉基材上に載置した構成とすることができる。こうすることにより光透過性塗膜を省略することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、平坦性を損なわない一方で、その一部に設けた個性付与材により扉表面全体に個性ないしは個性感を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態に係る台所キャビネット用扉を詳細に説明する。
【0035】
図1に本発明の実施の形態に係る台所キャビネット用扉を組み込んだシステムキッチンを示す。このシステムキッチンは、シンク2を有するベースキャビネット4と、その上方に配されるウォールキャビネット6と、ガスコンロ等の加熱機器8と、レンジフード10とを備えている。これらに通路を隔てて対向する位置にカップボード12が配置されている。カップボード12は図1では背面側なのでその正面側を図2に示す。ベースキャビネット4は、その開き戸式の収納扉14に取手を備えるが、ウォールキャビネット6は、その開き戸式の収納扉16に扉開閉用取手を備えていない。カップボード12は、片面用のもので、上部下部それぞれに開閉式の収納扉18,20を備える。
【0036】
これら各収納扉14,16,18,20のそれぞれに実施の形態の個性付与材24が配置形成されている。この個性付与材24は、これら収納扉表面の一部に配置されてこれら扉表面に個性ないしは個性感を付与することができるものである。各収納扉14,16,18,20のそれぞれはこれら個性付与材24を含む扉表面全体を光透過性塗膜28(図1、図2には符号を付していない)により平坦な塗装面に仕上げられている。
【0037】
図3は上記各収納扉14,16,18,20のうち、ウォールキャビネット6の収納扉16を示し、その個性付与材24の使用例を示している。個性付与材24は収納扉16の開き側に配置されている。図3(a)は収納扉16が閉じられている状態を示し、図3(b)は収納扉16が開いている状態を示している。この収納扉16は扉開閉用取手が無いが、その収納扉16下端周縁部が下方に突き出されていて、使用者は収納扉16下端周縁部に手指をかけて収納扉16を開閉する。この際、個性付与材24が収納扉16の開き側に配置されているから、容易に収納扉16を開くことができるようになっている。
【0038】
図4および図5を参照して収納扉16の第1の構造を説明する。他の収納扉14,18,20も同様の構成である。扉16は、扉基材26の表面に個性ないしは個性感を付与する個性付与材24が埋め込まれ、光透過性塗膜28で、扉表面全体が平坦に被覆されて構成されている。この塗膜28はクローズ塗装になっている。扉基材26は、木材を素材にして人工的に作られた木質材料で構成されている。この木質材料には、例えば合板、MDF(中質繊維板)、集成材、LVL、OSB、パーティクルボード、ムク、突き板、これらの組み合わせ等がある。扉基材26の表面全体に着色層30が形成されている。この着色層30は例えばポリエナメルが好ましい。
【0039】
扉基材26の表面の所要個所には、扉基材26をその表面の着色層30を含めて機械加工、例えば好ましくは切削加工により、個性付与材24の平面形状に対応した大きさで、かつ個性付与材24の板厚に対応した深さの凹部32が形成されている。
【0040】
個性付与材24は、扉基材26とは好ましくは異なる素材、例えば金属材からなるもので、上記凹部32に収納固定されている。この固定は好ましくは接着剤34の接着により行われる。個性付与材24の表面は、上記固定状態で、着色層30表面と面一となっている。個性付与材24は、例えば矩形形状の金属チップであり、収納扉16の開き側の下部2箇所に、複数の組み合わせによりデザイン化された形態で、集中配置されている。収納扉16が左側軸sを中心に開閉するものとすると、個性付与材24は、収納扉16の右下部に集中して設けられている。この個性付与材24の組み合わせ位置による全体パターンのデザインは種々に創作することができる。特に、個性付与材24が配置される扉表面上の配置面積は扉表面の一部という制約があるが、扉表面全体が平坦であるために、個性付与材24は、その個性感の付与には極めて効果的である。一方、個性付与材24は、扉表面の一部に配置するので、台所用キャビネットの扉という平坦的で清潔なイメージを確保しつつ、個性ないしは個性感を付与することができるという効果は高いものである。
【0041】
塗膜28は、着色層30表面と、個性付与材24表面とが外部から見える状態で被覆されるもので、光透過性塗料、例えば透明あるいは半透明塗料により比較的厚肉に形成され、表面は平滑となっている。塗膜28は、塗料を十分に浸透させるための下塗り層28aと、塗膜28の肉厚感と塗面の平滑性を得るための中塗り層28bと、塗膜28の光沢、平滑性、色合いの外観を決める上塗り層28cとからなる。上記中塗り層28bや上塗り層28cに着色剤を混入して補色することができる。塗膜28の塗布装置には、スプレー、スプレッダー、フローコーター、カーテンコーター、バーコーター等を用いることができる。
【0042】
図6を参照して収納扉14,16,18,20の第2の構造を説明する。ただし第2の構造の収納扉14,16,18,20はいずれも同一構造なので、収納扉16の構造を代表して説明する。第2の構造の収納扉16が、第1の構造の収納扉16と相違するのは、着色層30が省略されていることである。この場合、第2の構造の収納扉16では、扉基材26の表面模様が現われる。第2の構造の収納扉16において、その他の構造は、第1の構造の収納扉16と同様である。
【0043】
図7を参照して収納扉14,16,18,20の第3の構造を説明する。ただし、第1の構造の収納扉14,16,18,20と同一符号を付す。第3の構造の収納扉14,16,18,20はいずれも同一構造なので、収納扉16の構造を代表して説明する。第3の構造の収納扉16が、第2の構造の収納扉16と相違するのは、塗膜28が単層となっていることである。第3の構造の収納扉16において、その他の構造は、第1の構造の収納扉16と同様である。
【0044】
以下、第1の構造の収納扉16の製法を、図8を参照して説明する。
【0045】
(第1工程)
始めに、図8(a)に示す素地調整した扉基材26を用意する。扉基材26には木質材、例えば、MDFを用いて素地調整を行う。具体的には、扉基材26の素地を検査し、欠陥があれば、その欠陥部の補修を行う。また、研磨により素地を平坦にする。
【0046】
(第2工程)
次いで、図8(b)で示すように、素地調整した扉基材26の表面全体に、着色材を含むポリエナメルを塗布して着色層30を形成する。これで、扉基材26の材色が補強され、質感が良好となる等、木質材としての価値が高まる。
【0047】
(第3工程)
次いで、図8(c)で示すように、着色層30を有する扉基材26の表面の所要個所に、NC加工(切削)により、個性付与材24の形状に対応した凹部32を形成する。上記所要個所では着色層32が除去されて、その内側の扉基材26の本体部が切削される。荒目の研磨により、着色層32の表面のほか、特に上記工程での切削で粗面となった部分を平滑にする。
【0048】
(第4工程)
次いで、図8(d)で示すように、扉基材26の凹部32の内面に接着剤34を付着する。
【0049】
(第5工程)
次いで、図8(e)で示すように、扉基材26の凹部32内に個性付与材24を嵌め込んで接着剤34で固定する。これにより、扉基材26に対する個性付与材24の埋め込みが行われる。
【0050】
(第6工程)
最後に、図8(f)で示すように、個性付与材24が埋め込まれた扉基材26の表面に塗膜28を形成する。この塗膜28は、着色層32の表面と個性付与材24の表面それぞれにウッドシーラーを塗布して下塗り層28aを形成する。これは、塗膜28の密着性の確保と、素材の耐久性の向上とを図るためである。毛羽取りをする。下塗り層28aの表面に、ポリクリヤーを塗布して中塗り層28bを形成する。中塗り層28bは肉厚の厚い層で、その厚さにより塗膜全体に肉厚感をもたらす。細目の研磨で、中塗り層28bの表面を平滑にする。中塗り層28bの平滑となった表面に、UV(紫外線硬化型)クリヤーを塗布して上塗り層28cを形成する。
【0051】
以上の第1ないし第6工程を経て収納扉を製造する。上記工程のうち、第2工程における着色層32、第6工程における下塗り層28a、上塗り層28cの形成には、上記とは異なる塗料を用いてもよい。
【0052】
上記工程で得られる収納扉16では、透明の塗膜28を通じて、着色層32に覆われた扉基材26の表面状態と個性付与材24の表面状態とを対比して見ることができる。この場合、扉基材26は、表面が平滑な塗膜28に覆われているから、油や水の飛沫が付着しても、これを容易に拭き取ることができる。また、個性付与材24は、厚い塗膜28に覆われていて、周囲の熱気や湿気の影響を受けず、変質や脱落のおそれがない。
【0053】
以上説明した第1ないし第3の構造を有する収納扉16において、個性付与材24には、磁性金属材を用いてもよい。個性付与材24が磁性金属材で構成されている場合、個性付与材24がある個所の表面に磁石を吸着させておくことができるから、メモ紙等を挟んで保持させることができる。
【0054】
図9は、本発明の他の実施形態に係る扉の要部の拡大断面図である。この実施形態では、個性付与材24の凹部32への収納高さに高低が付くように厚肉部分24aと薄肉部分24bとで構成する。
【0055】
図9の収納扉16の場合、図10で示すように、個性付与材24は、単一の凹部32に異なる高さの部分24a,24bが有るので、台所の窓等から入り込んでくる自然光や台所やその周辺の照明光L1により陰影S1が発生する凹凸表面を有することになる。この陰影S1は、個性付与材24の上記部分24a,24bの高低差、形状、等あるいは自然光の入光制御や照明光L1の制御により種々のパターンに制御することができるので、使用者に個性ないしは個性感に合う陰影S1に設定することができる。
【0056】
図11は、本発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態では、個性付与材24は、ワイヤ線材で構成され、扉表面の溝状凹部32に収納されている。この個性付与材24も塗膜28で被覆されている。図11の収納扉16の場合も個性付与材24がその外周面に凹凸形状を有するワイヤ線材により構成されているので台所の窓等から入り込んでくる自然光や台所やその周辺の照明光L2により陰影S2が発生する凹凸表面を有する。この陰影S2は、個性付与材24のワイヤ線材の長さ形状、凹凸表面形状等や自然光の入光制御や照明光L2の制御により、種々のパターンに制御することができるので、使用者に個性ないしは個性感に合う陰影S2に設定することができる。
【0057】
なお、収納扉14,16,18,20のうち、ベースキャビネット14の収納扉14では個性付与材24が、扉表面のほぼ中央に埋め込まれているが、他の収納扉16,18,20とは、個性付与材24の数、配置位置が異なるだけで、他の基本構成は同じであるので、その詳しい説明は略する。
【0058】
なお、収納扉16には、例えば、図12(a)で示すようにいずれも同一形状の円形の金属チップからなる複数の個性付与材24を配置することができる。この場合、扉基材26表面に着色層30が設けられていて、その着色層30が例えば単色であれば、この個性付与材24の色は、着色層30とは異色とすると、個性が強調される。個性付与材24は異なる円形としてもよい。
【0059】
また、収納扉16には、例えば、図12(b)で示すいずれも同一形状の三角形の金属チップからなる複数の個性付与材24を配置することができる。この場合、扉基材26表面に着色層30が設けられていない。扉基材26の木目が表面に現われる。個性付与材24は例えば無模様としても、木目とは異なる模様を付してもよい。個性付与材24は異なる三角形としてもよい。
【0060】
また、収納扉16には、例えば、図12(c)で示す複数のワイヤ線材をその配置にデザイン的にした複数の個性付与材24を配置することができる。ワイヤ線材の長さは同一でも長短の組み合わせでもよい。
【0061】
また、収納扉16には、例えば、図12(d)で示す円形と三角形という異なる形状の金属チップからなる複数の個性付与材24を配置することができる。
【0062】
また、個性付与材24を収納扉16の中央側等に比較的大きい枠形状とし、この枠内に絵、文字、記号、その他を表記することができる。
【0063】
個性付与材24は、種々の形状、大きさ、あるいは、デザイン化した集合形態とすることができる。これらは、台所キャビネットの種類が多種多様であり、それら種類に応じて適宜に、個性付与材24の色、大きさ、形状、模様、記号、絵、配置位置、等を選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は本発明の実施形態に係るシステムキッチンの斜視図である。
【図2】図2は図1のカップボードの正面からの斜視図である。
【図3】図3(a)は図1のウォールキャビネットの収納扉の使用例を示す図で収納扉が閉じた状態の図、図3(b)は同じく収納扉が開いた状態の図である。
【図4】図4は収納扉の正面図である。
【図5】図4の(5)−(5)線断面図である。
【図6】収納扉の変形例を示す図である。
【図7】収納扉の他の変形例を示す図である。
【図8】図8は収納扉の製法の各工程図を示し、図8(a)は素地調整した扉基材26を用意する工程図、図8(b)は着色層の形成工程図、図8(c)は凹部の形成工程図、図8(d)は接着剤34の付着工程図、図8(e)は凹部への個性付与材の収納工程図、図8(f)は塗膜の形成工程図である。
【図9】図9は本発明の他の実施形態に係る収納扉の要部の拡大断面図である。
【図10】図10は、図9の収納扉に自然光や照明光で個性付与材により陰影が発生している様子を示す図である。
【図11】図11は本発明のさらに他の実施形態に係る収納扉の正面図である。
【図12】図12(a)は円形の個性付与材を備えた扉表面の正面図、図12(b)は三角形の個性付与材を備えた扉表面の正面図、図12(c)は線状の個性付与材を備えた扉表面の正面図、図12(d)は異なる形状の個性付与材を組み合わせて配置した扉表面の正面図である。
【符号の説明】
【0065】
4 ベースキャビネット
6 ウォールキャビネット
14,16,18,20 収納扉
24 個性付与材
28 光透過性塗膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所のウォールキャビネット、ベースキャビネット、カップボード等、台所キャビネット用扉の改良に係り、より詳しくは、台所キャビネット用として平坦で没個性的とされていた扉表面に積極的に個性ないしは個性感を持たせるように改良することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
台所キャビネット用扉では、調理時に扉表面に付着した調理油やその他の拭き取り等の清掃の便や清潔感を得るうえでその扉表面は平坦な塗装面となるのが一般的であり、個性に乏しくなる傾向となる。一方、台所と食堂と居間とを1つの部屋で兼ねるためにインテリア(室内装飾)が重視されており、例えば、特許文献1のごとく、台所キャビネット用扉の扉表面に絵画や写真等を入れて該扉表面を装飾した例など多く提案されてきた。ところで、このような絵画や写真等は扉表面の装飾としての意味がある反面、扉表面に個性を持たせたり個性感を付与するところまでには至りにくい。近時においては、そのようなインテリアを重視する一方で、そのようなインテリアとは別に、使用上の制約から平坦となる台所キャビネット用扉の扉表面に個性感を付与することが好まれるようになっている。
【0003】
しかしながら、例えば扉表面にシート等を単に貼着するのみでは、調理油の拭き取り等に要求される平坦性が阻害され、最も重要である清潔感等が損なわれてしまうので、扉表面に個性ないしは個性感を付与しつつも台所キャビネット用扉の扉表面の平坦性を維持して清潔感を確保することは相当な困難が伴う課題であった。
【特許文献1】特開平11−262417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明により解決すべき課題は、調理油の拭き取り等に支障を来たさず清潔感等を確保するためなどの理由から平坦性が要求される扉表面に個性ないしは個性感を付与することを可能とした台所キャビネット用扉およびシステムキッチンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る台所用キャビネット扉は、開き戸式または引き戸式の台所用キャビネットの扉において、扉表面の一部に配置されて扉表面に個性ないしは個性感を付与する個性付与材と、上記個性付与材を含む扉表面全体を平坦な塗装面に仕上げる光透過性塗膜とを備えることを特徴とするものである。
【0006】
扉形式には限定されない。
【0007】
台所キャビネットの種類には限定されない。
【0008】
塗膜は単層でも複数層でもよく、その層数に限定されない。
【0009】
着色層は有っても無くてもよい。
【0010】
個性付与材は、その配置位置には限定されない。
【0011】
個性付与材は、色、形状、質感、表面粗さ、模様、等に限定されない。
【0012】
個性付与材は、色、形状、質感、表面粗さ、模様、等により、扉の一部に配置されることにより、扉表面全体の平坦性を損なわずに個性感を付与することができるものが好ましい。個性付与材は材料に限定されない。個性付与材は扉表面の一部に配置されるだけでよく、また、意匠性や装飾性を目的する必要は必ずしもない。
【0013】
個性付与材は、台所用キャビネット扉に、平坦で何も無い扉表面に使用者の意識を引き付ける箇所、つまり、台所用キャビネット扉に個性あるいは個性的な感覚を持たせることができるものである。その意味から、この個性ないしは個性感は、意匠や装飾のような美意識を抱かせるものとは異なり、台所用キャビネット扉それぞれの用途に合うようなイメージである。例えば、ウォールキャビネットの扉であれば、使用者より高い位置にある扉であるから、それに対応した形状にしたり、あるいは、ウォールキャビネットの扉であっても、複数の扉毎に対応した形状、色等を施した個性付与材として、その扉に個性あるいは個性感を持たせることができる。もちろん、台所用キャビネット扉には、多種多様の扉があるので、それぞれに対応した個性付与材とし、個性付与材それぞれが付与する個性あるいは個性感を使用者の好みに対応させ、使用者の個性をも表現することができる。これは、システムキッチンの台所用キャビネットは、複数の部屋の機能を持つ中に配置されるので、使用者の個性を使用者以外の他の人に伝えたりすることも可能となる。
【0014】
以上のように、本発明によれば、個性付与材を扉表面の一部に配置するだけで、扉表面全体に個性ないしは個性感を付与することができる。この場合、この個性付与材を配置しても、塗膜により扉表面全体が平坦性が確保されているので、調理油の拭き取り等に支障を来たさず、扉表面を清潔な状態を確保しつつ、アピール性豊かな個性感を付与することができる。
【0015】
本発明によればまた、全体が平坦で清潔感のある扉表面に対して、その清潔感を阻害することなく、その一部に色、形状等により個性感を付与した個性付与材を配置するだけで、使用者に印象的で個性豊かなイメージを与えることができる。この場合、個性付与材の素材、形状、個数および配置位置については、これらを適宜組み合わせることにより、多様な個性を付与することができる。
【0016】
なお、本発明の台所用キャビネット扉においては、塗膜を厚くして個性付与材を扉内部に埋め込むように覆う構造とした場合、台所周囲の熱気や湿気の影響を受けず、変質や脱落のおそれをなくすことができる。
【0017】
上記個性付与材は、金属チップであることが好ましい。この場合、金属チップはヘアライン仕上げされたものが好ましい。ヘアライン仕上げは表面に髪の毛のような細いラインが入る金属の仕上げ方法であり、扉表面の一部にこの個性付与材を配置するのみで扉表面の全体に個性感を効果的に与えることができる。
【0018】
上記個性付与材は、ワイヤ線材であることが好ましい。扉表面の一部にこの個性付与材を配置するのみで扉表面の全体に個性感を効果的に与えることができる。
【0019】
上記個性付与材は、扉表面の表面色とは別異の表面色を有することが好ましい。個性付与材の表面色を扉表面の表面色と別異とすることにより、扉表面全体に個性ないし個性感を付与する効果が高い。
【0020】
上記個性付与材は、扉表面の一部に形成した凹部に収納されていることが好ましい。凹部の断面形状はU字状、V字状等、何でも良い。個性付与材は、扉表面と略面一となる状態に上記凹部に収納されていることが好ましい。この場合、塗膜の表面に影響が現れない、すなわち、個性付与材の表面高さが塗膜表面に現れない範囲で、個性付与材表面は、扉表面に対して、多少、突出しても凹入してもよい。上記構成の扉では、塗膜を通じて、扉表面と個性付与材表面とが対比的に見えるから、個性付与材の形状やその配置位置等と相俟って個性ないし個性感を付与することができる。この場合、個性付与材の素材、形状、個数および配置位置については、これらを適宜組み合わせることにより、多種多彩な個性を付与することができる。
【0021】
上記個性付与材は、自然光や照明光により陰影が発生する凹凸表面を有することが好ましい。この陰影により、より個性感を発揮することができる。
【0022】
上記個性付与材は、単一の凹部に異なる高さで複数収納されていることにより自然光や照明光により陰影が発生する凹凸表面を有することが好ましい。この陰影により、より個性感を発揮することができる。
【0023】
上記個性付与材は、上記凹部に収納され、外周面に凹凸形状を有するワイヤ線材により形成されていることにより自然光や照明光により陰影が発生する凹凸表面を有することが好ましい。この陰影により、より個性ないしは個性感を発揮することができる。
【0024】
上記凹部が、複数、デザイン化された集合形態をなして扉表面の一部に形成され、それぞれの凹部に個性付与材が収納されていることが好ましい。扉表面の一部に集合させた形態とすることにより、よりデザイン化した形態にすることができるので、より個性感を発揮することができる。また、上記光による陰影パターンをデザイン化することにより、より個性ないしは個性感を発揮することができる。例えば、窓際にシステムキッチンを配置する場合、窓から射し込む太陽の自然光で扉表面にその光の陰影ができているとき、その個性ないし個性感は格別なものとなる。また、照明光でも同様に扉表面にその光の陰影ができ、その個性ないし個性感を付与することができる。
【0025】
上記個性付与材が扉開き側に形成されていることが好ましい。扉表面に開閉用取手が突設されていなかったり、あるいは扉開閉用手掛部が表面に突出しない状態で設けられているような場合、上記個性付与材が扉の開き側に配置されていると、個性付与材により扉の開き側を示すことができ、使用者は容易に扉の開き側の縁部や、手掛かり部に手指を掛けて扉を開くことができる。
【0026】
上記個性付与材は、磁性を有する材料を含むことが好ましい。個性付与材が磁性を有する金属材であると個性付与材がある個所の表面に磁石を吸着させて、メモ紙等の保持に利用することができる。また、磁性を有する金属材からなる個性付与材を、扉の開き側の端部に配置して、キャビネットの本体側に設けられた磁石との吸着で、扉が閉じた状態に保たれるようにしてもよい。
【0027】
少なくともその表面側が木質材からなることが好ましい。
【0028】
上記個性付与材は、扉表面の表面粗さとは異なる表面粗さを有することが好ましい。例えば、扉表面を鏡面に、個性付与材表面はざらざらした感じ、あるいは、その逆もある。こうすることにより、扉表面に個性感を付与することができる。
【0029】
なお、個性付与材としては、扉が木質扉基材からなる場合、光沢等の視覚的な質感に差をつけるために、例えば、金属板材、金属線材等の金属材を用いることが好ましい。個性付与材の素材、平面形状、個数および配置位置は、扉表面への埋め込み固定に支障が出ない範囲で、自由に選択しうる。
【0030】
また、個性付与材としては、模様が印刷された印刷紙もしくはプラスチックの印刷シート等を用いることができる。個性付与材に、絵、模様、記号、文字等のデザインを施して個性感を与えるようにしてもよい。
【0031】
なお、台所キャビネット用扉としては、扉基材上に凹部を設け、この凹部に個性付与材を収納した状態で透明合成樹脂シートを扉基材上に載置した構成とすることができる。こうすることにより光透過性塗膜を省略することができる。この場合、扉基材と透明合成樹脂シートとは透明あるいは硬化すると透明となる接着剤で接着することができる。接着剤には必要に応じて着色剤を添加して、着色接着剤として用いることができる。透明合成樹脂シートとしては、ポリエチレンシート、セロファン、アセテートシート、ポリ塩化ビニルシート、ポリプロピレンシート、ポリスチレンシート、ポリエステルシート、ナイロンシート、サランシート等が好適に用いられる。
【0032】
なお、台所キャビネット用扉としては、扉基材上に凹部を設けず、裏面に凹部を有する透明合成樹脂シートの該凹部に個性付与材を収納した状態で透明合成樹脂シートを扉基材上に載置した構成とすることができる。こうすることにより光透過性塗膜を省略することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、平坦性を損なわない一方で、その一部に設けた個性付与材により扉表面全体に個性ないしは個性感を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態に係る台所キャビネット用扉を詳細に説明する。
【0035】
図1に本発明の実施の形態に係る台所キャビネット用扉を組み込んだシステムキッチンを示す。このシステムキッチンは、シンク2を有するベースキャビネット4と、その上方に配されるウォールキャビネット6と、ガスコンロ等の加熱機器8と、レンジフード10とを備えている。これらに通路を隔てて対向する位置にカップボード12が配置されている。カップボード12は図1では背面側なのでその正面側を図2に示す。ベースキャビネット4は、その開き戸式の収納扉14に取手を備えるが、ウォールキャビネット6は、その開き戸式の収納扉16に扉開閉用取手を備えていない。カップボード12は、片面用のもので、上部下部それぞれに開閉式の収納扉18,20を備える。
【0036】
これら各収納扉14,16,18,20のそれぞれに実施の形態の個性付与材24が配置形成されている。この個性付与材24は、これら収納扉表面の一部に配置されてこれら扉表面に個性ないしは個性感を付与することができるものである。各収納扉14,16,18,20のそれぞれはこれら個性付与材24を含む扉表面全体を光透過性塗膜28(図1、図2には符号を付していない)により平坦な塗装面に仕上げられている。
【0037】
図3は上記各収納扉14,16,18,20のうち、ウォールキャビネット6の収納扉16を示し、その個性付与材24の使用例を示している。個性付与材24は収納扉16の開き側に配置されている。図3(a)は収納扉16が閉じられている状態を示し、図3(b)は収納扉16が開いている状態を示している。この収納扉16は扉開閉用取手が無いが、その収納扉16下端周縁部が下方に突き出されていて、使用者は収納扉16下端周縁部に手指をかけて収納扉16を開閉する。この際、個性付与材24が収納扉16の開き側に配置されているから、容易に収納扉16を開くことができるようになっている。
【0038】
図4および図5を参照して収納扉16の第1の構造を説明する。他の収納扉14,18,20も同様の構成である。扉16は、扉基材26の表面に個性ないしは個性感を付与する個性付与材24が埋め込まれ、光透過性塗膜28で、扉表面全体が平坦に被覆されて構成されている。この塗膜28はクローズ塗装になっている。扉基材26は、木材を素材にして人工的に作られた木質材料で構成されている。この木質材料には、例えば合板、MDF(中質繊維板)、集成材、LVL、OSB、パーティクルボード、ムク、突き板、これらの組み合わせ等がある。扉基材26の表面全体に着色層30が形成されている。この着色層30は例えばポリエナメルが好ましい。
【0039】
扉基材26の表面の所要個所には、扉基材26をその表面の着色層30を含めて機械加工、例えば好ましくは切削加工により、個性付与材24の平面形状に対応した大きさで、かつ個性付与材24の板厚に対応した深さの凹部32が形成されている。
【0040】
個性付与材24は、扉基材26とは好ましくは異なる素材、例えば金属材からなるもので、上記凹部32に収納固定されている。この固定は好ましくは接着剤34の接着により行われる。個性付与材24の表面は、上記固定状態で、着色層30表面と面一となっている。個性付与材24は、例えば矩形形状の金属チップであり、収納扉16の開き側の下部2箇所に、複数の組み合わせによりデザイン化された形態で、集中配置されている。収納扉16が左側軸sを中心に開閉するものとすると、個性付与材24は、収納扉16の右下部に集中して設けられている。この個性付与材24の組み合わせ位置による全体パターンのデザインは種々に創作することができる。特に、個性付与材24が配置される扉表面上の配置面積は扉表面の一部という制約があるが、扉表面全体が平坦であるために、個性付与材24は、その個性感の付与には極めて効果的である。一方、個性付与材24は、扉表面の一部に配置するので、台所用キャビネットの扉という平坦的で清潔なイメージを確保しつつ、個性ないしは個性感を付与することができるという効果は高いものである。
【0041】
塗膜28は、着色層30表面と、個性付与材24表面とが外部から見える状態で被覆されるもので、光透過性塗料、例えば透明あるいは半透明塗料により比較的厚肉に形成され、表面は平滑となっている。塗膜28は、塗料を十分に浸透させるための下塗り層28aと、塗膜28の肉厚感と塗面の平滑性を得るための中塗り層28bと、塗膜28の光沢、平滑性、色合いの外観を決める上塗り層28cとからなる。上記中塗り層28bや上塗り層28cに着色剤を混入して補色することができる。塗膜28の塗布装置には、スプレー、スプレッダー、フローコーター、カーテンコーター、バーコーター等を用いることができる。
【0042】
図6を参照して収納扉14,16,18,20の第2の構造を説明する。ただし第2の構造の収納扉14,16,18,20はいずれも同一構造なので、収納扉16の構造を代表して説明する。第2の構造の収納扉16が、第1の構造の収納扉16と相違するのは、着色層30が省略されていることである。この場合、第2の構造の収納扉16では、扉基材26の表面模様が現われる。第2の構造の収納扉16において、その他の構造は、第1の構造の収納扉16と同様である。
【0043】
図7を参照して収納扉14,16,18,20の第3の構造を説明する。ただし、第1の構造の収納扉14,16,18,20と同一符号を付す。第3の構造の収納扉14,16,18,20はいずれも同一構造なので、収納扉16の構造を代表して説明する。第3の構造の収納扉16が、第2の構造の収納扉16と相違するのは、塗膜28が単層となっていることである。第3の構造の収納扉16において、その他の構造は、第1の構造の収納扉16と同様である。
【0044】
以下、第1の構造の収納扉16の製法を、図8を参照して説明する。
【0045】
(第1工程)
始めに、図8(a)に示す素地調整した扉基材26を用意する。扉基材26には木質材、例えば、MDFを用いて素地調整を行う。具体的には、扉基材26の素地を検査し、欠陥があれば、その欠陥部の補修を行う。また、研磨により素地を平坦にする。
【0046】
(第2工程)
次いで、図8(b)で示すように、素地調整した扉基材26の表面全体に、着色材を含むポリエナメルを塗布して着色層30を形成する。これで、扉基材26の材色が補強され、質感が良好となる等、木質材としての価値が高まる。
【0047】
(第3工程)
次いで、図8(c)で示すように、着色層30を有する扉基材26の表面の所要個所に、NC加工(切削)により、個性付与材24の形状に対応した凹部32を形成する。上記所要個所では着色層32が除去されて、その内側の扉基材26の本体部が切削される。荒目の研磨により、着色層32の表面のほか、特に上記工程での切削で粗面となった部分を平滑にする。
【0048】
(第4工程)
次いで、図8(d)で示すように、扉基材26の凹部32の内面に接着剤34を付着する。
【0049】
(第5工程)
次いで、図8(e)で示すように、扉基材26の凹部32内に個性付与材24を嵌め込んで接着剤34で固定する。これにより、扉基材26に対する個性付与材24の埋め込みが行われる。
【0050】
(第6工程)
最後に、図8(f)で示すように、個性付与材24が埋め込まれた扉基材26の表面に塗膜28を形成する。この塗膜28は、着色層32の表面と個性付与材24の表面それぞれにウッドシーラーを塗布して下塗り層28aを形成する。これは、塗膜28の密着性の確保と、素材の耐久性の向上とを図るためである。毛羽取りをする。下塗り層28aの表面に、ポリクリヤーを塗布して中塗り層28bを形成する。中塗り層28bは肉厚の厚い層で、その厚さにより塗膜全体に肉厚感をもたらす。細目の研磨で、中塗り層28bの表面を平滑にする。中塗り層28bの平滑となった表面に、UV(紫外線硬化型)クリヤーを塗布して上塗り層28cを形成する。
【0051】
以上の第1ないし第6工程を経て収納扉を製造する。上記工程のうち、第2工程における着色層32、第6工程における下塗り層28a、上塗り層28cの形成には、上記とは異なる塗料を用いてもよい。
【0052】
上記工程で得られる収納扉16では、透明の塗膜28を通じて、着色層32に覆われた扉基材26の表面状態と個性付与材24の表面状態とを対比して見ることができる。この場合、扉基材26は、表面が平滑な塗膜28に覆われているから、油や水の飛沫が付着しても、これを容易に拭き取ることができる。また、個性付与材24は、厚い塗膜28に覆われていて、周囲の熱気や湿気の影響を受けず、変質や脱落のおそれがない。
【0053】
以上説明した第1ないし第3の構造を有する収納扉16において、個性付与材24には、磁性金属材を用いてもよい。個性付与材24が磁性金属材で構成されている場合、個性付与材24がある個所の表面に磁石を吸着させておくことができるから、メモ紙等を挟んで保持させることができる。
【0054】
図9は、本発明の他の実施形態に係る扉の要部の拡大断面図である。この実施形態では、個性付与材24の凹部32への収納高さに高低が付くように厚肉部分24aと薄肉部分24bとで構成する。
【0055】
図9の収納扉16の場合、図10で示すように、個性付与材24は、単一の凹部32に異なる高さの部分24a,24bが有るので、台所の窓等から入り込んでくる自然光や台所やその周辺の照明光L1により陰影S1が発生する凹凸表面を有することになる。この陰影S1は、個性付与材24の上記部分24a,24bの高低差、形状、等あるいは自然光の入光制御や照明光L1の制御により種々のパターンに制御することができるので、使用者に個性ないしは個性感に合う陰影S1に設定することができる。
【0056】
図11は、本発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態では、個性付与材24は、ワイヤ線材で構成され、扉表面の溝状凹部32に収納されている。この個性付与材24も塗膜28で被覆されている。図11の収納扉16の場合も個性付与材24がその外周面に凹凸形状を有するワイヤ線材により構成されているので台所の窓等から入り込んでくる自然光や台所やその周辺の照明光L2により陰影S2が発生する凹凸表面を有する。この陰影S2は、個性付与材24のワイヤ線材の長さ形状、凹凸表面形状等や自然光の入光制御や照明光L2の制御により、種々のパターンに制御することができるので、使用者に個性ないしは個性感に合う陰影S2に設定することができる。
【0057】
なお、収納扉14,16,18,20のうち、ベースキャビネット14の収納扉14では個性付与材24が、扉表面のほぼ中央に埋め込まれているが、他の収納扉16,18,20とは、個性付与材24の数、配置位置が異なるだけで、他の基本構成は同じであるので、その詳しい説明は略する。
【0058】
なお、収納扉16には、例えば、図12(a)で示すようにいずれも同一形状の円形の金属チップからなる複数の個性付与材24を配置することができる。この場合、扉基材26表面に着色層30が設けられていて、その着色層30が例えば単色であれば、この個性付与材24の色は、着色層30とは異色とすると、個性が強調される。個性付与材24は異なる円形としてもよい。
【0059】
また、収納扉16には、例えば、図12(b)で示すいずれも同一形状の三角形の金属チップからなる複数の個性付与材24を配置することができる。この場合、扉基材26表面に着色層30が設けられていない。扉基材26の木目が表面に現われる。個性付与材24は例えば無模様としても、木目とは異なる模様を付してもよい。個性付与材24は異なる三角形としてもよい。
【0060】
また、収納扉16には、例えば、図12(c)で示す複数のワイヤ線材をその配置にデザイン的にした複数の個性付与材24を配置することができる。ワイヤ線材の長さは同一でも長短の組み合わせでもよい。
【0061】
また、収納扉16には、例えば、図12(d)で示す円形と三角形という異なる形状の金属チップからなる複数の個性付与材24を配置することができる。
【0062】
また、個性付与材24を収納扉16の中央側等に比較的大きい枠形状とし、この枠内に絵、文字、記号、その他を表記することができる。
【0063】
個性付与材24は、種々の形状、大きさ、あるいは、デザイン化した集合形態とすることができる。これらは、台所キャビネットの種類が多種多様であり、それら種類に応じて適宜に、個性付与材24の色、大きさ、形状、模様、記号、絵、配置位置、等を選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は本発明の実施形態に係るシステムキッチンの斜視図である。
【図2】図2は図1のカップボードの正面からの斜視図である。
【図3】図3(a)は図1のウォールキャビネットの収納扉の使用例を示す図で収納扉が閉じた状態の図、図3(b)は同じく収納扉が開いた状態の図である。
【図4】図4は収納扉の正面図である。
【図5】図4の(5)−(5)線断面図である。
【図6】収納扉の変形例を示す図である。
【図7】収納扉の他の変形例を示す図である。
【図8】図8は収納扉の製法の各工程図を示し、図8(a)は素地調整した扉基材26を用意する工程図、図8(b)は着色層の形成工程図、図8(c)は凹部の形成工程図、図8(d)は接着剤34の付着工程図、図8(e)は凹部への個性付与材の収納工程図、図8(f)は塗膜の形成工程図である。
【図9】図9は本発明の他の実施形態に係る収納扉の要部の拡大断面図である。
【図10】図10は、図9の収納扉に自然光や照明光で個性付与材により陰影が発生している様子を示す図である。
【図11】図11は本発明のさらに他の実施形態に係る収納扉の正面図である。
【図12】図12(a)は円形の個性付与材を備えた扉表面の正面図、図12(b)は三角形の個性付与材を備えた扉表面の正面図、図12(c)は線状の個性付与材を備えた扉表面の正面図、図12(d)は異なる形状の個性付与材を組み合わせて配置した扉表面の正面図である。
【符号の説明】
【0065】
4 ベースキャビネット
6 ウォールキャビネット
14,16,18,20 収納扉
24 個性付与材
28 光透過性塗膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開き戸式または引き戸式等の台所キャビネット用扉において、
扉表面の一部に配置されて扉表面に個性ないしは個性感を付与する個性付与材と、上記個性付与材を含む扉表面全体を平坦な塗装面に仕上げる光透過性塗膜とを備える、ことを特徴とする台所キャビネット用扉。
【請求項2】
上記個性付与材は、金属チップからなる、ことを特徴とする請求項1に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項3】
上記個性付与材は、ワイヤ線材からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項4】
上記個性付与材は、扉表面の表面色とは別異の表面色を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項5】
上記個性付与材は、扉表面の一部に形成した凹部に収納されている、ことを特徴とする請求項1に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項6】
上記個性付与材は、扉表面と略面一となる状態に上記凹部に収納されている、ことを特徴とする請求項5に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項7】
上記個性付与材は、自然光や照明光により陰影が発生する凹凸表面を有する、ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の台所キャビネット用扉。
【請求項8】
上記個性付与材は、単一の凹部に異なる高さで複数収納されていることにより自然光や照明光により陰影が発生する凹凸表面を有する、ことを特徴とする請求項5または6に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項9】
上記個性付与材は、上記凹部に収納され、外周面に凹凸形状を有するワイヤ線材により形成されていることにより自然光や照明光により陰影が発生する凹凸表面を有する、ことを特徴とする請求項5または6に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項10】
上記凹部が、複数、デザイン化された集合形態をなして扉表面の一部に形成され、それぞれの凹部に個性付与材が収納されている、ことを特徴とする請求項5または6に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項11】
上記個性付与材が扉開き側に形成されている、ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の台所キャビネット用扉。
【請求項12】
上記個性付与材は、磁性を有する材料を含む、ことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の台所キャビネット用扉。
【請求項13】
少なくとも扉表面側が木質材からなる、ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の台所キャビネット用扉。
【請求項14】
上記個性付与材は、扉表面の表面粗さとは異なる表面粗さを有する、ことを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の台所キャビネット用扉。
【請求項15】
木質材料からなる扉基材と、この扉基材の表面に施された着色層と、この着色層の表面に施された塗膜とを備えた台所キャビネット用扉において、その扉表面の一部に形成された凹部と、この凹部に収納されて扉表面に個性ないしは個性感を付与する個性付与材と、を備え、上記塗膜が、上記個性付与材を含む扉表面全体を平坦な塗装面に仕上げる光透過性塗膜により構成されている、ことを特徴とする台所キャビネット用扉。
【請求項16】
木質材料からなる扉基材と、この扉基材の表面に施された塗膜とを備えた台所キャビネット用扉において、その扉表面の一部に形成された凹部と、この凹部に収納されて扉表面に個性ないしは個性感を付与する個性付与材と、を備え、上記塗膜が、上記個性付与材を含む扉表面全体を平坦な塗装面に仕上げる光透過性塗膜により構成されている、ことを特徴とする台所キャビネット用扉。
【請求項17】
上記個性付与材は、上記凹部に扉表面と略面一となる状態に収納されている、ことを特徴とする請求項15または16に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項18】
上記個性付与材は、自然光や照明光により陰影が発生する凹凸表面を有する、ことを特徴とする請求項15または16に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項19】
請求項1ないし18のいずれかに記載の台所キャビネット用扉を備えた台所キャビネットを複数組み合わせて配置した、ことを特徴とするシステムキッチン。
【請求項1】
開き戸式または引き戸式等の台所キャビネット用扉において、
扉表面の一部に配置されて扉表面に個性ないしは個性感を付与する個性付与材と、上記個性付与材を含む扉表面全体を平坦な塗装面に仕上げる光透過性塗膜とを備える、ことを特徴とする台所キャビネット用扉。
【請求項2】
上記個性付与材は、金属チップからなる、ことを特徴とする請求項1に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項3】
上記個性付与材は、ワイヤ線材からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項4】
上記個性付与材は、扉表面の表面色とは別異の表面色を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項5】
上記個性付与材は、扉表面の一部に形成した凹部に収納されている、ことを特徴とする請求項1に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項6】
上記個性付与材は、扉表面と略面一となる状態に上記凹部に収納されている、ことを特徴とする請求項5に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項7】
上記個性付与材は、自然光や照明光により陰影が発生する凹凸表面を有する、ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の台所キャビネット用扉。
【請求項8】
上記個性付与材は、単一の凹部に異なる高さで複数収納されていることにより自然光や照明光により陰影が発生する凹凸表面を有する、ことを特徴とする請求項5または6に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項9】
上記個性付与材は、上記凹部に収納され、外周面に凹凸形状を有するワイヤ線材により形成されていることにより自然光や照明光により陰影が発生する凹凸表面を有する、ことを特徴とする請求項5または6に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項10】
上記凹部が、複数、デザイン化された集合形態をなして扉表面の一部に形成され、それぞれの凹部に個性付与材が収納されている、ことを特徴とする請求項5または6に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項11】
上記個性付与材が扉開き側に形成されている、ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の台所キャビネット用扉。
【請求項12】
上記個性付与材は、磁性を有する材料を含む、ことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の台所キャビネット用扉。
【請求項13】
少なくとも扉表面側が木質材からなる、ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の台所キャビネット用扉。
【請求項14】
上記個性付与材は、扉表面の表面粗さとは異なる表面粗さを有する、ことを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の台所キャビネット用扉。
【請求項15】
木質材料からなる扉基材と、この扉基材の表面に施された着色層と、この着色層の表面に施された塗膜とを備えた台所キャビネット用扉において、その扉表面の一部に形成された凹部と、この凹部に収納されて扉表面に個性ないしは個性感を付与する個性付与材と、を備え、上記塗膜が、上記個性付与材を含む扉表面全体を平坦な塗装面に仕上げる光透過性塗膜により構成されている、ことを特徴とする台所キャビネット用扉。
【請求項16】
木質材料からなる扉基材と、この扉基材の表面に施された塗膜とを備えた台所キャビネット用扉において、その扉表面の一部に形成された凹部と、この凹部に収納されて扉表面に個性ないしは個性感を付与する個性付与材と、を備え、上記塗膜が、上記個性付与材を含む扉表面全体を平坦な塗装面に仕上げる光透過性塗膜により構成されている、ことを特徴とする台所キャビネット用扉。
【請求項17】
上記個性付与材は、上記凹部に扉表面と略面一となる状態に収納されている、ことを特徴とする請求項15または16に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項18】
上記個性付与材は、自然光や照明光により陰影が発生する凹凸表面を有する、ことを特徴とする請求項15または16に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項19】
請求項1ないし18のいずれかに記載の台所キャビネット用扉を備えた台所キャビネットを複数組み合わせて配置した、ことを特徴とするシステムキッチン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−151930(P2007−151930A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−353613(P2005−353613)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】
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