説明

商業上生存可能なトランスジェニック植物の生成を高めるDNA構築体およびその方法

本発明は、非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子を、植物細胞を形質転換するために用いたDNAプラスミドのベクター骨格DNAに組み込んだ。これらの導入遺伝子は、DNAプラスミドのベクター骨格DNAを含む植物細胞中の非致死性の遺伝子産物を発現するように設計される。非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子の遺伝子産物は、植物ホルモン生合成経路、植物ホルモン基質転換、植物ホルモン分解、植物ホルモンシグナリングまたは代謝の干渉に関与する。植物細胞を形質転換するこれらのDNAプラスミドの使用は、商業的に生存可能な植物の生成の増強を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、2003年4月9日に出願された米国仮出願第60/461,459号の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、植物分子生物学および植物遺伝子工学の分野に関する。植物遺伝子工学方法は、トランスジェニック植物中で発現された場合に有用な表現型を提供する異種の遺伝因子を含む新規なDNA構築体を創製するために用いられる。より詳細には、本発明は、植物細胞培養物から再生されるより多数のトランスジェニック植物が商業的な植物候補として成功できるようなDNA構築体および該構築体を用いる方法を含む。
【0003】
発明の背景
アグロバクテリウム(Agrobacterium)を媒介する方法による植物細胞の形質転換は、植物の細胞および組織をある種のDNAプラスミドを含むアグロバクテリウム細胞の懸濁液に曝露することを含む。これらのDNAプラスミドは、具体的には、植物細胞中で発現する導入遺伝子を含むように構築される(米国特許第5,034,322号)。多数の場合、1以上の導入遺伝子は、ポジティブな選択化合物、例えば、抗生物質または除草物質の存在下で植物細胞が成長するのを可能にするポジティブ選択マーカー導入遺伝子である。これらの細胞は、さらに全体の繁殖性植物に再生するために操作できる。
【0004】
アグロバクテリウムを媒介する形質転換法により植物内に導入遺伝子を導入する方法は、導入遺伝子の遺伝因子を組込み、植物のゲノムにそれらの遺伝因子を転移させるT−DNA(転移DNA)を利用する。導入遺伝子はDNAプラスミドベクター中で構築され、アグロバクテリウムのTiプラスミドの右境界DNA領域(RB)および左境界DNA領域(LB)により通常囲まれる。アグロバクテリウムを媒介する形質転換のプロセスの間に、DNAプラスミドは左右の境界領域にてVirD2エンドヌクレアーゼによってニックが入れられ、T−DNA領域は植物ゲノムに挿入される。植物ゲノム中へのT−DNAの組込みは、一般的にRBで始まり、LBでのT−DNAの末端に続く。しかしながら、エンドヌクレアーゼは、時々両境界にて同等にニックを入れない。これが起こる場合、植物ゲノムに挿入されたT−DNAは、しばしばいくらかまたはすべてのプラスミドベクターDNAを含む。この現象をボーダーリードスルー(border read-through)という。左右の境界領域(T−DNA)間に位置した導入遺伝子(群)だけが、いずれの隣接したプラスミドベクターDNA(ベクター骨格)なくして、植物ゲノムに転移されることが通常好ましい。ベクター骨格DNAは、種々のプラスミド維持遺伝因子、例えば、複製開始点、細菌性の選択マーカー遺伝子、および規制問題についての商業的作物製品に望ましくない他のDNA断を含む。
【0005】
かなりの資源は、ベクター骨格DNAの存在についてトランスジェニック作物植物のゲノムをスクリーニングすることに向けられている。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびサザンブロット分析のごとき方法は、外来性ベクター骨格DNAを同定するために最もしばしば使用される。これらの方法は、時間を消費し、かつ大規模スクリーニング作業のために費用がかかる。ベクター骨格DNAは、左境界領域のリードスルーにより組込まれかねなく、またはT−DNAと無関係に植物ゲノムに組み込み得る(Kononovら, Plant J. 11, 945-957, 1997)。ベクター骨格DNAを含むことが判明したトランスジェニック植物は、一般的に、商業化には実行可能ではない。商業的な可能性を有しない植物細胞培養物から植物を再生するために、相当な努力が消耗されている。トランスジェニック植物のゲノム中のベクター骨格DNAの発生を大幅に低下させるDNA構築体および方法を有することは有用であろう。より多数にベクター骨格DNAがなければ、より少数のトランスジェニック植物が生成されなければならないだろう。従って、より少数のアッセイが、骨格DNAが不存在であることを確認するために行なわれなければならないだろう。
【0006】
Hansonら(米国特許第6,521,458号)は、発現する場合に植物細胞を死滅させるベクター骨格中の致死遺伝子を含むDNA構築体を記載している。しかしながら、細菌および植物細胞中の致死遺伝子産物の発現の制御には疑問点を有し得る。致死遺伝子発現は、種々の遺伝因子により制御して、細菌中ならびに非標的植物の細胞および組織中での発現を防止しなければならない。骨格中の植物細胞についての非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子の使用は、致死遺伝子の使用に関する本質的な改良になるであろう。非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子は、非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子産物を発現している植物の細胞および組織を区別するために視覚手段を提供でき、植物細胞および植物群の選択はより制御可能であり、非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子を含む植物細胞は潜在的に救済可能である。この目的に用いた遺伝子は、植物細胞分裂、苗条伸長に影響するか、または多面的な茎もしくは葉の表現型を生成するいずれかの遺伝であり得る。
【0007】
スコア可能なマーカー遺伝子、例えば、ベータ−グルクロニダーゼ(GUS)(Kononovら, Plant J. 11, 945-957, 1997)は、骨格DNAの存在を検出する手段を提供できるが、それらを含む細胞に対する選択手段を提供せず、そのアッセイ方法は組織破壊的である。また、条件致死的であるネガティブ選択マーカー遺伝子は、骨格DNA中で用いることができる。他の条件致死遺伝子産物の代表的な例は、チオキサンチンを有毒なチオキサンチンモノホスフェートに形質転換するE. Coliグアニンホスホリボシル転移酵素(Besnardら, Mol. Cell. Biol. 7:4139-4141, 1987);有毒な脱リン化された化合物へのマイトマイシンホスフェートおよびドキソルビシン−ホスフェートのごとき不活性のリン酸化化合物に変換するであろうアルカリフォスファターゼ;5−フルオロサイトシンを有毒な化合物の5−フルオロウラシルに変換する真菌(例えば、Fusarium oxysporum)または細菌シトシンデアミナーゼ(codA)(Mullen, PNAS 89:33, 1992);パラーN−ビス(2−クロロエチル)アミノベンゾイルグルタミン酸からグルタミン酸を切断し、それにより、有毒な安息香酸マスタードを創製するカルボキシペプチダーゼG2;ならびにドキソルビシンおよびメルファランのフェノキシアセトアビド(phenoxyacetabide)誘導体を有毒化合物に変換するであろうペニシリン−Vアミダーゼ(一般的には、Vrudhulaら, J. of Med. Chem. 36(7):919-923, 1993; Kernら, Canc. Immun. Immunother. 31(4):202-206, 1990参照);ならびにホスホネートモノエステル加水分解酵素、pehA(米国特許第5,254,801号)を含む。しかしながら、骨格DNAを含む細胞に対して致死性である有毒生成物を供するために外来性の基質を添加しなければならない。本発明は、培地にさらなる基質を添加するか、または植物培養細胞を条件致死遺伝子産物に必要とされる基質で外来性に処理することを必要としない。
【0008】
植物ホルモンシグナル伝達遺伝子およびホルモン生合成経路遺伝子は、植物形質転換用の選択マーカー遺伝子として、およびマーカーがないトランスジェニック植物を生成する方法に用いることができる(米国特許第6,326,192号)。しかしながら、これらの遺伝子は、植物が記載された商業上生存可能な植物としてさらに開発されるべきものであるならば、取り除かれなければならない。本明細書に示した遺伝子および組成物は、本発明においてベクター骨格DNAの非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子として用いることができる。
【0009】
内因性の植物細胞基質を代謝する遺伝子産物は、本発明の代謝干渉遺伝子として機能できる。例えば、レバンスクラーゼをコードし、基質としてスクロースを用いて中性のポリフルクタン(polyfructan;レバン)合成を担うsacB遺伝子は、Bacillus種、Erwinia種等のごとき多数の細菌において同定された。耐乾燥性またはシンク強度を増加させることを目的としたsacB遺伝子を発現するトランスジェニック植物は、タバコ、ジャカイモ、テンサイ、トウモロコシおよびライグラスにおいて従前に報告された(Ebskampら Bio/Technol. 12, 272-275,1994; van der Meerら Plant Cell, 6, 561-570, 1994; Caimiら Plant Physiol. 110, 355-363,1996; Roberら Planta, 199, 528-536,1996; Yeら Plant Cell Rep., 20: 205-212, 2001)。しかしながら、CaMV 35Sプロモーターによって駆動されたsacB遺伝子を標的とした液胞は、繰り返してタバコおよびライグラスに形質転換され、矮小植物だけが回収された(Yeら 2001)。トウモロコシにおいては、sacBを発現する穀粒は、穀物充填(grain filling)を妨害する結果、非常に低い発芽頻度を持つしなびた種子を生じさせた(Caimiら1996)。ジャカイモにおいて、塊茎中のsacB遺伝子の発現は、より小さな塊茎に導いた。これらの結果は、sacB遺伝子の発現が植物の細胞および組織発生を著しく阻害することを明らかにした。
【0010】
また、酵母インベルターゼ、酵母トレハロース−6−ホスフェート合成酵素のごとき代謝の干渉酵素をコードする他の遺伝子を同様に用いることもできる。タバコおよびArabidopsis中の酵母インベルターゼの発現(Suc2, Carlsonら, Nucleic Acids Res. 11 (6), 1943-1954, 1983)は、苗条伸長および根の発育を強力に阻害し(Sonnewaldら Plant J. 1:95-106, 1991)、タバコにおける酵母トレハロース−6−ホスフェート合成酵素の構成的発現(TPS1, Bellら Eur. J. Biochem. 209 (3), 951-959 (1992))は、発育不全およびランセット形状葉を示す(Romeroら Planta 201:293-297, 1997)。代謝干渉遺伝子、例えば、レバンスクラーゼ、インベルターゼまたはトレハロース−6−ホスフェート合成酵素をコードするポリヌクレオチドは、本発明における非致死性のネガティブ選択マーカー導入遺伝子として有用である。
【0011】
本発明は、非致死性のネガティブ選択マーカー導入遺伝子を、植物細胞を形質転換するために用いるDNAプラスミドのベクター骨格DNAに組み込んだ。これらの導入遺伝子は、DNAプラスミドのベクター骨格DNAを含む植物細胞中の非致死性の遺伝子産物を発現するように設計されている。非致死性のネガティブ選択マーカー導入遺伝子の遺伝子産物は、植物ホルモン生合成経路、植物ホルモン基質転換、植物ホルモン分解または代謝の干渉に関係する。植物細胞を形質転換するためのこれらのDNAプラスミドの使用は、商業上生存可能な植物の生成の増強に供される。
【0012】
本発明の概要
本発明は、選択マーカー遺伝子になり得る少なくとも1つの導入遺伝子に連結したアグロバクテリウムTiプラスミド第1の境界領域、およびさらに非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子が含まれるベクター骨格DNAに連結したアグロバクテリウムTiプラスミドの第2の境界領域に連結した作物学的な注目遺伝子を含むDNAプラスミドを含む。非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子は、植物ホルモン生合成経路遺伝子または代謝干渉遺伝子を含む。植物ホルモン生合成経路遺伝子の過剰発現は、植物ホルモンの発現の増強を供するか、あるいは植物ホルモン基質を機能的ではないホルモンアナログに転換するか、または植物ホルモン基質を他の生合成経路に転換するように機能する。非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子は、内因性の植物ホルモン量を低下させる植物ホルモン分解遺伝子をさらに含むことができる。さらに、非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子は、転写後遺伝子抑制により内因性の植物ホルモンの量を低下させるアンチセンス配向で配置された植物ホルモン生合成遺伝子またはその一部分をさらに含むことができる。さらに、非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子は、植物細胞において過剰発現した場合に異常表現型を供する代謝干渉遺伝子を含むことができる。異常表現型は、好ましくは、茎または葉の低下した成長表現型または奇形である。
【0013】
DNAプラスミドは、植物細胞中で機能するプロモーターを含む植物発現カセットをさらに含む。これらの植物発現カセットは、植物にポジティブ選択マーカー遺伝子、作物学的な注目遺伝子および非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子を供する。
【0014】
DNAプラスミドに含まれた植物ホルモン生合成経路遺伝子を含む非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子は、ジベレリン酸(GA)経路遺伝子、サイトカイニン経路遺伝子、オーキシン経路遺伝子、エチレン経路遺伝子およびアブシジン酸(abcisic acid)の経路遺伝子よりなる群から選択される。
【0015】
本発明のDNAプラスミドは、GAの経路の基質を非GA活性化合物に転換する非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子を含む。例えば、このタイプの導入遺伝子は、フィトエン合成酵素、GA 20−オキシダーゼまたはGA 2β,3β−水酸化酵素を含む酵素をコードする。DNAプラスミドは、GA分解酵素、例えば、GA 2−オキシダーゼを含み得る。
【0016】
本発明のDNAプラスミドは、サイトカイニン生合成経路、例えば、イソペンテニル転移酵素(IPT)中の酵素をコードする非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子を含む。
【0017】
本発明のDNAプラスミドは、オーキシン生合成経路中の酵素、例えば、植物IAA合成酵素遺伝子、アグロバクテリウム腫瘍遺伝子:iaaM、iaaH、rolABCまたは種々のアグロバクテリウム種から単離された他の腫瘍または毛根の遺伝子である非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子を含む。
【0018】
本発明のDNAプラスミドは、エチレン生合成経路における酵素である非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子を含む。例えば、ACC合成酵素をコードする遺伝子。また、DNAプラスミドは、エチレン分解酵素、例えば、ACCデアミナーゼをコードする遺伝子を含み得る。また、本発明のDNAプラスミドは、エチレン受容体をコードする遺伝子を含み得る。また、本発明のDNAプラスミドは、植物ホルモンシグナル蛋白質をコードする導入遺伝子を含み得る。
【0019】
本発明のDNAプラスミドは、代謝干渉遺伝子である非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子を含む。例えば、代謝干渉遺伝子は、限定されるものではないが、レバンスクラーゼをコードするsacB遺伝子、酵母インベルターゼをコードするSuc2遺伝子または酵母トレハロース−6−ホスフェート合成酵素をコードするTPS1遺伝子を含む。代謝干渉遺伝子は、転写後遺伝子抑制機序において機能するように構築されるものをさらに含む。
【0020】
本発明のDNAプラスミドは、プラスミドに含まれた植物細胞導入遺伝子に転移するための方法において用いるアグロバクテリウム細胞に形質転換される。アグロバクテリウム細胞は、ベクター骨格DNAに連結した非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子に連結したアグロバクテリウムTiプラスミド第2の境界領域に連結した作物学的に注目される少なくとも1つの導入遺伝子に連結したアグロバクテリウムTiプラスミドの第1の境界領域を含むDNAプラスミドを含む。
【0021】
本発明は:a)T−DNA中のポジティブ選択マーカー遺伝子およびプラスミド骨格中の非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子を含むDNAプラスミドで複数の植物細胞を形質転換し;次いで、b)ポジティブな選択化合物について該植物細胞を選択し;次いで、c)選択された該植物細胞を完全な植物に再生する工程を含み、ここに、植物はプラスミド骨格DNAの発生において低下し、作物学的な注目導入遺伝子についてより低コピー数を有することを特徴とする商業上生存可能なトランスジェニック植物の選択を増強するための方法を提供する。該方法により生成された植物は本発明の態様である。
【0022】
発明の詳細な記載
本発明は、T−DNAの外側にあり、プラスミドメンテナンスDNA(ベクター骨格DNA)と関連するプラスミドの領域に位置する非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子カセットを含むDNAプラスミドに、部分的に基づいている。非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子は、トランスジェニック植物細胞中で発現された場合に非致死性であるが、しかしながら、枝、葉および根を含む完全なトランスジェニック植物中へのトランスジェニック植物細胞の正常な再生に干渉する遺伝子生成物を含む。本発明は、商業用途のものである植物細胞の選択を高めるDNAプラスミドの使用のための方法を提供する。完全な繁殖力のあるトランスジェニック植物に再生される植物細胞は、部分的に、ベクター骨格DNAの不存在により、および部分的に植物ゲノム中のT−DNAのコピー数の低下により商業的生存度を増強してきた。
【0023】
本発明のポリ核酸分子
非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子産物をコードするDNA分子は、植物細胞中で発現された場合に植物細胞に非致死性であるが、しかしながら、ポリ核酸分子を含んでいない植物細胞または再生される植物パーツと比較して、植物細胞が正常な速度で完全な植物へ再生するか、または異常表現型を生成する能力に干渉するポリ核酸分子を含むように本発明において記載される。
【0024】
本明細書に用いたポリ核酸分子は、デオキシリボ核酸(DNA)分子またはリボ核酸(RNA)分子を意味する。DNAおよびRNA分子の双方は末端毎に連結したヌクレオチドから構築され、ここに、各ヌクレオチドは、リン酸基、糖部位およびプリンまたはピリミジン塩基のいずれかを含む。ポリ核酸分子は、5’末端から3’末端までのヌクレオチドの一本鎖または二本鎖のポリマーであり得る。また、ポリ核酸分子は、所望により、ポリメラーゼを介する正確な通読を可能とし、ポリ核酸分子によってコード化されたポリペプチドの発現を変更しない合成、非天然または変更されたヌクレオチド塩基を含み得る。
【0025】
本発明のポリヌクレオチド分子は、ヌクレオチド配列によって規定され、本明細書に用いたその配列は、個々の一本鎖として、または二本鎖においてのいずれかのポリ核酸分子のセンスおよび相補鎖のポリヌクレオチドを形成するヌクレオチドの直線配列を意味する。本明細書に用いた「コード配列」および「構造的ポリヌクレオチド分子」なる双方の用語は、適当な調節分子の制御下に置かれた場合、通常mRNAを介して、ポリペプチドに翻訳されるポリヌクレオチド分子を意味する。そのコード配列の境界は、5’−末端での翻訳開始コドンおよび3’−末端での翻訳停止コドンにより決定される。コード配列は、限定されるものではないが、ゲノムDNA、cDNAおよび組み換えポリヌクレオチド配列を含むことができる。本発明に用いた非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子産物をコードするポリヌクレオチドのホモログ、オルソログまたはパラログは、DNAデータベース中で同定し、ソース生物体から単離できる。別法として、非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子産物をコードする人工DNA分子は、当業者に知られた手順を用いる化学合成により設計および創製できる。DNAプライマーおよびプローブはしばしば、合成DNA分子である。さらに、全長コード配列またはその断片は、当業者に知られた方法を用いた合成DNAプライマー分子を用いて作成できる。
【0026】
本発明のポリ核酸分子は、種々の方法で他の非天然、または「異種の」配列と結合し得る。「異種の」配列によって、例えば、一緒に連結した天然に見出されない同一植物からのヌクレオチド配列の組合せ、または2つの異なる種から由来する2つの配列を含めた本発明の遺伝子産物を供するヌクレオチド配列に連結した天然に見出されないいずれかの配列を意味する。本明細書に用いた「作動可能に連結した」または「連結した」なる用語は、作動可能に連結した構造的ポリ核酸分子の発現の調節を引き起こす調節および構造的ポリヌクレオチド分子の物理的および機能的な配置に引用される。
【0027】
DNA構築体または導入遺伝子の発現とは、本発明のポリヌクレオチド分子から由来したセンスもしくはアンチセンスRNAまたは蛋白質の転写および安定な蓄積あるいはその翻訳を意味する。「センス」RNAは、mRNAを含み、従って、細胞によりポリペプチドまたは蛋白質に翻訳できるRNA転写体を意味する。「アンチセンスRNA」は、すべてまたは部分的な標的一次転写体またはmRNAに相補的であり、トランスジェニック細胞中で発現された場合に標的遺伝子の発現と干渉するRNA転写体を意味する(米国特許第5,107,065号)。アンチセンスRNAの相補性は、特定の遺伝子転写体のいずれかの部分、すなわち、5’非コード配列、3’非転写配列、イントロンまたはそのコード配列であり得る。「RNA転写体」は、DNA配列のRNAポリメラーゼで触媒された転写に起因する産物を意味する。RNA転写体がDNA配列の完全な相補的なコピーである場合、それを一次転写体というか、あるいはそれは一次転写体の転写後プロセシングから由来するRNA配列で有り得、成熟RNAと呼ばれる。本発明のポリヌクレオチド分子は、宿主細胞標的ポリヌクレオチドに相補的なアンチセンス配列を含み得る。また、本発明のポリヌクレオチド分子は、宿主細胞中で発現された場合に標的宿主遺伝子の転写後遺伝子抑制を供する二本鎖RNA産物を含み得る。
【0028】
植物細胞中の遺伝子発現を調節するアンチセンス配向RNAによる転写後遺伝性抑制は、米国特許第5,107,065号および米国特許第5,759,829号に開示されている。植物における遺伝子発現を調節するセンス配向RNAによる転写後遺伝子抑制は、米国特許第5,283,184号および米国特許第5,231,020号に開示されている。RNAiによる植物中の遺伝子を抑制する二本鎖RNAによる転写後遺伝子抑制は、別々の転写ユニットまたは単一転写ユニット中の標的遺伝子のセンス配向およびアンチセンス配向の因子を含む組換えDNA構築体を用いる国際公開WO99/53050に開示されている。また、国際公開番号WO99/49029、米国特許出願公開2003/0175965(loweら)、米国特許出願10/465,800および米国特許第6,506,559号参照。反対配向プロモーターが隣接した単一配向遺伝子因子を含むRNAi遺伝子抑制用のもう一つのDNA構築体は、米国特許出願公開2003/0061626 A1および米国特許第6,326,193号に開示されている。また、遺伝子植物中の1以上の本来の遺伝子を同時に抑制しつつ、1以上の組換え遺伝子を同時に発現する構築体および方法を開示する米国出願シリアル番号10/393,347を参照されたし。また、植物に用いられる多重遺伝子発現ベクターを開示する米国特許第6,448,473号を参照。植物中の転写後遺伝子発現のための材料および方法を開示する前記の特許、出願および国際公開の全てをここに出典明示して本明細書の一部とみなす。
【0029】
植物中の転写後遺伝子抑制の好ましい方法は、安定化した、例えば、末端ヘアピン構造を持つセンス配向もしくはアンチセンス配向の転写されたRNAのいずれも使用する。転写後遺伝子抑制に影響する好ましいDNA構築体は、抑制のために標的とした遺伝子に相同性を有するアンチセンス配向RNAのセグメントに転写され、ここに、該アンチセンスRNAセグメントは、センス配向で連続し相補的で短いセグメントのRNAに3’末端にて続く。植物における自己安定化したアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドの使用は、国際公開94/01550に開示されている。また、該アンチセンスRNAがポリ(CG)ヌクレオチドのヘアピン形成リピートにより安定化される国際公開98/05770を参照されたし。また、センスまたはアンチセンスRNAがポリ(T)―ポリ(A)尾部により安定化される米国特許出願公開2002/0048814 A1を参照されたし。また、センスまたはアンチセンスRNAが、NOS遺伝子のシーケンスの逆リピート配列により安定化される米国特許出願公開2003/0018993 A1を参照されたし。また、標的に対して相同性を有するRNAが2つの相補的RNA領域により安定化される米国特許出願公開2003/0036197 A1(Glassmanら)を参照されたし。
【0030】
本発明の植物細胞の非致死性のネガティブ選択マーカー導入遺伝子は、植物ホルモンと関連するポリペプチドおよび酵素をコードするポリヌクレオチドを含む。ジベレリン、サイトカイニン、オーキシン、エチレンおよびアブシジン酸を含む植物ホルモンを操作して、植物細胞の本来の植物への再生に影響させることができる。
【0031】
ジベレリン酸(GA)生合成経路の基質を用いるが、生物活性GAの産生において生じないあるクラスの酵素の過剰発現は、植物細胞中のGA生合成に利用可能な基質の量を低下させるのに有用である。GA経路ならびに酵素および基質の記載は、米国特許公開2002005309およびWO0009722に示され、GA 20−オキシダーゼ(米国特許第6,455,675号)およびGA 2β,3β−水酸化酵素およびフィトエン合成酵素を含む。フィトエン合成酵素は、ビタミンAの生成(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす米国特許第5,656,472号、US20020051998、US20020092039、米国特許第6,429,356号)に関与する酵素である。フィトエン合成酵素をコードするDNAは、細菌および植物源から単離された(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす米国特許第5,429,939号)。Erwinia herbicolaフィトエン合成酵素遺伝子(crtB、米国特許第6,429,356号)は、カロテノイド色素の生成に、および本発明において植物細胞再生を低下させるために特に有用である。Frayら(The Plant Journal 8:693-701, 1995)は、導入遺伝子トマトにおける果実フィトエン合成酵素遺伝子の構成的発現が、ジベレリン経路からの代謝物の再指示により小型化をもたらすことを示した。本発明に用いたフィトエン合成酵素酵素は、ベクター骨格DNAを含む植物細胞において、基質ゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)をジベレリン酸生合成経路からカロテノイド生合成経路へ転換するように機能する。得られた転換の結果、GAの産生に利用可能な基質量を低下させる。GAにおいて低下した植物細胞は、植物細胞組織培養物からの植物再生の間の苗条形成において遅延する。加えて、培養液中の植物カルス組織はカロテノイド色素の過剰産生によりオレンジ色である。本発明は、植物細胞中で過剰産生する場合に、植物細胞が無傷の植物に再生される速度を低下させ、それにより、ベクター骨格を含まないトランスジェニック植物細胞に対する選択可能な利点を供するベクター骨格中のフィトエン合成酵素遺伝子を含むDNA構築体を提供する。また、GGPP合成酵素(米国特許第6,410,356号)を含むGA生合成経路の他の酵素も本発明に有用である。例えば、豆、Arabidopsis、大豆、トウモロコシ、および綿から単離されたGA 2−オキシダーゼ遺伝子配列(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす米国特許第6,670,527号および米国特許公開US20020053095)を用いて、植物細胞培養物中でGAレベルを低下させ、苗条伸長を遅延させることができる。GA 2−オキシダーゼ遺伝子産物は、生物活性ジベレリンレベルを低下させることにより機能する。GA1およびGA4のごとき生物活性GAの水酸化は2−オキシダーゼによってそれらを不活性とし、一方、GA9およびGA20のごとき生合成前駆体の水酸化は、GA生合成酵素用の好ましくない基質を創製する。従って、2−オキシダーゼ蛋白質の過剰発現を用いて、基質レベルに影響させ、かくして、苗条再生を遅延させることにより直接的にGAレベルを不活性化するか、または間接的に内因性の生物活性GAレベルを下方調節できる。本発明は、本明細書に記載されたGA関連酵素を含むDNA構築体を提供し、ここに、これらのGA関連酵素をコードするポリ核酸を含む植物発現カセットは、ベクター骨格DNAにおいて生じる。
【0032】
サイトカイニン生合成経路における酵素の遺伝子導入の過剰発現は、植物細胞およびトランスジェニック植物中のサイトカイニンレベルに影響することが示されている。例えば、イソペンテニル転移酵素(IPT)は、サイトカイニン合成において用いられる酵素であり、その遺伝子(ipt)は、Agrobacterium tumefaciensTiプラスミドから単離されている(Barryら, Proc. Natl. Acad. Sci. 81:4776-4780, 1984)。イソペンテニル転移酵素は、サイトカイニン生合成における第1の中間体のイソペンテニル−アデノシンモノホスフェートの形成を触媒するために5’−AMPおよびイソペンテニルジホスフェートを用いる。IPTの過剰発現は、トランスジェニック植物中のサイトカイニンレベルの上昇に導く(Medfordら, Plant Cell 1:403-413, 1989)。植物細胞中のIPTの発現は、形質転換された原形質体またはリーフディスク(leaf disk)からの生理学上異常な苗条の再生を誘導し得る。この表現型は、マーカーとして用いることができる(Ebinumaら, Proc. Natl. Acad. Sci. 94:2117-2121, 1997)。CKI1(cytokinin-インディペンデント1)遺伝子発現は、同様の表現型を提供する(Kakimoto, Science 274:982-985, 1996)。サイトカイニンレベルの増加は、植物形質転換用の選択マーカー、例えば、IPTの誘導可能なコントロール(ここに出典明示して双方を本明細書の一部とみなす米国特許第6,452,068号および米国特許第6,326,192号)およびESR−2の誘導可能なコントロールおよび(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす米国特許第6,441,276号)ならびにESR1−A(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす米国特許第6,407,312号)としての用途を有することが記載されている。本発明において、サイトカイニン生合成に関連する蛋白質は好ましくは構成的に発現される。DNAプラスミド構築体中でベクター骨格の成分として用いた場合のこれらの遺伝子は、ベクター骨格を含む単子葉植物細胞の異常な非胚形成カルス形成を誘導する。本発明のDNAプラスミドは、骨格DNAを含む胚がほとんど産生されないような単子葉植物細胞トランスフォメーションに特に有用である。双子葉植物細胞を形質転換するために用いた場合、キメラサイトカイニン生合成支配遺伝子を含む細胞は豊富な根を生成しない異常な苗条を生成する。さらに、サイトカイニンを分解する酵素、例えば、サイトカイニンオキシダーゼ(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす米国特許第6,229,066号)を本発明に用いて、ベクター骨格を含む植物細胞についての非致死性のネガティブ選択マーカー導入遺伝子として機能できる。
【0033】
インドール−3−酢酸(IAA)のごときオーキシンは、特に他の植物ホルモンと組み合わせた場合に植物細胞成長に影響する。サイトカイニン/オーキシン濃度の変化は、植物成長における増強がある種の組織で優先的に生じさせる。例えば、高いサイトカイニン/オーキシン比は、苗条の成長を促進するが、低サイトカイニン−対−オーキシン比は、根の生育を促す(Depickerら (1983)Genetic Engineering of Plants, T. Kosunge, C. P. MeredithおよびA. Hollaender, eds., Plenum Press, New York, p. 154)。IAAの内因性の合成を増加させる試みは、IAAの生合成用の細菌遺伝子を含むような植物の遺伝子工学を含む。これらはAgrobacterium種IAA生合成経路遺伝子:iaaM、iaaH、rolABCまたはオーキシン分子を供するように機能するAgrobacterium種から単離された他の腫瘍または毛根の遺伝子を含む。
【0034】
一般的には、細菌酵素を介してより高レベルのIAAを発現するトランスジェニック植物は、表現型の異常性を示した(Kleeら Genes Devel.1:86-96, 1987; Schmullingら EMBO J. 7:2621-2629, 1988)。かかるトランスジェニック植物は、特に、細菌のiaaM(トリプトファンモノオキシダーゼ)および/またはiaaH(インドールアセトアミド加水分解酵素)遺伝子が強力な異種のプロモーターと連結した場合に、通常より高レベルのIAAコンジュゲートおよびIAAがない双方を示す(Sitbon, F. (1992) Transgenic Plants Overproducing IAA--A Model System to Study Regulation of IAA Metabolism, Swedish University of Agricultural Sciences, Umea, Sweden)。Zea may中のIAAの接合体の生合成は、UDP−グルコース:インドール−3−イルアセチル−グルコシル転移酵素(EC 2.4.1.121;IAAグルコース合成酵素、IAGlu合成酵素、IAGlu転移酵素ともいう;ここに出典明示して双方を本明細書の一部とみなす米国特許第5,919,998号および第6,489,541号)によって触媒される。この酵素の過剰発現は、組織培養物中の細胞の異常成長を引き起こす。本発明は、DNAプラスミドのベクター骨格DNAを含む植物細胞に対する異なる表現型を供するためのベクター骨格中のオーキシン生合成遺伝子の使用を含む。
【0035】
エチレン生合成は確立され、メチオニンは、中間体としてのS−アデニルメチオニン(SAM)および1−アミノシクロプロパン−1−カルボン酸(ACC)でエチレンに変換される。SAMからのACCの生成はACC合成酵素酵素によって触媒される。ACC合成酵素は、果物の熟成およびストレス植物において生成され、高度に分岐する遺伝子ファミリーによってコード化される(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす米国特許第5,723,766号)。ACCのエチレンへの変換は、エチレン形成酵素(EFE)によって触媒される(Spanuら, EMBO J 1991, 10, 2007)。例えば、ここに出典明示して本明細書の一部とみなす米国特許第5,886,164号に記載のごとく、単離された1−アミノシクロプロパン−1−カルボン酸合成酵素(ACS)およびエチレン形成酵素(EFE)遺伝子。ACCをエチレンに変換するACC酸化酵素は、大部分の組織において構成的に発現される(Yangら, Ann. Rev. Plant Physiol. 1984, 35, 155)が、果物の熟成中に誘導され(Grayら Cell 1993 72, 427)、ACC酸化酵素またはそのホモログのDNAおよび蛋白質の組成物は、ここに出典明示して本明細書の一部とみなす米国特許第6,043,409号に開示のごとく有用である。本発明のDNA構築体は、ベクター骨格DNAを含む植物細胞におけるエチレン生合成酵素の過剰発現を供するベクター骨格中の植物発現カセットの存在を含む。ACCデアミナーゼ酵素は、それをアルファ−ケトブチレート、およびアンモニアに変換することによりACCを代謝する(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす米国特許第5,702,933号)。ACCデアミナーゼ酵素を発現するように形質転換した植物は、それらの組織中でエチレンレベルを低下させた。エチレン非感受性受容体ETR−1で修飾された形質転換された植物は、非感受性受容体を含まない植物と比較してエチレン応答における減少により特徴付けられる(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす米国特許第5,689,055号)。本発明のDNA構築体は、ベクター骨格DNAを含む植物細胞中のエチレン分解酵素またはエチレン非感受性受容体蛋白質の過剰発現を供するベクター骨格中の植物発現カセットの存在を含む。
【0036】
植物ホルモンアブシジン酸(ABA)は、主として胚形成中の発芽抑制により成熟ステージにおいて、後期胚形成中に役割を果たすと考えられる(In Abscisic Acid: Physiology and Biochemistry, W. J. DaviesおよびH. G. Jones, eds. (Oxford: Bios Scientific Publishers Ltd.), pp. 99-124, 1991)。種子発生を達成し、ABA非感受性である突然変異は、Arabidopsisおよびトウモロコシにおいて同定された。ArabidopsisのABA非感受性(abi3)突然変異体およびトウモロコシのviviparous1(vp1)突然変異体は、主として後期胚形成中に検出される(McCartyら, Plant Cell 1, 523-532, 1989,およびParcyら, Plant Cell 6, 1567-1582, 1994)。VP1遺伝子およびABI3遺伝子の双方は単離され、保存領域を共有することが判明した(Giraudat, J. Current Opinion in Cell Biology 7:232-238, 1995,およびMcCarty, D. R. Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol. 46:71-93, 1995)。VP1遺伝子は、転写活性剤として機能することが示された(McCartyら, Cell 66:895-906, 1991)。ABI3が同様の機能を有することが示唆されている。米国特許第6,320,102号(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす)に記載されたLEC1遺伝子および関連する突然変異体分子、すなわち、lec1-1またはlec1-2のものに遅い胚発生の同様の欠損をもたらすlec2、fus3-3およびabi3−3。これらの突然変異体は、乾燥不耐性、時々胎生であり、茎頂分裂組織を活性化した。lec2およびfus3-3突然変異体はABAに感受性であり、それらの子葉上に毛叢を所有し、従って、多葉の子葉タイプ突然変異体と分類できる。abi3−3突然変異体は、ABAに非感受性で、子葉上に毛叢を有していない異なるクラスの後期胚欠損突然変異に属する。本発明のDNA構築体は、ベクター骨格DNAを含む植物細胞中のABA関連蛋白質の過剰発現を提供し、それによって、ベクター骨格の有無にて組織培養植物細胞中で区別する手段を供するベクター骨格中の植物発現カセットの存在を含む。
【0037】
Arabidopsis中のBas1遺伝子は、ブラシノステロイドのシグナリングまたは合成における役割を有するチトクロムP450(CYP72B1)をコードする。植物におけるBas1遺伝子の過剰発現は、低レベルの植物ホルモン、ブラシノリドを有する植物を模倣する濃緑色の矮性表現型を引き起こす(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす米国特許公開US20020073446)。この遺伝子および遺伝子産物をシグナリングする他の関連する植物ホルモンを本発明に用いて、非致死性のネガティブ選択マーカー導入遺伝子としてこれらの遺伝子を含むベクター骨格DNAセグメントを含む植物に異常表現型を供し得る。
【0038】
代謝干渉遺伝子は、内因性の植物細胞基質に触媒活性を有し、さらに細胞に非致死性である蛋白質をコードするコード配列を含む。その基質は、限定されるものではないが、単糖、脂肪酸、アミノ酸またはヌクレオチド含む。従って、代謝干渉遺伝子は、例えば、生合成経路酵素、該経路から基質を転換する酵素、該経路の基質を分解または不活性化する酵素、あるいは経路酵素の発現に影響する遺伝子産物をコードし、これらはアンチセンスRNA分子または転写エンハンサーおよびリプレッサーを含むことができる。より詳細には、代謝干渉蛋白質の例は、限定されるものではないが、レバンスクラーゼ、インベルターゼおよびトレハロース合成酵素を含む。代謝干渉遺伝子発現は、植物細胞中の基質の正常な発生または分布を変更する。その結果は、細胞分裂、細胞伸長または植物への再生が低下した細胞である。代謝干渉遺伝子は、植物細胞中で発現された場合に植物の細胞分裂、細胞伸長または植物への再生を低下させる内因性の植物細胞遺伝子または転写体に相補的なアンチセンスの配列を含むことができる。本発明のDNA構築体は、ベクター骨格DNAを含む植物細胞中の代謝プロセスの抑制的な分子として機能する代謝の干渉酵素、またはアンチセンスRNAの過剰発現を供するベクター骨格中の植物発現カセットの存在を考える。そのDNA構築体は、植物細胞中で発現された場合に二本鎖RNA分子を形成し、標的宿主遺伝子の転写後遺伝子抑制を供するアンチセンスRNAを供するように作成し得る。
【0039】
遺伝子とは、一般的に、ポリペプチドの生成に関与するDNAのセグメントをいう。DNAのかかるセグメントは、そのコード領域に先行する(5’非コードのDNA分子)および続く(3’非コードのDNA分子)調節分子、ならびに個々のコードセグメント(エキソン)間の介在配列(イントロン)を含む。「本来の遺伝子」とは、それ自身の調節DNA配列で天然に判明した遺伝子を意味する。「キメラ遺伝子」とは、天然に一緒に判明していない異種調節およびコード配列を含む本来の遺伝子ではないいずれかの遺伝子を意味する。従って、キメラ遺伝子は、異なった源から由来した調節配列およびコード配列、または同一の源から由来するが、天然に判明したものとは異なる様式で配列した調節配列およびコード配列を含み得る。「導入遺伝子」は、形質転換手順によってゲノムに導入され、トランスジェニック生物を生じる遺伝子である。また、導入遺伝子は、ポリペプチドをコードしない遺伝子生成物、例えば、アンチセンスRNAを生成するように構築され得る。
【0040】
遺伝調節配列は、遺伝子の成分であり、導入遺伝子として連結した場合に、構造的ポリヌクレオチド配列の上流(5’非コード配列)、その中、または下流(3’非翻訳配列)に位置し、関連する構造的ポリヌクレオチド配列の転写、RNAプロセシングもしくは安定性、または翻訳に影響するポリヌクレオチド分子を含む。調節配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列(例えば、米国特許第5,659,122号)、イントロン(例えば、米国特許第5,424,412号)およびポリアデニル化認識配列を含み得る。
【0041】
本発明のDNA構築体は、1つの具体例において、本発明の導入遺伝子産物の過剰発現を引き起こすプロモーターを含むことができ、ここに、「過剰発現」とは、宿主細胞中に通常存在しないか、または該ポリペプチドをコードする内因性遺伝子から通常発現されるより高レベルで該宿主細胞中に存在するいずれかの産物の発現を意味する。本発明の導入遺伝子産物の過剰発現を引き起こすことができるプロモーターは、当該技術分野において一般的に知られ、例えば、ウイルスプロモーター(P-CaMV35S、米国特許第5,352,605号;P-FMV35S、米国特許第5,378,619号および第5,018,100号)、および種々の植物由来プロモーター、例えば、植物アクチンプロモーター(P-Os.Act1、米国特許第5,641,876号および第6,429,357号)である。これらのプロモーターは、植物の大部分の組織中で一般的に発現する構成的プロモーターの例である。他の構成的プロモーターは、植物分子生物学の技術分野において知られ、本発明に有用である。
【0042】
本発明のDNA構築体のプロモーターの発現レベルまたはパターンを修飾してその発現を増強し得る。当業者に知られた方法を用いて、増強因子(例えば、CaMV35Sプロモーターのサブドメイン、Benfeyら, EMBO J. 9: 1677-1684, 1990)を遺伝子の5’配列に挿入できる。1つの具体例において、増強因子を加えて、本発明の遺伝子の本来のプロモーターの一時的でかつ空間的な発現を包含するが、より高レベルの定量的発現を有するプロモーターを創製し得る。同様に、プロモーターの組織特異的な発現は、遺伝子発現を特に活性化または抑制することを決定する因子でプロモーターの5’領域の修飾を介して達成できる(例えば、花粉の特定の因子、Eyalら, 1995 Plant Cell 7: 373-384)。「プロモーター配列」または「プロモーター」なる用語は、ペプチドをコードする構造的ポリヌクレオチド配列にCisにて配置される場合に、そのポリペプチドをコードする1以上のmRNAの発現を指令する方法で機能できるポリヌクレオチド分子を意味する。かかるプロモーター領域は、典型的には、ポリペプチドコード領域の開始部位にてトリヌクレオチド、ATGの上流に見出される。また、プロモーター分子は転移RNA(tRNA)またはリボソームRNA(rRNA)配列の転写が開始されるDNA配列を含むことができる。転写は、DNA二重らせんの一本鎖を表わすRNA鎖の合成を含む。転写停止反応に必要なDNAの配列は、3’転写終了領域と呼ばれる。
【0043】
選択された特定のプロモーターが、所望の表現型を引き起こす有効量の産物が生成されるのに十分な発現を引き起こすことができることが好ましい。植物細胞中のDNAの転写を引き起こすことが知られているプロモーターに加えて、標的組織中で選択的にまたは好ましくは発現する遺伝子用の植物cDNAライブラリーをスクリーニングし、次いでプロモーター領域を決定することにより、他のプロモーターを本発明における使用のために同定し得る。植物組織培養プロセス中に連結した非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子産物を発現して植物細胞を植物に再生するプロモーターは、本発明において特に有用である。
【0044】
植物において導入遺伝子を発現するために用いることができるプロモーターは、胚貯蔵蛋白質をコードする遺伝子から由来し、それはBrassica napusからの2S貯蔵蛋白質をコードする遺伝子(Dasguptaら, Gene 133:301-302, 1993);Arabidopsisからの2S種子貯蔵蛋白質遺伝子ファミリー;Brassica napusからのオレオシン20kD(キロダルトン)をコードする遺伝子(GenBank M63985);大豆からのオレオシンA(GenBank U09118)およびオレオシンB(GenBank U09119)をコードする遺伝子;Arabidopsisからのオレオシンをコードする遺伝子(GenBank Z17657);トウモロコシからのオレオシン18kDをコードする遺伝子(GenBank J05212, Lee, Plant Mol. Biol. 26:1981-1987, 1994)ならびに大豆からの低分子量イオウ富化蛋白質をコードする遺伝子(Choiら, Mol. Gen. Genet. 246:266-268, 1995)を含み、それらをキメラ導入遺伝子中で用いることができる。ゼインをコードする遺伝子(15kD、16kD、19kD、22kD、27kDおよびガンマ遺伝子を含む、Pedersenら, Cell 29:1015-1026, 1982)から由来するプロモーターをキメラ導入遺伝子中で用いることができる。そのゼインは、トウモロコシ内胚乳で判明したある群の貯蔵蛋白質である。種子組織中で発現するプロモーターは、本明細書中で、特記しない限りは、P-Seedという。
【0045】
利用し得るさらなるプロモーターは、例えば、米国特許第5,378,619号、第5,391,725号、第5,428,147号、第5,447,858号、第5,608,144号、第5,608,144号、第5,614,399号、第5,633,441号、第5,633,435号および第4,633,436号(それらの全てを本明細書の一部とみなす)に記載されると認識される。調節配列の正確な境界が完全には規定できず、異なった長さのDNA断片が同一のプロモーター活性を有し得ることがさらに認識される。当業者は、植物細胞非致死性のネガティブ選択マーカー導入遺伝子ポリヌクレオチド分子の発現を供するために本発明において機能することが記載されたものに加えてさらにプロモーターを同定できる。
【0046】
翻訳リーダー配列は、遺伝子のプロモーター配列とコード配列との間に位置したDNA遺伝因子手段である。翻訳リーダー配列は、翻訳開始配列の上流の十分に処理されたmRNA中に存在する。翻訳リーダー配列は、mRNAへの一次転写体のプロセシング、mRNAの安定性または翻訳効率に影響し得る。翻訳リーダー配列の例は、特に、例えば、トウモロコシおよびペチュニア熱ショック蛋白質リーダー(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす米国特許第5,362,865号)、植物ウィルス外殻蛋白質リーダー、植物ルビスコ(rubisco)遺伝子リーダー(TurnerおよびFoster, Molecular Biotechnology 3:225, 1995)を含む。
【0047】
輸送ペプチドとは、注目する蛋白質に連結した場合に蛋白質を特定の組織、細胞、細胞下の位置または細胞小器官に向けるペプチド分子をいう。例には、限定されるものではないが、葉緑体輸送ペプチド、核標的シグナルおよび液胞シグナルが含まれる。葉緑体輸送ペプチドは、葉緑体にフィトエン合成酵素酵素の発現を指令するために本発明における特に有用なものである。葉緑体輸送ペプチド(CTP)は、植物葉緑体の標的とされるためのN末端蛋白質に融合されるように設計される。多数の葉緑体局在化蛋白質は、前駆体として核内遺伝子から発現され、それは移入工程中に除去される葉緑体輸送ペプチド(CTP)により葉緑体の標的とされる。葉緑体蛋白質の例は、リブロース−1,5−ビスホスフェートカルボキシラーゼ(RbcS2、rubisco)、フェレドキシン、フェレドキシンオキシドレダクターゼ、集光性複合体蛋白質Iおよび蛋白質IIならびにチオレドキシンFの小サブユニットを含む。非葉緑体蛋白質が、CTPとの蛋白質融合の使用によって葉緑体に標的とされ得、CTP配列が葉緑体への蛋白質を標的とするのに十分であることがin vivoおよびin vitroにて示されている。Arabidopsis thaliana EPSPS CTP (Kleeら, Mol. Gen. Genet. 210:437-442, 1987)およびPetunia hybrida EPSPS CTP (della-Cioppaら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:6873-6877, 1986)のごとき適当な葉緑体輸送ペプチドの組み込みは、トランスジェニック植物中の葉緑体への異種の蛋白質を標的とすることが示されている。トランスジェニック植物中のフィトエン合成酵素の発現は、CTPの添加により葉緑体に標的とされる(ここに出典明示して本明細書の一部とみなすWO9714807、米国特許第6,429,356号)。当業者は、特定のCTPの機能性を利用して、必要とされる植物細胞葉緑体にフィトエン合成酵素または他の非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子産物を移入する種々のキメラ構築体が作成できることを認識するであろう。
【0048】
3’非翻訳配列または3’終了領域とは、構造ヌクレオチド配列の下流に位置するDNA配列を意味し、ポリアデニル化、ならびに転写、mRNAプロセシングまたは遺伝子発現に影響できる他の調節シグナルをコードする配列を含む。ポリアデニル化シグナルは、植物中で、ポリアデニレートヌクレオチドのmRNA前駆体の3’端への付加を引き起こすように機能する。ポリアデニル化配列は、種々の植物遺伝子、またはT−DNAからの天然遺伝子から誘導できる。ポリアデニル化配列の一例は、ノパリン合成酵素3’配列(nos 3'; Fraleyら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80: 4803-4807, 1983)である。異なる3’非翻訳配列の使用は、Ingelbrechtら, (Plant Cell 1:671-680, 1989)により例示されている。
【0049】
本明細書に用いた組み換えDNA技術における実験手順は、当該技術分野においてよく知られ、かつ一般的に使用されるものである。標準的な技術は、クローニング、DNAおよびRNA単離、増幅および精製に用いられる。DNA連結酵素、DNAポリメラーゼ、制限酵素等に関連する一般的な酵素反応は、製造者の説明書に従い行なわれる。これらの技術および種々の他の技術は、Sambrookら(1989)と本明細書でいうSambrookら, Molecular Cloning - A Laboratory Manual, 2nd. ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York (1989)により行われる。
【0050】
植物組み換えDNA構築体および形質転換された植物
本発明の単離されたポリ核酸分子は、本発明のポリペプチドが過剰発現されるトランスジェニック作物植物の創製に特別の使用を見出すことができる。植物細胞中のこれらのポリペプチドの過剰発現は、植物細胞を完全な植物に再生するか、外来性の基質の添加なくして目により容易に識別可能な表現型を生成する速度を低下できる。本発明のDNAプラスミドは、トランスジェニック作物細胞に形質転換できる。
【0051】
トランスジェニック作物植物は、作物植物細胞のゲノムに挿入された外来性のポリヌクレオチド分子を含む。作物植物細胞は、限定なくして、懸濁培養物、胚、分裂組織領域、カルス組織、葉、根、枝、配偶体、胞子体、胚珠、花粉および小胞子をさらに含む植物細胞および種子ならびに果実を含む。「外来性の」により、ポリヌクレオチド分子がポリヌクレオチド分子が導入される植物の外からが起源であることを意味する。外来性のポリヌクレオチド分子は、天然発生、天然発生のヌクレオチド配列を有することができる。当業者は、外来性のポリヌクレオチド分子が、そのポリヌクレオチド分子が導入される植物とは異なる種から由来する異種の分子で有り得るか、またはそれが導入された植物と同一の植物種から由来するポリヌクレオチド分子で有り得ると理解する。トランスジェニック植物中で発現された場合の外来性のポリヌクレオチド(導入遺伝子)は、作物学的に重要な形質を提供できる。作物学的な注目導入遺伝子(GOI)は、例えば、限定されるものではないが、除草物質抵抗性(米国特許第5,633,435号;米国特許第5,463,175号);収穫高の増加(米国特許第5,716,837号)、昆虫制御(米国特許第6,063,597号;米国特許第6,063,756号;米国特許第6,093,695号;米国特許第5,942,664号;米国特許第6,110,464号)、菌類病抵抗性(米国特許第5,516,671号;米国特許第5,773,696号;米国特許第6,121,436号;および米国特許第6,316,407号および米国特許第6,506,962号)、ウィルス抵抗性(米国特許第5,304,730号および米国特許第6,013,864号)、線虫抵抗性(米国特許第6,228,992号)、細菌性疾患抵抗性(米国特許第5,516,671号)、デンブン生成(米国特許第5,750,876号および米国特許第6,476,295号)、改質油生成(米国特許第6,444,876号)、油の高生成(米国特許第5,608,149号および米国特許第6,476,295号)、改質脂肪酸含量(米国特許第6,537,750号)、高蛋白質産生(米国特許第6,380,466号)、果実成熟(米国特許第5,512,466号)、動物およびヒト栄養の増強(米国特許第5,985,605号および米国特許第6,171,640号)、生体高分子(米国特許第5,958,745号および米国特許公開US20030028917)、環境ストレス抵抗性(米国特許第6,072,103号)、医薬ペプチド(米国特許第6,080,560号)、プロセシング形質の改良(米国特許第6,476,295号)、消化率の改善(米国特許第6,531,648号)低ラフィノース(米国特許第6,166,292号)、産業酵素生産(米国特許第5,543,576号)、改善された風味(米国特許第6,011,199号)、窒素固定(米国特許第5,229,114号)、ハイブリッド種子生成(米国特許第5,689,041号)および生物燃料産生(米国特許第5,998,700号)を含めた作物植物に対する有益な作物学的な形質を提供し、前記に列記された遺伝因子および導入遺伝子をここに出典明示して本明細書の一部とみなす。
【0052】
また、本発明は、トランスジェニック作物植物の生成のための植物組み換えDNA構築体を提供する。当業者によく知られた方法を用いて、本発明の作物組み換えDNA構築体を調製し得る。これらの方法は、in vitroの組み換えDNA技術、合成技術およびin vivoの遺伝的組換を含む。かかる技術はSambrookら, (1989)に記載されている。その方法により創製された外来性のポリヌクレオチド分子は、アグロバクテリウム媒介形質転換または植物形質転換の当業者に知られた他の方法により作物植物に移行し得る。
【0053】
DNA構築体は、一般的には、アグロバクテリウム細胞により供された転移分子と共に、T−DNAの植物細胞のゲノムへの組み込みを可能とするT−DNA(転移DNA)を含むAgrobacterium tumefaciensから単離されたTiプラスミドの右境界(RBまたはAGRtu.RB)および左境界(LBまたはAGRtu.LB)領域を有する二重のTiプラスミド境界DNA構築体である。また、そのDNA構築体は、細菌細胞中の複製機能および抗生物質選択を供するベクター骨格DNAセグメント、例えば、ori322のごときE. Coli複製起点、Ec.oriVまたはoriRiのごとき広範囲の宿主領域複製起点、およびスペクチノマイシンまたはストレプトマイシンに対する抵抗性を与えるTn7アミノ配糖体アデニル転移酵素(aadA)をコードするSpec/Strpのごとき選択マーカー用のコード領域あるいはゲンタミシン(Gm、Gent)選択マーカー遺伝子を含む。植物形質転換では、宿主細菌株は、しばしばAgrobacterium tumefaciens ABI, C58またはLBA4404であるが、しかしながら、植物形質転換の当業者に知られた他の菌種が、本発明において機能できる。本発明は、植物細胞中で発現された場合に全体の無傷の植物に植物細胞の効率的な再生を好ましくは低下させる非致死性の産物を生成するか、または異常表現型を有する植物もしくはその部分を生成するベクター骨格における植物発現カセットを含むDNA構築体を供する。
【0054】
本発明のDNA構築体のT−DNAは、典型的には、作物学的に注目する1以上の導入遺伝子および植物細胞において選択可能な表現型を与えるポジティブ選択マーカーを含むであろう。そのマーカーは、ポジティブな選択化合物に対する抵抗性、例えば、抗生物質抵抗性(例えば、カナマイシン、G418、ブレオマイシン、ヒグロマイシン等)、または除草物質抵抗性(例えば、限定されるものではないが、グリホサート、グルホシネート、スルホニル尿素、イミダゾリノン、ブロモキシニル、デラポン(delapon)、シクロヘザネジオン(cyclohezanedione)、プロトポルフィリンオノーゲンオキシダーゼインヒビターおよびイソキサスフルトール(isoxasflutole)除草物質を含む)を提供し得る。除草物質寛容性に関与する蛋白質をコードするポリヌクレオチド分子は、当該技術分野において知られ、限定されるものではないが、5−エノールピルビルシキマート−3−ホスフェート合成酵素をコードするポリヌクレオチド分子(EPSPS、米国特許第5,627,061号、第5,633,435号、第6,040,497号;Padgetteら Herbicide Resistant Crops, Lewis Publishers, 53-85, 1996;および Penaloza-Vazquezら Plant Cell Reports 14:482-487, 1995;に記載);およびグリホサート寛容性についてのaroA(米国特許第5,094,945号);ブロモキシニル寛容性についてのブロモキシニルニトリラーゼ(Bxn)(米国特許第4,810,648号);フィトエンデサチュラーゼ(crtI, Misawaら, (1993) Plant J. 4:833-840,および(1994) Plant J. 6:481-489);ノルフルラゾンに対する寛容性では、アセトヒドロキシ酸合成酵素(AHAS, aka ALS, Sathasiivanら Nucl. Acids Res. 18:2188-2193, 1990);およびグルホシネートおよびビアラホスに対する寛容性についてのbar遺伝子(DeBlockら EMBO J. 6:2513-2519, 1987)を含む。
【0055】
選択マーカーに加えて、レポーター遺伝子を用いることは望ましいかもしれない。いくつかの例において、レポーター遺伝子は、選択マーカーの有無により用いることができる。
レポーター遺伝子は、典型的には受容生物体または組織に存在せず、いくつかの表現型の変化または酵素の特性を生じる蛋白を典型的にはコードする遺伝子である。かかる遺伝子の例は、Wisingら Ann. Rev. Genetics, 22, 421 (1988)(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす)に提供されている。好ましいレポーター遺伝子は、E. ColiのuidA座のベータ−グルクロニダーゼ(GUS)、E. ColiのTn9からのクロラムフェニコールアセチル転移酵素遺伝子、生物発光のクラゲAequorea victoriaからの緑色蛍光蛋白質およびホタルPhotinus pyralisからのルシフェラーゼ遺伝子を含む。次いで、レポーター遺伝子発現を検出するためのアッセイ方法は、該遺伝子が受容細胞に導入された後の適当な時間に行なうことができる。好ましいかかるアッセイ方法は、形質転換細胞を同定するために、本明細書でGUSという、Jeffersonら, (Biochem. Soc. Trans. 15, 17-19, 1987)に記載されたE. ColiのuidA座のベータ−グルクロニダーゼ(GUS)をコードする遺伝子の使用を必要とする。
【0056】
本発明のDNA構築体は、適当なアグロバクテリウム媒介植物形質転換法により所望の植物宿主のゲノムに導入し得る。アグロバクテリウム媒介形質転換の目的のための適当な植物形質転換プラスミド構築体は、Agrobacterium tumefaciensのTiプラスミドから由来するもの、ならびに例えば、Herrera-Estrellaら, (Nature 303:209, 1983); Bevan, (Nucleic Acids Res.12: 8711-8721, 1984); Kleeら, (Bio-Technology 3:637-642, 1985)により開示されたものを含む。アグロバクテリウム媒介形質転換による植物の形質転換方法は、Fraleyら, (Bio/Technology 3:629-635, 1985)、およびRogersら, (Methods Enzymol. 153:253-277, 1987)を含む。アグロバクテリウム媒介形質転換は、アグロバクテリウム属に属する遺伝子操作された土壌細菌の使用を介して達成される。いくつかのAgrobacterium種は、多数の植物種にDNAのいずれかの所望の部分を運搬するように遺伝子操作できる「T−DNA」として知られる特定のDNAの転移を媒介する。T−DNA媒介病原性のプロセスを特徴付ける大きな事象は、病原性遺伝子の導入およびT−DNAのプロセシングおよび転移である。このプロセスは、多数の総説の対象である(Ream. Ann. Rev. Phytopathol. 27: 583-618, 1989; HowardおよびCitovsky, Bioassays, 12:103-108, 1990; Kado, Crit. Rev. Plant Sci. 10:1-32, 1991; Winnans, Microbiol. Rev. 56: 12-31, 1992; Zambryski, Ann. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol., 43: 465-490, 1992; Gelvin, Transgenic Plants, S. D. Kung and R. Wu eds., Academic Press, San Diego, pp. 49-87, 1993; Binns およびHowitz, Bacterial Pathogenesis of Plants and Animals (Dang,J.L., ed.). Berlin: Stringer Verlag, pp. 119-138, 1994; Hooykaasおよび Beijersbergen, Ann. Rev. Phytopathol. 32:157-179, 1994; Lessl and Lanka, Cell 77:321-324, 1994; ZupanおよびZambryski, Ann. Rev. Phytopathol. 27, 583-618, 1995)。
【0057】
植物細胞再生技術は、組織培養増殖培地中のある種の植物ホルモンの操作に依拠し、また典型的は、所望のヌクレオチド配列と一緒に導入された殺生物物質および/または除草物質マーカーに依拠する。適当なプロトコールでの方法の選択は、マメ科(アルファルファ、大豆、クローバ等)、セリ科(ニンジン、セロリ、パースニップ)、アブラナ科(キャベツ、ハツカダイコン、キャノーラ/菜種等)、ウリ科(メロンおよびキュウリ)、イネ科(小麦、大麦、米、トウモロコシ等)、ナス科(ジャカイモ、タバコ、トマト、コショウ)、ヒマワリのごとき種々の花作物ならびにアーモンド、カシュー、クルミおよびピーカンのごとき木の実がなる木からの宿主に利用できる。例えば、Ammiratoら, Handbook of Plant Cell Culture - Crop Species. Macmillan Publ. Co. (1984); Shimamotoら, Nature 338:274-276 (1989); Fromm, UCLA Symposium on Molecular Strategies for Crop Improvement, April 16-22, 1990. Keystone, CO (1990); Vasilら, Bio/Technology 8:429-434 (1990); Vasilら, Bio/Technology 10:667-674 (1992); Hayashimoto, Plant Physiol. 93:857863 (1990);および Dattaら, Bio-technology 8:736740 (1990)参照。かかる再生技術は、一般的には、Kleeら, Ann. Rev. Plant Phys. 38:467-486 (1987)に記載されている。本発明の実施における導入遺伝子のDNA構築体を植物ゲノムに導入することにより植物を形質転換する方法および組成物は、いずれかのよく知られたおよび明らかにされた方法を含む。例えば、米国特許第5,824,877号;第5,591,616号;および第6,384,301号(これらの全てをここに出典明示して本明細書の一部とみなす)に示されたアグロバクテリウム-媒介形質転換。
【0058】
本発明の実施により作成できる植物は、限定されるものではないが、アカシア、アルファルファ、アネス(aneth)、リンゴ、アンズ、アーティチョーク、キバナスズシロ、アスパラガス、アボカド、バナナ、大麦、豆、ビート、クロイチゴ、ブルーベリー、ブロッコリ、芽キャベツ、キャベツ、キャノーラ、カンタロープ、ニンジン、カッサバ、カリフラワー、セロリ、サクランボ、コリアンダー(cilantro)、柑橘類、クレメンタイン、コーヒー、トウモロコシ、綿花、キュウリ、ダグラスファー(Douglas fir)、ナス、エンダイブ、キクヂシャ、ユーカリ、ウイキョウ、イチジク、森林樹、ヒョウタン、ブドウ、グレープフルーツ、蜂蜜露(honey dew)、ヒーカマ、キーウィフルーツ、レタス、ニラ、レモン、ライム、テーダマツ、マンゴー、メロン、マッシュルーム、ナッツ、オート麦、オクラ、タマネギ、オレンジ、観賞植物、パパイヤ、パセリ、エンドウ、モモ、ピーナッツ、西洋ナシ、コショウ、カキ、マツ、パイナップル、オオバコ、プラム、ザクロ、ポプラ、ジャカイモ、パンプキン、マルメロ、ラジアタマツ、赤チコリー、ダイコン、ラズベリー、コメ、ライ麦、モロコシ、サザンパイン、大豆、ホウレン草、カボチャ、イチゴ、テンサイ、サトウキビ、ヒマワリ、サツマイモ、アメリカフウ(sweetgum)、タンジェリン、茶、タバコ、トマト、シバ、バイン(vine)、スイカ、小麦、ヤムおよびズッキーニを含む。
【0059】
以下の実施例は、本発明の実施を良好に説明するために提供され、本発明の範囲を何ら限定するものと解釈されるべきではない。当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、種々の修飾、付加、置換、切り取り等が本明細書に記載された方法および遺伝子になすことができることを認識するであろう。
【0060】
実施例1
DNAプラスミド
本発明のDNAプラスミドは、T−DNAセグメントおよびベクター骨格セグメントを含むDNA構築体である。T−DNAは、アグロバクテリウムTiプラスミド境界領域[右境界(RB)および左境界(LB)領域]によって隣接して挟まれ、ポジティブ選択マーカー遺伝子および作物学的な注目遺伝子(GOI)を含む。そのベクター骨格セグメントは、非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子およびプラスミド維持因子を含む。比較の目的のために対照として用いたDNAプラスミドは、同一または同様のT−DNA発現カセットを含むが、ベクター骨格中の非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子を含まない。本発明のプラスミドの基本設計を図1に示す。この例示では、RBおよびLBの因子はT−DNAを隣接して挟み、これらの境界因子は、アグロバクテリウムの病原性遺伝子により供されるエンドヌクレアーゼについてのニック部位として機能する関連したDNA分子の因子または断片のような他のものと置換し得る。選択マーカー遺伝子は、抗生物質、例えば、カナマイシン、ヒグロマイシン、ゲンタマイシン、または除草物質、例えば、グリホサート、グルホシネート、スルホニル尿素誘導体、イミダゾリノン、ブロモキシニル、デラポン、シクロヘザネジオン、プロトポルフィリンオノーゲンオキシダーゼインヒビター、およびイソキサフルトール(isoxaflutole)除草物質のごときポジティブ選択化合物に対する植物細胞抵抗性を供することが知られているいずれかの数の遺伝子から選択できる。その作物学的な注目遺伝子を選択して、植物に有用ないずれかの数の形質を供することができる。本発明は、限定されるものではないが、除草物質寛容性遺伝子、耐虫性遺伝子および収穫増強遺伝子を含むDNA構築体中の作物学的な注目遺伝子の例を提供する。
【0061】
単子葉植物細胞における発現に特に有用なDNA構築体は、pMON80101(図2)に図示されるように、連結したrubiscoサブユニット葉緑体輸送ペプチドリーダー(SSU、TS-Ps.RbcS2、米国特許第6,429,356号(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす)の配列番号:1)が、強力な構成的プロモーター(P-CaMV.35Sen、米国特許第5,359,142号、重複したエンハンサーを持ったCaMV 35Sプロモーター)およびトウモロコシHsp70イントロン(I-Zm.DnaK、米国特許第5,593,874号)に作動可能に連結したcrtB DNAコード配列ならびにAgrobacterium tumefaciensノパリン合成酵素遺伝子から単離された3末端領域(T-AGRtu.nos3’)を含み、この発現カセットはベクター骨格DNAセグメントに位置する。pMON80101において、T−DNAは、選択マーカーおよび作物学的な注目遺伝子(グリホサート寛容性)の双方である植物発現カセットを含む。この発現カセットは、Agrobacterium tumefaciensのノパリン合成酵素遺伝子から単離された3’末端に連結したAgrobacterium tumefaciensからのaroA-CP4コード配列(米国特許第5,633,435)に連結されたArabidopsisShkF遺伝子から分離された、葉緑体輸送ペプチド(CTP2)に連結された米actin1(P-Os.Act1(米国特許第5,641,876号))からのプロモーター、リーダーおよびイントロンを含む。
【0062】
双子葉植物細胞における発現に特に有用である、フィトエン合成酵素をコードするcrtBコード配列含むDNA構築体(本発明の配列番号:1、またはフィトエン合成酵素をコードする他のDNA分子、例えば、米国特許第6,429,356号の配列番号:1)は、pMON77406(図3)に図示される。P-CaMV.35S:enプロモーターは、植物細胞中のcrtB遺伝子産物の発現を指令する強力な構成的プロモーターである。この構築体は、グリホサート抵抗性のEPSPS酵素(aroA-CP4)の強力な構成的発現を供する選択マーカー遺伝子(P-FMV35S/L-PH-HSP70/CTP2-AROA-CP4/T-RBCS2-E9)発現カセットを含む。P-FMVプロモーター(米国特許第5,378,619号)、Petunia hybrida Hsp70遺伝子(米国特許第5,362,865号)から単離された翻訳リーダー、aroA-CP4グリホサート抵抗性のEPSPSコード配列に作動可能に連結し、またE9と言われるエンドウrubisco小サブユニット3’末端領域に作動可能に連結したArabidopsisEPSPSから単離された葉緑体輸送ペプチド(CTP2)。さらなる発現カセット(作物学的な注目導入遺伝子)をT−DNA内に加えて、そのT−DNAを含むトランスジェニック植物に増強された作物学的な表現型を供し得る。
【0063】
図4に示すDNA構築体(pLAGILBO1.0033)は、収穫増強導入遺伝子(P-Seed/I-Zm.DnaK-Hsp70/Cglut.CordapA/T-AGRtu.Tr7)およびグリホサート選択マーカー遺伝子を含む。P-Seedプロモーターは、トウモロコシHsp70イントロンに連結した種子組織中の発現を供するように機能する。CordapA遺伝子(Corynebacterium dapA, Bonnassieら Nucleic Acids Res. 18:6421, 1990)は、リジン阻害に非感受性のDHDPS酵素をコードする。転写末端はAgrobacterium tumefaciensのTr7遺伝子からのものである。crtBの非致死性のネガティブ選択マーカー導入遺伝子は、ベクター骨格DNA中に位置する。
【0064】
図5に示すDNA構築体(pLAGILBO1.0037)は、2つの耐虫性導入遺伝子を含み、それらのポリヌクレオチドはBt.EG11768蛋白質(米国特許第6,242,241号)およびBt.cryIIAb蛋白質(米国特許第6,489,542号)をコードする。crtB遺伝子は骨格DNAに位置し、その発現はP-CaMV.35Senプロモーターによって駆動される。
【0065】
図6に示すDNA構築体(pMON69869)は、グリホサート抵抗性を供する選択マーカーaroA:CP4の発現用の遺伝因子を含み、そのベクター骨格DNAにおいて、非致死性のネガティブ選択マーカー導入遺伝子、Agrobacterium tumefaciens(iptまたはAGRtu.ipt、配列番号:2)からのIPT酵素をコードするポリヌクレオチドを含む。図7に示すDNA構築体(pMON75157)は、AGRtu.iptコード配列の発現に有用な追加の遺伝因子を含むプラスミドを示す。この発現カセットは、植物細胞のアグロバクテリウムを媒介した形質転換に用いるDNAプラスミドのベクター骨格中で用いることができる。
【0066】
図8に示すDNA構築体(pMON75182)は、T−DNA中に、スコア可能なマーカー遺伝子(GUS)用の導入遺伝子およびポジティブ選択マーカー遺伝子(AGRtu.nptII)を含む。AGRtu.iptのコード配列は、ベクター骨格DNA中に含まれる。スコア可能なマーカー遺伝子を作物学的な注目導入遺伝子(GOI)で置換して、作物植物に価値のある農業形質を供し得る。
【0067】
図9に示すDNA構築体(pLAGILBO1.0035)は、T−DNA中に、収穫増強導入遺伝子(P-Seed/I-Zm.DnaK-Hsp70/Cglut.CordapA/T-AGRtu.Tr7)用の導入遺伝子およびグリホサート選択マーカー導入遺伝子を含む。そのipt発現カセット(P-CaMV.35S:en/I-Zm.DNAK/ipt/T-AGRtu.nos3')は、ベクター骨格DNAに含まれる。
【0068】
図10に示すDNA構築体(pLAGILBO1.0038)は、2つの耐虫性導入遺伝子を含み、それらのポリヌクレオチドは、Bt.EG11768蛋白質およびBt.cryIIAb蛋白質をコードする。AGRtu.ipt遺伝子は骨格DNA中にあり、その発現はP-CaMV.35Senプロモーターによって駆動される。
【0069】
図11に示すDNA構築体(pMON75183)は、T−DNA中に、スコア可能なマーカー遺伝子(GUS)用の導入遺伝子およびポジティブ選択マーカー遺伝子(AGRtu.nptII)を含む。codAコード配列は、ベクター骨格DNAに含まれる。codAは条件致死の選択マーカーを供する。植物細胞再生中に、カルス組織は、5−フルオロサイトシンを含む培地に移され、シトシンデアミナーゼを発現する植物細胞は死滅し、ベクター骨格DNAを含まない植物細胞だけが残るであろう。スコア可能なマーカー遺伝子を作物学的な注目導入遺伝子(GOI)で置換して、作物植物に価値のある農業形質を供し得る。
【0070】
図12に示すDNA構築体(pMON75181)は、T−DNA中に、スコア可能なマーカー遺伝子(GUS)用の導入遺伝子およびポジティブ選択マーカー遺伝子(AGRtu.nptII)を含む。T−DNAは、pMON75183と同一の発現カセットを含む。crtBの非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子は、ベクター骨格DNAに位置する。
【0071】
図13に示すDNA構築体(pMON42066)は、T−DNA中に、スコア可能なマーカー遺伝子(GUS)用の導入遺伝子およびポジティブ選択マーカー遺伝子(AGRtu.nptII)を含む。そのT−DNAは、pMON75183およびpMON75181と同一の発現カセットを含む。ベクター骨格DNA中には、植物細胞の非致死性のネガティブ選択マーカー(遺伝子なし)は存在しない。
【0072】
図16に示すDNA構築体(pMON73564)は、T−DNA中に、ポジティブ選択マーカー遺伝子(AGRtu.aroA-CP4)ならびにプロモーターおよび注目する遺伝子を含む発現カセット用の導入遺伝子を含む。ベクター骨格DNA中には、植物細胞の非致死性のネガティブ選択マーカー(遺伝子なし)は存在しない。
【0073】
図17に示すDNA構築体(pMON73565)は、T−DNA中に、ポジティブ選択マーカー遺伝子(AGRtu.aroA-CP4)ならびにプロモーターおよび注目する遺伝子を含む発現カセット用の導入遺伝子を含む。そのcrtBの非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子は、ベクター骨格DNAに位置する。
【0074】
図20に示すDNA構築体(pMON67935)は、T−DNA中に、ポジティブ選択マーカー遺伝子(AGRtu.aroA-CP4)ならびにプロモーターおよび注目する遺伝子を含む発現カセット用の導入遺伝子を含む。ベクター骨格DNA中には、植物細胞の非致死性のネガティブ選択マーカー(遺伝子なし)は存在しない。
【0075】
図21に示すDNA構築体(pMON67936)は、T−DNA中に、ポジティブ選択マーカー遺伝子(AGRtu.aroA-CP4)ならびにプロモーターおよび注目する遺伝子を含む発現カセット用の導入遺伝子を含む。そのcrtBの非致死性のネガティブ選択マーカー導入遺伝子はベクター骨格DNAに位置する。
【0076】
図24に示すDNA構築体(pMON83912)は、T−DNA中に、ポジティブ選択マーカー遺伝子(AGRtu.aroA-CP4)、およびGUSレポーター遺伝子を含む発現カセット用の導入遺伝子を含む。Phaseolus coccineusジベレリン2−オキシダーゼ(配列番号:3)をコードする非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子を含む植物細胞発現カセットは、ベクター骨格DNAに存在する。
【0077】
図25に示すDNA構築体(pMON83908)は、T−DNA中に、ポジティブ選択マーカー遺伝子(AGRtu.aroA-CP4)、およびGUSレポーター遺伝子を含む発現カセット用の導入遺伝子を含む。サイトカイニンオキシダーゼをコードする非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子(CKX1、配列番号:4)を含む植物細胞発現カセットは、ベクター骨格DNAに存在する。
【0078】
図25に示すDNA構築体(pMON83907)は、T−DNA中に、ポジティブ選択マーカー遺伝子(AGRtu.aroA-CP4)、およびGUSレポーター遺伝子を含む発現カセット用の導入遺伝子を含む。レバンスクラーゼをコードする非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子(sacB、配列番号:5)を含む植物細胞発現カセットは、ベクター骨格DNAに存在する。
【0079】
ベクター骨格に位置する他の代謝干渉遺伝子を含むDNA構築体は、前記と同様に構築できる。これらの実施例は、限定されるものではないが、酵母インベルターゼ(配列番号:6)および酵母トレハロース−6−ホスフェート合成酵素(配列番号:7)をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0080】
実施例2
作物形質転換
本発明に記載されたDNA構築体(例えば、pMON42066、pMON75181、pMON75182およびpMON75183)を安全化(disarmed)アグロバクテリウム株に転換する。DNA構築体は、例えば、トリパレンタルメイティング(triparental mating)法Dittaら, Proc. Natl. Acad. Sci. 77:7347-7351, 1980)、またはエレクトロポレーションによってアグロバクテリウムに転移される。アグロバクテリウムの液体培養は、グリセリンストックまたは新鮮なストリーク(streaked)プレートから開始し、適当な抗生物質を含有するpH7.0の液体のLB培地中の中−ログ(mid-log)発育相まで振盪(約150rpm)しつつ26°〜28℃で一晩増殖させる。アグロバクテリウム細胞は、接種培地中で再懸濁し、次いで、密度を約1のOD660に調整する。
【0081】
アグロバクテリウム媒介形質転換によるトウモロコシ細胞の形質転換および細胞の完全な繁殖性植物への再生は、当該技術分野において知られた種々の方法を用いて行うことができる。例えば、表面殺菌されたトウモロコシ種子を発芽させ、苗を断片にカットする。その傷ついた表面を持つ各苗片を半固形カルス誘導MSW57培地下にペプチド皿当たり10〜16片で位置させ、28℃で照明付きパーシバルインキュベーター(16時間の光周期)中で培養する。2〜4週後に、新鮮なMSW57培地に胚形成のカルスを移し、2〜3週間28℃にて暗闇で培養する。
【0082】
ペトリ皿(100mm×25mm)中で、先に6〜8日間サブ培養したカルス片を選択する。各プレートは、300〜500個のカルスを含み得る。1mlのアグロバクテリウム細胞懸濁液(本発明のDNAプラスミドを含むアグロバクテリウム)につき1mlのF−68(Pluronic F−68溶液10%、Sigma-Aldrich, St Louis, MO)を添加し、次いで組織をカバーするのに十分なこの懸濁液を添加する。室温で5〜20分間培養する。先端部が細いホールピペットでアグロバクテリウム懸濁液を取り出す。底に3片の無菌濾紙(ワットマン#1、直径8.5または9cm)および頂部に2片の濾紙でペトリ皿中のカルス片を取り出す。それらを数回転倒させてブロットする。水または培地を有さない1片のフィルターでカルス片(各々60〜100)をペトリ皿に移し、パラフィルムで皿を密封する。そのプレートを2〜3日間23℃の暗闇で培養する。
【0083】
23〜25mlのMSW57/C500/P100(カルベニシリン500mg/L、パロモマイシン100mg/L)培地で各ペトリ皿中の2片のフェルト(2cm×2cmの正方形)を置くことにより、培養皿を調製する。培地成分については表1を参照。培養皿にカルス片を移す。移す間に、カルスを小さな片(2〜3mm)に分離し、各培養皿は16〜25個のカルス片を含み得る。約2週間27℃の暗闇でその皿を培養する。選択培地を取り出し、次に、18〜20mlの新鮮な培地を添加する。約2週間27℃の暗闇でそのプレートを培養する。選択培地を取り出し、18〜20mlのMS/6BA/C250/P100培地に置き換える(codA遺伝子を含むDNAプラスミドで形質転換された組織は、25mg/Lから1000mg/lの5−フルオロサイトシンを含む培地に移した)。そのプレートを照明付きインキュベーター(16時間光、27℃)に5〜7日間移し、次いで、MSOD/C250/P100固形培地に増殖組織を移す。この培地で約2週間培養する。カルス片は、根を有するか有しない緑色の苗条を再生しているであろう。それらの苗条は、健康のようであり、いくつかの小さな苗条から容易に区別できるであろう。3g/lのPhytagarで固化したMSOD/C250/P100に健康な苗条を移す。移す間に、苗条の根部分に付着したカルス組織を取り出し、培養して苗条および根を増やし、次いで土壌に移す。
【0084】
【表1−1】

【0085】
【表1−2】

【0086】
【表1−3】

【0087】
双子葉植物細胞は、植物形質転換および組織培養の技術分野において知られた方法により完全な植物に形質転換および再生できる。本発明のプラスミドのT−DNAを転移するアグロバクテリウム媒介方法の使用は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、綿(米国特許第5,004,863号;米国特許第5,159,135号;米国特許第5,518,908号(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす))、大豆(米国特許第5,569,834号;米国特許第5,416,011号(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす))。
【0088】
前記の形質転換および再生方法は、ベクター骨格DNAの発生が大幅に低下した植物を供する。加えて、その植物は、コピー数が低下したインサートT−DNAの付加的利益を有する。該方法により生成された植物は本発明の態様である。
【0089】
実施例3
骨格DNAおよびコピー数についての分子的解析
DNAを本発明のDNAプラスミドで形質転換し、次いで植物細胞組織培養から再生された植物から取り出した組織試料から抽出する。PCRに基づいた方法を用いて、ベクター骨格の指標のEc.oriV DNAセグメントの存在につきDNAをアッセイする。このDNAはLBに隣接し、再生された植物から抽出したDNA中のその存在はLBに属するベクター配列の転移が生じたことを示す。DNAは、かなり多数の方法、例えば、製造者の指示に従うCTAB手順(Rogersら, Plant Mol. Biol. 5:69-76, 1985)またはDNAeasyTM 96 Plant Kit (Cat. # 69181, Qiagen Inc., Valencia, CA)により植物組織から単離できる。TaqmanR(PE Applied Biosystems, Foster City, CA)は、DNA配列の存在を検出および定量する方法として記載され、製造者により提供された指示書において十分に理解される。表2に列記したDNAプライマー分子を上記方法に用いて、植物抽出物からEc.oriV DNAを同定する。用いた条件および装置は同一結果を得るために当業者により変形できる。
【0090】
トウモロコシ植物細胞を、対照DNAプラスミド(pMON42066)、ベクター骨格(pMON75183)中の条件致死遺伝子を含むDNAプラスミド、非致死性の選択マーカー遺伝子(ipt、pMON75182)を含むDNAプラスミドおよび非致死性の選択マーカー遺伝子(crtB、pMON75181)を含むDNAプラスミドで形質転換し、次いで、完全な植物に再生した。完全な植物はEc.oriVの存在につき分析した。図14は、この分析結果を示す。その対照プラスミド(遺伝子無し、pMON42066)で形質転換後に再生された35種の植物の約半分および条件致死遺伝子プラスミド(codA、pMON75183)で形質転換した77種の植物の約35パーセントは、Ec.oriV DNAにポジティブである。驚くべきことには、非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子のiptおよびcrtBは、Ec.oriV DNAでのトランスジェニック植物の発生において予期される低下を供する。pMON75182で形質転換した8−3の植物の5パーセントだけがEc.oriV DNAを含み、pMON75181で形質転換した61種の植物の8パーセントだけがEc.oriV DNAを含んだ。
【0091】
これらの結果は、実質的な利益がベクター骨格の発生の低下による本発明のDNAプラスミドによって与えられたことを示す。従来のDNAプラスミド配置(pMON42066)で形質転換した植物の約半分が廃棄されるであろう。本発明のDNAプラスミド(pMON75182、pMON75181)で形質転換された植物のうち、10パーセント未満は廃棄されるであろう。
【0092】
【表2】

【0093】
商業的に生存可能なトランスジェニック植物のもう一つの重要な成分は、低インサート複雑性の発生である。これはしばしば低コピー数と言われる。インサートのコピー数があまりのも高すぎるならば、子孫を選択しうまく導入遺伝子の形質を生じさせるのは難しい。理想的には、単一のコピーの導入遺伝子だけが導入遺伝子の事象に存在するであろう。コピー数は、分子生物学の技術分野において知られたいくつかの方法により決定できる。サザンブロット分析は最も一般的に用いられる方法である。また、TaqmanR技術を用いる方法は、トランスジェニック植物におけるT−DNAインサートのコピー数を決定するのに正確でかつ信頼性がある。表3に概説された方法およびDNAプライマー分子は、nptIIコード配列の存在につき植物をアッセイする方法を示す。nptII選択マーカー遺伝子を含む発現カセットは、pMON42066、pMON75183およびpMON75182に存在する。これらのDNAプラスミドで形質転換された植物は、コピー数につきTaqman方法によってアッセイされ、その結果を図15に示す。骨格(pMON42066)プラスミド中に遺伝子なしでは、アッセイされた34の植物の平均コピー数が約2であって、47パーセントだけが単一コピーであることを示す。条件致死の選択マーカー(codA、pMON75183)プラスミドは、アッセイされた50の植物の平均コピー数が約2であって、植物の36パーセントだけが単一のコピーであったことを示す。非致死性の選択マーカー遺伝子(ipt、pMON75182)プラスミドは、アッセイされた27の植物の平均コピー数が1.2であり、驚くべきことに、トランスジェニック植物の8−5パーセントが単一のコピーであることを示す。この結果は、導入遺伝子コピー数の低下につき本発明のプラスミドの値を示す。
【0094】
【表3】

【0095】
DNA構築体、pMON73564およびpMON73565は、例えば、前記の方法を用いてトウモロコシ細胞に転換された。得られた導入遺伝子のトウモロコシ植物は、Ec.oriV DNAの検出につき前記された条件を用いて、骨格DNAの存在につきアッセイした。図18に示す結果は、pMON73565(crtB+、骨格中の非致死性の選択マーカー遺伝子)での形質転換後に再生された植物(N=104)のほぼすべてがEc.oriVがなかったことを示す。対照構築体pMON73564(crtB、骨格中のマーカー遺伝子はない)で形質転換された植物(N=115)の40パーセントはそれらのゲノム中にEc.oriV DNAを有した。同一組の植物を、コピー数につきアッセイし、その結果を図19に示す。これらの結果は、pMON73565(crtB+構築体)で形質転換した実質的により多数の植物が、骨格中の非致死性の選択マーカー遺伝子を含んでいなかったpMON73564で形質転換された植物と比較して、低コピー数を有し、骨格がなかったことを示す。これらの結果は、商業的な品質の実質的により多くの植物を供するためのDNA構築体中の非致死性の選択マーカー遺伝子の有用性を示す。
【0096】
さらなる証拠は、例えば、前記された形質転換法によってDNA構築体pMON67935およびpMON67936で形質転換されたトウモロコシ細胞から集められたデータから、ベクター骨格中に含まれていた非致死性の選択マーカー遺伝子の有用性につき提供される。得られた導入遺伝子のトウモロコシ植物をEc.oriV DNAの検出のために前記の条件を用いて、骨格DNAの存在につきアッセイした。図22に示す結果は、pMON67936(crtB+、骨格中の非致死性の選択マーカー遺伝子)で形質転換後に再生された90パーセン超える植物(N=54)がEc.oriVがなかったことを示す。対照構築体、pMON67935(crtB、骨格中のマーカー遺伝子なし)で形質転換された約40パーセントの植物(N=84は、それらのゲノム中にEc.oriV DNAを有した。同一組の植物をコピー数につきアッセイし、その結果を図23に示した。これらの結果は、pMON67936(crtB+構築体)で実質的に形質転換されたより多数の植物が、骨格中に非致死性の選択マーカー遺伝子を含まないpMON67935で形質転換した植物と比較して、低コピー数を有し、骨格がなかった。これらの結果は、商業的な品質の実質的により多くの植物を供するためのDNA構築体中の非致死性の選択マーカー遺伝子の有用性を示す。
【0097】
本発明の原理の説明および記載により、当業者には、かかる原理から逸脱せずして、配置および細部において本発明を変形できることは明らかであろう。本発明者らは、添付した特許請求の範囲の精神および範囲内にある全ての変形を特許請求する。
【0098】
本明細書に引用された全ての刊行物および公開特許文書を、個別の各刊行物または特許出願が引用により組み込まれることが具体的にかつ個々に示される同一範囲までここに出典明示して本明細書の一部とみなす。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明のDNAプラスミドの模式図。
【図2】pMON80101のプラスミド地図。
【図3】pMON77406のプラスミド地図。
【図4】pLAGILBO1.0033のプラスミド地図。
【図5】pLAGILBO1.0037のプラスミド地図。
【図6】pMON69869のプラスミド地図。
【図7】pMON75157のプラスミド地図。
【図8】pMON75182のプラスミド地図。
【図9】pLAGILBO1.0035のプラスミド地図。
【図10】pLAGILBO1.0038のプラスミド地図。
【図11】pMON75183のプラスミド地図。
【図12】pMON75181のプラスミド地図。
【図13】pMON42066のプラスミド地図。
【図14】pMON75181(crtB)およびpMON75182(ipt)で形質転換したトウモロコシ植物の骨格頻度に対する非致死性の選択マーカー遺伝子の効果。
【図15】pMON75181(crtB)およびpMON75182(ipt)で形質転換したトウモロコシ植物のインサートコピー数に対する非致死性の選択マーカー遺伝子(crtB)の効果。
【図16】pMON73564のプラスミド地図。
【図17】pMON73565のプラスミド地図。
【図18】pMON73565(crtB+)で形質転換したトウモロコシ植物の骨格頻度に対する非致死性の選択マーカー遺伝子の効果。
【図19】pMON73565(crtB+)で形質転換したトウモロコシ植物のインサートのコピー数に対する非致死性の選択マーカー遺伝子の効果。
【図20】pMON67935のプラスミド地図。
【図21】pMON67936のプラスミド地図。
【図22】pMON67936(crtB+)で形質転換したトウモロコシ植物の骨格頻度に対する非致死性の選択マーカー遺伝子の効果。
【図23】pMON67936(crtB+)で形質転換したトウモロコシ植物のインサートコピー数に対する非致死性の選択マーカー遺伝子の効果。
【図24】pMON83912のプラスミド地図。
【図25】pMON83908のプラスミド地図。
【図26】pMON83907のプラスミド地図。
【配列表】









【特許請求の範囲】
【請求項1】
アグロバクテリウムTiプラスミドの第2の境界領域に連結した少なくとも1つの導入遺伝子に連結したアグロバクテリウムTiプラスミドの第1の境界領域を含むT−DNAを含み、ベクター骨格DNAに連結した植物細胞の非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子を含む植物発現カセットが該T−DNAの外側の該DNAプラスミドに位置したDNAプラスミド。
【請求項2】
該植物発現カセットが、植物細胞の非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子に作動可能に連結した植物細胞中で機能するプロモーターを含む請求項1記載のDNAプラスミド。
【請求項3】
該プロモーターが構成的プロモーターである請求項2記載のDNAプラスミド。
【請求項4】
該プロモーターが、植物再生中に組織培養物中の該連結した非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子産物を発現する請求項2記載のDNAプラスミド。
【請求項5】
該植物細胞の非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子が、植物ホルモン生合成経路遺伝子を含む請求項1記載のDNAプラスミド。
【請求項6】
該植物細胞の非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子が、植物ホルモン分解遺伝子を含む請求項1記載のDNAプラスミド。
【請求項7】
該植物細胞の非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子が、植物ホルモン生合成経路基質転換遺伝子を含む請求項1記載のDNAプラスミド。
【請求項8】
該植物細胞の非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子が、植物ホルモンシグナル遺伝子を含む請求項1記載のDNAプラスミド。
【請求項9】
該植物細胞の非致死性のネガティブ選択マーカー遺伝子が、代謝干渉遺伝子を含む請求項1記載のDNAプラスミド。
【請求項10】
該導入遺伝子が、抗生物質抵抗性および除草物質抵抗性よりなる群から選択される植物ポジティブ選択マーカー遺伝子である請求項1記載のDNAプラスミド。
【請求項11】
該導入遺伝子が、作物学的な注目導入遺伝子を含む請求項1記載のDNAプラスミド。
【請求項12】
該植物ホルモン生合成経路遺伝子が、ジベレリン酸経路遺伝子、サイトカイニン経路遺伝子、オーキシン経路遺伝子、エチレン経路遺伝子およびアブシジン酸経路遺伝子よりなる群から選択される請求項5記載のDNAプラスミド。
【請求項13】
該植物ホルモン生合成経路遺伝子またはその一部分が、内因性の植物細胞RNAに相補的なアンチセンスRNAを発現し、該アンチセンスRNAが、転写後遺伝子抑制のために設計された請求項5記載のDNAプラスミド。
【請求項14】
該植物ホルモン分解遺伝子が、ジベレリン酸分解遺伝子、サイトカイニン分解遺伝子、オーキシン分解遺伝子、エチレン分解遺伝子およびアブシジン酸性分解遺伝子よりなる群から選択される選択される請求項6記載のDNAプラスミド。
【請求項15】
該植物ホルモン生合成経路基質転換遺伝子が、ジベレリン酸経路基質転移遺伝子、サイトカイニン経路基質転移遺伝子、オーキシン経路基質転移遺伝子、エチレン経路基質転移遺伝子およびアブシジン酸経路基質転移遺伝子よりなる群から選択される請求項7記載のDNAプラスミド。
【請求項16】
該植物ホルモンシグナル遺伝子が、ジベレリン酸経路シグナル遺伝子、サイトカイニン経路シグナル遺伝子、オーキシン経路シグナル遺伝子、エチレン経路シグナル遺伝子およびアブシジン酸経路シグナル遺伝子よりなる群から選択される請求項8記載のDNAプラスミド。
【請求項17】
該代謝干渉遺伝子が、生合成経路酵素、生合成経路から基質を転換する酵素、生合成経路の基質を分解または不活性化する酵素よりなる群から選択される酵素をコードする請求項9記載のDNAプラスミド。
【請求項18】
該酵素が、レバンスクラーゼ、インベルターゼおよびトレハロース合成酵素よりなる群から選択される請求項17記載のDNAプラスミド。
【請求項19】
該代謝干渉遺伝子が、内因性の植物細胞RNAに相補的なアンチセンスRNAを発現し、該アンチセンスRNAが、転写後遺伝子抑制のために設計された請求項9記載のDNAプラスミド。
【請求項20】
a)複数の植物細胞を請求項1記載のDNAプラスミドで形質転換し;次いでb)ポジティブな選択化合物で該植物細胞を選択し;次いでc)該選択された植物細胞を植物に再生する工程を含むベクター骨格DNAを含まないトランスジェニック植物の選択を増強する方法。
【請求項21】
請求項20記載の方法により生成された植物。
【請求項22】
a)複数の植物細胞を請求項1記載のDNAプラスミドで形質転換し;次いでb)ポジティブな選択化合物で該形質転換された植物細胞を選択し;次いでc)該選択された植物細胞を植物に再生する工程を含む植物細胞中の導入遺伝子のコピー数を低下させる方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法により生成されたトランスジェニック植物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2006−522610(P2006−522610A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509868(P2006−509868)
【出願日】平成16年4月9日(2004.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/011000
【国際公開番号】WO2004/092390
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(501231613)モンサント テクノロジー エルエルシー (71)
【Fターム(参考)】