説明

商品陳列棚

【課題】表示板を、棚の前面に設けた開口の前方より、簡単に取り外すことができないようにするとともに、表示板の着脱作業を容易に行いうるようにした商品陳列棚を提供する。
【解決手段】左右1対の支柱2と、両支柱2により支持された上面に棚板9を有するとともに、前面に、透視孔11が穿設された前面板11bを有する棚6と、前面板11bの後面に対向方向と左右両方向に開口する隙間が形成されるように設けた上下1対の保持部材20と、前面板11bと上下の保持部材20との間の隙間に側方より挿入され、透視孔19を介して前方より視認しうる、透視孔19よりも大きな表示板21とを備えるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚の前面に、商品の宣伝広告用の表示部や、商品情報等を表示する表示部を備える商品陳列棚に関する。
【背景技術】
【0002】
このような、棚の前面に表示部を備える商品陳列棚としては、例えば特許文献1に記載されているように、棚の前面に取付けた左右方向を向く上部取付部材に、表示板の上端部をねじにより固定するとともに、下部取付部材を、表示板の下端部にねじにより固定したものがある。
このような商品陳列棚では、上下の取付部材に表示板の上下両端部がねじ止めされているので、表示板を別の表示板と交換する際の作業が面倒である。
【0003】
この問題を解決しうる商品陳列棚として、例えば特許文献2に記載されているように、棚の前面の表示板取付板に、左右複数の表示板の取付穴を設け、この取付穴の上下の対向面に形成した凹溝に、取付穴とほぼ同じ大きさの表示板の上下両端部を、けんどん式の嵌合態様をもって着脱可能に挿入することにより、表示板を、各取付穴に取り外し可能に嵌め込んだものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−25955号公報(図3)
【特許文献2】特開平7−231838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献2に記載されている商品陳列棚においても、次のような問題がある。
すなわち、表示板取付板に設けた取付穴に、この取付穴とほぼ同じ大きさの表示板を、けんどん式の嵌合態様をもって嵌め込んだだけであるので、顧客等が不用意に前方から表示板を上方にずらすと、この表示板が取付穴から簡単に外れて脱落してしまう恐れがある。
また、表示板取付板と近接する後方に蛍光灯を設けてあるので、表示板取付板の背面側より、表示板を斜め前方に傾斜させて取付穴に嵌め込む際に、蛍光灯が障害となって、表示板取付け時の作業性が悪くなる。
さらに、蛍光灯により、透明とした表示板を後方より照明するとともに、下位の棚の上面を上方より照明しうるようにしてあるが、棚板は不透明であり、蛍光灯の光が棚板を透過しないので、棚板に載置した商品を上下両方向から効果的に照明することができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、表示板を、棚の前面に設けた開口の前方より、簡単に取り外すことができないようにするとともに、表示板の着脱作業を容易に行いうるようにし、さらに、光源の光が棚板を透過して、それに載置した商品を上下両方向から効果的に照明しうるようにした商品陳列棚を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記課題は、次の各項のようにして解決される。
(1)左右1対の支柱と、両支柱により支持され、かつ上面に棚板を有するとともに、前面に、前後方向に開口する透視孔が穿設された前面板を有する棚と、前記前面板の後面に、前記透視孔を挟んで互いに上下に対向するように、かつ前面板との間に対向方向と左右両方向に開口する隙間が形成されるように設けた上下1対の表示板保持部材と、前記前面板と上下の表示板保持部材との間の隙間に側方より挿入され、前記透視孔を介して前方より視認しうる、透視孔よりも大きな表示板とを備えるものとする。
【0008】
このような構成によると、棚の前面板に設けた透視孔の後面に、この透視孔よりも大きな表示板を、側方から挿入してあるので、顧客等が不用意に表示板に触れても、これを透視孔の前方から簡単に取り外すことはできない。
また、棚の前面板の後方において、表示板を側方にスライドさせるだけで、これを着脱しうるので、その取付けや交換作業を容易に行うことができる。
【0009】
(2)上記(1)項において、表示板保持部材の一方の側縁に、隙間に挿入した表示板の側端が当接するストッパを設ける。
【0010】
このような構成によると、側方から挿入した表示板を、透視孔と対応するように位置決めして簡単に装着することができる。
【0011】
(3)上記(1)または(2)項において、表示板を透光性のものとし、この表示板を、棚の内部に設けた照明装置をもって後方より照明しうるようにする。
【0012】
このような構成によると、透光性の表示板が、照明装置により明るく照明されるので、棚の陳列商品の広告宣伝効果が大となる。
【0013】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、棚を、上下両方向に開口する平面視枠状の棚板支持フレームと、この棚板支持フレームにより支持された透光性の棚板とを備えるものとし、かつ棚板支持フレーム内の後部に、照明装置を設ける。
【0014】
このような構成によると、棚板支持フレームより支持された透光性の棚板が、棚板支持フレーム内の後部に設けた照明装置をもって、下方より明るく照明され、かつ棚板を透過する光により、それに陳列された商品が下方より効果的に照明される。しかも、棚板支持フレームは上下両方向に開口しているので、棚を複数段設けた際に、下位の棚板の陳列商品は、照明装置の光により、上下両方向から効果的に照明される。
【0015】
(5)上記(4)項において、棚板支持フレームにおける左右の側板の後縁に、係止フックを連設し、この係止フックを左右の支柱の前面に設けた係合孔に係合することにより、棚を、左右の支柱の前面に取付ける。
【0016】
このような構成によると、通常の商品陳列棚で使用される棚板取付用のブラケットが不要となり、棚を直接左右の支柱に取付けることができるので、部品点数や棚の取付工数が削減される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、棚の前面板に設けた開口、すなわち透視孔の後面に、この透視孔よりも大きな表示板を、側方から挿入してあるので、顧客等が不用意に表示板に触れても、これを透視孔の前方から簡単に取り外すことはできない。
また、棚の前面板の後方において、表示板を側方にスライドさせるだけで、これを着脱しうるので、その取付けや交換作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の商品陳列棚の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同じく、中間棚の一部切り欠き拡大平面図である。
【図3】図2のIII-III線拡大縦断側面図である。
【図4】同じく、IV-IV線拡大縦断正面図である。
【図5】同じく、中間棚の一部切り欠き拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の商品陳列棚は、前面に左右2列の係合孔1を多数列設してなる左右1対の支柱2、2と、両支柱2の上端部と下端部の対向面同士を連結している横連結杆3(下方のものは図示略)と、左右の支柱2と上下の横連結杆3とにより囲まれた枠状空間に嵌め込まれた背面板4と、両支柱2の下端部の前面に後端が取付けられたベース棚5と、同じく、両支柱2の中間部の前面に取付けられた上下2個の中間棚6、6とを備えている。
また、両支柱2の上端部の前面には、陳列棚に陳列される商品の商品情報、例えば陳列商品の販売ランキング等の文字を、内部に設けた照明具(図示略)により照明して表示する表示装置7とを備えている。
【0020】
図2〜図4に示すように、中間棚6は、上下両方向に開口する平面視横長枠状の棚板支持フレーム8と、それにより支持された透明または乳白色等の半透明の透光性アクリル板よりなる棚板9とを備えている。
棚板支持フレーム8は、板状の左右1対の側板10、10と、両側板10の前端部の対向面に両側端が固着された側面視ほぼ後向コ字状断面の左右方向を向く前部棚板支持杆11と、同じく後端部の対向面に両側端が固着された概ね側面視後向コ字状断面の左右方向を向く後部棚板支持杆12と、前部棚板支持杆11と後部棚板支持杆12との左右方向の中間部の対向面に結合された前後方向の中間棚板支持杆13とからなっている。
【0021】
左右の側板10の後縁には、上下複数の下向き鉤状の係止フック14が連設され、これらの係止フック14を、支柱2の内側の複数の係合孔1に係合することにより、中間棚6は両支柱2の前面に取り付けられている。
前部棚板支持杆11は、その前面と上下両面が、左右の側板10、10の前端と上下両端とに整合するようにして、両側板10の対向面に溶接により固着されている。
【0022】
図3に示すように、前部棚板支持杆11の上面板11aの後縁には、棚板9の前端部を支持する側面視L字状断面の棚板支持片15が、棚板9の板厚分だけ下方に位置するようにして連設されている。
また、後部棚板支持杆12は、その上面が棚板9の板厚分だけ、両側板10の上端よりも下位に位置するようにして固着されている。
さらに、図4に示すように、中間棚板支持杆13も、その上面が棚板9の板厚分だけ、両側板10の上端よりも下位に位置するようにして固着されている。
【0023】
このようにすることにより、棚板9の前後の端部と左右方向の中間部とを、前部棚板支持杆11と後部棚板支持杆12と中間棚板支持杆13の上面とにより支持した際に、棚板9の上面と、前部棚板支持杆11の上面と、左右の側板10の上端とは、同一面に整合する。
【0024】
左右の側板10、10における上端部の内側面には、棚板9の両側端部を支持する正面視倒立L字状断面の棚板支持片16、16が、棚板9の板厚分だけ、側板10の上端より下位に位置するようにして固着されている(図4参照)。
【0025】
図2及び図3に示すように、棚板9は、その前端部と左右両側端部が、前部棚板支持杆11の棚板支持片15と左右1対の棚板支持片16、16により支持され、かつ後端部が後部棚板支持杆12の上面により支持された状態で、左右の側板10、10と、前部棚板支持杆11とにより囲まれた空間内に上方より嵌め込まれている。
【0026】
後部棚板支持杆12の前面には、前面に左右複数のLED発光素子17を有する横長の照明装置18が、後記する左右の各表示板22と対向するようにして、図示しないマグネット等により着脱可能に取り付けられている。
【0027】
上下の前部棚板支持杆11の前面板11bには、円形をなす左右複数(本実施形態では3個)の透視孔19が、所定間隔置きに開口されている。
図3及び図5に示すように、各透視孔19と対応する後方において、前部棚板支持杆11における上面板11aと底面板11cとの対向面には、前縁に、後記する表示板22の上下両端部を保持可能な互いに対向する保持片20a、20aを有する上下1対の表示板保持部材20、20が、溶接により固着されている。なお、左右に隣接する表示板保持部材20の離間寸法は、後記する表示板22の左右寸法よりも大としてある。
【0028】
保持片20aを含む表示板保持部材20の左右寸法は、透視孔19の左右寸法、すなわち直径よりも大とされ、かつ上下の保持片20a、20aと、前部棚板支持杆11の前面板11bとの対向面間には、対向方向と側方に開口する隙間21、21が形成されている。この上下の隙間21には、方形の表示板22が側方より挿入され、挿入された表示板22は、前部棚板支持杆11の前面板11bに設けた透視孔19を介して、前方より視認することができる。
【0029】
上下の保持片20a、20aの左側縁には、上記隙間21に表示板22を右側方より挿入した際のストッパ片20b、20bが、前向きに突設されている(図2、図5参照)。表示板22を隙間21に左側方より挿入する際には、ストッパ片20bを保持片20aの右側縁に突設すればよい。なお、このようなストッパ片20bは、省略することもある。
表示板22は、透明または半透明のアクリル板よりなり、その前面の中央部には、例えば商品の販売ランキング等を示す数字(1、2、3・・・)等が表示されている。
【0030】
以上説明したように、上記実施形態の商品陳列棚においては、中間棚6の前面、すなわち前部棚板支持杆11の前面板11bに、透視孔19を設け、この透視孔19と対応する後面に設けた上下1対の表示板保持部材20により、透視孔19よりも大きな表示板22を、側方から挿脱しうるように保持してあるので、顧客等が不用意に表示板22に触れても、これを透視孔19の前方から簡単に取り外すことはできない。
【0031】
また、前部棚板支持杆11の前面板11bの後面に当接させた表示板22を、側方にスライドさせるだけで着脱しうるので、その取付けや交換作業を容易に行うことができる。
【0032】
さらに、棚板9の後端部を支持する後部棚板支持杆12の前面に、照明装置18を、左右複数の表示板22と対向するようにして設けてあるので、図3の矢印で示すように、照明装置18における左右複数のLED発光素子17の光により、各表示板22が後方より効果的に照明されるのは勿論のこと、LED発光素子17の光は、透明または半透明とした棚板9を透過して、それに陳列した商品を下方より照明することができ、かつ下位の中間棚6の陳列商品は、LED発光素子17の光により、上下両方向から効果的に照明される。
【0033】
中間棚6は、上下両方向に開口する枠状の棚板支持フレーム8に、上方より棚板9を嵌め込んで構成され、かつ棚板支持フレーム8の構成部材の一部である左右の側板10、10の後縁に係止フック14を設け、この係止フック14を、左右の支柱2の係合孔1に係合させることにより、中間棚6を支柱2の前面に直接取り付けているので、通常の商品陳列棚のような、後縁に係止フックを有する左右1対の棚板支持用のブラケットが不要となり、部品点数や棚の取付工数が削減される。
【符号の説明】
【0034】
1 係合孔
2 支柱
3 横連結杆
4 背板
5 ベース棚
6 中間棚
7 表示装置
8 棚板支持フレーム
9 棚板
10 側板
11 前部棚板支持杆
11a上面板
11b前面板
11c底面板
12 後部棚板支持杆
13 中間棚板支持杆
14 係止フック
15 棚板支持片
16 棚板支持片
17 LED発光素子
18 照明装置
19 透視孔
20 表示板保持部材
20a保持片
20bストッパ片(ストッパ)
21 隙間
22 表示板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右1対の支柱と、
両支柱により支持され、かつ上面に棚板を有するとともに、前面に、前後方向に開口する透視孔が穿設された前面板を有する棚と、
前記前面板の後面に、前記透視孔を挟んで互いに上下に対向するように、かつ前面板との間に対向方向と左右両方向に開口する隙間が形成されるように設けた上下1対の表示板保持部材と、
前記前面板と上下の表示板保持部材との間の隙間に側方より挿入され、前記透視孔を介して前方より視認しうる、透視孔よりも大きな表示板
とを備えることを特徴とする商品陳列棚。
【請求項2】
表示板保持部材の一方の側縁に、隙間に挿入した表示板の側端が当接するストッパを設けてなる請求項1記載の商品陳列棚。
【請求項3】
表示板を透光性のものとし、この表示板を、棚の内部に設けた照明装置をもって後方より照明しうるようにした請求項1または2記載の商品陳列棚。
【請求項4】
棚を、上下両方向に開口する平面視枠状の棚板支持フレームと、この棚板支持フレームにより支持された透光性の棚板とを備えるものとし、かつ棚板支持フレーム内の後部に、照明装置を設けてなる請求項1〜3のいずれかに記載の商品陳列棚。
【請求項5】
棚板支持フレームにおける左右の側板の後縁に、係止フックを連設し、この係止フックを左右の支柱の前面に設けた係合孔に係合することにより、棚を、左右の支柱の前面に取付けてなる請求項4記載の商品陳列棚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−210371(P2012−210371A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78187(P2011−78187)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 1.博覧会名 第45回スーパーマーケット・トレードショウ2011 2.主催者 社団法人新日本スーパーマーケット協会 3.開催日 平成23年2月8日から平成23年2月10日
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】