説明

合成樹脂製袋の製造方法

【課題】 内部に大きな内圧が生じても、口部を強固に閉止して密閉状態を保持しておくことができる合成樹脂製袋を容易に製造し得る合成樹脂製袋の製造方法を提供する。
【解決手段】 長方形状の合成樹脂シート10の長さ方向の上下端縁部に雌雄ファスナー部材4、5を熱融着により取り付けたのち、この合成樹脂シート10を二つ折りして上端部に雌雄のファスナー部材4、5をそれぞれ取り付けた表面側シート部1と、この表面側シート部1よりも長い裏面側シート部2とを形成すると共にこの裏面側シート部2の上端部を折り返して該折り返し部2aの先端部に取り付けた上記雄ファスナー部材5の凸条5aを表面側シート部1の上端の雌ファスナー部材4の凹条4aに咬合させた状態にし、この状態で折り返し部2aの上端から表裏シート部1、2の下端に至る両側端部を熱融着6、6して正面側に雌雄ファスナー部材4、5により開閉可能な口部3を有する合成樹脂製袋を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口部に設けたファスナーを閉止させることによって内容物を密封状態に収納しておくことができる合成樹脂製袋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、口部をスライドファスナーによって開閉自在に密閉することができる合成樹脂製袋が広く知られており、例えば、特許文献1には、耐熱温度が高い合成樹脂フィルムと低融点の合成樹脂フィルムとの積層体からなる袋体の口部における前後に対向した内面に互いに咬合する凸条と凹条とを備えた雌雄ファスナー部材を取付けてなる合成樹脂製袋が記載されている。
【0003】
さらに、上記雌雄ファスナー部材は、上記低融点の合成樹脂フィルムと同じ材料からなる帯状基材の表面に上記耐熱温度が高い合成樹脂フィルムと同じ材料からなる凸条又は凹条を一体に設けてなり、これらの雌雄ファスナー部材の帯状基材を上記一枚の積層体の両端部における低融点の合成樹脂フィルム面に熱融着させると共にこの積層体を低融点の合成樹脂フィルム面が内面となるように袋状に折り曲げて、その両側端部を熱融着することにより、口部を上記雌雄ファスナー部材によって開閉自在に構成した上記合成樹脂製袋を製造する方法が記載されている。
【0004】
一方、内容物を密封することができないが、口部の対向内面に互いに咬合する雌雄ファスナー部材を設けることなく、開閉を可能にした合成樹脂製袋も広く知られている。例えば、特許文献2に記載されているように、縦長長方形状の熱可塑性樹脂シートの長さ方向の両端部における表面側と裏面側とに雌雄面ファスナーをそれぞれ熱融着したのち、この熱可塑性樹脂シートを二つ折りして表面側シート部とこの表面側シート部の長さよりも長い裏面側のシート部とを形成すると共にこれらの表裏シート部の両側端部を一体に熱融着して袋を形成し、表面側シート部の端縁部から上方に突出した裏面側シート部の突出部分を表面側シート部に向かって折り返してその先端に設けている面ファスナーを表面側シート部の上端に設けている面ファスナーに係脱自在に係合させる封口片に形成してなる合成樹脂製袋がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−105213号公報
【特許文献2】特許第3136142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記前者の方法によって製造された合成樹脂製袋によれば、その口部を開閉する上記雌雄ファスナー部材を、袋の口部における前後に対向する内面に直接、相対した状態で取付けられているために、袋の内面に該袋を膨脹させようとする内圧が作用した場合には、その内圧が雌雄ファスナー部材の凸条と凹条とを互いに引き離そうとする方向に働いて凸条と凹条との咬合が解かれ、袋主体の口部が開いて内容物が外部に排出される虞れがあるといった問題点が生じる。
【0007】
上記のような問題は、例えば、袋を航空機等によって空輸する場合においても発生するものであり、機内の低圧雰囲気よりも袋の内圧が高くなってその内圧により袋が膨脹し、雌雄ファスナー部材の凸条と凹条との咬合が解かれる事態が生じる。この際、合成樹脂製袋を感染性物質(病原体/検体)の輸送用医療袋として使用した場合には安全性において大きな問題点が生じることになる。
【0008】
また、上記合成樹脂製袋を、液体或いは粉粒状物等の内容物の収納用袋として使用した場合においても、この袋を積み重ねると、その口部に該口部を拡開させようとする液圧等の内圧が作用して上記同様に雌雄ファスナー部材の凸条と凹条との咬合が解かれて口部が開口し、内容物が流出するといった問題点が発生する。
【0009】
一方、後者の合成樹脂袋によれば、袋の表面側シート部の端縁部の上端縁に設けている面ファスナーに、裏面側の上端から下方に向かって折り返している封口片の先端縁に設けた面ファスナーを係合させた際にその口部を密封し得る構造とした場合には、袋内に大きな内圧が発生しても、雌雄ファスナーが外れ難い構造とすることができるが、実際には、袋の口縁と封口片の両側端との間に隙間が形成されるので、密封構造の袋を形成することができない。
【0010】
さらに、袋の耐圧強度や耐引き裂き強度等を増大させるために、上記低融点の合成樹脂フィルムに高強度で且つ高融点の合成樹脂フィルムをラミネートしてなる合成樹脂製シートによって袋を形成した場合には、上記雌雄いずれかの面ファスナーをこの高融点の合成樹脂フィルムの端縁部に熱融着しておかねばならず、製造が困難になるといった問題点が生じる。
【0011】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、口部の開閉操作等の取扱いが容易に行えるのは勿論、袋に大きな内圧が生じても、口部を強固に閉止しておくことができる合成樹脂製袋を容易に且つ正確に製造し得る合成樹脂製袋の製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の合成樹脂製袋の製造方法は、請求項1に記載したように、熱融着性を有する低融点合成樹脂フィルムと、この低融点合成樹脂フィルムよりも高融点の高融点合成樹脂フィルムとをラミネートしてなる長方形状の合成樹脂シートにおける互いに平行な短辺側の上記低融点合成樹脂フィルムの両端縁部に、互いに咬合する凸条と凹条を有する雌雄ファスナー部材をそれぞれ熱融着したのち、上記低融点合成樹脂フィルム側が内面となるように合成樹脂シートを二つ折りして表面側シート部とこの表面側シート部の長さよりも長い裏面側のシート部とを形成すると共に、表面側シート部の端縁部から突出した裏面側シート部の突出部分を表面側シート部に向かって折り返してこれらの表裏シート部の端縁部に熱融着している上記雌雄ファスナー部材の凹凸条を咬合可能に対向させ、しかるのち、上記折り返し部から上記二つ折りした部分における対向する低融点合成樹脂フィルムの長辺側の両側端縁部を全長に亘って熱融着して上記互いに咬合可能な雌雄ファスナー部材によって開閉自在な口部を形成した袋を得ることを特徴する。
【0013】
このように構成した合成樹脂製袋の製造方法において、請求項2に係る発明は、上記雌雄ファスナー部材を、合成樹脂シートにおける低融点合成樹脂フィルムと同等の低融点合成樹脂フィルムからなる横長帯状基材の表面に凹条と凸条をそれぞれ一体に設けてなる構造とし、これらの雌雄ファスナー部材のいずれか一方のファスナー部材の帯状基材の裏面を上記低融点合成樹脂フィルムの一方の短辺側の端縁部に全長に亘って熱融着し、他方のファスナー部材の帯状基材の表面における該表面に設けた上記凹条又は凸条に沿った端縁部を上記低融点合成樹脂フィルムの他方の端縁部に熱融着することにより、その凹条又は凸条を合成樹脂シートにおける高融点合成樹脂フィルムの面側に向けた状態にし、この状態にして帯状基材の裏面を低融点合成樹脂フィルムの一方の端縁部に熱融着してなる一方のファスナー部材が表面側シート部の端縁部に設けられるように合成樹脂シートを二つ折りすることを特徴とする。
【0014】
なお、袋の口部を形成している互いに咬合した雌雄ファスナー部材の両側端部の融着部の幅を、熱融着した袋の両側端部の融着幅よりも幅広くなるように融着しておくことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、合成樹脂製袋は、熱融着性を有する低融点合成樹脂フィルムとこの合成樹脂フィルムよりも高融点の高融点合成樹脂フィルムとをラミネートしてなる長方形状の合成樹脂シートからなり、この長方形状の合成樹脂シートにおける互いに平行な短辺側の上記低融点合成樹脂フィルムの両端縁部に、互いに咬合する凸条と凹条を有する雌雄ファスナー部材をそれぞれ熱融着したのち、低融点合成樹脂フィルム側が内面となるように合成樹脂シートを二つ折りして表面側シート部とこの表面側シート部の長さよりも長い裏面側のシート部とを形成すると共に、表面側シート部の端縁部から突出した裏面側シート部の突出部分を表面側シート部に向かって折り返してこれらの表裏シート部の端縁部に熱融着している上記雌雄ファスナー部材の凹凸条を咬合可能に対向させ、しかるのち、上記折り返し部から上記二つ折りした部分における対向する低融点合成樹脂フィルムの長辺側の両側縁部を全長に亘って熱融着するので、雌雄ファスナー部材を咬合させることによって袋全体を完全に密閉することができる合成樹脂製袋を簡単に且つ能率よく製造することができる。
【0016】
その上、雌雄ファスナー部材によって開閉させられる口部は、袋の正面側(表面側)における上端から上記裏面側シート部の折り返し長さに相当する寸法だけ下方部に設けられているので、袋内に大きな内圧が発生しても、口部を密閉している雌雄ファスナー部材はその内圧によって同一方向に一体に移動して口部を確実に閉止した状態に保持し得る合成樹脂製袋を提供することができる。
【0017】
さらに、請求項2に係る発明によれば、上記雌雄ファスナー部材は、合成樹脂シートにおける低融点合成樹脂フィルムと同等の低融点合成樹脂フィルムからなる横長帯状基材の表面に凹条と凸条をそれぞれ一体に設けてなるものであるから、袋を作製するに際して、低融点合成樹脂フィルムの両端縁部にこれらの雌雄ファスナー部材をそれぞれ容易に熱融着によって取り付けることができるばかりでなく、これらの雌雄ファスナー部材のいずれか一方のファスナー部材の帯状基材の裏面を上記低融点合成樹脂フィルムの一方の短辺側の端縁部に全長に亘って熱融着し、他方のファスナー部材の帯状基材の表面における該表面に設けた上記凹条又は凸条に沿った端縁部を上記低融点合成樹脂フィルムの他方の端縁部に熱融着するものであるから、合成樹脂シートを低融点合成樹脂フィルムが内面側となるように表面側シート部と該表面側シート部よりも長い裏面側シート部とに二つ折りすると共に表面側シート部から突出する裏面側シートを表面側シート部の先端に向かって折り返した際に、裏面側シートの突出端に設けているファスナー部材の凹条又は凸条を外側に向けた状態にすることができ、このファスナー部材の凹条又は凸条に、上記表面側シート部の端縁部に内面側に向けた状態で取り付けているファスナー部材の凸条又は凹条を確実且つ円滑に咬合させることができる合成樹脂袋を製造することができる。
【0018】
なお、袋の口部を形成している互いに咬合した雌雄ファスナー部材の両側端部の融着部の幅を、熱融着している袋の両側端部の融着幅よりも幅広くなるように融着しておくことが望ましく、このように構成すれば、上記融着によって最も破損が生じやすい口部の両側端部の強度を極めて大きくすることができると共に、雌雄ファスナー部材の両側端部が咬合した状態で融着されているから、袋の口部閉止時には、雌雄ファスナー部材の凸条と凹条との咬合開始が迅速かつ確実に行えると共に密封状態を保持し得る合成樹脂製袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】合成樹脂製袋の簡略斜視図。
【図2】その縦断側面図。
【図3】一部の拡大縦断側面図。
【図4】合成樹脂シートの上下両端に雌雄ファスナー部材を設ける状態の斜視図。
【図5】合成樹脂シートを二つ折りする直前の斜視図。
【図6】二つ折りした状態の斜視図。
【図7】作製した袋の斜視図。
【図8】その口部の両側端部に幅広の熱融着部を設けた状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1は合成樹脂製袋の簡略斜視図、図2はその縦断側面図であって、この合成樹脂製袋Aは、柔軟で非通気性の合成樹脂シート10からなり、袋の正面を形成している一定幅と一定長さを有する表面側シート部1と、この表面側シート部1の下端縁にその下端縁を一体的に連設して袋の背面を形成していると共に表面側シート部1の長さよりも長い裏面側シート部2と、表面側シート部1の上端縁から突出するこの裏面側シート部2の突出部分を表面側シート部1の上端縁に向かって二つ折り状態に折り返してその端縁部(下端縁部)を表面側シート部1の上端縁部の内面側に重ね合わせた状態に対向させている折り返し部2aと、この折り返し部2aの下端縁部とこの下端縁部に対向する表面側シート部1の上端縁部とにそれぞれ熱融着によって取り付けられて開閉自在な袋の口部3を形成する互いに咬合する凹条4aと凸条5aを有する雌雄ファスナー部材4、5とを備えていると共に、上記折り返し部2aの上端から表裏シート部1、2の下端までの全長に亘ってその両側端縁部を一定幅だけ熱融着6、6して全体の形状を偏平状に形成してなるものである。
【0021】
合成樹脂製袋Aを形成している上記合成樹脂シート10は図3に示すように、ポリエチレン又はポリプロピレン等の熱融着性を有する低融点の熱可塑性の合成樹脂フィルム11と、この合成樹脂フィルム11よりも高融点で高強度のナイロンからなる高融点合成樹脂フィルム12とをラミネートしてなる合成樹脂シートであり、必要に応じてこれらの低融点と高融点の合成樹脂フィルム11、12をそれぞれ2層以上、層着しておいてもよいが、袋の内面を形成する最内層にはナイロンよりも低融点の上記合成樹脂フィルム11を配し、袋の外面を形成する最外層には上記高融点の合成樹脂フィルム12を配しておくことが必要である。なお、合成樹脂シートの融点は、JIS K7122に準拠して測定されたものをいう。
【0022】
また、開閉自在な合成樹脂製袋Aの口部3を形成している上記雌雄ファスナー部材4、5は、上記低融点の合成樹脂フィルム3と同一材料よりなる横長帯状基材4b、5bの片面における幅方向の中央部に、上記凹条4a、凸条5aをそれぞれ全長に亘って一体に固着してなるもので、その長さは合成樹脂シート10の幅に略等しくなるように形成してあり、これらの雌雄ファスナー部材4、5における一方のファスナー部材、図においては、雌ファスナー部材4をその凹条4aを袋Aの内面側に向けた状態にして横長帯状基材4bを表面側シート部1における低融点の合成樹脂フィルム11の上端縁部の内面に熱融着によって取り付け、雄ファスナー部材5をその凸条5aを袋Aの外面側に向けた状態にして横長帯状基材5bにおける凸条5aを設けている面の該突条5aから上側の面部分を上記折り返し部2aにおける低融点合成樹脂フィルム11の下端縁部に熱融着によって取り付けている。
【0023】
なお、雌雄ファスナー部材4、5にそれぞれ設けている上記凹条4aと凸条5aは、横長帯状基材4b、5bと同一材料によってそれぞれこれらの横長帯状基材4b、5bに一体に成形しておいてもよく、又、横長帯状基材4b、5bとは別なナイロン等の高融点の熱可塑性合成樹脂によって形成して横長帯状基材4b、5bに熱融着により一体化させてもよい。また、これらの凹4aと凸条5aは、横長帯状基材4b、5bの縦幅方向の中央部に全長に亘って1条だけ設けておいてもよいが、袋主体1の口部1aを一層強固に閉止させると共により確実な密閉を可能にするために、図に示すように、上下に小間隔を存して互いに平行な2条の凹条4a、4aとこれらの凹条4a、4aに咬合する2条の凸条5a、5aをそれぞれ設けている。
【0024】
さらに、上記雌雄ファスナー部材4、5の長さ方向の両側端部は、袋Aを形成している表裏側シート部1、2の両側端部と共に上記のように熱融着6、6されているが、この雌雄ファスナー部材4、5の両側端部の融着幅を、さらに上記熱融着6、6を袋の中央部に拡幅させた幅広い熱融着部6A、6Aに形成して、口部3の両側端部の強度を増大させると共に雌雄ファスナー部材4、5の凹条4aと凸条5aとの咬合を常に正確に行わせ、確実な封止が可能となるように構成している。
【0025】
次に、上記のように構成した合成樹脂製袋Aの製造方法を述べると、低融点の合成樹脂フィルム11と該合成樹脂フィルム11よりも高融点で且つ耐圧強度等の強度の大きい合成樹脂12とをラミネートしてなる一定幅と長さを有する上記合成樹脂シート10の長さ方向の両端縁部、即ち、互いに平行に対向する短片側の両端縁部に、上記雌雄ファスナー部材4、5を熱融着して取り付ける。この際、合成樹脂シート10の長さ方向に上下方向に向けて上記互いに平行に対向する短片側の両端縁部をそれぞれ上端縁部と下端縁部とした場合、その上下端縁部のいずれか一方に、雌ファスナー部材4を、他方に雄ファスナー部材5を取り付ければよいが、図においては、下端縁部に雌ファスナー部材4を、上端縁部に雄ファスナー部材5を取り付けている。
【0026】
この場合、雌ファスナー部材4は、合成樹脂シート10の低融点合成樹脂フィルム11の下端縁部において、図4に示すように、その凹条4aをこの低融点合成樹脂フィルム11と同じ向きにして凹条4aを設けていない横長帯状基材4bの面を全面的に低融点合成樹脂フィルム11の下端縁部上に重ね合わせてこの低融点合成樹脂フィルム11の融点よりも高く且つ上記高融点合成樹脂フィルム12よりも低い温度でもって図5に示すように熱融着する一方、雄ファスナー部材5は、合成樹脂シート10の低融点合成樹脂フィルム11の上端縁部において、図4に示すように、その凸条5aを低融点合成樹脂フィルム11の面に対向するように、即ち、高融点合成樹脂フィルム12の面と同一向きにし、且つ、この凸条5aが合成樹脂シート10の上端からこの上端面に沿って上方に突出させた状態にして該凸条5aから下部の横長帯状基材5bの下半部分を低融点合成樹脂フィルム11の上端縁部に上記と同じ温度でもって図5に示すように熱融着する。
【0027】
しかるのち、図6に示すように、この合成樹脂シート10をその下半部が上半部よりも短い長さとなるように且つ低融点合成樹脂フィルム11側が内面となるように長さ方向の中央部よりも下寄り部分から二つ折りして、一定幅と一定長さ(高さ)を有する面側シート部1と、この表面側シート部1と同一幅で長さが該表面側シート部1よりも長い裏面側シート部2とを形成すると共に、表面側シート部2の上端縁から突出した裏面側シート部の突出部分を表面側シート部1の上端に向かってその長さ方向の中央から二つ折り状態となるように下方に折り返してこの折り返し部2aの下端縁に上記雄ファスナー部材5が設けられた状態にする。そうすると、表面側シート部1の上端縁部に取り付けている上記雌ファスナー部材4の凹条4aが内面側に向けられる一方、折り返し部2aの下端部に取り付けている上記雄ファスナー部材5の凸条5aが外面側に向けられ、且つ、これらの雌雄ファスナー部材4、5の凹条4aと凸条5aとが互いに咬合可能に対向した状態にすることができるので、これらの凹、凸条4a、5aを全長に亘って咬合させる。
【0028】
この状態したのち、図7に示すように、上記折り返し部2aの上端から表裏シート部1、2の下端に至る全長に亘って袋Aの内面を形成している低融点合成樹脂フィルム11の対向する両側端縁部を一定幅だけ熱融着6、6することにより、正面における上部に雌雄ファスナー部材4、5の凹条4aと凸条5aとが咬合している口部3を有する合成樹脂製袋Aを製造することができる。
【0029】
さらに、この合成樹脂製袋Aにおける口部3を形成している互いに咬合した雌雄ファスナー部材4、5の両側端部の融着部の幅を、図8に示すように、さらに幅広くなるように熱融着6A、6Aして口部3の両側端部を補強した。上記熱融着部6、6とこの熱融着部6A、6Aの形成時には、雌雄ファスナー部材4、5の凹凸条4a、4aが咬合しているから、その咬合した両側端部が熱融着によって溶融して凹凸条がなくなっても、該熱融着部6A、6Aの内端と凹凸条4a、5aの両側端との連設部においては、凹凸条4a、5aが常に咬合した状態に保持される。従って、凹凸条4a、5aの咬合による口部3の閉止操作が確実に且つ円滑に行うことができる。
【0030】
また、このように構成した合成樹脂製袋A内に内容物を収納して雌雄ファスナー部材4、5により口部3を密閉した状態において、この袋A内に袋の積み重ね荷重等による膨脹圧や、外気との気圧差による膨脹圧などの内圧が発生しても、雌雄ファスナー部材4、5が袋Aの正面側となる表面側シート部1の上端縁部と折り返し部2aの下端縁部とに設けられているので、雌雄ファスナー部材4の凹凹凸条4a、5aが咬合した状態で一体に正面側が膨脹する同一方向に移動して、強固に咬合した状態を維持し、確実に密閉しておくことができる。
【符号の説明】
【0031】
A 合成樹脂製袋
1 表面側シート部
2 裏面側シート部
2a 折り返し部
3 口部
4 雌ファスナー部材
4a 凹条
4b 横長帯状基材
5 雄ファスナー部材
5a 凸条
5b 横長帯状基材
6 熱融着部
6A 広幅の熱融着部
10 合成樹脂シート
11 低融点合成樹脂フィルム
12 高融点合成樹脂フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱融着性を有する低融点合成樹脂フィルムと、この低融点合成樹脂フィルムよりも高融点の高融点合成樹脂フィルムとをラミネートしてなる長方形状の合成樹脂シートにおける互いに平行な短辺側の上記低融点合成樹脂フィルムの両端縁部に、互いに咬合する凸条と凹条を有する雌雄ファスナー部材をそれぞれ熱融着したのち、上記低融点合成樹脂フィルム側が内面となるように合成樹脂シートを二つ折りして表面側シート部とこの表面側シート部の長さよりも長い裏面側のシート部とを形成すると共に、表面側シート部の端縁部から突出した裏面側シート部の突出部分を表面側シート部に向かって折り返してこれらの表裏シート部の端縁部に熱融着している上記雌雄ファスナー部材の凹凸条を咬合可能に対向させ、しかるのち、上記折り返し部から上記二つ折りした部分における対向する低融点合成樹脂フィルムの長辺側の両側端縁部を全長に亘って熱融着して上記互いに咬合可能な雌雄ファスナー部材によって開閉自在な口部を形成した袋を得ることを特徴する合成樹脂製袋の製造方法。
【請求項2】
雌雄ファスナー部材は、合成樹脂シートにおける低融点合成樹脂フィルムと同等の低融点合成樹脂フィルムからなる横長帯状基材の表面に凹条と凸条をそれぞれ一体に設けてなり、これらの雌雄ファスナー部材のいずれか一方のファスナー部材の帯状基材の裏面を上記低融点合成樹脂フィルムの一方の短辺側の端縁部に全長に亘って熱融着し、他方のファスナー部材の帯状基材の表面における該表面に設けた上記凹条又は凸条に沿った端縁部を上記低融点合成樹脂フィルムの他方の端縁部に熱融着することにより、その凹条又は凸条を合成樹脂シートにおける高融点合成樹脂フィルムの面側に向けた状態にし、この状態にして帯状基材の裏面を低融点合成樹脂フィルムの一方の端縁部に熱融着してなる一方のファスナー部材が表面側シート部の端縁部に設けられるように合成樹脂シートを二つ折りすることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製袋の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−195459(P2010−195459A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45519(P2009−45519)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(596111276)積水フイルム株式会社 (133)
【Fターム(参考)】