説明

台所キャビネット用扉およびシステムキッチン

【課題】個性ないしは個性感のある台所キャビネット用扉を提供する。
【解決手段】本発明の台所キャビネット用扉は、扉表面の一部に形成された凹部32と、この凹部32に下部が収納され上部が凹部外に突出する硬質の個性付与材24とを備え、個性付与材24の上部は、扉表面全体の平坦性が確保され得る形態で扉表面上に突出している構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所のウォールキャビネット、ベースキャビネット、カップボード等の台所キャビネットに備えられる扉、および該扉を含むシステムキッチンの改良に係り、より詳しくは、台所キャビネット用として、従来、平坦で没個性的とされていた扉表面に、個性ないしは個性感を持たせるための改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
台所キャビネット用扉では、調理時に扉表面に付着した調理油やその他の拭き取り等の清掃の便や清潔感を得るうえでその扉表面は平坦な塗装面となるのが一般的であり、個性に乏しくなる傾向となる。一方、台所と食堂と居間とを1つの部屋で兼ねるためにインテリア(室内装飾)が重視されており、例えば、特許文献1のごとく、台所キャビネット用扉の扉表面に絵画や写真等を入れて該扉表面を装飾した例など多く提案されてきた。ところで、このような絵画や写真等は扉表面の装飾としての意味がある反面、扉表面に個性を持たせたり個性感を付与するところまでには至りにくい。近時においては、そのようなインテリアを重視する一方で、そのようなインテリアとは別に、使用上の制約から平坦となる台所キャビネット用扉の扉表面に個性感を付与することが好まれるようになっている。
【0003】
しかしながら、例えば扉表面にシート等を単に貼着するのみでは、調理油の拭き取り等に要求される平坦性が阻害され、最も重要である清潔感等が損なわれてしまうので、扉表面に個性ないしは個性感を付与しつつも台所キャビネット用扉の扉表面の平坦性を維持して清潔感を確保することは相当な困難が伴う課題であった。
【特許文献1】特開平11−262417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明により解決すべき課題は、台所キャビネット用として扉表面全体の平坦性を損なわず、その清潔感を確保する一方で、扉表面の一部に設けた個性付与材により扉表面全体に個性ないしは個性感を付与することを可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る台所キャビネット用扉は、扉表面に塗膜が形成された台所キャビネット用扉において、上記扉表面の一部に形成された凹部と、この凹部に下部が収納され上部が凹部外に突出する硬質の個性付与材と、を備え、個性付与材の上部は、扉表面全体の平坦性が確保され得る形態で扉表面上に突出していることを特徴とするものである。
【0006】
上記「扉表面全体の平坦性が確保され得る形態」とは、扉表面から突出している個性付与材が存在しても、使用者から見られた場合に、扉表面全体の平坦性が感覚的に維持されている状態と定義することができる。例えば、好ましくは個性付与材の突出面が扉表面の平坦性に対応した平坦面に構成されている状態、あるいは、好ましくは個性付与材の扉表面からの突出高さが扉表面全体の平坦性との調和から調整されている状態、あるいは、上記個性付与材が、好ましくはタイルで構成されているような状態を言う。この場合、個性付与材の突出面が平坦な扉表面に対して多少の湾曲を有していても、扉表面全体の平坦性に対する影響が無いか、少なければ、個性付与材の扉表面からの突出状態は扉表面全体の平坦性に影響をしない、あるいは影響が少ない状態に含むことができる。
【0007】
扉形式には限定されない。
【0008】
台所キャビネットの種類には限定されない。
【0009】
塗膜は単層でも複数層でもよく、その層数に限定されない。
【0010】
個性付与材は、その配置位置には限定されない。
【0011】
個性付与材は、色、形状、質感、表面粗さ、模様等に限定されない。
【0012】
個性付与材は材料に限定されない。個性付与材は扉表面の一部に配置されるだけでよく、また、意匠性や装飾性を目的とする必要は必ずしもない。
【0013】
個性付与材は、台所用キャビネット扉に、全体が平坦的である扉表面に使用者の意識を引き付ける箇所、つまり、台所用キャビネット扉に個性あるいは個性的な感覚を持たせることができるものである。その意味から、この個性ないしは個性感は、意匠や装飾のような美意識を抱かせるものとは異なり、台所用キャビネット扉それぞれの用途に合うようなイメージである。例えば、ウォールキャビネットの扉であれば、使用者より高い位置にある扉であるから、それに対応した形状にしたり、あるいは、ウォールキャビネットの扉であっても、複数の扉毎に対応した形状、色等を施した個性付与材として、その扉に個性あるいは個性感を持たせることができる。もちろん、台所用キャビネット扉には、多種多様の扉があるので、それぞれに対応した個性付与材とし、個性付与材それぞれが付与する個性あるいは個性感を使用者の好みに対応させ、使用者の個性をも表現することができる。これは、システムキッチンの台所用キャビネットは、複数の部屋の機能を持つ中に配置されるので、使用者の個性を使用者以外の他の人に伝えたりすることも可能となる。
【0014】
以上のように、本発明によれば、個性付与材を扉表面の一部に配置するだけで、台所キャビネット用扉としてその全体の平坦性に影響少なくして扉表面全体に個性ないしは個性感を付与することができる。
【0015】
個性付与材は、タイルに限定されず、扉表面全体の平坦性に影響を及ぼさない突出面を備えれば、ガラス片、金属片、樹脂片、石片、その他、これらに類するものであってもよい。
【0016】
タイルには、陶器質、磁器質、せっ器質のいずれも含むことができる。タイルは表面がほぼ平面状で、正方形または長方形の平物に限定されず、例えば、円形、楕円形、等を含む。 個性付与材は、台所キャビネット用扉の扉表面全体の平坦性を阻害しない形態で扉表面からその上部が突出しているが、扉表面の一部において突出した状態で存在していることにより、台所キャビネット用扉に個性あるいは個性的な感覚を持たせることができる。
【0017】
個性付与材はまた、台所キャビネットの種類、用途に応じて、その素材、配置位置、個数、形状、大きさ、色等を選択することで、多様な個性を付与することができる。
【0018】
また、個性付与材は、扉表面の一部に突出する形態で配置されているので、光の陰影により、扉表面から浮き出すように見えるようになり、扉表面全体に個性ないしは個性感を付与することができる。
【0019】
なお、上記扉において、個性付与材がタイルのような、扉表面全体の平坦性に影響しにくい形態で突出しているので、扉表面の調理油等の汚れの拭き取り作業に影響させることが少なく、扉表面を清潔な状態に容易に確保することができる。
【0020】
上記個性付与材は、扉表面の表面色とは別異の表面色を有することが好ましい。個性付与材の表面色を扉表面の表面色と別異とすることにより、扉表面全体に個性ないし個性感を付与する効果が高い。
【0021】
また、上記個性付与材は、扉表面の一部に形成した凹部に収納固定されていることが好ましい。凹部は、個性付与材の裏面側の断面形状にほぼ合致するものであればよく、凹部の断面形状は特に問わない。個性付与材は、凹部に収納固定されることで、強固に扉の本体に固定され、脱落を防止できる。また、個性付与材は接着剤により凹部内に固定でき、表面に細かい凹凸を生じさせるネジ等の固定手段を使用せずに済む。
【0022】
上記凹部は、その複数個数が、デザイン化された集合形態をなして扉表面の一部に形成され、それぞれの凹部に個性付与材が収納されていることが好ましい。扉表面の一部に集合させた形態とすることにより、よりデザイン化した形態にすることができるので、より個性感を発揮することができる。
【0023】
上記個性付与材が扉開き側に配置されていると、その扉の表面に開閉用取手が突設されていなかったり、あるいは扉開閉用手掛かり部が表面に突出しない状態で設けられていても、扉の使い勝手がよい。すなわち、個性付与材があることで、扉の開き側を示すことができ、使用者は容易に扉の開き側の縁部や、手掛かり部に手指を掛けて扉を開くことができる。
【0024】
扉表面側は、突き板貼りのように、木質材からなることが望ましい。扉表面が木質材であると、その木質表面と個性付与材との対比が鮮明となり、より個性感を発揮することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、個性付与材により扉表面全体に個性ないしは個性感を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態に係る台所キャビネット用扉を詳細に説明する。
【0027】
図1に本発明の実施の形態に係る台所キャビネット用扉を組み込んだシステムキッチンを示す。このシステムキッチンは、シンク2を有するベースキャビネット4と、その上方に配されるウォールキャビネット6と、ガスコンロ等の加熱機器8と、レンジフード10とを備えている。これらに通路を隔てて対向する位置にカップボード12が配置されている。カップボード12は、図1では背面側しか現れないので、その正面側を図2に示す。
【0028】
ベースキャビネット4は、その開き戸式の収納扉14に取手15を備えるが、ウォールキャビネット6は、その開き戸式の収納扉16に扉開閉用取手を備えていない。図2に示すように、カップボード12は、片面使用型で、その片面の上部と下部とにそれぞれ開閉式の収納扉18,20を備える。
【0029】
ベースキャビネット4の収納扉14に実施の形態の個性付与材としてタイル24が中央に4個ずつ配置されている。ウォールキャビネット6の収納扉16に個性付与材としてタイル24が扉開き側下方に2個ずつ配置されている。カップボード12の上側の収納扉18には扉開き側下方に2個ずつ、下側の収納扉20の扉開き側上方に2個ずつ配置されている。このタイル24は、これら収納扉14,16,18,20の扉表面の一部に配置されてこれら扉表面に個性ないしは個性感を付与する個性付与材となる。しかも、タイル24はその上部が扉表面から突出した矩形形状になっている。そのため、タイル24は、実施の形態では、例えば、カップボード12の扉表面が木質系であるのに対して無機質系の平滑な表面であるため、無模様でかつ扉表面のごく一部に配置されているだけであっても、カップボード12の扉表面全体に特有の感覚(個性ないしは個性感)を抱かせることができる。
【0030】
各収納扉14,16,18,20のそれぞれは、これら個性付与材24を除く扉表面を被覆する塗膜28(図1、図2には符号を付していない)により、扉表面の木質の素地の感じが表に表れる、いわゆる素地仕上げとなっている。
【0031】
図3は、上記各収納扉14,16,18,20のうち、ウォールキャビネット6の収納扉16の斜視図で、個性付与材24の使用例を示している。図3(a)は収納扉16が閉じられている状態を、図3(b)は収納扉16が開いている状態を、それぞれ示している。図4は収納扉の正面図である。
【0032】
図3および図4において、個性付与材24は収納扉16の開き側に配置されている。収納扉16には扉開閉用取手が無いが、その収納扉16下端周縁部が下方に突き出されていて、使用者は収納扉16下端周縁部に手指をかけて収納扉16を開閉することができる。この際、個性付与材24が収納扉16の開き側に配置されているから、この個性付与材24が目印となって、容易に収納扉16を開くことができるようになっている。
【0033】
図5を参照して収納扉16の構造を説明する。図5は、図4の(5)−(5)線に沿った拡大断面図である。収納扉16以外の他の収納扉14,18,20は、収納扉16と同様の構成である。
【0034】
収納扉16では、扉基材26の表面に個性ないしは個性感を付与する個性付与材24が、扉基材26の表面から突出する形で埋め込み固定され、個性付与材24を除く扉基材26の表面は、塗膜28で被覆されている。この塗膜28はオープン塗装による塗膜で、扉基材26の表面の感じを生かすための薄肉の塗膜である。
【0035】
扉基材26は、木材を加工して作られた木質材料で構成されている。木質材料には、例えば合板、MDF(中質繊維板)、集成材、LVL、OSB、パーティクルボード、ムク、突き板、これらの組み合わせ等がある。この実施形態では、扉基材26は突き板貼りのMDFからなり、表面に突き板層30がある。
【0036】
扉基材26の表面の所要個所には、扉基材26をその表面の突き板層30を含めて機械加工、例えば好ましくは切削加工により、個性付与材24の平面形状に対応した大きさで、かつ個性付与材24の板厚に対応した深さの凹部32が形成されている。なお、この凹部32の内面には、扉基材26の表面と同様の塗膜28が形成されている。
【0037】
個性付与材24は、好ましくは平滑な硬質表面を有する素材、例えば片面取のタイルからなるもので、表面側の部分が扉基材26の表面から突出する形で、裏面側の部分が上記凹部32に収納されて凹部32内に固定されている。この固定は、好ましくは接着剤34の接着により行われる。個性付与材24は、図4において収納扉16が左側の軸sを中心に開閉するものとすると、その開き側である右側の下部2箇所に、複数の組み合わせによりデザイン化された形態で、集中配置されている。この個性付与材24の組み合わせ位置による全体パターンのデザインは種々に創作することができる。
【0038】
塗膜28は、扉基材26の表面側である突き板層30の木目を生かすための塗膜で、目止め着色した突き板層30の表面に、オープン塗装により比較的薄肉に形成されている。図5中、符号36は、目止め着色層を示す。
【0039】
塗膜28は、凹凸をなくすための透明のウレタンサンディングによる下塗り層28aと、着色のためのウレタンフラットによる中塗り層28bと、透明のウレタンフラットによる上塗り層28cとからなる。塗膜28の形成には、スプレー、スプレッダー、フローコーター、カーテンコーター、バーコーター等を用いることができる。
【0040】
なお、塗膜28は、個性付与材24を除く扉基材26の表面を被覆するものであるが、この塗膜28と、突き板層30に対する目止め着色層36とは、個性付与材24が凹部32に収納固定される前に、凹部32の内面にも形成され、凹部32に収納した個性付与材24により外部に対して隠されている。
【0041】
次に、上記構成の収納扉16の製法を、図6を参照して説明する。他の収納扉14,18,20も、同様の製法で製造される。
【0042】
(第1工程)
始めに、木質材、例えば、MDFからなる扉基材26を用意して、図6(a)に示すように、該扉基材26の表面に突き板を真空引きにより貼着して、突き板層30を形成する。これで、扉基材26の表面が突き板の木目で覆われる。
【0043】
(第2工程)
次いで、図6(b)で示すように、突き板層30を有する扉基材26の表面の所要個所に、NC加工(切削)により、個性付与材24(この実施形態ではタイル)の形状に対応した凹部32を形成する。上記所要個所では突き板層30が除去されて、その内側の扉基材26の本体部が切削される。
【0044】
この場合、凹部32の深さは、個性付与材24の厚み(もしくは高さ)より浅く、凹部32に個性付与材24の下部を嵌め込んだ場合、個性付与材24の表面側の部分(上部)が、扉基材26の表面より突出するようになっている。この場合、個性付与材24の突出高さは、扉表面全体の平坦性に影響を及ぼすことが無いか、あるいは影響を及ぼしにくい高さに調整し、扉表面全体の平坦性に調和させることが好ましい。
【0045】
こののち、凹部32が形成された扉基材26に対しては、素地調整を行う。具体的には、突き板層30を含む扉基材26全体の素地を検査し、欠陥があれば、その欠陥部の補修を行う。
【0046】
(第3工程)
次いで、図6(c)で示すように、凹部32が形成された扉基材26に対して、目止め着色の処理を行う。目止め着色の塗料は、突き板層30に吸い込まれて突き板層30の道管を着色するとともに、表面の凹凸をなくす。この場合、目止め着色は、突き板層30に対してだけでなく、凹部32内面に対しても行われ、したがって、目止め着色層36は、突き板層30の表面だけでなく、凹部32内面にも形成される。
【0047】
(第4工程)
次いで、図6(d)で示すように、目止め着色層36の表面に塗膜28を形成する。この塗膜28は、凹部32以外の扉基材26表面で目止め着色層36上に形成されるほか、凹部32内面の目止め着色層36上にも形成される。
【0048】
塗膜28の形成には、まず、透明のウレタンサンディングにより下塗り層28aを形成する。この下塗り層28aは、表面を平坦するためのものである。下塗り層28aの形成の後は、研磨により下塗り層28aの表面を平滑にする。
【0049】
次いで、着色剤を含むウレタンフラットにより中塗り層28bを形成し、この中塗り層28bの表面には、透明のウレタンフラットにより上塗り層28cを形成する。
【0050】
(第5工程)
図6の(e)に示すように、凹部32内にタイル(タイル)24を固定すべく、扉基材26の凹部32の内面に接着剤34を付着する。接着剤34は、個性付与材24の側に付着させてもよい。
【0051】
(第6工程)
次いで、図6(f)で示すように、扉基材26の凹部32内に個性付与材24を嵌め込んで接着剤34で固定する。これにより、扉基材26に対する個性付与材24の埋め込みが行われる。個性付与材24の厚みは、凹部32の深さより厚いので、個性付与材24の表面部分が扉基材26の表面から突出した形となる。実施形態のように、個性付与材24がタイルである場合は、タイルのガラス質の硬質表面の部分が扉基材26の表面から突出する。
【0052】
上記工程で得られる収納扉16では、個性付与材24の表面が、陰影を伴って扉表面から浮き出すように立体的に見えるので、扉表面全体に個性ないしは個性感を付与することができる。
【0053】
また、上記収納扉16において、個性付与材24が、タイルのような平滑な硬質表面を有する素材からなる場合は、個性付与材24に油汚れ等が付いても、その拭き取りが容易で、個性付与材24以外の扉表面での塗膜28の被覆効果と相俟って、扉表面を清潔な状態に確保することができる。
【0054】
上記の実施形態では、扉基材26は突き板貼りであるが、扉基材26自体の木目を生かす等のために、図7に示すように、上記突き板を省略して、突き板層のない扉基材26の表面に塗膜28を形成するようにしてもよい。図7は、本発明の他の実施形態に係る扉の断面図である。
【0055】
図7の実施形態では、突き板層のない扉基材26の表面の一部に凹部32が形成され、この凹部32の内面と、凹部32以外の扉基材26の表面とに目止め着色層36が形成され、この目止め着色層36の表面に、下塗り層28aと中塗り層28bと上塗り層28cからなる塗膜28が形成される。このほか、塗膜28を、2層もしくは単層構成としてもよいし、3層を超える層構造としてもよい。
【0056】
なお、収納扉14,16,18,20のうち、ベースキャビネット14の収納扉14では、個性付与材24が扉表面のほぼ中央に埋め込まれているが、他の収納扉16,18,20とは、個性付与材24の数、配置位置が異なるだけで、他の基本構成は同じであるので、その詳しい説明は略する。
【0057】
上記実施形態では、個性付与材24として方形のものを示したが、円形、三角形等、種々の形状とすることができ、また、大きさや色、模様、配置位置、配置個数等を適宜選択することが可能で、デザイン化した集合形態とすることもできる。扉が備えられる台所キャビネットの種類が多種多様であるのに応じて、個性付与材24の素材、形状、大きさ、色、模様、配置位置、配置個数等を選定することで、多様な個性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る台所キャビネット用扉を含むシステムキッチンの斜視図である。
【図2】図2は図1に示されたカップボードの正面側からの斜視図である。
【図3】図3は図1に示されたウォールキャビネットの収納扉の使用例を示すための斜視図で、(a)が収納扉が閉じた状態を、(b)が収納扉が開いた状態をそれぞれ示す。
【図4】図4は収納扉の正面図である。
【図5】図5は図4の(5)−(5)線に沿った拡大断面図である。
【図6】図6は収納扉の製造工程を示すための断面図で、(a)〜(f)は各工程を示す。
【図7】図7は本発明の他の実施形態に係る収納扉の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0059】
4 ベースキャビネット
6 ウォールキャビネット
12 カップボード
14,16,18,20 収納扉
24 個性付与材
26 扉基材
28 塗膜
32 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉表面に塗膜が形成された台所キャビネット用扉において、
上記扉表面の一部に形成された凹部と、この凹部に下部が収納され上部が凹部外に突出する硬質の個性付与材と、を備え、
個性付与材の上部は、扉表面全体の平坦性が確保され得る形態で扉表面上に突出している、ことを特徴とする台所キャビネット用扉。
【請求項2】
上記個性付与材は、その突出面が扉表面の平坦性に対応した平坦面に構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項3】
上記個性付与材は、扉表面からの突出高さが扉表面全体の平坦性との調和から調整されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の台所キャビネット用扉。
【請求項4】
上記個性付与材が、タイルで構成されている、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の台所キャビネット用扉。
【請求項5】
上記塗膜は、上記個性付与材を除く扉表面全体に形成されている、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の台所キャビネット用扉。
【請求項6】
上記個性付与材は、扉表面の色、模様、表面粗さのいずれかとは異なる態様を有して扉表面に個性ないし個性感を付与している、ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の台所キャビネット用扉。
【請求項7】
上記凹部が、デザイン化された集合形態をなして扉表面の一部に複数形成され、それぞれの凹部に個性付与材が収納固定されている、ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の台所キャビネット用扉。
【請求項8】
上記個性付与材が扉開き側に配置されている、ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の台所キャビネット用扉。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の台所キャビネット用扉を備えた台所キャビネットを、複数組み合わせて配置したことを特徴とするシステムキッチン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate