説明

商品陳列用シート

【課題】複数のシート本体を繰り返して連結・分離する。
【解決手段】シート本体1が複数用意され、各シート本体1の係止部4をそれぞれの切り込み4a同士が嵌り合うように係止させることにより、複数のシート本体1がそれぞれの長手方向へ一列に連結され、また、この連結状態においてシート本体1の係止部4の切り込み4a同士を取外すことにより、複数のシート本体1が分離され、それぞれのシート本体1に形成された吊り下げ手段2を利用して、商品陳列用の棚の側面や壁などの設置面Wに対して個別に吊り下げ可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば店舗などにおいて商品を陳列するための商品陳列用シートに関する。
詳しくは、例えば包装袋や包装箱に入れた商品又は吊り下げ用孔が開いた商品を吊り下げるためのフック部を有する商品陳列用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の商品陳列用シートとして、帯状シートの長手方向の略中央にミシン目が該シートの全幅にわたって形成され、この帯状シートは該ミシン目に沿って切断されて第1帯部材及び第2帯部材に分離できるようになっており、これら第1帯部材の端部中央及び第2帯部材のミシン目の近傍にそれぞれ円形の穴が開設され、各穴から所定距離を隔てて複数のフック部を前記帯状シートの長手方向に所定の間隔で形成してあり、これらフック部は、前記帯状シートに略W字形の切り込みを入れることによって、中央フック部と側部フック部とを形成しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
そして、帯状シートはミシン目に沿って切断することで、複数の帯部材に分離し得るようになっているため、設置スペースに応じて各帯部材の長さを自在に適応させることができ、また複数の帯部材には少なくとも1つ穴が開設されるため、各帯部材に分離されても、分離された部材はそれに開設した穴を利用して商品陳列用の棚の側面又は壁などに容易に吊り下げ可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−215004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし乍ら、このような従来の商品陳列用シートでは、帯状シートをミシン目に沿って切断することで複数の帯部材に分離されるため、一度分離された帯部材を元の連結状態に戻すことができず、設置するスペースや状況の変化に速やかに対応させることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題とするものであり、複数のシート本体を繰り返して連結・分離すること、簡単な構造で2つのシート本体を着脱自在に連結すること、簡単な構造で複数のシート本体を長手方向へ一直線状に連結すること、などを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために本発明は、帯状に形成されるシート本体と、前記シート本体の長手方向端部に形成される吊り下げ手段と、前記シート本体の長手方向へ複数形成されるフック部と、前記シート本体の長手方向端部に切り込みを入れることで形成される係止部を備え、前記シート本体は、複数用意され、これら複数の前記シート本体の前記係止部を、それぞれの前記切り込み同士が嵌り合うように係止させることで、複数の前記シート本体がそれぞれの長手方向へ一列に連結されるように配置したことを特徴とする。
【0007】
前述した特徴に加えて、前記係止部が、前記切り込みで囲まれる舌片を有し、連結しようとする2つの前記シート本体に対して前記舌片をそれぞれの先端縁が互いに逆向きとなるようにそれぞれ配置し、これら舌片の先端縁を前記切り込みにそれぞれ前記シート本体の長手方向へ挿入することで、該舌片同士が互いに重なり合うように係止させたことを特徴とする。
【0008】
さらに前述した特徴に加えて、前記係止部を前記シート本体の長手方向と交差する幅方向へ複数形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
前述した特徴を有する本発明は、シート本体が複数用意され、各シート本体の係止部をそれぞれの切り込み同士が嵌り合うように係止させることにより、複数のシート本体がそれぞれの長手方向へ一列に連結され、また、この連結状態においてシート本体の係止部の切り込み同士を取外すことにより、複数のシート本体が分離され、それぞれのシート本体に形成された吊り下げ手段を利用して、商品陳列用の棚の側面や壁などの設置面に対して個別に吊り下げ可能となるので、複数のシート本体を繰り返して連結・分離することができる。
その結果、帯状シートをミシン目に沿って切断することで複数の帯部材に分離される従来のものに比べ、設置するスペースや状況の変化に速やかに対応させることができて使用勝手に優れる。
【0010】
さらに、前記係止部が、前記切り込みで囲まれる舌片を有し、連結しようとする2つの前記シート本体に対して前記舌片をそれぞれの先端縁が互いに逆向きとなるようにそれぞれ配置し、これら舌片の先端縁を前記切り込みにそれぞれ前記シート本体の長手方向へ挿入することで、該舌片同士が互いに重なり合うように係止させた場合には、舌片同士の係止により、それぞれの切り込みの端縁同士が互いに長手方向へ移動不能に係合して、2つのシート本体が一体的に連結され、また、この連結状態において2つのシート本体を係止方向と逆方向へ移動させることにより、これら舌片が切り込みからそれぞれ外れて2つのシート本体が分離されるので、簡単な構造で2つのシート本体を着脱自在に連結することができる。
その結果、簡単な作業で2つのシート本体を連結・分離でき、さらに製造コストの軽減化が図れる。
【0011】
また、前記係止部を前記シート本体の長手方向と交差する幅方向へ複数形成した場合には、複数のシート本体に形成された複数の係止部を、それぞれの切り込み同士が嵌り合うように係止させることにより、これら連結された複数のシート本体が幅方向へ位置決めされるので、簡単な構造で複数のシート本体を長手方向へ一直線状に連結することができる。
その結果、複数のシート本体が曲がることなく連結されるため、外観に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る商品陳列用シートを示す説明図であり、(a)が分離状態で商品の吊り下げ前を示す斜視図、(b)が分離状態で商品の吊り下げ後を示す斜視図である。
【図2】連結状態で商品の吊り下げ後を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る商品陳列用シートAは、図1〜図2に示すように、帯状に形成されるシート本体1と、シート本体1の長手方向端部に形成される吊り下げ手段2と、シート本体1の長手方向へ複数形成されるフック部3と、シート本体1の長手方向端部に切り込み4aを入れることで形成される係止部4を備えている。
【0014】
シート本体1は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどの弾力性が高い合成樹脂や可撓性を有する板紙などの材料で帯板状に形成され、その長手方向一端又は両端に吊り下げ手段2を形成し、長手方向の中間位置に複数のフック部3を形成し、さらに長手方向一端又は両端には、切り込み4aを入れることで係止部4が形成される。
【0015】
吊り下げ手段2は、例えば商品陳列用の棚の側面や壁などの設置面Wに対してシート本体1を吊り下げるものであり、貫通孔や凹部などで構成される。
図1〜図2に示される例では、シート本体1の長手方向と交差する幅方向略中央に吊り下げ手段2として円形の貫通孔を開穿し、この貫通孔に対し、設置面Wに設けられたフックFを挿通することで、シート本体1が吊り下げられている。
また、その他の例として図示しないが、吊り下げ手段2として円形以外の形状の貫通孔を開穿したり、この貫通孔に代えて凹部などを形成したり、シート本体1の幅方向に開穿された単数又は複数の貫通孔に吊り紐を取り付けて、設置面Wに設けられたフックFで吊り下げるようにすることも可能である。
【0016】
フック部3は、例えば包装袋や包装箱に入れた商品Cの吊り下げ用孔C1に挿入することによって商品Cが吊り下げ支持されるようにするものであり、シート本体1の長手方向へ所定間隔毎に複数形成されている。
図1〜図2に示される例では、シート本体1に略W字形や逆U字形や逆V字形などの切り込み3aを入れることでフック部3が弾性的に屈曲可能に形成されている。
また、その他の例として図示しないが、シート本体1に略W字形又は逆U字形以外の形状の切り込み3aを入れるなどしてフック部3を形成することも可能である。
【0017】
係止部4は、複数のシート本体1をそれぞれの長手方向へ一列に連結するものであり、これら複数のシート本体1に切り込み4aをそれぞれ入れ、これら切り込み4a同士が嵌り合うように係止させることで、複数のシート本体1が長手方向へ一列に連結されるように配置される。
詳しくは、各シート本体1に略半円形や略U字形や略V字形などの切り込み4aを入れることにより、この切り込み4aで囲まれる舌片4bがそれぞれ形成され、連結しようとする一方のシート本体1に形成された舌片4bの先端縁4cと、他方のシート本体1に形成された舌片4bの先端縁4bとを互いに逆向きとなるようにそれぞれ配置し、一方のシート本体1に形成された舌片4bの先端縁4bを、他方のシート本体1に形成された切り込み4aにそれぞれシート本体1の長手方向へ挿入することで、これら舌片4b同士が互いに重なり合うように係止させている。
【0018】
このような商品陳列用シートAは、予めシート本体1が複数枚用意され、例えば図1(a)に示されるように、一枚のシート本体1を分離状態のままで吊り下げ手段2により設置面WのフックFに対して吊り下げ、図1(b)に示されるように、各フック部3により商品Cを吊り下げ支持して使用される。
また、図2に示されるように、2枚又は3枚以上のシート本体1をそれぞれの係止部4により長手方向へ一列に連結し、この連結状態で吊り下げ手段2により設置面WのフックFに対して吊り下げるとともに、各フック部3により商品Cを吊り下げ支持して使用される。
【0019】
このような商品陳列用シートAによると、複数のシート本体1を繰り返して連結・分離でき、設置するスペースや状況の変化に対応して、図1(a)(b)に示される分離状態と、図2に示される連結状態とに速やかに変更できる。
さらに、各シート本体1の舌片4b同士が互いに重なり合うように係止させることにより、それぞれの切り込み4aの端縁同士が互いに長手方向へ移動不能に係合して、2つのシート本体1が一体的に連結され、また、この連結状態において2つのシート本体1のいずれか一方を他方に対して又は両方を係止方向と逆方向へ移動させることにより、これら舌片4bが切り込み4aからそれぞれ外れて2つのシート本体1が分離される。
それにより、簡単な構造で2つのシート本体1を着脱自在に連結できる。
次に、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0020】
この実施例は、図1(a)(b)及び図2に示すように、各シート本体1の長手方向一端のみに吊り下げ手段2として円形の貫通孔を一つ開穿するとともに、各シート本体1の長手方向両端にそれぞれ逆向きの切り込み4aを入れることで長手方向へ一対の係止部4がそれぞれ形成され、これら吊り下げ手段2の貫通孔及びその近くに配置される係止部4と、略W字形の切り込み3aで形成されたフック部3との間に、例えばポップ広告などが描かれた表示ラベルLを保持するためのヘッダー用ホルダ部5が形成されるものである。
【0021】
つまり、各シート本体1の長手方向両端には、一対の係止部4がそれぞれの舌片4bの先端縁4cを各シート本体1の長手方向中央へ向いて突出するように配置されている。
図1(a)(b)及び図2に示される例では、各シート本体1の長手方向一端(図面では上端)で吊り下げ手段2の貫通孔近くに略半円形の切り込み4aで囲まれた舌片4bを、シート本体1の幅方向へ複数、図示例では2つそれぞれの舌片4bの先端縁4cが下向きに突出されるように配置し、各シート本体1の長手方向他端(図面では下端)にも、略半円形の切り込み4aで囲まれた舌片4bを、シート本体1の幅方向へ複数、図示例では2つそれぞれの舌片4bの先端縁4cが上向きに突出されるように配置している。
また、その他の例として図示しないが、シート本体1の幅方向へ略半円形又はそれ以外の形状の切り込み4aを3つ以上配置することで、係止部4が複数形成されるようにすることも可能である。
【0022】
さらに、図1(a)(b)及び図2に示される例では、ヘッダー用ホルダ部5としてシート本体1に逆U字形の切り込み5aを幅方向へ複数、図示例では2つ入れることで弾性的に屈曲可能に形成している。
また、その他の例として図示しないが、シート本体1に逆V字形の切り込み5aを幅方向へ複数入れたり、例えば逆W字形など他の形状の切り込み5aを入れるなどしてヘッダー用ホルダ部5を形成することも可能である。
【0023】
そして、図1(a)(b)及び図2に示される例では、フック部3の切り込み3aの端部、係止部4の切り込み4aの端部及びヘッダー用ホルダ部5の切り込み5aの末端に、略半円形や略U字形に屈曲した切れ目からなる引き裂き止め部3b,4d,5bを形成している。
また、その他の例として図示しないが、引き裂き止め部3b,4d,5bとして、略半円形や略U字形に屈曲した切れ目に代え、円形又は楕円形などの孔を開穿することも可能である。
【0024】
このような実施例に係る商品陳列用シートAは、各シート本体1の長手方向両端にそれぞれ逆向きの切り込み4aを入れて長手方向へ一対の係止部4が形成されるため、複数枚用意されるシート本体1を全て同形状に成形できて、在庫管理の容易性と製造コストの低減化が図れるという利点がある。
さらに、図示例のように、係止部4の切り込み4a及び舌片4bをシート本体1の長手方向と交差する幅方向へ複数それぞれ形成した場合には、連結しようとする一方のシート本体1に形成された各舌片4bの先端縁4bを、他方のシート本体1に形成された各切り込み4aにそれぞれ挿入して、これら舌片4b同士が互いに重なり合うように係止させることにより、これら連結される2つのシート本体1が幅方向へ位置決めされる。
それによって、簡単な構造で複数のシート本体1を長手方向へ一直線状に連結することができる。
さらにまた、ヘッダー用ホルダ部5に対して表示ラベルLを容易に取り付けることができると同時に、表示ラベルLの交換が容易であるため、多種類の商品Cに対応可能であるという利点がある。
【0025】
なお、前示実施例では、シート本体1の長手方向一端のみに吊り下げ手段2として円形の貫通孔を一つ開穿したが、これに限定されず、シート本体1の長手方向両端に吊り下げ手段2を形成してシート本体1が上下逆向きに吊り下げることができるようにも良い。
さらに、各シート本体1の長手方向両端に係止部4をそれぞれ形成したが、これに限定されず、シート本体1の長手方向どちらか一方のみに係止部4を形成しても良い。
【符号の説明】
【0026】
1 シート本体 2 吊り下げ手段
3 フック部 4 係止部
4a 切り込み 4b 舌片
4c 先端縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状に形成されるシート本体と、
前記シート本体の長手方向端部に形成される吊り下げ手段と、
前記シート本体の長手方向へ複数形成されるフック部と、
前記シート本体の長手方向端部に切り込みを入れることで形成される係止部を備え、
前記シート本体は、複数用意され、これら複数の前記シート本体の前記係止部を、それぞれの前記切り込み同士が嵌り合うように係止させることで、複数の前記シート本体がそれぞれの長手方向へ一列に連結されるように配置したことを特徴とする商品陳列用シート。
【請求項2】
前記係止部が、前記切り込みで囲まれる舌片を有し、連結しようとする2つの前記シート本体に対して前記舌片をそれぞれの先端縁が互いに逆向きとなるようにそれぞれ配置し、これら舌片の先端縁を前記切り込みにそれぞれ前記シート本体の長手方向へ挿入することで、該舌片同士が互いに重なり合うように係止させたことを特徴とする請求項1記載の商品陳列用シート。
【請求項3】
前記係止部を前記シート本体の長手方向と交差する幅方向へ複数形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の商品陳列用シート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−143157(P2011−143157A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8069(P2010−8069)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)