同軸ケーブルおよびその製造方法
【課題】ケーブル端部の絶縁体内に異物が混入することを防止する。
【解決手段】ケーブル中途部1bの外部導体4に選択的に第1のはんだ層7を形成したうえで、第1のはんだ層7が形成されたケーブル中途部1bを切断することで同軸ケーブル1を第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bに分断する。第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bそれぞれのケーブル切断端部における外部導体4と絶縁体5とを除去して中心導体2を露出させる。第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bのケーブル切断端部それぞれで露出する中心導体2に選択的に第2のはんだ層8を形成する。
【解決手段】ケーブル中途部1bの外部導体4に選択的に第1のはんだ層7を形成したうえで、第1のはんだ層7が形成されたケーブル中途部1bを切断することで同軸ケーブル1を第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bに分断する。第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bそれぞれのケーブル切断端部における外部導体4と絶縁体5とを除去して中心導体2を露出させる。第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bのケーブル切断端部それぞれで露出する中心導体2に選択的に第2のはんだ層8を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報機器、通信機器等に用いられる同軸ケーブルとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、同軸ケーブルとして、中心導体と外部導体と、両導体の間に設けられた絶縁体とを備え、さらに絶縁体が、中心導体の外周面を被覆する内側環状体と、外部導体の内周面を被覆する外側環状体と、内側環状体と外側環状体とを放射線状に連結する複数のリブとを備えて構成されたものがある。この同軸ケーブルにおいて絶縁体は電気特性(とくに減衰量)を向上させるために中空になっておりその内部には軸方向に沿った間隙が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−249129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来例においては、以下のような課題がある。すなわち、近年同軸ケーブルをコネクタや接続機器に接続するためには、同軸ケーブルのケーブル端部にはんだ層を形成する端末処理がなされる。この端末処理では、ケーブル端部において外部導体と中心導体とを露出させたうえで、露出させた外部導体の表面と中心導体の表面とにはんだ層が形成される。はんだ層の形成は、例えば、外部/中心導体にフラックスを塗布したうえで、ケーブル端部をはんだ槽に浸漬することにより実施される。細径の同軸ケーブルは、主としてコネクタに接続することなく直接接続機器の回路基板にケーブルをはんだ付け接続されており、そのために、上記端末処理が欠かせない処理となっている。
【0005】
しかしながら、上述した従来の同軸ケーブルの絶縁体には、軸方向に沿った間隙が形成されているため、はんだ層形成時に、絶縁体の間隙にフラックスやはんだが入り込んでしまい、この異物の混入によって、同軸ケーブルの電気特性が劣化する、という課題があった。
【0006】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、ケーブル端部において絶縁体内への異物の混入を防止することが可能な同軸ケーブルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の同軸ケーブル端末処理方法は、
中心導体の径方向外側に空隙を空けて外部導体を配置するとともに、軸方向に沿って間隙を有する絶縁体が前記空隙に設けられた同軸ケーブルのケーブル端末処理方法であって、
ケーブル中途部の前記外部導体に選択的に第1のはんだ層を形成する工程と、
前記第1のはんだ層が形成された前記ケーブル中途部を切断することで当該同軸ケーブルを第1、第2の同軸ケーブルに分断する工程と、
前記第1、第2の同軸ケーブルそれぞれのケーブル切断端部において前記第1のはんだ層が形成された前記外部導体の一部を残して前記ケーブル切断端部側の前記外部導体と前記絶縁体とを除去して前記中心導体を露出させる工程と、
前記第1、第2の同軸ケーブルのケーブル切断端部それぞれで露出する前記中心導体に選択的に第2のはんだ層を形成する工程と、
を含む。
【0008】
本発明によれば、ケーブル内部が開放されていない封止状態のケーブル中途部に第1のはんだ層を形成するため、第1のはんだ層を形成する際に、はんだやフラックスが絶縁体の間隙に侵入することはない。さらには、第1、第2の同軸ケーブルのケーブル切断端部それぞれで露出する中心導体に選択的に第2のはんだ層を形成する工程は、例えば、はんだ槽浸漬処理で行うことができるが、この工程にさらに改良を加えることでケーブル切断端部で露出する中心導体だけを選択的にはんだ槽に浸漬することは容易かつ正確に行える。そのため、第2のはんだ層を形成する際に、はんだやフラックスが絶縁体の間隙に侵入することもない。また、ケーブル中途部の外部導体に選択的に第1のはんだ層を形成する工程では、ケーブル分断後に第1、第2の同軸ケーブルの端部となる分断前の単一の同軸ケーブルのケーブル中途部に、第1のはんだ層を形成するので、一度の工程で2本の同軸ケーブルの外部導体にはんだ層を形成することが可能となり、その工程が簡略化されて製造の手間を省くことができる。なお、上述した第2のはんだ層形成工程の改良の具体例は、本発明の態様として後述する。
【0009】
異物の混入を防止するためには、ケーブル端部において絶縁体の間隙開口を封止することも考えられる。開口封止には、間隙に樹脂を充填して封止する処理や、開口における絶縁体を熱圧着等の手法によって変形させて封止する処理が考えられる。しかしながら、樹脂充填処理は異物混入と同様に同軸ケーブルの電気特性に悪影響を与える可能性がある。また熱圧着等による絶縁体変形処理は、絶縁体に形状変化(特に開口における絶縁体の厚みの変動)や物性変化(熱や圧力を加えることによって生じる)を伴うので、これも同軸ケーブルの電気特性に悪影響を与える可能性がある。なお、第2のはんだ層を形成した後、樹脂充填、もしくは密封変形させた開口部の絶縁体を切除すれば、同軸ケーブルの電気特性の劣化を防ぐことができるが、それでは、別途、絶縁体の切除工程が必要になるうえ、切除する分のケーブルが無駄になる、といった新たな問題が生じる。これに対して、本発明のケーブル端末処理方法では、このような工程の追加や無用なケーブルの切除を行うことなく、絶縁体の間隙に異物が混入することを防止できる。
【0010】
本発明には、
前記第1のはんだ層を形成する工程では、前記ケーブル中途部を屈曲点にして前記同軸ケーブルをU字状に屈曲させたうえで、屈曲させた前記ケーブル中途部をはんだ槽内の溶融はんだに浸漬させることで、ケーブル中途部の前記外部導体に選択的に前記第1のはんだ層を形成する、という態様がある。この態様によれば、第1のはんだ層をさらに容易にかつ精度高く形成することができる。
【0011】
なお、同軸ケーブルには絶縁体を覆う外被をさらに備えたものがあるが、この種の同軸ケーブルの端末を処理する際には、
前記第1のはんだ層を形成する工程の前処理として、
前記ケーブル中途部の前記外被を除去して、外被除去箇所の前記外部導体をケーブル表面に露出させる工程をさらに含めばよく、そうすれば、本発明を容易に実施することができる。
【0012】
本発明には、
前記第2のはんだ層を形成する工程では、形成した前記第2のはんだ層が前記絶縁体から離間して前記第2のはんだ層と前記絶縁体との間で前記中心導体が露出するように、前記第2のはんだ層を形成する、という態様がある。この態様によれば、第2のはんだ層と絶縁体との間で中心導体が露出し、第2のはんだ層が絶縁体から離間するので、絶縁体の間隙に溶融はんだが入り込むことがさらに生じにくくなる。なお、このような状態で第2のはんだ層を形成する具体的な工程としては、前記ケーブル切断端部で露出する前記中心導体を、はんだ槽上方からはんだ槽内の溶融はんだに浸漬させることで前記第2のはんだ層を形成し、かつ、前記中心導体を前記溶融はんだに浸漬させる際には前記絶縁体を溶融はんだ上面から離間させて前記溶融はんだとは非接触状態にする、という工程がある。この工程を実施することで、第2のはんだ層と絶縁体との間で中心導体が露出した状態にすることを、容易にかつ精度高く達成できる。なお、この態様が、前述した本発明におけるはんだ槽浸漬処理の改良に関する態様にあたる。
【0013】
上記態様においては、前記中心導体を前記溶融はんだに浸漬させる際に前記絶縁体を溶融はんだ上面から離間させる距離を調整することで、前記第2のはんだ層と前記絶縁体との間の離間間隔を所望の値に設定するのが好ましい。同軸ケーブルを外部回路基板等に接続する際には、第1、第2のはんだ層を溶融固化させて、外部回路基板等の電極と中心/外部導体とを電気的に接続するのであるが、その接続作業の際に溶融する第2のはんだ層が絶縁体の間隙に入り込む可能性もある。外部回路基板等の電極と中心導体との接続を確実にしたうえで溶融した第2のはんだ層が絶縁体の間隙に入り込まないようにするためには、第2のはんだ層と絶縁体とを離間させたうえで、さらにその離間間隔を微調整する必要がある。中心導体を溶融はんだに浸漬させる際に絶縁体を溶融はんだ上面から離間させる距離を調整する、という本態様の改良を実施すれば、第2のはんだ層と絶縁体との離間間隔を容易に微調整することが可能となる。
【0014】
本発明の同軸ケーブルは、
中心導体と、前記中心導体の外周側に空隙を空けて配置された外部導体と、前記空隙に設けられるとともに内部には軸方向に沿って間隙が形成された絶縁体と、前記絶縁体を覆う外被とを備え、
ケーブル端部の前記外部導体が前記外被から露出しており、
前記間隙は、前記ケーブル端部から異物が未混入状態で維持されており、
前記ケーブル端部の前記中心導体が前記絶縁体から露出しており、
前記外部導体の露出部位には第1のはんだ層が、前記中心導体の露出部位には第2のはんだ層がそれぞれ設けられている。
【0015】
本発明の同軸ケーブルでは、前記外部導体の露出部位と前記中心導体の露出部位とにそれぞれ第1、第2のはんだ層を有するにもかかわらず、ケーブル端部において絶縁体の間隙が異物未混入状態に維持されているので、はんだやフラックス等の異物によって同軸ケーブルの電気特性(とくに絶縁体の比誘電率)が悪化することが防止される。
【0016】
本発明の同軸ケーブルには、前記ケーブル端部の前記絶縁体は未変形であり、かつ間隙開口は開放状態である、という態様がある。間隙への異物の混入を防ぐことを目的としてケーブル端部の絶縁体を変形させて間隙を封止する、または開口へ樹脂を充填すると、これらの形状変形に起因して同軸ケーブルの電気特性が劣化してしまう。しかしながら、この態様では、ケーブル端部の絶縁体を未変形にし、かつ間隙開口を開放状態にしているので、上述した電気特性の劣化は生じない。
【0017】
本発明の同軸ケーブルには、前記第2のはんだ層は前記絶縁体から離間して配置されており、前記第2のはんだ層と前記絶縁体との間の隙間で前記中心導体が露出している、という態様がある。この態様によれば、第2のはんだ層は絶縁体から離間して配置されており、第2のはんだ層と絶縁体との間の隙間で中心導体が露出しているので、絶縁体の間隙にはんだ等の異物がさらに混入しにくくなる。なお、同軸ケーブルを外部回路基板等に接続する際には、第1、第2のはんだ層を溶融固化させて、外部回路基板等の電極と中心/外部導体とを電気的に接続するのであるが、その接続作業の際に溶融する第2のはんだ層が絶縁体の間隙に入り込む可能性がある。外部回路基板等の電極と中心導体との接続を確実にしたうえで溶融した第2のはんだ層が絶縁体の間隙に入り込まないようにするためには、第2のはんだ層と絶縁体との離間させ、さらにその間の隙間が所定の大きさ(長さ寸法)となるように、その離間間隔を微調整する必要がある。その微調整の方法は、本発明の同軸ケーブルの端末処理方法の一態様に記載した改良(中心導体を前記溶融はんだに浸漬させる際に絶縁体を溶融はんだ上面から離間させる)において、溶融はんだ上面から中心導体を離間させる距離を調整することで容易に実施できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ケーブル端部の絶縁体内に異物が混入しないので同軸ケーブルの電気特性が安定する。しかもこのような電気特性の安定した同軸ケーブルを容易に作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の同軸ケーブルの構成を示す斜視図である。
【図2】実施形態の同軸ケーブルの一部切欠正面図である。
【図3】実施形態の同軸ケーブルの製造方法の第1の段階を示す正面図である。
【図4】実施形態の同軸ケーブルの製造方法の第2の段階を示す正面図である。
【図5】実施形態の同軸ケーブルの製造方法の第3の段階を示す正面図である。
【図6】実施形態の同軸ケーブルの製造方法の第4の段階を示す正面図である。
【図7】実施形態の同軸ケーブルの製造方法の第5の段階を示す正面図である。
【図8】実施形態の同軸ケーブルの製造方法の第6の段階を示す正面図である。
【図9】図2のA−A断面図である。
【図10】図3のB−B断面図である。
【図11】図4のC−C断面図である。
【図12】実施形態の同軸ケーブルの製造方法の第2の段階の詳細を示す断面図である。
【図13】実施形態の同軸ケーブルの製造方法の第6の段階の詳細を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の同軸ケーブル1A、1Bの構造の実施の形態を説明する。同軸ケーブル1A、1Bは、図1、図2、図9に示すように、中心導体2と、中心導体2の径方向外側に空隙3を空けて配置された外部導体4と、空隙3に設けられた絶縁体5と、外部導体4を覆う外被6とを備えている。中心導体2は、銅等の導電体の単一線から構成されている。なお、中心導体2は複数の銅等の細線を撚り合わせて構成してもよし、管状導体から構成してもよい。絶縁体5は、全体が樹脂、例えばふっ素樹脂から形成されている。絶縁体5は、中心導体2を被覆する内側絶縁層5Aと、内側絶縁層5Aから放射状に延びるリブ5rと、リブ5rの外端に連結する筒状の外側絶縁層5Cとを有し、周方向に隣り合うリブ5r,5rの間には間隙5sが形成されている。本実施の形態においてリブ3rは8本であって、互いに等角に放射状に配置されているが、6本や5本等の他の本数でもよい。外部導体4は、例えば複数本の銅線4aを撚るもしくは編組してなり、絶縁体5の外周面に沿って配置される。外被6は、外部導体4を覆って配置されており、例えば、ふっ素樹脂等の押出し被覆や、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の塗布による皮膜で形成される。
【0021】
以上のように構成された同軸ケーブル1A、1Bのケーブル端末の構成を説明する。ケーブル端部1Aa、1Baにおいて、外被6は、ケーブル端部1Aa、1Baから長さt1だけ剥がされており、外部導体4は、ケーブル端部1Aa、1Baから長さt2だけ切断されており、絶縁体5はケーブル端部1Aa、1Baから長さt3だけ剥がされている。各長さt1、t2、t3は、t1>t2>t3の大小関係に設定されている。これによりケーブル端部1Aa、1Baにおいて、外部導体4は長さ(t1−t2)にわたって露出し、絶縁体5は長さ(t2−t3)にわたって露出し、中心導体2は長さt3にわたって露出している。以下、各露出部位を、外部導体露出部位4b、絶縁体露出部位5a、中心導体露出部位2aという。
【0022】
外部導体露出部位4bの外周面には第1のはんだ層7が設けられている。中心導体露出部位2aの外周面には第2のはんだ層8が設けられている。第1のはんだ層7は、外部導体露出部位4bの全長を覆って設けられているが、第2のはんだ層8は、中心導体露出部位2aの全長を覆って設けられておらず、第2のはんだ層8と絶縁体5の端部5bとの間には軸方向に沿った隙間9が絶縁体5の全周にわたって形成されている。このようにして形成された隙間9において、中心導体2は露出しており、さらには絶縁体端部5bにおいて絶縁体5の間隙5sは、ケーブル端部から異物が混入していない状態で維持されている。同軸ケーブル1A、1Bでは、絶縁体端部5bにおいてケーブル端部から間隙5sに異物が混入していない状態であるため、異物の混入に起因する電気特性の劣化は生じていない。なお、本発明において、異物とは、同軸ケーブルの電気特性に悪影響を及ぼすものをいい、はんだ等の導電物や第1、第2のはんだ層7、8を形成する際に同軸ケーブル1に塗布されるフラックス等を主たるものとして挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
さらには、絶縁体端部5bにおいて、絶縁体5は未変形状態であり、さらに加えて、間隙5sの開口は開放状態である。間隙5sに異物が混入することを防ぐためには、絶縁体端部5bにおいて絶縁体5を変形させて間隙5sを封止する、または間隙5sの開口へ樹脂を充填することが考えられる。このような絶縁体5の形状変形は、それ自身が同軸ケーブル1A、1Bの電気特性を劣化させる原因となる。しかしながら、同軸ケーブル1A、1Bでは、絶縁体端部(ケーブル端部)5bにおいて絶縁体5を未変形にし、かつ間隙5sの開口を開放状態にしているので、上述した絶縁体変形に起因する電気特性の劣化を生じさせない。
【0024】
次に、本実施形態の同軸ケーブル1A、1Bの製造方法のうちで、本発明の特徴となる同軸ケーブル1A、1Bの端末処理方法を説明する。なお、以下の説明において用いる長さ寸法t1、t2、t3は、前述した同軸ケーブル1A、1Bの構造において用いた長さ寸法t1、t2、t3(t1>t2>t3)と同一である。
【0025】
まず、図3、図10に示すように、分断前の同軸ケーブル1(後の分断処理により分断されて上述した同軸ケーブル1A、1Bとなる)の長手方向の任意の中途の部位(以下、ケーブル中途部1bという)において、所定長さLにわたって外被6を剥がす。ここで所定長さLを、以下のようにして設定する。すなわち、端末処理後の同軸ケーブルのケーブル端部における外被6の剥がし長さをt1とし、後述する切断作業等における作業誤差を吸収する余裕量をαとすると、
L=t1×2+α
となるように所定長さLを設定する。
【0026】
次に、図4、図11に示すように、外被6を剥がしたケーブル中途部1bに選択的に第1のはんだ層7を形成する。第1のはんだ層7は具体的には例えば、次のようにして形成する。すなわち、図12に示すように、溶融はんだ10を湛えたはんだ槽11を用意する。そのうえで、ケーブル中途部1bを屈曲点にして同軸ケーブル1をU字状に屈曲させたうえで、ケーブル中途部1bに露出する外部導体4にフラックス(図示省略)を塗布する。なお、フラックスは屈曲前のケーブル中途部1bに塗布してもよい。さらにフラックス塗布後のケーブル中途部1bを、屈曲状態のままではんだ槽11内の溶融はんだ10に所定時間浸漬させたのち引き上げ、はんだが固化しないうちに同軸ケーブル1の屈曲を解除して直条状態に戻す。これにより、ケーブル中途部1bにおいて外被6から露出している外部導体4に選択的に第1のはんだ層7を形成する。このとき、ケーブル中途部1bでは、外被6は剥がされているものの、絶縁体5は無加工状態であって、絶縁体5の間隙5sは外部に露出していない。そのため、ケーブル中途部1bを屈曲させてはんだ槽11内に浸漬させる処理を行っても、はんだやフラックス等の異物が絶縁体5の間隙5s内に入り込むことはない。
【0027】
次に、図5に示すように、ケーブル中途部1bでケーブルを切断することで、同軸ケーブル1を、同軸ケーブル1A、1Bに分断する。以下、分断後の同軸ケーブル1A、1Bをそれぞれ第1の同軸ケーブル1A、第2の同軸ケーブル1Bと称する。ケーブル分断時においてケーブル切断箇所を、ケーブル中途部1bの長さ方向中央位置に設定する。これにより、第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bそれぞれのケーブル端1Aa、1Baにおいて露出する第1のはんだ槽7の長さ寸法は、L/2≒t1になる。
【0028】
次に、図6に示すように、第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bのケーブル端1Aa、1Baにおいて、外部導体4と第1のはんだ層7とを長さt2にわたって切除する。具体的には、外部導体4と第1のはんだ槽7とをケーブル端面からケーブル長さ方向内側に向けて上記長さt2だけ切除する。これにより、ケーブル端1Aa、1Baにおいて絶縁体5は長さt2にわたって露出し、第1のはんだ層7を有する外部導体4は、長さ(t1−t2)にわたって露出する。
【0029】
次に、図7に示すように、第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bのケーブル端1Aa、1Baにおいて、絶縁体5を長さt3にわたって切除する。具体的に絶縁体5をケーブル端面からケーブル長さ方向内側に向けて上記長さt3だけ切除する。これにより、ケーブル端1Aa、1Baにおいて中心導体2は長さt3にわたって露出し、絶縁体5は、長さ(t2−t3)にわたって露出し、第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bそれぞれのケーブル切断端部において第1のはんだ層7が形成された外部導体4の一部を残してケーブル切断端部側の外部導体4と絶縁体5とが除去されて中心導体2が露出する。
【0030】
次に、図8に示すように、第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bのケーブル端1Aa、1Baにおいて露出している中心導体2に第2のはんだ層8を形成する。第2のはんだ層8は、長さt4にわたって形成する。ここで、第2のはんだ層8は、第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bのケーブル端面からケーブル長さ方向内側に向けて上記長さt4だけ形成する。ここで、長さt4を長さt3より短く設定する(t3>t4)。これにより、第2のはんだ層8と絶縁体5との間には、長さ寸法(t3−t4)を有する隙間9が、中心導体2の全周にわたって形成され、この隙間9において中心導体2が露出する。このように、同軸ケーブル1は、隙間9を設けて絶縁体5の端面から第2のはんだ層8を離間させているので、第2のはんだ層8を構成するはんだが絶縁体5端面の間隙開口から間隙5s内に侵入しにくくなっている。
【0031】
次に、上記構成を有する第2のはんだ層8の具体的な形成方法を説明する。図13に示すように、ケーブル端部1Aa、1Baで露出する第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bの中心導体2の端部に選択的にフラックスを塗布したうえで、フラックスを塗布した中心導体2の端部を、はんだ槽11内の溶融はんだ10に所定時間浸漬させたのち引き上げることで第2のはんだ層8を形成する。このとき、中心導体2の端部を、はんだ槽11の上方からはんだ液面の垂線方向に沿って槽内に引き入れたうえで引き上げる。さらにその際、槽内に中心導体2を引き入れるものの、絶縁体5は溶融はんだ10の上面から離間させて溶融はんだ10に接触させない。これにより、第2のはんだ層8を絶縁体5から離間させて第2のはんだ層8と絶縁体5との間に隙間9を形成する。
【0032】
さらには、中心導体2を溶融はんだ10に浸漬させる際において、絶縁体5を溶融はんだ10上面から離間させる距離を調整することで、第2のはんだ層8と絶縁体5との間の離間間隔、すなわち、隙間9の長さ寸法(t4−t3)を所望の値に設定する。
【0033】
このような工程を実施することで、第2のはんだ層8を形成する際において絶縁体5は、溶融はんだ10に接することがなくなり、絶縁体5と第2のはんだ層8との間に隙間9が形成され、絶縁体5の端面から第2のはんだ層8が離間するようになる。これにより、第2のはんだ層8を構成するはんだが絶縁体5の間隙開口から間隙5s内に侵入しない。
【0034】
さらには、中心導体2を溶融はんだ10に浸漬させる際に絶縁体5を溶融はんだ10上面から離間させる距離を調整することで、第2のはんだ層8と絶縁体5との間の離間間隔(隙間9の長さ寸法)を所望の値に設定する。これにより、次のような効果を有する構成を実現できる。すなわち、第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bを図示しない外部回路基板等に接続する際には、第1、第2のはんだ層7、8を溶融固化させて、外部回路基板等の電極と中心/外部導体2、と4を電気的に接続する。その接続作業の際に溶融する第2のはんだ層8が絶縁体5の間隙5sに入り込む可能性がある。外部回路基板等の電極と中心導体2との接続を確実にしたうえで溶融した第2のはんだ層8が絶縁体5の間隙5sに入り込まないようにするためには、第2のはんだ層8と絶縁体5とを十分に離間させたうえで、さらにその離間間隔を微調整する必要がある。上述した実施の形態の製造方法では、中心導体2を溶融はんだ10に浸漬させる際に絶縁体5を溶融はんだ10上面から離間させる距離を調整することができるので、第2のはんだ層8と絶縁体5との離間間隔(隙間9の長さ寸法)を容易に微調整することが可能となる。
【符号の説明】
【0035】
1 分断前の同軸ケーブル
1A 第1の同軸ケーブル
1Aa ケーブル端部
1B 第2の同軸ケーブル
1Ba ケーブル端部
1b ケーブル中途部
2 中心導体
2a 中心導体露出部位
3 空隙
4 外部導体
4a 銅線
4b 外部導体露出部位
5 絶縁体
5a 絶縁体露出部位
5b 絶縁体端部
5A 内側絶縁層
5r リブ
5C 外側絶縁層
5s 間隙
6 外被
7 第1のはんだ層
8 第2のはんだ層
9 隙間
10 溶融はんだ
11 はんだ槽
t1、t2、t3 長さ
L 所定長さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報機器、通信機器等に用いられる同軸ケーブルとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、同軸ケーブルとして、中心導体と外部導体と、両導体の間に設けられた絶縁体とを備え、さらに絶縁体が、中心導体の外周面を被覆する内側環状体と、外部導体の内周面を被覆する外側環状体と、内側環状体と外側環状体とを放射線状に連結する複数のリブとを備えて構成されたものがある。この同軸ケーブルにおいて絶縁体は電気特性(とくに減衰量)を向上させるために中空になっておりその内部には軸方向に沿った間隙が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−249129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来例においては、以下のような課題がある。すなわち、近年同軸ケーブルをコネクタや接続機器に接続するためには、同軸ケーブルのケーブル端部にはんだ層を形成する端末処理がなされる。この端末処理では、ケーブル端部において外部導体と中心導体とを露出させたうえで、露出させた外部導体の表面と中心導体の表面とにはんだ層が形成される。はんだ層の形成は、例えば、外部/中心導体にフラックスを塗布したうえで、ケーブル端部をはんだ槽に浸漬することにより実施される。細径の同軸ケーブルは、主としてコネクタに接続することなく直接接続機器の回路基板にケーブルをはんだ付け接続されており、そのために、上記端末処理が欠かせない処理となっている。
【0005】
しかしながら、上述した従来の同軸ケーブルの絶縁体には、軸方向に沿った間隙が形成されているため、はんだ層形成時に、絶縁体の間隙にフラックスやはんだが入り込んでしまい、この異物の混入によって、同軸ケーブルの電気特性が劣化する、という課題があった。
【0006】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、ケーブル端部において絶縁体内への異物の混入を防止することが可能な同軸ケーブルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の同軸ケーブル端末処理方法は、
中心導体の径方向外側に空隙を空けて外部導体を配置するとともに、軸方向に沿って間隙を有する絶縁体が前記空隙に設けられた同軸ケーブルのケーブル端末処理方法であって、
ケーブル中途部の前記外部導体に選択的に第1のはんだ層を形成する工程と、
前記第1のはんだ層が形成された前記ケーブル中途部を切断することで当該同軸ケーブルを第1、第2の同軸ケーブルに分断する工程と、
前記第1、第2の同軸ケーブルそれぞれのケーブル切断端部において前記第1のはんだ層が形成された前記外部導体の一部を残して前記ケーブル切断端部側の前記外部導体と前記絶縁体とを除去して前記中心導体を露出させる工程と、
前記第1、第2の同軸ケーブルのケーブル切断端部それぞれで露出する前記中心導体に選択的に第2のはんだ層を形成する工程と、
を含む。
【0008】
本発明によれば、ケーブル内部が開放されていない封止状態のケーブル中途部に第1のはんだ層を形成するため、第1のはんだ層を形成する際に、はんだやフラックスが絶縁体の間隙に侵入することはない。さらには、第1、第2の同軸ケーブルのケーブル切断端部それぞれで露出する中心導体に選択的に第2のはんだ層を形成する工程は、例えば、はんだ槽浸漬処理で行うことができるが、この工程にさらに改良を加えることでケーブル切断端部で露出する中心導体だけを選択的にはんだ槽に浸漬することは容易かつ正確に行える。そのため、第2のはんだ層を形成する際に、はんだやフラックスが絶縁体の間隙に侵入することもない。また、ケーブル中途部の外部導体に選択的に第1のはんだ層を形成する工程では、ケーブル分断後に第1、第2の同軸ケーブルの端部となる分断前の単一の同軸ケーブルのケーブル中途部に、第1のはんだ層を形成するので、一度の工程で2本の同軸ケーブルの外部導体にはんだ層を形成することが可能となり、その工程が簡略化されて製造の手間を省くことができる。なお、上述した第2のはんだ層形成工程の改良の具体例は、本発明の態様として後述する。
【0009】
異物の混入を防止するためには、ケーブル端部において絶縁体の間隙開口を封止することも考えられる。開口封止には、間隙に樹脂を充填して封止する処理や、開口における絶縁体を熱圧着等の手法によって変形させて封止する処理が考えられる。しかしながら、樹脂充填処理は異物混入と同様に同軸ケーブルの電気特性に悪影響を与える可能性がある。また熱圧着等による絶縁体変形処理は、絶縁体に形状変化(特に開口における絶縁体の厚みの変動)や物性変化(熱や圧力を加えることによって生じる)を伴うので、これも同軸ケーブルの電気特性に悪影響を与える可能性がある。なお、第2のはんだ層を形成した後、樹脂充填、もしくは密封変形させた開口部の絶縁体を切除すれば、同軸ケーブルの電気特性の劣化を防ぐことができるが、それでは、別途、絶縁体の切除工程が必要になるうえ、切除する分のケーブルが無駄になる、といった新たな問題が生じる。これに対して、本発明のケーブル端末処理方法では、このような工程の追加や無用なケーブルの切除を行うことなく、絶縁体の間隙に異物が混入することを防止できる。
【0010】
本発明には、
前記第1のはんだ層を形成する工程では、前記ケーブル中途部を屈曲点にして前記同軸ケーブルをU字状に屈曲させたうえで、屈曲させた前記ケーブル中途部をはんだ槽内の溶融はんだに浸漬させることで、ケーブル中途部の前記外部導体に選択的に前記第1のはんだ層を形成する、という態様がある。この態様によれば、第1のはんだ層をさらに容易にかつ精度高く形成することができる。
【0011】
なお、同軸ケーブルには絶縁体を覆う外被をさらに備えたものがあるが、この種の同軸ケーブルの端末を処理する際には、
前記第1のはんだ層を形成する工程の前処理として、
前記ケーブル中途部の前記外被を除去して、外被除去箇所の前記外部導体をケーブル表面に露出させる工程をさらに含めばよく、そうすれば、本発明を容易に実施することができる。
【0012】
本発明には、
前記第2のはんだ層を形成する工程では、形成した前記第2のはんだ層が前記絶縁体から離間して前記第2のはんだ層と前記絶縁体との間で前記中心導体が露出するように、前記第2のはんだ層を形成する、という態様がある。この態様によれば、第2のはんだ層と絶縁体との間で中心導体が露出し、第2のはんだ層が絶縁体から離間するので、絶縁体の間隙に溶融はんだが入り込むことがさらに生じにくくなる。なお、このような状態で第2のはんだ層を形成する具体的な工程としては、前記ケーブル切断端部で露出する前記中心導体を、はんだ槽上方からはんだ槽内の溶融はんだに浸漬させることで前記第2のはんだ層を形成し、かつ、前記中心導体を前記溶融はんだに浸漬させる際には前記絶縁体を溶融はんだ上面から離間させて前記溶融はんだとは非接触状態にする、という工程がある。この工程を実施することで、第2のはんだ層と絶縁体との間で中心導体が露出した状態にすることを、容易にかつ精度高く達成できる。なお、この態様が、前述した本発明におけるはんだ槽浸漬処理の改良に関する態様にあたる。
【0013】
上記態様においては、前記中心導体を前記溶融はんだに浸漬させる際に前記絶縁体を溶融はんだ上面から離間させる距離を調整することで、前記第2のはんだ層と前記絶縁体との間の離間間隔を所望の値に設定するのが好ましい。同軸ケーブルを外部回路基板等に接続する際には、第1、第2のはんだ層を溶融固化させて、外部回路基板等の電極と中心/外部導体とを電気的に接続するのであるが、その接続作業の際に溶融する第2のはんだ層が絶縁体の間隙に入り込む可能性もある。外部回路基板等の電極と中心導体との接続を確実にしたうえで溶融した第2のはんだ層が絶縁体の間隙に入り込まないようにするためには、第2のはんだ層と絶縁体とを離間させたうえで、さらにその離間間隔を微調整する必要がある。中心導体を溶融はんだに浸漬させる際に絶縁体を溶融はんだ上面から離間させる距離を調整する、という本態様の改良を実施すれば、第2のはんだ層と絶縁体との離間間隔を容易に微調整することが可能となる。
【0014】
本発明の同軸ケーブルは、
中心導体と、前記中心導体の外周側に空隙を空けて配置された外部導体と、前記空隙に設けられるとともに内部には軸方向に沿って間隙が形成された絶縁体と、前記絶縁体を覆う外被とを備え、
ケーブル端部の前記外部導体が前記外被から露出しており、
前記間隙は、前記ケーブル端部から異物が未混入状態で維持されており、
前記ケーブル端部の前記中心導体が前記絶縁体から露出しており、
前記外部導体の露出部位には第1のはんだ層が、前記中心導体の露出部位には第2のはんだ層がそれぞれ設けられている。
【0015】
本発明の同軸ケーブルでは、前記外部導体の露出部位と前記中心導体の露出部位とにそれぞれ第1、第2のはんだ層を有するにもかかわらず、ケーブル端部において絶縁体の間隙が異物未混入状態に維持されているので、はんだやフラックス等の異物によって同軸ケーブルの電気特性(とくに絶縁体の比誘電率)が悪化することが防止される。
【0016】
本発明の同軸ケーブルには、前記ケーブル端部の前記絶縁体は未変形であり、かつ間隙開口は開放状態である、という態様がある。間隙への異物の混入を防ぐことを目的としてケーブル端部の絶縁体を変形させて間隙を封止する、または開口へ樹脂を充填すると、これらの形状変形に起因して同軸ケーブルの電気特性が劣化してしまう。しかしながら、この態様では、ケーブル端部の絶縁体を未変形にし、かつ間隙開口を開放状態にしているので、上述した電気特性の劣化は生じない。
【0017】
本発明の同軸ケーブルには、前記第2のはんだ層は前記絶縁体から離間して配置されており、前記第2のはんだ層と前記絶縁体との間の隙間で前記中心導体が露出している、という態様がある。この態様によれば、第2のはんだ層は絶縁体から離間して配置されており、第2のはんだ層と絶縁体との間の隙間で中心導体が露出しているので、絶縁体の間隙にはんだ等の異物がさらに混入しにくくなる。なお、同軸ケーブルを外部回路基板等に接続する際には、第1、第2のはんだ層を溶融固化させて、外部回路基板等の電極と中心/外部導体とを電気的に接続するのであるが、その接続作業の際に溶融する第2のはんだ層が絶縁体の間隙に入り込む可能性がある。外部回路基板等の電極と中心導体との接続を確実にしたうえで溶融した第2のはんだ層が絶縁体の間隙に入り込まないようにするためには、第2のはんだ層と絶縁体との離間させ、さらにその間の隙間が所定の大きさ(長さ寸法)となるように、その離間間隔を微調整する必要がある。その微調整の方法は、本発明の同軸ケーブルの端末処理方法の一態様に記載した改良(中心導体を前記溶融はんだに浸漬させる際に絶縁体を溶融はんだ上面から離間させる)において、溶融はんだ上面から中心導体を離間させる距離を調整することで容易に実施できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ケーブル端部の絶縁体内に異物が混入しないので同軸ケーブルの電気特性が安定する。しかもこのような電気特性の安定した同軸ケーブルを容易に作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の同軸ケーブルの構成を示す斜視図である。
【図2】実施形態の同軸ケーブルの一部切欠正面図である。
【図3】実施形態の同軸ケーブルの製造方法の第1の段階を示す正面図である。
【図4】実施形態の同軸ケーブルの製造方法の第2の段階を示す正面図である。
【図5】実施形態の同軸ケーブルの製造方法の第3の段階を示す正面図である。
【図6】実施形態の同軸ケーブルの製造方法の第4の段階を示す正面図である。
【図7】実施形態の同軸ケーブルの製造方法の第5の段階を示す正面図である。
【図8】実施形態の同軸ケーブルの製造方法の第6の段階を示す正面図である。
【図9】図2のA−A断面図である。
【図10】図3のB−B断面図である。
【図11】図4のC−C断面図である。
【図12】実施形態の同軸ケーブルの製造方法の第2の段階の詳細を示す断面図である。
【図13】実施形態の同軸ケーブルの製造方法の第6の段階の詳細を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の同軸ケーブル1A、1Bの構造の実施の形態を説明する。同軸ケーブル1A、1Bは、図1、図2、図9に示すように、中心導体2と、中心導体2の径方向外側に空隙3を空けて配置された外部導体4と、空隙3に設けられた絶縁体5と、外部導体4を覆う外被6とを備えている。中心導体2は、銅等の導電体の単一線から構成されている。なお、中心導体2は複数の銅等の細線を撚り合わせて構成してもよし、管状導体から構成してもよい。絶縁体5は、全体が樹脂、例えばふっ素樹脂から形成されている。絶縁体5は、中心導体2を被覆する内側絶縁層5Aと、内側絶縁層5Aから放射状に延びるリブ5rと、リブ5rの外端に連結する筒状の外側絶縁層5Cとを有し、周方向に隣り合うリブ5r,5rの間には間隙5sが形成されている。本実施の形態においてリブ3rは8本であって、互いに等角に放射状に配置されているが、6本や5本等の他の本数でもよい。外部導体4は、例えば複数本の銅線4aを撚るもしくは編組してなり、絶縁体5の外周面に沿って配置される。外被6は、外部導体4を覆って配置されており、例えば、ふっ素樹脂等の押出し被覆や、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の塗布による皮膜で形成される。
【0021】
以上のように構成された同軸ケーブル1A、1Bのケーブル端末の構成を説明する。ケーブル端部1Aa、1Baにおいて、外被6は、ケーブル端部1Aa、1Baから長さt1だけ剥がされており、外部導体4は、ケーブル端部1Aa、1Baから長さt2だけ切断されており、絶縁体5はケーブル端部1Aa、1Baから長さt3だけ剥がされている。各長さt1、t2、t3は、t1>t2>t3の大小関係に設定されている。これによりケーブル端部1Aa、1Baにおいて、外部導体4は長さ(t1−t2)にわたって露出し、絶縁体5は長さ(t2−t3)にわたって露出し、中心導体2は長さt3にわたって露出している。以下、各露出部位を、外部導体露出部位4b、絶縁体露出部位5a、中心導体露出部位2aという。
【0022】
外部導体露出部位4bの外周面には第1のはんだ層7が設けられている。中心導体露出部位2aの外周面には第2のはんだ層8が設けられている。第1のはんだ層7は、外部導体露出部位4bの全長を覆って設けられているが、第2のはんだ層8は、中心導体露出部位2aの全長を覆って設けられておらず、第2のはんだ層8と絶縁体5の端部5bとの間には軸方向に沿った隙間9が絶縁体5の全周にわたって形成されている。このようにして形成された隙間9において、中心導体2は露出しており、さらには絶縁体端部5bにおいて絶縁体5の間隙5sは、ケーブル端部から異物が混入していない状態で維持されている。同軸ケーブル1A、1Bでは、絶縁体端部5bにおいてケーブル端部から間隙5sに異物が混入していない状態であるため、異物の混入に起因する電気特性の劣化は生じていない。なお、本発明において、異物とは、同軸ケーブルの電気特性に悪影響を及ぼすものをいい、はんだ等の導電物や第1、第2のはんだ層7、8を形成する際に同軸ケーブル1に塗布されるフラックス等を主たるものとして挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
さらには、絶縁体端部5bにおいて、絶縁体5は未変形状態であり、さらに加えて、間隙5sの開口は開放状態である。間隙5sに異物が混入することを防ぐためには、絶縁体端部5bにおいて絶縁体5を変形させて間隙5sを封止する、または間隙5sの開口へ樹脂を充填することが考えられる。このような絶縁体5の形状変形は、それ自身が同軸ケーブル1A、1Bの電気特性を劣化させる原因となる。しかしながら、同軸ケーブル1A、1Bでは、絶縁体端部(ケーブル端部)5bにおいて絶縁体5を未変形にし、かつ間隙5sの開口を開放状態にしているので、上述した絶縁体変形に起因する電気特性の劣化を生じさせない。
【0024】
次に、本実施形態の同軸ケーブル1A、1Bの製造方法のうちで、本発明の特徴となる同軸ケーブル1A、1Bの端末処理方法を説明する。なお、以下の説明において用いる長さ寸法t1、t2、t3は、前述した同軸ケーブル1A、1Bの構造において用いた長さ寸法t1、t2、t3(t1>t2>t3)と同一である。
【0025】
まず、図3、図10に示すように、分断前の同軸ケーブル1(後の分断処理により分断されて上述した同軸ケーブル1A、1Bとなる)の長手方向の任意の中途の部位(以下、ケーブル中途部1bという)において、所定長さLにわたって外被6を剥がす。ここで所定長さLを、以下のようにして設定する。すなわち、端末処理後の同軸ケーブルのケーブル端部における外被6の剥がし長さをt1とし、後述する切断作業等における作業誤差を吸収する余裕量をαとすると、
L=t1×2+α
となるように所定長さLを設定する。
【0026】
次に、図4、図11に示すように、外被6を剥がしたケーブル中途部1bに選択的に第1のはんだ層7を形成する。第1のはんだ層7は具体的には例えば、次のようにして形成する。すなわち、図12に示すように、溶融はんだ10を湛えたはんだ槽11を用意する。そのうえで、ケーブル中途部1bを屈曲点にして同軸ケーブル1をU字状に屈曲させたうえで、ケーブル中途部1bに露出する外部導体4にフラックス(図示省略)を塗布する。なお、フラックスは屈曲前のケーブル中途部1bに塗布してもよい。さらにフラックス塗布後のケーブル中途部1bを、屈曲状態のままではんだ槽11内の溶融はんだ10に所定時間浸漬させたのち引き上げ、はんだが固化しないうちに同軸ケーブル1の屈曲を解除して直条状態に戻す。これにより、ケーブル中途部1bにおいて外被6から露出している外部導体4に選択的に第1のはんだ層7を形成する。このとき、ケーブル中途部1bでは、外被6は剥がされているものの、絶縁体5は無加工状態であって、絶縁体5の間隙5sは外部に露出していない。そのため、ケーブル中途部1bを屈曲させてはんだ槽11内に浸漬させる処理を行っても、はんだやフラックス等の異物が絶縁体5の間隙5s内に入り込むことはない。
【0027】
次に、図5に示すように、ケーブル中途部1bでケーブルを切断することで、同軸ケーブル1を、同軸ケーブル1A、1Bに分断する。以下、分断後の同軸ケーブル1A、1Bをそれぞれ第1の同軸ケーブル1A、第2の同軸ケーブル1Bと称する。ケーブル分断時においてケーブル切断箇所を、ケーブル中途部1bの長さ方向中央位置に設定する。これにより、第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bそれぞれのケーブル端1Aa、1Baにおいて露出する第1のはんだ槽7の長さ寸法は、L/2≒t1になる。
【0028】
次に、図6に示すように、第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bのケーブル端1Aa、1Baにおいて、外部導体4と第1のはんだ層7とを長さt2にわたって切除する。具体的には、外部導体4と第1のはんだ槽7とをケーブル端面からケーブル長さ方向内側に向けて上記長さt2だけ切除する。これにより、ケーブル端1Aa、1Baにおいて絶縁体5は長さt2にわたって露出し、第1のはんだ層7を有する外部導体4は、長さ(t1−t2)にわたって露出する。
【0029】
次に、図7に示すように、第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bのケーブル端1Aa、1Baにおいて、絶縁体5を長さt3にわたって切除する。具体的に絶縁体5をケーブル端面からケーブル長さ方向内側に向けて上記長さt3だけ切除する。これにより、ケーブル端1Aa、1Baにおいて中心導体2は長さt3にわたって露出し、絶縁体5は、長さ(t2−t3)にわたって露出し、第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bそれぞれのケーブル切断端部において第1のはんだ層7が形成された外部導体4の一部を残してケーブル切断端部側の外部導体4と絶縁体5とが除去されて中心導体2が露出する。
【0030】
次に、図8に示すように、第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bのケーブル端1Aa、1Baにおいて露出している中心導体2に第2のはんだ層8を形成する。第2のはんだ層8は、長さt4にわたって形成する。ここで、第2のはんだ層8は、第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bのケーブル端面からケーブル長さ方向内側に向けて上記長さt4だけ形成する。ここで、長さt4を長さt3より短く設定する(t3>t4)。これにより、第2のはんだ層8と絶縁体5との間には、長さ寸法(t3−t4)を有する隙間9が、中心導体2の全周にわたって形成され、この隙間9において中心導体2が露出する。このように、同軸ケーブル1は、隙間9を設けて絶縁体5の端面から第2のはんだ層8を離間させているので、第2のはんだ層8を構成するはんだが絶縁体5端面の間隙開口から間隙5s内に侵入しにくくなっている。
【0031】
次に、上記構成を有する第2のはんだ層8の具体的な形成方法を説明する。図13に示すように、ケーブル端部1Aa、1Baで露出する第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bの中心導体2の端部に選択的にフラックスを塗布したうえで、フラックスを塗布した中心導体2の端部を、はんだ槽11内の溶融はんだ10に所定時間浸漬させたのち引き上げることで第2のはんだ層8を形成する。このとき、中心導体2の端部を、はんだ槽11の上方からはんだ液面の垂線方向に沿って槽内に引き入れたうえで引き上げる。さらにその際、槽内に中心導体2を引き入れるものの、絶縁体5は溶融はんだ10の上面から離間させて溶融はんだ10に接触させない。これにより、第2のはんだ層8を絶縁体5から離間させて第2のはんだ層8と絶縁体5との間に隙間9を形成する。
【0032】
さらには、中心導体2を溶融はんだ10に浸漬させる際において、絶縁体5を溶融はんだ10上面から離間させる距離を調整することで、第2のはんだ層8と絶縁体5との間の離間間隔、すなわち、隙間9の長さ寸法(t4−t3)を所望の値に設定する。
【0033】
このような工程を実施することで、第2のはんだ層8を形成する際において絶縁体5は、溶融はんだ10に接することがなくなり、絶縁体5と第2のはんだ層8との間に隙間9が形成され、絶縁体5の端面から第2のはんだ層8が離間するようになる。これにより、第2のはんだ層8を構成するはんだが絶縁体5の間隙開口から間隙5s内に侵入しない。
【0034】
さらには、中心導体2を溶融はんだ10に浸漬させる際に絶縁体5を溶融はんだ10上面から離間させる距離を調整することで、第2のはんだ層8と絶縁体5との間の離間間隔(隙間9の長さ寸法)を所望の値に設定する。これにより、次のような効果を有する構成を実現できる。すなわち、第1、第2の同軸ケーブル1A、1Bを図示しない外部回路基板等に接続する際には、第1、第2のはんだ層7、8を溶融固化させて、外部回路基板等の電極と中心/外部導体2、と4を電気的に接続する。その接続作業の際に溶融する第2のはんだ層8が絶縁体5の間隙5sに入り込む可能性がある。外部回路基板等の電極と中心導体2との接続を確実にしたうえで溶融した第2のはんだ層8が絶縁体5の間隙5sに入り込まないようにするためには、第2のはんだ層8と絶縁体5とを十分に離間させたうえで、さらにその離間間隔を微調整する必要がある。上述した実施の形態の製造方法では、中心導体2を溶融はんだ10に浸漬させる際に絶縁体5を溶融はんだ10上面から離間させる距離を調整することができるので、第2のはんだ層8と絶縁体5との離間間隔(隙間9の長さ寸法)を容易に微調整することが可能となる。
【符号の説明】
【0035】
1 分断前の同軸ケーブル
1A 第1の同軸ケーブル
1Aa ケーブル端部
1B 第2の同軸ケーブル
1Ba ケーブル端部
1b ケーブル中途部
2 中心導体
2a 中心導体露出部位
3 空隙
4 外部導体
4a 銅線
4b 外部導体露出部位
5 絶縁体
5a 絶縁体露出部位
5b 絶縁体端部
5A 内側絶縁層
5r リブ
5C 外側絶縁層
5s 間隙
6 外被
7 第1のはんだ層
8 第2のはんだ層
9 隙間
10 溶融はんだ
11 はんだ槽
t1、t2、t3 長さ
L 所定長さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心導体の径方向外側に空隙を空けて外部導体を配置するとともに、軸方向に沿って間隙を有する絶縁体が前記空隙に設けられた同軸ケーブルのケーブル端末処理方法であって、
ケーブル中途部の前記外部導体に選択的に第1のはんだ層を形成する工程と、
前記第1のはんだ層が形成された前記ケーブル中途部を切断することで当該同軸ケーブルを第1、第2の同軸ケーブルに分断する工程と、
前記第1、第2の同軸ケーブルそれぞれのケーブル切断端部において前記第1のはんだ層が形成された前記外部導体の一部を残して前記ケーブル切断端部側の前記外部導体と前記絶縁体とを除去して前記中心導体を露出させる工程と、
前記第1、第2の同軸ケーブルのケーブル切断端部それぞれで露出する前記中心導体に選択的に第2のはんだ層を形成する工程と、
を含む、
ことを特徴とするケーブル端末処理方法。
【請求項2】
前記第1のはんだ層を形成する工程では、前記ケーブル中途部を屈曲点にして前記同軸ケーブルをU字状に屈曲させたうえで、屈曲させた前記ケーブル中途部をはんだ槽内の溶融はんだに浸漬させることで、ケーブル中途部の前記外部導体に選択的に前記第1のはんだ層を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の同軸ケーブル端末処理方法。
【請求項3】
前記同軸ケーブルは前記絶縁体を覆う外被をさらに備え、
前記第1のはんだ層を形成する工程の前処理として、
前記ケーブル中途部の前記外被を除去して、外被除去箇所の前記外部導体をケーブル表面に露出させる工程をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のケーブル端末処理方法。
【請求項4】
前記第2のはんだ層を形成する工程では、形成した前記第2のはんだ層が前記絶縁体から離間して前記第2のはんだ層と前記絶縁体との間で前記中心導体が露出するように、前記第2のはんだ層を形成する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のケーブル端末処理方法。
【請求項5】
前記第2のはんだ層を形成する工程では、前記ケーブル切断端部で露出する前記中心導体を、はんだ槽上方からはんだ槽内の溶融はんだに浸漬させることで前記第2のはんだ層を形成し、かつ、前記中心導体を前記溶融はんだに浸漬させる際には前記絶縁体を溶融はんだ上面から離間させて前記溶融はんだとは非接触状態にする、
ことを特徴とする請求項4に記載の同軸ケーブル端末処理方法。
【請求項6】
前記中心導体を前記溶融はんだに浸漬させる際に前記絶縁体を溶融はんだ上面から離間させる距離を調整することで、前記第2のはんだ層と前記絶縁体との間の離間間隔を所望の値に設定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の同軸ケーブルのケーブル端末処理方法。
【請求項7】
中心導体と、
前記中心導体の径方向外側に空隙を空けて配置された外部導体と、
前記空隙に設けられるとともに内部には軸方向に沿って間隙が形成された絶縁体と、
前記外部導体を覆う外被と、
を備え、
ケーブル端部の前記外部導体が前記外被から露出しており、
前記間隙は、前記ケーブル端部から異物が未混入状態で維持されており、
前記ケーブル端部の前記中心導体が前記絶縁体から露出しており、
前記外部導体の露出部位には第1のはんだ層が、前記中心導体の露出部位には第2のはんだ層がそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする同軸ケーブル。
【請求項8】
前記ケーブル端部の前記絶縁体は未変形であり、かつ間隙開口は開放状態である、
ことを特徴とする請求項7に記載の同軸ケーブル。
【請求項9】
前記第2のはんだ層は前記絶縁体から離間して配置されており、前記第2のはんだ層と前記絶縁体との間の隙間で前記中心導体が露出している、
ことを特徴とする請求項7または8に記載の同軸ケーブル。
【請求項1】
中心導体の径方向外側に空隙を空けて外部導体を配置するとともに、軸方向に沿って間隙を有する絶縁体が前記空隙に設けられた同軸ケーブルのケーブル端末処理方法であって、
ケーブル中途部の前記外部導体に選択的に第1のはんだ層を形成する工程と、
前記第1のはんだ層が形成された前記ケーブル中途部を切断することで当該同軸ケーブルを第1、第2の同軸ケーブルに分断する工程と、
前記第1、第2の同軸ケーブルそれぞれのケーブル切断端部において前記第1のはんだ層が形成された前記外部導体の一部を残して前記ケーブル切断端部側の前記外部導体と前記絶縁体とを除去して前記中心導体を露出させる工程と、
前記第1、第2の同軸ケーブルのケーブル切断端部それぞれで露出する前記中心導体に選択的に第2のはんだ層を形成する工程と、
を含む、
ことを特徴とするケーブル端末処理方法。
【請求項2】
前記第1のはんだ層を形成する工程では、前記ケーブル中途部を屈曲点にして前記同軸ケーブルをU字状に屈曲させたうえで、屈曲させた前記ケーブル中途部をはんだ槽内の溶融はんだに浸漬させることで、ケーブル中途部の前記外部導体に選択的に前記第1のはんだ層を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の同軸ケーブル端末処理方法。
【請求項3】
前記同軸ケーブルは前記絶縁体を覆う外被をさらに備え、
前記第1のはんだ層を形成する工程の前処理として、
前記ケーブル中途部の前記外被を除去して、外被除去箇所の前記外部導体をケーブル表面に露出させる工程をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のケーブル端末処理方法。
【請求項4】
前記第2のはんだ層を形成する工程では、形成した前記第2のはんだ層が前記絶縁体から離間して前記第2のはんだ層と前記絶縁体との間で前記中心導体が露出するように、前記第2のはんだ層を形成する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のケーブル端末処理方法。
【請求項5】
前記第2のはんだ層を形成する工程では、前記ケーブル切断端部で露出する前記中心導体を、はんだ槽上方からはんだ槽内の溶融はんだに浸漬させることで前記第2のはんだ層を形成し、かつ、前記中心導体を前記溶融はんだに浸漬させる際には前記絶縁体を溶融はんだ上面から離間させて前記溶融はんだとは非接触状態にする、
ことを特徴とする請求項4に記載の同軸ケーブル端末処理方法。
【請求項6】
前記中心導体を前記溶融はんだに浸漬させる際に前記絶縁体を溶融はんだ上面から離間させる距離を調整することで、前記第2のはんだ層と前記絶縁体との間の離間間隔を所望の値に設定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の同軸ケーブルのケーブル端末処理方法。
【請求項7】
中心導体と、
前記中心導体の径方向外側に空隙を空けて配置された外部導体と、
前記空隙に設けられるとともに内部には軸方向に沿って間隙が形成された絶縁体と、
前記外部導体を覆う外被と、
を備え、
ケーブル端部の前記外部導体が前記外被から露出しており、
前記間隙は、前記ケーブル端部から異物が未混入状態で維持されており、
前記ケーブル端部の前記中心導体が前記絶縁体から露出しており、
前記外部導体の露出部位には第1のはんだ層が、前記中心導体の露出部位には第2のはんだ層がそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする同軸ケーブル。
【請求項8】
前記ケーブル端部の前記絶縁体は未変形であり、かつ間隙開口は開放状態である、
ことを特徴とする請求項7に記載の同軸ケーブル。
【請求項9】
前記第2のはんだ層は前記絶縁体から離間して配置されており、前記第2のはんだ層と前記絶縁体との間の隙間で前記中心導体が露出している、
ことを特徴とする請求項7または8に記載の同軸ケーブル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−84513(P2013−84513A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225086(P2011−225086)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】
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