説明

合成樹脂レザー

【課題】ランドセルのような鞄用或いは靴等の表皮として用いる合成樹脂レザーに適し、耐摩耗性,耐傷付き性や耐油性といった機能面での改善と良好な質感との両立を図ることができる合成樹脂レザーを提供する。
【解決手段】基材の少なくとも片面に熱可塑性ポリウレタンエラストマーを主成分とする樹脂層を積層した合成樹脂レザーであって、前記樹脂層の樹脂成分は、ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンエラストマーが80〜95重量%であり、アクリル系軟質樹脂が5〜20重量%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリウレタンを主成分とする樹脂層を備えた合成樹脂レザーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シート基材の表面にポリウレタン樹脂層を形成した合成樹脂レザー或いは合成皮革が知られている。このような合成樹脂レザー或いは合成皮革において、自動車の座席シート等、耐摩耗性が要求される用途に用いられるものは、ポリウレタン樹脂として、シリコーン変性無黄色型ポリカーボネート系ポリウレタンを用いるものや、ポリイソシアネート系硬化剤により架橋されたシリコーン変性ポリウレタン樹脂を用いるものが提案されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
また、下記特許文献2には、シート基材の片面に、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーを主成分とするエラストマー層を設け、このエラストマー層がエラストマー100重量部に対してアクリル−シリコーン共重合体粒子を1.5〜25重量部含有している合成皮革が記載されている。
【0004】
従来技術の合成樹脂レザー或いは合成皮革は、耐摩耗性を備えていることで、自動車の座席シートに要求される性質を具備している。これに対して、合成樹脂レザーを、例えばランドセルのような鞄用の表皮として用いる場合には、耐摩耗性に加えて耐傷付き性や耐油性を考慮する必要がある。下記特許文献3には、熱可塑性ポリウレタン系樹脂層を、ショアA硬度65〜90の熱可塑性ポリウレタン50〜95重量%とショアA硬度50〜80のアクリル系軟質樹脂50〜5重量%との混合樹脂とすることで、表面の耐傷付き性を改善した合成樹脂レザーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−248472号公報
【特許文献2】特開2007−138326号公報
【特許文献3】特開2005−15942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えばランドセルのような鞄用の表皮として用いる合成樹脂レザーにおいて、従来技術のように、耐摩擦性,耐傷付き性や耐油性といった機能面での改善を図ると、表面の風合いが硬くなってしまい、商品価値を高める上での良好な質感(外観や触感)を得ることができない問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、ランドセルのような鞄用或いは靴等の表皮として用いる合成樹脂レザーに適し、耐摩耗性,耐傷付き性や耐油性といった機能面での改善と良好な質感との両立を図ることができる合成樹脂レザーを提供すること、が本発明の目的である。
【0008】
具体的には、合成樹脂レザーは柔らかくすると表面の耐摩耗性,耐傷付き性が低下するため、本来快適に使用される硬さより硬いレベルものが用いられている。これを改善し、耐摩耗性,耐傷付き性を低下させないで、より柔らかい合成樹脂レザーを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明による合成樹脂レザーは、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0010】
基材の少なくとも片面に熱可塑性ポリウレタンエラストマーを主成分とする樹脂層を積層した合成樹脂レザーであって、前記樹脂層の樹脂成分は、ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンエラストマーが80〜95重量%であり、アクリル系軟質樹脂が5〜20重量%であることを特徴とする合成樹脂レザー。
【発明の効果】
【0011】
このような特徴を有することで、ランドセルのような鞄用或いは靴等の表皮として用いる合成樹脂レザーに適し、耐摩耗性,耐傷付き性や耐油性といった機能面での改善と良好な質感との両立を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態に係る合成樹脂レザーは、基材とこの基材の少なくとも片面に積層される樹脂層とを備える。樹脂層は基材の片面に積層されても基材の両面に積層されてもよい。
【0013】
樹脂層は、熱可塑性ポリウレタンエラストマーを主成分とする樹脂組成物を成形した層である。この樹脂層の樹脂成分は、ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンエラストマー(第1樹脂成分)が80〜95重量%であり、アクリル系軟質樹脂(第2樹脂成分)が5〜20重量%である。樹脂組成物には樹脂成分に加えて適量の添加剤を添加することができる。
【0014】
第1樹脂成分であるポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては、高分子(長鎖)ジオールからなるソフトセグメントと、低分子(短鎖)ジオールとジイソシアネートからなるハードセグメントとの構造単位を有機ジイソシアネートで結合したものが挙げられる。
【0015】
ソフトセグメントに用いられる高分子ジオールは、ポリカプロラクトンである。高分子ジオールの数平均分子量は、500〜10000であることが好ましい。ハードセグメントに用いられる低分子ジオールとしては、炭素数2〜15のジオール、例えば、炭素数2〜15の脂肪族二価アルコール、炭素数5〜15の脂環式二価アルコール、炭素数6〜15の芳香族二価アルコール等が使用できる。これらのうち好ましいのは、二価アルコール及び二価フェノールであり、さらに好ましくは脂肪族二価アルコール、単環二価フェノール及びビスフェノール、特に好ましくはエチレングリコール、ハイドロキノン及びビスフェノールAである。
【0016】
ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンエラストマーに用いられる有機ジイソシアネートとしては、炭素数(イソシアネート基NCO中の炭素を除く。以下、同様である。)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネートのいずれか又はこれらの二種以上の混合物が使用できる。これらのうち、好ましいのは芳香族ジイソシアネートと脂肪族ジイソシアネートのいずれか又は混合物であり、さらに好ましくはTDI(トリレンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)のいずれか又は混合物であり、特に好ましいのはHDIである。
【0017】
ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンエラストマーの具体例としては、PANDEX T−2185(硬度80A〜90A、DICバイエル社製)等が挙げられる。
【0018】
第2樹脂成分であるアクリル系軟質樹脂は、常温で軟質ポリ塩化ビニルの如く柔軟性を示す樹脂である。このアクリル系軟質樹脂には、硬度がショアAで50〜80のもの、特には65〜75のものが好ましく用いられる。このアクリル系軟質樹脂は、多層構造重合体、すなわち2種以上のアクリル系重合体がコア−シェル型の多層構造を形成している粒子状の重合体が好ましい。これらのアクリル系軟質樹脂は、常温で良好な柔軟性を示し、屈曲耐久性を有し、耐候性に優れている。
【0019】
本発明で用いるアクリル系軟質樹脂の一例を示す。炭素数1〜12のアルキル基を持つ少なくとも一種のアクリル酸アルキルエステル30〜99.9重量%、炭素数1〜8のアルキル基を持つ少なくとも一種のメタクリル酸アルキルエステル0〜70重量%、共重合可能な不飽和単量体0〜30重量%、多官能架橋性単量体及び/又は多官能性グラフト単量体0.1〜10重量%からなる単量体混合物を重合してなるTgが30℃以下である少なくとも1層の重合体層[A]10〜90重量部と、炭素数1〜12のアルキル基を持つ少なくとも一種のアクリル酸アルキルエステル30〜99重量%、炭素数1〜8のアルキル基を持つ少なくとも一種のメタクリル酸アルキルエステル1〜70重量%、共重合可能な不飽和単量体0〜30重量%からなる単量体混合物を重合してなるTgが−20〜50℃である少なくとも1層の重合体層[B]90〜10重量部との組合せからなる多層構造重合体であり、且つ最外層が重合体層[B]であるアクリル系軟質多層構造樹脂である。
【0020】
アクリル系軟質樹脂の他の例を示す。炭素数1〜8のアルキル基を持つアクリル酸アルキルエステル60〜99.5重量%、共重合可能ビニル基を1個有する単官能性単量体0〜39.5重量%、及びビニル基又はビニリデン基を少なくとも2個有する多官能性単量体0.5〜5重量%を重合して得られるゴム層30〜80重量部と、メタアクリル酸メチル40〜100重量%、炭素数1〜8のアルキル基を持つアクリル酸アルキルエステル0〜60重量%、及び共重合可能なビニル基又はビニリデン基を有する単量体0〜20重量%を重合して得られる硬質樹脂層20〜70重量部とから構成され、且つ最外層が硬質樹脂層であるアクリル系軟質多層構造樹脂である。
【0021】
更に、アクリル系軟質樹脂の他の例を示す。(A)メチルメタクリレート80〜98.99重量%、炭素数1〜8のアルキル基を持つアクリル酸アルキルエステル1〜20重量%、多官能性グラフト剤0.01〜1重量%及び多官能性架橋剤0〜0.5重量%からなる単量体混合物を重合してなる最内層の硬質重合体層5〜30重量部;(B)炭素数1〜8のアルキル基を持つアクリル酸アルキルエステル70〜99.5重量%、メチルメタクリレート0〜30重量%、多官能性グラフト剤0.5〜5重量%及び多官能性架橋剤0〜5重量%からなる単量体混合物を重合してなる中間層の硬質重合体層20〜45重量部;(C)メチルメタクリレート90〜99重量%及び炭素数1〜8のアルキル基を持つアクリル酸アルキルエステル10〜1重量%からなる単量体混合物を重合してなる最外層の硬質重合体層50〜75重量部からなり、平均粒度が0.01〜0.3μmのアクリル系軟質多層構造樹脂である。
【0022】
また、本発明の樹脂層の樹脂成分には、必要に応じて、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)や炭酸カルシウムなどの加工助剤や、通常合成樹脂の配合に使用される可塑剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料などを配合することができる。可塑剤を配合すると、製品の柔軟性、手触りを改善できる。また、可塑剤の配合は樹脂のカレンダー加工の加工温度を下げることができ、そのため熱可塑性ポリウレタンの加工時の分解を抑制できる。紫外線吸収剤としては2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等が用いられる。光安定剤としてはビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン系光安定剤(HALS)等が用いられる。
【0023】
表面改質剤として、アクリル−シリコーン共重合体粒子を適量添加してもよい。アクリル−シリコーン共重合体粒子は、アクリル系化合物とシリコーンとを共重合させた共重合体の粒子である。これは、末端にラジカル重合性基を有するポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとを共重合させた共重合体の粒子(パウダー)が好ましい。この共重合体のポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合割合は、60〜80:20〜40が好ましい。前記粒子の大きさ20〜400μmである。重合は、エマルジョン重合などで行なう。粒子の形状は不定形や球形である。本発明に特に適するのは、平均粒径20〜40μmの球形の粒子である。このものは、例えば、シャリーヌR−170Sの商標名で日信化学工業株式会社から市販されている。アクリル−シリコーン共重合体粒子は、樹脂層に樹脂成分100質量部に対し1.5〜25質量部含有させる。好ましくは3〜20質量部である。含有量が1.5質量部未満の場合は耐摩耗性を改善できない。また含有量が25質量部を超えると、製造のときのカレンダー加工性が悪化する。
【0024】
本発明の合成樹脂レザーは次のようにして製造する。すなわち、例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂とアクリル系軟質樹脂との混合樹脂を、必要に応じて添加剤を配合し、良く混練し、その後カレンダー成形或は押出し成形によって0.1〜5mmの厚さのシートに成形して樹脂層を作成する。基材に接着剤を塗布し、その接着剤塗布面に前述した樹脂層を重ね多少加熱加圧して、ずれない程度に接着させる。接着剤としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン、ポリ塩化ビニルペースト、二液型ポリウレタン接着剤、エポキシ系接着剤などが用いられる。この接着剤は、基材面に塗布しても、また樹脂層面に塗布してもよい。
【実施例】
【0025】
本発明の実施例を表1に示す(例1〜例3が実施例であり、例4〜例11が比較例である)。表の数値は、樹脂成分に関しては重量%を示し、添加剤に関しては樹脂成分100に対する重量部を示している。
【0026】
評価サンプルは、一般的な基材として、ポリウレタンを含浸させたナイロン/ポリエステル混紡の不織布(厚さ0.8mm)を用いた。この基材に例1〜例11の配合をカレンダー成形法で厚さ0.3mmのシートとし接着剤を用いて加熱して積層させたもの、或いは基材無しの厚さ0.3mmのシートを用いた。これに表面処理とエンボスロールを用い加熱絞押しを行った後、24時間後に評価試験を行った。表面処理としては、溶剤系の表面処理剤を塗工した。表面処理剤は、ウレタン系の樹脂成分に、艶調整剤としてシリカ等のフィラー成分を混合したものを用いた。
【0027】
ランドセルなどの鞄用の表皮として適することを評価する項目として、「質感」,「硬さ」,「耐摩耗性」,「耐傷付き性」,「耐油性」,「加工性」を挙げた。
【0028】
「質感」は、外観や触感から高級感が得られることを評価したものであり、基材上に樹脂層を積層した状態の評価サンプルに対して以下の基準で評価を行った。◎:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮と比較して優れている。○:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮と同等。△:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮よりもやや劣る。×:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮より劣る。
【0029】
「硬さ」は、剛軟性試験による評価であり、◎:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮と比較して軟らかい。○:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮と同等。△:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮よりもやや硬い。×:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮より硬い。剛軟性試験はカンチレバー式剛軟性試験機による。
【0030】
「耐摩耗性」は、テーバー式摩耗試験機による評価であり、◎:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮と比較して顕著に優れている。○:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮と比較して優れている。△:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮と同等。×:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮より劣る。
【0031】
「耐傷付き性」は、テーバー式スクラッチ試験機を用いたテーバー式傷付き試験による評価であり、◎:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮と比較して顕著に優れている。○:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮と比較して優れている。△:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮と同等。×:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮より劣る。
【0032】
「耐油性」は、対象物の表面に所定量の各種油を滴下して浸漬し、一定環境内に一定時間投入後、浸漬部分の油を取り除いて、状態の観察や学心摩擦等の耐久試験を行ったことによる総合評価であり、◎:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮と比較して顕著に優れている。○:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮と比較して優れている。△:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮と同等。×:現行ランドセルに使用されている合成皮革表皮より劣る。
【0033】
「加工性」は、カレンダー加工性を評価するものであり、テストロールによる樹脂層の成形性を評価した。◎:優れている。○:通常。△:やや劣る。×:劣る。
【0034】
例1は、樹脂層を形成する混合樹脂の樹脂成分がポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンエラストマー95重量%,アクリル系軟質樹脂5重量%であり、例2は、この樹脂成分がポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンエラストマー90重量%,アクリル系軟質樹脂10重量%であり、例3は、ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンエラストマー80重量%,アクリル系軟質樹脂20重量%である。例1〜3には表1に示した添加剤が添加されている。例1〜3は、前述した評価項目である「質感」,「硬さ」,「耐摩耗性」,「耐傷付き性」,「耐油性」,「加工性」において概ね良好な評価が得られた。
【0035】
これに対して、樹脂成分がポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンエラストマー100重量%の例4は、加工性で不良、樹脂成分がポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンエラストマー75重量%,アクリル系軟質樹脂25重量%の例5は、機能的な性質である「耐摩耗性」,「耐傷付き性」,「耐油性」でやや不良の評価結果になった。
【0036】
一方、樹脂成分の主成分としてアジペート系熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いた例6〜例8は、「質感」がやや不良であると共に「加工性」がやや不良の評価結果になり、樹脂成分の主成分としてエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いた例9〜例11は、「耐傷付き性」と「耐油性」が不良の評価結果になった。
【0037】
以上の評価結果から明らかなように、熱可塑性ポリウレタンエラストマーを主成分とする樹脂層を積層した合成樹脂レザーであって、樹脂層の樹脂成分が、ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンエラストマーが80〜95重量%であり、アクリル系軟質樹脂が5〜20重量%であるものは、ランドセルなどの鞄用の表皮として適することを評価する項目として挙げられた「質感」,「硬さ」,「耐摩耗性」,「耐傷付き性」,「耐油性」,「加工性」において総合的に良好な結果が得られた。
【0038】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の少なくとも片面に熱可塑性ポリウレタンエラストマーを主成分とする樹脂層を積層した合成樹脂レザーであって、
前記樹脂層の樹脂成分は、ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンエラストマーが80〜95重量%であり、アクリル系軟質樹脂が5〜20重量%であることを特徴とする合成樹脂レザー。
【請求項2】
前記ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、高分子ジオールからなるソフトセグメントと、低分子ジオールとジイソシアネートからなるハードセグメントとの構造単位を有機ジイソシアネートで結合したものであることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂レザー。
【請求項3】
前記高分子ジオールは、数平均分子量が500〜10000であるポリカプロラクトンであることを特徴とする請求項2記載の合成樹脂レザー。
【請求項4】
前記低分子ジオールは、炭素数2〜15の脂肪族二価アルコール、炭素数5〜15の脂環式二価アルコール、炭素数6〜15の芳香族二価アルコールから選択されることを特徴とする請求項2又は3記載の合成樹脂レザー。
【請求項5】
前記有機ジイソシアネートは、炭素数(イソシアネート基NCO中の炭素を除く。以下、同様である。)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネートのいずれか又はこれらの二種以上の混合物であることを特徴とする請求項2記載の合成樹脂レザー。
【請求項6】
前記樹脂成分におけるアクリル系軟質樹脂は、
硬度がショアAで50〜80であり、且つ2種以上のアクリル系重合体がコア−シェル型の多層構造を形成している粒子状の重合体であって最外層が硬質樹脂層であるアクリル系軟質多層構造樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の合成樹脂レザー。

【公開番号】特開2012−193481(P2012−193481A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59901(P2011−59901)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)
【Fターム(参考)】