説明

噛合チェーン式進退作動装置

【課題】部品点数を増加、装置サイズの増大および装置外部への潤滑油の飛散量を低減するとともに連結ピンの摩耗低減および破損回避を実現し、しかもチェーン収納時に発生するチェーン衝突音および振動を低減する噛合チェーン式進退作動装置を提供すること。
【解決手段】チェーンガイドプレート130が、チェーン幅方向Wに沿って一対の噛合チェーン110、110の両側にそれぞれ設けられ、一対の噛合チェーン110、110を互いに噛み合わせて一体に剛直化させたチェーン剛直化部分110B、110Bに接触するチェーン軌道規制面S1、S1を有しているチェーン軌道規制部材140、140が、チェーン剛直化部分110B、110Bに隣接して設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種製造分野の製造設備、運輸分野の移送設備、医療福祉分野の介護設備、芸術分野の舞台設備などに用いて被駆動体を進退動させる噛合チェーン式進退作動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、噛合チェーン式進退作動装置としては、相互に噛み合って一体的に駆動される一対の噛合チェーン、所謂、チャックチェーンを用いて重量物などの被駆動物を移動させる噛合チェーン式昇降装置がある(例えば、特許文献1参照)。
また、噛合チェーンとしては、噛合チェーンを構成するプレートの外側に突出したプレート連結ピンを走行溝に沿ってガイドするものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−255997号公報(特許請求の範囲、図1参照。)
【特許文献2】特開2010−138926号公報(段落[0029]、図2参照。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の噛合チェーン式昇降装置では、複数のチェーンユニットをチェーン幅方向に連結して構成した噛合チェーンを用いて被駆動物の搬送能力を高めようとすると各チェーンユニットをガイドするガイド板を複数設置することになるため、装置を構成する部品点数を増加させてしまうという問題点があった。
【0005】
また、上述した従来の噛合チェーンを採用した噛合チェーン式昇降装置では、一対の噛合チェーンを相互に噛み合わせたチェーン噛合部の前後においてプレート連結ピンの軌道が複雑になるため、プレート連結ピンの軌道に合わせて複雑なガイド形状にチェーンガイドを形成するチェーンガイド形成上の手間の増大を回避することが困難になるという問題点があった。
また、上述した従来の噛合チェーンを採用した噛合チェーン式昇降装置では、プレートの外側に露出したプレート連結ピンから噛合チェーンの外側にチェーンの潤滑油を飛散させてしまうとともに潤滑油飛散防止用カバーを設置して噛合チェーンの周辺に潤滑油を飛散させない措置を生じさせるため、潤滑油飛散防止用カバーを設置してチェーン周辺の汚染を低減することができたとしても部品点数を増加させてしまうとともに装置サイズを増大させてしまい、しかも装置外部への潤滑油の飛散量を低減することが装置構成上困難であるという問題点があった。
【0006】
また、上述の噛合チェーンを採用する噛合チェーン式昇降装置では、一対の噛合チェーンを相互に噛み合わせたチェーン剛直化部分に駆動用スプロケットを係合させて噛合チェーンを駆動した場合、プレート連結ピンを走行溝に押し付ける押し付け力の反作用力増大に起因してプレート連結ピンと走行溝全体との摩擦力を増大させてしまうため、プレート連結ピンの摩耗を低減することが困難になるという問題点があった。
【0007】
また、上述の噛合チェーンを採用する噛合チェーン式昇降装置では、相互に噛み合って剛直化した剛直状態を維持した一対の噛合チェーンをチェーンガイドから装置外部に伸長させて再度チェーンガイドの入り口からチェーン剛直化部分を収容する際にチェーン駆動に応じてチェーン剛直化部分にふらつきを生じさせてしまうため、プレート連結ピンをチェーンガイドの入り口の縁に断続的に衝突させてチェーン衝突音および振動を発生させてしまうとともにプレート連結ピンを破損させてしまう恐れがあるという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、部品点数を増加、装置サイズおよびチェーンガイド形成時の手間の増大を回避するとともに装置外部への潤滑油の飛散量を回避し、しかも剛直状態で伸長させた噛合チェーンをチェーンガイドに再度収納する際に発生するチェーン衝突音および振動を低減し、さらにプレートを相互に連結する連結ピンの摩耗低減および破損回避を実現する噛合チェーン式進退作動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
まず、本請求項1に係る発明は、フック状の内歯プレートと該内歯プレートに対してチェーン長手方向に交互に配置したフック状の外歯プレートとがチェーン幅方向に沿って前記内歯プレートおよび外歯プレートを貫通する連結ピンにより互いに前記チェーン長手方向に多数連結されているとともに、駆動用スプロケットにより駆動されて前記内歯プレート同士と前記外歯プレート同士とをそれぞれ噛み合わせて一体に剛直化するとともに相互に噛み合った内歯プレート同士と相互に噛み合った外歯プレート同士とをチェーン噛み外れ方向にそれぞれ噛み外して互いに分岐自在となる一対の噛合チェーンと、前記一対の噛合チェーンに取り付けられて前記一対の噛合チェーンの進退動作に応じて進退駆動される被駆動体とを備えた噛合チェーン式進退作動装置であって、前記一対の噛合チェーンのうち互いに噛み外れたチェーン噛み外れ部分の連結ピンの突出部を前記チェーン幅方向からガイドするチェーン噛み外れ部分用ガイドを含むチェーンガイドプレートが、前記チェーン幅方向に沿って前記一対の噛合チェーンの両側にそれぞれ設けられ、前記一対の噛合チェーンを互いに噛み合わせて一体に剛直化させたチェーン剛直化部分に接触するチェーン軌道規制面を有して前記チェーン剛直化部分をガイドするチェーン軌道規制手段が、前記チェーン剛直化部分に摺接設置されていることにより、前述した課題を解決したものである。
【0010】
そして、本請求項2に係る発明は、請求項1に係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記チェーン軌道規制手段が、前記チェーン剛直化部分に含まれる複数の外歯プレートのうち前記チェーン幅方向に沿って最も外側に配置された一対の外歯プレートのそれぞれの外側プレート面に前記チェーン幅方向に沿って前記チェーン剛直化部分の両側からそれぞれ前記チェーン軌道規制面を接触させた一対のチェーン軌道規制部材であり、前記チェーン剛直化部分に含まれる連結ピンをチェーン剛直化方向に沿って通す連結ピン用通路が、前記チェーン噛み外れ部分用ガイドに連通した状態で前記チェーンガイドプレートに形成され、前記連結ピン用通路の通路幅が、前記チェーン噛み外れ部分用ガイドのガイド幅より大きいことにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0011】
そして、本請求項3に係る発明は、請求項2に係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記連結ピン用通路が、前記チェーン幅方向に沿って前記チェーンガイドプレートを貫通していない状態で前記チェーン剛直化部分に開口する溝形状を有していることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0012】
そして、本請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記チェーン幅方向に沿って前記一対の噛合チェーンの両側に設けられた一対のチェーンガイドプレートの間隔を規定するスペーサが、前記一対のチェーンガイドプレート間に設けられていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0013】
そして、本請求項5に係る発明は、請求項1に係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記チェーン軌道規制手段が、前記チェーン剛直化部分に含まれる内歯プレートおよび外歯プレートのそれぞれのプレート側面に前記チェーン噛み外れ方向に沿って一方の側から前記チェーン軌道規制面を接触させたチェーン軌道規制部材であり、前記駆動用スプロケットが、前記チェーン剛直化部分から見て前記チェーン軌道規制部材を配置した側の反対側に配置されて前記一対の噛合チェーンの一方に係合していることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0014】
そして、本請求項6に係る発明は、請求項5に係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記チェーン幅方向から前記チェーン剛直化部分に臨むとともに前記チェーン剛直化部分に含まれる連結ピンの先端に接触するチェーン幅方向規制面が、前記チェーンガイドプレートのチェーンガイドプレート面の一部を占めていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0015】
そして、本請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一つに係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記チェーン噛み外れ部分用ガイドが、前記チェーン噛み外れ部分に向かって開口している溝状ガイドであり、該溝状ガイドを構成するチェーン噛み外れ部分用ガイドが、前記チェーン噛み外れ部分に含まれる連結ピンの先端に臨む溝底面を有していることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に係る噛合チェーン式進退作動装置は、フック状の内歯プレートと該内歯プレートに対してチェーン長手方向に交互に配置したフック状の外歯プレートとがチェーン幅方向に沿って前記内歯プレートおよび外歯プレートを貫通する連結ピンにより互いに前記チェーン長手方向に多数連結されているとともに、駆動用スプロケットにより駆動されて前記内歯プレート同士と前記外歯プレート同士とをそれぞれ噛み合わせて一体に剛直化するとともに相互に噛み合った内歯プレート同士と相互に噛み合った外歯プレート同士とをチェーン噛み外れ方向にそれぞれ噛み外して互いに分岐自在となる一対の噛合チェーンと、前記一対の噛合チェーンに取り付けられて前記一対の噛合チェーンの進退動作に応じて進退駆動される被駆動体とを備えたことにより、被駆動体を一対の噛合チェーンの進退動作に応じて駆動することができるばかりでなく、以下のような特有の構成に対応した格別の効果を奏することができる。
【0017】
すなわち、本請求項1に係る噛合チェーン式進退作動装置は、前記一対の噛合チェーンのうち互いに噛み外れたチェーン噛み外れ部分の連結ピンの突出部を前記チェーン幅方向からガイドするチェーン噛み外れ部分用ガイドを含むチェーンガイドプレートが、前記チェーン幅方向に沿って前記一対の噛合チェーンの両側にそれぞれ設けられ、前記一対の噛合チェーンを互いに噛み合わせて一体に剛直化させたチェーン剛直化部分に接触するチェーン軌道規制面を有して前記チェーン剛直化部分をガイドするチェーン軌道規制手段が、前記チェーン剛直化部分に摺接設置されていることにより、少なくともチェーン剛直化部分をチェーン軌道規制面でガイドしている間、チェーン剛直化部分に含まれる連結ピンとチェーンガイドの内壁面との摩耗を回避するとともにチェーンガイドの入り口から装置外部に伸長させたチェーン剛直化部分を再度チェーンガイドの入り口に収容する際に連結ピンとチェーンガイドの入り口の縁との衝突を回避し、しかもチェーン剛直化部分をガイドする間、チェーン剛直化部分の周辺を少なくとも部分的にチェーン軌道規制面で覆うため、複雑なチェーンガイドのガイド形状を形成するチェーンガイド形成上の手間の増大を回避するとともに連結ピンの摩耗低減および破損回避を実現し、しかもチェーン衝突音および振動を低減するとともに潤滑油飛散防止用カバーなどの追加部品の設置をなくして部品点数の増加および装置サイズの増大を回避し、さらに装置外部に飛散する潤滑油の飛散量を低減することができる。
【0018】
そして、本請求項2に係る噛合チェーン式進退作動装置は、請求項1に係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記チェーン軌道規制手段が、前記チェーン剛直化部分に含まれる複数の外歯プレートのうち前記チェーン幅方向に沿って最も外側に配置された一対の外歯プレートのそれぞれの外側プレート面に前記チェーン幅方向に沿って前記チェーン剛直化部分の両側からそれぞれ前記チェーン軌道規制面を接触させた一対のチェーン軌道規制部材であり、前記チェーン剛直化部分に含まれる連結ピンをチェーン剛直化方向に沿って通す連結ピン用通路が、前記チェーン噛み外れ部分用ガイドに連通した状態で前記チェーンガイドプレートに形成され、前記連結ピン用通路の通路幅が、前記チェーン噛み外れ部分用ガイドのガイド幅より大きいことにより、チェーン剛直化部分に含まれる連結ピンと連結ピン用通路の通路壁との密接状態を回避するとともにチェーン幅方向に沿ってチェーン剛直化部分の両側からチェーン剛直化部分をガイドしてチェーン駆動時におけるチェーン剛直化部分のチェーン幅方向へのふらつきを回避し、しかもチェーン噛み外れ部分およびチェーン剛直化部分をチェーン噛み外れ部分用ガイドおよびチェーン軌道規制面によって別々にガイドするとともにチェーン剛直化部分の両側から一対のチェーン軌道規制面でチェーン剛直化部分を覆うため、チェーン剛直化部分に含まれる連結ピンとチェーンガイドとの摩擦を回避して連結ピンの摩耗低減をより一層実現するとともに連結ピンおよび外側プレート面の両方を同時にガイドする2重規制を回避して円滑なチェーン軌道規制に基づく連結ピンの摩耗低減をより確実に実現し、しかもチェーンガイドの入り口の縁に対する連結ピンの衝突を回避して連結ピンの破損回避を確実に実現し、さらに潤滑油飛散防止用カバーなどの追加部品の設置をなくして部品点数の増加および装置サイズの増大をより一層回避するとともに装置外部への潤滑油の飛散量を効果的に低減することができる。
【0019】
そして、本請求項3に係る噛合チェーン式進退作動装置は、請求項2に係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記連結ピン用通路が、前記チェーン幅方向に沿って前記チェーンガイドプレートを貫通していない状態で前記チェーン剛直化部分に開口する溝形状を有していることにより、連結ピン用通路がチェーン剛直化部分に含まれる連結ピンを覆うため、装置外部への潤滑油の飛散量をより一層低減することができる。
【0020】
そして、本請求項4に係る噛合チェーン式進退作動装置は、請求項2または請求項3に係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記チェーン幅方向に沿って前記一対の噛合チェーンの両側に設けられた一対のチェーンガイドプレートの間隔を規定するスペーサが、前記一対のチェーンガイドプレート間に設けられていることにより、チェーンガイドプレートの間隔を調整して一対のチェーン軌道規制面のそれぞれからチェーン幅方向に沿ってチェーン剛直化部分に作用するチェーン規制力が調整されるため、チェーン幅方向に沿った噛合チェーンのサイズ変更に応じて適切にチェーン規制力を調整して連結ピンの摩耗低減をより一層確実に実現することができる。
【0021】
そして、本請求項5に係る噛合チェーン式進退作動装置は、請求項1に係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記チェーン軌道規制手段が、前記チェーン剛直化部分に含まれる内歯プレートおよび外歯プレートのそれぞれのプレート側面に前記チェーン噛み外れ方向に沿って一方の側から前記チェーン軌道規制面を接触させたチェーン軌道規制部材であり、前記駆動用スプロケットが、前記チェーン剛直化部分から見て前記チェーン軌道規制部材を配置した側の反対側に配置されて前記一対の噛合チェーンの一方に係合していることにより、チェーン剛直化部分に含まれる連結ピンとチェーンガイドの内壁面との接触を回避するとともにチェーン駆動時におけるチェーン剛直化部分のチェーン噛み外れ方向へのふらつきを回避し、しかもチェーン噛み外れ部分およびチェーン剛直化部分をチェーン噛み外れ部分用ガイドおよびチェーン軌道規制面によって別々にガイドするとともにチェーン軌道規制面でチェーン剛直化部分を覆うため、連結ピンの摩耗低減をより一層実現するとともに連結ピンおよび外歯プレートの両方を同時にガイドする2重規制を回避して円滑なチェーン軌道規制に基づく連結ピンの摩耗低減をより確実に実現し、しかもチェーンガイドの入り口の縁に対する連結ピンの衝突を回避して連結ピンの破損回避を確実に実現し、さらに潤滑油飛散防止用カバーなどの追加部品の設置をなくして部品点数の増加および装置サイズの増大をより一層回避するとともに装置外部への潤滑油の飛散量を効果的に低減することができる。
【0022】
そして、本請求項6に係る噛合チェーン式進退作動装置は、請求項5に係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記チェーン幅方向から前記チェーン剛直化部分に臨むとともに前記チェーン剛直化部分に含まれる連結ピンの先端に接触するチェーン幅方向規制面が、前記チェーンガイドプレートのチェーンガイドプレート面の一部を占めていることにより、チェーン駆動時においてチェーン噛み外れ方向およびチェーン幅方向の両方に沿ってチェーン剛直化部分のふらつきを回避するとともにチェーン幅方向から連結ピンを覆うため、チェーンガイドの入り口から装置外部へ向かって伸長させたチェーン剛直化部分を再度チェーンガイドの入り口から収容する際にチェーンガイドの入り口の縁に連結ピンを衝突させないで連結ピンの破損回避をより確実に実現するとともに装置外部への潤滑油の飛散量をより一層低減することができる。
【0023】
そして、本請求項7に係る噛合チェーン式進退作動装置は、請求項1乃至請求項6のいずれか一つに係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記チェーン噛み外れ部分用ガイドが、前記チェーン噛み外れ部分に向かって開口している溝状ガイドであり、該溝状ガイドを構成するチェーン噛み外れ部分用ガイドが、前記チェーン噛み外れ部分に含まれる連結ピンの先端に臨む溝底面を有していることにより、チェーン噛み外れ部分に含まれる連結ピンをチェーン幅方向からチェーン噛み外れ部分用ガイドで覆うため、一対の噛合チェーンを相互に噛み外した後に噛合チェーンから装置外部への潤滑油の飛散を確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置の斜視図。
【図2】噛合チェーンの分解組み立て状態を示す組立斜視図。
【図3】本発明の第1実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置の正面図。
【図4】チェーン噛み外れ位置O近傍の拡大正面図。
【図5】図3のV−V線断面図。
【図6】図3のVI−VI線断面図。
【図7】図3のVII−VII線断面図。
【図8】本発明の第2実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置に一部断面図であって、図5に対応する断面図。
【図9】本発明の第2実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置に一部断面図であって、図6に対応する断面図。
【図10】本発明の第2実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置に一部断面図であって、図7に対応する断面図。
【図11】本発明の第3実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置の斜視図。
【図12】本発明の第3実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置に採用される噛合チェーンの分解組み立て状態を示す組立斜視図。
【図13】本発明の第3実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置におけるチェーン噛み外れ位置近傍の拡大正面図。
【図14】本発明の第3実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置の一部平面図。
【図15】本発明の第3実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置におけるチェーン噛み外れ部分用ガイドの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の噛合チェーン式進退作動装置は、フック状の内歯プレートと該内歯プレートに対してチェーン長手方向に交互に配置して設けられたフック状の外歯プレートとがチェーン幅方向に沿って内歯プレートおよび外歯プレートを貫通する連結ピンにより互いにチェーン長手方向に多数連結されているとともに、駆動用スプロケットにより駆動されて内歯プレート同士と外歯プレート同士とをそれぞれ噛み合わせて一体に剛直化するとともに相互に噛み合った内歯プレート同士と相互に噛み合った外歯プレート同士とをチェーン噛み外れ方向にそれぞれ噛み外して互いに分岐自在となる一対の噛合チェーンと、一対の噛合チェーンに取り付けられて一対の噛合チェーンの進退動作に応じて進退駆動される被駆動体とを備え、一対の噛合チェーンのうち互いに噛み外れたチェーン噛み外れ部分の連結ピンの突出部をチェーン幅方向からガイドするチェーン噛み外れ部分用ガイドを含むチェーンガイドプレートが、チェーン幅方向に沿って一対の噛合チェーンの両側にそれぞれ設けられ、一対の噛合チェーンを互いに噛み合わせて一体に剛直化させたチェーン剛直化部分に接触するチェーン軌道規制面を有してチェーン剛直化部分をガイドするチェーン軌道規制手段が、チェーン剛直化部分に摺接設置されているものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
例えば、内歯プレートおよび外歯プレートなどのプレートの具体的な形状については、相互に対向する同種のプレート同士をそれぞれ噛み合せて一体とするとともにそれぞれ噛み外して分岐するものであれば如何なる形状を呈するものであってもよい。
また、噛合チェーンは、チェーン幅方向に対向して一組とされる内歯プレートとこの内歯プレートの外側に配置された外歯プレートとを有して構成されたリンクユニットをチェーン長手方向にそれぞれ多数連結してなる複数列のチェーンユニットから構成されていてもよいし、単列のチェーンユニットから構成されていてもよい。
また、チェーン軌道規制手段は、チェーンガイドプレートと一体としてまたは別体として形成されたチェーン軌道規制部材であってもよい。
【0026】
また、チェーン噛み外れ部分用ガイドは、チェーンガイドプレートを貫通した形状であってもよいし、チェーンガイドプレートを貫通しない溝状ガイドであってもよい。
チェーン噛み外れ部分用ガイドが溝状ガイドである場合には、一対の噛合チェーンを相互に噛み外した後の潤滑油の装置外部への飛散量を確実に低減することができる点で好ましい。
また、チェーン噛み外れ部分用ガイドをチェーンガイドプレートを貫通させた形状に形成した場合には、チェーン噛み外れ部分用ガイドを溝状ガイドにしない分、チェーンガイドプレートの厚みを薄くして装置全体を軽量化することができる点で好ましい。
また、連結ピンの突出部の周面および連結ピンの先端とチェーン噛み外れ部分用ガイドとの間に一定の隙間を設けて連結ピンおよびチェーン噛み外れ部分用ガイド間の接触抵抗を減らしてもよいし、チェーン剛直化部分に含まれる連結ピンとこの連結ピンを通す連結ピン用通路の内壁面との間に一定の隙間を設けて連結ピンおよび連結ピン用通路間の接触抵抗を減らすとともにチェーン軌道規制面によるチェーン剛直化部分のガイドを優先させることもできる。
また、連結ピン用通路を溝形状とし、チェーン噛み外れ部分用ガイドを溝状ガイドとした状態で連結ピンをガイド可能な程度に連結ピンの先端と溝底面との間に一定の隙間すなわちクリアランスを設けてもよい。
また、被駆動体は、一対の噛合チェーンに直接取り付けられていてもよいし、接続用のプレートを介して間接的に一対の噛合チェーンに取り付けられていてもよい。
【0027】
また、本発明の噛合チェーン式進退作動装置は、設置面が据え置き設置形態となる床面であっても、吊り下げ設置形態となる天井面であっても進退動作に何ら支障はなく、さらには、片持ち支持形態となる垂直壁面であっても前述した進退動作に何ら支障はない。
【0028】
[実施例]
以下、本発明の実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置100、200、300を図1乃至図15に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の第1実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置の斜視図であり、図2は、噛合チェーンの分解組み立て状態を示す組立斜視図であり、図3は、本発明の第1実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置の正面図であり、図4は、チェーン噛み外れ位置O近傍の拡大正面図であり、図5は、図3のV−V線断面図であり、図6は、図3のVI−VI線断面図であり、図7は、図3のVII−VII線断面図であり、図8は、本発明の第2実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置の一部断面図であって、図5に対応する断面図であり、図9は、本発明の第2実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置に一部断面図であって、図6に対応する断面図であり、図10は、本発明の第2実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置に一部断面図であって、図7に対応する断面図であり、図11は、本発明の第3実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置の斜視図であり、図12は、本発明の第3実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置に採用される噛合チェーンの分解組み立て状態を示す組立斜視図であり、図13は、本発明の第3実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置におけるチェーン噛み外れ位置近傍の拡大正面図であり、図14は、本発明の第3実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置の一部平面図、図15は、本発明の第3実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置におけるチェーン噛み外れ部分用ガイドの断面図である。
【0029】
[第1実施例]
まず、図1乃至図7に基づいて第1実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置100を説明する。
図1および図2に示すように、第1実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置100は、フック状の内歯プレート111と該内歯プレート111に対してチェーン長手方向にずらして設けられたフック状の外歯プレート112とがチェーン幅方向Wに沿って内歯プレート111および外歯プレート112を貫通する連結ピン113により互いにチェーン長手方向に多数連結されているとともに、駆動用スプロケットSP1により駆動されて内歯プレート111同士と外歯プレート112同士とをそれぞれ噛み合わせて一体に剛直化するとともに相互に噛み合った内歯プレート111同士と相互に噛み合った外歯プレート112同士とをチェーン噛み外れ方向Aにそれぞれ噛み外して互いに分岐自在となる一対の噛合チェーン110、110と、一対の噛合チェーン110、110に取り付けられて一対の噛合チェーン110、110の進退動作に応じて進退駆動される被駆動体120とを基本的な装置構成として備え、設置面Gに据え置き状態で設置されて、重量物などの被搬送物(図示しない)を搭載するテーブルなどの被駆動体120を設置面Gに対して平行に昇降させるものである。
【0030】
次に、前述した本第1実施例の噛合チェーン式進退作動装置100が最も特徴とする構成の具体的な形態について、図1乃至図7に基づいてより詳しく説明する。
本第1実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置100は、図1乃至図7に示すように、一対の噛合チェーン110、110のうち互いに噛み外れたチェーン噛み外れ部分110A、110Aに含まれている連結ピン113Aの突出部をチェーン幅方向Wから収容してチェーン噛み外れ部分110A、110Aをガイドするチェーン噛み外れ部分用ガイド131Aを含むチェーンガイド131を形成したチェーンガイドプレート130が、チェーン幅方向Wに沿って一対の噛合チェーン110、110の両側にそれぞれ設けられ、一対の噛合チェーン110、110を互いに噛み合わせて一体に剛直化させたチェーン剛直化部分110B、110Bに接触するチェーン軌道規制面S1を有してチェーン剛直化部分110B、110Bをガイドするチェーン軌道規制部材140が、チェーン軌道規制手段としてチェーン剛直化部分110B、110Bに摺接設置されていることにより、少なくともチェーン剛直化部分110B、110Bをチェーン軌道規制面S1、S1でガイドしている間、チェーン剛直化部分110Bに含まれる連結ピン113Bとチェーンガイド131の内壁面との摩耗を回避するとともにチェーンガイド131の入り口132から装置外部に伸長させたチェーン剛直化部分110B、110Bを再度チェーンガイド131の入り口132に収容する際に連結ピン113Bとチェーンガイド131の入り口132の縁132Aとの衝突を回避し、しかもチェーン剛直化部分110B、110Bをガイドする間、チェーン剛直化部分110B、110Bの周辺を少なくとも部分的にチェーン軌道規制面S1、S1で覆うため、噛合チェーン式進退作動装置100は、複雑なチェーンガイドのガイド形状を形成するチェーンガイド形成上の手間の増大を回避するとともに連結ピン113の摩耗低減および破損回避を実現し、しかもチェーン衝突音および振動を低減するとともに潤滑油飛散防止用カバーなどの追加部品の設置をなくして部品点数の増加および装置サイズの増大を回避し、さらに装置外部に飛散する潤滑油の飛散量を低減するようになっている。
【0031】
より詳細には、図3乃至図7に示すように、一対のチェーン軌道規制部材140、140が、チェーン剛直化部分110B、110Bに含まれる複数の外歯プレート112のうちチェーン幅方向Wに沿って最も外側に配置された一対の外歯プレート112のそれぞれの外側プレート面112S、112Sにチェーン幅方向Wに沿ってチェーン剛直化部分110B、110Bの両側からそれぞれチェーン軌道規制面S1、S1を接触させ、チェーン剛直化部分110B、110Bに含まれる連結ピン113Bをチェーン剛直方向Bに沿って通す連結ピン用通路131B、131Bが、チェーン噛み外れ部分用ガイド131Aに連通した状態でチェーンガイドプレート130に形成され、連結ピン用通路131Bの通路幅WBが、チェーン噛み外れ部分用ガイド131Aのガイド幅WAより大きいことにより、チェーン剛直化部分110B、110Bに含まれる連結ピン113Bと連結ピン用通路131Bの通路壁との密接状態を回避するとともにチェーン幅方向Wに沿ってチェーン剛直化部分110B、110Bの両側からチェーン剛直化部分110B、110Bをガイドしてチェーン駆動時におけるチェーン剛直化部分110B、110Bのチェーン幅方向Wへのふらつきを回避し、しかもチェーン噛み外れ部分110A、110Aおよびチェーン剛直化部分110B、110Bをチェーン噛み外れ部分用ガイド131A、131Aおよびチェーン軌道規制面S1、S1によって別々にガイドするとともにチェーン剛直化部分110B、110Bの両側から一対のチェーン軌道規制面S1、S1でチェーン剛直化部分110B、110Bの軌道を規制するため、噛合チェーン式進退作動装置100は、チェーン剛直化部分110B、110Bに含まれる連結ピン113Bとチェーンガイド131との摩擦を回避して連結ピン113の摩耗低減をより一層実現するとともに連結ピン113Bおよび外側プレート面112Sの両方を同時にガイドする2重規制を回避して円滑なチェーン軌道規制に基づく連結ピン113の摩耗低減をより確実に実現し、しかもチェーンガイド131の入り口132の縁132Aに対する連結ピン113Bの衝突を回避して連結ピン113の破損回避を確実に実現し、さらに潤滑油飛散防止用カバーなどの追加部品の設置をなくして部品点数の増加および装置サイズの増大をより一層回避するとともに装置外部への潤滑油の飛散量を効果的に低減するようになっている。
【0032】
また、図7に示すように、連結ピン用通路131Bが、チェーン幅方向Wに沿ってチェーンガイドプレート130を貫通していない状態でチェーン剛直化部分110B、110Bに開口する溝形状を有していることにより、連結ピン用通路131Bがチェーン剛直化部分110B、110Bに含まれる連結ピン113Bをチェーン幅方向Wから覆うため、噛合チェーン式進退作動装置100は、装置外部への潤滑油の飛散量をより一層低減するようになっている。
【0033】
また、図1、図3、図5乃至図7に示すように、チェーン幅方向Wに沿って一対の噛合チェーン110、110の両側に設けられた一対のチェーンガイドプレート130、130の間隔Dを規定するスペーサ150が、一対のチェーンガイドプレート130、130間に設けられていることにより、チェーンガイドプレート130、130の間隔Dを調整して一対のチェーン軌道規制面S1、S1のそれぞれからチェーン幅方向Wに沿ってチェーン剛直化部分110B、110Bに作用するチェーン規制力が調整されるため、噛合チェーン式進退作動装置100は、チェーン幅方向Wに沿った噛合チェーン110、110のサイズ変更に応じて適切にチェーン規制力を調整して連結ピン113の摩耗低減をより一層確実に実現するようになっている。
【0034】
また、図5および図6に示すように、チェーン噛み外れ部分用ガイド131Aが、チェーン噛み外れ部分110Aに向かって開口している溝状ガイドであり、この溝状ガイドを構成するチェーン噛み外れ部分用ガイド131Aが、チェーン噛み外れ部分110Aに含まれる連結ピン113Aの先端に臨む溝底面131Sを有していることにより、チェーン噛み外れ部分110Aに含まれる連結ピン113Aをチェーン幅方向Wからチェーン噛み外れ部分用ガイド131Aで覆うため、噛合チェーン式進退作動装置100は、一対の噛合チェーン110、110を相互に噛み外した後に噛合チェーン110から装置外部への潤滑油の飛散量を確実に低減するようになっている。
【0035】
このようにして得られた本第1実施例の噛合チェーン式進退作動装置100は、一対のチェーン軌道規制部材140、140が、チェーン剛直化部分110B、110Bに含まれる複数の外歯プレート112のうちチェーン幅方向Wに沿って最も外側に配置された一対の外歯プレート112のそれぞれの外側プレート面112S、112Sにチェーン幅方向Wに沿ってチェーン剛直化部分110B、110Bの両側からそれぞれチェーン軌道規制面S1、S1を接触させ、チェーン剛直化部分110B、110Bに含まれる連結ピン113Bをチェーン剛直方向Bに沿って通す連結ピン用通路131B、131Bが、チェーン噛み外れ部分用ガイド131Aに連通した状態でチェーンガイドプレート130に形成され、連結ピン用通路131Bの通路幅WBが、チェーン噛み外れ部分用ガイド131Aのガイド幅WAより大きいことにより、チェーン剛直化部分110B、110Bに含まれる連結ピン113Bとチェーンガイド131との摩擦を回避して連結ピン113の摩耗低減をより一層実現するとともに連結ピン113Bおよび外側プレート面112Sの両方を同時にガイドする2重規制を回避して円滑なチェーン軌道規制に基づく連結ピン113の摩耗低減をより確実に実現し、しかもチェーンガイド131の入り口132のチェーン幅方向Wや噛み外れ方向Aの縁132Aに対する連結ピン113Bの衝突を回避して連結ピン113の破損回避を確実に実現し、さらに潤滑油飛散防止用カバーなどの追加部品の設置をなくして部品点数の増加および装置サイズの増大をより一層回避するとともに装置外部への潤滑油の飛散量を効果的に低減することができるなど、その効果は甚大である。
【0036】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置200を図8乃至図10に基づいて説明する。
なお、本実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置200は、上述の第1実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置100に比べてチェーン噛み外れ部分用ガイド231Aおよび連結ピン用通路231Bの形状が相違するのみであり、その他の構成については上述の第1実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置100と同様であるため、上述の第1実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置100と共通する部分の符号を100番台から200番台に付け替えて詳細な説明を省略する。
本実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置200は、チェーン噛み外れ部分用ガイド231Aおよび連結ピン用通路231Bが、チェーンガイドプレート230を貫通する形状に形成されていることにより、チェーン噛み外れ部分用ガイド231Aおよび連結ピン用通路231Bを溝形状に形成する場合に比べてチェーンガイドプレート230の厚みを薄く形成してもよいため、装置全体を軽量化するようになっている。
なお、チェーン噛み外れ部分用ガイド231Aおよび連結ピン用通路231Bの少なくとも一方をチェーンガイドプレート230を貫通する形状に形成することにより、噛合チェーン式進退作動装置200は、チェーン噛み外れ部分用ガイド231Aおよび連結ピン用通路231Bの両方を溝形状に形成する場合に比べて装置全体を軽量化するようになっている。
【0037】
[第3実施例]
次に、本発明の第3実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置300を図11乃至図15に基づいて説明する。
本第3実施例の噛合チェーン式進退作動装置300は、フック状の内歯プレート311と該内歯プレート311に対してチェーン長手方向にずらして設けられたフック状の外歯プレート312とがチェーン幅方向Wに沿って内歯プレート311および外歯プレート312を貫通する連結ピン313により互いにチェーン長手方向に多数連結されているとともに、駆動用スプロケットSP3により駆動されて内歯プレート311同士と外歯プレート312同士とをそれぞれ噛み合わせて一体に剛直化するとともに相互に噛み合った内歯プレート311同士と相互に噛み合った外歯プレート312同士とをチェーン噛み外れ方向Aにそれぞれ噛み外して互いに分岐自在となる一対の噛合チェーン310、310と、一対の噛合チェーン310、310に取り付けられて一対の噛合チェーン310、310の進退動作に応じて進退駆動される被駆動体320とを基本的な装置構成として備え、設置面Gに据え置き状態で設置されて、重量物などの被搬送物(図示しない)を搭載するテーブルなどの被駆動体320を設置面Gに対して平行に昇降させるものである。
より詳細には、本第3実施例の噛合チェーン式進退作動装置300は、連結ピン313を挿入したブシュ314に駆動用スプロケットSP3のスプロケット歯を係合させて一対の噛合チェーン310、310を駆動するとともに被駆動体320を図中上下方向に進退動させる。
【0038】
次に、本第3実施例の噛合チェーン式進退作動装置300が最も特徴とする構成の具体的な形態について、図11乃至図15に基づいてより詳しく説明する。
なお、本実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置300において、上述の第1実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置100の共通する構成要素について参照符号を100番台から300番台に付け替えてその詳細な説明を省略する。
本第3実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置300は、図11乃至図14に示すように、一対の噛合チェーン310、310のうち互いに噛み外れたチェーン噛み外れ部分310A、310Aに含まれている連結ピン313Aの端部をチェーン幅方向Wから収容してチェーン噛み外れ部分310A、310Aをガイドするチェーン噛み外れ部分用ガイド331A、331Aを含むチェーンガイド331を形成したチェーンガイドプレート330が、チェーン幅方向Wに沿って一対の噛合チェーン310、310の両側にそれぞれ設けられ、一対の噛合チェーン310、310を互いに噛み合わせて一体に剛直化させたチェーン剛直化部分310B、310Bに接触するチェーン軌道規制面S3を有してチェーン剛直化部分310B、310Bをガイドするチェーン軌道規制手段としてのチェーン軌道規制部材340Aが、チェーン剛直化部分310B、310Bに隣接して設けられている。
【0039】
これにより、本第3実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置300は、少なくともチェーン剛直化部分310B、310Bをチェーン軌道規制面S3でガイドしている間、チェーン剛直化部分310B、310Bに含まれる連結ピン313Bとチェーンガイド331の内壁面との摩耗を回避するとともにチェーンガイド331の入り口332から装置外部に伸長させたチェーン剛直化部分310B、310Bを再度チェーンガイド331の入り口332に収容する際に連結ピン313Bとチェーンガイド331の入り口332の縁332Aとの衝突を回避し、しかもチェーン剛直化部分310B、310Bをガイドする間、チェーン剛直化部分310Bの周辺を少なくとも部分的にチェーン軌道規制面S3で覆うため、噛合チェーン式進退作動装置300は、複雑なチェーンガイドのガイド形状を形成するチェーンガイド形成上の手間の増大を回避するとともに連結ピン313の摩耗低減および破損回避を実現し、しかもチェーン衝突音および振動を低減するとともに潤滑油飛散防止用カバーなどの追加部品の設置をなくして部品点数の増加および装置サイズの増大を回避し、さらに装置外部に飛散する潤滑油の飛散量を低減するようになっている。
【0040】
より詳細に説明すると、本第3実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置300では、チェーン軌道規制手段であるチェーン軌道規制部材340Aが、チェーン剛直化部分310B、310Bに含まれる内歯プレート311Bおよび外歯プレート312Bのそれぞれのプレート側面にチェーン噛み外れ方向Aに沿って一方の側からチェーン軌道規制面S3を接触させ、駆動用スプロケットSP3が、チェーン剛直化部分310B、310Bから見てチェーン軌道規制部材340を配置した側の反対側に配置されて一対の噛合チェーン310、310の一方に係合していることにより、チェーン剛直化部分310B、310Bに含まれる連結ピン313Bすなわち連結ピン313Bの周面とチェーンガイド331すなわちチェーン剛直化部分310Bをチェーン剛直方向Bに沿ってガイドするチェーン剛直化部分用ガイド331Bの内壁面とのかじりを回避するとともにチェーン駆動時におけるチェーン剛直化部分310B、310Bのチェーン噛み外れ方向Aへのふらつきを回避し、しかもチェーン噛み外れ部分310A、310Aおよびチェーン剛直化部分310B、310Bをチェーン噛み外れ部分用ガイド331Aおよびチェーン軌道規制面S3によって別々にガイドするとともにチェーン軌道規制面S3でチェーン剛直化部分310Bを覆うため、連結ピン313の摩耗低減をより一層実現するとともに連結ピン313および外歯プレート312の両方を同時にガイドする2重規制を回避して円滑なチェーン軌道規制に基づく連結ピン313の摩耗低減をより確実に実現し、しかもチェーンガイド331の入り口332の縁332Aに対する連結ピン313Bの衝突を回避して連結ピン313の破損回避を確実に実現し、さらに潤滑油飛散防止用カバーなどの追加部品の設置をなくして部品点数の増加および装置サイズの増大をより一層回避するとともに装置外部への潤滑油の飛散量を効果的に低減し、さらにガイドの強度を増大させるようになっている。
また、駆動用スプロケットSP3が配置された側では、チェーンガイド331の入り口332付近におけるチェーンガイドがチェーン軌道規制部材340Bによって行われる。
【0041】
また、図11乃至図14に示すように、本実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置300は、チェーン幅方向Wからチェーン剛直化部分310B、310Bに臨むとともにチェーン剛直化部分310B、310Bに含まれる連結ピン313Bの先端に接触するチェーン幅方向規制面S4が、チェーンガイドプレート330のチェーンガイドプレート面333の一部を占めていることにより、チェーン駆動時においてチェーン噛み外れ方向Aおよびチェーン幅方向Wの両方に沿ってチェーン剛直化部分310B、310Bのふらつきを回避するとともにチェーン幅方向Wから連結ピン313Bを覆うため、チェーンガイド331の入り口332から装置外部へ向かって伸長させたチェーン剛直化部分310B、310Bを再度チェーンガイド331の入り口332から収容する際にチェーンガイド331の入り口332の縁332Aに連結ピン313Bを衝突させないで連結ピン313の破損回避をより確実に実現するとともに装置外部への潤滑油の飛散量をより一層低減するようになっている。
【0042】
本実施例3に係る噛合チェーン式進退作動装置300は、上述した第1実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置100と同様に、図15に示すように、チェーン噛み外れ部分用ガイド331Aをチェーン噛み外れ部分310Aに向かって開口している溝状ガイドとし、この溝状ガイドを構成するチェーン噛み外れ部分用ガイド331Aが、チェーン噛み外れ部分310Aに含まれる連結ピン313Aの先端に臨む溝底面331Sを有していることにより、チェーン噛み外れ部分310Aに含まれる連結ピン313Aをチェーン幅方向Wからチェーン噛み外れ部分用ガイド331Aで覆うため、少なくとも一対の噛合チェーン310、310を相互に噛み外した後において噛合チェーン310から装置外部への潤滑油の飛散量を確実に低減するようになっている。
なお、本実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置300においても、上述の第2実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置200と同様に、溝底面331Sを有しないチェーン噛み外れ部分用ガイド331Aを形成し、チェーンガイドプレート330に対して連結ピン313Aを貫通させるようにして装置全体を軽量化させてもよい。
【0043】
このようにして得られた本第3実施例の噛合チェーン式進退作動装置300は、チェーン軌道規制手段であるチェーン軌道規制部材340が、チェーン剛直化部分310B、310Bに含まれる内歯プレート311Bおよび外歯プレート312Bのそれぞれのプレート側面にチェーン噛み外れ方向Aに沿って一方の側からチェーン軌道規制面S3を接触させ、駆動用スプロケットSP3が、チェーン剛直化部分310B、310Bから見てチェーン軌道規制部材340を配置した側の反対側に配置されて一対の噛合チェーン310、310の一方に係合していることにより、連結ピン313の摩耗低減をより一層実現するとともに連結ピン313および外歯プレート312の両方を同時にガイドする2重規制を回避して円滑なチェーン軌道規制に基づく連結ピン313の摩耗低減をより確実に実現し、しかもチェーンガイド331の入り口332の縁332Aに対する連結ピン313Bの衝突を回避して連結ピン313の破損回避を確実に実現し、さらに潤滑油飛散防止用カバーなどの追加部品の設置をなくして部品点数の増加および装置サイズの増大をより一層回避するとともに装置外部への潤滑油の飛散量を効果的に低減することができるなど、その効果は甚大である。
また、上述した実施例1乃至実施例3に係る噛合チェーン式進退作動装置100、200、300を駆動ユニットとして壁面等に固定して使用することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
100、200、300 ・・・ 噛合チェーン式進退作動装置
110、310 ・・・ 噛合チェーン
110A、210A、310A ・・・ チェーン噛み外れ部分
110B、210B、310B ・・・チェーン剛直化部分
111、211、311、311A、311B ・・・ 内歯プレート
112、212、312、312A、312B ・・・ 外歯プレート
112S ・・・ 外側プレート面
113、113A、113B、213A、213B、313、313A、313B ・・・ 連結ピン
120、320 ・・・ 被駆動体
130、230、330 ・・・ チェーンガイドプレート
131、231、331 ・・・ チェーンガイド
131A、231A、331A ・・・ チェーン噛み外れ部分用ガイド
131B、231B ・・・ 連結ピン用通路
131S、331S ・・・ 溝底面
132、332 ・・・ チェーンガイドの入り口
132A、332A ・・・ チェーンガイドの入り口の縁
140、240、340A、340B ・・・ チェーン軌道規制部材
150 ・・・ スペーサ
314 ・・・ ブシュ
331B ・・・ チェーン剛直化部分用ガイド
333 ・・・ チェーンガイドプレート面
A ・・・ チェーン噛み外れ方向
B ・・・ チェーン剛直方向
D ・・・ チェーンガイドプレート間距離
G ・・・ 設置面
S1、S2、S3 ・・・ チェーン軌道規制面
S4 ・・・ チェーン幅方向規制面
SP1、SP3 ・・・ 駆動用スプロケット
W ・・・ チェーン幅方向
WA ・・・ チェーン噛み外れ部分用ガイドのガイド幅
WB ・・・ 連結ピン用通路の通路幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フック状の内歯プレートと該内歯プレートに対してチェーン長手方向に交互に配置したフック状の外歯プレートとがチェーン幅方向に沿って前記内歯プレートおよび外歯プレートを貫通する連結ピンにより互いに前記チェーン長手方向に多数連結されているとともに、駆動用スプロケットにより駆動されて前記内歯プレート同士と前記外歯プレート同士とをそれぞれ噛み合わせて一体に剛直化するとともに相互に噛み合った内歯プレート同士と相互に噛み合った外歯プレート同士とをチェーン噛み外れ方向にそれぞれ噛み外して互いに分岐自在となる一対の噛合チェーンと、前記一対の噛合チェーンに取り付けられて前記一対の噛合チェーンの進退動作に応じて進退駆動される被駆動体とを備えた噛合チェーン式進退作動装置であって、
前記一対の噛合チェーンのうち互いに噛み外れたチェーン噛み外れ部分の連結ピンの突出部を前記チェーン幅方向からガイドするチェーン噛み外れ部分用ガイドを含むチェーンガイドプレートが、前記チェーン幅方向に沿って前記一対の噛合チェーンの両側にそれぞれ設けられ、
前記一対の噛合チェーンを互いに噛み合わせて一体に剛直化させたチェーン剛直化部分に接触するチェーン軌道規制面を有して前記チェーン剛直化部分をガイドするチェーン軌道規制手段が、前記チェーン剛直化部分に摺接設置されていることを特徴とする噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項2】
前記チェーン軌道規制手段が、前記チェーン剛直化部分に含まれる複数の外歯プレートのうち前記チェーン幅方向に沿って最も外側に配置された一対の外歯プレートのそれぞれの外側プレート面に前記チェーン幅方向に沿って前記チェーン剛直化部分の両側からそれぞれ前記チェーン軌道規制面を接触させた一対のチェーン軌道規制部材であり、
前記チェーン剛直化部分に含まれる連結ピンをチェーン剛直化方向に沿って通す連結ピン用通路が、前記チェーン噛み外れ部分用ガイドに連通した状態で前記チェーンガイドプレートに形成され、
前記連結ピン用通路の通路幅が、前記チェーン噛み外れ部分用ガイドのガイド幅より大きいことを特徴とする請求項1に記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項3】
前記連結ピン用通路が、前記チェーン幅方向に沿って前記チェーンガイドプレートを貫通していない状態で前記チェーン剛直化部分に開口する溝形状を有していることを特徴とする請求項2に記載の噛合チェー式進退作動装置。
【請求項4】
前記チェーン幅方向に沿って前記一対の噛合チェーンの両側に設けられた一対のチェーンガイドプレートの間隔を規定するスペーサが、前記一対のチェーンガイドプレート間に設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項5】
前記チェーン軌道規制手段が、前記チェーン剛直化部分に含まれる内歯プレートおよび外歯プレートのそれぞれのプレート側面に前記チェーン噛み外れ方向に沿って一方の側から前記チェーン軌道規制面を接触させたチェーン軌道規制部材であり、
前記駆動用スプロケットが、前記チェーン剛直化部分から見て前記チェーン軌道規制部材を配置した側の反対側に配置されて前記一対の噛合チェーンの一方に係合していることを特徴とする請求項1に記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項6】
前記チェーン幅方向から前記チェーン剛直化部分に臨むとともに前記チェーン剛直化部分に含まれる連結ピンの先端に接触するチェーン幅方向規制面が、前記チェーンガイドプレートのチェーンガイドプレート面の一部を占めていることを特徴とする請求項5に記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項7】
前記チェーン噛み外れ部分用ガイドが、前記チェーン噛み外れ部分に向かって開口している溝状ガイドであり、
該溝状ガイドを構成するチェーン噛み外れ部分用ガイドが、前記チェーン噛み外れ部分に含まれる連結ピンの先端に臨む溝底面を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載の噛合チェーン式進退作動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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