説明

商品陳列什器

【課題】ストッカの後部の形状を商品の陳列に適するものとし、ストッカの向きを前後反転させて使用することにより、ストッカに商品陳列機能を持たせることができ、販売促進を図ることができるようにした商品陳列什器を提供する。
【解決手段】ベース棚板7の下方に、前面が開放するストッカ収容空間9を設け、このストッカ収容空間9に、ストッカ10を収容した商品陳列什器において、ストッカ10の上面を商品陳列面Fとし、ストッカ10の前面を、ストッカ収容空間9の前面を閉塞しうるとともに、商品陳列面Fより上方に突出する閉塞板15により形成し、かつストッカ10の後部における商品陳列面F上に、閉塞板15の上端より低寸の落下防止柵19を設け、ストッカ10を、前後の向きを変えてストッカ収容空間9に出し入れしうるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース棚板の下方に、前面が開放するストッカ収容空間を設け、このストッカ収容空間に、ストッカを収容した商品陳列什器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の商品陳列什器には、ストッカをレールに沿って引出し可能としたものや(例えば特許文献1参照)、ストッカの下面にキャスターを設けて、ストッカを床面に沿って引出し可能としたもの(例えば特許文献2参照)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−130362号公報
【特許文献2】特開2005−304657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような従来の商品陳列什器においては、ストッカは、予備の商品等の収容のみを目的とし、ストッカを前方に引き出して、その中の商品を陳列することは意図していない。
【0005】
それは、ストッカに収容した商品は、床面に近い場所に位置し、それを取り出すためには、顧客が屈まなければならず、出入れが不便であるとともに、ストッカの前面板がその出入れの妨げとなるからである。
ストッカの前面板は、ストッカをストッカ収容空間に収容したとき、ストッカ収容空間の前面を閉塞するためのものであるので、これを低くすることはできないことも影響している。
【0006】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、ストッカの後部の形状を商品の陳列に適するものとし、ストッカの向きを前後反転させて使用することにより、ストッカに商品陳列機能を持たせることができ、販売促進を図ることができるようにした商品陳列什器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) ベース棚板の下方に、前面が開放するストッカ収容空間を設け、このストッカ収容空間に、ストッカを収容した商品陳列什器において、前記ストッカの上面を商品陳列面とし、前記ストッカの前面を、前記ストッカ収容空間の前面を閉塞しうるとともに、前記商品陳列面より上方に突出する閉塞板により形成し、かつ前記ストッカの後部における前記商品陳列面上に、前記閉塞板の上端より低寸の落下防止柵を設け、前記ストッカを、前後の向きを変えて前記ストッカ収容空間に出し入れしうるようにする。
【0008】
このような構成とすると、ストッカを、ストッカ収容空間より前方に引出して、前後の向きを反転させ、商品陳列面上に商品を陳列することができ、商品の陳列面積を増大させて、商品の販売促進を図ることができる。
このとき、前方に位置した落下防止柵は、閉塞板より低いので、商品陳列面上の商品を取り出し易くなる。
後方に位置した閉塞板は、ストッカ収容空間の開口部内に位置させておくと、その開口部を閉塞することができ、商品陳列時の体裁をよくすることができる。
ストッカ上に商品を陳列しておく必要のないときは、ストッカを元の向きに戻して、ストッカ収容空間内に収容し、ストッカ収容空間の開口部を閉塞板をもって閉塞しておくことにより、体裁をよくすることができるとともに、商品陳列什器の占有床面積を小さくすることができる。
【0009】
(2) 上記(1)項において、ストッカを、上面が開放する箱状とし、その上端開口部に、上面板を着脱自在に設け、この上面板の上面をもって、商品陳列面の一部とするとともに、前記上面板より下方のストッカ内の空間を予備商品収容空間とする。
【0010】
このような構成とすると、上面板より下方のストッカ内の空間を、ストッカ本来の予備商品等の収容空間として使用することができる。
【0011】
(3) 上記(2)項において、上面板の一部に、手掛け孔を設ける。
【0012】
このような構成とすると、上面板を、ストッカに着脱し易くなる。
【0013】
(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、閉塞板の下縁に、手掛け用の凹部を設ける。
【0014】
このような構成とすると、手掛け用の凹部に手を掛けて、ストッカを前方に引き出し易くなる。
【0015】
(5) 上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、ストッカ収容空間の後部より起立する左右1対の支柱をもって、1または複数の棚板を、ベース棚板の上方に支持しうるようにする。
【0016】
このような構成とすると、棚板上に商品を陳列して、商品の陳列面積を増大させ、商品の販売促進を図ることができ、また左右1対の支柱によって、複数の棚板、ベース棚板およびストッカ収容空間の構成部材を安定よく支持することができるとともに、構成を簡略化することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、ストッカの後部の形状を商品の陳列に適するものとし、ストッカの向きを前後反転させて使用することにより、ストッカに商品陳列機能を持たせることができ、販売促進を図ることができるようにした商品陳列什器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の商品陳列什器の一実施形態における、片方のストッカを引き出して前後反転させ、その上面を商品陳列面として使用するときの状態を、斜め前上方から見た斜視図である。
【図2】図1におけるII−II線縦断側面図である。
【図3】ストッカを、上面板を外した状態で斜め前上方から見た拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1〜図3は、本発明をパン販売用の商品陳列什器に適用した一実施形態を示す。
【0020】
図1および図2に示すように、この商品陳列什器は、左右方向に適宜の間隔をもって床面上に立設した角管状の複数の(図示の例では3個の)支柱1を備えている。
各支柱1の前面には、多数のスリット2が、左右2列として、かつ上下方向に等間隔をもって穿設されている。
【0021】
左右の支柱1、1の上部同士、下部同士、および中間部同士は、左右方向を向く横連結杆3(図2参照)をもって互いに連結され、その前面において、左右の支柱1、1間には、バックパネル4が取り付けられている。
【0022】
左右の支柱1、1の下部前面には、側板5の後端部に固着したブラケット6の後端に設けた複数の係止片6aを、各支柱1の前面における対応するスリット2にそれぞれ係止することにより、左右1対の側板5、5が取り付けられ、両側板5、5上には、ベース棚板7が架設され、側板5、5に適宜固着されている。
【0023】
ベース棚板7の前部上面には、線材を折曲して形成した落下防止柵8が、ほぼ全幅に亘って設けられている。
【0024】
ベース棚板7と左右の側板5、5とによって、前面が開放するストッカ収容空間9が形成され、このストッカ収容空間9内に、ストッカ10が収容しうるようになっている。図1に示す例では、左右2個のストッカ収容空間9、9が形成され、そのそれぞれにストッカ10が収容しうるようになっている。
【0025】
ストッカ10は、上面が開放する箱状のストッカ本体11を有し、その底板12の下面4隅に設けたキャスタ13をもって、床面上を前後左右に移動可能、かつ垂直軸回りに回転可能となっている。
【0026】
ストッカ本体11は、上記底板12と、その両側部に立設した両側板14、14と、それらの前端に固着され、かつストッカ収容空間9の前面を閉塞しうる閉塞板15と、底板12および両側部の後端に固着され、それらの後面を閉塞する後面板16とからなっている。
【0027】
ストッカ本体11内における上端開口部より僅かに下方の4隅には、受片17が固着されており、この4個の受片17によって、上面板18が、着脱可能として、ほぼ水平に支持されている。
【0028】
上面板18の前後いずれかの中央部には、手掛け孔18aが設けられており、この手掛け孔18aに手を掛けることによって、上面板18をストッカ本体11内に容易に着脱できるようにしてある。
【0029】
上面板18の上面と、両側板14、14の上端と、後面板16の上端とは、閉塞板15の上端より下方に位置し、それらによって商品陳列面Fが形成されている。
【0030】
商品陳列面Fの一部をなす後面板16の上端には、落下防止柵8と同様の落下防止柵19が設けられている。この落下防止柵19は、閉塞板15の上端より低寸としてある。
【0031】
ストッカ本体11内における上面板18より下方の空間は、予備商品収容空間20としてあり、上面板18をストッカ本体11から取り外すことにより、この予備商品収容空間20内に、予備商品を収容しうるようになっている。
【0032】
閉塞板15の下縁中央と、後面板16の下縁中央とには、円弧状の手掛け用の凹部21、22が設けられており、これらの凹部21、22に手を挿入することにより、ストッカ10を移動し易くしてある。
【0033】
ストッカ収容空間9の後部より起立する左右1対の支柱1、1の前面には、左右1対のブラケット23、23が、その後端に設けた複数の係止片23a、23aを、各支柱1の前面における対応するスリット2にそれぞれ係止することにより、互いに等高として取り付けられ、この両ブラケット23、23をもって、複数の棚板24が、ベース棚板7の上方に多段状に支持されている。
【0034】
この商品陳列什器においては、普段は、ストッカ10を、図1の左方に示すように、閉塞板15が前方を向くようにして、ストッカ収容空間9内に収容し、ストッカ収容空間9の開口部を閉塞板15により閉塞し、商品をベース棚板7上と棚板24上とに載置して陳列する。
【0035】
陳列しようとする商品が増加したときは、ストッカ10を、図1の左方に示す状態から、閉塞板15の下縁の凹部21に手を掛けて、前方に引出した後、前後が反転するように水平に180度回転させ、次いで、図1の右方に示すように、後部となった閉塞板15を、ストッカ収容空間9の開口部内に僅かに挿入して停止し、その状態で、図2に示すように、ベース棚板7上に載置して陳列した食パン25等の商品と同様のものを、ストッカ10の商品陳列面F上にも載置して陳列することができる。
【0036】
この状態では、前方に位置する落下防止柵19は、閉塞板15より低いので、商品を前方より取り出し易く、しかも前方への落下を防止することができる。
【0037】
また、ストッカ10の予備商品収容空間20にも、予備の商品を収容しておくことができ、商品陳列面F上の商品が少なくなったとき、この予備の商品を商品陳列面F上に陳列することができる。
【0038】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱することなく、例えば、次のような幾多の変形した態様での実施が可能である。
(1) 後面板16の上端を商品陳列面Fより上方に突出させて、その上方の突出部分を、落下防止柵19とする。
(2) 両側板14、14の上端にも、落下防止柵19と同様のものを設けるか、またはその上端を商品陳列面Fより上方に突出させて、その上方の突出部分を、落下防止柵とする。
(3) ストッカ10の上面を商品陳列面Fとして使用するときに、ストッカ10が不用意に移動するのを防止するため、ストッカ10と、側板5またはベース棚板7とのいずれか一方に、他方に係合して、ストッカ10の移動を阻止するストッパを設ける。
【符号の説明】
【0039】
F 商品陳列面
1 支柱
2 スリット
3 横連結杆
4 バックパネル
5 側板
6 ブラケット
6a係止片
7 ベース棚板
8 落下防止柵
9 ストッカ収容空間
10 ストッカ
11 ストッカ本体
12 底板
13 キャスタ
14 側板
15 閉塞板
16 後面板
17 受片
18 上面板
18a手掛け孔
19 落下防止柵
20 予備商品収容空間
21、22 凹部
23 ブラケット
23a係止片
24 棚板
25 食パン(商品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース棚板の下方に、前面が開放するストッカ収容空間を設け、このストッカ収容空間に、ストッカを収容した商品陳列什器において、
前記ストッカの上面を商品陳列面とし、前記ストッカの前面を、前記ストッカ収容空間の前面を閉塞しうるとともに、前記商品陳列面より上方に突出する閉塞板により形成し、かつ前記ストッカの後部における前記商品陳列面上に、前記閉塞板の上端より低寸の落下防止柵を設け、前記ストッカを、前後の向きを変えて前記ストッカ収容空間に出し入れしうるようにしたことを特徴とする商品陳列什器。
【請求項2】
ストッカを、上面が開放する箱状とし、その上端開口部に、上面板を着脱自在に設け、この上面板の上面をもって、商品陳列面の一部とするとともに、前記上面板より下方のストッカ内の空間を予備商品収容空間とした請求項1記載の商品陳列什器。
【請求項3】
上面板の一部に、手掛け孔を設けた請求項2記載の商品陳列什器。
【請求項4】
閉塞板の下縁に、手掛け用の凹部を設けた請求項1〜3のいずれかに記載の商品陳列什器。
【請求項5】
ストッカ収容空間の後部より起立する左右1対の支柱をもって、1または複数の棚板を、ベース棚板の上方に支持しうるようにした請求項1〜4のいずれかに記載の商品陳列什器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−210370(P2012−210370A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78186(P2011−78186)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 1.博覧会名 第45回スーパーマーケット・トレードショウ2011 2.主催者 社団法人新日本スーパーマーケット協会 3.開催日 平成23年2月8日から平成23年2月10日
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】