説明

吸収性物品

【課題】使い捨ておむなどの吸収性物品における吸収性パッド等の吸収性パッドの取り替えを容易に行う。
【解決手段】前記おむつ本体20は、腹側部及び股下部にそれぞれ開孔22a、22bを有し、これらの開孔22a、22bを通して、尿取りパッド30の出し入れを行う。尿取りパッド30の端部には紐36が設けられており、他の尿取りパッド30の紐36と連結することで、交換時に使用済み尿取りパッド30を開孔22aから引き出すことで未使用の尿取りパッド30をおむつ本体20中に引き込みセットすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排尿の処理等に伴う労力的、精神的及び経済的な負担を軽減できる吸収性物品、とくに吸収性パッド(失禁パッド)、生理用パッド等の吸収性パッドを備えた吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
おむつの交換作業、とくに身体の自由が利かず介護を必要とする老人や病人などのおむつの取り替えは、例えば、図16に示すように、体を横向きにして汚れたおむつを介護者が着用者の身体の下から引き出し、次に新しいおむつを引き込んで装着するようにしているため、とくに重労働であり、それを毎日何回も繰り返すことは精神的にもきつい作業である。
また、おむつの交換は排尿に伴ってその一部が汚れた場合でもおむつ全体を交換するため、その経済的負担が大きいばかりではなく廃棄物の量が増大するという問題もある。
【0003】
そこで、おむつに補助吸収体(又は吸収性パッド)を併用して、排尿のあったときは、これを補助吸収体で吸収してこの補助吸収体のみを取り替え可能とし、おむつの交換は、排便時などおむつ自体が汚れた時のみ行なうようにしたものが開発されている。
しかしながら、補助吸収体をおむつの内表面側に配置しただけでは、その交換のために、一旦おむつを外して汚れた補助吸収体を取り出すことが必要で、おむつ全体を交換するものに比べて経済的には有利ではあるが、その交換に要する労力的或いは精神的負担はとくに軽減されるわけではなく、問題を完全に解決し得るものではなかった。
【0004】
そこで、この問題を解決すべく、おむつを外さずに補助吸収体のみを取り替えできるように、使い捨てパンツの前部中央に開口を設け、その開口を開閉可能なシート状の蓋部材で覆う構成とし、補助吸収体の取替えは、その蓋部材を開いておむつ本体の開口から汚れた補助吸収体を取り出し、未使用のものをおむつ内に配置できるようにしたものが開発されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、おむつの前部又は後部パネルにアパーチャを形成し、このアパーチャに複数のパネル部材(補助吸収体)を収容した後部シートにポケットを固定し、おむつ中央部で吸収した体液を吸収するための複数のパネル部材を収容し、各パネル部材は図示しない引っ張りタブを引っ張ることにより、体液で飽和したパネル部材を一枚ずつ前記ポケットから引き出し、代わりに未使用のパネル部材を露出させるようにしたものも知られている(特許文献2参照)。
【0006】
更に、補助吸収体の取り替えを一層容易にするため、取り替え用の補助吸収体をおむつ内に設けずに外付けとしたものも提案されている(特許文献3)。これは、前身頃、後見頃及び両者間に位置する股下部からなり、前見頃と後見頃とが両側部で相互に接合される構造の使い捨てパンツにおいて、前記股下部に股下開口を設け、この股下開口を外側から塞ぐように、パンツ本体に対して着脱自在に取り付けられる吸収性パッドを備えている。この構成において、パンツ本体の股下開口の内側面に備えた左右側部の第1係合部材を吸収性パッドの外面側に係合固定する。
【0007】
同様に補助吸収体を外付けするものとして、吸収性パッドをパンツ本体に対して着脱自在に取り付けたパンツ型の補助具と外装吸収部とから構成し、前記パンツ型の補助具には部分的に通液部が形成された吸収体が配置され、外装吸収部は補助具の外表面側に止着し、外層吸収部に対する液の移行を安定的に行い、外装吸収部に排尿があったとき、これをパンツ型補助具から外して取り替えるようにしている。(特許文献4参照)
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された使い捨てパンツでは、そもそも股間は狭いので補助吸収体を取り替えるのは容易ではなく、また、補助吸収体を股間から尿が染み出さないように取り付けることも困難である。
また、特許文献2に記載されたおむつ(吸収性物品)では、尿を吸収したパネル部材を前記ポケットから一つずつ引き出すだけで未使用のパネル部材と交換することができ、特許文献1に記載されたもののようにその都度補助吸収体をおむつ内にセットする必要はない。しかし、予め、交換するパネル部材を設定することが必要となるばかりか、パネル部材が過剰になったり不足したりする問題がある。
【0009】
更に、特許文献3に記載されたおむつは、補助吸収体を外側から取り付けるが、股間は狭くかつ、取り付け時に補助吸収体の一部を開口内に入れるため取り付け難い。また、取り付けても開口周縁は濡れて不衛生となるだけではなく、開口の隙間から尿が染み出すおそれがある。
【0010】
特許文献4に記載されたおむつ(吸収性物品)は、外装吸収部を補助具の外側から取り付けるため、取り替えは容易であるが、尿は、補助具の吸収体を通して外装吸収部に吸収されるため、外装吸収部を取り替えても吸収体は尿が付着したままの状態となり不衛生である。
更に、排尿があった場合に、補助具の吸収体と外装吸収体の両方が濡れるために、その両方を交換しなければならないので不経済である。
【特許文献1】特開平9−95804号公報
【特許文献2】特表2002−509461号公報
【特許文献3】特開2003−305080号公報
【特許文献4】特願2002−351770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来の補助吸収体と組み合わせたおむつ等の吸収性物品が有する前記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、吸収性パッドの取り替えを(股間部であっても)容易に行えるとともに、かつ従来のように尿が吸収性物品であるおむつ本体や下着などの着用者の下腹部を直接包むもの(ここでは外包体という)から染みだすことがなく、かつ衛生的な吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、着用者の腹側に位置する腹側部と、背側に位置する背側部と、腹側部と背側部に位置し着用者の股下に位置する股下部とからなる外包体と、該外包体の股下部近傍の内側に配置される吸収性パッドとを備えた吸収性物品であって、前記外包体は複数の開孔を有し、前記吸収性パッドは前記開孔を通して外包体に出し入れ自在であり、かつ他の吸収性パッドと連結するための連結手段を備えていることを特徴とする。
請求項2の発明は、着用者の腹側に位置する腹側部と、背側に位置する背側部と、腹側部と背側部に位置し着用者の股下に位置する股下部とからなる外包体と、該外包体の股下部近傍に配置される吸収性パッドとを備えた吸収性物品であって、前記外包体は着用者の体液を直接吸収性パッドに吸収させるための開口を有し、かつ該開口をその外面から覆い、かつその長手方向両端部に前記吸収体パッドの出入可能な隙間を残して接合したシート材を備え、前記吸収性パッドは他の吸収性パッドと連結するための連結手段を備えていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2に記載された吸収性物品において、前記外包体は、それぞれ長手方向に延在し、着用者の体液を直接吸収性パッドに吸収させるための開口を有するセンターシートと、該センターシートの内面側縁部に沿って接合された側部シートを備えたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載された吸収性物品において、前記連結手段が吸収性パッドの長手方向両端部に設けた紐又は帯状体であることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載され吸収性物品において、前記連結手段が吸収性パッドの裏面及び表面に設けた機械式ファスナー手段であることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1ないし5に記載された吸収性物品において、吸収性パッド裏面にずれ防止用の固着手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
(作用)
本発明によれば、外包体に配置した吸収性パッドを取り出すのに、それに取り付けた連結手段を用いて未使用の吸収性パッドを使用済みの吸収性パッドに連結させ、その上で使用済みの吸収性パッドを外包体に設けた開孔を通して引き出すことで、未使用の吸収性パッドを外包体の所定の位置にまで引き込み、吸収性パッドの取り替えを行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、使用済みの吸収性パッドを外包体の開孔から単に引き出すだけで未使用の吸収性パッドを外包体内の予定の位置まで引き込むことができる。しかも着用者を仰向けにした状態で吸収性パッドの交換作業を行うことができるため、従来のように着用者を作業中に横向きにするなどの身体の移動を最小にでき、作業者及び着用者の両方にとって負担を大幅に軽減することができる。
また、吸収性パッドを固定するため吸収性パッドがずれたり又ははずれたりすることがなく、漏れ等の防止ができる。
更に、吸収性パッドの取り替えを行うことで、外包体の取り替え回数を減らすことができるから、経済的でありかつゴミの減量、省資源等にも寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の吸収性物品をその1実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の外包体の1実施形態である使い捨ておむつ本体の展開図であり、図2Aは吸収性パッドの1実施形態である尿取りパッドの斜視図、図2Bはその断面図である。
本実施形態に係る使い捨ておむつは、図1に示すおむつ本体20と、図2に示すおむつ本体20内に配置される尿取りパッド30とからなっている。
【0016】
おむつ本体20は、図1に示すように、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部Aと、着用者の背側に位置する背側部Bと、腹側部Aと背側部Bとの間に位置し、着用持に着用者の股下部に位置する股下部Cとからなり、腹側部Aと背側部Bそれぞれの両側部同士が接合手段により相互に接合されて、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成される。
前記おむつ本体20の腹側部A及び股下部Cには、図示のような横方向開孔22a、22b、がその長手方向に間隔を隔てて配置されている。
この開孔22a、22bは、それぞれ後述する尿取りパッド30の引き出し口となる開孔22a及び引き込み口となる開孔22bを構成している。
【0017】
おむつ本体20は、それぞれ液透過性の表面シート25a、撥水性又は液不透過性の裏面シート25b及び両シート間に介在された液保持性の吸収体24から成り、前記吸収体24は、股下部分から腹側部A及び背側部Bに及んでいる。また、前記表面シート25a及び裏面シート25bには、ウエストギャザー、レッグギャザー形成用の弾性部材が、それぞれ伸張状態で固定されている。
【0018】
尿取りパッド30は平面視略矩形を成し、吸収体34を液透過性表面シート35aと撥水性又は液不透過性の裏面シート35bで覆い、前記表面シート35aと裏面シート35bの端部を周知の接着手段で接着して周囲をシールした構成である。
この尿取りパッド30は、その長手方向両端部に連結手段となる紐36を備えている。即ち、例えば図2Aに示すように、尿取りパッド30の長手方向両端部から連結手段となる紐36が延出している。この紐36は、図2Bに示すように、尿取りパッド30中を、吸収体34と裏面シート35bの間を通って、前記長手方向の一端側から他端側にまで延びた一連のものとして構成されている。勿論、各端部に個別に取り付けたものでもよい。
【0019】
なお、尿取りパッド30を構成する吸収体34、表面シート35a、及び裏面シート35bは、従来の使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品において用いられている液透過性の表面シート、撥水性又は液不透過性の裏面シート及び吸収体をそのまま用いることができる。また、紐36は尿取りパッド30の先端部又は後端部の中央部に1本取り付けるものであっても、或いは先端又は後端部の両側に1本ずつ計2本取り付けても、或いはそれ以上取り付けても任意である。
【0020】
図3は、使い捨ておむつ本体20に尿取りパッド30を配置して着用した状態を示す断面図である。
図示のように、前記おむつ本体20にはその腹側部Aには尿取りパッド30の引き出し口となる開孔22aがまた、股下部には尿取りパッド30の引き込み口となる開孔22bが形成されている。
尿取りパッド30は、使い捨ておむつ本体20中で、前記開孔22aと22bとの間にセットされ、その先端部から延出した紐36の先端が開孔22aから外に引き出されている。他方、尿取りパッド30の後端から延びた紐36は、前記おむつ本体20の股下部Cに設けた開孔22bから外方に延びている。
【0021】
図4は、前記紐36を結んで尿取りパッド30同士を連結した状態を示す断面図である。この図は、おむつ本体20中の使用済み尿取りパッドを取り替えるため、その引き込み開孔22bから外方に延びた紐36に未使用の尿取りパッド30の紐36を結び付けた状態を模式的に示したものである。
【0022】
尿取りパッド30を取り替えるためには、まず、図4に示すようにおむつ本体20に装着された尿取りパッド30の後端(図4中、右方向後端)の紐36と、未使用の尿取りパッド30の紐36とを結び連結する。その状態で、次ぎに、引き出し口となる開孔22aから引き出された紐36を引くか、又は開孔22aから直接手を差し込んで使用済みの尿取りパッド30を引き出すかすると、それに連結された未使用の尿取りパッド30を前記開孔22bからおむつ本体20内を所定の位置まで引き込み、セットすることができる。その後、使用済みの尿取りパッド30と未使用の尿取りパッド30との連結を解く。
【0023】
図5は、尿取りパッド30の別の実施形態を示す斜視図である。
この尿取りパッド30はその先端近傍の裏面及び後端近傍の表面に、例えば雄型としてのフック38a、雌型としてのループ38bからなる機械式ファスナー(ファスナーテープ)が尿取りパッド30の巾方向に設けられている。特に、尿取りパッド30の表面側に雌型、裏面側に雄型を設けることで、尿取りパッド30の交換作業の際に雄型フックが肌に触れにくいので好ましい。
【0024】
この尿取りパッド30の交換は、例えば、おむつ本体20の引き込み開孔22bから手で差し込んで、おむつ本体20中にセットされた尿取りパッド30の後端部の表面シート上に取り付けられた雌型ファスナー38aに、未使用の尿取りパッドの先端部の裏面シート上に取り付けた雄型ファスナー38bを接合する。続いて、取り出し開孔22aから手を差し込んで、使用済みの尿取りパッド30を引き出し、未使用の尿取りパッド30が所定の位置にきたところで、使用済み尿取りパッド30と未使用尿取りパッド30とのファスナーの係合を外し、使用済み尿取りパッドを前記引き出し開孔22aから取り出すことで完了する。
【0025】
なお、このように機械式ファスナーで尿取りパッド同士を直接連結するだけではなく、例えば、同様の機械式ファスナーを備えた帯材等の補助具を介して連結して尿取りパッドの交換を行うこともできる。
【0026】
以上のように、尿取りパッド30をおむつ本体20内の所定の位置に配置したとき、その位置に固定することができる。即ち、おむつ本体の表面シートを機械式ファスナーの雌材として機能する例えば親水性不織布で構成し、尿取りパッド30の先端側裏面に設けた雄型ファスナーを、おむつ本体20の表面に軽く押圧することで、前記不織布の表面に固定することができる。
【0027】
また、尿取りパッド30のおむつ本体20に対する固定手段としては、予め尿取りパッド裏面に粘着剤を付与しその上に剥離紙を取り付け、尿取りパッド30がおむつ本体20内の所定位置に達したときに、剥離紙を外しておむつ本体20の表面シート上に貼り付けて固定することもできる。
【0028】
更に、おむつ本体20側に予め機械式ファスナーを取り付けておき、それを尿取りパッド30の裏面側に予め取り付けておいた機械式ファスナーに係合させることで、尿取りパッド30を所定位置に固定することもできる。また、おむつ本体20側に予め雄型ファスナーを取り付けておき、尿取りパッド30の裏面シート35bを機械式ファスナーの雌材として機能する撥水性の不織布で構成することで、尿取りパッド30を所定位置に固定できる。
【0029】
次に、使い捨ておむつ本体の別の実施形態について説明する。
図6Aは別の実施形態の使い捨ておむつ本体20の平面図であり、かつ図6Bは図6AのX−X線における断面図、図6Cは着用状態における断面図であり、いずれも模式的に示したものである。
この使い捨ておむつ30は、図6Aに示すように、左右のサイドシート20a,20bと、図6Bに示すように前記サイドシート20a、20bの表側に備えた粘着剤20dにより、それぞれのサイドシート20a、20bの側端部に連結された中央のセンターシート20cからなっており、センターシート20cには開口21が形成されている。
また、図6Cに示すように、おむつ本体20外面に蓋シート23が接合され、この蓋シート23とおむつ本体20の裏面シートとの間の長手方向端部の一方の隙間22aを例えば尿取りパッド30の引き出し口(開孔)とし、他方の隙間22bを引き込み口(開孔)として、尿取りパッド30を前記開口21に合わせてセットする。
【0030】
また、図6Dのごとくセンターシート20cを前後に分割して、それぞれサイドシート20a、20bに接合することで開口21を形成させることができる。
図6Eは、液透過性の表面シート20eをおむつ本体の内面側に接合し、センターシート20cおよび表面シート20eの間に尿取りパッド30を挿入することがきるようにしたものである。更に、撥水性不織布などを用いてサイドシート20fを、サイドシート20a、20b及びセンターシート20cに接合しておむつ本体を構成することができ、更にサイドシート20f先端部に弾性材20gを付与することによりサイドシートをギャザーリングしてもよい。
図6Fに示す蓋シート23および表面シート20eをおむつ本体長手方向に接合20hすることにより尿取りパッドを左右に分割して挿入することができるようにしてもよい。
【0031】
図7は更に他の実施形態に係るおむつ本体20を模式的に示した展開平面図である。
このおむつ本体20は、図6に記載されたものが3枚のシートを張り合わせた構造であるのに対し、一枚のシートで構成されている点で相違するが、その他の点では格別相違しない。
図6に関連して説明したと同様に、図7に示した開口21を覆うため、おむつ本体20外面に蓋シート23が接合され、この蓋シート23とおむつ本体20の裏面シートとの間の長手方向端部の一方の隙間22aを例えば尿取りパッド30の引き出し口とし他方の隙間22bを引き込み口として、尿取りパッド30を前記開口21に合わせてセットする。
【0032】
以上、いずれの実施形態においても、蓋シート23の長手方向に沿った長さは、漏れ防止の点から尿取りパッド30の長さよりも長くすることが好ましい。
なお、図6及び図7に示すおむつ本体20において、尿取りパッド30を固定する方法は、予め機械式ファスナーを前記蓋シートに取り付けておくことで尿取りパッド30を前記蓋シート23の内面に固定するか、又は、前記蓋シート23の表面を不織布で構成し、尿取りパッドに取り付けた雄型ファスナーと係合させることによって固定する方法が考えられる。
【0033】
使用済み尿取りパッド30は、おむつ本体の前部側から手で取り出され、同時に連結手段により連結された未使用パッド30が股下側から引き込まれて所定位置にセットされて、ずれたり外れたりしないように固定される。
【0034】
以上の実施形態では、おむつ本体に主に一個の尿取りパッド30をセットする場合について説明したが、複数の、典型的には二個の小さい尿取りパッド30をおむつ本体20内に並置してセットする場合、おむつ本体の前記各開孔22a、22b間でおむつ本体20を構成する開孔を有さない表面シート25aと開孔を有する裏面シート25bを接合して接合ラインを形成し、このラインでおむつ本体20を縦に分離する構成とすることができる。
【0035】
この構成を採ることによって、例えば、二個の尿取りパッド30のうち、一方のみが汚れたときは、その一方のみを取り替えることができ、経済性及び省資源等の見地から好ましい使い捨ておむつを提供することができる。また、尿取りパッドを例えば左右に分離することで、使用時に狭くなっているクロッチ部分の上半分のみ広げることにより簡単に引き抜いて次の尿取りパッドと交換することができる。
また、以上の説明では、開孔22aを尿取りパッド30の引き出し口とし、開孔22bを引き込み口として説明したが、その逆であってもよい。
【0036】
以上の説明において、例えば図3に示したように、尿取りパッド30の引き出し口22aと引き込み口22bとをおむつ本体20の腹側部A及び股下部Cに設けたものは、腹側部Aから股下部Cまでの広い範囲をカバーする尿取りパッド30が使用可能であり、それによって排出される尿、便などの体液を効果的に吸収させることができ、また、性別に拘わりなく使用可能でもあるから最も好ましい。
おむつ本体20を女性専用とするときは、尿取りパッド30は股下部Cのみをカバーすればよいから、その引き出し口22aと引き込む口22bも股下部分Cに設け、また、男性専用とするときは、尿取りパッド30は腹側部Aのみに配置すればよいから、その引き出し口22aと引き込む口22bも前記腹側部側Aのみに設ければよい。
【0037】
次に、以上で説明した前記使い捨ておむつ本体20を製造する一方法について説明する。
図9は、おむつ本体20に用いる基材ウエブ40を提供する工程である。間隔をあけて並列する2つのウエブ45aおよび45bそれぞれの内側端部に連続ウエブ45cの外側端部が重なるように連続ウエブ45cを供給するとともに、接着剤60をウエブ45aおよびウエブ45bの外面側に塗布して該ウエブ45aおよび45bと該ウエブ45cを接着固定する。
【0038】
図10は、開口21を形成させる工程を示している。該ウエブ45cにアンビルロール50と対向して突出したカッティングエッジ48を備えたカッターロール46で該ウエブ45cに開口21を形成させる。
【0039】
図11は、レッグ部を切除する工程を示している。アンビルロール50bと対向して突出したカッティングエッジ48bを備えたカッターロール46bで該ウエブ45aにレッグ部25を形成させる。
さらに蓋シート23を接合する(図示せず)ことでおむつ本体20を形成することができる。
【0040】
図12は、おむつ本体20のウエブ45、45b、45cを固定した基材ウエブ40をカットする工程を示したものである。アンビルロール50cと対向して突出したカッティングエッジ48cを備えたカッターロール46cで該基材ウエブ40をおむつ本体20の長さにカット形成させる。
【0041】
図11に示された工程の後、液透過性の表面シート20eを接合しおむつ本体20とすることできる。また、図9で供給する連続ウエブ45a、45b、および45cとして、例えば予めポリエチレンなどのフィルムに不織布などを積層一体化したウエブを用いることができる。
【0042】
さらには連続ウエブ45aおよび45cを提供する際に図13について後述するように、カットした後、図14のごとく左右を置き換え、フラップ部の位相を合わせることによりレッグ部のトリムを出すことなしに該ウエブ45aおよび45cを準備し、これらの該ウエブ同士の間隔を適切に配置して(図示せず)図9の工程に提供することでレッグ部を切除した基材ウエブ40を得ることができる。
一方、開口21のトリムをなくすためにウエブ45cを、図6Dの開口21に該当する部位を形成させるように間欠で供給することによりトリムなくして開口21を形成することができる。
【0043】
即ち、図13は、例えばポリエチレンウエブ45を切断して裏面シートとなるストリップを形成する工程を示す。この工程では、アンビルロール50と対向して突出したカッティングエッジ48を備えたカッターロール46で連続ポリエチレンウエブ45をストリップ45a、45bに切断する。
【0044】
図14では、切断工程で切断されたストリップ45a、45bを組立直して複合ウエブとする工程を示している。ここでは、切断したストリップの一方のストリップ45aをロール52,54,56及び58の配置により、他方のストリップ45Bに対してコンベアー面の上方に移動させる。また、それと同時に、ストリップ45aを横方向に移動し、平面視でストリップ45bを横切り、ストリップ45aをコンベアー面上で他方のストリップ45bと接触させた時、両ストリップ45a、45bの切断端と反対側の直線の端が互いに隣接するようにし、かつストリップ45bの横の移動は、ストリップが部分的に重なった関係となるよう制御する。
【0045】
以上で説明した使い捨ておむつ本体の製造方法以外の方法として、例えば、図15に示すように、ロールから切り出されたシート片20を用い、そこからレッグ部を切除し、更に、開口21を切除してその上に蓋シート23を接合し、図中上下に吸収性パッドの出し入れ用の開孔となる隙間を残して接合する。
【0046】
以上の各製法で形成された使い捨ておむつ本体の部材を用い、例えば、その素材の吸収性パッド取り付け部に開口を形成し、その取り付け部に蓋となるシートで覆うように取り付けることでおむつ本体を完成させることができる。
【0047】
なお、使い捨ておむつ本体20に吸収体を用いず、裏面シート及び表面シートを接合してもよい。この場合、使い捨ておむつ本体自体は吸収性を持たないが、吸収性物品としては、吸収性パッドで十分な吸収性を維持することができる。
さらに、図8のごとく背側部に軟便などを吸収させるために吸収体100を配置したり、尿が吸収体100に接触しないように撥水性不織布などでギャザー110を形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は本発明の吸収性物品の1実施形態を示す使い捨ておむつにおけるおむつ本体の展開図である。
【図2】図2Aは尿取りパッドの斜視図、図2Bはその断面図である。
【図3】使い捨ておむつの着用状態を示す断面図である。
【図4】尿取りパッド同士を連結した状態における断面図である。
【図5】別の実施形態に係る尿取りパッドの斜視図である。
【図6】別の実施形態に係るおむつ本体をそれぞれ模式的に示す平面図、図6Bは図6AにおけるX−X線に沿った断面図、図6Cは着用状態を示す断面図、6Dはさらに別のおむつ本体の平面図、6E、6Fはさらに別のおむつ本体の断面図である。
【図7】さらに別の実施形態に係るおむつ本体を模式的に示す展開平面図である。
【図8】さらに別の実施形態に係るおむつ本体の着用時における断面図である。
【図9】おむつ本体に用いる基材ウエブを提供する工程を説明するための図である。
【図10】開口部を形成させる工程を説明するための図である。
【図11】レッグ部を切除する工程を説明するための図である。
【図12】おむつ本体の基材ウエブをカットする工程を説明するための図である。
【図13】ウエブ切断工程を説明するための図である。
【図14】切断したウエブの整合工程を示す図である。
【図15】おむつ本体の別の製造工程を示す図である。
【図16】従来のおむつの取り替えを説明する図である。
【符号の説明】
【0049】
20・・・おむつ本体、21・・・開口、22a・・・引き出し開孔、22b・・・引き込み開孔、23・・・蓋シート、30・・・吸収性パッド、36・・・連結用紐。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の腹側に位置する腹側部と、背側に位置する背側部と、腹側部と背側部に位置し着用者の股下に位置する股下部とからなる外包体と、該外包体の股下部近傍に配置される吸収性パッドとを備えた吸収性物品であって、
前記外包体は複数の開孔を有し、
前記吸収性パッドは前記開孔を通して外包体に出し入れ自在であり、かつ他の吸収性パッドと連結するための連結手段を備えていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
着用者の腹側に位置する腹側部と、背側に位置する背側部と、腹側部と背側部に位置し着用者の股下に位置する股下部とからなる外包体と、該外包体の近傍に配置される吸収性パッドとを備えた吸収性物品であって、
前記外包体は着用者の体液を直接吸収性パッドに吸収させるための開口を有し、かつ該開口をその外面から覆い、かつその長手方向両端部に前記吸収体パッドの出入可能な隙間を残して接合したシート材を備え、
前記吸収性パッドは他の吸収性パッドと連結するための連結手段を備えていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項2に記載された吸収性物品において、
前記外包体は、それぞれ長手方向に延在し、着用者の体液を直接吸収性パッドに吸収させるための開口を有するセンターシートと、該センターシートの内面側縁部に沿って接合された側部シートを備えたことを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された吸収性物品において、
前記連結手段が吸収性パッドの長手方向両端部に設けた紐又は帯状体であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載され吸収性物品において、
前記連結手段が吸収性パッドの裏面及び表面に設けた機械式ファスナー手段であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項1ないし5に記載された吸収性物品において、
吸収性パッド裏面にずれ防止用の固着手段を備えたことを特徴とする吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−116141(P2006−116141A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308425(P2004−308425)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】