説明

同軸コネクタ

【課題】プラグの接続および接続解除によってオンオフする機械的なスイッチ機能を発揮できる同軸コネクタを提供する。
【解決手段】同軸コネクタ1は、基台2と、カバー体21と、インシュレータ41と、コンタクト51と、スイッチ体52と、移動体71とを備える。移動体71は、インシュレータ41に対して移動可能である。プラグの接続の際には、移動体71がプラグから受ける力でスイッチ体52を弾性変形させながら移動し、そのスイッチ体52の弾性変形によってこのスイッチ体52の接触部61がコンタクト51の接触受部60から離れる。プラグの接続解除の際には、移動体71がスイッチ体52の弾性復元力で移動し、そのスイッチ体52の弾性復元によってこのスイッチ体52の接触部61がコンタクト51の接触受部60と接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグの接続および接続解除によってオンオフする機械的なスイッチ機能を発揮できる同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば非特許文献1に記載された同軸コネクタが知られている。
【0003】
この従来の同軸コネクタは、1P薄型の75ΩBNCコネクタであって、絶縁性の基台と、基台に取り付けられた導電性のカバー体と、カバー体内に嵌入されたインシュレータと、インシュレータにて保持された導電性のコンタクトと、カバー体の外周側に取り付けられたアースコンタクトと、基台にそれぞれ固定されたシールドプレート、固定端子および固定ピンとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】[online]、エムデン無線工業株式会社、[平成21年7月24日検索]、インターネット<URL:http://www.emuden.com/75ohmbnc/p2484-yaaa.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、近年、この種の同軸コネクタに関し、プラグの接続および接続解除によってオンオフする機械的なスイッチ機能を発揮できるものの開発が課題となっていた。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、プラグの接続および接続解除によってオンオフする機械的なスイッチ機能を発揮できる同軸コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の同軸コネクタは、絶縁性の基台と、この基台に取り付けられ、略円筒状の導電性のカバー体と、このカバー体内に少なくとも一部が嵌入されたインシュレータと、このインシュレータにて保持された導電性のコンタクトと、前記インシュレータにて保持され、前記コンタクトと接離可能に接触する接触部を有する弾性変形可能な導電性のスイッチ体と、プラグから受ける力および前記スイッチ体の弾性復元力によって前記インシュレータに対して移動可能な絶縁性の移動体とを備え、前記プラグが前記カバー体および前記コンタクトに接続される際には、前記移動体が前記プラグから受ける力で前記スイッチ体を弾性変形させながら移動し、そのスイッチ体の弾性変形によってこのスイッチ体の接触部が前記コンタクトから離れ、前記プラグの接続が解除される際には、前記移動体が前記スイッチ体の弾性復元力で移動し、そのスイッチ体の弾性復元によってこのスイッチ体の接触部が前記コンタクトと接触するものである。
【0008】
請求項2記載の同軸コネクタは、請求項1記載の同軸コネクタにおいて、コンタクトは、長手状のもので、長手方向一端側にプラグ接続部を有し、長手方向他端側にスイッチ体の接触部が接離可能に接触する接触受部を有するものである。
【0009】
請求項3記載の同軸コネクタは、請求項1または2記載の同軸コネクタにおいて、スイッチ体は、接触部の両側に設けられ、移動体と接触する対をなす耳状部と、前記接触部と離間対向する対向部と、この対向部に設けられ、電気回路に接続される回路接続部と、前記接触部と前記対向部とを繋ぐ弾性変形可能な曲げ部とを有するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、プラグが接続される際には移動体がプラグから受ける力でスイッチ体を弾性変形させながら移動しそのスイッチ体の弾性変形によってこのスイッチ体の接触部がコンタクトから離れ、プラグの接続が解除される際には移動体がスイッチ体の弾性復元力で移動しそのスイッチ体の弾性復元によってこのスイッチ体の接触部がコンタクトと接触する構成であるため、プラグの接続および接続解除によってオンオフする機械的なスイッチ機能を発揮できる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、コンタクトは長手方向一端側にプラグ接続部を有しかつ長手方向他端側にスイッチ体の接触部が接離可能に接触する接触受部を有するため、特性インピーダンスの変動影響が少なく、良好な周波数特性を得ることができる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、プラグの接続および接続解除に基づいてスイッチ体の曲げ部を弾性変形および弾性復元させることにより、機械的なスイッチ機能を適切に発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る同軸コネクタの分解斜視図である。
【図2】同上同軸コネクタの上方側斜視図である。
【図3】同上同軸コネクタの上方側斜視図である。
【図4】同上同軸コネクタの下方側斜視図である。
【図5】同上同軸コネクタの部分斜視図で、(a)がオン状態の図であり、(b)がオープン状態の図である。
【図6】同上同軸コネクタのプラグ非挿入状態時の横断面図である。
【図7】同上同軸コネクタのプラグ非挿入状態時の縦断面図である。
【図8】同上同軸コネクタのプラグ挿入途中の縦断面図である。
【図9】同上同軸コネクタのプラグ挿入途中の斜視断面図である。
【図10】同上同軸コネクタのプラグ挿入状態時の縦断面図である。
【図11】同上同軸コネクタのプラグ挿入状態時の斜視断面図である。
【図12】同上同軸コネクタの組立方法を示す図である。
【図13】図12に続く組立方法を示す図である。
【図14】図13に続く組立方法を示す図である。
【図15】図14に続く組立方法を示す図である。
【図16】図15に続く組立方法を示す図である。
【図17】図16に続く組立方法を示す図である。
【図18】図17に続く組立方法を示す図である。
【図19】図18に続く組立方法を示す図である。
【図20】組立完了した同軸コネクタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図中の1は同軸コネクタで、この同軸コネクタ1は、例えば機械的なスイッチ機能が付いた1P薄型の75ΩBNCコネクタである。なお、図2に示す矢印の方向を前後方向および左右方向として説明する。
【0016】
同軸コネクタ1は、図1ないし図11に示されるように、図示しないプリント回路基板上に配置される外形略直方体状の筐体ボディ等の基台2を備えている。基台2は、絶縁性を有する合成樹脂等で一体に形成されている。
【0017】
基台2は、互いに離間対向するそれぞれ略板状をなす前板部6および後板部7を有している。前板部6には、略円形状の挿通孔8が前後面に貫通して形成されている。後板部7には、略矩形状の切欠開口9が前後面に貫通しかつ下方に向って開口して形成されている。そして、前板部6には導電性のシールドプレート10が取り付けられ、このシールドプレート10にて前板部6の前面全体が覆われている。シールドプレート10には挿通孔8と同形状の挿通孔10aが形成されている。
【0018】
前後板部6,7の左端部相互が左側板部11にて連結され、前後板部6,7の右端部相互が右側板部12にて連結されている。左側板部11の前部には固定ピン用取付孔部13が形成され、この固定ピン用取付孔部13には基台2をプリント回路基板に対して固定する固定ピン14が嵌入されて取り付けられている。
【0019】
左側板部11の後部には固定端子用取付孔部15が形成され、この固定端子用取付孔部15には導電性の固定端子16が嵌入されて取り付けられている。固定端子16の下端部は、基台2の下面から下方に向って突出し、この突出部分がプリント回路基板の電気回路に接続される回路接続部17となっている。
【0020】
また、同軸コネクタ1は、挿通孔8,10aに挿通され基台2に固定的に取り付けられた略円筒状のBNCカバー等のカバー体21を備えている。カバー体21は、導電性を有する金属等によって、前後方向に軸方向を有して軸方向両端面が開口した略円筒状に一体に形成されている。
【0021】
カバー体21は、軸方向一端側である前端側に略円筒状のプラグ接続部(外側プラグ接続部)であるプラグシェル接続部22を有し、このプラグシェル接続部22には同軸ケーブルのプラグ3が接続される。なお、プラグシェル接続部22の外周面には左右1対のプラグ抜け止め用の突起部23が突設されている。
【0022】
ここで、プラグ3は、図11等に示されるように、プラグピン3aと、このプラグピン3aと同軸上に位置する略円筒状のシェル3bと、このシェル3bの外周を覆うようにプラグピン3aと同軸上に位置する略円筒状のスリーブ3cとを有している。スリーブ3cには、突起部23と係合する係合溝3dが形成されている。そして、同軸コネクタ1に対するプラグ3の接続時には、プラグ3のシェル3bがカバー体21のプラグシェル接続部22内に挿入され、シェル3bの外周側がプラグシェル接続部22の内周側に接触して接続される。
【0023】
カバー体21の軸方向中間部の外周面には鍔部24が突設され、この鍔部24がシールドプレート10を介して前板部6の挿通孔8の周辺部に当接している。
【0024】
カバー体21は、軸方向他端側である後端側に略円筒状のアースコンタクト取付部25を有している。そして、電気的高特性を得るために、前面および下面のみが開口する開放面の少ない箱形状に形成した導電性のアースコンタクト26が、アースコンタクト取付部25の外周側に取り付けられ、かつ、基台2内に嵌入収納されている。
【0025】
アースコンタクト取付部25の両側には左右1対の取付溝27が形成されている。一方、4本脚のアースコンタクト26は、互いに離間対向する左右1対の対向側板部31を有し、これら両対向側板部31の上端部相互が上板部32にて連結され、これら両対向側板部31の後端部相互が後板部33にて連結されている。
【0026】
上板部32の前端部両側から左右1対の前脚部34が下方に向って突出し、これら両前脚部34が取付溝27に嵌入されてアースコンタクト取付部25に接続されている。各前脚部34の下端部は、基台2の下面から下方に向って突出し、この突出部分がプリント回路基板の電気回路に接続される回路接続部35となっている。各対向側板部31の下端部後端からはそれぞれ後脚部36が下方に向って突出しており、各後脚部36はその略全体が基台2の下面から下方に向って突出し、この突出部分がプリント回路基板の電気回路に接続される回路接続部37となっている。
【0027】
また、同軸コネクタ1は、カバー体21内に少なくとも一部、すなわち例えば前側のみが嵌入された絶縁物であるインシュレータ41を備えている。インシュレータ41は、絶縁性を有する合成樹脂等でそれぞれ一体に形成された2つの分割部材であるインシュレータ形成部材42が互いに結合されて構成されている。各インシュレータ形成部材42は凸部43および凹部44を有し、これら凸部43と凹部44との嵌合によって両インシュレータ形成部材42が互いに結合されている。
【0028】
インシュレータ41は、前側にコンタクト保持部45を有し、後側にスイッチ体保持部46を有している。そして、コンタクト保持部45がカバー体21内に嵌入固定され、スイッチ体保持部46が箱型のアースコンタクト内に嵌入収納されている。
【0029】
さらに、同軸コネクタ1は、両インシュレータ形成部材42にて挟持され前後に並んで位置するたコンタクト51およびスイッチ体52を備えている。つまり、同軸コネクタ1は、コンタクト保持部45にて固定的に保持された前後方向長手状のHコンタクト等のコンタクト51と、スイッチ体保持部46にて固定的に保持されコンタクト51の後方に位置しコンタクト51と接離可能に接触する弾性変形可能なSW可動片等のスイッチ体52とを備えている。コンタクト51およびスイッチ体52は、いずれも導電性を有する金属等にて一体に形成されている。なお、スイッチ体52は、プラグ3の挿入時に特性インピーダンスの影響の少ない位置、つまり、プラグ3の挿入側とは反対側の後部位置に配設されている。
【0030】
コンタクト51は、前後方向長手状の略円筒状の第1円筒状部53と、この第1円筒状部53の後端部に下方に向って突設された略円筒状の第2円筒状部54と、この第2円筒状部54の下端部に下方に向って突設された板状部55とを有している。第2円筒状部54の後側一部が接触受部(スイッチ接点部)60となっている。
【0031】
第1円筒状部53の前端部は、インシュレータ41の前面から前方に向って突出し、この突出部分が略円筒状のプラグ接続部(内側プラグ接続部)であるプラグピン接続部56となっている。プラグピン接続部56には、上下1対の切欠溝57が形成されている。そして、同軸コネクタ1に対するプラグ3の接続時には、プラグ3のプラグピン3aがコンタクト51のプラグピン接続部56内に挿入され、プラグピン3aの外周側がプラグピン接続部56の内周側に接触して接続される。
【0032】
また、板状部55はその略全体がインシュレータ41の下面から下方に向って突出し、この突出部分がプリント回路基板の電気回路に接続される回路接続部58となっている。なお、インシュレータ41の下面と基台2の下面は、略同一面上に位置している。
【0033】
スイッチ体52は、例えば所定箇所で曲げられた導電性の板部材からなるもので、コンタクト51の接触受部60と接離可能に線状に接触する略矩形板状の接触部(スイッチ接点部)61を前側に有している。接触部61の両側の端部には、左右1対の耳状部62が前方に向って一体に突設されている。耳状部62は、接触部61の側端部の下部から前方に向って突出する第1板63と、この第1板63の上端部から外側方に向って突出する第2板64とにて構成されている。なお、両耳状部62の離間距離は、コンタクト51の第2円筒状部54の外径寸法よりも長い。
【0034】
また、スイッチ体52は、接触部61と離間対向する板状の対向部65を後側に有し、この対向部65は接触部61の後方に配設されている。対向部65の下端部には、プリント回路基板の電気回路に接続される板状の回路接続部66が下方に向って一体に突設され、この回路接続部66はインシュレータ41の下面から下方に向って突出している。回路接続部66の上端部両側には、インシュレータ41の下面と係合する左右1対の係合部である突板部67が側方に向って一体に突設されている。対向部65の両側には、インシュレータ41にて固定的に保持された左右1対の固定部である固定板部68が側方に向って一体に突設されている。
【0035】
さらに、スイッチ体52は、接触部61の上端部と対向部65の上端部とを繋ぐ弾性変形可能な側面視略逆V字状をなす湾曲板状の曲げ部69を有している。つまり、接触部61の上端部と対向部65の上端部とが曲げ部69にて一体に連結され、この曲げ部69はプラグ3の接続時には弾性変形しプラグ3の接続解除時には弾性復元力に基づいて元の形状に戻るまで弾性復元する。
【0036】
また、同軸コネクタ1は、カバー体21内に配設されインシュレータ41に対して前後方向に移動可能、すなわち例えば前後にスライド可能なカム等の移動体71を備えている。移動体71は、絶縁性を有する合成樹脂等にて一体に形成されている。
【0037】
この絶縁物である移動体71は、板状で略円形環状の環状部72を前端部に有し、この環状部72は中央部に挿通孔73を有している。環状部72の挿通孔73には、コンタクト51の第1円筒状部53がスライド可能に挿通されている。また、環状部72の両側には、移動体71のインシュレータ41に対するスライド時にカバー体21の内周面にて案内される板状の左右1対の突出部74が側方に向って一体に突設されている。各突出部74の先端面はカバー体21の内周面に沿って位置する略円弧面状に形成されている。
【0038】
そして、環状部72と両突出部74とにて当接部75が構成され、この当接部75のインシュレータ41との対向面である後面は、プラグ3の非接続時にはインシュレータ41の前面の当接受面(当接受部)81とは非接触でその当接受面81から離れて位置するが、プラグ3の接続時にはプラグ3にて移動体71が押されて移動することにより当接部75の後面がインシュレータ41の当接受面81に当接する。
【0039】
また、当接部75の後面両側には、互いに離間対向する略4角棒状の左右1対の棒状部76が後方に向って一体に突設されている。つまり、当接部75の後面から2本の棒状部76が後方に向って一体に突出し、両棒状部76はインシュレータ41内に挿入され、これら両棒状部76間にコンタクト51の第1円筒状部53が配設されている。
【0040】
各棒状部76のコンタクト51側の面である内面には、抜止用の係合段部77が形成されている。そして、係合段部77とインシュレータ41の係合受部78との係合により、移動体71がインシュレータ41内から抜け出ることが防止される(図6参照)。
【0041】
なお、各棒状部76の後端面には接触受部80が形成され、この接触受部80にスイッチ体52の耳状部62が常に接触しており、プラグ3の接続時には接触受部80に耳状部62が所定の圧接力をもって接触し、この接触受部80は耳状部62からスイッチ体52の曲げ部69の弾性復元力を受ける。
【0042】
次に、同軸コネクタ1の組立方法について図面を参照して説明する。
【0043】
図12および図13に示すように、コンタクト51とスイッチ体52と一方のインシュレータ形成部材42とを手組みによって組み合わせる。
【0044】
この際、スイッチ体52の曲げ部69を接触部61および対向部65間の離間距離が減少するように圧縮方向に弾性変形させ、スイッチ体52を一方のインシュレータ形成部材42に取り付ける。この状態で、スイッチ体52の接触部61とコンタクト51の接触受部60とが互いに接触している。
【0045】
次いで、図14に示すように、他方のインシュレータ形成部材42を一方のインシュレータ形成部材42に取り付け、インシュレータ41にてコンタクト51およびスイッチ体52を両側から挟持させる。
【0046】
また、図15に示すように、カバー体21とシールドプレート10と基台2とを組み合わせる。この際、カバー体21のアースコンタクト取付部25を基台2の前方側からシールドプレート10の挿通孔10aおよび基台2の挿通孔8内に嵌入する。
【0047】
次いで、図16に示すように、組み合わされて一体化したカバー体21、シールドプレート10および基台2に対して、組み合わされて一体化したコンタクト51、スイッチ体52およびインシュレータ41を組み込む。この際、インシュレータ41のコンタクト保持部45を基台2の後方側から切欠開口9および挿通孔8,10aを通してカバー体21内に嵌入する。
【0048】
続いて、図17に示すように、アースコンタクト26を基台2の上方側から基台2内に嵌め込むようにして仮組みする。この際、アースコンタクト26の2本の前脚部34をカバー体21の取付溝27に嵌入する。
【0049】
次いで、図18に示すように、カムである移動体71をカバー体21の前方側(プラグ挿入側)からカバー体21内つまりインシュレータ41内に嵌め込むようにして組み込む。
【0050】
この際、両棒状部76の基端側を両棒状部76間の離間距離が増大するように一旦弾性変形させ、その後、両棒状部76の基端側の弾性復元によって抜止用の係合段部77がインシュレータ41の係合受部78と対向する状態となる。また、この状態で、スイッチ体52の耳状部62と移動体71の接触受部80とが互いに接触している。
【0051】
次いで、図19に示すように、固定ピン14を基台2の下方側から基台2の固定ピン用取付孔部13内に嵌め込むようにして仮組みし、また、固定端子16を基台2の上方側から基台2の固定端子用取付孔部15内に嵌め込むようにして仮組みする。
【0052】
その後、所定の圧入工程を経て、図20に示す同軸コネクタ1が完成する。
【0053】
次に、このようにして組み立てられた同軸コネクタ1の作用等を説明する。
【0054】
図5(a)、図6および図7に示すように、同軸ケーブルのプラグ3のプラグピン3aおよびシェル3bがそれぞれカバー体21のプラグシェル接続部22およびコンタクト51のプラグピン接続部56に接続される前の状態、つまりプラグ3の非挿入状態(通常状態)では、スイッチ体52の接触部61がコンタクト51の接触受部60と接触し、同軸コネクタ1がオン状態(クローズ状態)となっている。なお、コンタクト51とスイッチ体52とが接触して短絡しているため、プリント基板側ではプラグ3の非挿入を確実に検知することができる。
【0055】
また、このプラグ3の非挿入状態時に、スイッチ体52の耳状部62は移動体71の接触受部80と接触し、また、移動体71の当接部75はインシュレータ41の当接受面81から離れている。
【0056】
そして、プラグ3が同軸コネクタ1に挿入されると、その挿入初期において、図8および図9に示すように、プラグ3のシェル3bが移動体71に接触する前に、シェル3bがカバー体21のプラグシェル接続部22に挿入接続されかつプラグピン3aがコンタクト51のプラグピン接続部56に挿入接続される。
【0057】
なお、プラグピン3aとコンタクト51とが先に接触しても、コンタクト51とスイッチ体52との接触したままの状態となる時間が発生する。
【0058】
続いて、プラグ3が同軸コネクタ1にさらに挿入されると、図5(b)、図10および図11に示すように、プラグ3のシェル3bが移動体71の当接部75の左右両側の突出部74に接触してこの移動体71を当接部75の後面が当接受面81に当接するまで押し出す。
【0059】
すると、このシェル3bにて押し出された移動体71は、その移動方向先端部である接触受部80でスイッチ体52の耳状部62を押し、スイッチ体52の曲げ部69を弾性変形させ、その結果、スイッチ体52の接触部61がコンタクト51の接触受部60から離れる。
【0060】
つまり、プラグ3の挿入によってプラグ3がプラグ接続部22,56に接続される際に、移動体71がプラグ3にて押されてプラグ3から受ける力でスイッチ体52の曲げ部69を弾性変形させながらインシュレータ41に対して後方へスライドし、そのスイッチ体52の曲げ部69の圧縮弾性変形によってスイッチ体52の接触部61がコンタクト51の接触受部60から離れ、その結果、同軸コネクタ1がオープン状態(オフ状態)となる。なお、このオープン状態時において、コンタクト51とスイッチ体52とは、少なくとも2mm以上、離れている。
【0061】
また、プラグ3を同軸コネクタ1から抜き取って、同軸コネクタ1に対するプラグ3の接続を解除すると、移動体71がスイッチ体52の曲げ部69の弾性復元力でインシュレータ41に対して前方へスライドし、そのスイッチ体52の曲げ部69の弾性復元によってスイッチ体52の接触部61がコンタクト51の接触受部60と接触し、その結果、同軸コネクタ1がもとのオン状態に復帰する。つまり、移動体71は、接触部61と接触受部60とが接触するまで、弾性復元力に基づいて元の状態に戻ろうとするスイッチ体52の耳状部62にて押されて前方に移動する。
【0062】
そして、同軸コネクタ1によれば、プラグ3の挿入によってプラグ3が接続される際には移動体71がプラグ3から受ける力でスイッチ体52を弾性変形させながら移動しそのスイッチ体52の弾性変形によってこのスイッチ体52の接触部61がコンタクト51から離れ、かつ、プラグ3の抜き取りによってプラグ3の接続が解除される際には移動体71がスイッチ体52の弾性復元力で移動しそのスイッチ体52の弾性復元によってこのスイッチ体52の接触部61がコンタクト51と接触する構成であるため、プラグ3の接続および接続解除つまりプラグ3の挿入および抜き取りによって、オンオフする機械的なスイッチ機能を発揮でき、よって例えばプリント回路基板側に75ΩBNCコネクタに対応する電気的なスイッチ機能(スイッチ機構)を設ける必要がない。
【0063】
また、コンタクト51は長手方向一端側にプラグピン接続部56を有しかつ長手方向他端側にスイッチ体52の接触部61が接離可能に接触する接触受部61を有するため、特性インピーダンスの変動影響が少なく、良好な周波数特性を得ることができる。すなわち例えば同軸コネクタ1では、スイッチ体52の配設位置やアースコンタクト26の箱形状および接続方法によって3GHzの高周波帯域で、定在波比:1.5以下の電気的特性を有している。
【0064】
さらに、プラグ3の接続および接続解除に基づいてスイッチ体52の折曲げ状の曲げ部69を弾性変形および弾性復元させることにより、機械的なスイッチ機能を適切かつ確実に発揮でき、機械的なスイッチ機能が付いた75ΩBNCコネクタを提供できる。
【0065】
なお、同軸コネクタ1は、1Pには限定されず、例えば複数のプラグ3を接続可能な2P以上のものでもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 同軸コネクタ
2 基台
3 プラグ
21 カバー体
41 インシュレータ
51 コンタクト
52 スイッチ体
56 プラグ接続部であるプラグピン接続部
60 接触受部
61 接触部
62 耳状部
65 対向部
66 回路接続部
69 曲げ部
71 移動体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の基台と、
この基台に取り付けられ、略円筒状の導電性のカバー体と、
このカバー体内に少なくとも一部が嵌入されたインシュレータと、
このインシュレータにて保持された導電性のコンタクトと、
前記インシュレータにて保持され、前記コンタクトと接離可能に接触する接触部を有する弾性変形可能な導電性のスイッチ体と、
プラグから受ける力および前記スイッチ体の弾性復元力によって前記インシュレータに対して移動可能な絶縁性の移動体とを備え、
前記プラグが前記カバー体および前記コンタクトに接続される際には、前記移動体が前記プラグから受ける力で前記スイッチ体を弾性変形させながら移動し、そのスイッチ体の弾性変形によってこのスイッチ体の接触部が前記コンタクトから離れ、
前記プラグの接続が解除される際には、前記移動体が前記スイッチ体の弾性復元力で移動し、そのスイッチ体の弾性復元によってこのスイッチ体の接触部が前記コンタクトと接触する
ことを特徴とする同軸コネクタ。
【請求項2】
コンタクトは、長手状のもので、長手方向一端側にプラグ接続部を有し、長手方向他端側にスイッチ体の接触部が接離可能に接触する接触受部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の同軸コネクタ。
【請求項3】
スイッチ体は、
接触部の両側に設けられ、移動体と接触する対をなす耳状部と、
前記接触部と離間対向する対向部と、
この対向部に設けられ、電気回路に接続される回路接続部と、
前記接触部と前記対向部とを繋ぐ弾性変形可能な曲げ部とを有する
ことを特徴とする請求項1または2記載の同軸コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−34851(P2011−34851A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180914(P2009−180914)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000103194)エムデン無線工業株式会社 (15)