説明

噴霧装置及びレバー

【課題】エアゾール容器内の流体を噴霧する噴霧装置を提供する。
【解決手段】ノズル61付きのエアゾール容器6を収容するハウジング2と、ノズル61に装着された状態でノズル61に連通する噴霧孔34を有するアダプタ3を押し込むレバー4と、レバー4を駆動する駆動機構5とを備える、エアゾール容器6内の流体を噴霧する噴霧装置1である。
そして、噴霧装置1のレバー4とアダプタ3は、押し込み中に複数の接触部を介して接触し、駆動機構5から伝達される押込力を複数の接触部に分散するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器内の流体を噴霧する噴霧装置及びレバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、エアゾール容器内に充填された薬剤を、所定の時間間隔で自動的に噴霧することで、室内空間を消臭するとともに芳香を広める噴霧装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、基板と、モータと、伝達手段と、カム部材と、カムレバーとから構成され、このカムレバーを介してエアゾール製品のノズルを開閉して一定時間ごとにエアゾール内容物を自動的に噴霧するように構成されたエアゾール噴霧装置が記載されている。この構成によれば、エアゾール内容物を適当な量だけ定期的に噴霧できる。
【0004】
また、特許文献2には、エアゾール容器の押圧操作部を押圧する作動機構部と、作動機構部の作動を停止する停止スイッチと、を備え、作動機構部の押圧手段が回転可能に構成され、エアゾール容器を装着する際には押圧手段を押圧操作部と干渉しない位置に回転させつつ、停止スイッチも作動させる噴霧装置が記載されている。この構成によれば、エアゾール容器を装着する際には、常に作動機構部が停止するため、誤って噴霧させてしまうことがなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60−86471号公報
【特許文献2】特開2004−298782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の噴霧装置は、噴霧装置とエアゾール容器との間の力の噴霧時の作用状態にまで配慮したものではなかった。このため、エアゾール噴霧装置が作動する際に、エアゾールノズル部分等の作動部分などのエアゾール容器及び噴霧装置に無理な力が作用してしまい、長期間にわたって繰り返し使用するとエアゾール容器や噴霧装置に不具合が生じる可能性があった。
【0007】
そこで、本発明は、繰り返し使用してもエアゾール容器や作動部分等に不具合が生じることなく、長期間安定に作動して使用できる噴霧装置及びそのためのレバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の噴霧装置は、ノズル付きのエアゾール容器を収容するハウジングと、ノズルに装着された状態でノズルに連通する噴霧孔を有するアダプタを押し込むレバーと、レバーを駆動する駆動機構とを備える、エアゾール容器内の流体を噴霧する噴霧装置である。
【0009】
そして、レバーとアダプタとは、押し込み中に複数の接触部を介して接触し、駆動機構から伝達される押込力を複数の接触部に分散するように形成されている。
【発明の効果】
【0010】
このように、本発明の噴霧装置は、ハウジング、ノズルに装着されるアダプタを押し込むレバー、及びレバーの駆動機構を備えており、このレバーとアダプタとが、押し込み中に複数の接触部を介して接触し、駆動機構から伝達される押込力を複数の接触部に分散する。
【0011】
したがって、レバー及びアダプタを介してエアゾール容器及び噴霧装置に押込力が分散されて作用するため、繰り返し使用しても噴霧装置に不具合を生じることなく、長期間安定に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】噴霧装置の外観を説明する斜視図である。
【図2】噴霧装置の内部構成について、概略的に説明する分解正面図である。
【図3】駆動機構について説明する説明図である。
【図4】実施例1のレバーの構成を説明する斜視図である。
【図5】実施例1のレバーの構成を説明する説明図である。(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図6】押込前のレバーとアダプタの位置関係を説明する作用図である。(a)は側面図であり、(b)は正面図である。
【図7】押込後のレバーとアダプタの位置関係を説明する作用図である。(a)は側面図であり、(b)は正面図である。
【図8】実施例2のレバーの構成を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0014】
(構成)
まず、図1及び図2を用いて実施例1の噴霧装置1の全体構成を説明する。なお、この図2では説明の便宜のために、エアゾール容器6及び電池ボックス72を駆動機構5の横に描いているが、実際にはこれらは、駆動機構5及び基板71を覆うハウジング2の背面側部材(不図示)の外側に配置されたうえで、背面カバーによって覆われている。
【0015】
図1の斜視図からわかるように、本実施例の噴霧装置1は、全体として楕円形ないし木葉形の断面を有する柱状に形成されており、ハウジング2の上面には噴霧開口21が設けられ、前面にはセンサ12、スイッチ13、及び各種のインジケータ14〜16が配置されている。
【0016】
この噴霧装置1は、ハウジング2に収容されたエアゾール容器6(図2参照)に充填された薬剤を、所定の時間間隔で自動的に噴霧して、殺虫・忌避効果や消臭・芳香効果等を得るためのものである。
【0017】
噴霧装置1のハウジング2の内部には、図2に示すように、エアゾール容器6と、エアゾール容器6のノズル61に装着されるアダプタ3と、アダプタ3を押し込むレバー4と、レバー4を駆動する駆動機構5と、駆動機構5を制御するための基板71及び電池ボックス72と、を備えている。
【0018】
ハウジング2は、合成樹脂によって形成されるもので、その上面には、薬剤を上方に向けて噴霧するための噴霧開口21が形成されている。この噴霧開口21は、エアゾール容器6のノズル61及びアダプタ3の噴霧孔34(図3参照)の上方に配置されている。
【0019】
アダプタ3は、図3に示すように、ノズル61の先端に装着されてレバー4からの押込力を受けるためのもので、合成樹脂によって全体として変形した円柱状乃至円筒状に形成されている。
【0020】
具体的には、このアダプタ3は、ノズル61に装着されるノズル装着部33と、レバー4から押込力を伝達しやすいように円盤状に径を拡大した鍔部32と、レバー4との接触面である鍔部32の上面よりも上方に突出する噴霧筒部31と、を一体に備えている。アダプタ3には、下面から上面まで噴霧孔34が貫通しており、噴霧孔34はノズル61に装着された状態でノズル61に連通している。
【0021】
そして、本実施例のレバー4は、駆動機構5の第4ギア55から受けた押込力をアダプタ3に伝達するためのもので、合成樹脂によって先端が対称に分岐した腕状部材として形成される。
【0022】
具体的には、本実施例のレバー4は、図4及び図5に示すように、アダプタ3の鍔部32の上面と接触して押込力を伝達するアーム部41と、部材の長手方向の中央近傍に配置された回動軸42と、駆動機構5の第4ギア55の押上突起部56によって押し上げられる押上部43と、アダプタ3の側面に接触するガイド部44と、を一体に備えている。
【0023】
このアーム部41は、回動軸42から遠い側の先端を略U字形に対称に分岐して形成される。言い換えると、アーム部41は、回動軸42に近い側の半円弧部411と、半円弧部411の両端から平行に延びており回動軸42から遠い側の一対の直線部412、412とを組み合わせて構成されている。
【0024】
この半円弧部411の中心は、エアゾール容器6のノズル61の概中心軸線上に位置するように形成されている。また、半円弧部411の内径は、アダプタ3の噴霧筒部31の外径よりもひと一回り大きく形成されているため、噴霧筒部31と略U字型のアーム部41との間に所定の空隙が形成されている。
【0025】
加えて、アーム部41は、アダプタ3の噴霧筒部31を挟むように分岐して形成されている。つまり、アーム部41の分岐した先端は、回動面内で噴霧筒部31と重なり合うように、噴霧筒部31の先端側(回動軸42よりも遠い側)よりも遠くまで延びている。
【0026】
なお、アーム部41は、略U字形でなくてもよく、先端が対称に分岐していればどのような形状であってもよい。例えば、円弧部の中心角が180度を超えている略C字形でもよいし、分岐する2つの直線部によって構成される略V字形又は略Y字形でもよいし、コ字形であってもよい。
【0027】
さらに、アーム部41は、複数の接触部C(図4を参照)があれば回動軸42の軸方向に対称に分岐していない形状でもよく、例えば、回動軸42の軸方向に向いて片側が開いたU字形、C字形又はコ字形であってもよい。
【0028】
また、回動軸42は、レバー4の長手方向の中央近傍に挿通されており、アーム部41を下方に回動させる際の中心軸となる。なお、回動軸42は、第4ギア55の回動軸と共通して使用される。
【0029】
さらに、押上部43は、第4ギア55の押上突起部56によって押し上げられる部位であり、舌片状に形成される。押上部43は、回動軸42についてアーム部41と反対側に配置されている。
【0030】
押上部43の上面は、回転時にアーム部41がアダプタ3及びノズル61を充分に押し込めるように、先端に向かって高さが漸減するように薄くされている。さらに、第4ギア55が回転しきった状態では押上部43の先端がギアボックスの天面に接触する。このため、アダプタ3とノズル61には必要以上の負荷がかからずに、噴射が終了した際に第4ギア55を反転させる反発力が生じるようになっている。
【0031】
そして、ガイド部44は、矩形板状に形成されるもので、アーム部41の側面から下方に突出していることで、アダプタ3の鍔部32の側面に接触することができる。
【0032】
詳細には、ガイド部44は、アーム部41がアダプタ3と接触する底面41aよりもアダプタ3側(下方)に突出している。突出量は、押込前及び押込後の両方の状態で、ガイド部44がアダプタ3の鍔部32の側面よりも下に突出している量とする。
【0033】
さらに、ガイド部44は、ノズル61軸に垂直な平面内では、設計上の適切な位置にあるアダプタ3の鍔部32側面に当接する位置、又は、これに許容ずれ量を加えた位置に配置されている。
【0034】
駆動機構5は、図2、3に示すように、基板71によって電気的に制御されており、制御された所定のタイミングでレバー4を押し込む。具体的には、駆動機構5は、電動のモータ51と、減速機としての第1ギア52、第2ギア53、第3ギア54及び第4ギア55と、によって構成されている。
【0035】
この第4ギア55には、側面上部から側方に向けて押上突起部56が突出しており、第4ギア55の回転と同時に押上突起部56も一体となって回転し、レバー4の押上部43を押し上げるようになっている。
【0036】
エアゾール容器6は、使用状況によっても異なるが、所定期間(例えば60日間)は継続して使用できるだけの内容量を備えており、使い切った後にアダプタ3ごと取外されて、アダプタ3を装着した新たなエアゾール容器6に交換される。
【0037】
このエアゾール容器6上部には、軸方向に出入自在のノズル61が配置されている。そして、ノズル61を容器内部側(下方)へ押し込むことによって、加圧されている噴射剤がノズル61を通じて噴射されるようになっている。
【0038】
この他、基板71には、エアゾール容器6に接触する安全スイッチ73と、噴霧装置1の載置面に接触する安全スイッチ74とを配置することができる。安全スイッチ73、74を設置した場合には、エアゾール容器6が収容されていない状態、又は、噴霧装置1が転倒した状態では、駆動機構5は作動しないようになっている。なお、底面側の安全スイッチ74は、なくてもよい。
【0039】
(作用)
次に、本実施例の噴霧装置1の動作について説明する。ここでは、所定時間が経過して噴霧する場合を仮定して説明する。ただし、噴霧のタイミングは、任意に設定できる。
【0040】
使用に先立って、使用者は、スイッチ13を操作することによって、装置のオンオフを切り替える事ができ、スイッチには待機時間の間隔を選択・設定する機能を付加しても良い。
【0041】
設定した待機時間が経過すると、基板71は、電動のモータ51に所定時間だけ通電することで、モータ51を所定の回転数だけ回転させる。そうすると、第1ギア52、第2ギア53、第3ギアの順に回転・減速されて、第4ギア55が所定の角度だけ上方に回転する。
【0042】
第4ギア55が回転すると、押上突起部56も一体となって回転し、レバー4の押上部43を上方に押し上げる。これにより、レバー4は回動軸42を中心として回転し、アーム部41は押上部43と反対に下方に回転する。
【0043】
アーム部41が下方に回転すると、アーム部41の底面41aが、アダプタ3の接触面35である鍔部31の上面と接触して、下向きに押込力を伝達する。
【0044】
押込力を受けたアダプタ3及びノズル61は、一体となってエアゾール容器6側に押し込まれ、これにより薬剤がアダプタ3の噴霧孔34及びハウジング2の噴霧開口21を通じて噴霧される。
【0045】
噴霧は所定の噴霧時間の間は継続されて、その間に所定量の薬剤が噴霧されるため、室内空間は十分な殺虫・忌避効果や消臭・芳香効果を得ることができる。
【0046】
所定の噴霧時間の経過後は、基板71は、モータ51を逆回転させることで、第4ギア55が逆回転してレバー4に押込力を伝達しなくなるため、ノズル61のスプリングの力によってアダプタ3が元の位置まで押し戻される。
【0047】
また、モータ51を積極的に逆回転させない場合は、押上部43がギアボックス5の反発によって押される力とノズル61のスプリングの力とによって、アダプタ3が元の位置まで押し戻される。この動作に伴って、結果的にモータ51が逆回転する。
【0048】
ここで、レバー4とアダプタ3との押込前及び押込後の接触状態について、図6及び図7を用いて、詳しく説明する。
【0049】
まず、押込前の状態について、図6(a)、(b)を用いて説明する。押込前は、回動軸42に垂直な面内では、図6(a)に示すように、エアゾール容器6のノズル61が最大突出位置にあり、ノズル61に装着されたアダプタ3も最上位置にある。
【0050】
一方、レバー4は、アーム部41の底面41aがアダプタ3の鍔部32上面の接触面35に略平行になる位置にある。なお、第4ギア55及び押上突起部56は、レバー4が略平行になってアダプタ3に押込力を伝達しなくなった位置よりも下方まで回動している。
【0051】
また、回動軸42に平行な垂直面内では、図6(b)に示すように、分岐したアーム部41の先端部がアダプタ3の接触面35の左右両側で接している。
【0052】
次に、押込後の状態について、図7(a)、(b)を用いて説明する。押込後は、回動軸42に垂直な面内では、図7(a)に示すように、レバー4は回動軸42を中心に回転し、アーム部41を下にして傾斜しており、アーム部41の先端のみがアダプタ3の接触面35に接している。図示した例では、アーム部41は接触面35において、ノズル61位置よりも回動軸42から遠い先端側の直線部412、412の先端の隅角部にある接触部C(図4も参照)のみで接触している。
【0053】
一方、アダプタ3は、接触面35においてノズル61位置から少し外れた2箇所を偏芯して押圧されているものの、ノズル61は軸方向にのみ出入可能であるため、軸方向にアダプタ3及びノズル61が押し込まれる。そして、エアゾール容器6のノズル61が所定の押込位置まで押し込まれ、ノズル61に装着されたアダプタ3は最下位置となる。
【0054】
また、回動軸42に平行な垂直面内では、図7(b)に示すように、分岐したアーム部41の先端部がアダプタ3の接触面35の左右両側を略均等に押し込んでいる。
【0055】
(効果)
次に、本実施例の噴霧装置1の効果を列挙して説明する。
【0056】
(1)このように、実施例1の噴霧装置1は、エアゾール容器6内の流体を噴霧する噴霧装置1であって、ノズル61付きのエアゾール容器6を収容するハウジング2と、ノズル61に装着された状態でノズル61に連通する噴霧孔34を有するアダプタ3を押し込むレバー4と、レバー4を駆動する駆動機構5とを備えている。
【0057】
そして、レバー4とアダプタ3とは、押し込み中に複数の接触部C、Cを介して接触し、駆動機構5から伝達される押込力を複数の接触部C、Cに分散するように形成されている。
【0058】
この構成によれば、繰り返して使用されるエアゾール容器6のノズル61及びレバー4に、押し込みの際に大きく偏芯した荷重が作用しにくくなるため、ノズル61及びレバー4を長期間安定して使用できるようになる。
【0059】
すなわち、エアゾール容器6のノズル61はノズル61のスプリングの力で上方に向けて押されているため、これに対抗する押込力も相当程度の大きさが必要となる。したがって、押込力を一点に集中して作用させると、ノズル61に相当程度の大きさのモーメント荷重が作用することになり、ノズル61及びレバー4に負荷がかかる。そこで、荷重を分散してモーメント荷重を抑制すれば、負荷を低減することができる。
【0060】
(2)また、レバー4はアダプタ3に接触して押込力を伝達するアーム部41を有し、アーム部41が略U字形、略V字形又は略Y字形に形成されていることで、きわめて簡易な構造によって分岐した両側の接触部C、Cを介して押込力を分散して伝達できる。
【0061】
加えて、このようにアーム部41が分岐していれば、エアゾール容器6の取替作業が容易になるうえ、円環状に形成した場合と比べると材料使用量及び重量を軽減できる。
【0062】
さらに、アダプタ3側ではなくレバー側4に押込力を分散する構造を設けることで、エアゾール容器6のノズル61にアダプタ3を装着する際に、アダプタ3の向きを考慮する必要がなくなる。
【0063】
(3)そして、レバー4は、アダプタ3を押し込むようにアーム部41を回動させるための回動軸42が挿通され、回動軸42を中心として駆動機構5によって回動されるようになっている。
【0064】
このように、レバー4を回動型に構成すれば、ラック歯車等を用いた平滑動型に構成した場合と比べて、噴霧装置1全体の高さを抑えてコンパクトにできる。同時に、噴霧装置1の重心も低くなるため、噴霧装置1が転倒する可能性も小さくなる。
【0065】
さらに、レバー4を回動型に構成したことに加えて、アーム部41を分岐するように形成したことにより、アーム部41を円環状に形成した場合と比べて、レバー4とアダプタ3の接触部Cがノズル61位置に近くなるという効果も生じる。
【0066】
(4)そして、アダプタ3は、噴霧孔34に連続しておりレバー4との接触面35よりもレバー4側に突出する噴霧筒部31を有し、レバー4のアーム部41は、アダプタ3の噴霧筒部31を挟むように対称に分岐している。
【0067】
このため、噴霧筒部31に対応するノズル61の両側の対称な位置でアダプタ3を押し込むことができるため、安定してノズル61を押し込むことができる。
【0068】
(5)また、レバー4のアーム部41は、アダプタ3と接触する底面41aよりもアダプタ3側に突出し、アダプタ3の鍔部32の側面に接触することができるガイド部44をさらに有している。
【0069】
これによって、ガイド部44は、ノズル61軸に垂直な平面内でレバー4とアダプタ3及びエアゾール容器6との相対位置が、大きくずれないようにアダプタ3及びエアゾール容器6を誘導する。
【0070】
さらに、回動中には、ガイド部材44はアダプタ3の鍔部32の側面に接触して、ノズル61軸に垂直な平面内においてレバー4とアダプタ3の相対的な位置を維持するため、レバー4の回転動作を円滑にすることができる。
【0071】
(6)そして、本実施例のレバー4は、ノズル61付きのエアゾール容器6内の流体を噴霧する噴霧装置1において、ノズル61に装着されたアダプタ3を押し込むためのレバー4であって、押し込み中に、アダプタ3と複数の接触部C、Cを介して接触して、押込力を複数の接触部C、Cに分散するように形成されている。
【0072】
この構成によれば、繰り返して使用されるエアゾール容器6のノズル61及びレバー4に、押し込みの際に大きく偏芯した荷重が作用しにくくなるため、ノズル61及びレバー4を長期間使用できるようになる。
【実施例2】
【0073】
次に、図8を用いて、実施例1とは異なる形状のレバー4Aを備える噴霧装置1について説明する。なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0074】
(構成)
本実施例の噴霧装置1は、上述した実施例1と同様に、ハウジング2、アダプタ3、レバー4A、駆動機構5、エアゾール容器6、基板71及び電池ボックス72などを備えている。
【0075】
このうちレバー4Aは、実施例1とは一部異なる構成を備えている。すなわち、本実施例のレバー4Aのアーム部41は、実施例1とは異なり、アダプタ3と接触する底面41a(下面)の先端側に面取部45が設けられている。
【0076】
この面取部45は、噴霧孔34に対応する位置よりも回動軸42から遠い側を、下面位置から上方に向けて約45度の角度をもって切り欠くように形成されている。言い換えると、図4、5に示す実施例1と対比すれば、半円弧部411に連続する両側の直線部412、412の底面側が斜めにカットされている。
【0077】
(作用・効果)
このように、本実施例2の噴霧装置1では、レバー4Aのアーム部41は、噴霧孔34に対応する位置近傍において、アダプタ3に対して複数の接触部C、C、C、Cを介して接触するように形成されている。具体的にいえば、アーム部41は、アダプタ3と接触する底面41aにおいて、噴霧孔34に対応する位置よりも回動軸42から遠い側が面取りされている。
【0078】
このため、押込の途中までは、アダプタ3とレバー4Aとが、面取箇所の下側にある付根側の接触部Cにおいて接触する。そして、押込の途中からは、アダプタ3とレバー4Aとが、面取箇所の上側にある先端側の接触部Cにおいて接触する。
【0079】
すなわち、押込の途中でレバー4Aの回転に伴って接触部Cが付根側から先端側へ遷移することによって、レバー4Aの回転に伴う接触部Cのずれを打ち消して、常にノズル61位置の近傍を押すことができるようになっている。
【0080】
なお、この他の構成および作用効果については、実施例1と略同様であるため説明を省略する。
【0081】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0082】
例えば、実施例1、2では、噴霧装置1がガイド部44を備える場合について説明したが、これに限定されるものではなく、エアゾール容器6及びレバー4の位置を正確に固定できる場合にはガイド部44はなくてもよい。
【0083】
また、実施例1、2では、エアゾール容器6にアダプタ3が装着された状態の噴霧装置1についてのみ記載したが、これに限定されるものではなく、噴霧装置1は、使用時にはノズル61に装着したアダプタ3を用いるが、販売時にはアダプタ3を備えていなくてもよい。
【0084】
さらに、実施例2では、噴霧孔34に対応する位置近傍に複数の接触部を配置するために、アーム部41の先端を斜めに面取りする場合について説明したが、これに限定されるものではなく、アーム部41において噴霧孔34に対応する位置近傍に突起を設けてもよいし、アダプタ3側に突起を設けてもよい。
【0085】
すなわち、実施例1、2では、アーム部41の接触部Cが接触する場合について説明したが、「接触部」として突起を設けることを排除するものではない。
【0086】
例えば、アーム部41の底面においてノズル61位置に対応する中央近傍に、下向きに突出する半球形状の突起を設けることができる。突起の形状は、半球形状でなくてもよく、任意に決めることができる。突起の個数は、分岐した両側に1個ずつ(合計2個)でなくてもよく、分岐した両側に2個ずつ(合計4個)あってもよいし、それ以上あってもよい。分岐した両側にそれぞれ複数の突起がある場合には、例えば、先端側の突起の高さを低くするなど、高さを変えることが好ましい。
【符号の説明】
【0087】
C 接触部
1 噴霧装置
2 ハウジング
21 噴霧開口
3 アダプタ
31 噴霧筒部
32 鍔部
33 ノズル装着部
34 噴霧孔
35 接触面
4、4A レバー
41 アーム部
41a 底面
42 回動軸
44 ガイド部
45 面取部
5 駆動機構
55 第4ギア
56 押上突起部
6 エアゾール容器
61 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル付きのエアゾール容器を収容するハウジングと、前記ノズルに装着された状態で前記ノズルに連通する噴霧孔を有するアダプタを押し込むレバーと、前記レバーを駆動する駆動機構とを備える、前記エアゾール容器内の流体を噴霧する噴霧装置であって、
前記レバーと前記アダプタとは、押し込み中に複数の接触部を介して接触し、前記駆動機構から伝達される押込力を複数の前記接触部に分散するように形成されている、噴霧装置。
【請求項2】
前記レバーは、前記アダプタに接触するアーム部を有し、前記アーム部が、略U字形、略C字形、又は略V字形に分岐して形成されている、請求項1に記載の噴霧装置。
【請求項3】
前記レバーには、前記アダプタを押し込むように前記アーム部を回動させるための回動軸が挿通され、前記回動軸を中心として前記駆動機構によって回動されるようになっている、請求項2に記載の噴霧装置。
【請求項4】
前記アダプタは、前記噴霧孔に連続しており前記レバーとの接触面よりも前記レバー側に突出する噴霧筒部を有し、前記レバーの前記アーム部は、前記アダプタの前記噴霧筒部を挟むように対称に分岐している、請求項2又は請求項3に記載の噴霧装置。
【請求項5】
前記レバーの前記アーム部は、前記噴霧孔に対応する位置近傍に複数の前記接触部を有するように形成されている、請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の噴霧装置。
【請求項6】
前記レバーは、前記アーム部の底面よりも前記アダプタ側に突出して、前記アダプタの側面に接触することのできるガイド部をさらに有する、請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の噴霧装置。
【請求項7】
ノズル付きのエアゾール容器内の流体を噴霧する噴霧装置において、前記ノズルに装着されたアダプタを押し込むためのレバーであって、
押し込み中に、前記アダプタと複数の接触部を介して接触して、押込力を複数の前記接触部に分散するように形成されている、レバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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