説明

吸収性シート

【課題】床面に位置するシート部分における尿の拡散を抑制することができる吸収性シートを提供する。
【解決手段】
シート1は、透液性のトップシート20と不透液性のバックシート30と、これらシート20,30の間に位置する吸液性の吸収体40とを有する。シート1は、横方向に延びる接合手段50によってトップシート20が互いに対向して接合され、横方向に延びる折曲線51が形成される。吸収体40は、前端縁および折曲線51間に位置する第1吸収部41と、折曲線51および接合手段50間に位置する第2吸収部42と、接合手段50および後端縁40b間に位置する第3吸収部43とを有する。シート1の第3吸収部43の縦方向外側には、吸収体40が存在しない吸収体非存在領域47が形成される。シート1の非存在領域47におけるバックシート30は、固定手段によって壁71に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吸収性シートに関し、より詳しくは、ペットの尿等の体液を吸収する吸収性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ペット用の吸収性シートは公知である、例えば、特許文献1には、透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、これらシートの間に位置する吸収コアとを有する吸収性シートが開示されている。この吸収性シートは、吸収コアが存在しないフラップが形成され、吸収性コアが存在する部分を床面に配置し、フラップを壁に取り付けて使用することができる。特許文献2には、水分吸収体と、その裏面に位置するビニールカバーとを有する吸収性シートが開示されている。この吸収性シートは、水分吸収体に折り目が形成され、折り目を境界にしてその一方を床面に取り付け、他方を壁に取り付けて使用することができる。したがって、特に雄犬が壁に向かって尿を排泄した場合であっても、壁側に位置するシート部分によって壁が尿で汚れるのを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−8568号公報(JP 2001−8568 A)
【特許文献2】実開昭63−178451号公報(JP 63−178451 U)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような特許文献1および2記載の吸収性シートにおいて、壁側のシート部分に尿が排泄された場合、尿が壁側のシート部分から床面のシート部分へと移行し、それが拡散して床面のシート部分を広範囲で汚してしまう可能性がある。
【0005】
この発明では、床面に位置するシート部分における尿の拡散を抑制することができる吸収性シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、縦方向および横方向を有し、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、これらシートの間に位置する吸収体とを含む吸収性シートの改良にかかわる。この発明は、前記吸収性シートにおいて、前記吸収体は、前記縦方向に並ぶ第1吸収部、第2吸収部および第3吸収部を有し、前記第2吸収部および第3吸収部間に位置する前記トップシートと、前記第1吸収部に位置する前記トップシートとが、接合手段によって互いに接合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明の特にそのひとつ以上の実施態様によれば、縦方向に並ぶ第1吸収部、第2吸収部および第3吸収部において、第2および第3吸収部間に位置する接合部によって第1吸収部と互いのトップシートを介して接合される。第3吸収部が第1吸収部に対して起立するようにされた場合、第2吸収部が第3吸収部から延出するようになるので、第3吸収部に吸収された尿等の体液を第2吸収部で吸収することができ、第1吸収部への体液の移行量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態における吸収性シートの使用状態の一例を示す斜視図。
【図2】吸収性シートの平面図。
【図3】吸収性シートの平面図。
【図4】図1のIV−IV線断面図。
【図5】第2の実施形態を示す図。
【図6】第3の実施形態を示す図。
【図7】第4の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
図1〜図4は、この発明にかかる吸収性シートの第1の実施形態を示すものである。
図1は、シート1の使用状態を示す斜視図、図2はシート1の折曲線51で折り畳まれた状態の平面図、図3はシート1を広げた状態の平面図、図4は図1のIV−IV線断面図である。
【0010】
図1〜4に示したように、シート1は、縦方向Yおよび横方向Xを有するとともに、横方向Xに延びる前後端縁1a,1bと、縦方向Yに延びる両側縁1cとを有する。シート1は、透液性のトップシート20と不透液性のバックシート30と、これらシート20,30の間に位置する吸液性の吸収体40とを有する。トップシート20およびバックシート30は、同大同形のほぼ矩形とされている。
【0011】
吸収体40は、横方向Xに延びる前後端縁40a,40bと、縦方向Yに延びる両側縁40cとを有している。吸収体40は、トップシート20およびバックシート30よりも小さくされ、吸収体40の周囲でトップシート20とバックシート30とが、図示しないホットメルト接着剤等の接着手段によって互いに接合されている。トップシート20は、公知の繊維不織布であって、例えば、サーマルボンド繊維不織布を用いることができる。バックシート30は、例えば、ポリオレフィン系のプラスチックシートやそれらプラスチックシートと不織布のラミネートから形成することができる。
【0012】
図2に示したように、シート1は、横方向Xに延びる接合手段50によってトップシート20が互いに対向して接合される。このように接合されることによって、シート1には、横方向Xに延びる折曲線51が形成される。折曲線51は、吸収体40に重なる位置に形成される。接合手段50として、例えば、ホットメルト接着剤を用いることができる。
【0013】
図4に示したように、吸収体40は、芯材44と、芯材44を覆う被覆シート45と、被覆シート45とバックシート30の間に位置する漏れ防止シート46とを含む。芯材44としては、フラッフパルプ、高吸収性ポリマー粒子またはこれらの混合物等を用いることができる。被覆シート45としては、例えば、ティッシュペーパを用いることができ、漏れ防止シート46としては、不透液性のプラスチックフィルムを用いることができる。
【0014】
吸収体40は、シート1の前端縁1aから後端縁1bに向かって縦方向Yに並ぶ第1吸収部41、第2吸収部42、第3吸収部43に区分される。これら第1〜第3吸収部41〜43は、縦方向Yに連続しているものであって、これらを形成する芯材44が分断されているものではない。具体的には、第1吸収部41は、吸収体40の前端縁40aから折曲線51までの領域、第2吸収部42は、折曲線51から接合手段50までの領域、第3吸収部43は、接合手段50から吸収体40の後端縁40bまでの領域である。このように、接合手段50は、第2および第3吸収部42,43の間に形成され第1吸収部41に位置するトップシート20と、第2および第3吸収部42,43に位置するトップシート20とが互いに対向し、接合される。また、第1吸収部41の厚さ方向には第2吸収部42が積層され、これらのトップシート20が互いに対向される。
【0015】
シート1の第3吸収部43の縦方向Y外側には、吸収体40が存在しない吸収体非存在領域47が形成される。この非存在領域47では、トップシート20とバックシート30とが、ホットメルト接着剤等によって互いに接合される。
【0016】
シート1の非存在領域47におけるバックシート30には、固定手段60が取り付けられる。固定手段60は、具体的には、接着テープを用いることができ、使用前にはその粘着域が露出しないようにこれを内側に向けて折り畳まれる。使用時には粘着域を露出させて被固定部材である壁71に貼り付けることによって、シート1の第3吸収部43および非存在領域47を壁71に固定させることができる。
【0017】
上記のようなシート1は、第1吸収部41を床72に配置し、接合手段50を基点として、第3吸収部43および非存在領域47を第1吸収部41から起立させることができる。起立した第3吸収部43および非存在領域47は、壁71に沿うようにして配置し、これを固定手段60によって固定することができる。このとき、第2吸収部42は、第3吸収部43よりも壁71側へと延出する。また、バックシート30は、床72側および壁71側に対向し、トップシート20がその反対側に露出される。このようなシート1に向かってペットが排尿した場合であっても、壁71にシート1の非存在領域47および第3吸収部43が位置しているから、壁71に尿が飛散するのを防止できる。特に雄犬は、後足を上げて高い位置に排尿するが、シート1で壁71の一部を覆うことができるので、尿で壁が汚れるのを防ぐことができる。また、非存在領域47に排泄された尿は、その下方に位置する第3吸収部43へと移行して第3吸収部43の芯材44によって吸収される。第3吸収部43に吸収しきれなかった尿は、さらに下方の床72側へと移行し、第3吸収部43に連続する第2吸収部42に吸収される。第2吸収部42に吸収しきれなかった尿は、さらに第1吸収部41へと移行して、これに吸収される。
【0018】
吸収体40は、第2吸収部42を有するから、これを有しない場合に比べて第1吸収部41に移行される尿を減少させることができる。第1吸収部41は、床72に位置させているが、第1吸収部41が尿等で広範囲において汚れてしまった場合には、ペットがこれを踏んでしまったり、第1吸収部41から尿が漏れ出してしまったりすることがある。しかし、第2吸収部42を有することによって、第1吸収部41の汚れる面積を小さくすることができ、これら不都合を解消することができる。
【0019】
この実施形態では、第3吸収部43から移行した尿を起立した第3吸収部43よりも壁71側に位置する第2吸収部42で吸収することができる。ペットは、トップシート20側から壁71に向かって排尿するから、第2吸収部42が壁71側に位置することで、ペットとは離れた位置で尿を保持することができ、ペットが第2吸収部42で保持された尿に接触するのを抑制することができる。
また、第2吸収部42で尿を保持することができるから、一定時間経過後における第1吸収部41での尿の拡散を抑制することもできる。
【0020】
少なくとも第2および第3吸収部42,43の保水量は、500〜4000g/mとしている。なお、この実施形態では、第1〜第3吸収部41〜43は同一の材料を用いているので、全ての領域でほぼ同じ保水量を有する。保水量が500g/mよりも少ないと、第2および第3吸収部42,43で尿を十分に吸収できず、第1吸収部41に移行する尿が多くなるから、第1吸収部41の広い範囲に尿が拡散されてしまう。保水量を多くすることによって、第1吸収部41に移行する尿の量を低減することが可能であるが、一般的に芯材の量も多くなり、吸収体40が厚くなってしまう。また、保水量が4000g/mよりも多くなると、吸収した体液によって第2および第3吸収部42,43が重くなり固定手段60が壁71から剥がれてしまったり、起立した第3吸収部43が倒れてしまったりする可能性がある。
【0021】
<保水量の測定方法>
保水量は、シート1の吸収体40に0.90%塩化ナトリウム水溶液を吸収させて測定する。具体的には、以下のとおりである。シート1の初期重量および吸収体の面積を測定する。シート1を上記塩化ナトリウム水溶液20リットル中に10分間浸す。シート1は、その全てが塩化ナトリウム水溶液中に浸るようにする。次に、シート1を水溶液中から取り出し、10分間放置し、自然脱水する。すなわち、シート1の表面シート20を上面にして、シート1を二つ折りにし、折曲線が略水平の棒に一致するようにシート1を掛けて、室内で10分間放置する。そのシート1を150gで90秒間、脱水機で脱水する。脱水後のシート1の重量を測定する。保水量は、以下の計算式により算出した。
{(脱水後のシートの重量)−(シートの初期重量)}/吸収体面積×100
【0022】
第3吸収部43の縦方向Yにおける長さ寸法は、約20〜100mmとしている。上記長さ寸法が20mmよりも小さい場合には、第3吸収部43における尿の吸収量が少なくなり、吸収されなかった尿の一部は、第2吸収部42に移行することなく、直接第1吸収部41へと流れてしまう可能性がある。直接第1吸収部41へと尿が流れてしまうと、広い範囲で第1吸収部41に尿が拡散することになる。上記長さ寸法が100mmよりも大きい場合には、尿の吸収量が多くなるから、第3吸収部43が重くなり固定手段60が壁71から剥がれてしまったり、起立した第3吸収部43が倒れてしまったりする可能性がある。
【0023】
第2吸収部42の縦方向Yにおける長さ寸法は、約10〜50mmとしている。この長さ寸法が10よりも小さいと、第2吸収部42での保水量が少なくなってしまい、第1吸収部41への移行量が多くなってしまう。長さ寸法が50mmよりも大きいと、第3吸収部43から壁71側へと延びる量が大きくなり、第3吸収部43の起立部分である接合手段50が壁から離れてしまう。起立部分が壁71から離れてしまうことで、起立した第3吸収部43を犬などのペットが踏んでしまう可能性が有り、この場合には、固定手段60が壁71から剥がれてしまう。なお、第2吸収部42の保水量は、芯材の種類や量によっても左右されるものであり、この保水量との関係で上記長さ寸法が決定される場合もある。
【0024】
第3吸収部43には、吸収体の非存在領域47が形成されることとしている。非存在領域47では尿がほとんど保持されないから、特に、シート1の起立部分の上方において、シートが重くなるのを防止することができる。起立したシート1が重くなると、接合手段60が壁71から剥がれてしまう可能性があるが、これを防止し、起立したシートが倒れるのを未然に防止することができる。
【0025】
この発明の実施例と、比較例との液拡散性確認試験をおこなった。実施例のサンプルであるシート1は、第1吸収体41、第2吸収体42および第3吸収体43を含み、これらが連続して形成されている。第2吸収体42の縦方向Yにおける長さ寸法は約20mmであり、第3吸収体43の縦方向Yにおける長さ寸法は約40mmである。比較例1のサンプルは、第2および第3吸収体のいずれも存在しない、すなわち、第1吸収体のみのもので、他は実施例と同じ構成である。比較例2のサンプルは、第3吸収体が存在しないもので、他は実施例と同じ構成である。比較例3のサンプルは、第2吸収体が存在しないもので、他は実施例と同じ構成である。
【0026】
<液拡散性確認試験方法>
各サンプルは、接合手段50を基点に起立させ、これを固定手段60で壁に固定した。シートと壁との角度を約4度とした。接合手段50から吸収体の非存在領域47に向かって200mmの位置において、シリンジ(50ml容量テルモシリンジ、針無し)を用いて0.90%塩化ナトリウム水溶液を40ml滴下した。塩化ナトリウム水溶液は、トップシートから10mmの距離からトップシートに向かってほぼ垂直に、約10秒で滴下された。
【0027】
水溶液滴下開始後、トップシート20の表面を伝って第1吸収体41側へ流れた液の量を液滑り量とし、水溶液滴下開始10秒後の第1吸収体41への液の流れ量を10秒後拡散量とし、水溶液滴下開始1分後の第1吸収体41への液の流れ量を1分後拡散量としている。液滑り量は、トップシート20に流れた液を直接目視により確認し、接合手段からシート1の前端縁1a側の最も離れた地点までの距離を測定した。10秒後拡散量および1分後拡散量は、第1吸収体41に流れた溶液を、トップシート20を透過して目視により確認し、接合手段からシート1の前端縁1a側の最も離れた地点までの距離を測定した。測定は3回行い、平均値を求めた。
【0028】
【表1】

【0029】
表1に示したように、比較例1〜3のいずれも、実施例に比較して液滑り量、10秒後拡散量、1分後拡散量の全てにおいて、第1吸収部41の広い部分に溶液が拡散していることが理解される。なお、表には示していないが、第2吸収部と第3吸収部とが離間されているもの、第1吸収部と第2吸収部とが離間されているものについても同様の試験をおこなったが、結果は実施例とほぼ同程度であって、比較例1〜3と比較して、第1吸収部への溶液の拡散を抑制することができた。
【0030】
<第2の実施形態>
図5は、この発明の第2の実施形態を示したものであって図4と同様の図である。図示したように、この実施形態では、第2吸収部42と第3吸収部43とが、縦方向Yにおいて互いに離間されている。具体的には、第2吸収部42と第3吸収部43とにおいて、それぞれ被覆シート45で包まれた芯材44が配置され、これら第2および第3吸収部42,43が縦方向Yに離間されて配置されている。他の構成要素は、第1の実施形態と同様である。同様の構成要素については、第1の実施形態の説明と同じ符号を用い、その詳細な説明を省略する。
【0031】
この第2の実施形態では、第2および第3吸収部42,43の間では、トップシート20とバックシート30とが直接接合され、第2および第3吸収部42,43を区画している。接合手段50は、第2および第3吸収部42,43間であって、芯材が位置していない、すなわちトップシート20とバックシート30とが直接接合された部分に形成されている。なお、第1吸収部41と第2吸収部42とは、連続して一体的に形成されている。
【0032】
上記のように第2および第3吸収部42,43を離間させることによって、この離間部分では、他の部分との剛性差が生じるから、この離間部分を基点としてシート1が折れ曲がりやすくなる。したがって、第3吸収部43が起立し易くなり、第3吸収部43および吸収体非存在領域47を壁71に固定し易くなる。さらに、第2および第3吸収部42,43間に接合手段50を形成することによって、他の部分との剛性差はより一層大きくなり、第3吸収部43が第1吸収部41に対して折れ曲がり、起立し易くなる。
【0033】
第2および第3吸収部42,43が離間することによって、第3吸収部43に吸収された尿は、直接第2吸収部42に移行することはないが、尿はトップシート20を伝って第2吸収部42移行することができる。したがって、第1吸収部41に移行する尿の量を減少させることが可能である。第2および第3吸収部42,43の離間寸法は、約10mm以下とするのが望ましい。離間距離が大きくなりすぎると、第3吸収部43から第2吸収部42への尿の移行が遅滞する可能性があるからである。
【0034】
<第3の実施形態>
図6は、この発明の第3の実施形態を示したものであって図4と同様の図である。この実施形態では、第1吸収部41と第2吸収部42とが互いに離間して形成されている。他の構成は、第1の実施形態と同様である。この同様の構成要素については、第1の実施形態と同じ符号を用い、その詳細な説明を省略する。
【0035】
この第3の実施形態において、第1吸収部41と第2吸収部42との離間部分では、トップシート20とバックシート30とが漏れ防止シート46を介して互いに接合されている。このように第1吸収部41と第2吸収部42とが離間されることによって、この離間部分に沿ってシート1が折れ曲がりやすくなり、折曲線51を容易に形成することができる。シート1が折り畳みやすく、かつ、型崩れし難くすることができるので、包装の際の取り扱いが容易になる。なお、この実施形態では、第2吸収部42と第3吸収部43とは、連続して一体的に形成されている。
【0036】
<第4の実施形態>
図7は、この発明の他の実施形態を示したものであって図4と同様の図である。この実施形態では、第1吸収部41と第2吸収部42とが離間され、かつこれらを包むトップシートおよびバックシートも縦方向Yに離間される。すなわち、シート1は、第1吸収部41を包む第1トップシート20aおよび第1バックシート30aと、第2および第3吸収部42,43を包む第2トップシート20bおよび第2バックシート30bとを有する。他の構成については、第1の実施形態と同様である。この同様の構成要素については、第1の実施形態と同じ符号を用い、その説明を省略する。
【0037】
第1および第2トップシート20a,20bは、第1および第2吸収部41,42の外側において、横方向Xに延びる接合手段52によって接合される。したがって、第1および第2吸収部41,42間に折曲線は形成されない。接合手段52を形成することによって、第1および第2吸収部41,42から壁71側に向かって尿等が漏れるのを防止することができる。
【0038】
上記実施形態を含むこの発明において、第1および第2吸収部41,42が厚さ方向において分離されているが、これが一体となっていてもよい。具体的には、例えば、第1および第2吸収部41,42の芯材を被覆シートで一緒に包んだもの、第1および第2吸収部41,42の間にトップシート20が存在しないものを含む。
【0039】
第1吸収部41は、第2吸収部42の下方にまで延びて第1吸収部41と第2吸収部42とがトップシート20を互いに対向させて厚さ方向において積層されているが、第1吸収部41と第2吸収部42とが積層されていない場合を含む。例えば、第1吸収部41が前端縁40aから接合手段50までの長さ寸法を有し、接合手段50から折曲線51側へは延びていない場合を含む。ただし、第2吸収部42が第1吸収部41の厚さ方向において積層されることによって、これら第1吸収部41と第2吸収部42との接触面積を大きくすることができ、第2吸収部42を安定的に保持することができる。したがって、第2吸収部42を第3吸収部43よりも壁71側に確実に位置させることができる。また、上記構成によって、第2吸収部42で保持できなかった尿を速やかに第1吸収部41で吸収することができるので、尿の漏れを防止することもできる。
【0040】
以上に記載したこの発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
この発明は、以下の吸収性シートの改良にかかわる。吸収性シート1は、縦方向Yおよび横方向Xを有し、透液性のトップシート20と、不透液性のバックシート30と、これらシート20,30の間に位置する吸収体40とを含む。
【0041】
この発明は、前記吸収性シート1において以下の点を特徴とする。吸収性シート1は、前記吸収体40は、前記縦方向Y並ぶ第1吸収部41、第2吸収部42および第3吸収部43を有し、前記第2吸収部42および第3吸収部43間に位置する前記トップシート20と、前記第1吸収部41に位置する前記トップシート20とが、接合手段50によって互いに接合される。
【0042】
上記の発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。
(1)前記第1吸収部41と前記接合手段50との間には、前記横方向Xに延びる折曲線51が形成される。
(2)前記接合手段50は、前記横方向Xに延びる。
(3)前記吸収体40は、前記第3吸収部43の前記縦方向Y外側において、前記トップシート20および前記バックシート30が互いに直接接合された吸収体非存在領域47をさらに含む。
(4)前記第2吸収部42と前記第3吸収部43とは、互いに連続して形成される。
(5)前記第1吸収部41と前記第2吸収部42とは、互いに連続して形成される。
(6)前記第2吸収部42は、前記第1吸収部41の厚さ方向に積層される。
(7)前記吸収体非存在領域47が位置する前記バックシート30には、被固定部材71に対する固定手段60が形成される。
(8)前記第2および第3吸収部42,43の保水量は、500〜4000g/mである。
(9)前記第3吸収部43は、前記縦方向Yにおける長さ寸法が20〜100mmである。
【0043】
シート1を構成する各構成部材には、この明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている、各種の公知の材料を制限なく用いることができる。また、この発明の明細書において、用語「第1」「第2」および「第3」は、同様の要素、位置等を単に区別するために用いられている。
【符号の説明】
【0044】
1 吸収性シート
20 トップシート
20a 第1トップシート
20b 第2トップシート
30 バックシート
30a 第1バックシート
30b 第2バックシート
40 吸収体
40a 前端縁
40b 後端縁
41 第1吸収部
42 第2吸収部
43 第3吸収部
47 吸収体非存在領域
50 接合手段
51 折曲線
60 固定手段
71 被固定部材(壁)
X 横方向
Y 縦方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向および横方向を有し、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、これらシートの間に位置する吸収体とを含む吸収性シートにおいて、
前記吸収体は、前記縦方向に並ぶ第1吸収部、第2吸収部および第3吸収部を有し、前記第2吸収部および第3吸収部間に位置する前記トップシートと、前記第1吸収部に位置する前記トップシートとが、接合手段によって互いに接合されることを特徴とする前記吸収性シート。
【請求項2】
前記第1吸収部と前記接合手段との間には、前記横方向に延びる折曲線が形成される請求項1記載の吸収性シート。
【請求項3】
前記接合手段は、前記横方向に延びる請求項1記載の吸収性シート。
【請求項4】
前記吸収体は、前記第3吸収部の前記縦方向外側において、前記トップシートおよび前記バックシートが互いに直接接合された吸収体非存在領域をさらに含む請求項1記載の吸収性シート。
【請求項5】
前記第2吸収部と前記第3吸収部とは、互いに連続して形成される請求項1記載の吸収性シート。
【請求項6】
前記第1吸収部と前記第2吸収部とは、互いに連続して形成される請求項1記載の吸収性シート。
【請求項7】
前記第2吸収部は、前記第1吸収部の厚さ方向に積層される請求項1記載の吸収性シート。
【請求項8】
前記吸収体非存在領域が位置する前記バックシートには、被固定部材に対する固定手段が形成される請求項4記載の吸収性シート。
【請求項9】
前記第2および第3吸収部の保水量は、500〜4000g/mである請求項1記載の吸収性シート。
【請求項10】
前記第3吸収部は、前記縦方向における長さ寸法が20〜100mmである請求項1記載の吸収性シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−17448(P2013−17448A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155218(P2011−155218)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】