説明

商品格納装置

【課題】販売促進効果を高められるような演出表示の可能な自動販売機などの商品格納装置を提供する。
【解決手段】本提案に係る商品格納装置は、前方から視認できるように商品を陳列して格納する筐体1と、陳列された商品に対する照明光を発生する照明ユニットと、筐体1の前面に配置される透過型液晶パネル6と、を含んで構成され、透過型液晶パネル6を通して商品を前方から視認する構造であると共に、透過型液晶パネル6が照明ユニットをバックライトとして映像表示可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
商品を選択可能に格納する商品格納装置に関する技術が以下に開示される。
【背景技術】
【0002】
商品を購入者が選択できるように格納する商品格納装置の一例として、GFV(グラスフロントベンダー)型の自動販売機が知られている。この種の、実際の商品を視認可能に陳列した商品格納装置では、特許文献1〜3に開示されるように、販売促進の演出効果を狙って、商品搬送部(バケット機構)に照明器具を付けて商品搬送時の動きを演出したり、待機時に商品搬送部を動作させて人の目を引いたりすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−262249号公報
【特許文献2】特開2010−123049号公報
【特許文献3】特開2011−018186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
販売促進効果の観点からすると、特許文献1,3の方式は商品を購入した後の商品搬送部の動作に伴う演出であり、また、特許文献2の方式は単に商品搬送部が上下左右に動いているだけなので、道行く人の目を留めさせて販売につなげるという点で、効果が弱い。すなわち、さらに販売促進効果を高められるような演出方式が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
当課題に対して提案する商品格納装置は、
前方から視認できるように商品を陳列して格納するか又は格納した商品のサンプルを前方から視認できるように設置する筐体と、
前記陳列された商品又は前記サンプルに対する照明光を発生する照明ユニットと、
前記筐体の前面に配置される透過型液晶パネルと、
を含んで構成され、
前記透過型液晶パネルを通して前記商品又は前記サンプルを前方から視認する構造であると共に、前記透過型液晶パネルが前記照明ユニットをバックライトとして映像表示可能である、商品格納装置とする。
【発明の効果】
【0006】
上記提案に係る商品格納装置によれば、透過型液晶パネルを透かして視認される商品又はサンプルに映像を重ねて表示することが可能になるので、商品の購買意欲をそそる映像を商品に重ねて映し出すといった販売促進効果の高い演出を行うことができる。また、待機時に、例えば商品に関連した人気ゲームや有名人の映像など、前を通る人の気を引くような映像を透過型液晶パネルに表示し、道行く人の目を留めさせて販売につなげるといった演出も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】商品格納装置の実施形態を示す正面図。
【図2】実施形態に係る商品格納装置の機能ブロック図。
【図3】照明ユニットの構成例を示す概略図。
【図4】実施形態に係る商品格納装置の状態遷移の一例を説明する図。
【図5】実施形態に係る商品格納装置の状態遷移の他の例を説明する図。
【図6】透過型液晶パネルの制御部が実行する処理のフローチャート。
【図7】図6中の購入者処理のフローチャート。
【図8】図6中の入金中処理のフローチャート。
【図9】図6中の災害時処理のフローチャート。
【図10】カメラユニットの制御部が実行する協働処理のフローチャート。
【図11】販売制御部が実行する協働処理のフローチャート。
【図12】通信ユニットの制御部が実行する協働処理のフローチャート。
【図13】照明ユニットの制御部が実行する協働処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
商品格納装置の実施形態について、図1に、正面から見た図で示している。
本実施形態の商品格納装置は、一例として、GFV(グラスフロントベンダー)型の自動販売機である。GFV型を例にして説明するが、前面扉に商品サンプルが設置され、内部を視認できない従来型の自動販売機でも応用可能である。この従来型の場合は、格納した商品のサンプルが設置される前面扉の窓部分に透過型液晶パネルを適用することが可能である。また、コンビニエンスストアなどの店舗でペットボトル飲料等を陳列してある冷蔵庫(ショーケース)型の商品格納装置において、その前面の扉に透過型液晶パネルを適用しても同じことができる。
【0009】
図示の商品格納装置は、前方から視認できるように商品を陳列して格納する筐体1を備え、この筐体1は、横方向に並ぶ商品格納庫1aと販売機器格納庫1bとに仕切られる。また、これら商品格納庫1a及び販売機器格納庫1bの下方には、商品格納庫1aの空調機を格納した空調機格納庫1cが設けられている。
商品格納庫1aの中には、商品を陳列して格納するための商品ラック(棚)1dが縦方向(上下方向)に複数段備えられ、その各商品ラック1dに、商品収納コラム1eが横方向(左右方向)に複数列並べて設けられている。各商品収納コラム1eは、奥行き方向(前後方向)に延びており、複数の商品を奥行き方向へ一列に並べて収納し、一つずつ取り出せるようにしてある。商品格納庫1aの前面は全体的に開口部分となっており、商品ラック1dにおける最前列の商品が視認できるものとなっている。このような筐体1については、前述の特許文献にも詳しく説明されている。
【0010】
販売機器格納庫1bには、商品ラック1dにより陳列して格納された商品を購入者が選択するための商品選択部2、及び、硬貨、紙幣の入金を受け付ける金銭受入部3などが格納される。商品選択部2は、数字ボタンを押して商品番号を入力することにより商品を選択する仕組みをもつ。また、金銭受入部3は、貨幣投入口及び紙幣投入口を備えると共に、投入した金銭を払い戻して購入を取り消すための取消レバーを備える。これら商品選択部2及び金銭受入部3を格納した販売機器格納庫1bの下側に、購入した商品を取り出すための取出口1fが設けられている。取出口1fへ商品を搬送する商品搬送部4は、商品格納庫1aにおいて、商品ラック1dの前方で縦横方向(X軸−Y軸)に動作し、商品選択部2を操作して購入者が選択した商品を、商品ラック1dから受け取って取出口1fへ搬送する。
【0011】
商品格納庫1a内に、商品ラック1dに陳列された商品に対する照明光を発生する、後述の照明ユニット5(図3参照)が設置される。そして、この照明ユニット5をバックライトとして使用し、映像を表示可能である、透過型液晶パネル6が、商品格納庫1aの開口部分を覆う片開きの扉として、筐体1の前面に配置される。すなわち、本商品格納装置は、透過型液晶パネル6を通して、陳列された商品を前方から視認する構造である。透過型液晶パネル6は、周縁を囲繞するフレーム6aを有し、該フレーム6aが筐体1にヒンジ接続されて開閉し、且つこのフレーム6a中に駆動回路を納めた構造である。透過型液晶パネル6は専用のバックライトを持たず、背面にバックライト部品を備えていないので、当該透過型液晶パネル6を透かして筐体1の内部を視認することが可能である。本実施形態の透過型液晶パネル6は、前面全域にタッチパネルを備えるものとしてある。
このように、予め透過型液晶パネル6を前面扉として組み付ける様式の他に、透過型液晶パネル6は、既存のGFV型自動販売機等に後付けで取り付けることもできる。例えば、既存機にある前面扉の前面に透過型液晶パネル6を取り付けたり、あるいは、フレームにヒンジ機構を設け透過型液晶パネル6の周縁を囲繞した液晶パネルユニットを用意し、そのヒンジ機構を筐体1の側面に固定して、既存の前面扉とは別に開閉する様式とするなど、種々の様式で後付けすることができる。
【0012】
このような商品格納装置に関する機能ブロック図を図2に示す。
筐体1には、上述の商品選択部2、金銭受入部3、商品搬送部4と、これらを統括制御するマイクロコンピュータ等の販売制御部7が備えられる。この他、筐体1には、照明ユニット5、カメラユニット8、通信ユニット9、空調ユニット10、記憶部11が備えられている。照明ユニット5は、商品格納庫1a内を照らすと共に透過型液晶パネル6のバックライトとなる。カメラユニット8は、周知の顔認証機能をもち、商品格納装置の前に立った購入者の人物情報を生成する。通信ユニット9は、災害/緊急情報の配信を受けたり、ニュースやCM等のコンテンツ情報をサーバからダウンロードし、販売状況をアップロードするなど、外部設備と有無線で通信を行う。空調ユニット10は、商品格納庫1a内の空調用である。記憶部11は、プログラムや各種データを記憶する、半導体メモリやHDD等である。
【0013】
透過型液晶パネル6の制御部6bは、マイクロコンピュータ等からなり、内蔵したプログラムに従って、販売制御部7、照明ユニット5の制御部5a、カメラユニット8の制御部8a、通信ユニット9の制御部9a、空調ユニット10の制御部10a、及び記憶部11と通信し、協働して各種の処理を実行する。以下、その処理について具体例で説明する。
【0014】
まず、透過型液晶パネル6が映像を表示するときに、照明ユニット5が映像表示用に照明光を調節する処理について、図3を参照して説明する。図3には、照明ユニット5の設置状態を概略的に示してあり、筐体1及び透過型液晶パネル6は点線で表している。
【0015】
図3Aに示す例の照明ユニット5は、商品格納庫1a内の前側において左右の側部壁面にそれぞれ設けられた前側照明5bと、商品格納庫1a内の最奥部壁面に設けられた後側照明5cと、を含んで構成される。前側照明5bは、蛍光灯又はLEDライトを縦方向に設置した縦長棒状の光源を利用して構成され、商品ラック1dに陳列された商品を前方から照らす。後側照明5cは面発光パネルで、これにより商品格納庫1aの後面広域が発光する状態になり、商品格納庫1aの奥から前方へ向け照明光が発生され、透過型液晶パネル6のバックライトとしての機能が発揮される。これら前側照明5b及び後側照明5cは、いずれも複数段階(オフ・低・中・高の四段階等)で輝度を調節することができる。
【0016】
図3Aの例において、パネル制御部6bから商品優先照明の通知(後述)を受けた照明制御部5aは、該通知に応じて、前側照明5bを高輝度にすると共に後側照明5cをオフ又は低輝度とする。この制御により、前側照明5bから最前列の商品群に向かって照明が当てられ、陳列された商品の視認に適した照明状態に調節されるので、透過型液晶パネル6を通して商品を視認しやすくなる。
また、パネル制御部6bから両立照明の通知(後述)を受けた照明制御部5aは、該通知に応じて、前側照明5b及び後側照明5cを両方とも中輝度にする。すると、前側照明5bによる最前列商品群に対する照明と後側照明5cによるバックライトとしての照明とが両立し、陳列された商品が透けながら、透過型液晶パネル6の表示する映像も見えるという、商品と映像を半々に重ねた(液晶パネルの透過率50%等)ような表示が可能となり、商品と映像の両方の視認に適した照明状態に調節される。
そして、パネル制御部6bから映像優先照明の通知(後述)を受けた照明制御部5aは、該通知に応じて、前側照明5bをオフ又は低輝度にすると共に後側照明5cを高輝度とする。この制御により、前側照明5bから商品を照らす光が減り、後側照明5cから透過型液晶パネル6の背面へ向かうバックライトとしての光が増えるので、透過型液晶パネル6が表示する映像の視認に適した照明状態に調節される。
【0017】
図3Bに示す例の照明ユニット5は、商品格納庫1a内の前側において左右の側部壁面にそれぞれ設けられる前側照明5bについて、回動支持部材5dにより軸支し、配光を変更できるようにしてある。すなわち、面発光パネルの後側照明5cを設ける代わりに、前側照明5bを回動可能にして商品優先照明から映像優先照明まで配光を変えられるようにした例である。前側照明5bの回動は、回動支持部材5dに組み込まれたモータ及びギヤにより実行される。なお、図3Bの例は、図3Aの例と組み合わせて実施することもできる。また、前側照明5bを回動させる代わりに、透過型液晶パネル6の背面を照らす前方に向いた光源(蛍光灯、LED等)と、商品格納庫1a内の商品を照らす後方に向いた光源(蛍光灯、LED等)とを備えた前側照明5bとし、これら2つの光源の点灯/減灯/消灯を制御することで、同等機能をもたせることもできる。
【0018】
図3Bの例において、パネル制御部6bから商品優先照明の通知を受けた照明制御部5aは、前側照明5bが後方へ向くように回動支持部材5dを制御し、商品格納庫1a内の商品に向かう配光とする。これにより、最前列の商品群が照らされ、陳列された商品の視認に適した照明状態に調節される。
また、パネル制御部6bから映像優先照明の通知を受けた照明制御部5aは、前側照明5bが前方へ向くように回動支持部材5dを制御し、透過型液晶パネル6の背面に向かう配光とする。これによりバックライトとしての光が増え、透過型液晶パネル6が表示する映像の視認に適した照明状態に調節される。
そして、パネル制御部6bから両立照明の通知を受けた照明制御部5aは、商品優先照明と映像優先照明の中間の向き、すなわち、両方の前側照明5bが互いに向き合うように回動支持部材5dを制御し、商品と透過型液晶パネル6の両方に向かう配光とする。これにより、商品と透過型液晶パネル6の両者が同じように照らされ、商品と映像の両方の視認に適した照明状態に調節される。
【0019】
図4に、以上のように透過型液晶パネル6を前面に備えた商品格納装置の状態遷移例を示す。
当該商品格納装置は、待機状態にあるとき、照明ユニット5が映像優先照明となり、透過型液晶パネル6に映し出される映像の視認に適した状態になる。待機状態の透過型液晶パネル6は、図示の例では、販促効果促進の演出として、通行人の気を引くように、大きなデジタル時計で時刻を映し出している。待機状態の商品格納装置の前に人が立つと、カメラユニット8がこれを認識し、購入者探知状態へ遷移する。購入者探知状態では照明ユニット5が映像優先照明となり、カメラユニット8の顔認証機能で識別された購入者の性別、年齢、身長、立っている場所に従って、それぞれ異なるおすすめ商品を紹介するCM映像が、透過型液晶パネル6において購入者の見易い位置に映し出される。この後、購入者が金銭を金銭受入部3に投入すると、商品格納装置は販売状態へ遷移する。販売状態の商品格納装置では、照明ユニット5が商品優先照明となり、商品の視認に適した状態になる。商品選択部2を利用して購入者が商品を選択すると、照明ユニット5が両立照明となり、商品と映像の両方の視認に適した状態になる。そして、商品搬送部4が動作して選択商品を商品ラック1dから取出口1fへ搬送すると同時に、この商品搬送部4の搬送動作に連動して(バケットの移動に追随して)、図示の例では、人の手が選択商品を取り出しているような映像が透過型液晶パネル6に映し出される。
【0020】
この販売状態の他の例として、商品選択部2に、商品番号を入力する押しボタン等の手段、入力した商品番号を確定する押しボタン等の手段、そして、入力した商品番号をリセットする押しボタン等の手段が備えられていれば、次のようにすることができる。
購入者が商品選択部2で商品番号を入力してから該入力商品番号を確定するまでの間に、その入力した商品番号に該当する商品の情報を透過型液晶パネル6に表示する。購入者が商品の選択に迷っている場合には、商品情報を見ることが選択の一助となる。その結果、別の商品が良ければ、購入者は、入力した商品番号をリセットして新たな商品番号を入力し、当該商品の情報を見ることができる。例えば、商品としてボトル詰めのTシャツが販売されている場合、購入者は、商品番号を入力すると、確定ボタンを押す前に、透過型液晶パネル6に表示された該当Tシャツの柄を確認することができる。気に入らなければ当該商品の選択をリセットして別の商品を選択し、透過型液晶パネル6に表示させて確認する。納得したら、確定ボタンを押して購入することができる。
【0021】
購入者探知状態で購入者がタッチパネルにタッチした場合、商品格納装置は情報表示状態へ遷移し、照明ユニット5が映像優先照明となり、先に表示していたおすすめ商品の詳細情報や近隣のおすすめスポットなどの地域情報が透過型液晶パネル6に映し出される。次に購入者がタッチパネルにタッチすると、情報表示状態から購入者探知状態へ戻る。一方、待機状態で通信ユニット9に災害情報や緊急情報が受信された場合は、災害時・緊急時表示状態となり、照明ユニット5が映像優先照明になって、避難場所の地図や速報などが透過型液晶パネル6に映し出される。
【0022】
図5には、状態遷移の別の例を示す。
この例の商品格納装置は、待機状態にあるとき、照明ユニット5が商品優先照明となり、商品の視認に適した状態になる。待機状態の商品格納装置の前に人が立つと、カメラユニット8がこれを認識し、購入者探知状態へ遷移する。購入者探知状態では照明ユニット5が映像優先照明となり、カメラユニット8の顔認証機能で識別された購入者の性別、年齢、身長、立っている場所に従って、それぞれ異なるカテゴリを選択できるカテゴリ選択映像が、透過型液晶パネル6において購入者の見易い位置に映し出される。例えば、当該商品格納装置は、缶飲料、ボトル詰めしたTシャツ・化粧道具・新商品を販売しており、そのカテゴリを表したボタン−飲料A/アパレルB/コスメC/ノベルティD−が透過型液晶パネル6に表示される。タッチパネルの所定位置がタッチされ、映像中のカテゴリボタンが選択されると、照明ユニット5が両立照明になると共に透過型液晶パネル6には、選択カテゴリ以外の商品を目隠しする映像が映し出される。この状態で購入者が、見てみたい商品の位置でタッチパネルにタッチすると、該当商品をクローズアップして宣伝する映像が透過型液晶パネル6に映し出される。この後、購入者が金銭を金銭受入部3に投入すると、商品格納装置は販売状態へ遷移し、照明ユニット5が商品優先照明となる。そして、商品選択部2を利用して購入者が商品を選択すると、照明ユニット5が両立照明となり、商品搬送部4が動作して選択商品を商品ラック1dから取出口1fへ搬送すると同時に、この商品搬送部4の搬送動作に連動して、人の手が選択商品を取り出しているような映像が透過型液晶パネル6に映し出される。
【0023】
上記のような照明調節及び状態遷移を行う商品格納装置において、図2に示した各制御部は、次のような処理を実行する。
【0024】
待機状態において透過型液晶パネル6の制御部6bが実行する処理について、図6のフローチャートに示している。
図6Aに示すように、ステップS1で待機中処理を実行したパネル制御部6bは、購入者探知かどうか、すなわち、カメラ制御部8aから人物情報が受信されるか否か、ステップS2で確認する。購入者探知でなければステップS3へ進み、パネル制御部6bは、入金有りか否か、すなわち、販売制御部7から入金有りの情報が受信されるか否か確認する。入金が確認されなければステップS4へ進み、パネル制御部6bは、災害/緊急情報受信か否か、すなわち、通信制御部9aから災害情報や緊急情報が受信されるか否か確認する。災害/緊急情報が受信されなければリターンし、待機中処理を実行するパネル制御部6bは、所定周期で図6Aのフローを繰り返す。
【0025】
図6Bには、パネル制御部6bが実行する待機中処理のフローチャートが示されている。ステップS10で待機中処理を開始したパネル制御部6bは、ステップS11で、照明制御部5aへ映像優先照明を通知する。当該通知に従い照明制御部5aは、図3で説明したように、映像優先照明の処理を実行する。映像優先照明を通知したパネル制御部8aは、ステップS12で、記憶部11に記憶されている待機時映像を読み出して、透過型液晶パネル6で表示する処理を実行する。パネル制御部6bは、待機映像表示を実行しつつ、図6AのステップS2以降を実行する。
【0026】
ステップS2で購入者探知であった場合、商品格納装置は購入者探知状態に遷移し、当該パネル制御部6bは、受信された人物情報を利用して、ステップS5の購入者処理を実行する。この購入者処理のフローチャートについて、図7に示す。
ステップS20で購入者処理を開始するパネル制御部6bは、ステップS21で照明制御部5aへ映像優先照明を通知すると共に、ステップS22で、人物情報に含まれた性別、年齢、身長、立っている位置の情報に基づいて、記憶部11に記憶されている該当の映像をアクセスして、透過型液晶パネル6で購入者の見易い位置に表示する処理を実行する。続いてステップS23へ進むパネル制御部6bは、パネルタッチが有るか否か監視し、タッチがあればステップS24で、そのタッチパネル上のタッチ位置に応じた情報を記憶部11から読み出し、透過型液晶パネル6で表示する処理を実行する。この後のパネル制御部6bは、ステップS25で再度のパネルタッチが有るか否か監視し、無ければステップS24の情報表示を継続し、タッチが有れば、ステップS26へ進む。ステップS26でパネル制御部6bは、ステップS22の映像を表示すると共に、入金が有るか否か、販売制御部7から入金有りの情報が受信されるのを待ち、入金が確認されれば、入金中処理のステップS6を実行する。ステップS26で入金を監視するパネル制御部6bは、入金有りが判断されない間、ステップS27で、3分や5分といった所定時間の経過をカウントする。これにより、入金有りが判断されないまま所定時間が経過したときには、パネル制御部6bは、待機時映像を表示する待機中処理のステップS1へ戻る。
【0027】
ステップS3で入金有りであった場合、商品格納装置は販売状態に遷移し、当該パネル制御部6bは、ステップS6の入金中処理を実行する。この入金中処理のフローチャートについて、図8に示す。
ステップS30で入金中処理を開始するパネル制御部6bは、ステップS31で照明制御部5aへ商品優先照明を通知すると共に、ステップS32で、販売制御部7から購入商品位置情報が受信されるか否か監視する。購入商品位置情報は、商品選択部2により選択された商品のX−Y位置座標を含み、商品搬送部4のバケットは、その位置座標へ最短距離で移動し且つ該位置から最短距離で取出口1fまで移動するようにプログラミングされている。したがって、選択商品の位置座標があれば、対応する商品搬送部4のルート(移動の軌跡及び速度)が把握される。パネル制御部6bは、この位置座標とルートを対応させたテーブルを、記憶部11等を利用して保有しており、販売制御部7から購入商品位置情報が受信されると、商品搬送部4のバケットの動きに同期させた映像を透過型液晶パネル6で表示することができる。なお、商品選択部2で選択可能な番号と位置座標とが対応させてあれば、選択された商品の番号を販売制御部7から受信することで、パネル制御部6bは、商品搬送部4に連動する映像を透過型液晶パネル6で表示することができる。
ステップS32で購入商品位置情報が受信されない場合のパネル制御部6bは、ステップS33で、販売制御部7から取消情報が受信されるか否か確認し、購入の取り消しを判断する。パネル制御部6bは、取り消しでなければステップS32の監視を続行し、取り消しであれば、待機中処理のステップS1へ戻る。
ステップS32で購入商品位置情報が受信された場合のパネル制御部6bは、ステップS34で照明制御部5aへ両立照明を通知すると共に、ステップS35で、購入商品位置情報に基づいて、商品搬送部4に連動する映像を透過型液晶パネル6で表示する。そして、パネル制御部6bは、商品の搬送が終わるとステップS37へ進んで、記憶部11に記憶された「ありがとうございました。」等のコメントを読み出して透過型液晶パネル6で表示し、待機中処理のステップS1へ戻る。
【0028】
ステップS4で災害/緊急情報が受信された場合、商品格納装置は災害時・緊急時表示状態に遷移し、当該パネル制御部6bは、受信された災害/緊急情報に従って、ステップS7の災害・緊急時処理を実行する。この災害・緊急時処理のフローチャートについて、図9に示す。
ステップS40で災害・緊急時処理を開始するパネル制御部6bは、ステップS41で照明制御部5aへ映像優先照明を通知すると共に、ステップS42で、通信制御部9aから受信される災害/緊急情報に基づいて、記憶部11に記憶されている避難場所の地図等をアクセスして、透過型液晶パネル6で表示する処理を実行する。このとき、災害/緊急情報に速報等の表示情報が含まれていれば、当該情報も透過型液晶パネル6で表示する。また、通信制御部9aから続報が受信されればこれも透過型液晶パネル6で表示する。災害/緊急情報を表示したパネル制御部6bは、ステップS43において、通信制御部9aから解除情報が受信されるか否かで災害時・緊急時情報表示の終了を監視しており、終了にならないうちは表示を続行し、終了が確認されれば、待機中処理のステップS1へ戻る。
【0029】
図10は、購入者探知状態でパネル制御部6bと協働するカメラ制御部8aの処理を示したフローチャートである。
カメラ制御部8aは、ステップS50で、商品格納装置の待機状態における撮像を開始しており、そしてステップS51で、撮像した画像を随時処理し、人が商品格納装置の前に立ち止まるか否かステップS52で検出する。ステップS52で購入者が検出されるとパネル制御部6bは、ステップS53で、その顔認証を実行して、性別、年齢、身長、立っている位置などの人物情報を生成する。生成した人物情報は、ステップS54でパネル制御部6bへ送信し、カメラ制御部8aはリターンして撮像を継続する。
【0030】
図11は、販売状態でパネル制御部6bと協働する販売制御部7の処理を示したフローチャートである。
フローを開始する販売制御部7は、ステップS60で、金銭受入部3を監視して購入者からの入金か有るか否か継続して確認している。入金が有ると販売制御部7は、ステップS61で入金有りの情報をパネル制御部6bへ送信し、ステップS62へ進んで、商品選択部2を監視して購入者の商品選択、すなわち数字ボタンによる番号入力を待つ。商品選択が無い間の販売制御部7は、ステップS63で、金銭受入部3にある取消レバーの操作を監視している。ステップS62で商品選択があれば、販売制御部7は、ステップS64でパネル制御部6bへ購入商品位置情報を送信し、ステップS65で商品搬送部4を動作させて、購入商品を商品ラック1dから受け取らせて取出口1fまで搬送させる。
ステップS63で取消レバーの操作があって購入が取り消された場合の販売制御部7は、ステップS66で、パネル制御部6bへ取消情報を送信する。そして、販売制御部7は、ステップS67において、ステップS60で受け入れた金銭を払い戻し、リターンする。
【0031】
この処理の他の例として、上述したように、商品選択部2に、商品番号を入力する押しボタン等の手段、入力した商品番号を確定する押しボタン等の手段、そして、入力した商品番号をリセットする押しボタン等の手段が備えられていれば、これに応じた次のような処理を実行することができる。
すなわち、購入者により商品選択部2で商品番号が入力されてから該入力商品番号が確定されるまでの間に、販売制御部7は、その入力された商品番号の情報をパネル制御部6bに送信し、これに応じるパネル制御部6bが該当する商品の情報を透過型液晶パネル6で表示する。購入者が別の商品が見たくて、商品選択部2を操作し、入力した商品番号をリセットして新たな商品番号を入力した場合は、販売制御部7がその新たに入力された商品番号の情報をパネル制御部6bに送信し、これに応じるパネル制御部6bが該当する商品の情報を透過型液晶パネル6で表示する。例えば、商品中にボトル詰めのTシャツがある場合、購入者は、商品番号を入力すると、確定ボタンを押す前に、透過型液晶パネル6に表示された該当Tシャツの柄を確認することができる。気に入らなければ当該商品の選択をリセットして別の商品を選択し、透過型液晶パネル6に表示させて確認する。購入者が納得して商品選択部2の確定ボタンを押せば、販売制御部7が、パネル制御部6bへ購入商品位置情報を送信し、商品搬送部4を動作させて、購入商品を商品ラック1dから受け取らせて取出口1fまで搬送させる一方、これに合わせてパネル制御部6bが映像を透過型液晶パネル6で表示する。
【0032】
図12は、災害時・緊急時表示状態でパネル制御部6bと協働する通信制御部9aの処理を示したフローチャートである。
フローを開始する通信制御部9aは、ステップS70で、外部サーバから災害/緊急情報が配信されるか否かを継続して監視している。災害/緊急情報が受信された場合の通信制御部9aは、ステップS71で災害/緊急情報をパネル制御部6bへ送信し、さらにステップS72で、続報の受信を継続して、続報があればこれもパネル制御部6bへ送信する。そして通信制御部9aは、ステップS73で、サーバから解除情報が配信されるか否かを確認し、解除情報が配信されない間はステップS72を継続する。ステップS73で解除情報が受信された場合の通信制御部9aは、ステップS74へ進んでパネル制御部6bへ解除情報を送信し、リターンする。
なお、災害時・緊急時表示状態の解除は、所定時間のうちにサーバから続報や解除情報の受信が無い場合に、通信制御部9aからパネル制御部6bへ解除情報を送信する流れとすることもできる。
【0033】
図13は、パネル制御部6bによる照明通知に対応する照明制御部5aの処理を示したフローチャートである。
ステップS80で照明を開始する照明制御部5aは、ステップS81でパネル制御部6bからの通知を分析し、ステップS82で、該通知が商品優先照明の通知か否かを判断する。商品優先照明の通知であった場合は、ステップS83で、通知に従い、商品の視認に適した照明状態に調節し(上述)、リターンする。商品優先照明の通知でなければ、照明制御部5aは、ステップS84で両立照明の通知か否かを判断し、両立照明の通知であった場合は、ステップS85で、通知に従い、商品と映像の両方の視認に適した照明状態に調節し(上述)、リターンする。両立照明の通知でなければ、照明制御部5aは、ステップS86へ進んで、通知に従い、映像の視認に適した照明状態に調節し(上述)、リターンする。
【0034】
以上の例に述べた処理の他、パネル制御部6bは、空調ユニット10の制御部10aと通信して、現在の庫内温度や庫外温度を受信し、その温度差に応じた表示処理を実行することもできる。例えば、庫外温度が高い場合には透過型液晶パネル6を全域白表示として庫内の温度上昇を抑制したり、逆に庫外温度が低い場合には透過型液晶パネル6を全域黒表示として消費電力を抑制したりといった処理を実行可能である。
【0035】
以上の実施形態に係る商品格納装置によれば、上記に示したような多様な映像の演出で、販売促進の効果を上げることができる。特に、透過型液晶パネルを透かして視認される商品又はサンプルに映像を重ねて表示することが可能になるので、商品の購買意欲をそそる映像を商品に重ねて映し出すといった販売促進効果の高い演出を行うことができる。また、待機時に、上記のような映像の他、例えば商品に関連した人気ゲームや有名人の映像など、前を通る人の気を引くような映像を透過型液晶パネルに表示し、道行く人の目を留めさせて販売につなげるといった演出が可能になる。
【符号の説明】
【0036】
1 筐体
1a 商品格納庫
1b 販売機器格納庫
2 商品選択部
3 金銭受入部
4 商品搬送部
5 照明ユニット
6 透過型液晶パネル
7 販売制御部
8 カメラユニット
9 通信ユニット
10 空調ユニット
11 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方から視認できるように商品を陳列して格納するか又は格納した商品のサンプルを前方から視認できるように設置する筐体と、
前記陳列された商品又は前記サンプルに対する照明光を発生する照明ユニットと、
前記筐体の前面に配置される透過型液晶パネルと、
を含んで構成され、
前記透過型液晶パネルを通して前記商品又は前記サンプルを前方から視認する構造であると共に、前記透過型液晶パネルが前記照明ユニットをバックライトとして映像表示可能である、商品格納装置。
【請求項2】
前記照明ユニットは、前記透過型液晶パネルが映像を表示するときに、映像表示用に前記照明光を調節する、請求項1記載の商品格納装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記商品を陳列して格納するための複数の商品ラックと、前記商品を選択するための商品選択部と、前記商品ラックの前方で縦横方向に動作し、選択された前記商品を前記商品ラックから受け取って取出口へ搬送する商品搬送部と、を有し、
前記透過型液晶パネルは、前記商品搬送部の動作に連動する映像を表示する、請求項1又は請求項2記載の商品格納装置。

【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−92902(P2013−92902A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234399(P2011−234399)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】