説明

吊掛装置

【課題】簡単な操作によって、吊掛具を支持具に対して容易に着脱可能とする吊掛装置を提供する。
【解決手段】吊掛具103と、当該吊掛具を支持する支持具102とを有する吊掛装置100であって、支持具102は、吊掛具103を挿脱可能とし、挿入された吊掛具103の傾動動作に応じて移動する第1の移動部材190と、第1の移動部材190の移動動作に応じて、吊掛具103をロックするロック動作及びロック解除するロック解除動作を繰り返すロック機構部210、230、250、260と、を備え、吊掛具103は、第1の移動部材190に挿脱可能な第1の係合部132と、ロック機構部のロック動作によりロック機構部にロックされ、ロック解除動作によりロック解除されるロック係合部136とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、物干竿や洋服ハンガー、観葉植物等を吊り下げて使用する吊掛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井から例えば物干竿受具を吊り下げる吊掛装置として、天井に固定される支持具と、当該支持具に支持されて吊り下げられるシャフト状の吊掛具(物干竿受具)とを有するものが考えられている(特許文献1〜5参照)。
【0003】
この種の吊掛装置は、天井に固定された支持具に対して、吊掛具を着脱可能とすることにより、使い勝手を向上するようになされている。
【0004】
特許文献1〜3に記載された吊掛装置においては、天井に固定された支持具の下面部に形成された挿入孔に対して、吊掛具を構成するシャフトの先端部を上方に向けて差し込んだ後、当該シャフトをそのシャフト部分を中心軸として当該中心軸回りに捻ることで、この吊掛具を支持具に支持させる構成となっている。
【0005】
また、特許文献4に記載された吊掛装置においては、天井に固定された支持具に対して、吊掛具を構成するシャフトを垂直に保ちながらその上端部を水平移動させることで、当該上端部を支持具に対して横方向から挿入し支持させる構成となっている。
【0006】
また、特許文献5に記載された吊掛装置においては、天井に固定された支持具に対して、吊掛具を構成するシャフトを斜めに保ちながらその上端部を、支持具の側面部に形成された挿入孔に挿入することにより、吊掛具を支持具に支持させる構成となっている。
【0007】
また、特許文献6に記載された吊掛装置においては、吊掛具を構成するシャフトの上端部に設けられた球状の固定部を、天井に固定された支持具において挟み込むように支持させるように構成されている。この構成においては、球状の固定部を支持具により挟持することにより、支持具が斜めの天井に取り付けられている場合においても、吊掛具を鉛直下方に吊り下げるようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−319625号公報
【特許文献2】特開2007−307083号公報
【特許文献3】実用新案登録第2511968号
【特許文献4】特許第2673875号
【特許文献5】特許第3885031号
【特許文献6】特許第3034464号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1〜3の構成においては、使用者がシャフト状の吊掛具を捻る操作を行うことによって、当該吊掛具を支持具に支持させる構成となっており、この捻る操作は、通常は操作し易いものであるが、老人や手首関節に障害のある者が操作する際には、操作し難い問題があった。また、特許文献1〜3の構成においては、吊掛具を支持具に支持させる取り付け時に捻る方向と、取り外す際に捻る方向がそれぞれ決められているため、操作を誤り易いという問題もあった。
【0010】
また、特許文献4及び5に示されている構成では、吊掛具のシャフトの上端部を横方向から支持具に挿入するといった細かい操作が必要となり、使用者にとって、操作し難い問題があった。特に、吊掛具を構成するシャフトの上端部を天井付近の支持具に支持させる場合、使用者からは上方の見難い箇所での細かな挿入操作となるため、支持具への取り付けが難しくなる。
【0011】
さらに、特許文献6に示されている構成では、斜め天井においても、吊掛具を鉛直下方に吊り下げることができるものの、吊掛具を支持具に対して押え具を介してねじにより固定する構成となっており、使用者が簡単に吊掛具を着脱することは困難であった。
【0012】
そこで、本発明は、簡単な操作によって、吊掛具を支持具に対して容易に着脱可能とする吊掛装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施の形態に係る特徴は、吊掛具と、当該吊掛具を支持する支持具とを有する吊掛装置であって、前記支持具は、前記吊掛具を挿脱可能とし、挿入された前記吊掛具の傾動動作に応じて移動する第1の移動部材と、前記第1の移動部材の移動動作に応じて、前記吊掛具をロックするロック動作及びロック解除するロック解除動作を繰り返すロック機構部と、を備え、前記吊掛具は、前記第1の移動部材に挿脱可能な第1の係合部と、前記ロック機構部の前記ロック動作により前記ロック機構部にロックされ、前記ロック解除動作によりロック解除されるロック係合部とを備えることである。
【0014】
この構成によれば、吊掛具を第1の移動部材に挿入して傾動させるという簡単な操作によって、当該吊掛具を支持具に対して容易に着脱することができる。
【0015】
本発明の実施の形態に係る特徴は、前記構成において、前記第1の移動部材は、前記吊掛具の前記第1の係合部を挿脱可能とする第2の係合部と、当該第2の係合部に挿入された前記吊掛具の傾動動作に応じて移動すると共に、当該移動方向に対して傾斜した第1傾斜面を有し、前記ロック機構部は、前記第1傾斜面と摺接する第2傾斜面を有し、前記第1の移動部材の移動に伴って、前記第1の移動部材の移動方向に対して直交成分を有する方向に移動すると共に、当該直交成分を有する移動方向に対して傾斜した第1摺接カム面を有する複数の第1カムが第1の筒体の周面においてその周方向に沿って所定間隔で順次形成された第2の移動部材と、前記複数の第1カムの前記第1摺接カム面に摺接される複数の第2カムが第2の筒体の周面においてその周方向に沿って所定間隔で順次形成され、前記第2の移動部材の移動に伴って前記第2の筒体が前記第2カムの配列方向に回動すると共に、当該回動方向に沿って複数の第3カムが順次形成されたカム部材と、前記第3カムに係合され、前記カム部材の回動に伴って、ロック動作及びロック解除動作を繰り返すロック部材とを備えることである。
【0016】
この構成によれば、吊掛具の傾動動作に応じて第1の移動部材を移動させると共に、第2の移動部材、カム部材及びロック部材により、第1の移動部材の移動を、ロック部材によるロック動作及びロック解除動作に変換することができる。特に、第1の移動部材の移動が、第2の移動部材を介してカム部材の回動操作に変換されることにより、吊掛具の傾動により第1の移動部材を移動させるごとに(すなわち、吊掛具を傾動させるごとに)、カム部材が同一方向へ回動するようになされており、この構成により、ロック部材によるロック動作及びロック解除動作が繰り返されることになる。これにより、吊掛具を第1移動部材に挿入して傾動させるという簡単な操作によって、吊掛具を支持具に対して容易に着脱することができる。
【0017】
本発明の実施の形態に係る特徴は、前記構成において、前記吊掛具は、シャフトと、前記シャフトの一方の先端部に設けられた前記第1の係合部と、前記シャフトの他方の先端部に設けられた引掛部とを備え、前記第1の係合部は、前記第1移動部材の凹状の前記第2の係合部に挿入される係合先端部と、前記係合先端部よりも径の大きな前記ロック係合部と、前記ロック係合部の径よりも小さな径の小径部とが、前記シャフトの前記一方の先端部から順次形成されていることである。
【0018】
この構成によれば、吊掛具として、シャフトの先端部から順に、係合先端部、ロック係合部及び小径部が設けられることにより、支持具に対して着脱自在である吊掛具を簡単な構成によって実現することができる。
【0019】
本発明の実施の形態に係る特徴は、前記構成において、前記引掛部は、楕円形状又は2つの円弧部を有するレーストラック形状に形成された環状であることである。
【0020】
この構成によれば、楕円形状又はレーストラック形状の引掛部を有することにより、当該引掛部に物干竿等を容易に通すことができる。これにより、一段と使い勝手の良い吊掛装置を実現することができる。
【0021】
本発明の実施の形態に係る特徴は、前記構成において、前記ロック部材は、前記吊掛具の前記小径部を挟むことにより、前記ロック動作し、ロック状態では、前記ロック係合部が前記ロック部材に係止されて前記吊掛具の下方への抜け落ちが係止されると共に、前記係合先端部は、前記吊掛具の自重により、前記第1の移動部材の前記凹状の第2の係合部から下方へ脱し、前記吊掛具は、前記ロック部材によるロック位置を支点として揺動可能に支持されることである。
【0022】
この構成によれば、吊掛具が支持具にロックされた状態においては、吊掛具の先端に設けられた係合先端部が、支持具の第1移動部材から脱した状態となることにより、ロックしたままの状態で吊掛具を揺動可能とすることができる。これにより、物干し作業等における使い勝手を向上することができる。また、例えば、斜め天井に支持具を取り付けた場合においても、当該支持具にロックされた吊掛具を鉛直下方に吊り下げることが可能となる。
【0023】
本発明の実施の形態に係る特徴は、前記構成において、前記カム部材には、前記第2の筒体の周面においてその周方向に沿って複数の山形の第4カムが順次形成され、前記第4カムに係合され、前記カム部材の回動に応じて前記カム部材の回動動作を補助する弾性体を備えることである。
【0024】
この構成によれば、カム部材の回動動作を弾性体によって補助することにより、ロック動作及びロック解除動作を順次円滑に繰り返すことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、簡単な操作によって、吊掛具を支持具に対して容易に着脱可能とする吊掛装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施の形態の吊掛装置を示す斜視図である。
【図2】吊掛具のロック動作又はロック解除動作の説明に供する斜視図である。
【図3】吊掛具のロック動作の説明に供する斜視図である。
【図4】吊掛装置の使用状態を示す斜視図である。
【図5】吊掛装置の使用状態を示す斜視図である。
【図6】吊掛具のロック解除動作の説明に供する斜視図である。
【図7】吊掛具の正面を示す正面図である。
【図8】吊掛具の右側面を示す側面図である。
【図9】吊掛具の上面を示す平面図である。
【図10】吊掛具の底面を示す底面図である。
【図11】吊掛具の係合部を示す正面図である。
【図12】引掛部の他の実施の形態を示す正面図である。
【図13】支持具の構成を示す断面図である。
【図14】カム部材の上面を示す平面図である。
【図15】カム部材の側面を示す側面図である。
【図16】カム部材の断面を示す断面図である。
【図17】カム部材の底面を示す底面図である。
【図18】移動部材(第1の移動部材)を示す平面図及び断面図である。
【図19】移動部材(第2の移動部材)の上面を示す平面図である。
【図20】移動部材(第2の移動部材)の断面を示す断面図である。
【図21】移動部材(第2の移動部材)の底面を示す底面図である。
【図22】板バネを示す側面図及び底面図である。
【図23】ロック操作における吊掛具の押し上げ状態を示す断面図である。
【図24】吊掛具が傾動された際の移動部材の移動状態を示す断面図である。
【図25】カムの係合状態を示す略線図である。
【図26】カムの係合状態を示す略線図である。
【図27】カムの係合状態を示す略線図である。
【図28】筐体を示す断面図である。
【図29】板バネを示す側面図及び正面図である。
【図30】筐体の内部に設けられている各部材を上から見た状態を示す断面図である。
【図31】筐体の内部に設けられている各部材を上から見た状態を示す断面図である。
【図32】筐体の内部に設けられている各部材を上から見た状態を示す断面図である。
【図33】筐体の内部に設けられている各部材を上から見た状態を示す断面図である。
【図34】ロック部材がロック状態となって、吊掛具が下方へ抜け落ちないように支持具に支持される状態を示す断面図である。
【図35】ロック状態における吊掛具の揺動可能状態を示す断面図である。
【図36】ロック解除操作における吊掛具の押し上げ状態を示す断面図である。
【図37】ロック解除操作における吊掛具の傾動動作を示す断面図である。
【図38】他の実施の形態における第1の移動部材の構成を示す断面図である。
【図39】他の実施の形態における第1の移動部材の構成を示す断面図である。
【図40】他の実施の形態におけるカム部材の構成を示す断面図である。
【図41】他の実施の形態における板バネの構成を示す斜視図である。
【図42】他の実施の形態における吊掛具の引掛部の構成を示す正面図である。
【図43】他の実施の形態における支持具の構成を示す断面図である。
【図44】図43の支持具の底面部を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明に好適な実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本実施の形態に係る吊掛装置100の外観を示す斜視図である。図1に示すように、吊掛装置100は、天井面101にねじ等により固定される支持具102と、支持具102に吊り下げられる吊掛具103とを有する。
【0028】
吊掛具103は、支持具102に対して挿脱可能であり、図2に示すように、吊掛具103を支持具102の下面に設けられた挿入口161に挿入し、挿入した状態で吊掛具103をさらに上方(挿入方向)へ押し当てながら、例えば矢印bで示す方向に傾動動作させることにより、支持具102をロック動作させ、当該支持具102によって吊掛具103を吊り下げ可能な状態とするようになされている。また、支持具102によって吊掛具103が吊り下げられている状態において、上述した取り付け方法と同様にして、吊掛具103を上方(挿入方向)へ押し当てながら、矢印bで示す方向に傾動動作させることにより、支持具102をロック解除動作させ、吊掛具103を支持具102から取り外すことができるようになされている。なお、上述の操作例では、吊掛具103の傾動方向を矢印b方向としているが、本実施の形態の吊掛装置100においては、吊掛具103の取り付け操作及び取り外し操作のいずれにおいても、吊掛具103の傾動方向は、矢印b方向に限らず、例えば、矢印bとは反対方向等、任意の方向のいずれであってもよい。このように、傾動操作の方向を限定していないことにより、誤操作の発生を未然に防止している。
【0029】
図3(a)〜(c)は、吊掛具103を支持具102に吊り掛ける際の取付け方法を示す斜視図である。図3(a)〜(c)に示すように、支持具102の下面に設けられた挿入口161に吊掛具103を挿入し(図3(a))、挿入した状態で吊掛具103をさらに矢印aで示す上方の挿入方向へ押し当てながら(図3(b))、当該吊掛具103の軸を傾けることにより(すなわち、矢印bで示す方向等に傾動させることにより)(図3(c))、支持具102がロック動作し、これにより吊掛具103が支持具102によって支持され、挿入口161から抜け落ちない吊り下げ状態となる。なお、図3(c)では、吊掛具103の下端部を図中右方向(矢印b方向)へ押すことにより、当該吊掛具103をその上端部を中心に傾動させているが、上述したように、吊掛具103の下端部を矢印bとは反対方向や、紙面に垂直な方向等、いずれの方向に押しても(吊掛具103の軸をいずれの方向へ傾動させても)、支持具102がロック動作するようになされている。
【0030】
支持具102に吊掛具103が吊り下げられた状態においては、図4に示すように、吊掛具103の下端部に設けられた環状の引掛部133にハンガー51を掛けることができ、又は、図5に示すように、2つの吊掛装置100によって、物干竿52を掛け渡すことができる。
【0031】
また、図6(a)〜(c)は、支持具102に支持されたロック状態にある吊掛具103を、支持具102から取り外す方法を示す斜視図である。図6(a)に示すように、支持具102がロック状態となって、当該支持具102によって吊掛具103が支持され吊り下げられている場合において(図6(a))、吊掛具103を矢印aで示す上方へ押し当てながら当該吊掛具103の軸を傾けることにより(すなわち、矢印bで示す方向等に傾動させることにより)(図6(b))、支持具102がロック解除動作し、これにより、支持具102の挿入口161から矢印cで示す下方へ吊掛具103を抜き取ることができる(図6(c))。なお、図6(b)では、吊掛具103の下端部を図中右方向(矢印b方向)へ押すことにより、当該吊掛具103をその上端部を中心に傾動させているが、上述したように、吊掛具103の下端部を矢印bとは反対方向や、紙面に垂直な方向等、いずれの方向に押しても(吊掛具103の軸をいずれの方向へ傾動させても)、支持具102がロック解除動作するようになされている。
【0032】
このように、本実施の形態の吊掛装置100においては、支持具102に挿入された吊掛具103を上方(矢印a方向)に押し当てながら傾動動作させることにより、支持具102において、吊掛具102に対するロック動作及びロック解除動作が繰り返されるようになされている。
【0033】
次に、吊掛具103の構成について説明する。図1との対応部分に同一符号を付して示す図7は、吊掛具103の正面を示す正面図であり、図8は、図7の吊掛具103の右側面を示す側面図であり、図9は、図7の吊掛具103の上面を示す平面図であり図10は、図7の吊掛具103の底面を示す底面図である。なお、吊掛具103の背面は、図7の正面図に示す構成と同様の構成を有しており、また、吊掛具103の左側面は、図8の右側面を示す側面図と同様の構成を有している。
【0034】
図7〜図10に示すように、吊掛具103は、円柱形状又は中空円筒形状でなる所定長さのシャフト131と、シャフト131の一方の先端部(上端部)に設けられた係合部(第1の係合部)132と、シャフト131の他方の先端部(下端部)に設けられた引掛部133とを有する。本実施の形態の場合、シャフト131はステンレスパイプ(SUS304)等の金属材料で構成されており、係合部132はステンレス(SUS304)等の加工に適した金属材料で構成されており、また、引掛部133は、ABS樹脂等の樹脂材料によって構成されている。シャフト131と係合部132とはカシメ等の方法により結合されている。なお、シャフト131の材質としては、ステンレスパイプに限らず、アルミパイプ又はスチールパイプ等を用いることができる。
【0035】
図11に示すように、係合部132は、支持具102の挿入口161に挿入される部位であり、係合先端部135と、係合先端部135よりも径の大きなロック係合部136と、ロック係合部136の径よりも小さな径の小径部137とが、シャフト131の先端部から順次形成されている。
【0036】
本実施の形態の場合、係合先端部135は、その先端部に曲面状の面取部135Aが形成されており、支持具102に挿入される際に、支持具102の挿入口161や内部に傷が付くことを防止している。
【0037】
また、ロック係合部136は、係合先端部135から次第に径が大きくなる傾斜面136Aと、小径部137へ向かって次第に径が小さくなる傾斜面136Bとを有している。
【0038】
一方、図1に示したように、シャフト131の他方の先端部は、吊掛具103が支持具102に吊り下げられた使用状態において、下端部に位置する部位であり、ここには引掛部133が設けられている。本実施の形態の場合、引掛部133は、吊掛具103の吊り下げ方向に長径を有し2つの円弧部を有するレーストラック形状の環状に形成されており、この環状部にハンガー51や物干竿52(図4、図5)を通して使用する。このように、長径部を有する環状の引掛部133を用いることにより、ハンガー51や物干竿52を通し易くなっている。なお、引掛部133の形状は、レーストラック形状に限らず、例えば、図12に示すように、吊り下げ方向に長径を有する楕円形状であっても良く、要は、吊り下げ方向に長径を有する環状であれば、種々の形状を適用することができる。
【0039】
次に、支持具102の構成について説明する。図1に示したように、支持具102は、天井面101にねじ等により固定されて使用されるものであり、その下面部には、吊掛具103の係合部132を挿入するための挿入口161が設けられている。
【0040】
図13は、支持具102の構成を示す断面図である。図13に示すように、支持具102は、天井面101にねじ止めされる筐体170と、この筐体170の内部に収納される移動部材(第1の移動部材)190、移動部材(第2の移動部材)210、カム部材230、ロック部材250、260及び板バネ270、280によって主に構成される。また、これらの構成部品は、ケース160によって覆われる。移動部材(第1の移動部材)190、移動部材(第2の移動部材)210、カム部材230及びロック部材250、260は、亜鉛ダイキャスト等の金属材料で構成され、ケース160は、樹脂材料によって構成されている。また、板バネ270、280は、ステンレス材料等が用いられる。
【0041】
ケース160及び筐体170には、吊掛具103の係合部132を挿入するための挿入口161、171が形成されている。挿入口171は、下方に向かってその開口部が大きくなるように形成されており、挿入時に吊掛具103の係合先端部135をガイドするようになされている。また、この挿入口171の端面部は、吊掛具103を傾動させる際の支点となる。この挿入口161、171から挿入される吊掛具103の係合部132の挿入空間を確保するように、移動部材210の一部を構成する筒体(第1の筒体)211及びカム部材230の一部を構成する筒体(第2の筒体)231が配置されている。
【0042】
図14は、カム部材230の上面を示す平面図であり、図15は、カム部材230の側面を示す側面図であり、図16は、図14のA−A線を断面にとって示すカム部材230の断面図であり、図17は、カム部材230の底面を示す底面図である。
【0043】
図14〜図17に示すように、カム部材230は、筒体231と、この筒体231の上端面であって、移動部材(第1の移動部材)190を2次元平面上の任意の方向へ摺動可能に載置する摺動面232と、筒体231の外周面においてその周方向に順次形成された複数のカム(第2カム)233と、筒体231の外周面から突出したフランジ235の下端面において、筒体231の周方向に順次形成された複数の山形のカム(第4カム)236と、筒体231の下端部に形成されたスカート部238の内周面において、その周方向に順次形成された複数のカム(第3カム)241とを有する。
【0044】
カム233は、後述する移動部材(第2の移動部材)210に設けられたカム(第1カム)214の摺接面(第1摺接カム面)214Aと摺接する摺接面233Aをそれぞれ有している。カム214の摺接面214Aは、移動部材210の移動方向(すなわち、カム214の移動方向(上下方向))に対して傾斜しており、この摺接面214Aに摺接するカム233の摺接面233Aも同様の傾斜を有している。これにより、移動部材210が上方向に移動した際に、カム214の摺接面214Aによってカム233の摺接面233Aが上方へ押されて、カム233(すなわちカム部材230)は、図17において矢印eで示すように、カム部材230の筒体231の周方向(挿入された吊掛具103の軸回り)に回動するようになされている。このように、カム233は、移動部材210の上下動を、カム部材230の回動動作に変換するものである。因みに、本実施の形態の場合、カム233の摺接面233Aは、カム233の回動方向に対して、39°の角度で構成されている。
【0045】
また、複数のカム241は、それぞれ同様の形状を有しており、このカム241の動き(カム部材230の回動動作)によって、従節としてのロック部材250、260をロック動作及びロック解除動作させるようになされている。すなわち、図17に示すように、各カム241は、なだらかな傾斜面241Aと、急峻な傾斜面241Bとを有する山形に形成されており、この傾斜面241A及び241Bに従節としてのロック部材250、260(後述)が摺接するようになされている。カム部材230が矢印e方向へ回動することに応じて、カム241の傾斜面241A及び241Bが順次ロック部材250、260に係合する。これにより、ロック部材250、260は、傾斜面241Aに連動したロック動作及び傾斜面241Bに連動したロック解除動作を繰り返すことになる。ロック部材250、260は、傾斜面241Aと傾斜面241Bとの間の山形の頂点に押されている間において、最も大きく押されて(回動して)、吊掛具103のロック係合部136(図11)をロックするようになされている。
【0046】
また、複数のカム236は、それぞれ同様の形状を有しており、板ばね(弾性体)270、280(後述)を係合し、板ばね270、280の弾性力によって、カム部材230の回動動作を補助するようになされている。
【0047】
次に、移動部材190について説明する。上述したカム部材230の筒体231の上端部に形成された摺動面232には、移動部材190が摺動可能に載置される。移動部材190は、この2次元平面でなる摺動面上を任意の方向に摺動することにより、当該摺動面232に沿って2次元方向に移動可能となっている。本実施の形態の場合、支持具102が水平な天井面101(図1)に取り付けられていることにより、この支持具102に設けられるカム部材230の摺動面232も天井面101に略平行となり、これにより、移動部材190は、天井面101に沿って水平方向に摺動する。
【0048】
図18(a)は、移動部材190の上面を示す平面図であり、図18(b)は、図18(a)のB−B線を断面にとって示す断面図である。図18(a)及び(b)に示すように、移動部材190は、略円錐形状の外観形状を有しており、カム部材230の摺動面232に載置される底面部191には、吊掛具103の係合部132の係合先端部135(図11)を挿入するための凹部192が形成されている。円錐形の側面(円錐面)は、カム部材230の摺動面232(すなわち、移動部材190の移動方向)に対して傾斜した傾斜面(第1傾斜面)195を構成している。すなわち、傾斜面195は、底面部191(移動部材190の移動方向)に対して所定角度で傾斜している。
【0049】
底面部191に設けられた凹部192は、吊掛具103の円柱形状の係合先端部135を挿入し得る円柱形状の空間を形成し、その径は、係合先端部135の径よりも僅かに大きく形成されている。これにより、係合先端部135を凹部192に挿入した状態で吊掛具103を、図2において矢印bで示した方向等に斜めに傾動させることができる。そして、吊掛具103を傾動させることにより、移動部材190は、係合先端部135の傾動に応じてロック部材230の摺動面232上を摺動しながら、当該摺動面232に沿って、吊掛具103の傾動操作に応じた方向に移動するようになされている。
【0050】
図19は、移動部材(第2の移動部材)210の上面を示す平面図であり、図20は、図19のC−C線を断面にとって示す断面図であり、図21は、移動部材210の底面を示す底面図である。
【0051】
図19〜図21に示すように、移動部材210は、筒体211と、この筒体211の上端部に形成され、移動部材190を挿通させるための挿通孔212と、筒体211の外周面に形成されたフランジ213と、筒体211の内周面においてその周方向に順次形成された複数のカム(第1カム)214とを有する。
【0052】
挿通孔212の開口端面212Aは、挿通孔212に挿通される移動部材190の傾斜面195と同様角度(本実施の形態の場合45°)でなる傾斜面を構成しており、移動部材190がカム部材230の摺動面232に沿って摺動した際に、移動部材210は、その開口端面212Aが移動部材190の傾斜面195に押されて、移動部材190の移動方向(本実施形態の場合、摺動面232に沿った横方向)に対して直交成分を持つ方向(本実施形態の場合、上方向)に移動するようになされている。
【0053】
ここで、天井面101と筐体170の間には、図22に示す板バネ290が介挿されることにより、当該板バネ290が天井面101に固定されており、板バネ290に設けられたバネ部291が、移動部材210のフランジ235(図15、図16)を下方に付勢するように構成されている。なお、図22(a)は、板バネ290の側面を示す側面図であり、図22(b)は、板バネ290の底面を示す底面図である。これにより、移動部材190の凹部192(図18)に吊掛具103が挿入されていないフリーの状態においては、バネ部291によって移動部材210が下方に押圧されることにより、移動部材190は、カム部材230の摺動面232の略中央に位置するようになされている。この場合、移動部材210がバネ部291によって下方へ押圧されることにより、移動部材210は、カム部材230のフランジ235の上面に当接した状態となる。
【0054】
この状態において、図13に示したように、吊掛具103の係合部132が支持具102の挿入口161から挿入し、さらに吊掛具103を上方に押し付けると、図23に示すように、移動部材190の凹部192に吊掛具103の係合先端部135が挿入される。そして、この状態から吊掛具103を傾動させることにより、図24に示すように、当該吊掛具103は、そのシャフト131の一部が、筐体170の挿入口171に当接し、この当接部分Pを支点として、吊掛具103が傾動する。
【0055】
これにより、吊掛具103の係合先端部135は、吊掛具103の傾動に伴って横方向に傾くことにより、係合先端部135が挿入された移動部材190は、吊掛具103の傾動方向に応じた方向である矢印f方向(横方向)に移動する。
【0056】
移動部材190が横方向に移動すると、当該移動部材190の傾斜面195(図18)によって移動部材210の挿通孔212の開口端面212Aが押されることにより、移動部材210は板バネ290の付勢力に抗して上方へ移動する。
【0057】
移動部材210のカム214は、移動部材210が下方に下がっている状態においては、当該カム214と、カム部材230のカム233とは係合しない状態となっており、移動部材210が上方へ移動することにより、カム214の摺接面214Aとカム233の摺接面233A(図15)とが摺接する。
【0058】
かくして、吊掛具103を傾動させていくと、移動部材210の上昇に伴って、まず、カム214の摺接面214Aとカム233の摺接面233A(図15)とが摺接し、さらに吊掛具103を傾動させて移動部材を上昇させることで、カム214の摺接面214Aとカム233の摺接面233A(図15)との摺接動作によって、カム部材230が回動することになる。因みに、移動部材210には、その外周部において外方へ突出する突出部216が形成されており(図19、図21)、この突出部216が筐体170に係止されることで、回動しないようになされている。これにより、移動部材210は上下方向のみの移動が可能となり、移動部材210の上昇に応じて、カム部材230のみが回動するようになされている。
【0059】
図25〜図27は、カム214及び233の係合状態を示す略線図である。図25(a)及び図26に示すように、移動部材210が板バネ290のバネ部291に押されて下方に位置する状態(図23)においては、カム214及びカム233は係合していない状態となる。この状態において、カム214の摺接面214Aとカム233の摺接面233Aとは、重複範囲L1において上下方向から対向した状態となっている。
【0060】
そして、移動部材210が上昇すると、図25(b)及び図27に示すように、まず、重複範囲L1において、カム214の摺接面214Aとカム233の摺接面233Aとが接触し、この状態からさらに移動部材210が矢印a方向へ上昇することで、カム233(すなわちカム部材230)は、矢印e方向へ回動する。
【0061】
移動部材210の最上昇位置は、図24に示すように、移動部材190の底面部191(図18)の外周部193が、移動部材210の内周面215に当接する位置によって決定される。この移動部材210の最上昇位置においては、移動部材210がそれ以上上昇しないことにより、当該移動部材210のカム214によって回動されるカム233(カム部材230)が最も矢印e方向に回動した状態となる。本実施の形態においては、このカム部材230を、さらに矢印e方向へ回動させる回動動作の補助手段として、板バネ270、280が設けられている(後述)。本実施の形態の場合、カム214、233が筒体211、231の円周方向にそれぞれ8個ずつ等間隔に配列されており、移動部材210の上昇に応じてカム部材230が矢印e方向へ回動することに加えて補助手段によりさらにカム部材230が回動することにより、カム部材230は、1つのカム233についての円周方向の形成角度(22.5°)以上回動可能となっている。
【0062】
すなわち、図15〜図17に示したように、カム部材230のフランジ235の下端面には、筒体231の周方向に山形のカム236が順次形成されており、筐体170には、カム236と係合する板バネ270、280が設けられている。図28は、筐体170を示す断面図であり、図29は、板バネ270、280を示す側面図及び正面図である。なお、板バネ270及び280は同様の構成を有している。
【0063】
図28に示すように、筐体170は、全体が碗型に形成されており、その底部に吊掛具103の係合先端部135を挿入するための挿入口171が形成され、また上部には天井面101にねじ止めするためのねじ孔172が形成されている。また、内周部には、板バネ270(280)を保持するための凹部173が形成されており、この凹部173において板バネ270(280)の屈曲部271(281)を支持する。
【0064】
図29に示すように、板バネ270(280)は、両端を屈曲部271(281)において屈曲した板状部材であり、さらに中央付近に山形の屈曲部273(283)を有している。この山形の屈曲部273(283)の頂点部274(284)は、板バネ270(280)が筐体170に取り付けられた状態において、カム部材230の山形のカム236に接触するようになされている。
【0065】
図30は、筐体170の内部に設けられている各部材を上から見た状態を示す断面図である。図30に示すように、筐体170に設けられた板バネ270、280は、その屈曲部273、283の頂点部274、284がカム部材230のカム236に接触し、外部から力を加えない状態においては、板バネ270、280の弾性力によって、頂点部274、284が隣接する2つのカム236の間の谷部に挿入された状態を保つようになされている。この状態は、図25(a)及び図26に示したように、移動部材210のカム214の摺接面214Aと、カム部材230のカム233の摺接面233Aとが、重複範囲L1で上下方向から対向する状態である。
【0066】
そして、吊掛具103を傾動させることにより、移動部材190を横方向へ移動させ、これに応じて移動部材210が上昇を始めると、図31に示すように、カム部材230は、矢印e方向へ回動を開始する。この回動に伴って、板バネ270、280の屈曲部273(283)は、まず、カム236の一方の傾斜面236Aに当接し、当該傾斜面236Aに押されて板バネ270、280がその弾性力に抗して全体的に撓み始める。なお、筐体170には、板バネ270、280の屈曲部273、283の屈曲形状に合わせた曲面部174が形成されており、板バネ270、280が撓んだ際に、当該板バネ270、280の屈曲部273、283が、筐体170の曲面部174に沿って係合されるようになされている(図31、図32)。これにより、板バネ270、280のずれ等が防止される。
【0067】
そして、図32に示すように、カム236の頂点部236Cが、板バネ270、280の屈曲部273、283の頂点部274、284を乗り越えると、屈曲部273、283の頂点部274、284は、カム236の他方の傾斜面236Bに当接する。この場合、屈曲部273、283の頂点部274、284は、板バネ270、280の弾性力によって、傾斜面236Bを押すことにより、カム236(カム部材230)は、この板バネ270、280による押圧力によって補助されて、さらに矢印e方向への回動を続けることになる。
【0068】
ここで、カム236の頂点部236Cが、板バネ270、280の屈曲部273、283の頂点部274、284を乗り越えるタイミングは、図24及び図25(b)に示したように、移動部材210が最上昇位置まで上昇したタイミング又はそれよりも前のタイミングとなるように構成されている。これにより、移動部材210が最上昇位置まで上昇したときには、カム部材230は、板バネ270、280の弾性力によって回動を続けることになる。そして、図33に示すように、板バネ270、280の頂点部274、284が、隣接する2つのカム236の間の谷部に挿入された状態でカム部材230の回動が停止する。因みに、カム236の頂点部236Cが、板バネ270、280の屈曲部273、283の頂点部274、284を乗り越える際のクリック感と音が、吊掛具103を傾動操作する使用者に伝わることにより、使用者は、後述するロック状態又はロック解除状態となったことを認識できるようになされている。このように使用者にロック状態、ロック解除状態を認識させることにより、使用者に操作の目安を提供することができると共に、使用者が必要な角度以上の傾動操作を行うことを防止することができる。
【0069】
本実施の形態においては、カム214、230は、円周上に各々8個ずつ設けられており、これに応じて、カム236も円周上に8個設けられている。そして、カム236の頂点部236Cは、隣接するカム236の谷部の間の距離の1/2の距離よりも傾斜面236A側に変位した位置に形成されている。これにより、移動部材210が最上昇位置に到達する以前に、カム236の頂点部236Cが、板バネ270、280の屈曲部273、283の頂点部274、284を乗り越えるようになされており、板バネ270、280による補助により、移動部材210が最上昇位置に移動した後も、カム部材230を確実に回動させることができる。また、本実施の形態の場合、隣接するカム236は、円周方向に45°ごとに合計8個設けられている。このカム236の数が少なくなると、カム236の傾斜面236A、236Bがなだらかになることにより、その分、板バネ270、280の弾性力を強くする必要があり、このようにすると、カム部材230を回動させるための力(すなわち、吊掛具103を傾動させるために必要な力)をより必要とすることになるため、操作性が悪くなる。従って、本実施の形態に示したように、8個のカム236を設けることが好ましい。
【0070】
このようにして、板バネ270、280によってカム部材230の回動動作が補助され、図25(a)、図26に示したように、カム214の摺接面214Aとカム233の摺接面233Aとが重複範囲L1において対向した状態となり、次の回動動作への準備が完了する。
【0071】
以上は、カム部材230の回動動作についての説明であるが、次に、ロック部材250、260によるロック動作及びロック解除動作について説明する。
【0072】
移動部材190の凹部192へ挿入された吊掛具103の傾動動作によって、移動部材190が横方向(矢印f方向(図24))へ移動する毎に、ロック部材250、260は、ロック動作及びロック解除動作を順次繰り返すようになされている。このロック動作及びロック解除動作は、カム部材230に設けられたカム241(図30〜図33)に対して、従節であるロック部材250、260が係合することにより、カム部材230の回動動作に応じて繰り返す。
【0073】
すなわち、筐体170(図28)には、その底面部に凹部175、176が設けられており、ロック部材250、260の回動軸251、261は、この凹部175、176に回動可能に軸支されている。これにより、ロック部材250、260は、図30において、それぞれ矢印g、hで示す方向及び反対方向へ回動可能に軸支される。ロック部材250は、所定の弾性部材(コイルバネ等)によって、常に矢印g方向へ回動付勢されており、また、ロック部材260は、所定の弾性部材(コイルバネ等)によって、常に矢印h方向へ回動付勢されている。すなわち、ロック部材250、260の先端部252、262は、常にカム241に係合した状態となっている。
【0074】
そして、図13に示したように、移動部材190がカム部材230の摺動面232の略中央部分に位置し、移動部材210が下方に位置する初期状態においては、図25(a)、図26に示したように、移動部材210のカム214とカム部材230のカム233とが互いに係合せずに対向し、この状態において、図30に示すように、ロック部材250、260は、カム241の肉薄部分(谷部)に当接することにより、矢印g方向、h方向に最も回動した状態となる。この状態は、吊掛具103のロック係合部136は、ロック部材250、260にロックされない状態である。
【0075】
そして、この状態から、吊掛具103を傾動動作させて移動部材190を横方向に移動させると、これに応じて移動部材210が上昇を開始し、これに応じてカム部材230が回動を開始する。この回動に伴って、カム241が矢印e方向へ回動することにより、図31及び図32に示すように、ロック部材250、260の先端部252、262は、それぞれ、カム241のなだらかな傾斜面241Aに沿って当該傾斜面241Aから押されることにより、ロック部材250、260は、矢印gとは反対方向、矢印hとは反対方向へ徐々に回動する。そして、ロック部材250、260の先端部252、262がカム241の山形の頂点部241Cに到達すると、図33に示すように、ロック部材250、260は、矢印g方向とは反対方向、矢印h方向とは反対方向に最も大きく回動した状態となる。この状態においては、ロック部材250、260によって、吊掛具103のロック係合部136がロックされた状態となる。このロック状態において、ロック係合部136は、ロック部材250、260よりも上方に位置することにより、下方に抜け落ちないようになされている。
【0076】
因みに、ロック係合部250、260の先端部252、262がカム241の傾斜面241Aに係合されている状態において、カム部材230の山形のカム236の頂点部236Cが板バネ270、280の頂点部274、284を乗り越えることにより、この状態以降、ロック部材250、260の先端部252、262がカム241の頂点部241Cに達するまで、カム部材230の矢印e方向への回動は、板バネ270、280の弾性力によって補助されることになる。これにより、カム部材230は、ロック部材250、260の先端部252、262がカム241の頂点部241Cに達するまで確実に回動する。
【0077】
このようにして、図30から図33に示したように、カム241の肉薄部分(谷部)から頂点部241Cまで、なだらかな傾斜面241Aをロック部材250、260の先端部252、262が登るように摺動することで、吊掛具103に対するロック動作が行われる。
【0078】
かくして、吊掛具103を支持具102へ挿入し(図13、図23)、吊掛具103を傾動させることにより(図24)、図34に示すように、ロック部材250、260がロック状態となって、吊掛具103が下方へ抜け落ちないように、支持具102に支持される。
【0079】
この状態においては、図35に示すように、吊掛具103はその自重により、係合先端部135が移動部材190の凹部192から下方へ抜け出た状態となり、この状態でロック部材250、260に吊り下げされる。ここで、カム部材230の筒体231の内部には、吊掛具103の係合先端部135が揺動可能な空間が確保されていることにより、吊掛具103は、ロック部材250、260によりロックされて吊り下げられている状態においても、揺動可能となっている。本実施の形態の場合、吊掛具103は、鉛直方向に吊り下げられた状態から、最大20°の角度だけ傾けることが可能となっている。このように、吊掛具103がロック状態において揺動可能となっていることにより、使い勝手が向上すると共に、例えば、傾斜を持ったいわゆる斜め天井に支持具102を取り付けた場合においても、当該支持具102に吊り下げられた吊掛具103を鉛直方向に保つことができる。
【0080】
以上は、吊掛具103を支持具102(ロック部材250、260)によってロックするロック動作について説明したが、次に、ロック解除動作について説明する。
【0081】
図17、図30〜図33に示したように、ロック部材250、260を従節とするカム部材230のカム241は、カム部材230のスカート部238(図16)の内周面において、その周方向に順次形成されており、これにより、カム部材230の回動動作に応じて、ロック部材250、260は同様の動作を繰り返すようになされている。すなわち、カム部材230の回動動作により、ロック部材250、260の先端部252、262の係合位置が、カム241の肉薄部分(谷部)から傾斜面241Aを介して頂点部241Cへ達することで、上述したロック動作が行われ、これに続いて、カム部材230の回動動作に伴って、ロック部材250、260の先端部252、262の係合位置が、カム241の頂点部241Cから急峻な傾斜面241Bを介して肉薄部分(谷部)へ達することで、ロック解除動作が行われる。
【0082】
すなわち、図34及ぶ図35に示したロック状態において、図36に示すように、再度吊掛具103を上方へ押し付けて、当該吊掛具103の係合先端部135を移動部材190の凹部192へ挿入し、吊掛具103を傾動させることにより、図37に示すように、移動部材190が矢印fで示す横方向へ移動する。そして、ロック動作の場合と同様にして、移動部材190の横方向への移動に応じて、移動部材210が上昇し、これに応じて、カム部材230が回動する。図33に示したロック状態にあるロック部材250、260は、カム部材230の回動動作(カム241の矢印e方向への回動動作)によって、カム241に係合するロック部材250、260がそれぞれ矢印g方向、矢印h方向へ回動することにより、当該カム部材250、260は、図30に示したロック解除状態に戻る。このロック解除動作においては、ロック部材250、260の先端部252、262が、カム241の急峻な傾斜面241Bを駆け下りるように摺動することにより、一気に矢印g方向、矢印h方向へ回動する。すなわち、ロック解除動作においては、ロック部材250、260が短時間でロック解除される。
【0083】
なお、このロック解除動作においても、カム部材230の回動動作に応じて、山形のカム236の頂点部236Cが板バネ270、280の頂点部274、284を乗り越える際のクリック感及び音が、吊掛具103を傾動操作する使用者に伝わることにより、ロック解除されたことを当該使用者に認識させることができる。
【0084】
かくして、吊掛具103が支持具102に吊り下げられたロック状態において、吊掛具103を支持具102へ挿入し(図36)、吊掛具103を傾動させることにより(図37)、
ロック部材250、260がロック解除状態となって(図23、図30)、吊掛具103が下方へ脱する状態となる。
【0085】
このように、吊掛装置100においては、回動動作するカム部材230のカム241として、ロック部材をロック動作させる傾斜面241A及びロック解除動作させる傾斜面241Bが順次回動方向に形成されたものを用いることで、ロック動作及びロック解除動作を繰り返すことができある。
【0086】
すなわち、ロック解除状態において、吊掛具103を支持具102へ挿入し、上方に押さえて任意の方向へ傾動操作することにより、支持具102により吊掛具103がロックされ、また、ロック状態において、吊掛具103を上方に押さえて任意の方向へ傾動操作することにより、支持具102による吊掛具103のロックが解除される。
【0087】
また、ロック部材250、260にロック動作及びロック解除動作させるための構成として、カム部材230の上端面である摺動面232において、吊掛具103の傾動動作により移動する移動部材190を設け、この移動部材190が摺動面232上を2次元平面の任意の方向へ摺動可能とし、さらにこの移動部材190として円錐形のものを用いると共に、この円錐方の側面(円錐面)である傾斜面195に当接する移動部材210の挿通孔212を円形の開口形状とすることにより、移動部材190が摺動面232上をどの方向に摺動しても、移動部材210を上昇動作させることができる。これにより、吊掛具103をどの方向へ傾動操作しても、支持具102においてロック動作及びロック解除動作をさせることができる。
【0088】
(他の実施の形態)
(1) 上述の実施の形態においては、移動部材190の底面部191に設けられた凹部192として、図18(b)に示したように、円柱状の空間を形成する場合について述べたが、これに限られるものではなく、例えば、図18との対応部分に同一符号を付して示す図38に示すように、底面部191における開口部が小さく、内部にかけて次第に内径が大きくなる形状としてもよい。
【0089】
(2) 上述の実施の形態においては、円錐形状の移動部材190を用いる場合について述べたが、これに限られるものではなく、例えば、図39に示すように、上面393が底面391よりも小さな断面台形状の立体であって、側面396、397が平行であり、傾斜面395を有する立体である移動部材390を用いるようにしてもよい。この場合、カム部材230の摺動面232上を当該移動部材390がその傾斜面395を有する方向(矢印j方向)に摺動するように構成し、移動部材210の開口端面212A(図20)が傾斜面395に当接するようにすれば、移動部材390の移動方向(矢印j方向)を一定方向に決めることができる。この場合、吊掛具103の傾動方向も限定されることになる。
【0090】
(3) 上述の実施の形態においては、図16に示したように、カム部材230のフランジ235の下側にカム236を設ける場合について述べたが、これに限られるものではなく、例えば、図40に示すように、スカート部238の上部にカム236を設けるようにしてもよく、要は、カム部材230の回動方向に配列すればよい。
【0091】
(4) 上述の実施の形態においては、板バネ270として、中央付近に山形の屈曲部273を形成したものを用いる場合について述べたが、これに限られるものではなく、例えば、図41に示すように、屈曲部273に代えて板状の当接部材278、279を設けるようにしてもよい。この場合、当接部材278、279の円弧状の当接部278A、279Aが、カム部材230のカム236に係合することにより、当該板バネ270、280の弾性力によって、カム部材230の回動動作を補助することができる。
【0092】
(5) 上述の実施の形態においては、図7及び図12に示したように、レーストラック形状又は楕円形状の引掛部133を有する吊掛具103を用いる場合について述べたが、これに限られるものではなく、例えば、図42に示すように、引掛部133の形状として、釣り針形状としてもよく、要は、物干竿やハンガーを引掛けることが可能であれば、種々の形状のものを用いることができる。
【0093】
(6) 上述の実施の形態においては、カム236の頂点部236が板バネ270、280の屈曲部273、283の頂点部274、284を乗り越える際のクリック感や音を、吊掛具103を走査する使用者に認識させる場合について述べたが、これに限られるものではなく、例えば、光センサや磁気センサを用いて、板バネ270、280の頂点部274、284やカム236の頂点部236C等の位置を検出し、この検出結果に基づいて、音や光を発する報知手段を設ける等、ロック及びロック解除を使用者に報知するための種々の手段を適用することができる。このように、クリック感や音によってロック状態やロック解除状態を使用者に報知することにより、使用者に対して操作の目安とすることができると共に、使用者が必要な角度以上の傾動操作を行うことを防止することができる。
【0094】
(7) 上述の実施の形態においては、図13に示したように、底部に挿入口161を有する略半球形状でなる碗形のケース160を用いる場合について述べたが、これに限られるものではなく、例えば、図43及び図44に示すように、吊掛具103を挿入する際のガイドとなるすり鉢形(漏斗形)のガイド部163を、碗形底部の挿入口161の周囲に有する形状としてもよい。すなわち、図43は、他の実施の形態に係る支持具102の断面を示し、図44は、その底面を示す図であり、支持具102は、移動部材(第1の移動部材)190及びロック機構部(移動部材(第2の移動部材)210、カム部材230、ロック部材250、260)を覆うケース160を備え、ケース160の底部には吊掛具103をケース160の外部空間から内部空間に挿入するための挿入口161と、挿入口161の周囲から当該挿入口161にかけて、ケース160の外部空間から内部空間方向に傾斜したガイド部163とが設けられている。
【0095】
ガイド部163は、ケース160の挿入口161の周囲において、挿入口161に向かってすり鉢形(漏斗形)に傾斜していることにより、吊掛具103の係合部132を挿入口161に挿入する場合、係合部132を正確に挿入口161に位置合わせしなくとも、挿入口161よりも大きな径でなるガイド部163のいずれかの箇所に係合部132の先端を当接させることができれば、さらに吊掛具103を上方(矢印a方向)に押し上げることにより、吊掛具103の係合部132は、ガイド部163にガイドされて矢印k方向へ移動し挿入口161へ到達する。
【0096】
挿入口161は、図13の構成と同様にして、筐体170の挿入口171と連通していることにより、カム部材230の筒体231の内部空間は、挿入口161及び171を介して、外部空間と連通している。これにより、吊掛具103を押し上げた際に、ガイド部163によりガイドされてケース161の挿入口161に到達した係合部132は、図43において一点鎖線で示す仮想の軸線Qにほぼ沿うように、挿入口161から筐体170の挿入口171を介してカム部材230の筒体231の内部空間へ挿入されることになる。軸線Qの上方には、移動部材190の凹部192が配置されていることにより、筒体231の内部に挿入された係合部132は、吊掛具103がさらに押し上げられることに応じて、凹部192へ挿入される。
【0097】
このように、ガイド部163は、挿入口161の周囲に形成されていることにより、当該ガイド部163のいずれかの位置に吊掛具103の係合部132を当接することができれば、挿入口161を中心にして、その周囲のいずれの方向からでも吊掛具103の係合部132を挿入口161へ(矢印k方向へ)容易に導くことができる。これにより、吊掛具103を支持具102へ挿入する際に、正確な位置合わせを必要とせず、容易に、吊掛具103の係合部132をケース160及び筐体170の挿入口161及び171へ導くことができる。従って、吊掛具103を支持具102に対して容易に装着することが可能となる。
【0098】
(8) 上述の実施の形態における各構成部品の寸法及び材質は一例を示すものであり、上述した場合に限られず、種々の寸法や材質を適用することができる。
【0099】
(吊掛装置の概要)
本発明の実施の形態における吊掛装置100は、吊掛具103と、当該吊掛具103を支持する支持具102とを有する吊掛装置100であって、支持具102は、吊掛具103を挿脱可能とし、挿入された吊掛具103の傾動動作に応じて移動する第1の移動部材190と、第1の移動部材190の移動動作に応じて、吊掛具103をロックするロック動作及びロック解除するロック解除動作を繰り返すロック機構部(移動部材210、カム部材230、ロック部材250、260)と、を備え、吊掛具103は、第1の移動部材190に挿脱可能な第1の係合部132と、ロック機構部(移動部材210、カム部材230、ロック部材250、260)のロック動作によりロック機構部(移動部材210、カム部材230、ロック部材250、260)にロックされ、ロック解除動作によりロック解除されるロック係合部136とを備えることを特徴とする。
【0100】
この構成によれば、吊掛具103を第1の移動部材190に挿入して傾動させるという簡単な操作によって、当該吊掛具103を支持具102に対して容易に着脱することができる。
【0101】
また、本実施の形態における吊掛装置100は、上記構成において、第1の移動部材190は、吊掛具103の第1の係合部132を挿脱可能とする第2の係合部(凹部192)と、当該第2の係合部(凹部192)に挿入された吊掛具103の傾動動作に応じて移動すると共に、当該移動方向(矢印f方向)に対して傾斜した第1傾斜面195を有し、ロック機構部(移動部材210)は、第1傾斜面195と摺接する第2傾斜面(挿入孔212の開口端面212A)を有し、第1の移動部材190の移動に伴って、第1の移動部材190の移動方向に対して直交成分を有する方向(上昇方向)に移動すると共に、当該直交成分を有する移動方向に対して傾斜した第1摺接カム面(摺接面214A)を有する複数の第1カム214が第1の筒体211の周面においてその周方向に沿って所定間隔で順次形成された第2の移動部材210と、複数の第1カム214の第1摺接カム面(摺接面214A)に摺接される複数の第2カム233が第2の筒体231の周面においてその周方向に沿って所定間隔で順次形成され、第2の移動部材210の移動に伴って第2の筒体231が第2カム233の配列方向に回動すると共に、当該回動方向に沿って複数の第3カム241が順次形成されたカム部材と、第3カム241に係合され、カム部材230の回動に伴って、ロック動作及びロック解除動作を繰り返すロック部材250、260とを備えることを特徴とする。
【0102】
この構成によれば、吊掛具103の傾動動作に応じて第1の移動部材190を移動させると共に、第2の移動部材210、カム部材230及びロック部材250、260により、第1の移動部材190の移動を、ロック部材250、260によるロック動作及びロック解除動作に変換することができる。特に、第1の移動部材190の移動が、第2の移動部材210を介してカム部材230の回動操作に変換されることにより、吊掛具103の傾動により第1の移動部材190を移動させるごとに(すなわち、吊掛具103を傾動させるごとに)、カム部材230が同一方向(矢印e方向)へ回動するようになされており、この構成により、ロック部材250、260によるロック動作及びロック解除動作が繰り返されることになる。これにより、吊掛具103を第1移動部材190に挿入して傾動させるという簡単な操作によって、吊掛具103を支持具102に対して容易に着脱することができる。
【0103】
また、本実施の形態における吊掛装置100は、上記構成において、吊掛具103は、シャフト131と、シャフト131の一方の先端部に設けられた第1の係合部132と、シャフト131の他方の先端部に設けられた引掛部133とを備え、第1の係合部132は、第1移動部材190の凹状の第2の係合部(凹部192)に挿入される係合先端部135と、係合先端部135よりも径の大きなロック係合部136と、ロック係合部136の径よりも小さな径の小径部137とが、シャフト131の一方の先端部から順次形成されていることを特徴とする。
【0104】
この構成によれば、吊掛具103として、シャフト131の先端部から順に、係合先端部132、ロック係合部136及び小径部137が設けられることにより、支持具102に対して着脱自在である吊掛具103を簡単な構成によって実現することができる。
【0105】
また、本実施の形態における吊掛装置100は、上記構成において、引掛部133は、楕円形状又は2つの円弧部を有するレーストラック形状に形成された環状であることを特徴とする。
【0106】
この構成によれば、楕円形状又はレーストラック形状の引掛部133を有することにより、当該引掛部133に物干竿等を容易に通すことができる。これにより、一段と使い勝手の良い吊掛装置100を実現することができる。
【0107】
また、本実施の形態における吊掛装置100は、上記構成において、ロック部材250、260は、吊掛具103の小径部137を挟むことにより、ロック動作し、ロック状態では、ロック係合部136がロック部材250、260に係止されて吊掛具103の下方への抜け落ちが係止されると共に、係合先端部135は、吊掛具103の自重により、第1の移動部材190の凹状の第2の係合部192から下方へ脱し、吊掛具103は、ロック部材250、260によるロック位置を支点として揺動可能に支持されることを特徴とする。
【0108】
この構成によれば、吊掛具103が支持具102にロックされた状態においては、吊掛具103の先端に設けられた係合先端部135が、支持具102の第1移動部材190から脱した状態となることにより、ロックしたままの状態で吊掛具103を揺動可能とすることができる。これにより、物干し作業等における使い勝手を向上することができる。また、例えば、斜め天井に支持具102を取り付けた場合においても、当該支持具102にロックされた吊掛具103を鉛直下方に吊り下げることが可能となる。
【0109】
また、本実施の形態における吊掛装置100は、上記構成において、カム部材230には、第2の筒体231の周面においてその周方向に沿って複数の山形の第4カム236が順次形成され、第4カム236に係合され、カム部材230の回動に応じてカム部材230の回動動作を補助する弾性体(板バネ270、280)を備えることを特徴とする。
【0110】
この構成によれば、カム部材230の回動動作を弾性体(板バネ270、280)によって補助することにより、ロック動作及びロック解除動作を順次円滑に繰り返すことができる。
【符号の説明】
【0111】
100 吊掛装置
102 支持具
103 吊掛具
131 シャフト
132 係合部
135 係合先端部
136 ロック係合部
137 小径部
133 引掛部
160 ケース
161、171 挿入口
163 ガイド部
170 筐体
190、210 移動部材
192 凹部
195 傾斜面
211、233 筒体
214、233、236、241 カム
214A、233A 摺接面
230 カム部材
232 摺動面
250、260 ロック部材
270、280、290 板バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊掛具と、当該吊掛具を支持する支持具とを有する吊掛装置であって、
前記支持具は、
前記吊掛具を挿脱可能とし、挿入された前記吊掛具の傾動動作に応じて移動する第1の移動部材と、
前記第1の移動部材の移動動作に応じて、前記吊掛具をロックするロック動作及びロック解除するロック解除動作を繰り返すロック機構部と、を備え、
前記吊掛具は、
前記第1の移動部材に挿脱可能な第1の係合部と、
前記ロック機構部の前記ロック動作により前記ロック機構部にロックされ、前記ロック解除動作によりロック解除されるロック係合部と
を備えることを特徴とする吊掛装置。
【請求項2】
前記第1の移動部材は、
前記吊掛具の前記第1の係合部を挿脱可能とする第2の係合部と、当該第2の係合部に挿入された前記吊掛具の傾動動作に応じて移動すると共に、当該移動方向に対して傾斜した第1傾斜面を有し、
前記ロック機構部は、
前記第1傾斜面と摺接する第2傾斜面を有し、前記第1の移動部材の移動に伴って、前記第1の移動部材の移動方向に対して直交成分を有する方向に移動すると共に、当該直交成分を有する移動方向に対して傾斜した第1摺接カム面を有する複数の第1カムが第1の筒体の周面においてその周方向に沿って所定間隔で順次形成された第2の移動部材と、
前記複数の第1カムの前記第1摺接カム面に摺接される複数の第2カムが第2の筒体の周面においてその周方向に沿って所定間隔で順次形成され、前記第2の移動部材の移動に伴って前記第2の筒体が前記第2カムの配列方向に回動すると共に、当該回動方向に沿って複数の第3カムが順次形成されたカム部材と、
前記第3カムに係合され、前記カム部材の回動に伴って、ロック動作及びロック解除動作を繰り返すロック部材と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の吊掛装置。
【請求項3】
前記吊掛具は、
シャフトと、
前記シャフトの一方の先端部に設けられた前記第1の係合部と、
前記シャフトの他方の先端部に設けられた引掛部と
を備え、
前記第1の係合部は、
前記第1移動部材の凹状の前記第2の係合部に挿入される係合先端部と、
前記係合先端部よりも径の大きな前記ロック係合部と、
前記ロック係合部の径よりも小さな径の小径部とが、前記シャフトの前記一方の先端部から順次形成されていることを特徴とする請求項2に記載の吊掛装置。
【請求項4】
前記引掛部は、
楕円形状又は2つの円弧部を有するレーストラック形状に形成された環状であることを特徴とする請求項3に記載の吊掛装置。
【請求項5】
前記ロック部材は、前記吊掛具の前記小径部を挟むことにより、前記ロック動作し、
ロック状態では、前記ロック係合部が前記ロック部材に係止されて前記吊掛具の下方への抜け落ちが係止されると共に、前記係合先端部は、前記吊掛具の自重により、前記第1の移動部材の前記凹状の第2の係合部から下方へ脱し、前記吊掛具は、前記ロック部材によるロック位置を支点として揺動可能に支持されることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の吊掛装置。
【請求項6】
前記カム部材には、
前記第2の筒体の周面においてその周方向に沿って複数の山形の第4カムが順次形成され、
前記第4カムに係合され、前記カム部材の回動に応じて前記カム部材の回動動作を補助する弾性体を備えることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の吊掛装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2011−115445(P2011−115445A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276472(P2009−276472)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(509148614)
【Fターム(参考)】