説明

噴射用流体の調製方法及び調製装置

【課題】細管(マイクロチューブ)を使用することにより体腔内の目的部位に、ガスによる流動化および噴射により、薬剤微粉末を的確に投与し得る投与方法等、特に投与形態としては薬剤単体若しくはバイオポリマー自体、さらにはバイオポリマーをキャリヤとして使用した薬剤の投与方法を提供する。
【解決手段】微粉砕した薬剤および/またはバイオポリマーの微粒子をガスで流動化し、細管103内をガス流体により搬送し、該細管103の先端から微細薬剤粉体を目的部位へ噴射する。さらに、細管103内にさらに同軸状にキャピラリーチューブを設け、キャピラリーチューブから薬剤および/またはバイオポリマーの水溶液をチューブ内のガス流に注入し、ガス流動中の他の薬剤および/またはバイオポリマーの微粒子と混合して噴射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、細管(マイクロチューブ)を使用してガスによる流動化および噴射を利用することにより、目的部位、特に体腔内の目的部位に、薬剤微細粉末を的確に投与し得る投与装置に関する。より詳細には、本発明は、薬剤単体もしくはバイオポリマー自体、さらには当該バイオポリマーをキャリヤとして用いて薬剤を噴霧するか、あるいは複数の薬剤の微細粉体、溶液またはその組合せにより噴霧する薬剤ならびにバイオポリマーの投与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、酸化セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、コラーゲン等の生体適合性を有する多糖類やタンパク質等のバイオポリマーが、種々の目的に応じて使用されてきている。例えば、特開平9−328432号公報には、止血材としてキチンを噴射剤と共に充填したスプレー剤が、また、特開2000−186048号公報には、ポリカチオン性物質の粉末およびポリアニオン性物質の粉末からなる止血材が開示され、特開平7−155377号公報には、止血材等の粉末微粒子を体腔内へ噴霧する散粉器および散粉用ノズルが開示されている。さらに、例えば、米国特許第4657548号、米国特許第5582591号、米国特許第6365187号、米国特許第6372718号、米国特許第6403570号、米国特許公開第20010000142A1号ならびに米国特許公開20010006957A1号には、生体粘着性を有するもの、あるいは止血材としての種々のバイオポリマーが開示されている。これらのバイオポリマーは、止血作用あるいは癒着防止作用を有するため、外科的手術時の手術部位、あるいは創傷部位に適用され、止血、癒着防止、ケロイド防止、創傷治癒、傷口の接着またはシーリングのため等に用いられてきている。
【0003】
しかしながら、これらのバイオポリマーの適用形態は、それぞれの使用目的に応じて異なっており、繊維シート状物、フィルム状物、顆粒状物あるいはゲル状物として開発されてきているものである。したがってその適用も、それぞれの使用目的に応じて制限があり、広く一般的に止血・癒着防止には適用し得るものではなかった。
【0004】
特にこれらのバイオポリマーの適用目的部位は、その大きさ、形状、適用位置などが千差万別であり、極めて変化に富んだものとなっている。したがって、バイオポリマーを目的位置に的確に貼り付けたり、留置させたりすることは困難なものであり、特に体腔内や経内視鏡手術を行った後の術部の止血、癒着防止のためにこれらのバイオポリマーを適用することは、ほとんど不可能なものであるといえる。
【0005】
そこで本発明者は、これらのバイオポリマーを適用部位の大きさ、形状、位置に関係なく、的確に付着、留置し得る技術を開発するべく検討を行い、その結果バイオポリマーをガスの噴射力で流動し得る極めて微細な微粒子とし、この微粒子をガスの噴射により体腔内や経内視鏡手術を行った後の術部へ噴霧させることで極めて簡便に目的とする部位へ適用し得ることを見いだし、先に、止血、癒着防止、ケロイド防止、創傷治癒、接着またはシーリング等を簡便に行い得るバイオポリマーの微細粒子を提供している(特願2001−259212号明細書)。
【0006】
ところで、外科的手術により組織切除後の切離面、もしくは粘膜表面については、その治癒を行うための有効な薬剤の投与方法は存在しなかった。特に経口投与、注射投与は全身投与であり、投与した薬剤の目的疾患部位における薬物濃度は低いものであるため、薬効を上げようとすると投与量が多くなり、副作用発現の機会が増える欠点がある。
【0007】
そのため、目的疾患部位へのみ薬剤を有効に到達させ、薬効を発現させる技術が近年ターゲッティング療法として注目を浴びてきているが、外科的手術により組織切除後の体内の切離面、粘膜表面について、薬剤を的確に直接投与する手段はいまだ開発されていないのが現状である。
【0008】
そこで発明者は、先に提案しているバイオポリマーの微細粒子のガスによる流動化、および噴霧化をさらに発展させて、バイオポリマーのみならず、薬剤をガスによる流動化および噴霧化技術によって、体腔内であっても薬剤投与部位である創傷面等に対し、的確に接着、固定し得ることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0009】
したがって、本発明は上記の現状に鑑み、細管(マイクロチューブ)を使用することにより目的部位、特に体腔内の目的部位にガスによる流動化および噴射により、薬剤微粉末を的確に投与し得る投与方法、特に薬剤としてバイオポリマー自体、さらには当該バイオポリマーをキャリヤとして用いた薬剤の投与方法を提供することを課題とする。すなわち、薬剤、バイオポリマーを、適用部位の大きさ、形状、その位置に関係なく適用することができ、その結果目的とする止血、癒着防止、ケロイド防止、創傷治癒、接着またはシーリング等を簡便に行い得る薬剤、バイオポリマーの投与方法を提供することを課題とする。
【発明の開示】
【0010】
かかる課題を解決するための本発明の一つの態様は、薬剤を平均粒子径100μm以下に微粉砕してガスによる流動性をもたせると共に、微細粉体/ガスの均一流体を調製し、ガス流によりマイクロチューブ内を搬送させ、該マイクロチューブの先端から薬剤微細粉体を、その噴霧量を調整可能に目的部位へ噴霧することを特徴とする薬剤微細粉体の投与装置である。
【0011】
また、本発明の別の態様は、バイオポリマーの微細粒子の一種、もしくは複数種を配合してガスで流動化し、バイオポリマー/ガスの均一流体を調製し、ガス流によりマイクロチューブ内を搬送させ、該マイクロチューブの先端からバイオポリマーの微細粒子を目的部位に噴霧することにより損傷部の止血、シーリング、臓器の癒着防止および創傷治癒を行うためのバイオポリマーの投与装置である。
【0012】
すなわち、本発明の投与装置により、薬剤、バイオポリマーを微粉砕し粉末単位重量を軽くした上で、キャリヤガスにより流動化させ、マイクロチューブ内を搬送させ、当該マイクロチューブの先端より薬剤、バイオポリマーの微粒子を噴射することにより、従来投与不可能であった体内深部に対して、体表面より狭い空間を通じて遠い目的位置の目的部位へ薬剤、バイオポリマーを的確に投与することができるのである。これまで、止血、シーリング、組織の癒着防止および創傷治癒等のために種々のバイオポリマーが使用されている。その種類や、使用する複数のバイオポリマーの配合割合は、治療目的によって種々異なり、また投与量も異なる。しかしながら本発明方法によれば、的確にこれらのバイオポリマーを投与しうる利点を有しているのである。
【0013】
本発明の投与装置にあっては、薬剤の微粉末は、バイオポリマーの微粒子を薬剤担体キャリヤとして使用し、混合して目的部位へガスによる流体力学を利用することにより投与することもできる。したがって、本発明のまた別の態様は、目的部位へ薬剤の固着性を向上させるために、生体吸収性バイオポリマーの微細粒子をキャリヤとして微細薬剤粉体と混合し、ガスで流動化させた流動化粉体をガス流によりマイクロチューブ内を搬送させ、該マイクロチューブの先端からバイオポリマーと微細薬剤粉体との混合粉体を目的部位に噴霧することにより損傷部の止血、シーリング、臓器の癒着防止および創傷治癒を行うためのバイオポリマーの投与装置でもある。
【0014】
本発明の投与装置にあっては、投与する微粒子粉体を再現性の高い濃度で流動化させ、かつガスによる流動性を上げるためには、微粒子粉体とガスを混合する容器を振動することで効率よく実施できることが判明した。したがって、本発明は、上記記載の発明において、微細薬剤粉体/ガスの均一流体、バイオポリマー/ガスの均一流体、またはバイオポリマーをキャリヤとした微細薬剤粉体/ガスの均一流体の調製を、微細薬剤粉体またはバイオポリマーとガスを混合する混合容器を振動することにより行う投与装置である。かかる振動は、例えば、横揺れ振動、回転振動、超音波振動等で行うことができる。
【0015】
さらに本発明の投与装置にあっては、マイクロチューブの先端から噴霧させる微粒子粉体を、流動化粉体濃度とガス流量を調整することにより、定量性をもって目的部位へ噴霧させることが可能である。したがって、本発明は、上記記載の発明において、マイクロチューブ先端から噴霧する微細薬物粉体またはバイオポリマーの噴霧量の調整を、流動化粉体の粉体濃度とガス流との調整とにより行う投与装置である。
【0016】
また本発明の投与装置にあっては、投与する薬剤またはバイオポリマーが溶液状である場合には、マイクロチューブ内に設けたキャピラリー(細径)チューブを通じてマイクロチューブ内に当該溶液を注入することにより、その溶液の滴液がガス流によりマイクロチューブの内壁に付着・脱離を繰り返し、微細化され、マイクロチューブ先端から噴霧することにより目的部位への投与が的確に行えるものでもある。したがって、本発明は、上記発明において、マイクロチューブ内にさらに同軸状に小径チューブを設け、該小径チューブから生理食塩水、輸液もしくは薬剤および/またはバイオポリマーの水溶液を小径チューブ内のガス流に注入させ、マイクロチューブ内の流動ガス中の薬剤および/またはバイオポリマー微細粒子と混合して噴霧する投与装置である。
【0017】
一方、上記とは逆に、マイクロチューブ内にさらに同軸状に小径チューブを設け、該小径チューブからガスで流動化した微細粉体を搬送させ、外筒チューブ(マイクロチューブ)と内筒チューブ(小径チューブ)の隙間に薬剤、バイオポリマー等の水溶液を搬送させ、当該水溶液をマイクロチューブ出口付近混合させ噴霧することにより目的部位への投与が的確に行える。したがって、本発明は、上記記載の発明において、マイクロチューブ内にさらに同軸状に小径チューブを設け、該小径チューブ内をガス流により薬剤微細粉体を搬送させ、外筒チューブと内筒チューブの隙間に生理食塩水、輸液もしくは薬剤および/またはバイオポリマーの水溶液を搬送し、マイクロチューブの先端部において両者を混合させ噴霧する投与装置である。
【0018】
さらに、本発明は、ガスで流動化する薬剤に徐放性をもたせ、薬効成分の放出を遅延させる上記記載の投与装置であり、また、本発明は、かかる薬効成分の放出の遅延を、ガスで流動化する薬剤をマイクロカプセル化するか、噴霧造粒あるいは凍結乾燥粉砕造粒させることにより行う投与装置である。
【0019】
また、本発明のさらに別の態様は、薬剤微細粉体の流動化、およびバイオポリマー微粒子粉体の流動化を別々の容器で行い、それぞれの微細粉体をマイクロチューブ内のガス流により搬送させ、該マイクロチューブの先端から目的部位へ噴霧させるにあたって、第一段階で薬剤微細粉体を噴霧し、次いで第二段階でバイオポリマーの微粒子を噴霧させて目的部位における薬剤成分層を被覆し、薬剤の目的部位以外への拡散、流出を防止した投与装置である。
【0020】
すなわち、本発明によれば、ガスによる流体力学を利用して目的部位へ薬剤微細粉体を噴霧適用させておき、その薬剤付着面をさらにバイオポリマーの微粒子により被覆することにより、薬剤微粉末が目的部位以外へ流出、拡散することを確実に防止することができる。
【0021】
さらにまた、本発明の別の態様は、2種類のそれぞれ異なる成分を含有する容器をそれぞれマイクロチューブに直列的に接続し、該マイクロチューブの先端から目的部位へ噴霧させるにあたって、噴霧前半ではマイクロチューブ先端部近くに接続した容器中の成分が多く噴霧され、噴霧後半ではガス流入部側に接続した容器中の成分が多く噴霧され、各成分濃度がグラジエント的に変化して噴霧される薬剤の投与装置である。
【0022】
すなわち、かかる本発明の投与装置によれば、投与部位に噴霧して覆う被覆層を、投与部内側から外側に対して成分濃度を自動的に傾斜勾配として作成することができる。例えば、損傷面に近い内層には、損傷治癒を促進する成分を高い濃度で被覆し、外層にはシール性の優れたバイオポリマーを被覆することができる。かかる被覆は、例えば、2つの微粒粉体ガスの容器、あるいは2つの水溶液容器を直列的に連結して、噴霧口から遠い容器からの成分が近くの容器に移動し、2つの成分が徐々に混合しながら、濃度勾配を持ち噴霧することで達成される。
【0023】
さらに本発明にあっては、複数のバイオポリマー、特に水に溶解して粘稠性を示すか、あるいは凝固する2種類のバイオポリマーを投与することも可能であり、かかる場合においては、一方を微粒子状とし他方を溶液状として、あるいはその両者を溶液状として、目的部位へ投与することも可能である。したがって、本発明は、さらにまた別の態様として、水に溶解して粘稠性を示すかあるいは凝固する2種類のバイオポリマーを使用し、一方を微細粒子粉体とし他方を溶液状として、あるいはその両者を溶液状としてマイクロチューブ内をガスにより個別に搬送させ、該マイクロチューブの先端において両者が混合され目的部位に噴霧されるバイオポリマーの投与装置でもある。
【0024】
この場合において、2種類のバイオポリマーがアニオン性バイオポリマーおよびカチオン性バイオポリマーであれば、両者は溶液状体で結合すると、単独成分とは全く異なる物性と生体結合性を発揮し、特にその粘の増大は顕著なものである。したがって、バイオポリマーの両者の結合物は、その高い粘度のゆえにマイクロチューブ内を搬送させることは困難なものであるが、一方を微粒子粉体としてガス流により搬送するか、あるいは両者を溶液状としてガス流により搬送し、噴霧時に混合することで、付着性の良好な高粘度のゲル状物を目的部位へ噴霧することが可能となる。
【0025】
したがって、本発明は、上記記載の発明において、2種類のバイオポリマーが、アニオン性バイオポリマーおよびカチオン性バイオポリマーの2種類のバイオポリマーであるバイオポリマーの投与装置であり、さらに本発明は、バイオポリマーが、合成ポリマー、多糖類、ペプチド類、蛋白類であるバイオポリマーの投与装置である。
【0026】
より具体的な発明は、マイクロチューブ内にさらに同軸状に2本のキャピラリーチューブを設け、フィブリノーゲン単独あるいは他の凝固因子との配合液を一方のキャピラリーチューブから、トロンビン単独あるいは塩化カルシウムとの配合溶液を他方のキャピラリーチューブからマイクロチューブ内のガス流中に射出させ、双方の溶液を混合しながら、該マイクロチューブ先端から目的部位へスプレーすることを特徴とする創傷面の止血、シールを行うための薬剤の投与装置である。
【0027】
この場合にあって、さらに具体的な発明は、フィブリノーゲンを主成分とする粉末の単独もしくはそれとバイオポリマーとの混合微細粉体と、トロンビンを主成分とする水溶液を用い、目的部位へスプレーすることを特徴とする創傷面の止血、シールを行うための薬剤の投与装置である。
【0028】
フィブリノーゲンを主成分とする粉末としては、例えば、フィブリン、凝固因子XIII、フィブロネクチン、アプロチニン等を含有する粉末であり、トロンビンを主成分とする粉末としては、トロンビンと塩化カルシウムとの配合粉末が挙げられる。
【0029】
さらにまた、本発明は、上記記載の投与装置において使用される流動化マトリックス微粒子粉体を提供する。具体的には、薬剤をバイオポリマーとクーロン力、水素結合力、疎水性結合力からなる分子間相互作用により溶液中で結合させ、乾燥後に低温で粉砕し、徐放性を有する薬剤としての流動化マトリックス微粒子粉体である。この場合にあっては、当該マトリックスの性質を利用して薬剤の持効性を確保することができる。
【0030】
ところで、イオン荷電の異なるバイオポリマーを混合すると、混合物はそのイオン結合により新しい物性を持つようになり、粘度の増加、あるいは溶解性の減少は著しいものとなる。したがって、一方の荷電ポリマーに反対の荷電を持つ薬剤を混合、あるいは製剤加工するか、または化学結合させた粉体をガスと共に流動化させ、逆荷電のバイオポリマー溶液と共に混合噴射すると、難溶解性、難分散性のゲル、半固形物が作成でき、薬剤投与目的部に持効性をもたせ、被覆することが可能となる。また、その物性は止血、シーリング癒着防止、創傷治癒剤としての機能的性質を備えているものとなる。
【0031】
したがって、本発明は、薬剤をバイオポリマーとクーロン力、水素結合力、疎水性結合力からなる分子間相互作用により溶液中で結合させ、乾燥後に低温で粉砕し、徐放性を有する薬剤とバイオポリマーのマトリックス微粒子粉体に対して反対のイオン電荷を有するバイオポリマーを微粒子粉体状態もしくは溶液状態で該マイクロチューブ先端から目的部位へスプレー創傷面の止血、シールを行うための薬剤の投与装置である。
【0032】
さらに、本発明の投与装置により、整形外科で骨の治療に用いる接着剤、充填剤を噴霧投与することが可能である。これらの整形外科で骨の治療に用いる接着剤、充填剤は、一般的には、粉剤と液剤をヘラで混合して目的部へ摺り込むようにして投与するので、内部に荷重がかかると同時に均一な表面を作るのが難しいものである。しかしながら本発明の投与装置によれば、流動化させ噴霧投与するため、繊細さが要求される頭骸骨の大きな欠損部や、癌摘出手術のよる骨の欠損部に的確に投与することができ、したがって、術野が狭くとも容易に代用骨を成型させることができる。
【0033】
したがって、本発明は、上記記載の発明において、バイオポリマーが骨セメントあるいは人工骨補填物であるリン酸カルシウム系粉末、ハイドロキシアパタイト系粉末またはガラス系材料の粉末であり、リン酸カルシウム系粉末またはハイドロキシアパタイト系粉末と液剤の混合溶液、あるいはガラス系材料と酸性水溶液の混合溶液を該マイクロチューブ先端から噴霧し、目的部位で代用骨を成形させるための投与装置である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1図は、本発明の投与装置を、基本的な模式図として示した図である。
【図2】第2図は、マイクロチューブ内に、同軸状の1本のキャピラリーチューブを設けたマイクロチューブの模式的な構造を示す図である。
【図3】第3図は、マイクロチューブ内に、同軸状の2本のキャピラリーチューブを設けたマイクロチューブの模式的な構造を示す図である。
【図4】第4図は、実施例1に使用した粉体ガスジェット噴霧装置を模式的に示した図である。
【図5】第5図は、実施例2に使用した粉体ガスジェット噴霧装置を模式的に示した図である。
【図6】第6図は、実施例3に使用した粉体ガスジェット噴霧装置を模式的に示した図である。
【図7】第7図は、実施例4に使用した2本のエアゾールを用いた、ガスジェット噴霧装置の模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に本発明を、さらに詳細に説明していく。
本発明で使用するバイオポリマーとは、ひとつには、いわゆる生体適合性を有する高分子をいい、そのようなバイオポリマーとしては、止血、癒着防止、ケロイド防止、創傷治癒、傷口の接着、シーリング等の作用を有するポリマーである限り特に限定されるものではない。具体的にはカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、酸化セルロース、アガロース、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、デンプン、グリコーゲン、アルギネート、ペクチン、デキストラン、コンドロイチン硫酸、ゼラチン、コラーゲン等を挙げることができ、これらのバイオポリマーは一種または二種以上のものを使用することができる。
【0036】
また、バイオポリマーとして生体吸収性を有する化合物を挙げることもでき、そのような生体吸収性材料としては、ポリ乳酸、乳酸エチレングリコール共重合体、コラーゲン、アガロース、ポリビニルアルコール、フィブリンゲル、ゼラチン、キチン、キトサン、酸化セルロース、カルボキシメチルセルロース、ペクチン、デンプン、デキストラン、アガロース、アルギン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、フコース、カラギーナン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリグリコール酸、乳酸カプロラクトン共重合体、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト等をあげることができる。
【0037】
さらに、本発明で投与することができる薬剤としては、種々の薬剤を挙げることができるが、なかでも、殺菌剤、抗生物質、止血剤、抗癌剤、消炎剤を始めとする低分子量の医薬品、細胞増殖因子、細胞増殖抑制因子、神経栄養因子等のペプチド、蛋白製剤、また各種抗体製剤、遺伝子治療に使用される遺伝子を含むベクター(アデノウイルス、レトロウイルス、リポソーム、ハイドロゲル等)またはネイキッドDNA等をあげることができる。
【0038】
これらの薬剤は、微粉末として、あるいは水溶液として本発明の投与装置により投与することができる。そのなかでもバイオポリマーと共に微粉末として投与する場合には、バイオポリマーとの等電点が解離している場合には、イオン結合等をすることにより、薬物の付着性の向上と、薬物のバイオポリマーからの放出性を抑え、持効性をもたせることができる。したがって、投与する薬剤の種類に合わせ、使用するバイオポリマーの種類を適宜選択することもできる利点を有している。
【0039】
なお、使用する薬物にあっては、その持効性を確保するためには、前もって荷電をもつ薬物を異なる荷電を持つバイオポリマーと水溶液中でイオン結合させ、凍結乾燥などを行い、その後微粉砕して一体化した粉末を本発明の投与装置により投与することもできる。
【0040】
さらに持効性をもたせる手段としては、投与する薬剤をマイクロカプセル化して微細粒子となし、この微細粒子を単独で、あるいはバイオポリマーと共に本発明の投与装置により投与することもできる。
【0041】
本発明の投与装置は、基本的には、ガスの流れによりそのキャリヤガスに投与する薬剤および/またはバイオポリマーを流動化させ、マイクロチューブ内を搬送させ、当該マイクロチューブの先端より薬剤および/またはバイオポリマーの微粒子を噴射することにより、目的部位へ薬剤、バイオポリマーを的確に投与するものである。したがって、薬剤および/またはキャリヤガスにより流動化する程度の微粒子であることが好ましい。そのような微粒子としては、粒度分布においてそのほぼ80%が粒子径100μmまでの範囲内にあり、かつ平均粒子径が50μm以下である微細粒子とするのがよい。
【0042】
なお、本発明の投与装置においては、投与される薬剤および/またはバイオポリマーは微細粒子状のものに限られるものではなく、溶液状のものであっても本発明の投与装置により投与し得ることはいうまでもない。
【0043】
本発明において使用するキャリヤガスとしては、種々のガスが挙げられるが、安全性、利便性の面からみれば、炭酸ガスあるいは窒素ガスを使用するのが望ましい。噴射ガスとして、病院内のガス配管設備を使用するのが望ましい。
【0044】
本発明の投与装置においては、薬剤および/またはバイオポリマーの流動化は、ガスと微粉体の混合セルで行うのがよい。また、液体をガスで流動化させた微粉末と混合するには、マイクロチューブ内にキャピラリーチューブにより液体を注入し、粉体と液体を接触、混合させ行うことができる。マイクロチューブ内を流動するガスの流量は、マイクロチューブの先端から薬剤等が噴霧し得るに十分なガス量を流動させればよく、かかるガスの流量を設定した後、例えば、バクテリアフィルターを通して細菌等を取除き、粉末混合セル内で粉末を流動化し、さらにマイクロチューブ内を通じて微細粒子の薬剤および/またはバイオポリマーが搬送され、マイクロチューブの先端から薬剤等が噴霧され、目的とする投与部位、特に生体内の投与部位に噴霧されることとなる。
【0045】
以下に、本発明の投与装置を、基本的な模式図として示した第1図により、より詳細に説明する。
【0046】
第1図は、本発明の投与装置に関して、その基本を模式的に示したものである。すなわち、外部設備(101)としてのガス供給源から炭酸ガスあるいは窒素ガス等の流動ガスは、圧力調整弁により圧力調整したのち、装置部分(102)のガス流量調節弁および流量計で流量調整を行い、バクテリアフィルターによりガスに含まれている細菌等を除去した後、薬剤および/またはバイオポリマーの流動化が行われる粉末、ガス混合セルに供給される。
【0047】
この混合セルにおける薬剤および/またはバイオポリマーの流動化は、好ましくは横揺れ振盪器、回転振盪器または超音波振盪器を有する定量混合器である混合セルで行われ、該定量混合器(混合セル)内部において薬剤および/またはバイオポリマーの粉体がガスにより均一に混合され、流動化される。ガスにより流動化された混合粉体は、次いでマイクロチューブ(103)内をガスにより搬送され、マイクロチューブ(103)先端から噴霧されるのである。この場合において、装置部分(102)のバクテリアフィルター−混合セル−マイクロチューブ部分は、ディスポーザブル部分(104)として、投与目的に応じた薬剤および/またはバイオポリマーの種類により簡便な取替えが可能とすることもできる。
【0048】
上記の投与装置により投与する薬剤および/またはバイオポリマーが溶液の場合にあっては、マイクロチューブ(103)内に同軸状のキャピラリーチューブ(104)を設け、当該キャピラリーチューブの先端からマイクロチューブ内のガス流中(図中矢印)へ液体状の薬剤および/またはバイオポリマーを注入すると、ガス流により液体が分散されて霧状となり、マイクロチューブ先端から噴霧され、目的部位へ噴霧することができる。その場合に使用し得る当該マイクロチューブの模式的な構造を、第2図として示した。
【0049】
また、薬剤および/またはバイオポリマーの2種類以上の液体同士を混合して本発明の投与装置により投与することもできる。その場合には、マイクロチューブ(103)内に、必要に応じて2本以上のキャピラリーチューブ(105,106)を同軸状に設置し、そのキャピラリーチューブの先端から個々の薬剤および/またはバイオポリマーの溶液をマイクロチューブ内のガス流(図中矢印)に注入し、噴霧化し、マイクロチューブ先端から噴霧させることができる。かかる模式的なマイクロチューブの構造を第3図として示した。
【0050】
なお、本発明の投与装置の一変形として、流動ガスの供給源に小型のボンベを使用することもできる。さらにエアゾールとしマイクロチューブを接続させ、当該マイクロチューブにさらにキャピラリーチューブを組合せ、小型化あるいはディスポーザブルとして応用することも可能である。この場合にあっては、2個のエアゾールを組合せノズルにより連結して2種類の薬剤および/またはバイオポリマーをそれぞれ別々のエアゾールから同時に噴射し、連結部で混合し、1本になったマイクロチューブの先端から薬剤および/またはバイオポリマーを噴霧することもできる。
【実施例】
【0051】
以下に本発明を、実施例によりさらに詳細に説明する。
【0052】
実施例1:
第4図に本実施例1に使用した粉体ガスジェット噴霧装置の模式図を示した。
本装置は、例えば、炭酸ガスボンベあるいは病院内の炭酸ガス配管等のガス供給源(1)から炭酸ガスを圧力調整弁(2)により圧力調整した後、装置(110)内でガス流量弁(3)および流量計(4)によりガスの流量調整を行い、バクテリアフィルター(5)によりガスに含まれている細菌を除去する。ガスと薬剤および/またはバイオポリマーの粉体を、振盪器(6)を有する定量混合器(7)にて粉体を流動化させ、次いでマイクロチューブ(8)内をガスにより搬送し、マイクロチューブ先端から噴霧できるようにしてある。
【0053】
薬剤として消炎酵素剤である塩化リゾチームの微粉末を、バイオポリマーとして止血、癒着防止効果のあるカルボキシメチルセルロースと共に、1:20の重量比で混合した後、流動化を行い、マイクロチューブの先端より、外科手術後の組織切離面へ噴霧・塗布を行う。これにより、組織切離面の止血、消炎、癒着防止を図ることができる。
【0054】
実施例2:
第5図に本実施例2に使用した粉体ガスジェット噴霧装置の模式図を示した。なお図中の符号は、第4図と同一の意味を有する。
【0055】
本装置は、実施例1と同様に、炭酸ガスボンベあるいは病院内の炭酸ガス配管等のガス供給源(1)から炭酸ガスを圧力調整弁(2)により圧力調整した後、装置内のガス流量弁(3)および流量計(4)によりガスの流量調整を行い、バクテリアフィルター(5)によりガスに含まれている細菌を除去する。ガスと薬剤および/またはバイオポリマーの粉体を、振盪器(6)を有する定量混合器(7)にて粉体を流動化させ、次いでマイクロチューブ(8)内をガスにより搬送し、マイクロチューブ先端から噴霧できるようにしてあると共に、さらに、マイクロチューブ(8)内に、例えば第2図に示したようにキャピラリーチューブ(図示せず)を設置し、液体容器(9)から薬剤および/またはバイオポリマーの溶液をポンプ(10)を介して注入するようにしてある。
【0056】
バイオポリマーとしてカルボキシメチルセルロース10gを粉体−ガス混合セル中に入れる。10%カチオン化セルロース水溶液7mlをポンプ(10)に繋がった液体容器(9)中に入れ、粉体別の箇所で流動化し、マイクロチューブ(8)内においてキャピラリーチューブよりカチオン化セルロース溶液の注入を行い、混合し、マイクロチューブ先端より混合物を外科手術後の組織切離面へ噴霧・塗布を行う。これら2成分は、混合と同時に互いに結合を始め、粘稠性を発揮し、組織切離面に強固に付着し、溶けなくなることより、体液により分散することがなく、良好なシーリング効果を発揮して、止血、癒着防止、創傷治癒を図ることができる。
【0057】
実施例3:
第6図に本実施例3に使用した粉体ガスジェット噴霧装置の模式図を示した。なお図中の符号は、第4図および第5図と同一の意味を有する。
【0058】
本装置は、実施例1、2と同様に、炭酸ガスボンベあるいは病院内の炭酸ガス配管等のガス供給源(1)から炭酸ガスを圧力調整弁(2)により圧力調整した後、装置内のガス流量弁(3)および流量計(4)によりガスの流量調整を行い、バクテリアフィルター(5)によりガスに含まれている細菌を除去する。次いでマイクロチューブ(8)内を流体として搬送し、マイクロチューブ先端から噴霧できるようにしてあると共に、更に、マイクロチューブに例えば図3に示したように2本のキャピラリーチューブ(図示せず)を設置し、液体容器(9a,9b)から薬剤および/またはバイオポリマーの溶液をそれぞれポンプ(10a,10b)介して注入するようにしてある。
【0059】
外科用のシール剤としてフィブリノーゲン10%水溶液5mlと、トロンビン2500単位水溶液5mlを別々の容器(9a,9b)に入れ、当該容器からキャピラリーチューブを介してポンプ(10a,10b)によりマイクロチューブ内に注入を行い、ガスと混合し、霧状となし、マイクロチューブ先端よりフィブリノーゲンおよびトロンビンの混合物を目的部位に噴霧する。これにより創傷面に生ずるフィブリンを、止血、シール剤として用いることができる。
【0060】
実施例4:
第7図に、本実施例に使用した2本のエアゾールを用いた、ガスジェット噴霧装置の模式的な正面図を示した。本実施例では、流動ガスの供給源に複数(本実施例では2本)の小型ボンベであるエアゾール(20a,20b)を使用し、2個のエアゾール容器にマイクロチューブ(21a,21b)を接続させ、当該マイクロチューブ連結させ、1本になったマイクロチューブ(22)の先端から薬剤および/またはバイオポリマーを噴霧するようにしてある。なお、エアゾールへのマイクロチューブの接続は、好ましくは、プッシュダウンバルブのついた2本のエアゾール容器を、熱収縮性チューブを連結一体化させた2連アクチュエーターを取り付けることにより行うのがよい。
【0061】
フィブリノーゲンの10%水溶液10mLと、トロンビン2500単位水溶液5mLを、それぞれ10mL容量のエアゾール容器に原液として充填し、さらに噴射剤として窒素ガスを4kg/cm2の圧力で充填した。エアゾール容器のプッシュダウンボタンを押し下げることにより、それぞれのエアゾール容器からフィブリノーゲン含有水溶液およびトロンビン含有水溶液が射出され、アクチュエーターで混合され、マイクロチューブ内を霧状の流体として搬送され、マイクロチューブ先端より止血するべき目的部位へ噴霧された。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上記載のように、本発明により細管(マイクロチューブ)を使用することにより目的部位、特に体腔内の目的部位にガスによる流動化および噴射により、薬剤微粉末を的確に投与し得る投与装置、特に薬剤としてバイオポリマー自体、さらには当該バイオポリマーをキャリヤとして用いた薬剤の投与装置が提供される。すなわち、本発明の投与装置により、薬剤、バイオポリマーを適用部位の大きさ、形状、その位置に関係なく適用することができ、その結果、目的とする止血、癒着防止、ケロイド防止、創傷治癒、接着またはシーリング等を簡便に行い得る利点を有する。
【0063】
特に本発明の投与装置は、薬剤、バイオポリマーを微粉砕し粉末単位重量を軽くした上で、キャリヤガスにより流動化させ、マイクロチューブ内を搬送させ、当該マイクロチューブの先端より薬剤、バイオポリマーの微粒子を噴射することにより、従来投与不可能であった体内深部に対して、体表面より狭い空間を通じて遠い目的位置の目的部位へ薬剤、バイオポリマーを的確に投与することができる利点を有するのである。
【0064】
また本発明は、バイオポリマーの微粒子をキャリヤとし、薬剤微粉末と混合してガスで流動化させ、マイクロチューブ内をガスにより搬送させ、該マイクロチューブの先端からバイオポリマーと薬剤の混合微粉末を、薬剤単体よりも固着性を向上させるために目的部位へ噴霧させることを特徴とする投与装置であり、これにより、薬剤の微粉末は、バイオポリマーの微粒子を薬剤担持キャリヤとして使用し、混合して目的部位へガスの流体力、噴霧力により投与することもできる利点を有する。
【0065】
さらにまた、本発明の投与装置により、薬剤の微粉砕流動化およびバイオポリマーの微粒子の流動化を別々の容器で行い、それぞれの微粉末をマイクロチューブ内のガスにより搬送させ、該マイクロチューブの先端から微細薬剤粉体を目的部位へ噴霧させた後、その上にバイオポリマーの微粒子を噴霧して被覆することができ、これにより薬剤微粉末の目的部位以外への拡散を防止し得る利点を有する。
【0066】
さらに本発明により、複数のバイオポリマー、特に水に溶解して粘調性示すか、あるいは凝固する2種類のバイオポリマーを投与することも可能であり、かかる場合においては、一方を微粒子状とし他方を溶液状として、あるいはその両者を溶液状として、目的部位へ投与することもできる利点を有する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径100μm以下の粉体を,ガスで流動性をもたせる流動化工程と,
前記流動化工程による流動化で得られた前記粉体の流動体を,細管であるマイクロチューブで搬送する搬送工程と,
前記マイクロチューブに,流体を注入することにより,当該流体を前記粉体の流動体に混合する混合工程と,
を含み,
これにより,噴射用流体が調製される,
噴射用流体の調製方法。
【請求項2】
前記マイクロチューブ内には,当該マイクロチューブよりも小径のキャピラリーチューブが設けられており,
前記搬送工程では,
前記粉体の流動体を,前記マイクロチューブの内周面と前記キャピラリーチューブの外周面の間を流れるように搬送し,
前記混合工程では,
前記キャピラリーチューブの排出口から前記流体を流すことにより,前記マイクロチューブ内で前記粉体の流動体に前記流体を混合する,
請求項1に記載の噴射用流体の調製方法。
【請求項3】
前記流体は,水分を含み,
前記粉体は,水分により粘稠性を示すか又は凝固性を呈するものであり,
前記混合工程では,
前記液体により,前記粉体の流動体中の前記粉体の少なくとも一部がゲル化する,
請求項1又は2に記載の噴射用流体の調製方法。
【請求項4】
前記粉体は,薬剤を微粉砕することによって得られた微細薬剤粉末であり,
前記流体は,生体適合性又は生体吸収性を有するバイオポリマーの溶液である,
請求項1〜3のいずれか1項に記載の噴射用流体の調製方法。
【請求項5】
前記粉体は,生体適合性又は生体吸収性を有するバイオポリマーであり,
前記流体は,水,生理食塩水,又は輸液である,
請求項1〜3のいずれか1項に記載の噴射用流体の調製方法。
【請求項6】
前記粉体は,薬剤を微粉砕することによって得られた微細薬剤粉末であり,
前記流体は,水,生理食塩水,又は輸液である,
請求項1〜3のいずれか1項に記載の噴射用流体の調製方法。
【請求項7】
前記粉体は,薬剤を微粉砕することによって得られた微細薬剤粉末と,生体適合性又は生体吸収性を有するバイオポリマーの混合物であり,
前記流体は,水,生理食塩水,又は輸液である,
請求項1〜3のいずれか1項に記載の噴射用流体の調製方法。
【請求項8】
前記マイクロチューブ内には,当該マイクロチューブよりも小径の第1キャピラリーチューブが設けられているとともに,
前記マイクロチューブの内周面と前記第1キャピラリーチューブの外周面の間の空間には,当該マイクロチューブよりも小径の第2キャピラリーチューブが設けられており,
前記調製方法は,さらに,
前記粉体とは別の,平均粒子径100μm以下の第2粉体を,ガスで流動性をもたせる第2流動化工程と,
前記第2流動化工程による流動化で得られた前記第2粉体の流動体を,前記第1キャピラリーチューブで搬送する第2搬送工程と,
を含み,
前記混合工程では,
前記第1キャピラリーチューブの排出口から前記第2粉体の流動体を流すことにより,前記マイクロチューブ内で前記粉体の流動体に前記第2粉体の流動体を混合し,
前記第2キャピラリーチューブの排出口から前記マイクロチューブに前記流体を注入することにより,前記マイクロチューブ内で前記粉体の流動体及び前記第2粉体の流動体の混合物に,前記流体を混合する,
請求項1に記載の噴射用流体の調製方法。
【請求項9】
前記粉体の流動体の搬送方向において,前記第1キャピラリーチューブの排出口は,前記第2キャピラリーチューブの排出口よりも上流にある,
請求項8に記載の噴射用流体の調製方法。
【請求項10】
前記粉体が,生体適合性又は生体吸収性を有するバイオポリマーであり,かつ,前記第2粉体は,薬剤を微粉砕することによって得られた微細薬剤粉末であるか,
又は,
前記粉体が,薬剤を微粉砕することによって得られた微細薬剤粉末であり,かつ,前記第2粉体が,生体適合性又は生体吸収性を有するバイオポリマーである,
請求項6又は7に記載の噴射用流体の調製方法。
【請求項11】
前記流体は,水分を含み,
前記粉体は,水分により粘稠性を示すか又は凝固性を呈するものであり,
前記混合工程では,
前記流体により,前記粉体の流動体中の前記粉体の少なくとも一部又は前記第2粉体の流動体中の前記第2粉体がゲル化する,
請求項6〜8のいずれか1項に記載の噴射用流体の調製方法。
【請求項12】
前記調製方法は,さらに,
前記混合工程において互いに混合される粉体及び流体の相対的な混合比を変更する変更工程を含み,
これにより,前記マイクロチューブ内を移動する前記噴射用流体に濃度勾配をもたせる,
請求項1〜11のいずれか1項に記載の噴射用流体の調製方法。
【請求項13】
平均粒子径100μm以下の粉体を溶液にした粉体溶液を,ガスで流動性をもたせる流動化工程と,
前記流動化工程による流動化で得られた前記粉体溶液の流動体を,細管であるマイクロチューブで搬送する搬送工程と,
を含み,
これにより,噴射用流体を調製する,
噴射用流体の調製方法。
【請求項14】
前記マイクロチューブ内には,当該マイクロチューブよりも小径のキャピラリーチューブが設けられており,
前記搬送工程では,
前記粉体溶液の流動体を,前記マイクロチューブの内周面と前記キャピラリーチューブの外周面の間を流れるように搬送し,
前記調製方法は,さらに,
前記粉体とは別の,平均粒子径100μm以下の第2粉体を溶液にした第2粉体溶液を,前記キャピラリーチューブの排出口から注入することにより,前記マイクロチューブ内で前記粉体溶液の流動体と前記第2粉体溶液とを互いに混合する混合工程を含む,
請求項13に記載の噴射用流体の調製方法。
【請求項15】
前記粉体が,生体適合性又は生体吸収性を有するバイオポリマーであり,かつ,前記第2粉体が,薬剤を微粉砕することによって得られた微細薬剤粉末であるか,
又は,
前記粉体が,薬剤を微粉砕することによって得られた微細薬剤粉末であり,かつ,前記第2粉体が,生体適合性又は生体吸収性を有するバイオポリマーである,
請求項14に記載の噴射用流体の調製方法。
【請求項16】
前記粉体と前記第2粉体とは溶液中において互いに逆の電荷をもち,
前記混合工程では,
前記粉体溶液の流動体と前記第2粉体溶液の流動体とを互いに混合することで,前記粉体と前記第2粉体とを互いに結合させる,
請求項14又は15に記載の噴射用流体の調製方法。
【請求項17】
平均粒子径100μm以下の粉体又はその溶液を,ガスで搬送するための,細管であるマイクロチューブを含む,噴射用流体の調製装置。
【請求項18】
前記マイクロチューブよりも小径のキャピラリーチューブを含み,当該キャピラリーチューブの排出口が前記マイクロチューブ内に設けられており,
これにより,前記キャピラリーチューブの排出口から,前記粉体とは別の第2粉体若しくはその溶液,又は流体を前記マイクロチューブに注入することが可能である,
請求項17に記載の噴射用流体の調製装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−57938(P2010−57938A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250035(P2009−250035)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【分割の表示】特願2003−569073(P2003−569073)の分割
【原出願日】平成15年2月18日(2003.2.18)
【出願人】(301032160)株式会社ネクスト21 (3)
【Fターム(参考)】