説明

台紙なしラベルプリンタ

【課題】台紙なしラベル連続体を印字発行させる時は、スムーズに台紙なしラベル連続体供給ロールから引き出し、台紙なしラベル連続体を印字開始位置まで巻き戻す時も、スムーズに台紙なしラベル連続体供給ロールに巻き戻すことができるようにした台紙なしラベルプリンタを提供することである。
【解決手段】台紙なしラベルロール3aの幅サイズによって収納部2の幅方向に移動自在とされた左右のラベルホルダ13、13が設けられ、センタリング機構によって台紙なしラベロール3aがいつもセンタリングされている。また、左右のラベルホルダ13、13には、それぞれ回転規制手段としてのワンウェイクラッチ12,12を介して左右のラベルガイド11,11が嵌着されている。一方、左右のラベルガイド11,11の間に台紙なしラベルロール3aの紙管9が装着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台紙なしラベルが印字発行される時も印字開始位置まで巻き戻される時も、台紙なしラベルがスムーズに走行することができる台紙なしラベルプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の台紙なしラベルプリンタは、ラベル連続体がラベル連続体供給ロールから引き出されて印字される時に、ラベル連続体がラベル連続体供給ロールと印字部との間に張力を維持してラベル連続体に印字をしていた。
【0003】
この張力を維持する手段として、剥離ローラを設置した台紙なしラベルプリンタが提案されている(たとえば、特許文献1参照)
【0004】
この台紙なしラベルプリンタ110は、図3に示すように台紙なしラベル連続体100を巻回した台紙なしラベル連続体供給ロール101の巻き芯102よりも高い位置に剥離ローラ103を設置し、剥離ローラ103と印字部105との間にテンションローラ104を設け、この剥離ローラ103とテンションローラ104を経て台紙なしラベル連続体100を印字部105に導くようにしたものである。ここで、印字部105は、プラテンローラ107とサーマルヘッド106とによって構成されている。また、台紙なしラベル連続体100は、この剥離ローラ103とテンションローラ104を経て台紙なしラベル連続体供給ロール101から引き出されるため、この剥離ローラ103によって台紙なしラベル連続体供給ロール101から確実に引き剥がされる。また、台紙なしラベル連続体100が一旦引き戻された場合にも、この剥離ローラ103によって台紙なしラベル連続体供給ロール101から間隔をもって維持される。
【特許文献1】特開2002−284131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成の台紙なしラベルプリンタ110においては、次のような問題点があった。先端の台紙なしラベル連続体100が印字発行されてカッター108で切断されると、台紙なしラベル連続体100は一旦印字開始位置まで引き戻されてから印字発行される。台紙なしラベル連続体100が印字開始位置まで引き戻される時は、剥離ローラ103を介して台紙なしラベル連続体100の腰の強さで台紙なしラベル連続体供給ロール101を時計方向に回転させて巻き戻そうとするが、テンションローラ104と剥離ローラ103によって台紙なしラベル連続体100の角度が変えられているので腰が弱くなり、台紙なしラベル連続体供給ロール101が時計方向に回転しずらくなり、台紙なしラベル連続体100がたるんで(図3において、二点鎖線で示されている)再度台紙なしラベル連続体供給ロール101に貼り付いてしまう問題があった。特に、台紙なしラベル連続体供給ロール101の巻き径が小さくなって巻き芯102に達すると、剥離ローラ103と巻き芯102までの距離が長くなるので、台紙なしラベル連続体100がたるみやすくなって再度台紙なしラベル連続体供給ロール101または台紙なしラベルプリンタ110の底面に貼り付きやすいという問題があった。
【0006】
本発明は、この点を鑑みて、台紙なしラベル連続体を印字発行させる時は、スムーズに台紙なしラベル連続体供給ロールから引き出し、台紙なしラベル連続体を印字開始位置まで巻き戻す時も、スムーズに台紙なしラベル連続体供給ロールに巻き戻すことができるようにした台紙なしラベルプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る台紙なしラベルプリンタは、台紙なしラベルを巻回した台紙なしラベルロールを収納する収納部と,該台紙なしラベルに印字する印字部と、前記収納部の幅方向に移動自在とされたラベルホルダと、該ラベルホルダに回転自在とされたラベルガイドとを備えた台紙なしラベルプリンタにおいて、前記ラベルガイドは一方の回転方向には回転し、他方の回転方向にはロックするように、前記ラベルホルダと前記ラベルガイドとの間に介装された回転方向規制手段を備え、該回転方向規制手段は、前記台紙なしラベルが印字発行される方向に走行する時に前記ラベルガイドの回転をロックし、一方、逆に台紙なしラベルが巻き戻される時に前記ラベルガイドを回転させるようにしたものである。
【0008】
また、上記の課題を解決するために、請求項2に係る台紙なしラベルプリンタは、前記回転方向規制手段がワンウェイクラッチとされたものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る台紙なしラベルプリンタによれば、台紙なしラベルを巻回した台紙なしラベルロールを収納する収納部と,該台紙なしラベルに印字する印字部と、前記収納部の幅方向に移動自在とされたラベルホルダと、該ラベルホルダに回転自在とされたラベルガイドとを備えた台紙なしラベルプリンタにおいて、前記ラベルガイドは一方の回転方向には回転し、他方の回転方向にはロックするように、前記ラベルホルダと前記ラベルガイドとの間に介装された回転方向規制手段を備え、該回転方向規制手段は、前記台紙なしラベルが印字発行される方向に走行する時に前記ラベルガイドの回転をロックし、一方、逆に台紙なしラベルが巻き戻される時に前記ラベルガイドを回転させるようにしたので、台紙なしラベルロールから台紙なしラベルを引き出そうとする時に、台紙なしラベルロールの回転方向に負荷がかかることになって、台紙なしラベルロールからの貼り付きが小さくなり、スムーズに台紙なしラベルロールから引き出すことができる。また、印字開始位置まで台紙なしラベルが巻き戻される時は、ラベルガイドの回転とともに台紙なしラベルが巻き取られるので、台紙なしラベルがたるんで再度台紙なしラベルロールに貼り付いたり、台紙なしラベルプリンタの底面に貼り付いたりすることなく、よりスムーズに台紙なしラベルロールに巻き取ることができる。
【0010】
また、請求項2に係る台紙なしラベルプリンタによれば、前記回転方向規制手段がワンウェイクラッチとされているので、請求項1と同様な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る台紙なしプリンタの全体概念図である。図1において、台紙なしラベルプリンタ1は、主として台紙なしラベル3を巻回した台紙なしラベルロール3aが収納された収納部2と、台紙なしラベル3に印字する印字部4と、台紙なしラベルロール3aから印字部4へ台紙なしラベル3を走行させるラベル押さえ7と、走行する台紙なしラベル3がたるまないように下から支持する走行ガイド8と、台紙なしラベル3を切断するカッター10とから構成されている。
【0012】
印字部4は、サーマルヘッド5とプラテンローラ6とから構成されている。台紙なしラベル3が印字発行される時は、サーマルヘッド5にプラテンローラ6を弾接させることによって台紙なしラベル3を挟持し、制御信号をサーマルヘッド5に供給することによって印字動作を行わせるとともにプラテンローラ6を反時計方向に回転駆動させる。
【0013】
ラベル押さえ7は、印字部4よりも上流側(収納部2側)に印字部4と略同じ水平位置に配設されている。図1において、ラベル押さえ7は単独部材として示されているが、これに限定されることなくサーマルヘッド5を保持するサーマルヘッド押さえ(図示されていない)と共通の部材とすることもできる。
【0014】
印字部4よりも下流側に印字発行された台紙なしラベル3を切断するカッター10が設けられている。台紙なしラベル3は、印字が終了するとカッター10の位置まで早送りされ、切断された後に取り除かれる。
【0015】
台紙なしラベル3は、表面(サーマルヘッド5に接する面)に剥離剤層が形成され、裏面(プラテンローラ6に接する面)に粘着剤層が形成され、この剥離剤層の上に粘着剤層が重なるように巻き芯としての紙管9に巻回されて収納部2に収納されている。ここで、巻き芯は紙管9の場合について示されているが、これに限定されることなく紙管9がない台紙なしラベルロール3aの場合についても適用できる。
【0016】
紙管9の一部は、印字部4とラベル押さえ7との延長線上(図1において、一点鎖線で示されている)に含まれるように配設されている。また、紙管9の接線方向とラベル押さえ7との台紙なしラベル3の走行路上(図1において、実線で示されている)に走行ガイド8が配設されている。
【0017】
紙管9とラベル押さえ7との距離は、台紙なしラベルロール3aの巻き数がなくなってきて紙管9の接線方向から台紙なしラベル3が引き出された時に最も大きくなり、台紙なしラベル3が最もたるみ易くなるので、走行ガイド8は、紙管9とラベル押さえ7の略中間に設けられることが最も望ましい。一方、走行する台紙なしラベル3の裏面の粘着剤層と摺接する走行ガイド8の上面には、台紙なしラベル3の裏面の粘着剤層に貼り付かないように剥離層が形成されている。ここでは、走行ガイド8の上面に剥離層が形成された場合について説明してあるが、これに限定されることなく走行ガイド8の上面を剥離層が形成されたローラとすることもできる。
【0018】
次に、図1において、ラベルの走行状態について説明する。台紙なしラベル3が印字発行される時は、台紙なしラベル3がわずかに所定の台紙なしラベルロール3aに貼り付きながら徐々に引き出され(破線で示されている)、台紙なしラベル3の走行面に走行ガイド8が配設されているので、台紙なしラベル3のたわみを抑えることができ台紙なしラベルロール3aとの貼り付を小さくすることができる。また、走行ガイド8の表面には剥離層が形成されているので、スムーズに台紙なしラベル3を走行させることができる。
【0019】
一方、台紙なしラベル3が印字発行されるとカッター10の位置まで早送りされ、カッター10で切断された後に取り除かれる。次の台紙なしラベル3を印字発行するには、台紙なしラベル3が印字開始位置まで巻き戻されてから印字発行を行う。台紙なしラベル3がわずかに所定の台紙なしラベルロール3aに貼り付きながら徐々に引き出され(破線で示されている)、台紙なしラベルロール3aの巻き数がなくなってきて紙管9の接線方向に巻き戻す時も、台紙なしラベル3の腰が強いままで紙管9の接線方向に巻き戻され、しかも、台紙なしラベル3の走行面に走行ガイド8が配設されているので、台紙なしラベル3のたわみを抑えることができ、再度台紙なしラベルロール3aに貼り付いたり、台紙なしプリンタ1の底面に貼り付いたりすることなくスムーズに台紙なしラベルロール3aに巻き取ることができる。
【0020】
図2は、図1におけるA−A概略断面図である。図2において、台紙なしラベルロール3aの幅サイズによって収納部2の幅方向(矢印B、C方向)に移動自在とされた左右のラベルホルダ13、13が設けられ、センタリング機構(図示されていない)によって台紙なしラベロール3aがいつもセンタリングされている。また、左右のラベルホルダ13、13には、それぞれ回転規制手段としてのワンウェイクラッチ12,12を介して左右のラベルガイド11,11が嵌着されている。一方、左右のラベルガイド11,11の間に台紙なしラベルロール3aの紙管9が装着されている。
【0021】
ここで、ワンウェイクラッチ12,12の機能について説明する。先ず、台紙なしラベル3が印字発行される時は、所定の台紙なしラベルロール3aから台紙なしラベル3が徐々に引き出されて左右のラベルガイド11、11も回転しようとするが、左右のワンウェイクラッチ12、12が反時計方向への回転がロックされているので左右のラベルガイド11、11も反時計方向への回転がロックされる。したがって、台紙なしラベル3は、紙管9が左右のラベルガイド摺接面11a、11aに摺接しながら、また、台紙なしラベルロール3aの両側面がラベルガイド内面11b、11bに摺接しながら引き出されるので、台紙なしラベル3の走行方向に対して負荷として作用し、台紙なしラベル3が台紙なしラベルロール3aに対して貼り付きにくくなり張力を保ったまま台紙なしラベル3が走行することができ、印字ずれを抑えることができる。
【0022】
一方、台紙なしラベル3が印字発行されるとカッター10の位置まで早送りされ、カッター10で切断された後に台紙なしラベル3が取り除かれて、次の台紙なしラベル3を印字発行するには、台紙なしラベル3を印字開始位置まで巻き戻されてから印字発行を行う。この台紙なしラベル3を印字開始位置まで巻き戻す時は、台紙なしラベル3の腰の強さで台紙なしラベルロール3aの接線方向に巻き戻されようとすると、左右のワンウェイクラッチ12、12が時計方向に回転されるので、左右のラベルガイド11、11も時計方向に回転されるので、台紙なしラベルロール3aは左右のラベルガイド11,11とともによりスムーズに回転される。したがって、台紙なしラベル3がたるんで台紙なしラベルロール3aに再度貼り付いたりラベルプリンタ1の底面に貼り付いたりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る台紙なしプリンタの全体概念図である。
【図2】図1におけるA−A概略断面図である。
【図3】従来の台紙なしラベルプリンタの全体概略図である。
【符号の説明】
【0024】
1 台紙なしラベルプリンタ
2 収納部
3 台紙なしラベル
3a 台紙なしラベルロール
4 印字部
5 サーマルヘッド
6 プラテンローラ
7 ラベル押さえ
8 走行ガイド
9 紙管
10 カッター
11 ラベルガイド
11a ラベルガイド摺接面
11b ラベルガイド内面
12 ワンウェイクラッチ
13 ラベルホルダ
100 台紙なしラベル連続体
101 台紙なしラベル連続体供給ロール
102 巻き芯
103 剥離ローラ
104 テンションローラ
105 印字部
106 サーマルヘッド
107 プラテンローラ
108 カッター
110 台紙なしラベルプリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙なしラベルを巻回した台紙なしラベルロールを収納する収納部と,該台紙なしラベルに印字する印字部と、前記収納部の幅方向に移動自在とされたラベルホルダと、該ラベルホルダに回転自在とされたラベルガイドとを備えた台紙なしラベルプリンタにおいて、
前記ラベルガイドは一方の回転方向には回転し、他方の回転方向にはロックするように、前記ラベルホルダと前記ラベルガイドとの間に介装された回転方向規制手段を備え、該回転方向規制手段は、前記台紙なしラベルが印字発行される方向に走行する時に前記ラベルガイドの回転をロックし、一方、逆に台紙なしラベルが巻き戻される時に前記ラベルガイドを回転させるようにしたことを特徴とする台紙なしラベルプリンタ。
【請求項2】
前記回転方向規制手段は、ワンウェイクラッチとされたことを特徴とする請求項1に記載の台紙なしラベルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−158184(P2012−158184A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−98196(P2012−98196)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【分割の表示】特願2009−146317(P2009−146317)の分割
【原出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(591110078)株式会社新盛インダストリーズ (18)
【Fターム(参考)】